JP2015105738A - 一方向クラッチ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一方向クラッチは、複数のスプラグ11と、スプラグ11を保持するポケット17が設けられている短円筒部15を有する環状の保持器12とを備えている。この一方向クラッチは、環状空間に対して、スプラグ11を保持する保持器12を軸方向に沿って移動させて取り付けられる。保持器12は、軸方向一方側の第1環状側面21に、当該保持器12の中心線C1に直交する平面に沿う直交面Pを有し、軸方向他方側の第2環状側面22に、当該保持器12の中心線C1に直交する平面Kに対して傾斜する傾斜面Qを有している。
【選択図】 図3
Description
この一方向クラッチは、シャフトとステータとが一方向に相対回転しようとすると、その一方向クラッチが備えているスプラグ(係合子)が、シャフト(内輪)とステータに固定されている外輪との双方に噛み合って、シャフトとステータとが相互で拘束された状態となり相対回転不能となる。これに対して、シャフトとステータとが他方向に相対回転すると、前記噛み合いが解除され、一方向クラッチは、シャフトとステータとを相対的に空転させる(自由に回転させる)。
すなわち、図9に示すように、シャフト91と、ステータ92に固定されている外輪93との間に環状空間94が形成されており、この環状空間94は、軸方向の一方側(図9では、左側)で開放された状態にある。そこで、保持器96のポケット96aにスプラグ95を保持させた状態にある一方向クラッチ90を、環状空間94に対して軸方向の一方側から移動させる。この際、円環状であるリテーナ97を同方向に移動させ、このリテーナ97が保持器96を軸方向に押して一方向クラッチ90を環状空間94に挿入する。
これに対して、図10は、図9と比較すると、保持器96が有している円環部96bの軸方向位置(スプラグ95に対する軸方向位置)が異なっており、誤った向きで一方向クラッチ90が取り付けられた場合の説明図である。
そこで、本発明は、取り付け向きについての誤りを防ぐことが可能となる一方向クラッチを提供することを目的とする。
前記係合子を保持するポケットが周方向に沿って複数設けられている短円筒部を有する環状の保持器と、を備え、前記外輪部と前記内輪部との間に形成される環状空間に対して、前記係合子を保持する前記保持器を軸方向に沿って移動させて取り付けられる一方向クラッチであって、前記保持器は、軸方向一方側の第1環状側面に、当該保持器の中心線に直交する平面に沿う直交面を有し、軸方向他方側の第2環状側面に、当該保持器の中心線に直交する平面に対して傾斜する傾斜面を有していることを特徴とする。
しかし、保持器の取り付け向きを誤り、この保持器の軸方向他方側の傾斜面を軸方向に向かって押した場合、この傾斜面によって保持器の中心線が環状空間の中心線に対して傾いてしまう。このため、この保持器が保持する係合子も正規の姿勢と違って傾こうとすることから、例えば係合子が外輪部の内周面や内輪部の外周面に引っ掛かり、スムーズに取り付けることができなくなる。したがって、一方向クラッチの取り付け向きについての誤りを防ぐことが可能となる。
この場合、一方向クラッチの取り付け向きを誤って、傾斜面を押して保持器を環状空間に入れようとして、保持器の中心線が環状空間の中心線に対して傾いてしまうと、この傾いた保持器は円環部を有していることで、当該保持器の軸方向についての寸法が、傾かない状態の場合よりも長くなる。このため、傾いた状態のまま保持器が環状空間に入れられても、その保持器が環状空間内の規定位置から軸方向にはみ出すこととなり、取り付け向きの誤りが発生していることを作業者は知ることができる。例えば、円環状のリテーナ(蓋部材)により保持器を軸方向に押して環状空間に押し入れる場合、傾いた状態にある保持器が環状空間内の規定位置から軸方向にはみ出していると、そのリテーナが正規位置となって取り付けられず、作業者は、取り付け向きの誤りを認識することが可能となる。
この場合、一方向クラッチの取り付け向きを誤り、傾斜面を軸方向に向かって押して、保持器を環状空間に入れようとすると、この傾斜面によって保持器が傾くが、これにより、保持する係合子も同じ方向に傾ける構成が得られる。
図1は、本発明の一方向クラッチが設けられているトルクコンバータの一部を示す縦断面図である。このトルクコンバータは、ステータ4、外輪5、シャフト6、及びリテーナ8等を備えており、同心状に配置されている外輪5とシャフト6との間に一方向クラッチ7が取り付けられている。
そして、シャフト6の外周面6aと、外輪5の内周面5aと、サポート部4bの側面4cと、リテーナ8の側面8aとにより囲まれる領域に、環状空間9が形成されている。環状空間9の中心線は、シャフト6の中心線、外輪5の中心線と一致する。また、この環状9の軸方向長さはMである。
スプラグ11は、同心状に配置されているシャフト6と外輪5との間に介在しており、全て同じ形状である。
ばね13は、保持器12の径方向内側に設けられており、本実施形態のばね13は環状であり、各スプラグ11を周方向一方側に向かって付勢する。
円環部16は、この短円筒部15の軸方向(中心線方向)と直交する方向に沿って形成されており、円環部16の中心線と、短円筒部15の中心線とは一致する。
この図5に示すように、傾斜面Qを軸方向に向かって押して一方向クラッチ7を環状空間9に入れようとすると、この傾斜面Qによって、図5と図6とに示すように、保持器12の中心線C1(短円筒部15の中心線)が環状空間9の中心線C2に対して傾いてしまう。
以上より、スプラグ11、及びこのスプラグ11を保持した保持器12を備えている一方向クラッチ7を、環状空間9に取り付ける際の当該保持器12の挙動が、正しい向きで取り付けられる場合(図4の場合)と、誤った向きで取り付けられる場合(図5の場合)とで異なることから、作業者はこれを認識することができ、一方向クラッチ7の取り付け向きについての誤りを防ぐことが可能となる。
このため、図7に示すように、傾いた状態のまま保持器12が環状空間9に入れられたとしても、直交面Pの一部がサポート部4bに接触し、その保持器12が環状空間9内の規定位置Jから軸方向(図7では左側)にはみ出す。
本実施形態では、円環状のリテーナ8が保持器12を軸方向に押して環状空間9に押し入れることから、傾いた状態にある保持器12が環状空間9内の規定位置Jから軸方向外側にはみ出していると、このリテーナ8が保持器12に接触して正規位置となって取り付けられない。このため、リテーナ8と外輪5との間に軸方向の隙間eが生じてしまい、止め輪25(図1参照)の取り付けが不可能となり、作業者は、一方向クラッチ7の取り付け向きの誤りを認識することが可能となる。
このように、一方向クラッチが2つの保持器12,52を有する場合、両保持器12,52のそれぞれにおいて、図8に示すように、一方の側面が鉛直面Pであり、他方の側面が傾斜面Qである構成を採用することができる。なお、この場合、外側保持器12の軸方向長さが最も長くなる部分(幅広部)と、内側保持器52の軸方向長さが最も短くなる部分(幅狭部)との周方向位置(位相)が一致しないように、これら外側保持器12の幅広部と内側保持器52の幅狭部との周方向位置をずらして、これら保持器12,52を配置する必要がある。図8では、外側保持器12の幅広部と、内側保持器52の幅広部とを周方向位置について一致させて配置している。
9:環状空間 11:スプラグ(係合子) 12:保持器
15:短円筒部 16:円環部 17:ポケット
21:第1環状側面 22:第2環状側面 C1:保持器の中心線
C2:環状空間の中心線 K:仮想の平面K L:軸方向最大長さ
M:環状空間の軸方向長さ P:直交面 Q:傾斜面
Claims (3)
- 同心状に配置される内輪部と外輪部との間に介在し、これら内輪部と外輪部とが一方向に相対回転しようとするとこれら内輪部及び外輪部に噛み込み当該相対回転を不能とし、他方向に相対回転しようとすると前記噛み込みが解除される複数の係合子と、
前記係合子を保持するポケットが周方向に沿って複数設けられている短円筒部を有する環状の保持器と、を備え、
前記外輪部と前記内輪部との間に形成される環状空間に対して、前記係合子を保持する前記保持器を軸方向に沿って移動させて取り付けられる一方向クラッチであって、
前記保持器は、軸方向一方側の第1環状側面に、当該保持器の中心線に直交する平面に沿う直交面を有し、軸方向他方側の第2環状側面に、当該保持器の中心線に直交する平面に対して傾斜する傾斜面を有していることを特徴とする一方向クラッチ。 - 前記保持器は、前記短円筒部の前記軸方向一方側の端部から径方向に伸びる円環部を更に有し、前記直交面は前記円環部の側面からなり、前記傾斜面は前記短円筒部の側面からなり、
前記保持器の前記第1環状側面から前記第2環状側面までの最大軸方向長さは、前記環状空間の軸方向長さと略同じ又は僅かに小さく設定されている請求項1に記載の一方向クラッチ。 - 前記傾斜面が前記環状空間の中心線に直交する平面に沿うようにして前記保持器を傾けると、前記ポケットは、保持する前記係合子も同じ方向に傾けて支持する大きさに形成されている請求項1又は2に記載の一方向クラッチ。
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