JP2002013559A

JP2002013559A - ラチェット型ワンウェイクラッチ

Info

Publication number: JP2002013559A
Application number: JP2000197482A
Authority: JP
Inventors: Kazuhiko Muramatsu; 和彦村松; Hirofumi Shirataki; 浩文白瀧; Hirobumi Ogata; 博文緒方
Original assignee: NSK Warner KK
Current assignee: NSK Warner KK
Priority date: 2000-06-30
Filing date: 2000-06-30
Publication date: 2002-01-18
Also published as: US20020005327A1; US6575275B2

Abstract

(57)【要約】【課題】従来のラチェット型ワンウェイクラッチは凹
部が所定ピッチ毎に設けられ、噛合い方向に僅かに空転
した後に嵌合する。このため嵌合時に負担するトルクが
瞬間的に過大となり、打音が発生する恐れがある。ま
た、嵌合時発生する衝撃が繰り返されることにより、ラ
チェット型ワンウェイクラッチの寿命が短くなる恐れが
ある。【解決手段】外周に凹部(21)を有する内輪(2)と、内
輪と同軸上に配置され内周側にポケット(12)を有する外
輪部材(3)と、ポケットに配置され、凹部に嵌合してト
ルクを伝達する爪部材(10)と、爪部材を内径方向に付勢
して、爪部材と凹部との嵌合を助勢する付勢部材(11)と
を備えたラチェット型ワンウェイクラッチにおいて、外
輪部材に対して相対回動する作動要素(8)が設けられ、
外輪部材と作動要素との間に弾性部材(5)が介在してい
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、農機、建
機、工業機械などの変速機、特に車両等の自動変速機等
に使用され、バックストップなどの機能を果たすワンウ
ェイクラッチのうち、ロック機構にラチェット(爪部材)
を用いたラチェット型ワンウェイクラッチに関する。よ
り詳細には、外輪部材に衝撃吸収機構を設け、噛み合い
時の打音を防止したラチェット型ワンウェイクラッチに
関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、自動変速機に用いられるワンウ
ェイクラッチは、相対回転する外輪及び内輪を有し、外
輪と内輪との間でトルクを伝達するスプラグやローラな
どが外輪または内輪の軌道面に設けたカム面に噛み合う
ことで、一方向のみに回転トルクを伝達している。ま
た、逆方向では空転する構成となっている。

【０００３】このようなワンウェイクラッチの中で、外
輪と内輪との間でトルクを伝達するトルク伝達部材とし
てラチェットを用いたラチェット型ワンウェイクラッチ
がある。ラチェット型ワンウェイクラッチは、内周にポ
ケットを有する外輪と、外輪と同軸上に配置され外周に
ノッチを有する内輪と、前記ポケットに収納され内輪の
ノッチに嵌合してワンウェイクラッチをロック状態に
し、内輪と外輪との間でトルクを伝達させる爪部材と、
爪部材を内輪へ付勢するスプリングなどの弾性体とによ
って構成される。

【０００４】以上の構成のラチェット型ワンウェイクラ
ッチは、ワンウェイクラッチが一方向に回転すると、爪
部材が内輪の外周に対してフリーで摺動するので、外輪
と内輪とは相対的に空転する。次に、ワンウェイクラッ
チが他方向に回転しようとすると、爪部材がノッチに嵌
合し、ワンウェイクラッチがロックアップ状態になる。

【０００５】図３及び図４は、従来のラチェット型ワン
ウェイクラッチの一例を示しており、トルクコンバータ
のステータに用いた例である。図３は、従来例のラチェ
ット型ワンウェイクラッチを示す正面側の断面図であ
り、図４は、図３の軸方向断面図である。トルクコンバ
ータ５１は内周に外輪部５３を有する羽根車５４と、外
周に凹部７１を有し外輪部５３と同軸上に配置された内
輪５２と、外輪部５３の内周に設けられたポケット６５
に配置され、凹部７１と嵌合してトルクを伝達する爪部
材６０と、ポケット６５に設けられた窪み部６６に設置
され爪部材６０を内径方向に付勢する付勢部材６１と、
爪部材６０及び付勢部材６１を軸方向に支持し内輪５２
と摺動するブシュ５６と、ブシュ５６の抜け止めを行う
スナップリング５７と、によって構成される。付勢部材
６１には主に波ばねが用いられる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
成のラチェット型ワンウェイクラッチは凹部が所定ピッ
チ毎に設けられ、噛合い方向に僅かに空転した後に嵌合
する。このため嵌合時に負担するトルクが瞬間的に過大
となり、打音が発生する恐れがある。また、嵌合時発生
する衝撃が繰り返されることにより、ラチェット型ワン
ウェイクラッチの寿命が短くなる恐れがある。

【０００７】そこで本発明の目的は、衝撃吸収機構を設
けて嵌合時の衝撃を吸収し、打音の発生を防止すると共
に、寿命の向上したラチェット型ワンウェイクラッチを
提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１に記載の本発明のラチェット型ワンウェイ
クラッチは、外周に凹部(21)を有する内輪(2)と、前記
内輪と同軸上に配置され内周側にポケット(12)を有する
外輪部材(3)と、前記ポケットに配置され、前記凹部に
嵌合してトルクを伝達する爪部材(10)と、前記爪部材を
内径方向に付勢して前記嵌合を助勢する付勢部材(11)と
を備えたラチェット型ワンウェイクラッチであって、前
記外輪部材に対して相対回動する作動要素(8)が設けら
れ、前記外輪部材と前記作動要素との間に弾性部材(5)
が介在していることを特徴としている。また、請求項２
に記載の本発明のラチェット型ワンウェイクラッチは、
前記外輪部材と前記作動要素に各々径方向に延在する凸
部が設けられ、前記凸部の周方向端面が互いに衝合する
ことにより前記相対回動の範囲が制限されていることを
特徴としている。更に、請求項３に記載の本発明のラチ
ェット型ワンウェイクラッチは、前記外輪部材は径方向
内側に延在する延長部を有しており、前記延長部は、前
記爪部材及び前記付勢部材を軸方向に支持すると共に、
前記内輪に対して摺動することを特徴としている。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明も従来例と同様に自動変速
機のステータに用いた例を示している。外輪部材に対し
て相対回動する作動要素を設け、外輪部材と作動要素と
の間に弾性部材が介在することで衝撃吸収機構とした。

【００１０】本形態では羽根車の内周側部分を作動要素
とし、弾性部材にはコイルスプリングを用いた。また、
外輪部材は従来例で示した外輪とブッシュを一体物とし
て構成した。

【００１１】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。尚、図面において同一部分は同一符号で示
してある。

【００１２】図１及び図２は、本発明の一実施例を示し
ており、図１は図２のＢ−Ｂ断面図であり、図２は図１
のＡ−Ａ断面図である。本実施例では、ラチェット型ワ
ンウェイクラッチをトルクコンバータ装置(不図示)のス
テータに適用している。

【００１３】図1に示すように、ステータ１は、外周に
凹部２１を有する内輪２と、内輪２と同軸に配置され、
内周にポケット１２及び窪み部１３を有する外輪部材３
と、ポケット１２に配置され凹部２１に嵌合してトルク
を伝達する爪部材１０と、窪み部１３に配置され爪部材
１０を内径側に付勢して、爪部材１０が凹部２１に嵌合
するのを助勢する付勢部材１１と、外輪部材３に対して
相対回動する作動要素８と、外輪部材３と作動要素８の
間に形成される空所１４に配置されたスプリング５と、
スプリング５の両端に取り付けられたシート部材９とに
よって構成される。

【００１４】外輪部材３の外周には、径方向外方へ突出
する1対の凸部１７が径方向で対向して設けられてい
る。また、外輪部材３の外側に配置された作動要素８の
内周には凸部１８が径方向で対向して設けられている。
凸部１７及び１８の端面１５及び１６は、所定のクリア
ランスを介して配置されている。

【００１５】また、外輪部材３の凸部１７間には、周方
向の長さが凸部１７よりも短い凸部１９が、径方向に対
向して１対設けられている。作動要素８の凸部１８間に
は、周方向の長さが凸部１８よりも短い凸部２０が、径
方向に対向して１対設けられている。凸部１９と凸部２
０それぞれの周方向端面間のクリアランスが前述の空所
１４となっており、この空所１４にはスプリング５がシ
ート部材９に挟まれて介装されている。

【００１６】次に、本発明の衝撃吸収機構の作動につい
て説明する。ここでは、図１において、便宜上内輪２が
停止しているものとして、外輪部材３側の回転について
考えることとする。外輪部材３や作動要素８等の外輪側
の部材が図中右方に回転している状態が空転状態であ
る。噛合い方向つまり、図１において外輪側の部材が左
方に回転すると、まず爪部材１０が凹部２１に嵌合す
る。すると、爪部材１０はポケット１２の内壁に当り、
トルクは外輪部材３からスプリング５へ伝わる。

【００１７】この際、スプリング５は作動要素８との間
で押し縮められるようにトルクを受け、弾性変形するこ
とによって衝撃を吸収する。スプリング５の弾性変形が
所定量に達すると、外輪部材３及び作動要素８の凸部１
７及び１８のそれぞれの端面１５及び１６が互いに衝合
しトルクが作動要素へ伝えられる。ここで、上記のよう
に作動要素８は羽根車の内周側に一体に設けられたもの
なので、羽根車にもトルクが伝達されていることにな
る。

【００１８】端面１５と端面１６との間には所定のクリ
アランスを設け、端面１５と端面１６とが衝合するよう
に構成してあるので、外輪部材３と作動要素８との相対
回動の範囲が制限される。このため、スプリング５は所
定量以上の弾性変形をすることがないので、スプリング
５のへたりを防止できる。

【００１９】図２に示すように、外輪部材３は内径側に
延在する環状の延長部６を一体に備えている。延長部６
は爪部材１０及び付勢部材１１を支持し、内輪２の外周
及び側部に対して摺動するブッシュの機能を備えてい
る。また、ステータ１は作動要素８の側面２５と、外輪
部材３の側面２６が不図示のニードル軸受の受面となっ
ている。外輪部材３が一体にブッシュを備えているの
で、従来、別体で必要であったブッシュが不要となるの
で、部品点数が減少する。

【００２０】以上説明した、本発明の実施例おいて、外
輪部材３と作動要素８の凸部の数は、図示の数に限定さ
れるものではなく、その他の任意の個数設けることがで
きることは言うまでもない。また、爪部材１０の数につ
いても同様である。また、スプリング５はコイルスプリ
ングであるが、必要であればその他の形式のスプリング
を用いることも可能である。

【００２１】

【発明の効果】以上、説明した本発明のラチェット型ワ
ンウェイクラッチによれば、以下のような効果が得られ
る。請求項１に記載の発明によれば、爪部材の嵌合時の
衝撃を吸収し、打音を防止できる。更に、請求項２に記
載の発明によれば、弾性部材のへたりや破損を防止でき
る。請求項３に記載の発明によれば、部品点数の削減や
ダイキャスト加工によって加工を容易化することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例のラチェット型ワンウェイク
ラッチの正面側の断面図であり、図２のＢ−Ｂ断面で示
している。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図である。

【図３】従来例のラチェット型ワンウェイクラッチを示
す正面側の断面図である。

【図４】図３の軸方向断面図である。

【符号の説明】

１ステータ２内輪３外輪部材５弾性部材（スプリング）８作動要素１０爪部材１１付勢部材１７，１８、１９，２０凸部２１凹部

フロントページの続き (72)発明者緒方博文静岡県袋井市愛野2345番地エヌエスケー・ワーナー株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】外周に凹部を有する内輪と、前記内輪と
同軸上に配置され内周側にポケットを有する外輪部材
と、前記ポケットに配置され、前記凹部に嵌合してトル
クを伝達する爪部材と、前記爪部材を内径方向に付勢し
て前記嵌合を助勢する付勢部材とを備えたラチェット型
ワンウェイクラッチであって、前記外輪部材に対して相対回動する作動要素が設けら
れ、前記外輪部材と前記作動要素との間に弾性部材が介
在していることを特徴とするラチェット型ワンウェイク
ラッチ。
【請求項２】前記外輪部材と前記作動要素に各々径方
向に延在する凸部が設けられ、前記凸部の周方向端面が
互いに衝合することにより前記相対回動の範囲が制限さ
れていることを特徴とする請求項１に記載のラチェット
型ワンウェイクラッチ。
【請求項３】前記外輪部材は径方向内側に延在する延
長部を有しており、前記延長部は、前記爪部材及び前記
付勢部材を軸方向に支持すると共に、前記内輪に対して
摺動することを特徴とする請求項１または２に記載のラ
チェット型ワンウェイクラッチ。