JP2004219761A - ブラシ帯電装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】感光体ドラムに接触して帯電させるためのブラシ帯電装置32であって、導電性支持体301の外周面に多数の導電性繊維をブラシ状に設けた帯電ブラシ302をスパイラル状に巻き付けたローラ体からなる。導電性繊維の太さDが1.5〜4デニール、長さLが2mm以上、植毛密度が150000フィラメント/inch2以上である。そして、導電性繊維の太さDと長さLとの関係がD≧0.71L−1.61なる式を満たしている。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラシ帯電装置及び画像形成装置、特に、電子写真方式にて感光体上に画像を形成するに先立って該感光体を所定の表面電位に均一に帯電するためのブラシ帯電装置及び該帯電装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来技術と課題】
電子写真方式によるフルカラーの画像形成装置の普及に伴って高画質へのさらなる要求が高まっている。高品質の画像形成に関して、感光体を均一に帯電させることは特に重要である。従来では、均一帯電のためにコロナ放電装置を用いる場合が多かった。しかし、コロナ放電装置は感光体に対して非接触の帯電方式であるため、人体に有害であるオゾンの発生量が多いという問題点を有している。
【0003】
低オゾンを実現できる帯電方式の一つとして、ブラシ状の導電性繊維を感光体に接触させて帯電させるブラシ帯電装置が知られている。ブラシ帯電装置に関して、先行技術としては以下のものが存在している。
【0004】
【特許文献1】特開平7−98534号公報
合成樹脂材の半導電性繊維でブラシを構成し、該繊維の太さが1.5〜15デニール、長さが2〜10mm、密度が50000〜500000フィラメント/inch2であることが開示されている。但し、このブラシ帯電装置は繊維を平面的に植毛したもので、固定方式であり、ローラ体にして回転させることに関しては示唆していない。
【0005】
【特許文献2】特開2001−194873号公報
固定方式の帯電ブラシとして、太さが2〜10デニール、植毛密度が10000〜400000フィラメント/inch2である導電性繊維を用いたものが開示されている。また、回転方式の帯電ブラシとして、太さが6デニール、植毛密度が100000フィラメント/inch2である導電性繊維を用いたものが開示されている。
【0006】
【特許文献3】特開2001−242688号公報
直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加する帯電ブラシ方式と、交流電圧を印加する非接触現像方式とを組み合わせて画像を形成する装置が開示されている。但し、帯電ブラシの詳細な構成についての記載はない。
【0007】
しかしながら、前記各種のブラシ帯電方式では、導電性繊維の1本1本からの放電により感光体を帯電させるため、均一な帯電が困難であるという問題点を有している。即ち、従来のブラシ帯電装置ではフルカラー画像の品質を満足させることを達成できていなかった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、所定の表面電位に均一な帯電が可能であり、高品質の画像を得ることのできるブラシ帯電装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、所定の表面電位に均一な帯電が可能であり、高品質の画像を得ることのできる画像形成装置を提供することにある。
【0010】
【発明の構成、作用及び効果】
以上の目的を達成するため、第1の発明に係るブラシ帯電装置は、被帯電体を帯電させるための帯電部材が導電性支持体の外周面に多数の導電性繊維をブラシ状に設けたローラ体からなり、前記導電性繊維の太さDが1.5〜4デニール、長さLが2mm以上、植毛密度が150000フィラメント/inch2以上であり、前記導電性繊維の太さDと長さLとの関係が下式を満たすこと、
D≧0.71L−1.61
を特徴とする。
【0011】
以上の構成からなる第1の発明に係るブラシ帯電装置にあっては、ローラ体からなるブラシ回転方式であって、導電性繊維の太さを比較的細くすると共に植毛密度を高く設定し、かつ、太さDと長さLとの関係が前記式を満足するようにしたため、被帯電体を所定の表面電位に均一に帯電することができ、ひいては高品質の画像を形成することができる。
【0012】
太さが1.5デニール未満の導電性繊維は製造することが困難であり、4デニールを超えると、帯電電位が部分的に高くなり、ハーフトーン画像で白筋が生じることがあり、好ましくはない。
【0013】
植毛密度に関しては、150000フィラメント/inch2未満では帯電が不均一で画質が低下する。250000フィラメント/inch2以上であることが好ましく、製造可能な範囲でできるだけ高密度の帯電部材を用いることが好ましい。
【0014】
また、前記帯電部材は被帯電体の移動方向に対して対向する方向に回転駆動され、被帯電体の移動速度に対する帯電部材の移動速度の比が1.5〜3であることが好ましい。
【0015】
第2の発明に係る画像形成装置は、前記第1の発明に係るブラシ帯電装置を備えたことを特徴とする。
【0016】
さらに、第3の発明に係る画像形成装置は、直流成分に交流成分が重畳された現像バイアス電圧の印加により、現像剤担持体上のトナーを潜像担持体上に飛翔させ、該潜像担持体上に形成されている静電潜像を現像する画像形成装置において、前記潜像担持体を帯電させる帯電部材が導電性支持体の外周面に多数の導電性繊維をブラシ状に設けたローラ体からなり、前記導電性繊維の太さが1.5〜4デニール、植毛密度が150000フィラメント/inch2以上であり、前記帯電部材には直流電圧が印加されることを特徴とする。
【0017】
以上の構成からなる第3の発明に係る画像形成装置にあっては、ローラ体からなるブラシ回転方式であって、導電性繊維の太さを比較的細くすると共に植毛密度を高く設定したため、被帯電体を所定の表面電位に均一に帯電することができ、微小な画像の再現性や鮮明度に優れている非接触現像方式と組み合わせて高品質の画像を得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るブラシ帯電装置及び画像形成装置の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0019】
(画像形成装置、図1参照)
まず、図1を参照して画像形成装置の一例についてその構成及び画像形成動作の概略を説明する。この画像形成装置は、フルカラーのレーザプリンタとして構成したもので、従来周知の感光体ドラム31、レーザ走査光学装置33、フルカラー現像装置34、中間転写ベルト35、定着装置38、給紙カセット39及び排紙トレイ13等を備えている。そして、感光体ドラム31の周囲に、ブラシ帯電装置32、フルカラー現像装置34、1次転写ローラ51及びトナーのクリーニング装置36が配置されている。
【0020】
レーザ走査光学装置33は、光源としてのレーザダイオード、偏向手段としてのポリゴンミラー及びfθ光学素子等を内蔵した周知のもので、その制御部にはC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)ごとの印字データがホストコンピュータから転送される。レーザ走査光学装置33は各色ごとの印字データに基づいて順次レーザビームを変調させ、感光体ドラム31上を走査露光する。
【0021】
感光体ドラム31は、矢印A方向に回転駆動され、以下に詳述するブラシ帯電装置32にて所定の表面電位に均一に帯電され、レーザビームの走査露光によって静電潜像が順次形成される。
【0022】
フルカラー現像装置34は、C,M,Y,Kの各色のトナーを内蔵した色別現像器34C,34M,34Y,34Kを一体的にユニット化し、支軸34aを支点として矢印B方向に回転可能である。この現像装置34は感光体ドラム31上に各色に対応する静電潜像が形成されるごとに、対応する色のトナーを内蔵した現像器が現像領域へ配置されるように回転駆動され、静電潜像を所定の色のトナーで現像する。
【0023】
各現像器は、例えば、1成分非磁性トナーを用いた非接触現像方式によるもので、いわゆる反転現像が行われる。即ち、トナーは感光体ドラム31の帯電極性と同極性に帯電されており、露光によって電位が低下した画像部に付着する。現像器の構成及び現像作用については以下に詳述する。
【0024】
中間転写ベルト35は回転自在な1次転写ローラ51や支持ローラ52を含むローラ群に無端状に張り渡され、矢印C方向に回転駆動可能とされている。そして、1次転写ローラ51に1次転写電圧を印加することにより、感光体ドラム31上に形成されたトナー像が中間転写ベルト35上に1次転写される。この1次転写によって各色のトナー像が重ね合わされてフルカラーの画像となる。
【0025】
また、中間転写ベルト35には支持ローラ52で支持されている部分に2次転写ローラ37が回転自在に圧接されている。そして、用紙が中間転写ベルト35と2次転写ローラ37との間を通過する際、2次転写ローラ37に2次転写電圧を印加することにより、フルカラーのトナー像が用紙上に2次転写される。
【0026】
給紙カセット39からは給紙ローラ10によって用紙が1枚ずつ送り出され、該用紙はタイミングローラ11によって前記中間転写ベルト35上のトナー像と同期をとって2次転写位置へ搬送される。
【0027】
用紙上に2次転写されたトナー像は定着装置38で加熱定着され、該用紙は排出ローラ12にてトレイ13上に排出される。
【0028】
なお、フルカラーの画像形成装置としては種々の基本形態があり、図1に示したレーザプリンタは一つの感光体ドラム31の周囲に四つの現像器を配置した4サイクル型である。しかし、本発明に係る画像形成装置は4サイクル型以外にも、四つの感光体ドラムを中間転写ベルトに沿って並置したタンデム型など他の形態を採用したものであってもよい。
【0029】
また、フルカラーのレーザプリンタに限らず、モノクロの画像形成装置に本発明を適用することも可能である。また、トナーのみからなる現像剤を使用する1成分現像あるいはトナーとキャリアとの混合物からなる2成分現像のいずれであっても、本発明を適用することが可能である。
【0030】
(ブラシ帯電装置、図2〜図5参照)
ブラシ帯電装置32は、感光体ドラム31の表面に接触させた状態で電圧を印加することにより、感光体ドラム31の表面を所定の表面電位に帯電させる。このブラシ帯電装置32は、図2〜図4に示すように、導電性支持体301の外周面に、基布303に多数の導電性繊維を植毛した帯電ブラシ302を巻き付けたローラ体として構成されている。
【0031】
導電性支持体301は、ステンレス、アルミニウム等の金属材からなるが、導電性材料であればこれらに限定されない。
【0032】
導電性繊維は、合成樹脂材料に導電性材料を混合して繊維状に成形したものである。合成樹脂としては、ナイロン等のポリアミド、レーヨン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリルを用いることができ、ナイロンを主成分とすることが好ましい。導電性材料としては、導電性カーボン、金属粉体、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫等を用いることができ、前記合成樹脂中に均一に混合できる材料であればこれらに限定されない。
【0033】
基布303に前記導電性繊維を植毛した帯電ブラシ302を導電性支持体301の外周面に巻き付ける方法は、例えば、図2に示されているように、帯状の帯電ブラシ302を支持体301へスパイラル状に巻き付ける方法が容易である。但し、帯電ブラシ302を隙間なく巻き付けることができれば、この方法に限定するものではない。
【0034】
帯電ブラシ302の隙間が大きいと巻き目のむらが生じ、巻き目部分の導電性繊維の密度が低くなるため、帯電不良が生じるおそれがあり、好ましくない。
【0035】
図3にブラシ帯電装置32の縦断面形状を示す。導電性繊維の太さは1.5〜4デニール、好ましくは1.5〜2.5デニールである。該導電性繊維の太さについては、本発明者らの実験によると、4デニールを超えると感光体の表面電位が部分的に高くなり、ハーフトーン画像で白筋が生じる場合があったため、好ましくはない。1.5デニール未満は導電性繊維の製造上の障害があり、帯電ブラシを製作することができなかった。
【0036】
さらに、導電性繊維の植毛密度は、150000フィラメント/inch2以上、好ましくは250000フィラメント/inch2以上である。150000フィラメント/inch2未満では帯電が不均一で画質が低下した。また、500000フィラメント/inch2以下とすると、より低コストで製造ができる点で有効である。
【0037】
ところで、本発明では、導電性繊維の太さを従来よりも細くしたことで、感光体ドラム31と帯電ブラシ302とが接触しつつ回転する際に、回転クリープが生じてブラシ径が小さくなるため、帯電不良が発生するおそれがある。
【0038】
本発明者らの実験によると、回転クリープは導電性繊維の長さと太さに相関しており、ある太さに対して長さが一定値以上になると著しく回転クリープが生じ、均一帯電に支障をきたした。導電性繊維の太さDと長さLとの関係が下式(1)を満足すれば、高品質な画像を形成する均一な帯電が得られた。
D≧0.71L−1.61 …(1)
【0039】
ここで、導電性繊維の長さLとは、帯電ブラシ302のシャーリング径(カットした後のブラシ外径のこと)と、基布303の厚みから算出した値である。即ち、「(シャーリング径−支持体の外径−基布の厚さ×2)/2」の式から算出する。なお、帯電ブラシ302が斜毛処理されている場合、長さLは処理前の直毛状態での値である。
【0040】
繊維の長さに関して、2mm未満であると、帯電ブラシ302を導電性支持体301に巻き付けた際の巻き目部分に帯電むらが発生することが顕著になり、好ましくない。
【0041】
以上の点を勘案すると、帯電ブラシ302の導電性繊維の太さと長さの適正範囲は図5に斜線を付して示す範囲になる。
【0042】
図4にブラシ帯電装置32の横断面形状を示す。帯電ブラシ302を支持体301に巻き付けた後、導電性繊維の長さを均一に揃えただけの直毛状態でもよいが、導電性繊維の先端が一定方向にカールされた斜毛状態に処理すればさらに良好な帯電を図ることができる。斜毛処理は、導電性繊維に熱を加えてカールさせる方法、通電による方法等があるが、これらに限定するものではない。
【0043】
ブラシ帯電装置32は、図2に示すように、フレーム311,312に回転駆動可能に取り付けられている。帯電ブラシ302の回転方向は、感光体ドラム31の回転方向に対して同方向(ウィズ方法)又は反対方向(カウンター方向)のいずれでもよい。そして、帯電ブラシ302の周速度と感光体ドラム31の周速度とに差を設けてもよく、帯電ブラシ302の周速比を1より大きくすることで帯電の均一性を向上させることができる。本発明者らの実験によれば、帯電ブラシ302をカウンター方向に回転させ、帯電ブラシ302の周速比を1.5〜3に設定することで好ましい結果が得られた。
【0044】
このブラシ帯電装置32においては、帯電ブラシ302に対して図2に示す直流電源321から支持体301を介して直流電圧を印加することにより、感光体ドラム31を所定の表面電位に帯電させる。帯電ブラシ302へ印加する直流電圧は、感光体の種類等によって異なるが、−1600〜−800Vである。この範囲以外の場合もあり得る。
【0045】
なお、帯電ブラシ302に対しては直流電圧に交流電圧を重畳して印加してもよいが、交流成分を印加すると感光体ドラム31のクリーニング残渣が帯電ブラシ302に付着しやすくなるため、直流電圧のみを印加することが好ましい。
【0046】
(ブラシ帯電装置の具体例)
ここで、以下に説明する実験例で使用した帯電ブラシ1〜13について表1を参照して説明する。
【0047】
ブラシ1:
帯電ブラシはその導電性繊維をナイロンに導電性カーボンを分散したものを素材として製作した。導電性繊維の太さは2デニール、植毛密度は300000フィラメント/inch2である。この帯電ブラシを外径6mmのステンレス製シャフトに螺旋状に巻き付けた後、ブラシの表面が均一になるように導電性繊維をカットした。カット処理後の導電性繊維の長さは3.8mmである。さらに、導電性繊維の先端を、ブラシの外径が12.5mmになるように熱処理でカールさせた。
【0048】
ブラシ2〜13:
導電性繊維の太さ、長さ及び植毛密度を表1に示す値とし、前記ブラシ1と同様の手順で製作した。
【0049】
【表1】
【0050】
(1成分非磁性非接触現像方式、図6参照)
ここで、1成分非磁性非接触現像方式について、現像器の概略構成と共に説明する。前記レーザプリンタで用いられているフルカラー現像装置34の各現像器34Y,34M,34C,34K(以下、現像器34と記す)と感光体ドラム31との位置関係及び現像器34の概略構成を図6に示す。ちなみに、感光体ドラム31は円筒状の導電性支持体201aの表面に感光層201bを形成したものである。
【0051】
現像器34は現像剤ケーシング210に現像剤担持体としての現像ローラ211を矢印D方向に回転駆動可能に設けたもので、現像ローラ211にはトナー規制板214及びシール材215が圧接している。また、ケーシング210には現像剤212が収容されている。
【0052】
現像ローラ211は、導電性支軸211aに導電性弾性体層211bを介して高抵抗層211cを設けたもので、高抵抗層211cが感光体ドラム31と所定の現像ギャップDsを介して対向している。
【0053】
ケーシング210に収容されている現像剤212は1成分非磁性トナーであり、送り羽根213の回転によって現像ローラ211の外周面に供給される。現像ローラ211の外周面に供給されたトナーは、該ローラ211の矢印D方向への回転に基づいて規制板214に圧接されて薄膜状に規制され、かつ、摩擦帯電した状態で現像領域に搬送される。
【0054】
このようなトナーの搬送と同時に、直流成分に交流成分が重畳された現像バイアス電圧が電源221から現像ローラ211に印加される。これにて、現像領域において、現像ローラ211と感光体ドラム31との間に、直流電界に交流電界が重畳された電界が発生し、現像ローラ211の外周面に保持されているトナーが感光体ドラム31上に形成されている静電潜像に飛翔し、現像が行われる。
【0055】
現像領域を通過したトナーは、引き続き現像ローラ211と共に矢印D方向に搬送され、シール材215が圧接することにより現像領域での消費パターンが消去されてトナー薄膜の均一化が図られる。
【0056】
(1成分非磁性接触現像方式、図7参照)
次に、1成分非磁性接触現像方式について、現像器の概略構成と共に説明する。この現像器34は、特開2001−228652号公報に開示されているように、かつ、図7に示すように、現像剤ケーシング410に現像スリーブ411を矢印D方向に回転駆動可能に設けたもので、現像スリーブ411には薄膜部材415が設けられると共にトナー規制板414が圧接している。また、ケーシング410には現像剤412が収容されている。
【0057】
ケーシング410に収容されている現像剤412は1成分非磁性トナーであり、送り羽根413の回転によって現像スリーブ411の外周面に供給される。一方、薄膜部材415は現像スリーブ411との摩擦力により矢印D方向に従動回転しており、薄膜部材415と接するトナーは薄膜部材415との接触及び静電気的な力によって矢印D方向への搬送力を受ける。
【0058】
このとき、トナーは薄膜部材415と規制板414との先端部とで形成されるくさび状の取込み部416に取り込まれ、規制板414の圧接部に達すると、薄膜部材415の表面に薄膜状に均一に塗布された状態になると共に、摩擦帯電される。このように薄膜部材415上に保持されたトナーは、現像スリーブ411の回転に従動する薄膜部材415の回転に従って感光体ドラム31と対向する現像領域に搬送される。
【0059】
前記トナーの搬送と同時に、直流成分からなる現像バイアス電圧が電源421から現像スリーブ411に印加される。現像領域において、感光体ドラム31の表面電位と現像バイアス電圧との電位差に基づき、薄膜部材415の外周面に保持されているトナーが感光体ドラム31上に形成されている静電潜像に付着し、現像が行われる。
【0060】
ここで、感光体ドラム31の表面と接する薄膜部材415は、空間部417を介して現像スリーブ411と非接触状態にあるため、薄膜部材415は感光体ドラム31にソフトに、しかも適当なニップ幅をもってむらなく接触し、静電潜像を均一に現像する。また、感光体ドラム31の周速度と薄膜部材415の周速度とに速度差を設けた場合には、画像背景部のかぶり除去に効果があり、一旦形成されたトナー像が破壊されることはない。
【0061】
現像領域を通過したトナーは、引き続き薄膜部材415と共に矢印D方向に搬送され、パッド418が圧接することにより現像領域での消費パターンが消去されてトナー薄膜の均一化が図られる。
【0062】
(2成分磁性非接触現像方式、図8参照)
次に、2成分磁性非接触現像方式について、現像器の概略構成と共に説明する。この現像器34は、特開2001−22131号公報に開示されているように、かつ、図8に示すように、磁極N,Sを有するマグネットローラ513を内蔵した現像スリーブ512を現像剤ケーシング510に設けたもので、マグネットローラ513は回転することなく固定されている。現像スリーブ512は、矢印D方向に回転駆動可能であり、現像領域において感光体ドラム31と所定の現像ギャップDsを介して対向している。
【0063】
また、ケーシング510には現像剤514が収容されている。現像剤514は互いに磁性材からなるキャリアとトナーとを混合したもので、トナーはホッパ511から消費量に見合った量が供給される。
【0064】
ケーシング510内の現像剤514はトナーがキャリアの周囲に静電的に吸着した状態であり、送り羽根515の回転によって現像スリーブ512の外周面に供給される。ここで、現像剤514はマグネットローラ513の磁力によって現像スリーブ512の外周面にブラシ状に保持され、かつ、ブレード516にてブラシ長さを規制されて現像領域に搬送される。
【0065】
このような現像剤514の搬送と同時に、交流電圧あるいは交流電圧に直流電圧を重畳させた現像バイアス電圧が電源521から現像スリーブ512に印加される。これにて、現像領域において、トナーが現像バイアス電圧による振動電界を受けて感光体ドラム31上に形成されている静電潜像に付着し、現像が行われる。
【0066】
現像領域を通過した現像剤514は、引き続き現像スリーブ512と共に矢印D方向に搬送され、送り羽根515にて再度攪拌され、かつ、ホッパ511から新たなトナーの補給を受ける。
【0067】
(ブラシ帯電装置と現像方式との関係)
本発明では、帯電ブラシについて改良を行い、従来よりも細い繊維を用いかつ高密度にすることで感光体の均一帯電が可能になり、高品質なカラー画像が得られるようになった。
【0068】
さらに、本発明に係るブラシ帯電装置は、従来、均一帯電が可能な帯電方式(コロナ放電方式)との組み合わせでないと実現できないと考えられていたAC印加非接触現像方式にも用いることができる。
【0069】
非接触現像方式は、現像剤担持体と感光体との間に間隙が存在するため、静電潜像が存在する領域と存在しない領域との境界部で電界が曲がる。この電界の曲がりの影響を受けて画像のエッジ部により多くのトナーが吸着される。このため、微小な静電潜像の再現性や文字の微細なラインの鮮明度が向上する効果がある。また、非磁性トナーは後処理剤の埋め込みが少ないために劣化が少なく、トナーの流動性が変化しにくいので、耐刷時に画像品質を維持できるという利点がある。
【0070】
しかし、AC印加非接触現像方式は、従来では、均一帯電が可能な帯電装置との組み合わせでないと適正な現像条件が得られなかったのである。
【0071】
非接触現像方式では、通常、現像剤担持体上のトナーを感光体へ飛翔させる効率を高めるため、ACバイアス電圧を現像剤担持体に印加する。現像剤担持体に印加するACバイアス電圧の振幅が小さいと濃度むらが生じるため、ある程度以上の電圧が必要である。
【0072】
さらに、図9に斜線で示す現像可能な領域の近辺に画像部リーク、背景部リーク、かぶり発生のボーダラインが存在し、帯電が不均一であると背景部リーク、かぶりの限界ラインが図9において矢印方向に移動するため、現像可能領域が狭くなり、望ましい画像が得られない。従来の帯電ブラシを用いた場合、現像可能領域は図10に斜線で示す範囲になる。
【0073】
ちなみに、図9、図10は、横軸に直流現像バイアス電圧、縦軸に交流現像バイアス電圧をとり、非接触現像方式における現像可能領域を示している。
【0074】
ここで、画像部リークとは、図11に示すように、露光後の感光体の表面電位Viと現像バイアス電圧Vminの電位差が大きくなるため、現像剤担持体の電荷が感光体の画像部(潜像部分)に移動して(つまり感光体が帯電される)画像中に白い斑点が発生する現象をいう。背景部リークとは、現像バイアス電圧Vmaxと感光体帯電後の未露光部分の表面電位(つまり初期帯電電位)Voとの電位差が大きくなるため、感光体の表面電位が除電されて背景部に黒い斑点が発生する現象をいう。また、かぶりとは、帯電電位が低いために画像の背景部が薄黒くなる現象をいう。
【0075】
このような理由から、AC印加非接触現像にブラシ帯電装置を用いる場合は、ブラシ帯電装置の性能を向上させ、より均一な帯電ができるようにする必要がある。また、AC印加非接触現像はAC現像バイアス電圧Vpp(図11参照)を印加するためにトナーから後処理剤の離脱が多く、感光体上にクリーニング残渣が多いという問題点を生じている。そのため、接触帯電方式では帯電部材が汚れやすく、耐刷に伴う均一帯電の維持が困難であった。
【0076】
本発明に係るブラシ帯電装置は初期帯電の均一性を向上させることができることから、AC印加非接触現像にも使用することが可能になった。さらに、ブラシ帯電装置では、トナーから離脱した後処理剤等の汚れがブラシ内部に取り込まれるため、耐刷に伴う帯電性の変化が少ないことが確認された。また、ブラシに多少の汚れが付着しても、感光体に対して周速比を大きく設定すれば帯電むらを抑制させることもできる。こうして、均一帯電を維持させることで、高品質な画像を継続して作成することが可能になった。
【0077】
(実験を行った画像形成方法)
本発明者らは、以下に説明する画像形成方法で実験例1〜21を行い、帯電の均一性及び画質の評価を行った。これらの実験例1〜21は、前記表1に示したブラシ1〜13と以下に説明する各種現像方式A〜Dを組み合わせて行った。
【0078】
(方法A:1成分非磁性非接触現像方式)
図1に示したフルカラーのレーザプリンタに図6に示した現像器を4組取り付けて画像を形成した。画像形成の設定条件を以下に示す。
【0079】
帯電印加電圧:−1100V
帯電ブラシ回転方向:カウンター方向で周速比1〜3又はウィズ方向で周速比2
帯電ブラシ押込み量:0.5mm
現像バイアス電圧(直流成分):−350V
現像バイアス電圧(交流成分):1.5kV
現像ギャップ:0.13mm
感光体ドラム周速度:160mm/sec
【0080】
(方法B:1成分非磁性接触現像方式)
図1に示したフルカラーのレーザプリンタに図7に示した現像器を4組取り付けて画像を形成した。画像形成の設定条件を以下に示す。
【0081】
帯電印加電圧:−1100V
帯電ブラシ回転方向:カウンター方向で周速比2
帯電ブラシ押込み量:0.5mm
現像バイアス電圧(直流成分):−280V
感光体ドラム周速度:100mm/sec
【0082】
(方法C:2成分磁性非接触現像方式)
図1に示したフルカラーのレーザプリンタに図8に示した現像器を4組取り付けて画像を形成した。画像形成の設定条件を以下に示す。
【0083】
帯電印加電圧:−1100V
帯電ブラシ回転方向:カウンター方向で周速比2
帯電ブラシ押込み量:0.5mm
現像バイアス電圧(直流成分):−350V
現像バイアス電圧(交流成分):1.5kV
周波数:3kHz
デューティ比:1:1
波形:矩形波
現像ギャップ:0.4mm
感光体ドラム周速度:300mm/sec
【0084】
(方法D:1成分非磁性非接触現像方式)
図1に示したフルカラーのレーザプリンタに図6に示した現像器を4組取り付けて画像を形成した。画像形成の設定条件を以下に示す。
【0085】
帯電電圧(直流成分):−600V
帯電電圧(交流成分):1.2kV
周波数:1.5kHz
デューティ比:1:1
波形:sin波
帯電ブラシ回転方向:カウンター方向で周速比2
帯電ブラシ押込み量:0.5mm
現像バイアス電圧(直流成分):−350V
現像バイアス電圧(交流成分):1.5kV
現像ギャップ:0.13mm
感光体ドラム周速度:160mm/sec
【0086】
(実験例ごとの評価)
以下の表2に示す実験例1〜19は、前記表1に示したブラシ1〜13と前記画像形成方法A〜Cをそれぞれ組み合わせ、25℃、50%RHの環境下で画像を形成した。
【0087】
【表2】
【0088】
表2において、帯電均一性の評価は、黒/白比5%のモノクロ画像を1000枚出力後に、高精細カラーデジタル標準画像SCIDを出力し、目視観察で以下の判断を行い、◎及び○を合格とした。
◎:画像品質が優れている
○:画像品質が少し劣るが、実用上問題がない
×:画像品質が著しく劣り、実用上問題がある
【0089】
また、ハーフトーンの白筋は、黒/白比5%のモノクロ画像を1000枚出力後に、2×2ドットのハーフトーン画像を出力し、目視観察で以下の判断を行い、◎及び○を合格とした。
◎:白筋は見られない
○:白筋は極僅かに見られるが、実用上問題がない
×:白筋が見られ、実用上問題がある
【0090】
以下の表3に示す実験例20,21は、前記表1に示したブラシ1と前記画像形成方法A,Dをそれぞれ組み合わせ、25℃、50%RHの環境下で画像を形成した。
【0091】
【表3】
【0092】
表3において、耐刷の評価は、黒/白比5%のモノクロ画像を連続して出力すると共に、5000枚ごとに出力した高精細カラーデジタル標準画像SCIDを目視観察し、以下の判断を行った。
○:画像品質に実用上問題がない
×:画像品質が著しく劣り、実用上問題がある
【0093】
(他の実施形態)
なお、本発明に係るブラシ帯電装置及び画像形成装置は前記実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態であるフルカラーのレーザプリンタを示す概略構成図である。
【図2】本発明に係るブラシ帯電装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】前記ブラシ帯電装置の縦断面図である。
【図4】前記ブラシ帯電装置の横断面図である。
【図5】前記ブラシ帯電装置における繊維の太さと長さの相関関係を示すグラフである。
【図6】1成分非磁性非接触現像方式に使用される現像器を示す断面図である。
【図7】1成分非磁性接触現像方式に使用される現像器を示す断面図である。
【図8】2成分磁性非接触現像方式に使用される現像器を示す断面図である。
【図9】本発明に係るブラシ帯電装置を用いた場合の現像可能領域を示すグラフである。
【図10】従来のブラシ帯電装置を用いた場合の現像可能領域を示すグラフである。
【図11】現像領域において作用する電界を示すチャート図である。
【符号の説明】
31…感光体ドラム
34…現像器
32…ブラシ帯電装置
211…現像ローラ
221,421,521…現像バイアス電圧用電源
301…導電性支持体
302…帯電ブラシ
321…帯電電圧用電源
411,512…現像スリーブ
Claims (5)
- 被帯電体を帯電させるための帯電部材が導電性支持体の外周面に多数の導電性繊維をブラシ状に設けたローラ体からなり、
前記導電性繊維の太さDが1.5〜4デニール、長さLが2mm以上、植毛密度が150000フィラメント/inch2以上であり、
前記導電性繊維の太さDと長さLとの関係が下式を満たすこと、
D≧0.71L−1.61
を特徴とするブラシ帯電装置。 - 前記導電性繊維の植毛密度が250000フィラメント/inch2以上であることを特徴とする請求項1に記載のブラシ帯電装置。
- 前記帯電部材は前記被帯電体の移動方向に対して対向する方向に回転駆動され、被帯電体の移動速度に対する帯電部材の移動速度の比が1.5〜3であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブラシ帯電装置。
- 請求項1、請求項2又は請求項3に記載のブラシ帯電装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
- 直流成分に交流成分が重畳された現像バイアス電圧の印加により、現像剤担持体上のトナーを潜像担持体上に飛翔させ、該潜像担持体上に形成されている静電潜像を現像する画像形成装置において、
前記潜像担持体を帯電させる帯電部材が導電性支持体の外周面に多数の導電性繊維をブラシ状に設けたローラ体からなり、前記導電性繊維の太さが1.5〜4デニール、植毛密度が150000フィラメント/inch2以上であり、
前記帯電部材には直流電圧が印加されること、
を特徴とする画像形成装置。
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