JP4138509B2 - プラスチックカード - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に、磁気カード、ICカード、リライトカードなどのプラスチックカードに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、磁気カード、ICカード、リライトカードなどのプラスチックカード類は、その利便性により、身分証明や出納処理など幅広い分野で利用されている。そして、図2に層構成を示したように、これらのプラスチックカード1Aは一般的に、不透明塩化ビニル樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性樹脂からなるセンターコア2B(上面に厚さ約1〜2μmの所望の印刷層4が形成されている)とセンターコア2Aとを、センターコア2Aの下面に透明塩化ビニル樹脂などからなるオーバーシート3Aを配置し、上面に印刷層4を形成したセンターコア2Bの上面に透明塩化ビニル樹脂などからなるオーバーシート3Bを配置して全体を積層して定型サイズのプラスチックカードが構成されている。5はオーバーシート3B面に定着された磁気記録層である。オーバーシート3Bの外表面には被覆保護するための図示しない保護層を積層してもよい。
プラスチックカード1Aは個人名、登録番号などのカード情報(文字、数字など)をカード表面に立体的に浮き上がらせるためにエンボス加工が施されることが多い。しかし、プラスチックカード1Aはエンボス加工が施されるとエンボス文字などにクラック(ひび割れ)(エンボス割れ)が発生するという問題があった。
【0003】
そこで複数種類のプラスチックシートを張り合わせ引っ張り強度600kgf/cm2以上でかつ破壊伸び40%以上としたエンボス割れが発生しないプラスチックカードが提案されているが(特許文献1参照)、張り合わせるために接着剤を用いるなどコスト高になる問題がある。非晶性ポリエステル系樹脂を含有する樹脂組成物からなるコア層の両面に、非晶性ポリエステル系樹脂を含有する樹脂組成物100重量部に対し屈折率1.54以上、粒径1000〜2000Åのメチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体2〜5重量部を含有する樹脂組成物からなる被覆層を積層1体化したエンボス割れが発生しないプラスチックカードを作る方法が提案されているが(特許文献2参照)、安価なPVC材料を用いないのでコスト高になる問題がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−175062号公報
【特許文献2】
特開2001−180162号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、エンボス割れが発生せず、かつ安価なPVC材料を用いることもできるので安価であるプラスチックカードを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するための本発明の請求項1のプラスチックカードは、センターコア、オーバーシート、印刷層、保護層を積層した層構成のプラスチックカードであって、前記印刷層の表面硬度が鉛筆硬度で2B以下であることを特徴とする。
【0007】
本発明のプラスチックカードは、公知のカード製造工程により容易に問題なく製造することができ、印刷層の表面硬度が鉛筆硬度で2B以下であるのでエンボス特性に優れ、エンボス割れが発生せず、かつ安価なPVC材料を用いることもできるので安価であるので、磁気カード、ICカード、リライトカードなどのプラスチックカードとして広く使用できる。
【0008】
本発明の請求項2のプラスチックカードは、請求項1記載のプラスチックカードにおいて、前記印刷層が紫外線硬化型インクを用いて形成されていることを特徴とする。
【0009】
紫外線硬化型インクは揮発性が低く、塗布量の調整が容易でカード面への塗布適性に優れると共に、紫外線照射による光重合結合により印刷層の強靱さを向上できる。
【0010】
本発明の請求項3のプラスチックカードは、請求項1あるいは請求項2記載のプラスチックカードにおいて、前記保護層が紫外線硬化型アクリレートを主成分とする水性エマルジョン系インクを用いて形成されていることを特徴とする。
【0011】
樹脂成分を有機溶剤に溶かした溶剤系インクではなく、紫外線硬化型ウレタンアクリレートを主成分とする水性エマルジョン系インクとしたことにより、インクの揮発性が低く、塗布量の調整が容易でカード面への塗布適性に優れると共に、溶媒が水であるため人体に無害であって引火性もなく、塗布工程や乾燥工程に防曝設備などを必要としない。さらに、紫外線照射によるアクリルの光重合結合により保護層の硬度が高くなり、また、耐摩耗性も向上できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明のプラスチックカードの1実施の形態の断面を模式的に説明する説明図である。
図1に層構成を示したように、本発明のプラスチックカード1は、不透明塩化ビニル樹脂(PVC)やポリエチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性樹脂からなるセンターコア2Bとセンターコア2A(いずれも厚さ約50〜100μm)を、透明塩化ビニル樹脂(PVC)などからなるオーバーシート3A、3B(いずれも厚さ約50〜100μm)で挟持し、オーバーシート3B面に磁気テープを貼り付けて磁気記録層5を定着させ、その上にアルミ粉含有銀色インクからなる隠蔽層6を設けたオーバーシート3B面に所望のデザイン印刷(絵柄印刷)した印刷層4(厚さ約1〜2μm)を形成して全体が積層されており、外表面には印刷層4を被覆保護するための保護層7が積層されて構成されている。
【0013】
本発明のプラスチックカード1は印刷層4の表面硬度が鉛筆硬度で2B以下であるのでエンボス特性に優れており、個人名、登録番号などのカード情報(文字、数字など)をカード表面に立体的に浮き上がらせるためにエンボス加工が施されてもエンボス割れが発生しない。
【0014】
本発明で用いる印刷層4の形成用インクや保護層7の形成用インクのバインダ樹脂は公知のインク用バインダ樹脂を用いることができ、インクのタイプは溶剤インク、赤外線、紫外線、電子線などの放射線を照射して硬化する放射線硬化型インク、特殊インクなどいずれでもよく、特に限定されるものではない。バインダ樹脂としては、例えば、ポリエステル系、ポリアミド系、ハロゲン化ポリオレフィン系、ポリイミド系、アクリル系、エチレン・ビニルアルコール共重合体系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリスチレン系、ポリカーボネート系、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系、ポリエーテルスルホン系などの1つ以上のバインダ樹脂を挙げることができる。
中でも紫外線硬化型インクは揮発性が低く、塗布量の調整が容易でカード面への塗布適性に優れると共に、紫外線照射による光重合結合により印刷層の強靱さや保護層の硬度や耐摩耗性などを向上できるので本発明において好ましく使用できる。
【0015】
アクリル系バインダの例として、例えばエチレングリコール単位を分子内にもつポリエチレングリコール(nは3以上であり、およそ14以下)ジアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性(nは3以上であり、およそ14以下)トリアクリレートなどのアクリル系光硬化性成分や、その他エチレングリコール単位を分子内にもたないか、あるいは持っていてもn=2以下のポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性(nは2以下)トリアクリレートなどの公知のアクリル系光重合性モノマーおよび/または疎水性を有するアクリル系光重合性オリゴマーから任意に選んで用いることができる。
【0016】
光重合性モノマーとしては、例えばアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和カルボン酸又はそのエステル、例えばアルキル−、シクロアルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル−、ベンジル−、フェノキシ−アクリレート及びメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート及びメタクリレートなど、アクリルアミド、メタクリルアミド又はその誘導体などを挙げることができる。
【0017】
また、硬化収縮が支障となる用途の場合には、例えばイソボルニルアクリレート又はメタクリレート、ノルボルニルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンテノキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンテノキシプロピルアクリレート又はメタクリレートなど、ジエチレングリコールジシクロペンテニルモノエーテルのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルなど、ジシクロペンテニルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルモノフマレート又はジフマレートなど、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどのモノ−、ジアクリレート又はモノ−、ジメタアクリレート、あるいは前記モノアクリレート又はメタクリレートのメチルエーテル、1−アザビシクロ[2,2,2]−3−オクテニルアクリレート又はメタクリレート、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボキシルモノアリルエステルなど、ジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンタジエニルオキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリレートなどの光重合性モノマーを用いることができる。
これらの光重合性モノマーは単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0018】
アクリル系光重合性オリゴマーとしては、エポキシ樹脂のアクリル酸エステル例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテルジアクリレート、エポキシ樹脂とアクリル酸とメチルテトラヒドロフタル酸無水物との反応生成物、エポキシ樹脂と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物、グリシジルジアクリレートと無水フタル酸との開環共重合エステル、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物又はこれにさらにグリシジルメタクリレートを反応させたものなどのポリアクリル酸又はマレイン酸共重合体系プレポリマーなど、そのほか、ウレタン結合を介して飽和ポリエステルセグメントが連結し、両末端にアクリロイル基又はメタクロイル基を有するウレタン系プレポリマーなどを挙げることができる。
これらの中でもウレタン構造を有する紫外線硬化型ウレタンアクリレートは、紫外線照射による光重合結合により保護層の硬度が高くなり、また、耐摩耗性も向上できるので本発明において好ましく使用できる。
これらのアクリル系光重合性オリゴマーは、重量平均分子量凡そ2000〜30000の範囲のものが適当である。
【0019】
本発明用いるインクには、さらに、所望に応じて慣用されている添加成分、例えば、反応性希釈剤、粘着付与剤、粘度調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、消泡剤、各種安定剤、着色剤、滑剤、増感剤などを含有させることもできる。
【0020】
本発明で用いるインクは、オフセット印刷機、シルクスクリーン印刷機、グラビアコーター、フレキソ、エアナイフコーター、バーコーターなどの塗工手段により所定部に塗工し、必要に応じて乾燥する。
【0021】
本発明で用いる保護層7の形成用インクとして水性エマルジョンは好ましく使用できる。水性エマルジョンの主成分としては紫外線硬化型脂肪族ウレタンアクリレートおよび/または紫外線硬化型芳香族ウレタンアクリレートが好ましく使用できる。ウレタン結合を形成する脂肪族および脂環式ジイソシアネート成分として代表的なものは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHMDI)などであるがこれらに限定されるものではない。脂肪族ウレタンアクリレートは、オリゴマーないしモノマー状態の脂肪族ウレタンアクリレートが水中に分散されてなるものである。好適に利用できる市販品の具体例としては、ダイセルUCB社製のUcecoat DW7900やBASF社製のLaromer
LR8949などがある。
【0022】
一方、芳香族系ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびキシリレンジイソシアネート(XDI)などが挙げられる。脂肪族ウレタンアクリレートは芳香族ウレタンアクリレートと比較すると、前者の方が後者より、保護層7のコーティング適性や保護層7の硬化状態の点で好ましい。また、前者の方が後者よりも透明性に優れている。
【0023】
紫外線硬化型インクの紫外線による硬化を行わせるために、光重合開始剤を用いる。光重合開始剤としては、通常使用されているものがいずれも好ましく使用できる。代表的なものは分子内結合開放型および分子間水素引抜き型ある。分子内結合開放型は分子開裂によりラジカルを発生するタイプであって、例として、ベンゾイル・アルキル・エーテル、ベンジルジメチルケタール、ジエトキシアセトフェノン、アシロキシムエステル、塩素化アセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノンなどが挙げられる。分子間水素引抜き型は分子間の水素引抜きでラジカルを発生するタイプであって、例として、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ジベンゾスベロン、2−エチルアンスラキノン、イソブチルチオキサンソンなどが挙げられる。光重合開始剤と併用するものとして光重合開始助剤または増感剤があり、アミン類、スルホン類、ホスフィン類が使用できる。
【0024】
また、本発明で用いる保護層7の形成用インクに酢酸ビニル塩化ビニル共重合体を含有させることで、保護層における、金色、銀色、特に青色、黒色の熱転写剤の受容性(ティピング加工性)がさらに向上されると共にカード外表面の艶・光沢なども向上する。 酢酸ビニル塩化ビニル共重合体(固形分)の配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは保護層7の形成用インク(固形分)全体に対して2〜30質量%、さらに好ましくは10〜20質量%配合することが望ましい。2質量%未満では保護層の熱転写剤やホットスタンプなどに対する受容性を改善できない恐れがあり、30質量%を超えると保護層を有するプラチックカードの耐熱性、耐摩耗性、エンボス適性、ブロッキング性などが悪化する恐れがあるので好ましくない。その他、カード面への塗布適性や形成された保護層の物理的・化学的適性などを考慮し、滑剤、増粘剤、レベリング剤、界面活性剤、填料などを適宜添加することが好ましい。
【0025】
【実施例】
以下本発明の内容を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明は実施例になんら限定されるものではない。
【0026】
(印刷層形成用インクを用いて形成した印刷層の鉛筆硬度の測定方法)
印刷層形成用インクを用いてインク展色試験機(RIテスタ)を用いて、PVCシート(PVCカードに使用される白色のセンターコア)に展色を行った。展色条件は、▲1▼ローラ:2分割ローラ、▲2▼インク量:0.15cc、▲3▼紫外線照射量:800mJ/cm2である。印刷層の表面硬度はJIS−K5401、K5400およびK6894に規定される鉛筆引っかき試験に準拠して測定した。
【0027】
(保護層形成用水系コート剤)
(1)紫外線硬化型アクリレートを主成分とする水性エマルジョン(商品名:水性UVコーティング剤WBR−828、大成化工社製)50質量部
(2)塩化ビニル共重合体系熱可塑性樹脂を主成分とする水性エマルジョン(塩化ビニル共重合体水性エマルジョン、商品名:ビニブラン240、日信化学工業社製)50質量部
(3)ステアリン酸エマルジョン(中京油脂社製)15質量部
(4)粘度調整剤(商品名:SN−612、サンノプコ社製)1質量部
【0028】
(実施例1)
前記印刷層の鉛筆硬度の測定方法で鉛筆硬度6Bであった紫外線硬化型オフセットインクを用いて図1に示した層構成のオーバーシート3B上にデザイン印刷して印刷層4を形成した。印刷層4の硬化は紫外線照射装置により800mJ/cm2の紫外線を照射して行った。次に、上記の保護層形成用水系コート剤を用い、デザイン印刷層4の表面に薄膜コータにより2〜3g/cm2程度の塗布量にて厚み1〜1.5μm程度の保護層7が形成されるように塗布した。そしてランプの管面温度260℃程度の遠赤外線を15秒間照射し、水分を蒸発させて未硬化状態の保護層7を形成し、さらに乾燥工程において紫外線照射装置により350mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させた。
さらに、多段プレス(ラミプレス)にて150℃、25分加圧により、硬化した保護層を成型し、シート面に最終的な保護層を形成し図1に示した層構成のプラスチックシートを作った。
得られたプラスチックシートを所定のサイズに打ち抜いて、テスト用の本発明のプラスチックカード200枚を得た。
【0029】
得られた本発明のプラスチックカードを用いて、日本データカード社製のカード自動発行システムDC−9000のエンボス文字形成部を使用し、鋼鉄製のエンボス文字形成用型で、カード裏面側から常温にて、1〜5枚/1000秒の速度で打刻することにより、高さ0.45mm程度のエンボス文字を形成した。形成したエンボス文字を注意深く観察し、エンボス部の割れがあればその数をカウントして、結果を表1に示した。
表1の数字は200枚のカード中、エンボス割れを起こしたカードの枚数を示す。エンボス割れを起こしたカードの枚数が0〜3枚程度であれば実用上問題がない。
【0030】
(実施例2)
実施例1で使用した鉛筆硬度6Bであった紫外線硬化型オフセットインクの代わりに鉛筆硬度4Bの紫外線硬化型オフセットインクを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、テスト用の本発明のプラスチックカード200枚を得て、実施例1と同様にしてエンボス文字を形成し、エンボス部の割れがあればその数をカウントして、結果を表1に示した。
【0031】
(実施例3)
実施例1で使用した鉛筆硬度6Bであった紫外線硬化型オフセットインクの代わりに鉛筆硬度2Bの紫外線硬化型オフセットインクを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、テスト用の本発明のプラスチックカード200枚を得て、実施例1と同様にしてエンボス文字を形成し、エンボス部の割れがあればその数をカウントして、結果を表1に示した。
【0032】
(実施例4)
実施例1で使用した鉛筆硬度6Bであった紫外線硬化型オフセットインクの代わりに鉛筆硬度6Bの蒸発乾燥型シルクインクを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、テスト用の本発明のプラスチックカード200枚を得て、実施例1と同様にしてエンボス文字を形成し、エンボス部の割れがあればその数をカウントして、結果を表1に示した。
【0033】
(実施例5)
実施例1で使用した鉛筆硬度6Bであった紫外線硬化型オフセットインクの代わりに鉛筆硬度2Bの蒸発乾燥型シルクインクを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、テスト用の本発明のプラスチックカード200枚を得て、実施例1と同様にしてエンボス文字を形成し、エンボス部の割れがあればその数をカウントして、結果を表1に示した。
【0034】
(比較例1)
実施例1で使用した鉛筆硬度6Bであった紫外線硬化型オフセットインクの代わりに鉛筆硬度1Bの紫外線硬化型オフセットインクを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、比較テスト用のプラスチックカード200枚を得て、実施例1と同様にしてエンボス文字を形成し、エンボス部の割れがあればその数をカウントして、結果を表1に示した。
【0035】
(比較例2)
実施例1で使用した鉛筆硬度6Bであった紫外線硬化型オフセットインクの代わりに鉛筆硬度1Hの紫外線硬化型オフセットインクを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、比較テスト用のプラスチックカード200枚を得て、実施例1と同様にしてエンボス文字を形成し、エンボス部の割れがあればその数をカウントして、結果を表1に示した。
【0036】
(比較例3)
実施例1で使用した鉛筆硬度6Bであった紫外線硬化型オフセットインクの代わりに鉛筆硬度1Bの蒸発乾燥型シルクインクを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、比較テスト用のプラスチックカード200枚を得て、実施例1と同様にしてエンボス文字を形成し、エンボス部の割れがあればその数をカウントして、結果を表1に示した。
【0037】
(比較例4)
実施例1で使用した鉛筆硬度6Bであった紫外線硬化型オフセットインクの代わりに鉛筆硬度Fの蒸発乾燥型シルクインクを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、比較テスト用のプラスチックカード200枚を得て、実施例1と同様にしてエンボス文字を形成し、エンボス部の割れがあればその数をカウントして、結果を表1に示した。
【0038】
【表1】
Figure 0004138509
【0039】
表1から実施例1〜5の本発明のプラスチックカードはエンボス割れがないかあっても実用上支障のない範囲であり、エンボス特性に優れていることが判る。それに対して比較例1〜4のプラスチックカードはエンボス割れが多く、エンボス特性に劣る。
【0040】
【発明の効果】
本発明の請求項1のプラスチックカードは、センターコア、オーバーシート、印刷層、保護層を積層した層構成のプラスチックカードであって、前記印刷層の表面硬度が鉛筆硬度で2B以下であることを特徴とするものであり、公知のカード製造工程により容易に問題なく製造することができ、印刷層の表面硬度が鉛筆硬度で2B以下であるのでエンボス特性に優れ、エンボス割れが発生せず、かつ安価なPVC材料を用いることもできるので安価であるので、磁気カード、ICカード、リライトカードなどのプラスチックカードとして広く使用できるという顕著な効果を奏する。
【0041】
本発明の請求項2のプラスチックカードは、請求項1記載のプラスチックカードにおいて、前記印刷層が紫外線硬化型インクを用いて形成されていることを特徴とするものであり、紫外線硬化型インクは揮発性が低く、塗布量の調整が容易でカード面への塗布適性に優れると共に、紫外線照射による光重合結合により印刷層の強靱さを向上できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0042】
本発明の請求項3のプラスチックカードは、請求項1あるいは請求項2記載のプラスチックカードにおいて、前記保護層が紫外線硬化型アクリレートを主成分とする水性エマルジョン系インクを用いて形成されていることを特徴とするものであり、インクの揮発性が低く、塗布量の調整が容易でカード面への塗布適性に優れると共に、溶媒が水であるため人体に無害であって引火性もなく、塗布工程や乾燥工程に防曝設備などを必要とせず、さらに、紫外線照射によるアクリルの光重合結合により保護層の硬度が高くなり、また、耐摩耗性も向上できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラスチックカードの1実施の形態の断面を模式的に説明する説明図である。
【図2】従来のプラスチックカードの断面を模式的に説明する説明図である。
【符号の説明】
1、1A プラスチックカード
2A、2B センターコア
3A、3B オーバーシート
4 印刷層
5 磁気記録層
6 隠蔽層
7 保護層

Claims (3)

  1. センターコア、オーバーシート、印刷層、保護層を積層した層構成のプラスチックカードであって、前記印刷層の表面硬度が鉛筆硬度で2B以下であることを特徴とするプラスチックカード。
  2. 前記印刷層が紫外線硬化型インクを用いて形成されていることを特徴とする請求項1記載のプラスチックカード。
  3. 前記保護層が紫外線硬化型アクリレートを主成分とする水性エマルジョン系インクを用いて形成されていることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載のプラスチックカード。
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