上記のように、金属製の現像ローラと、金属製のプレート5aに貼り付けたゴム部材5bからなるトナー層規制ブレードとを用いた場合、トナー層規制ブレード5通過後のトナー層にスジが生じやすい。ここで、トナー層規制ブレード5の押し圧を上げるとトナー層の均一性は良くなることがわかっている。しかしながら、トナー層規制ブレード5の押し圧を上げると、トナーに働くストレスが強くなり、トナーの外添剤の脱離や埋め込みが起こり、トナーの帯電性能が変化したり凝集が起こったりしやすくなる。
特許文献1の現像装置では、上記のように現像ローラとトナー層規制ブレードとの間でトナーを往復運動させることで、トナー層の均一化を図っている。しかし、トナー層規制ブレードと現像ローラとの間隔が小さいため、トナー層規制ブレードと現像ローラとの間で現像ローラの面方向にはトナーが移動できるものの、現像ローラの軸方向にはほとんど移動することができない。従って、現像ローラ上のトナー層にスジが生じるような場合、それを改善する効果はほとんど期待できない。トナー層にスジが生じると、感光体と現像ローラが対向する現像領域における現像性能が低下する。
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、トナー層規制ブレードの押し圧を上げることなく、現像ローラ上のトナー層の均一性を向上させることができ、低ストレスで現像領域に運ばれるトナー層を均一にする性能に優れた現像装置および画像形成装置を提供することである。
本発明に係る現像装置は、上述した課題を解決するために、静電潜像担持体と対向し回転可能に設けられ、表面に保持した一成分現像剤を前記静電潜像担持体と対向する現像領域に搬送して前記静電潜像担持体に供給する現像ローラと、前記現像ローラと対向して設けられ、前記現像ローラ表面の一成分現像剤の層厚を一定にする規制部材と、を備えた現像装置において、前記規制部材よりも前記現像ローラの一成分現像剤搬送方向の下流、かつ、前記現像領域よりも前記現像ローラの一成分現像剤搬送方向の上流の位置にて、前記現像ローラに対向して設けられる電極部材と、前記電極部材と前記現像ローラとの間に交流成分を有する電圧を印加する電圧印加手段と、を備え、前記電極部材と前記現像ローラとが対向する位置での両者の間隙は、前記規制部材と前記現像ローラとが対向する位置での両者の間隙よりも大きく設けられている、ことを特徴としている。
上記構成によると、規制部材よりも現像ローラの一成分現像剤搬送方向の下流、かつ、現像領域よりも現像ローラの一成分現像剤搬送方向の上流の位置に、現像ローラに対向して、電極部材が設けられており、電圧印加手段により、この電極部材と現像ローラとの間に交流成分を有する電圧が印加される。この電圧印加により、電極部材と現像ローラとの間に交番電界が発生する。そのため、電極部材と現像ローラとの間でトナーを往復運動(飛翔、移動)させることができる。
さらに、電極部材と現像ローラとが対向する位置での両者の間隙は、規制部材と現像ローラとが対向する位置での両者の間隙よりも大きく設けられている。従来は、規制部材と現像ローラとの間では、一成分現像剤を、現像ローラの回転軸方向(水平方向)に移動させることが困難であったが、上記構成では、電極部材と現像ローラとの間で、一成分現像剤を現像ローラの回転軸方向にも往復運動させることができる。
よって、電極部材と現像ローラとの間で一成分現像剤を効果的に飛翔(往復運動、移動)させて、現像ローラ上の一成分現像剤の層を均一化できる。そのため、規制部材を通過した一成分現像剤の層にスジが発生していても、電極部材と現像ローラとの間を通過させることで、このスジを解消でき、現像ローラ上の一成分現像剤の層を均一化できる。
以上から、電極部材を通過後の、電極部材よりも現像ローラの一成分現像剤搬送方向の下流にある現像領域における一成分現像剤の層には、スジが無い状態を作ることができる。従って、本発明に係る現像装置は、低ストレスで現像領域に運ばれる一成分現像剤の層を均一にする性能に優れており、高性能の現像を行える。
本発明に係る現像装置では、上記構成に加え、前記電極部材は、電極パターンを備えており、当該電極パターンは、前記電圧印加によって前記現像ローラと前記電極部材との間に発生する電界に、前記現像ローラの回転軸方向の成分を生じさせてもよい。
上記構成によると、電極パターンにより、現像ローラの回転軸方向にも電界が印加されることにより、さらに、一成分現像剤が現像ローラと電極部材の間を往復運動しながら、現像ローラの回転軸方向に移動するので、軸方向の一成分現像剤層の均一性をより向上させることができる。
本発明に係る現像装置では、上記構成に加え、前記電極部材は、表面に前記電極パターンが形成された回転体を有し、前記電極パターンは、前記回転体の軸方向に対して所定の角度を有したライン状に設けられていてもよい。
上記構成によると、回転体の軸方向に対して所定の角度を有したライン状に設けられた電極パターンにより、現像ローラの回転軸方向の電界が発生し、この回転軸方向に一成分現像剤が移動する。ここで、回転軸方向の電界の強弱が場所固定であると、その電界に応じて一成分現像剤が不均一な場所が生じる。しかし、上記構成では、電極部材が回転体を有しているため、この回転体を回転させて、電界の強弱が場所によって固定されないようにすることで、一成分現像剤が不均一になることを避けることができる。
よって、上記構成によると、現像ローラの回転軸方向の電界による一成分現像剤の移動に伴い一成分現像剤が不均一になる場所の発生を防ぎながら、一成分現像剤の層の均一性を上げることができる。
本発明に係る現像装置では、上記構成に加え、前記回転体として金属ローラが用いられ、前記電極部材は、当該金属ローラの表面に、当該金属ローラの軸方向に対して所定の角度を有するようにライン状の絶縁材が埋め込まれ、隣り合う当該絶縁材間が前記電極パターンとして形成されていてもよい。
上記構成によると、回転体として金属ローラを用いて、この金属ローラの表面には、金属ローラの軸方向に対して所定の角度を有するようにライン状の絶縁材が埋め込まれている。そして、回転体の表面の絶縁材で埋め込まれていない箇所、つまり、隣り合う当該絶縁材間が電極パターンとなる。このように、金属ローラをベースにした電極部材とすることにより、抵抗値が小さく、耐久性が高い構成とすることができる。
本発明に係る現像装置では、上記構成に加え、前記電極部材は、表面に前記電極パターンとして第1電極パターンと第2電極パターンとが形成された平板を有し、
前記電圧印加手段は、前記第1電極パターンに第1電圧を印加している間に前記第2電極パターンに第2電圧を印加する第1期間と、前記第1電極パターンに前記第2電圧を印加している間に前記第2電極パターンに第1電圧を印加する第2期間とを、一定間隔で交互に繰り返して、前記電極パターンに電圧を印加してもよい。
上記構成によると、電極部材の平板表面の第1電極パターンと第2電極パターンに、第1電圧と第2電圧とを、一定間隔で交互に印加することにより、現像ローラの回転軸方向の電界が発生して、この回転軸方向に一成分現像剤が移動する。ここで、回転軸方向の電界の強弱が場所固定であると、その電界に応じて一成分現像剤が不均一な場所が生じる。しかし、上記構成では、2種類の電極パターンに印加する電圧を一定時間間隔で入れ替えることによって、現像ローラの回転軸方向の電界による一成分現像剤の移動に伴い一成分現像剤が不均一になる場所の発生を防ぎながら、一成分現像剤の層の均一性を上げることができる。
本発明に係る現像装置では、上記構成に加え、前記第1電圧は交番電圧であり、前記第2電圧は直流電圧であってもよい。
上記構成によると、第1電極パターンと第2電極パターンの一方に交番電圧、他方に直流電圧が、交互に印加されることになる。よって、第1電極パターンと第2電極パターンの間に水平方向(電極部材の表面方向)の電界が生じる。そのため、水平方向に一成分現像剤を移動させ、トナー層のさらなる均一化を図ることができる。
本発明に係る現像装置では、上記構成に加え、前記第1電圧と前記第2電圧とは、ピーク・ツー・ピーク電圧が異なる2つの交番電圧であってもよい。
上記構成によると、第1電極パターンと第2電極パターンとの一方にピーク・ツー・ピーク電圧の大きい交番電圧、他方にピーク・ツー・ピーク電圧の小きい交番電圧が印加されるため、2第1電極パターンと第2電極パターンとの間に水平方向(電極部材の表面方向)の電界が生じる。よって、水平方向に一成分現像剤を移動させ、トナー層のさらなる均一化を図ることができる。
本発明に係る現像装置では、上記構成に加え、前記電圧印加手段は、前記第1電極パターンおよび前記第2電極パターンにおける前記第1電圧と前記第2電圧との切り替えタイミングでの印加電圧の電位が、前記一成分現像剤が前記電極部材から前記現像ローラに移動する電位となるように、前記電極パターンに電圧を印加してもよい。
上記構成によると、前記電圧印加手段が、上記のように電圧を印加することで、一成分現像剤が電極部材と現像ローラとの間を飛翔した後、現像ローラに戻るようにすることができる。このことにより、電極部材に一成分現像剤が付着することを抑えることができる。
本発明に係る現像装置では、上記構成に加え、前記現像ローラに直流電圧を印加する現像電圧印加手段を備え、前記電圧印加手段は、前記電極部材に交番電圧を重畳させた直流電圧を印加し、前記現像ローラに印加される直流電圧の電位と前記電極部材に印加される直流電圧の電位とには、前記一成分現像剤が前記現像ローラへ移動する電位差が設けられていてもよい。
上記構成によると、現像ローラに印加される直流電圧の電位と電極部材に印加される直流電圧の電位とに、一成分現像剤が現像ローラへ移動する電位差を設けることで、現像ローラと電極部材の間を飛翔する一成分現像剤が、最終的に現像ローラに戻るように設定することができる。これにより、電極部材に一成分現像剤が付着して一成分現像剤が詰まる要因になることを、防止することができる。
本発明に係る現像装置は、上記構成に加え、DC現像方式にて現像を行ってもよい。
DC現像方式で現像を行う現像装置の場合は、現像領域前のトナー層の不均一がそのまま現像したトナー像に反映される。よって、本発明に係る現像装置は、DC現像方式で現像を行う現像装置に特に有用である。なお、本発明に係る現像装置を、AC現像方式で現像を行う現像装置に用いてももちろん構わない。
本発明に係る現像装置では、上記構成に加え、前記電圧印加手段は、前記電極部材に交番電圧を重畳させた直流電圧を印加するようになっており、下記式を満たしてもよい。
|1/2×Vpp±ΔV|×|q/m| > 8d2f2
式中、dは、前記現像ローラと前記電極部材との間隙(m)、q/mは、前記一成分現像剤の単位重量当りの帯電量(C/kg)、fは、前記電極部材と前記現像ローラとの間に印加される交番電圧の周波数(Hz)、Vppは、前記電極部材と前記現像ローラとの間に印加される交番電圧のピーク・ツー・ピーク電圧(V)、ΔVは、前記電極部材に印加される直流電圧と前記現像ローラに印加される直流電圧との差(V)である。
上記構成によると、電極部材と現像ローラとの間で一成分現像剤のが活発に往復運動し、それに伴い、現像ローラの回転軸方向に移動する一成分現像剤も増えるので、一成分現像剤の層の均一化効果がより増大する。
本発明に係る画像形成装置は、上述した課題を解決するために、いずれか1つに記載の現像装置を備えることを特徴としている。
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る現像装置を備えることで、上記した効果を奏し、高画質の画像形成を行うことができる。
本発明に係る現像装置は、以上のように、前記規制部材よりも前記現像ローラの一成分現像剤搬送方向の下流、かつ、前記現像領域よりも前記現像ローラの一成分現像剤搬送方向の上流の位置にて、前記現像ローラに対向して設けられる電極部材と、前記電極部材と前記現像ローラとの間に交流成分を有する電圧を印加する電圧印加手段と、を備え、前記電極部材と前記現像ローラとが対向する位置での両者の間隙は、前記規制部材と前記現像ローラとが対向する位置での両者の間隙よりも大きく設けられている。
上記構成によると、規制部材よりも現像ローラの一成分現像剤搬送方向の下流、かつ、現像領域よりも現像ローラの一成分現像剤搬送方向の上流の位置に、現像ローラに対向して、電極部材が設けられており、電圧印加手段により、この電極部材と現像ローラとの間に交流成分を有する電圧が印加される。この電圧印加により、電極部材と現像ローラとの間に交番電界が発生する。そのため、電極部材と現像ローラとの間でトナーを往復運動させることができる。
さらに、電極部材と現像ローラとが対向する位置での両者の間隙は、規制部材と現像ローラとが対向する位置での両者の間隙よりも大きく設けられている。従来は、規制部材と現像ローラとの間では、一成分現像剤を、現像ローラの軸方向に移動させることが困難であったが、上記構成では、電極部材と現像ローラとの間で、一成分現像剤を現像ローラの軸方向にも往復運動させることができる。
よって、電極部材と現像ローラとの間で一成分現像剤を効果的に飛翔(往復運動、移動)させて、現像ローラ上の一成分現像剤の層を均一化できる。そのため、規制部材を通過した一成分現像剤の層にスジが発生していても、電極部材と現像ローラとの間を通過させることで、このスジを解消でき、現像ローラ上の一成分現像剤の層を均一化できる。
以上から、電極部材を通過後の、電極部材よりも現像ローラの一成分現像剤搬送方向の下流にある現像領域における一成分現像剤の層には、スジが無い状態を作ることができる。従って、本発明に係る現像装置は、低ストレスで現像領域に運ばれる一成分現像剤の層を均一にする性能に優れており、高性能の現像を行える。
以下に図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の参照符号を付して重複説明を省略する。
〔実施の形態1〕
(画像形成装置)
まず、本発明に係る画像形成装置の実施形態の構成について説明する。図2は、本発明の一実施形態である画像形成装置100の構成を示す概略図である。なお、図2は、画像形成装置100の主な構成要素を中心に簡略化して描写した一例である。
画像形成装置100は、静電潜像担持体となる感光体51を複数備えており、本実施の形態では、イエロー画像用、マゼンタ画像用、シアン画像用、および黒色画像用の4つを備えるカラー画像を形成可能なタンデム方式のカラー画像形成装置である。画像形成装置100は、ネットワークを介して接続されたPC(Personal Computer)等の各種端末装置から送信される画像データや、スキャナ等の原稿読み取り装置によって読み取られた画像データに基づいて、被転写材(記録媒体)となる用紙Pに対して、カラー画像またはモノクロ画像を形成する印刷機能を有する装置である。ただし、本発明の適用対象はこのような画像形成装置に限るものではなく、一成分現像剤を使用する現像装置を備えた画像形成装置であれば適用することができる。
画像形成装置100は、図2に示すように、用紙Pにトナー画像を形成する機能を有する画像形成ステーション部50(50Y、50M、50C、50B)、画像形成ステーション部50で用紙Pに形成されたトナー像を定着させる機能を有する定着装置40、用紙Pを載置する供給トレイ60から画像形成ステーション部50および定着装置40へと用紙Pを搬送する機能を有する搬送部30を備えている。
画像形成ステーション部50は、イエロー画像用、マゼンタ画像用、シアン画像用および黒色画像用の4つの画像形成ステーション50Y、50M、50C、50Bから構成されている。具体的には、供給トレイ60と定着装置40との間において、供給トレイ60側から、イエロー画像形成ステーション50Y、マゼンタ画像形成ステーション50M、シアン画像形成ステーション50C、および黒色画像形成ステーション50Bがこの順に配置されている。
各色の画像形成ステーション50Y、50M、50C、50Bは、それぞれ、トナーの種類以外は、実質的に同一の構成を有しており、各色に対応する画像データに基づいて、イエロー、マゼンタ、シアン、および黒色のトナー画像を形成して、最終的に用紙P上に転写するものである。
本実施の形態の画像形成ステーション部50は、イエロー、マゼンタ、シアン、および黒色の4色の画像を形成する構成であるが、特にこれら4色に限定することはない。例えば、シアンおよびマゼンタと同一の色相で濃度がより低いライトシアン(LC)およびライトマゼンタ(Lm)を加えた6色のトナー画像を形成する構成であってもよい。
なお、図2における各画像形成ステーションの構成部材の参照符号については、イエロー画像用の画像形成ステーション50Yを代表として記載し、他の各画像形成ステーション50M、50C、50Bの構成部品の参照符号は、省略している。
各画像形成ステーション50Y、50M、50C、50Bは、それぞれ、静電潜像が形成される潜像担持体となる感光体51を備えている。そして、これらの感光体51の周囲には、周方向に帯電装置52、露光装置53、現像装置1、転写ローラ55、およびクリーニング装置56がそれぞれ配置されている。
感光体51は、本実施の形態では、OPC(Organic Photoconductor;有機光導電体)等の感光性材料を表面に有する略円筒のドラム形状を呈している。感光体51は、図示しない駆動手段と制御手段とによって、所定方向(図中矢印F方向)に回転駆動するよう制御されている。
帯電装置52は、感光体51の表面を所定の電位に均一に帯電する機能を有し、感光体51の上方でその外周面に近接して配置されている。本実施の形態では、接触ローラ型の帯電器が使用されているが、接触ブラシ型の帯電器、或いは非接触の帯電器などを用いてもよい。あるいは、イオン放出帯電方式等の帯電装置を用いてもよい。
露光装置53は、図示しない画像処理部から出力された画像データに応じて、帯電装置52にて帯電された感光体51の表面を露光することにより、感光体51表面に静電潜像を書き込む機能を有する。露光装置53は、各画像形成ステーション50Y、50M、50C、50Bに応じて、イエロー、マゼンタ、シアン、または黒色にそれぞれ対応する画像データが入力されることにより、対応する色に応じた静電潜像をそれぞれ形成する。露光装置53としては、レーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)や、ELやLED等の発光素子をアレイ状に並べた書込み装置(例えば、書込みヘッド)を使用することができる。
現像装置1は、現像剤としてトナー(一成分現像剤)を使用する、いわゆる一成分現像装置であり、露光装置53によって感光体51表面に形成された静電潜像を現像してトナー像(可視像)を形成する。現像装置1の詳細は後述するが、現像装置1は、トナーを収容する現像槽2と、トナーを担持する現像剤担持体となる現像ローラ3とを有している。現像ローラ3は、その表面にトナーを担持し、現像ローラ3と感光体51とが近接し、トナーが感光体51へと移動する現像領域へと、トナーを搬送する。
現像槽2には、各画像形成ステーション50Y、50M、50C、50Bの画像形成に応じて、イエロー、マゼンタ、シアン、または黒色のトナーが収容されている。これらのトナーは、帯電された感光体51の表面電位と同極性に帯電されている。なお、感光体51の表面電位の極性および使用するトナーの帯電極性は、正負を問わないが、本実施の形態では負(マイナス)とする。
転写ローラ55は、感光体51上に形成されたトナー像を、搬送ベルト33にて搬送される用紙P表面に転写するものである。転写ローラ55には、トナーの帯電極性とは、逆極性(本実施の形態では、正(プラス)極性)のバイアス電圧が印加される。
クリーニング装置56は、用紙Pへのトナー画像転写後に、感光体51の表面に残存しているトナーを除去および回収する装置である。本実施の形態では、クリーニング装置56は、感光体51を挟んで現像装置1と略対向する位置で、かつ感光体51の側方に配置されている。
搬送部30は、駆動ローラ31、従動ローラ32、および搬送ベルト33を備え、各画像形成ステーション50Y、50M、50C、50Bにおいて、各色のトナー像が転写される用紙Pを搬送する。搬送部30は、無端状の搬送ベルト33が駆動ローラ31と従動ローラ32との間に張架された構成となっており、供給トレイ60から給紙された用紙Pを各画像形成ステーション50Y、50M、50C、50Bへと順に搬送する。
定着装置40は、加熱ローラ41および加圧ローラ42を備え、これらは圧接されている。加熱ローラ41と加圧ローラ42とが当接する定着ニップ部に用紙Pを搬送することで、用紙P上に転写されたトナー像を熱圧着して用紙Pに定着させる。
このように構成された画像形成装置100では、搬送部30によって搬送される用紙Pは、各画像形成ステーション50Y、50M、50C、50Bの感光体51との対向位置を通過する際に、それら対向位置において、搬送ベルト33を介して下方に配置された転写ローラ55による転写電界の作用にて、各感光体51上のトナー像が順次用紙P上に転写される。これによって、各色のトナー像が用紙P上に重なり合うように転写され、用紙P上に所望のフルカラーのトナー像が形成される。こうしてトナー像が転写された用紙Pは、定着装置40によってトナー像の定着処理が行われた後に、図示しない排紙トレイに送出される。
(現像装置)
次に、現像装置1の構成について説明する。図1は、図2に示す画像形成装置100の画像形成ステーション部50が備える現像装置1の構成を示す概略図である。
現像装置1は、トナーを収容する現像槽2と、トナーを担持する現像ローラ3と、現像ローラ3にトナーを供給する供給ローラ4と、現像ローラ3表面のトナーの層厚を一定にするトナー層規制ブレード(規制部材)5と、を備えている。さらに、現像装置1は、現像ローラ3表面のトナーを均一化するために、電極部材6を備えている。現像装置1は、現像ローラ3によって感光体51表面にトナーを供給して、感光体51の表面に形成された静電潜像を顕像化する(現像する)装置である。
現像ローラ3は、現像槽2内で、感光体51と対向して配置されており、回転可能に設けられている。現像ローラ3は、表面に保持したトナーを感光体51と対向する現像領域に搬送して感光体51に供給する。現像領域における現像ローラ3表面と感光体51表面との間隔である現像ギャップは、図示しないギャップ保持部材にて、150〜500μmに保たれている。
現像ローラ3は、本実施の形態では、アルミニウム製でφ16mmであり、中心軸シャフトφ7mm、肉厚1mm、表面粗さRa0.3〜0.6μmにて形成されている。
供給ローラ4は、その軸方向と現像ローラ3の軸方向とが水平になるように配置されている。供給ローラ4は、現像ローラ3とニップ部で接触している。
また、現像ローラ3には、現像バイアス電源部(現像電圧印加手段)8に接続しており、現像バイアス電源部8により、直流のバイアス電圧が印加される。この現像ローラ3に印加された電圧と、感光体51上の潜像電位に応じて感光体51で現像が行われ潜像が可視化される(DC現像方式)。なお、本実施の形態では、直流のバイアス電圧を印加するが、直流成分に交流成分を重畳したバイアス電圧を現像ローラ3に印加しても構わない。
供給ローラ4は、本実施の形態では、ENDURまたはウレタンゴム製で、アスカC硬度2〜15度のスポンジ状であり、外径φ16.6mm、シャフト径φ7mmでスポンジ層の厚み4.8mmにて形成されている。また、供給ローラ4と現像ローラ3とのニップ部における食い込み量は0.5mmである。なお、上記の現像ローラ3、供給ローラ4についての材料や数値は単なる例示であり、限定されない。
現像ローラ3と供給ローラ4とは、回転方向が同じであり、感光体51の回転方向に対しては、回転方向が逆に設定されている。
また、供給ローラ4には、図示しない供給バイアス電源によりバイアス電圧が印加される。供給ローラ4には、現像ローラ3と同じバイアス電圧を印加する場合と、供給ローラ4から現像ローラ3にトナーが移行しやすいように50Vから200V程度の直流電位差を設けて印加する場合とがあるが、いずれであってもよい。供給ローラ4への電圧印加は、トナーへの予備帯電及びトナーを現像ローラ3の方へ移行させるために行われる。
トナー層規制ブレード5は、現像ローラ3の軸方向の幅とほぼ同じ幅の、プレート5aとゴム部材5bとを備えている。プレート5aは、本実施の形態では、リン青銅またはSUS製で厚さ0.1mmで長さ35mmに設けられている。プレート5aの先端に設けられたゴム部材5bは、本実施の形態では、厚さ1.0mm、長さ10mmのJIS-A硬度20〜75のウレタンゴムで形成されている。さらにゴム部材5bは、導電性カーボンブラックまたはイオン導電剤の添加により、102〜106Ωcmに調整されている。また、トナー層規制ブレード5による現像ローラへの線圧は5〜50g/cm範囲で調整される。これら材料や数値は単なる例示であり、限定されない。
現像ローラ3とトナー層規制ブレード5とには同じバイアス電圧を印加することが多い。本実の施形態でも、現像ローラ3とトナー層規制ブレード5とには、同じバイアス電圧を印加するものとする。このよう同じバイアス電圧を印加するのは、トナー層規制ブレード5と現像ローラ3との間に電界を発生させないようにするためである。もし、トナー層規制ブレード5をグラウンドにしていると、現像ローラ3からトナー層規制ブレード5にトナーが移行するため、トナー層規制ブレード5にトナーが付着した状態になり、トナー層を規制するのに支障をきたすことになる。現像ローラ3とトナー層規制ブレード5とに同じバイアス電圧を印加することで、この不具合を防ぐことができる。
なお、現像装置1は、図示していないが、現像槽2内でトナーを撹拌し供給ローラ4までトナーを搬送する撹拌ローラや、現像槽2上部にトナーホッパー等を有している。これらについては、説明を省略する。
本実施の形態のトナーは、平均体積粒径9μmのポリエステルトナーであり、外添材であるシリカが3.0wt%、酸化チタンが0.75wt、それぞれ添加されて形成されている。本実施の形態では、負帯電トナーである。
撹拌ローラで攪拌されて供給ローラ4に搬送されたトナーは、現像ローラ3と供給ローラ4とのニップ部で摺擦され帯電量が付与され、現像ローラ3へくみ上げられ、現像ローラ3にはトナー層が形成される。次に、現像ローラ3で搬送されるトナー(トナー層)は、トナー層規制ブレード5のゴム部材5bを通過するが、その際に、トナー層規制ブレード5からの圧力で層の厚みが規制されると同時に、摩擦により再度帯電される。
ここで、現像装置1は、現像ローラ3表面のトナーを均一化するために、電極部材6を備えている。電極部材6は、本実施の形態ではローラ形状であり、図1に示すように、トナー層規制ブレード5よりも現像ローラ3のトナー搬送方向の下流、かつ、現像領域よりも現像ローラ3のトナー搬送方向の上流の位置にて、現像ローラ3に対向して設けられている。そして、電極部材6は、電源部(電圧印加手段)9に接続されており、電源部9により、電極部材6と現像ローラ3との間に、交流成分を有する電圧が印加される。
このように、電極部材6と現像ローラ3との間に交流成分を有する電圧が印加されることで、電極部材6と現像ローラ3との間に交番電界が発生し、電極部材と現像ローラとの間でトナーを飛翔(往復運動)させることができる。
さらに、電極部材6と現像ローラ3とが対向する位置での両者の間隙は、トナー層規制ブレード5と現像ローラ3とが対向する位置での両者の間隙よりも大きく設けられている。
ここで、従来は、トナー層規制ブレード5と現像ローラ3との間では、トナーを現像ローラ3の回転軸方向に移動させることが困難であった。しかし、本実施の形態では、上記のように、電極部材6と現像ローラ3とが対向する位置での両者の間隙は、トナー層規制ブレード5と現像ローラ3とが対向する位置での両者の間隙よりも大きく設けられているので、電極部材6と現像ローラ3との間で、トナーを現像ローラ3の回転軸方向にも往復運動させることができる。
よって、現像装置1では、電極部材6と現像ローラ3との間でトナーを効果的に飛翔(往復運動、移動)させて、現像ローラ上の一成分現像剤の層を均一化できる。そのため、トナー層規制ブレード5を通過したトナー層にスジが発生していても、電極部材6と現像ローラ3との間を通過させることで、このスジを解消でき、現像ローラ3上のトナー層を均一化できる。
以上から、電極部材6を通過後の、現像領域におけるトナー層には、スジが無い状態を作ることができる。従って、現像装置1は、低ストレスで現像領域に運ばれるトナー層を均一にする性能に優れており、高性能の現像を行える。よって、画像形成装置100は、高画質の画像形成を行うことができる。
次に、電極部材6の構成を、図3(a)を用いて説明する。本実施の形態では、図3に示すように、電極部材6は、回転体6cとその表面に形成された電極パターン6aとを備えている。
電極パターン6aは、回転体6cの軸方向に対して角度を有したライン状に形成されている。この形状を説明するために、電極部材6表面を平面に展開した図を、図3(b)に示す。
電極部材6の軸方向に対して垂直な断面は図4に示すように、回転体6cである金属ローラ(金属部)の表面にライン状の絶縁部(絶縁材)6bを埋め込んだ形状を用いることができる。回転体6cの表面の絶縁部6bで埋め込まれていない箇所、つまり、隣り合う当該絶縁部6b間が電極パターン6aとなっている。回転体6cである金属ローラには、アルミやステンレスを用いることができ、絶縁部6bには、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂などを用いることができる。このように、金属ローラをベースにした電極部材6とすることにより、抵抗値が小さく、耐久性が高い構成とすることができる。
上記の電極部材6表面に設けられた、回転体6cの軸方向に対して角度を有したライン状に形成された電極パターン6aにより、現像ローラ3の回転軸方向(回転体6cの軸方向と同じ)の電界が発生するので、回転軸方向にトナーが移動する。ここで、回転軸方向の電界の強弱が場所固定であると、その電界に応じてトナー層が不均一な場所が生じる。しかし、この電極部材6を回転させて、電界の強弱が場所によって固定されないようにすることで、不均一性を避けることができる。よって、本実施の形態では、電極部材6は、図示しない駆動部及び制御部により、その表面速度が、現像ローラ3の表面速度よりも速い速度で回転させる。
このように電極部材6を回転させることによって、現像ローラ3の軸方向の電界によるトナー移動に伴う不均一になる場所の発生を防ぎながら、トナー層の均一性を上げることができる。
電極部材6と現像ローラ3との間には交流成分を有する電圧が印加される。本実施の形態では、電源部9から、次のように電極部材6に交番電圧を重畳した直流電圧を印加することで、電極部材6と現像ローラ3との間に交流成分を有する電圧が印加される。
電極部材6に印加される電圧は、帯電されたトナーに対して現像ローラ3から電極部材6に向かう方向の力を及ぼし得る電位V2と、電極部材6から現像ローラ3に向かう方向の力を及ぼし得る電位V1とが交互に切り替わる交番電圧である。負帯電のトナーを使用している場合の電極部材6電位の関係は、およそ図5(a)に示すような値になる。この場合、現像ローラ3に印加される直流電圧を−800V、電極部材6に印加される直流電圧を−1000V、交流成分は、ピーク・ツー・ピーク(peak to peak)電圧で2000V、周波数は1kHzとしている。また、電極部材6に印加される直流電圧は、現像ローラに印加される直流電圧と比べてΔV(−200V)高い電位になっている。この直流電圧の電位差は、トナーが現像ローラ3と電極部材6との間を往復運動した後、最終的に現像ローラ3側に戻るために与えている。なお、現像ローラ3の電位を基準にした場合の電極部材6電位は、図5(b)に示すようになる。
次に、図6(a),(b)を用いて、電極部材6と現像ローラ3との間にかかる電界について説明する。図6(a)に示すように、電極部材6には、回転体6cの回転方向に絶縁部6bと電極パターン6a(電圧印加部)が交互に配置されるために、局所的に見ると、電極部材6と現像ローラ3との間での表面に対して垂直方向(中心軸から中心軸への方向)の電界だけでなく、電極部材6の回転方向の電界成分も生じる。
ここで、電極パターン6aが、回転体6cの軸方向に対して角度を有していない場合(電極パターン6aが回転体6cの軸方向と平行である場合)は、電極部材6の軸方向の電界成分は生じない。電極パターン6aを、回転体6cの軸方向に対して角度を有したライン状に形成しておけば、図6(b)に示すように、電極部材6と現像ローラ3との間での垂直方向と、電極部材6の回転方向とに加え、電極部材6の軸方向にも電界が発生する。
電極部材6と現像ローラ3との間に、軸方向に働く電界成分があれば、電極部材6と現像ローラ3との間を飛翔するトナーは、軸方向にも移動する。そのため、トナーが多い部分は多く移動し、トナーが少ない部分は少なく移動するために、トナー層の均一性は向上する。
次に、電極部材6と現像ローラ3との間に印加する交流電圧について考える。現像ローラ3から離れたトナーの現像ローラ3表面に対する垂直方向の運動方程式は、電界の力が中心と考えると、下記の式(1)のようになる。
ma=qV/d ・・・(1)
ただし、m:トナー重量
q:トナー電荷
d:現像ローラと電極部材との間隙(表面間の距離)
a:加速度
V:現像ローラと電極部材との間の交流電圧
である。
交流電圧の半周期でのトナーの移動距離をLとすると以下の式(2)が成り立つ。
L=1/2×a×(1/2f)2 ・・・(2)
式(1)及び式(2)より、
L=1/8×q/m×V/d×1/f2 ・・・(3)
となる。
現像ローラ3と電極部材6との間でのトナーの往復運度が活発な方が、トナーの均一化効果が上がるので、交流電圧の半周期ごとに現像ローラ3と電極部材6との間を行き来できればよい。つまり、半周期ごとの移動距離Lが、現像ローラ3と電極部材6との間隙dより大きければよいことになる。つまり、以下の式(4)のようになればよい。
L>d ・・・(4)
この式(4)に式(3)を代入すると、
V×q/m > 8d2f2 ・・・(5)
となる。
トナーの単位重量当たりの帯電量を15μC/g、現像ローラ3と電極部材6との間隙dを0.5mm、として、(5)式を満たす電圧と周波数との関係を図にしたものを図7に示す。図7に示すグラフより高い電圧を印加すれば、確実に往復運動し、トナーの均一化の効果が高くなる。
現像ローラ3に印加される現像バイアスを直流電圧Vd1、電極部材6に印加される交流電圧をデューティ50%の矩形波とし、ピーク・ツー・ピーク電圧をVpp、周波数をf、電極部材6に印加される直流電圧をVd2とし、ΔV=Vd2−Vd1とする。
電極部材6へ印加される電圧は、現像ローラ3の電位を基準として描くと図5(b)のようになる。つまり、現像ローラ3と電極部材6との間の電圧は、1/2×Vpp+ΔVと1/2×Vpp−ΔVの2つの電位がある。この2つの電圧がともに式(5)を満たすとトナーの往復運動が活発になる。
つまり、式(5)を次のように書き換えることができる。
|1/2×Vpp±ΔV|×|q/m| > 8d2f2 ・・・(6)
ここで、Vd1=−800V、Vd2=−1000V、Vpp=2000Vとすると、1/2×Vpp+ΔVと1/2×Vpp−ΔVとの2つの電圧はそれぞれ、800Vと1200Vとなる。図7から、周波数が1000Hzであれば、トナーが充分に往復運動ができる電圧なので、問題はない。
しかし、周波数を3000Hz以上に上げると、必要な電圧が1000Vを越えるので、トナーの往復運動が不十分になりやすくなってしまう。
トナーの往復運動が活発であれば、先に記した軸(水平)方向の電界によってトナーの軸方向の移動が起こりやすくなり、トナー層の均一化の効果がより高くなる。
〔実施の形態2〕
実施例2の現像装置11を図8に示す。実施の形態1の現像装置1との違いは、電極部材6が、平板状の電極部材7になっていること、および、電極部材7と現像ローラ3との間に交流成分を含む電圧を印加する電源部9が、後述の電源部10になっていることである。電源部10は、第1電圧が印加される第1信号と第2電圧が印加される第2信号の2系統がある。
電極部材7の表面の電極パターンの構成図を図9に示す。図9に示すように、本実施の形態では、第1電極(第1電極パターン)と第2電極(第2電極パターン)とが、現像ローラ3の回転軸方向に交互に配列している。第1電極には第1信号(第1電圧)が印加され、第2電極には第2信号(第2電圧)が印加される。第1電極と第2電極とは一定間隔を空けて設けられている。現像ローラ3の回転軸方向の第1電極及び第2電極の幅は0.3mm〜2mm、第1電極と第2電極との幅は0.5mm〜3mmにしている。
図10に示す表面電極によって、図9の電極パターンを形成した例を示す。くし型電極を絶縁基板に配線することによって、交互の電極パターンを形成している。
次に、電極部材7に印加する電圧を、図11に示す。期間A(第1期間)では第1信号に交番電圧を印加し、第2信号には一定の直流電圧を印加している。期間B(第2期間)では第1信号に一定の直流電圧を印加し、第2信号に交番電圧を印加している。つまり、期間Aでは、第1電極に交番電圧(第1電圧)が印加され、かつ、第2電極に直流電圧(第2電圧)が印加される。期間Bでは、第1電極に直流電圧(第2電圧)が印加され、かつ、第2電極に交流電圧(第1電圧)が印加される。
図11の電圧を印加した場合の電界について、図12を用いて説明する。期間Aでは、第1電極に交番電圧が印加されているので、第1電極と現像ローラ3との間に垂直方向(現像ローラ表面に対して垂直方向)の電界が印加される。第2電極は直流電圧だけしか印加されていないので、第1電極と第2電極との間に水平方向の電界が発生するとともに、電極部材7と現像ローラ3の間にも水平方向(現像ローラ表面の面方向)の電界が発生することになる。
期間Bでは、第2電極に交番電圧が印加されているので、第2電極と現像ローラ3との間に垂直方向の電界が印加される。第1電極は直流電圧だけしか印加されていないので、第1電極と第2電極との間に水平方向の電界が発生するとともに、電極部材7と現像ローラ3との間にも水平方向の電界が発生することになる。
期間Aと期間Bを通して、電極部材7と現像ローラ3との間で飛翔したトナーは水平方向にも往復運動を行うことになり、水平方向のトナーの均一性を向上させることになる。
具体的には、第1電極に加える期間Aでの交番電圧は、ピーク・ツー・ピーク電圧が2000V、周波数は1kHzである。期間Aの長さは0.6mmsecである。第2電極に加える交番電圧も同じである。
なお、期間Aの状態を継続した場合、トナーは電極部材7と現像ローラ3との間を往復運動しながら、徐々にトナーが第2電極に対向する現像ローラ3に引き寄せられる。このため、第1電極に対向する現像ローラ3よりも第2電極に対向する現像ローラ3の方が、トナー量が多くなり、第1電極と第2電極との電極パターンに応じた濃淡のスジが発生してしまう。しかし、期間Aと期間Bを交互に繰り返すことによって、特定の電極の下にトナーが集められてしまうことを防ぐことができ、濃淡のスジが発生するのを避けることができる。
上記の場合の電圧についても、上記式(6)が成り立っていると、トナーが電極部材7と現像ローラ3間での飛翔が盛んになるので、効果が増大する。
また、第1信号で、期間Aの最後に印加される交番電圧の最後は、電位V1で終わっている。これは、期間Aの最後では、トナーが電極部材7から現像ローラ3に移動する方向に印加され、トナーが現像ローラ3に戻ろうとする方向に移動していることを意味している。これにより、第1信号が直流電圧に戻っても、第1電極の直下付近ではトナーは現像ローラ3に戻る。
もし、期間Aの最後で、電圧がV2側で終わると、トナーは現像ローラ3から電極部材7に移動する方向で終わるので、その後、直流電圧Vd2が印加されて電極部材7から現像ローラ3に移動する方向に電圧が印加されても、一部は電極部材7に移りやすく、電極部材7のトナー被覆が起こってしまう可能性がある。期間Bの最後でも、期間Aの最後と同様のことが成り立つ。
つまり、電源部10は、第1電極および第2電極における交番電圧と直流電圧との切り替えタイミングでの印加電圧の電位が、トナーが電極部材7から現像ローラ3に移動する電位となるように、電圧を印加している。
〔実施の形態3〕
本実施の形態の現像装置は、実施の形態2で説明した現像装置11と同様の構成である。ただし、実施の形態2では期間Bを直流電圧としていたが、本実施の形態では、期間BをVppの小さな交番電圧とする。
本実施の形態における電極部材7と現像ローラ3とに印加する電圧を、図13(a),(b)に示す。
本実施の形態でも、実施の形態2と同様に、電極部材7の第1電極と第2電極との間に電界が生じるので、トナーの水平方向への飛翔を引き起こし、水平方向の均一化を図ることができる。
具体的には、第1電極に加える期間Aでの交番電圧は、ピーク・ツー・ピーク(peak to peak)電圧が2000V、周波数は1kHzである。期間Bでの交番電圧はピーク・ツー・ピーク電圧が1000V、周波数は1kHzである。また、期間Aと期間Bの長さは同じで0.6mmsecである。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。