JP2004218665A - 一方向クラッチ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外輪1内輪2との間の環状空間に、外周面を前記外輪内周面に圧接するフランジ部と周方向にスプラグを配置するポケットとを設けた単一の保持器を使用する。この場合、外輪1の片側端部に内径方向へ延設されるフランジ部を設け、該フランジ部の内側に、内輪2外径と同径の内周面を有し、且つ径外方へ前記保持器4のフランジ部4fと同幅でスプラグ3側に延設される環状凸部1pを一体的に設ける。この環状凸部1pの代わりにリングを用いても良い。更に、ステータのフランジ部に同様の構成の一方向クラッチを配置しても良い。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は一方向クラッチに関し、特に部品点数を減らして軽量化を図り、コストも低減できる一方向クラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
一方向クラッチでは、外輪と内輪との間の環状空間に、動力伝達時に楔作用をし、動力遮断時に自由回転を許容する部材としてスプラグが配置される。このスプラグを環状空間の周方向一定間隔に保持するために保持器が用いられ、また、一方向クラッチには通常、係合方向にスプラグを付勢するリボンスプリングやガータスプリング等が同時に組み込まれる。このような一方向クラッチの保持器として、例えば、図6及び図6のAーA矢視断面図である図7に示すように、外輪11と内輪12との間にスプラグ13が周方向一定間隔で配置されるが、これらのスプラグ13を保持する外側保持器14と、内側保持器16とが用いられ、スプリング15によりスプラグ13は常に係合方向(楔作用方向)に付勢されて組み込まれている(特許文献1)。この場合、外側保持器14は、端部に設けたフランジ部14fの外周面が外輪内周面に圧入嵌合され、外輪11と一体的に(時計方向および反時計方向)一定範囲往復回転するように組み込まれている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−170623
【発明が解決しようとする課題】
上記するように、従来の一方向クラッチでは、二つの保持器が使用される例が多く部品点数も多い。更に、一方向クラッチではこれら二つの保持器に加えてリボンスプリング又はガータスプリングでスプラグを楔作用側へ付勢して組み込まなければならず作業も煩雑である。また、部品点数が多くなると重量も大きくなるという問題がある。一方、図8は、外輪21と内輪22との間の環状空間に一つの保持器24を用いた一方向クラッチであるが、この一つの保持器24を使用する一方向クラッチでは、軽量化と部品点数の軽減等メリットもあるが、通常一つの保持器24は、外輪側寄りに組み込まれるため、この図8に示すように、内輪22を組み込む際、スプラグ23が傾斜し、内輪22の外側端部と干渉することが多く、組み込み作業がやりづらいという問題がある。
【0004】
この発明は、上記する課題に対処するためになされたものであり、一つの保持器を用いて重量軽減を図ると共に、組立時のスプラグの傾斜を防止し組立やすく、部品点数の減少と製作コスト等も低減できる一方向クラッチを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、この発明は上記する課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、外輪と内輪との間の環状空間に、外周面を前記外輪内周面に圧接するフランジ部と周方向にスプラグを配置するポケットとを設けた単一の保持器を備えた一方向クラッチにおいて、
前記外輪の片側端部に内径方向へ延設されるフランジ部を設けると共に、該フランジ部の内側に、前記内輪外径と同径の内周面を有し、且つ径外方へ前記保持器のフランジ部と同幅でスプラグ側に延設される環状凸部を一体的に設けたことを特徴とするものである。
【0006】
また、上記請求項1に記載の一方向クラッチの環状凸部の代わりに同一の内径と幅および外径を有する一つのリングを配置しても良い(請求項2)。
【0007】
更に、請求項3に記載の発明は、外輪と内輪との間の環状空間に、外周面を前記外輪内周面に圧接するフランジ部と周方向にスプラグを配置するポケットとを設けた単一の保持器を備えた一方向クラッチにおいて、
前記外輪は、片側端部に内径方向へ延設されるフランジ部を設けたトルクコンバータのステータボス部に嵌め入れると共に、前記フランジ部の内側に、前記内輪外径と同径の内周面を有し、且つ径外方へ前記保持器のフランジ部と同幅でスプラグ側に延設される環状凸部を一体的に設けたことを特徴とするものである。
【0008】
更に、上記請求項3に記載の一方向クラッチの環状凸部の代わりに同一の内径と幅および外径を有する一つのリングを配置しても良い(請求項4)。
【0009】
上記各手段によれば、一方向クラッチに一つの保持器を用いた場合で且つ外輪寄りに保持器やスプリングを組みスプラグを配置して内輪を組み入れる場合でも外輪或いはステータのフランジ部に設けた環状凸部やリングの側面でスプラグがが傾斜するのを阻止することができるため、組み込み性が極めて良くなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の具体的実施の形態について図面を参照ながら説明する。
図1は、この発明の一方向クラッチの軸方向の一部断面図、図2はこの一方向クラッチを構成する外輪の一部斜視図である。
【0011】
この一方向クラッチは、外輪1と、内輪2との間の環状空間に周方向等間隔に設けたポケット4pに、スプラグ3を配置した単一の保持器4と、スプリング5とが配置されて構成されている。この場合、前記外輪1の片側端部には内径方向へ延設されるフランジ部1fが設けられdlる。そして該フランジ部1fの内側面には、環状凸部1pが一体的に設けられている。また、前記保持器4には、端部はフランジ部4fと、周方向にポケット4pが形成され、外輪1の内周面1o に圧入(圧接)され、該外輪1と一体的に動作するようにしてある。更に、スプリング5には、ポケット部5pが形成され、スプラグ3が配置され且つ該スプラグ3を楔作用する方向に付勢している。
【0012】
前記外輪1のフランジ部1fの内側面に設けられる環状凸部1pは、前記内輪2の外径と同径の内周面1iを有し、且つ径外方へスプラグ3側に(軸方向に)延設して一体的に設けられている。該環状凸部1pの幅hは、前記保持器4のフランジ部4fの厚みtと同等であることが望ましい。
【0013】
図3は、この発明の第2の実施の形態を示す図である。即ち、第1の実施の形態においては、外輪1の片側端部の内径方向へ延設されるフランジ部1fの内側面に、環状凸部1pを一体的に設けるものである。しかし該環状凸部1pを外輪1のフランジ部1fの内側面に設けるのではなく、この図3に示すように、該環状凸部1pの代わりに同じ内径と外径及び厚さを有するリング6を前記環状凸部1pの位置に配置しても良い。このようなリング6を配置しても1つの保持器4を用いた一方向クラッチの組立の際スプラグ3の傾斜を防止して組み込み作業をスムーズに行うことができる。
【0014】
上記するように、この発明の一方向クラッチは、外輪1の片側端部に内径方向へ延設されるフランジ部1fを設けると共に、該フランジ部1fの内側に、前記内輪2の外径と同径の内周面1iを有し、且つ径外方へ、スプラグ3側に(軸方向に)延設される環状凸部1pを一体的に設けるか、或いは該環状凸部1p部分と同一寸法のリング6を配置ことを特徴とするものである。この場合、該環状凸部1pの厚み或いはリング6の厚みhは、保持器4に設けたフランジ部4fの厚さtと同等とするものである。しかし、この発明の一方向クラッチは、トルクコンバータのステータに組み込む構成とすることもできる。
【0015】
図4は、この発明の一方向クラッチの第3の実施の形態を示す図である。即ち、この実施の形態の一方向クラッチでは、前記外輪1の代わりに、通常のものと同様にフランジ部1fの無い外輪7を用いてあり、外輪7と、トルクコンバータ用ステータ8と、フランジ部4fと周方向にスプラグ配置用ポケット4pを設けた保持器4と、スプリング5と、前記保持器4のポケット4pに配置されるスプラグ3と、内輪2と、で構成される。前記ステータボス部8bには、片側端部に内径方向へ延設されるフランジ部8fが設けてあり、該フランジ部8fの内側に、前記内輪外径と同径の内周面を有し、且つ径外方へ前記保持器4のフランジ部4fと同幅でスプラグ3側に(軸方向に)延設される環状凸部8pが一体的に設けられている。
【0016】
上記するように、トルクコンバータにおいて、ステータ8に上記するようにな一方向クラッチを構成すれば、一方向クラッチに一つの保持器4を用いた場合でも組み込み作業に際してスプラグ3が傾斜するのをこの環状凸部8pの側面で阻止することができるため、組み込み性が極めて良くなる。
【0017】
図5は、この発明の第4の実施の形態を示す図である。即ち、第3の実施の形態においては、ステータ8のボス部に外輪7を嵌合させ、該ステータボス部8bの片側端部の内径方向へ延設されるフランジ部8fの内側面に、環状凸部8pを一体的に設けた。しかし該環状凸部8pをステータ8のフランジ部8fの内側面に設けるのではなく、この図5に示すように、該環状凸部8pの代わりに同じ内径と外径及び厚さを有するリング6をこのステータ8のフランジ部8fの環状凸部8pの位置に配置しても良い。このようなリング6を配置しても1つの保持器4を用いた一方向クラッチの組立の際スプラグ3の傾斜を防止して内輪等の組み込み作業をスムーズに行うことができる。
【0018】
【発明の効果】
以上、詳述したように、この発明の一方向クラッチによれば、単一の保持器を用いた場合であっても、保持器やスプリングおよびスプラグを組み込み、更に外輪にこれらを外輪やステータに組み込み、内輪を挿入する場合でもスプラグが干渉しても軸方向に傾斜しなくなり、組み込み作業が極めてスムーズとなる。また、部品点数も少ないのでコストの低減を図り重量も軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一方向クラッチの第1の実施の形態を示す軸方向の一部断面図である。
【図2】図2は、この発明の一部を構成する外輪の一部斜視図である。
【図3】この発明の一方向クラッチの第2の実施の形態を示す軸方向の一部断面図である。
【図4】この発明の一方向クラッチの第3の実施の形態を示す軸方向の一部断面図である。
【図5】この発明の一方向クラッチの第4の実施の形態を示す軸方向の一部断面図である。
【図6】従来の一方向クラッチの構成を示す軸に対して直角方向の一部断面図である。
【図7】従来の一方向クラッチの構成を示す図であって、図6のAーA矢視断面図である。
【図8】従来の一方向クラッチの軸方向断面図であって、保持器を1個用いた場合の組立途中の図を示す。
【符号の説明】
1 外輪
1f 外輪フランジ部
1p 環状凸部
2 内輪
3 スプラグ
4 保持器
4f 保持器フランジ部
4p 保持器ポケット
5 スプリング
5p スプリングポケット
7 外輪
8 ステータ
8f ステータフランジ部
8p 環状凸部
Claims (4)
- 外輪と内輪との間の環状空間に、外周面を前記外輪内周面に圧接するフランジ部と周方向にスプラグを配置するポケットとを設けた単一の保持器を備えた一方向クラッチにおいて、
前記外輪の片側端部に内径方向へ延設されるフランジ部を設けると共に、該フランジ部の内側に、前記内輪外径と同径の内周面を有し、且つ径外方へ前記保持器のフランジ部と同幅でスプラグ側に延設される環状凸部を一体的に設けたことを特徴とする一方向クラッチ。 - 外輪と内輪との間の環状空間に、外周面を前記外輪内周面に圧接するフランジ部と周方向にスプラグを配置するポケットとを設けた単一の保持器を備えた一方向クラッチにおいて、
前記外輪の片側端部に内径方向へ延設されるフランジ部を設けると共に、該フランジ部の内側に、前記内輪外径と同径の内周面を有し、且つ径外方へ前記保持器のフランジ部と同幅のリングを配置したことを特徴とする一方向クラッチ。 - 外輪と内輪との間の環状空間に、外周面を前記外輪内周面に圧接するフランジ部と周方向にスプラグを配置するポケットとを設けた単一の保持器を備えた一方向クラッチにおいて、
前記外輪は、片側端部に内径方向へ延設されるフランジ部を設けたトルクコンバータのステータボス部に嵌め入れると共に、前記フランジ部の内側に、前記内輪外径と同径の内周面を有し、且つ径外方へ前記保持器のフランジ部と同幅でスプラグ側に延設される環状凸部を一体的に設けたことを特徴とする一方向クラッチ。 - 外輪と内輪との間の環状空間に、外周面を前記外輪内周面に圧接するフランジ部と周方向にスプラグを配置するポケットとを設けた単一の保持器を備えた一方向クラッチにおいて、
前記外輪は、片側端部に内径方向へ延設されるフランジ部を設けたトルクコンバータのステータボス部に嵌め入れ、前記フランジ部の内側に、前記内輪外径と同径の内周面を有し、且つ径外方へ前記保持器のフランジ部と同幅のリングを配置したことを特徴とする一方向クラッチ。
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