JP2004219446A - 光導波路の製法 - Google Patents
光導波路の製法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004219446A JP2004219446A JP2003003180A JP2003003180A JP2004219446A JP 2004219446 A JP2004219446 A JP 2004219446A JP 2003003180 A JP2003003180 A JP 2003003180A JP 2003003180 A JP2003003180 A JP 2003003180A JP 2004219446 A JP2004219446 A JP 2004219446A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyimide resin
- optical waveguide
- layer
- core layer
- photosensitive
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Abstract
【解決手段】基板1上にアンダークラッド層2を積層形成し、さらに上記アンダークラッド層2上に、感光剤を含有する感光性ポリイミド樹脂前駆体を用いて所定のパターンにポリイミド樹脂製のコア層3bを形成し、ついで上記コア層3bを包含するようオーバークラッド層4を形成して光導体路を製造する際に、上記コア層3bの形成後、このコア層3bから感光剤を抽出する。
【選択図】図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信,光情報処理,その他一般光学で広く用いることができ、感光性ポリイミド前駆体により得られる光導波路の製法、詳しくは感光性ポリイミド前駆体により得られる透明で複屈折率の小さい光学用ポリイミド樹脂をコア層に用いて得られる光導波路の製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光導波路は、光導波路デバイス、光集積回路、光配線基板に組み込まれており、光通信、光情報処理、その他一般光学の分野で広く用いられている。そして、ポリイミド樹脂を用いて光導波路を形成する場合、上記ポリイミド樹脂を所定パターンに形成する必要があり、例えば、感光剤を配合した感光性ポリイミド樹脂前駆体を用い、これをウェットプロセスにて所定パターンのポリイミド樹脂層を形成する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合、上記感光性ポリイミド樹脂前駆体を加熱してイミド化させる段階において、上記前駆体中に配合された感光剤が熱分解し、得られる上記ポリイミド樹脂層が黒く着色するという問題が生じる。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−179604号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記光導波路の製造に用いられる材料としては、可視光から近赤外領域において透明であることが求められるところ、上記感光剤を配合した感光性ポリイミド樹脂前駆体を用いてなるポリイミド樹脂は、黒く着色するため、可視光領域のみならず近赤外領域においても、光を一部吸収することから、上記のような手法により得られる所定パターンのポリイミド樹脂層形成材料として用い難いのが実情である。
【0005】
このようなことから、本出願人は、感光剤の配合量を、ポリイミド樹脂前駆体100重量部(以下「部」と略す)に対して0.05部以上5部未満の範囲に設定することを提案している(特願2001−164735)。このような設定により透明性の向上を図ることはある程度可能となるが、ポリイミド樹脂のより一層の透明性の向上が望まれている。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなさたもので、耐熱性とともに優れた透明性を有し、光損失の少ない光導波路を得ることのできる光導波路の製法の提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の光導波路の製法は、感光剤を含有する感光性ポリイミド樹脂前駆体を用いて所定のパターンに形成されたポリイミド樹脂製のコア層を備えた光導波路の製法であって、上記コア層の形成後、このコア層から感光剤を抽出するという構成をとる。
【0008】
本発明者らは、透明性の低下原因となるものを排除し、より一層優れた透明性を得るために、光導波路のコア層形成材料を中心に一連の研究を重ねた。その結果、コア層形成材料である感光性ポリイミド樹脂前駆体に含有される感光剤のイミド化時における熱分解での黒色による変色が透明性の低下原因であることから、この感光剤をコア層から抽出することを想起した。すなわち、感光剤含有の感光性ポリイミド樹脂前駆体を用いて所定パターンにコア層を形成した後、このコア層から変色原因となる感光剤を抽出すると、得られるコア層は優れた透明性を備えるようになることを見出し本発明に到達した。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0010】
本発明の光導波路の製法により得られる光導波路の一例として、図5に示す層構成のものがあげられる。この光導波路は、基板1上にアンダークラッド層2が積層形成され、さらに上記アンダークラッド層2上に所定パターンのコア層3bが形成され、このコア層3bを包含するようオーバークラッド層4が形成されている。
【0011】
上記基板1材料としては、特に限定するものではなく従来公知のもの、例えば、青板ガラス、合成石英、シリコンウエハー、二酸化ケイ素付シリコンウエハー、ポリイミド樹脂等があげられる。
【0012】
上記基板1上に積層形成されるアンダークラッド層2形成材料としては、ポリイミド樹脂前駆体があげられ、これはテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得られる。
【0013】
上記テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併用してもよい。
【0014】
一方、上記ジアミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−2,2−ジメチルビフェニル、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併用してもよい。
【0015】
さらに、上記ジアミンとは別に、1,3−ビスアミノ(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを用いることが、上記基板1との密着性の向上という観点から好ましい。
【0016】
上記アンダークラッド層2形成材料であるポリイミド樹脂前駆体の合成方法としては、通常の合成方法が適用できる。すなわち、窒素雰囲気下、ジアミンを溶解させた溶媒にテトラカルボン酸二無水物を添加し、室温において5〜20時間攪拌を行うことにより粘性のある高分子溶液(ポリイミド樹脂前駆体溶液)を合成することができる。
【0017】
上記溶媒としては、通常、ポリイミド樹脂前駆体の合成に使用されるのであれば特に限定するものではない。例えば、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)やN−メチルピロリドン(NMP)等の極性溶媒を使用することができる。なかでも、透明性の点から加熱工程において熱分解性が起こりにくいDMAcが好ましく用いられる。
【0018】
上記アンダークラッド層2上に所定パターンに形成されるコア層3b形成材料としては、感光剤を含有する感光性ポリイミド樹脂前駆体が用いられる。そして、上記感光性ポリイミド樹脂前駆体は、先に述べたテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得られるポリイミド樹脂前駆体に、感光剤を配合することにより得られる。
【0019】
上記ポリイミド樹脂前駆体としては、特に限定するものではなく各種ポリイミド樹脂前駆体があげられるが、例えば、上記アンダークラック層2形成材料であるポリイミド樹脂前駆体と同様のものがあげられる。
【0020】
そして、コア層3bは両クラッド層2,4よりも屈折率が高い必要があるが、この屈折率の調整は、例えば、上記テトラカルボン酸二無水物とジアミンの組み合わせを適宜選択することにより行うことができる。その一例として、フッ素原子を含有するテトラカルボン酸二無水物やジアミンを用いると、屈折率を低くすることが可能となる。また、これ以外の屈折率の調整方法として、後述のコア層3bから感光剤を抽出する工程において、コア層3b内にわずかに感光剤を残存させる方法があげられる。このようにコア層3b内にわずかに感光剤を残存させることによって、上記コア層3bの屈折率を両クラッド層2,4の屈折率よりも高くすることができる。そして、上記屈折率の調整方法のなかでも、コア層3b内にわずかに感光剤を残存させる方法が、コア層3bと両クラッド層2,4の各形成材料となるポリイミド前駆体の基本組成を同じとすることができ、生産における塗布液の管理の面からも好ましい。
【0021】
具体的には、コア層3b形成材料の屈折率と両クラッド層2,4形成材料の屈折率において0.2〜1.0%程度の差を持たせるようにすればよい。
【0022】
このように、コア層3bは両クラッド層2,4よりも屈折率が高い必要がある。通常、両者の比屈折率差Δ〔比屈折率差Δ=(nコア−nクラッド)/nコア:n=屈折率〕は先に述べたように0.2〜1.0%であればよい。
【0023】
上記感光剤としては、特に限定するものではないが、なかでも、下記の一般式(1)で表される化合物を用いることが好ましい。
【0024】
【化2】
【0025】
さらに、感光剤として上記一般式(1)で表される化合物のなかでも、コストおよびC−H結合による光吸収が少ないという点から、1−エチル−3,5−ジメトキシカルボニル−4−(2−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジンを用いることが特に好ましい。
【0026】
このような一般式(1)で表される感光剤は、例えば、つぎのようにして合成される。すなわち、このような1,4−ジヒドロピリジン誘導体は、例えば、置換ベンズアルデヒドと、その2倍モル量のアルキルプロピオレート(プロパルギル酸アルキルエステル)と、相当する第1級アミンとを氷酢酸中で還流下に反応させることによって得ることができる(Khim.Geterotsikl.Soed.,pp.1067−1071,1982)。
【0027】
上記コア層3b形成材料である感光性ポリイミド前駆体における感光剤の含有量は、上記ポリイミド前駆体100部に対して0.05部以上5部未満の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは0.05部以上4部以下である。すなわち、感光剤の含有量が5部以上では、感光剤による近赤外領域での吸収が問題となる傾向がみられ、また0.05部未満ではコントラストが不充分となる傾向がみられるからである。
【0028】
さらに、感光性ポリイミド前駆体には、必要により、解像性を向上させるために溶解調整剤を適宜配合することができる。
【0029】
上記溶解調整剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールジフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併用することができる。特にパターン解像性の点から、ポリエチレングリコールジメチルエーテルを用いることが好ましい。さらに、上記化合物の重量平均分子量としては、150〜1000の範囲、特に200〜800の範囲にあることが好ましい。
【0030】
上記溶解調整剤の配合量は、上記ポリイミド前駆体100部に対して15〜45部の範囲に設定することが好ましい。
【0031】
そして、上記所定パターンに形成されたコア層3bを包含するオーバークラッド層4形成材料としては、ポリイミド樹脂前駆体があげられ、例えば、上記アンダークラッド層2形成材料および上記コア層3b形成材料であるポリイミド前駆体と同様のものがあげられる。
【0032】
つぎに、上記基板および各層形成材料を用いた、本発明の光導波路の製造方法について説明する。
【0033】
まず、基板上に、ポリイミド樹脂前駆体溶液(ポリアミド酸溶液)を、乾燥後の膜厚が好ましくは1〜30μm、特に好ましくは5〜15μmとなるよう塗布し、乾燥させることによりポリイミド樹脂前駆体組成物からなる樹脂層を形成する。上記塗布方法としては、スピンコート法やキャスティング法等の一般的な成膜方法を用いることができる。ついで、不活性雰囲気下、加熱することにより上記樹脂層中の残存溶媒の除去およびポリイミド樹脂前駆体のイミド化を完結させることにより、図1に示すように、基板1上にポリイミド樹脂製のアンダークラッド層2を形成する。
【0034】
つぎに、図2に示すように、上記アンダークラッド層2上に、このアンダークラッド層2よりも屈折率の高い材料からなる感光性ポリイミド樹脂前駆体溶液(感光性ポリアミド酸ワニス)を、乾燥後の膜厚が好ましくは2〜30μm、特に好ましくは6〜10μmとなるよう塗布し、初期乾燥にてコア層となる感光性ポリイミド樹脂前駆体層3aを形成する。ついで、図3に示すように、所望のパターンが得られるように、感光性ポリイミド樹脂前駆体層3a上にフォトマスク5を載置してその上方から紫外線照射を行う。本発明においては、上記紫外線照射における露光量は5〜50mJ/cm2 で充分な解像が可能である。その後、光反応を完結させるために、Post Exposure Bake(PEB)と呼ばれる露光後の熱処理を行い、現像を行う。上記現像における現像液としては、通常、アルカリ性の水溶性現像液を用いる。そして、現像によって得られた所望のパターンをイミド化するために、通常熱処理を行う。この際の加熱温度は、一般的に300〜400℃であり、真空下または窒素雰囲気下で脱溶剤と硬化反応(キュア)を行うものである。このようにしてイミド化することにより、図4に示すように、ポリイミド樹脂製のパターンとなるコア層3bを形成する。
【0035】
ついで、上記コア層3b上に、上記コア層3bよりも屈折率の低い形成材料からなるポリイミド樹脂前駆体溶液を乾燥後の最大の膜厚が好ましくは1〜30μm、特に好ましくは5〜15μmとなるよう塗布し、乾燥させることによりポリイミド樹脂前駆体組成物からなる樹脂層を形成する。ついで、上記アンダークラッド層2と同様、不活性雰囲気下、加熱することにより上記樹脂層中の残存溶媒の除去およびポリイミド樹脂前駆体のイミド化を完結させることにより、図5に示すように、コア層3bを包含するようにポリイミド樹脂製のオーバークラッド層4を形成し光導波路を作製する。
【0036】
そして、得られた光導波路のコア層3bから感光剤を抽出することにより、所望の光導波路を製造することができる。
【0037】
上記コア層3bからの感光剤の抽出方法としては、例えば、有機溶剤を用いて行われるが、本発明においては、下記の(a)および(b)を用いた方法が特に好ましい。
(a)液化二酸化炭素、もしくは、高温高圧状態あるいは超臨界状態にある二酸化炭素。
(b)有機溶剤。
【0038】
上記有機溶剤(b)としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジグライム、トリグライム等の極性溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、シクロヘキサン、メチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0039】
そして、上記(a)および(b)を用いた感光剤の抽出は、具体的に、つぎのようにして行われる。すなわち、耐圧容器に、コア層3bのイミド化が終了した状態の光導波路および有機溶剤(b)を投入し、ついで、液化二酸化炭素を注入して所定の温度および圧力により所定時間放置することにより上記コア層3b内の感光剤の抽出が行われる。
【0040】
上記抽出条件としては、温度は0〜150℃で好ましくは20〜100℃、圧力は3.5〜100MPaで好ましくは6〜25MPa、抽出時間は所定の圧力に達してから約2時間があげられる。
【0041】
さらに、上記有機溶剤の使用量は、上記耐圧容器の容積に対して0.1〜10容積%に設定することが好ましい。
【0042】
上記感光剤の抽出は、光導波路のコア層3bのイミド化が終了した後であれば行うことが可能であり、例えば、上記オーバークラッド層4の形成前(ポリイミド樹脂前駆体組成物からなる樹脂層の形成前)、あるいは、オーバークラッド層4の形成後に行うことができる。
【0043】
そして、先に述べたように、感光剤の抽出において、コア層3b内にわずかに感光剤を残存させることによって、上記コア層3bの屈折率を両クラッド層2,4の屈折率よりも高くすることが可能となり好ましい。上記感光剤のわずかな残存とは、ポリイミド樹脂組成物に対して、0.12重量%以下程度をいう。
【0044】
このようにして得られた光導波路としては、例えば、直線光導波路、曲がり光導波路、交差光導波路、Y分岐光導波路、スラブ光導波路、マッハツエンダー型光導波路、AWG型光導波路、グレーティング、光導波路レンズ等があげられる。そして、これら光導波路を用いた光素子としては、波長フィルタ,光スイッチ,光分岐器,光合波器,光合分波器,光アンプ,波長変換器,波長分割器,光スプリッタ,方向性結合器、さらにはレーザダイオードやフォトダイオードをハイブリッド集積した、光伝送モジュール等があげられる。
【0045】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0046】
【実施例】
攪拌機を備えた500mlのセパラブルフラスコ内で、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)26.66g(0.06モル)と、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(BTFB)18.54g(0.058モル)と、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(APDS)0.52g(0.002モル)を、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)182.85g(2.10モル)に溶解させた後、室温で10時間攪拌することによりポリアミド酸溶液(ポリイミド樹脂前駆体溶液)を作製した。
【0047】
つぎに、厚み1.0mmの合成石英ガラス基板上に上記ポリアミド酸溶液をスピンコート法にて塗布し、90℃で約15分間の乾燥を行うことにより、ポリイミド樹脂前駆体組成物からなる樹脂膜を形成した。その後、真空および窒素雰囲気下、350℃で加熱することにより上記樹脂膜中の残存溶剤の除去およびポリイミド樹脂前駆体のイミド化を完結させ、図1に示すように、合成石英ガラス基板1上にポリイミド樹脂からなるアンダークラッド層2(厚み20μm)を形成した。
【0048】
ついで、上記アンダークラッド層2上にコア層を形成するため、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)と、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(BTFB)を、溶剤(N,N−ジメチルアセトアミド)中、等モルで反応させることにより、ポリアミド酸溶液(ポリイミド樹脂前駆体溶液)Aを作製した。
【0049】
つぎに、上記ポリアミド酸溶液Aに、1−エチル−3,5−ジメトキシカルボニル−4−(2−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジンを上記ポリアミド酸溶液Aの固形分100部に対して4部の割合で、さらに、重量平均分子量500のポリエチレングリコールジメチルエーテルを上記ポリアミド酸溶液Aの固形分100部に対して30部の割合で配合することにより、感光性ポリイミド樹脂前駆体組成物を溶液として得た。
【0050】
そして、図2に示すように、上記感光性ポリイミド樹脂前駆体組成物を用いて、上記アンダークラッド層2上に、アンダークラッド層2の形成と同様の方法にて感光性ポリイミド樹脂前駆体組成物からなる感光性ポリイミド樹脂前駆体層3aを形成した。ついで、図3に示すように、この感光性ポリイミド樹脂前駆体層3a上に、ライン幅2〜16μm×長さ50mm×間隔200mmのフォトマスク5を載置し、その上方から30mJ/cm2 の紫外線を照射した後、180℃で10分間露光後加熱を行った。
【0051】
つぎに、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドと日本アルコール販売社製のエキネンF6からなる混合溶液(混合体積比1:1)を現像液とし、35℃で現像した後、水で洗浄することによりネガ型画像を有するバターンを形成した。その後、真空および窒素雰囲気下、350℃で加熱することにより感光性ポリイミド樹脂前駆体のイミド化を完結させ、図4に示すように、所定のパターンからなるコア層3bを形成した。形成されたコア層3bの厚みを接触式表面粗さ計で測定したところ6μmであった。
【0052】
ついで、上記コア層3b上にオーバークラッド層を形成するための形成材料として、上記ポリアミド酸溶液(ポリイミド樹脂前駆体溶液)Aの調製と同様の工程を得てポリアミド酸溶液(ポリイミド樹脂前駆体溶液)を得た。そして、このポリアミド酸溶液(ポリイミド樹脂前駆体溶液)を用い上記アンダークラッド層2の形成方法と同様の方法にて、図5に示すように、コア層3bを包含するようにオーバークラッド層4(最大厚み20μm)を形成した。このようにしてポリイミド樹脂製の光導波路を作製した。
【0053】
つぎに、このようにして得られた光導波路を5×10cm2 の大きさにカットして、抽出溶剤であるN−メチル−2−ピロリドン15.0g(3容積%)が入った耐圧容器(容積500cm3 )中にセットし、液化二酸化炭素を注入しながら、温度40℃で圧力を徐々に25MPaまで上げた。そして、温度と圧力が安定した後、2時間その状態を保持することにより、超臨界状態にある二酸化炭素が上記抽出溶剤とともに、上記感光性ポリイミド樹脂組成物(コア層3b)中の感光剤〔1−エチル−3,5−ジメトキシカルボニル−4−(2−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン〕を抽出し、目的とする光導波路を得た。なお、コア層3b内にはわずかに上記感光剤が残存しており、コア層3bの屈折率が、両クラッド層2,4の屈折率より高かった。そして、上記コア層3b内における感光剤のわずかな残存量は、ポリイミド樹脂組成物に対して0.12重量%以下であった。
【0054】
このようにして得られた光導波路を、ダイサーによって端面切断を行い、その後カットバック法を用いて波長1.5nmの時の伝播損失を測定した。その結果、光導波路の伝播損失は0.4dB/cmであった。
【0055】
【比較例】
感光剤の抽出工程を行わなかった。それ以外は上記実施例と同様にして光導波路を作製した。そして、得られた光導波路を用い、上記実施例と同様にして光導波路の伝播損失を測定した結果、コア層の光透過率が実施例品よりも低いため、1.0dB/cmであった。
【0056】
上記測定結果から、実施例品の光導波路は比較例品のそれと比べて伝播損失が低く、感光剤の抽出により光損失の少ない透明性に優れたものが得られたことがわかる。
【0057】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、感光剤を含有する感光性ポリイミド樹脂前駆体を用いて所定のパターンに形成されたポリイミド樹脂製のコア層を備えた光導波路の製法において、上記コア層を形成した後、このコア層から感光剤を抽出するものである。このため、イミド化におけるキュア時に上記感光剤の熱分解による着色に起因した透明性の低下を抑制することができ、光損失の小さい透明性に優れた光導波路を得ることができる。
【0058】
そして、上記コア層から感光剤を抽出する際に、液化二酸化炭素、もしくは、高温高圧状態あるいは超臨界状態にある二酸化炭素(a)および有機溶剤(b)を用いると、効果的かつ容易に感光剤の抽出を行うことができ、また所望の屈折率を有するコア層を容易に得ることができる。
【0059】
さらに、上記感光剤として、前記一般式(1)で表される化合物、特に1−エチル−3,5−ジメトキシカルボニル−4−(2−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジンを用いると、より一層透明性に優れたコア層が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光導波路の製造工程を示す断面図である。
【図2】本発明の光導波路の製造工程を示す断面図である。
【図3】本発明の光導波路の製造工程を示す断面図である。
【図4】本発明の光導波路の製造工程を示す断面図である。
【図5】本発明の光導波路の製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 アンダークラッド層
3b コア層
4 オーバークラッド層
Claims (4)
- 感光剤を含有する感光性ポリイミド樹脂前駆体を用いて所定のパターンに形成されたポリイミド樹脂製のコア層を備えた光導波路の製法であって、上記コア層の形成後、このコア層から感光剤を抽出することを特徴とする光導波路の製法。
- 上記感光剤の抽出が、下記の(a)および(b)を用いる請求項1記載の光導波路の製法。
(a)液化二酸化炭素、もしくは、高温高圧状態あるいは超臨界状態にある二酸化炭素。
(b)有機溶剤。 - 上記一般式(1)で表される化合物が、1−エチル−3,5−ジメトキシカルボニル−4−(2−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジンである請求項3記載の光導波路の製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003003180A JP4046614B2 (ja) | 2003-01-09 | 2003-01-09 | 光導波路の製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003003180A JP4046614B2 (ja) | 2003-01-09 | 2003-01-09 | 光導波路の製法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004219446A true JP2004219446A (ja) | 2004-08-05 |
JP4046614B2 JP4046614B2 (ja) | 2008-02-13 |
Family
ID=32894524
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003003180A Expired - Fee Related JP4046614B2 (ja) | 2003-01-09 | 2003-01-09 | 光導波路の製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4046614B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101382688B (zh) * | 2007-09-07 | 2012-04-11 | 新光电气工业株式会社 | 用于层压紫外线固化型波导材料的方法和装置 |
CN101933145B (zh) * | 2008-01-31 | 2012-11-28 | 欧司朗光电半导体有限公司 | 光电子模块和带有光电子模块的投影装置 |
CN103865548A (zh) * | 2012-12-11 | 2014-06-18 | 奇美实业股份有限公司 | 液晶配向剂及其应用 |
-
2003
- 2003-01-09 JP JP2003003180A patent/JP4046614B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101382688B (zh) * | 2007-09-07 | 2012-04-11 | 新光电气工业株式会社 | 用于层压紫外线固化型波导材料的方法和装置 |
US8349119B2 (en) | 2007-09-07 | 2013-01-08 | Shinko Electric Industries Co., Ltd. | Method and apparatus for laminating ultraviolet curing type waveguide material |
CN101933145B (zh) * | 2008-01-31 | 2012-11-28 | 欧司朗光电半导体有限公司 | 光电子模块和带有光电子模块的投影装置 |
US8585246B2 (en) | 2008-01-31 | 2013-11-19 | OSRAM Optosemiconductors GmbH | Optoelectronic module and projection apparatus comprising the optoelectronic module |
CN103865548A (zh) * | 2012-12-11 | 2014-06-18 | 奇美实业股份有限公司 | 液晶配向剂及其应用 |
CN103865548B (zh) * | 2012-12-11 | 2015-12-30 | 奇美实业股份有限公司 | 液晶配向剂及其应用 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4046614B2 (ja) | 2008-02-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1382644B1 (en) | Photosensitive polyimide resin precursor composition, optical waveguide using the polyimide and process for producing the optical waveguide | |
JP4595288B2 (ja) | ポリベンゾオキサゾール樹脂、その前駆体及びこれらを用いた光導波路材料並びに光導波路 | |
EP1424577B1 (en) | Process for producing polyimide optical waveguide | |
EP0720030A1 (en) | Waveguide device and method for production thereof | |
JP2004059761A (ja) | ポリベンゾオキサゾール樹脂、その前駆体及びこれらを用いた光導波路材料並びに光導波路 | |
JP4014519B2 (ja) | ポリマー光導波路の製造方法 | |
JP3296458B2 (ja) | 高分子フィルム光導波路及びその製造方法 | |
JP4799764B2 (ja) | 光導波路用感光性ポリイミド前駆体組成物およびその光導波路用感光性ポリイミド組成物ならびにそれを用いた光導波路 | |
EP1544647B1 (en) | Process for producing optical waveguide | |
JP4046614B2 (ja) | 光導波路の製法 | |
JP3841288B2 (ja) | 感光性ポリイミド樹脂前駆体組成物とそれより得られる光学用ポリイミドと光導波路 | |
JP4231768B2 (ja) | 感光性ポリアミド酸組成物とそれより得られる光学用ポリイミド樹脂と光導波路 | |
JP4181921B2 (ja) | ポリマー光導波路 | |
JP2004240267A (ja) | 高分子光導波路 | |
JP2002202422A (ja) | 高分子光導波路 | |
JP2005017429A (ja) | 光導波路の製造方法 | |
JP2002202424A (ja) | 高分子光導波路 | |
JP2008063396A (ja) | ポリイミド光導波路 | |
JP2008015096A (ja) | 光学部品用ポリイミド、光学部品および光導波路 | |
JP2002148457A (ja) | 高分子光導波路 | |
JP2004149724A (ja) | ポリイミド樹脂、その前駆体及びこれらを用いた光導波路材料並びに光導波路 | |
JP2002148456A (ja) | 高分子光導波路 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051114 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070706 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070807 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071009 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20071113 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20071120 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101130 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |