JP2004218451A - アイドル回転数制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】目標アイドル回転数を決定する時に、自動変速機のフリクションを考慮した目標アイドルを設定する。
【解決手段】エンジン11のアイドル回転数を目標アイドル回転数となるように制御するアイドル回転数制御装置において、自動変速機作動油の温度を検出する自動変速機作動油温検出手段を設け、前記自動変速機作動油の温度が所定温度より低い時のフリクションを高フリクション、前記自動変速機作動油の温度が所定温度より高い時のフリクションを低フリクションとして、前記高フリクションに対応させた第1の目標アイドル回転数を設定する第1目標アイドル回転数設定手段と、前記低フリクションに対応させた第1の目標アイドル回転数よりも低い第2の目標アイドル回転数を設定する第2目標アイドル回転数設定手段とを設け、
自動変速機作動油温に応じて第1の目標アイドル回転数もくしは第2の目標アイドル回転数のいずれか一方をエンジン始動時から逐次選択する目標アイドル回転数選択手段を設ける。
【選択図】 図2
【解決手段】エンジン11のアイドル回転数を目標アイドル回転数となるように制御するアイドル回転数制御装置において、自動変速機作動油の温度を検出する自動変速機作動油温検出手段を設け、前記自動変速機作動油の温度が所定温度より低い時のフリクションを高フリクション、前記自動変速機作動油の温度が所定温度より高い時のフリクションを低フリクションとして、前記高フリクションに対応させた第1の目標アイドル回転数を設定する第1目標アイドル回転数設定手段と、前記低フリクションに対応させた第1の目標アイドル回転数よりも低い第2の目標アイドル回転数を設定する第2目標アイドル回転数設定手段とを設け、
自動変速機作動油温に応じて第1の目標アイドル回転数もくしは第2の目標アイドル回転数のいずれか一方をエンジン始動時から逐次選択する目標アイドル回転数選択手段を設ける。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のアイドル回転数制御装置に関し、特に内燃機関始動時の各機関のフリクションに応じた目標アイドル回転数を設定することが可能なアイドル回転数制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンのアイドル回転数制御において、エンジンの暖機促進の要求と、変速機のオイル吐出量確保の要求とを合理的に両立させるために、 エンジンの冷却水温をパラメータとする第1の目標アイドル回転数と、自動変速機の油温(ATF油温)をパラメータとする第2のアイドル回転数とを予め設定し、エンジンの暖機完了前には、エンジン回転数が冷却水温に応じた第1のアイドル回転数特性となるようにアイドル回転数を制御し、また、エンジンの暖機完了後には、油温に応じた第2のアイドル回転数になるようにアイドル回転数を制御する構成が特許文献1に開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−27001号公報
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
しかしながら特許文献1では、ATF油温、冷却水温のそれぞれをパラメータとする2つの目標アイドル回転数を設定しているものの、エンジンの暖機完了前はエンジンの冷却水温をパラメータとする第1の目標アイドル回転数を選択することになっているため、冷却水温とATF油温の温度差を考慮した制御がなされず、例えばATF油温がある程度暖まった状態でのエンジン再始動時等に、必要以上にエンジン回転数が高く設定されてしまい、燃費悪化を招くという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、冷却水温とATF油温の温度差を考慮した目標アイドル回転数の制御を行う制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンジンのアイドル回転数を目標アイドル回転数となるように制御するアイドル回転数制御装置であって、自動変速機作動油の温度を検出する自動変速機作動油温検出手段を設け、前記自動変速機作動油の温度が所定温度より低い時のフリクションを高フリクション、前記自動変速機作動油の温度が所定温度より高い時のフリクションを低フリクションとして、前記高フリクションに対応させた第1の目標アイドル回転数を設定する第1目標アイドル回転数設定手段と、前記低フリクションに対応させた第1の目標アイドル回転数よりも低い第2の目標アイドル回転数を設定する第2目標アイドル回転数設定手段とを設け、自動変速機作動油温に応じて第1の目標アイドル回転数もくしは第2の目標アイドル回転数のいずれか一方をエンジン始動時から逐次選択する目標アイドル回転数選択手段を設けたことを特徴とする。
【0007】
【作用・効果】
本発明によれば、エンジン始動時にATF油温を考慮し、ATF油温に相関の高い自動変速機のフリクションに応じて、自動変速機のフリクションが高い状態では高い目標アイドル回転数を、低い状態では低い目標アイドル回転数を設定することが可能となるので、不必要に高い目標アイドリングを設定することを防止して燃費向上を図ることが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1は本発明の第1実施形態のシステム構成を表している。
【0010】
1はエンジン、2はエンジン1の回転を変速するトルクコンバータ付きの自動変速機、12は自動変速機2によって変速された回転は駆動軸12、デファレンシャルギヤ13を介して車輪3に伝達される。
【0011】
4はエンジン1のアイドル回転数を制御するためのコントロールユニットである。
【0012】
エンジン1には冷却水温を検出する冷却水温センサー6とスロットル開度を検出するスロットル開度センサー7を設ける。自動変速機2には、ATF油温を検出するATF油温センサー8、ニュートラルレンジに入っているか否かを検出するニュートラルスイッチセンサー9、および現在のレンジ位置を検出するギヤポジションセンサー10を設ける。
【0013】
前記各センサーからの検出信号は前記コントロールユニット4に入力される。コントロールユニット4には他にも、車速を検出するために自動変速機2から車輪3にトルクを伝達するドライブシャフト12近傍に設けた車速センサー11と、外気温度を検知する外気温度センサー5からの検出信号が入力される。
【0014】
コントロールユニット4は入力された上記各検出信号に基づいてエンジン冷却水温TWとATF油温TOとに対応してエンジン1の目標アイドル回転数RTGを決定し、実際のエンジン回転数がこの目標アイドル回転数となるようにフィードバック制御する。
【0015】
図2は本実施形態でコントロールユニット4が行う目標アイドル回転数RTGを決定するためのフローチャートである。
【0016】
ステップS100でエンジン冷却水温TWと外気温度TAを読み込み、ステップS101でイグニッションスイッチがオフからオンへ切換えられたか否か、すなわちエンジン始動直後であるか否かの判定を行う。
【0017】
切換え時である場合にはステップS102に進み、ステップS100で読み込んだエンジン冷却水温TW、外気温度TAをそれぞれ始動時のエンジン冷却水温TWS、始動時の外気温度TASとして読み込み、ステップS103に進む。
【0018】
ステップS101でイグニッションスイッチ切換え時でないと判定した場合には、そのままステップS103に進む。
【0019】
ステップS103では、自動変速機2がドライブレンジ(以下、Dレンジという)であるか否かの判定を行う。
【0020】
ステップS103でDレンジであると判定した場合には、ステップS104に進む。
【0021】
ステップS104では始動時の外気温度TASが所定温度B以上であるか否かの判定を行い、所定温度B以上であった場合にはステップS105に進む。ここで、所定温度Bはヒータ性能上温度調節が必要な外気温度、つまり運転者がヒータを使用する可能性が高い低温側の温度を設定する。低温始動後にヒータを使用する場合には、後述するステップS113にて目標エンジン回転数RTGを高く設定することによってエンジン冷却水温TWを早急に上昇させる必要があるからである。
【0022】
ステップS105ではATF油温TOが後述する所定の温度A以上であるか否かの判定を行い、所定の温度A以上であった場合にはステップS106に進む。
【0023】
ステップS106では始動時のエンジン冷却水温TWSが上記と同じ所定の温度A以上であるか否かの判定Wを行い、所定の温度A以上であった場合にはステップS107に進む。
【0024】
ここで所定温度Aについて説明する。図4に自動変速機2のATF油温TOに対する自動変速機のフリクション(ATフリクション)を示す。ATフリクションは、ATF油温TOが低温域になるほど大きく、かつATF油温TOの変化に対する変化量も大きい。そしてATF油温が上昇するとATフリクションは低下し、ATF油温が温度TO1以上になると、ATフリクションの温度上昇に対する変化量が小さく、略一定値になっている。
【0025】
図5にエンジン1のエンジン冷却水温TWに対するエンジン1のフリクション(エンジンフリクション)の関係を示す。エンジン冷却水温TWが上昇するとエンジンフリクションは低下する。しかし、ATフリクションに比べると、温度変化に対するエンジンフリクションの変化量は小さい。また、エンジン回転数が大きくなるほどフリクションが大きくなるが、各回転領域間のエンジンフリクションの差は、高回転域では大きく、低回転域では小さい。
【0026】
したがって、エンジンフリクションとATフリクションの和をトータルフリクションとして、このトータルフリクションの温度変化に対する変化量を、低温域で温度変化に対する変化量が大きいATフリクションを基準にして考える。
【0027】
ATフリクションの大きさが略一定になる温度TO1を所定温度Aとして、例えば15〜20℃に設定し、所定温度A以下の状態を高フリクション、A以上の状態を低フリクションとする。ステップS105でATF油温が所定温度A以下である場合には、後述するようにステップS113に進み目標アイドル回転数RTGを高めに設定しているが、これは前述したように、ATF油温TOが所定温度A以下ではATフリクションが大きく、アイドル回転数を高めに設定して早急にATF油温TOを高める必要があるからである。
【0028】
また、前述した所定温度Bと所定温度Aを比べると、所定温度Aの方が高温である。
【0029】
図2に戻り、ステップS107では状態フラグaがゼロであるか否かの判定を行い、フラグaがゼロであった場合にはステップS108に進み、目標アイドル回転数RTGを、Dレンジ用の目標回転RTGを低く設定した後述する図8のLで示したテーブルから検索して決定する。
【0030】
ここで、上記ステップS108および後述するステップS113で使用する、図8に示したDレンジ用の目標回転数を設定したテーブルについて説明する。横軸は温度、縦軸はエンジン回転数であり、実線HはステップS113で使用する第1の目標アイドル回転数テーブルで、実線LはステップS108で使用する第2の目標アイドル回転数テーブルである。
【0031】
どちらも、エンジン始動から暖機運転終了の目安温度TFまでは、温度上昇にともなってエンジン回転数が低下し、その後略一定の回転数を保ち、エンジン冷却水温が過剰に高温になった場合にはエンジン回転数は上昇する。高温部でエンジン回転数が高くなっているのは、エンジン回転を高めることによってウォーターポンプの回転を速くして、冷却水の循環量を増やし、エンジン冷却水温TWの上昇を抑えるためである。
【0032】
ステップS103で自動変速機2がDレンジ以外であった場合には、ステップS109に進み、目標アイドル回転数RTGをニュートラルレンジ(以下、Nレンジという)用の目標回転数を設定した後述する図7に示すテーブルから検索して決定する。
【0033】
ステップS104で始動時の外気温度TASが所定の温度Bより低かった場合にはステップS113に進み、目標アイドル回転数RTGを、Dレンジ用の目標アイドル回転RTGを高く設定した図8のHで示したテーブル(エンジンフリクションとATフリクションを考慮した第1の目標アイドル回転数のテーブル。以下、第1の目標アイドル回転数テーブルとする)から検出して決定する。これにより、ヒータ性能上温度調節が必要な極低温時のエンジン始動においては、目標回転数を低めに設定した図7のテーブルを検索することがなく、ヒータ性能に支障をきたすことがない。
【0034】
ステップS105でATF油温TOが所定の温度Aより低かった場合には、ステップS110で状態フラグaを1としてステップS113に進み、目標アイドル回転数RTGを、Dレンジ用の目標アイドル回転RTGを高く設定した図8のHで示したテーブルから検出して決定する。
【0035】
ステップS106で始動時のエンジン冷却水温TWSが所定の温度Aよりも低かった場合にはステップS113に進み、前述した方法と同様に、目標アイドル回転数RTGをDレンジ用の目標アイドル回転RTGを高く設定した図8のHで示したテーブルから検出して決定する。
【0036】
ステップS107で状態フラグaがゼロではなかった場合には、ステップS114に進む。ステップS114で行う制御フローを図3に示す。
【0037】
ステップS201では車両が停止して安定な状態になっているか否かを車速センサー11、スロットル開度センサー7等の検出信号に基づいて判定する。安定した状態とは、車速がゼロになり、かつ減速に伴うエンジン回転数の低下が終了し、アイドリング状態になっていることをいう。
【0038】
ステップS201で安定した停止状態であると判定された場合にはステップS202に進み、暫定目標アイドル回転数RTPを前回の目標アイドル回転数RTGから演算間隔毎の目標回転数の変化量を引いたものとし、ステップS203に進む。
【0039】
ステップS203ではステップS202で求めた暫定Dレンジ目標回転数RTPがDレンジ用の目標アイドル回転RTGを低く設定したテーブル(第1の目標アイドル回転数から低減したATフリクション分を除いた、第1の目標アイドル回転数よりも低く設定された第2の目標アイドル回転数のテーブル。以下、第2の目標アイドル回転数テーブルとする)から検索した値以上であるか否かの判定を行い、検索した値以上である場合にはステップS112に進み、目標アイドル回転数RTGを暫定Dレンジ目標回転数RTPとする。
【0040】
ステップS203で、暫定Dレンジ目標回転数RTPが検索した値より低い場合にはステップS111に進み、状態フラグaをゼロにしてステップS108に進み、目標アイドル回転数RTGを、第2の目標回転数テーブルから検索して決定する。
【0041】
ステップS201で車両が安定した停止状態ではないと判定した場合には、ステップS113に進み、目標アイドル回転数RTGを、第1の目標アイドル回転数テーブルから検出して決定する。
【0042】
図7にS109で使用するNレンジ用のテーブルを示す。Dレンジ用と同様に、エンジン始動にNレンジまで回転数が低下し続け、その後略一定の回転数を保ち、エンジン冷却水温が過剰に高温になると、エンジン回転数が上がっている。
【0043】
図6に、エンジン冷却水温TWとATF油温TOの温度上昇特性を示す。エンジン冷却水温TWは、ATF油温TOに比べて短時間で温度上昇する特性がある。
【0044】
図9に各温度の変化とそれに伴う目標回転数の変化について示す。
【0045】
エンジン回転数曲線Rは第1の目標アイドル回転数テーブルから検索した場合の目標アイドル回転数RTGで、エンジン回転数曲線Sは同じく第2の目標アイドル回転数テーブルから検索した場合の目標アイドル回転数RTGである。温度のグラフにおいて、Pはエンジン冷却水温の変化、QはATF油温の変化を表している。
【0046】
エンジン始動時に、エンジン冷却水温TWとATF油温TOがともに所定温度Aよりも低い場合には、目標アイドル回転数RTGの変化は回転数曲線Rで表される。
【0047】
エンジン始動時に、エンジン冷却水温TWとATF油温TOがともに所定温度A以上である場合には、目標アイドル回転数RTGの変化は回転数曲線Sで表される。
【0048】
エンジン始動時に、エンジン冷却水温TWは所定温度A以上であるが、ATF油温TOは所定温度Aよりも低い場合、例えば図6においてエンジン始動後にt1でエンジンを停止し、その直後にエンジンを再始動したような場合には、ATF油温TOが所定温度Aより低い間(0≦t<ta)は、目標アイドル回転数RTGは第1の目標アイドル回転数テーブルから検索するので、回転数曲線Rとなる。ATF油温TOが所定温度Aに等しくなると(t=ta)、車両が停止、かつアイドリング等が安定した状態であれば、目標回転数はステップS202で求めた暫定レンジ目標アイドル回転数RTP(図9の曲線T)となり、目標回転数曲線Sに漸近する。そして、暫定レンジ目標アイドル回転数RTPが目標回転数曲線Sと等しい値になると(t=tb)、それ以降の目標アイドル回転数RTGは目標回転数曲線Sになる。
【0049】
従来のように、目標アイドル回転数RTGの設定にATF油温を考慮しない場合には、上記のようにエンジン冷却水温TWが暖機不要な温度になっていると、ATF油温がまだ低温であっても低めの目標回転数となってしまう。しかしATF油温が低いためATフリクションが大きく、エンジン回転が不安定になる等の問題が生じる可能性がある。この問題を解消するために所定温度Aを高く設定すると、エンジンフリクション、ATフリクションともに小さくなっていても目標アイドル回転数RTGを高めに設定し、エンジン回転が吹け上がる可能性がある。
【0050】
しかし、本実施形態ではATF油温TOに応じて目標アイドル回転数RTGを切換えて、運転状況に応じてエンジンフリクションおよびATフリクションに対して最適な目標アイドル回転数RTGを設定するので、不要に高いアイドル回転数を設定することによる燃費の低下を防止し、結果として燃費の向上を図ることが可能である。
【0051】
また、渋滞中や、減速中のようにエンジン回転数が変動する時には目標アイドル回転数RTGの切換えを行わず、車両が停止、かつエンジン回転数が安定した状態でのみ目標アイドル回転数の切換えを行うので、切換えに伴う吸入空気量変化によるエンジン回転数の変動等を防止できる。
【0052】
第2実施形態について説明する。
【0053】
本実施形態は、図2のステップS114のみが第1実施形態と異なる。図10に本実施形態のステップS114で行う制御フローを示す。
【0054】
ステップS301でフラグbが1であるか否かの判定を行う。フラグbが1でない場合には、ステップS302に進み、その時のエンジン冷却水温TWを目標アイドル回転数切換時のエンジン冷却水温TWCとして読み込み、ステップS303に進む。
【0055】
ステップS303ではエンジン冷却水温TWが前述した目標アイドル回転数切換時エンジン冷却水温TWCから所定の変化量Dだけ変改したか否かを判定し、変化した場合はステップS304に進む。ここで所定の温度変化量Dとは、エンジン冷却水温TWに対するエンジン回転数の変化率を算出する際の温度の基本変化量で、エンジン冷却水温TWがD(℃)変化した時に目標アイドル回転数RTGをE(rpm)低下させることとする。
【0056】
ステップS304で暫定目標アイドル回転数RTPを次式(1)で設定し、ステップS305に進む。
【0057】
暫定目標アイドル回転数=前回計算時の目標アイドル回転数−D×E・・・(1)
ステップS305ではフラグbを1にして、ステップS306に進む。
【0058】
ステップS306ではエンジン冷却水温TWを読み込み、前回更新エンジン冷却水温としてステップS307に進む。
【0059】
ステップS307では暫定目標アイドル回転数RTPが第2の目標アイドル回転数テーブルから検索したエンジン冷却水温TW以上であるか否かの判定をおこない、テーブル値以上である場合にはステップS112へ進む。
【0060】
テーブル値より低い場合はステップS309へ進み、フラグbをゼロにしてステップS111に進む。
【0061】
ステップS301でフラグbが1である場合は、ステップS308に進み、エンジン冷却水温TWが前回更新エンジン冷却水温から所定の温度変化量Dだけ変化したか否かの判定を行い、変化した場合はステップS304へ、変化していない場合はステップS112へ進む。
【0062】
ステップS303で目標アイドル回転数切換え時のエンジン冷却水温に所定の温度変化量Dを加えたものがエンジン冷却水温TWと等しくない場合には、ステップS112に進む。
【0063】
上記の制御により、本実施形態では、第1の目標アイドル回転数テーブルを選択した後、エンジン暖機途中でATF油温TOが所定値A以上となった場合に、エンジン冷却水温に対する回転数の所定の変化率をもって徐々に第2の目標アイドル回転数テーブルへ漸近させる。
【0064】
図11に上記制御をタイムチャートに表す。図9と同様にエンジン回転数曲線Rは第1の目標アイドル回転数テーブルから検索した場合の目標アイドル回転数RTGで、エンジン回転数曲線Sは同じく第2の目標アイドル回転数テーブルから検索した場合の目標アイドル回転数RTGである。温度のグラフにおいて、Pはエンジン冷却水温の変化、QはATF油温の変化を表している。
【0065】
エンジン始動時に、エンジン冷却水温TWは所定温度A以上であるが、ATF油温TOは所定温度Aよりも低い場合、ATF油温TOが所定温度Aより低い間(0≦t<ta)は、目標アイドル回転数RTGは第1の目標アイドル回転数テーブルから検索するので、回転数曲線Rとなる。ATF油温TOが所定温度Aに等しくなると(t=ta)、車両が停止、かつアイドリング等が安定した状態であれば、目標回転数はステップS304で求めたエンジン冷却水温TWに対する所定の変化率で変化する暫定レンジ目標アイドル回転数RTP(図11の直線U)となり、目標回転数曲線Sに漸近する。そして、暫定レンジ目標アイドル回転数RTPが目標回転数曲線Sと等しい値になると(t=tb)、それ以降の目標アイドル回転数RTGは目標回転数曲線Sになる。
【0066】
以上により、本実施形態ではエンジン冷却水温TWに対するアイドル回転数の所定の変化率を設けて、エンジン冷却水温TWに応じて目標アイドル回転数RTGを下げながら目標アイドル回転数テーブルの乗換えを行うので、スムーズな乗換えが可能となる。
【0067】
なお、本実施形態ではエンジン始動時に目標アイドル回転数テーブルの選択を行ったが、エンジン始動後所定時間経過後にテーブルの選択を行ってもよい。
【0068】
エンジン始動直後はエンジン各部の温度が安定状態にないため、燃焼状態も安定しない。そこで、燃焼状態が安定するまでの、例えば始動後30秒間は、高い目標アイドル回転数RTGを設定して早期に燃焼を安定させることを優先し、燃焼状態が安定した後に前述したテーブル選択を行うことにすれば、より効率よく目標アイドル回転数RTGの制御を行うことが可能となる。
【0069】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のシステム構成を表す図である。
【図2】第1実施形態の制御を表すフローチャートである。
【図3】第1実施形態において、図2のステップS114にて行う制御のフローチャートである。
【図4】ATF油温に対するATフリクションの変化を表す図である。
【図5】エンジン冷却水温に対するエンジンフリクションの変化を表す図である。
【図6】エンジン始動後のエンジン冷却水温とATF油温の変化を表す図である。
【図7】Nレンジ用の目標アイドル回転数を設定したテーブルである。
【図8】エンジン冷却水温に対するDレンジ用の目標アイドル回転数を設定したテーブルである。
【図9】第1実施形態における目標アイドル回転数の切換えのタイムチャートである。
【図10】第2実施形態において図2のステップS114にて行う制御のフローチャートである。
【図11】第2実施形態における目標アイドル回転数の切換えのタイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 自動変速機
3 車輪
4 コントロールユニット
5 外気温センサー
6 冷却水温センサー
7 スロットル開度センサー
8 ATF油温センサー
9 ニュートラルスイッチセンサー
10 ギヤポジションセンサー
11 車速センサー
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のアイドル回転数制御装置に関し、特に内燃機関始動時の各機関のフリクションに応じた目標アイドル回転数を設定することが可能なアイドル回転数制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンのアイドル回転数制御において、エンジンの暖機促進の要求と、変速機のオイル吐出量確保の要求とを合理的に両立させるために、 エンジンの冷却水温をパラメータとする第1の目標アイドル回転数と、自動変速機の油温(ATF油温)をパラメータとする第2のアイドル回転数とを予め設定し、エンジンの暖機完了前には、エンジン回転数が冷却水温に応じた第1のアイドル回転数特性となるようにアイドル回転数を制御し、また、エンジンの暖機完了後には、油温に応じた第2のアイドル回転数になるようにアイドル回転数を制御する構成が特許文献1に開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−27001号公報
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
しかしながら特許文献1では、ATF油温、冷却水温のそれぞれをパラメータとする2つの目標アイドル回転数を設定しているものの、エンジンの暖機完了前はエンジンの冷却水温をパラメータとする第1の目標アイドル回転数を選択することになっているため、冷却水温とATF油温の温度差を考慮した制御がなされず、例えばATF油温がある程度暖まった状態でのエンジン再始動時等に、必要以上にエンジン回転数が高く設定されてしまい、燃費悪化を招くという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、冷却水温とATF油温の温度差を考慮した目標アイドル回転数の制御を行う制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンジンのアイドル回転数を目標アイドル回転数となるように制御するアイドル回転数制御装置であって、自動変速機作動油の温度を検出する自動変速機作動油温検出手段を設け、前記自動変速機作動油の温度が所定温度より低い時のフリクションを高フリクション、前記自動変速機作動油の温度が所定温度より高い時のフリクションを低フリクションとして、前記高フリクションに対応させた第1の目標アイドル回転数を設定する第1目標アイドル回転数設定手段と、前記低フリクションに対応させた第1の目標アイドル回転数よりも低い第2の目標アイドル回転数を設定する第2目標アイドル回転数設定手段とを設け、自動変速機作動油温に応じて第1の目標アイドル回転数もくしは第2の目標アイドル回転数のいずれか一方をエンジン始動時から逐次選択する目標アイドル回転数選択手段を設けたことを特徴とする。
【0007】
【作用・効果】
本発明によれば、エンジン始動時にATF油温を考慮し、ATF油温に相関の高い自動変速機のフリクションに応じて、自動変速機のフリクションが高い状態では高い目標アイドル回転数を、低い状態では低い目標アイドル回転数を設定することが可能となるので、不必要に高い目標アイドリングを設定することを防止して燃費向上を図ることが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1は本発明の第1実施形態のシステム構成を表している。
【0010】
1はエンジン、2はエンジン1の回転を変速するトルクコンバータ付きの自動変速機、12は自動変速機2によって変速された回転は駆動軸12、デファレンシャルギヤ13を介して車輪3に伝達される。
【0011】
4はエンジン1のアイドル回転数を制御するためのコントロールユニットである。
【0012】
エンジン1には冷却水温を検出する冷却水温センサー6とスロットル開度を検出するスロットル開度センサー7を設ける。自動変速機2には、ATF油温を検出するATF油温センサー8、ニュートラルレンジに入っているか否かを検出するニュートラルスイッチセンサー9、および現在のレンジ位置を検出するギヤポジションセンサー10を設ける。
【0013】
前記各センサーからの検出信号は前記コントロールユニット4に入力される。コントロールユニット4には他にも、車速を検出するために自動変速機2から車輪3にトルクを伝達するドライブシャフト12近傍に設けた車速センサー11と、外気温度を検知する外気温度センサー5からの検出信号が入力される。
【0014】
コントロールユニット4は入力された上記各検出信号に基づいてエンジン冷却水温TWとATF油温TOとに対応してエンジン1の目標アイドル回転数RTGを決定し、実際のエンジン回転数がこの目標アイドル回転数となるようにフィードバック制御する。
【0015】
図2は本実施形態でコントロールユニット4が行う目標アイドル回転数RTGを決定するためのフローチャートである。
【0016】
ステップS100でエンジン冷却水温TWと外気温度TAを読み込み、ステップS101でイグニッションスイッチがオフからオンへ切換えられたか否か、すなわちエンジン始動直後であるか否かの判定を行う。
【0017】
切換え時である場合にはステップS102に進み、ステップS100で読み込んだエンジン冷却水温TW、外気温度TAをそれぞれ始動時のエンジン冷却水温TWS、始動時の外気温度TASとして読み込み、ステップS103に進む。
【0018】
ステップS101でイグニッションスイッチ切換え時でないと判定した場合には、そのままステップS103に進む。
【0019】
ステップS103では、自動変速機2がドライブレンジ(以下、Dレンジという)であるか否かの判定を行う。
【0020】
ステップS103でDレンジであると判定した場合には、ステップS104に進む。
【0021】
ステップS104では始動時の外気温度TASが所定温度B以上であるか否かの判定を行い、所定温度B以上であった場合にはステップS105に進む。ここで、所定温度Bはヒータ性能上温度調節が必要な外気温度、つまり運転者がヒータを使用する可能性が高い低温側の温度を設定する。低温始動後にヒータを使用する場合には、後述するステップS113にて目標エンジン回転数RTGを高く設定することによってエンジン冷却水温TWを早急に上昇させる必要があるからである。
【0022】
ステップS105ではATF油温TOが後述する所定の温度A以上であるか否かの判定を行い、所定の温度A以上であった場合にはステップS106に進む。
【0023】
ステップS106では始動時のエンジン冷却水温TWSが上記と同じ所定の温度A以上であるか否かの判定Wを行い、所定の温度A以上であった場合にはステップS107に進む。
【0024】
ここで所定温度Aについて説明する。図4に自動変速機2のATF油温TOに対する自動変速機のフリクション(ATフリクション)を示す。ATフリクションは、ATF油温TOが低温域になるほど大きく、かつATF油温TOの変化に対する変化量も大きい。そしてATF油温が上昇するとATフリクションは低下し、ATF油温が温度TO1以上になると、ATフリクションの温度上昇に対する変化量が小さく、略一定値になっている。
【0025】
図5にエンジン1のエンジン冷却水温TWに対するエンジン1のフリクション(エンジンフリクション)の関係を示す。エンジン冷却水温TWが上昇するとエンジンフリクションは低下する。しかし、ATフリクションに比べると、温度変化に対するエンジンフリクションの変化量は小さい。また、エンジン回転数が大きくなるほどフリクションが大きくなるが、各回転領域間のエンジンフリクションの差は、高回転域では大きく、低回転域では小さい。
【0026】
したがって、エンジンフリクションとATフリクションの和をトータルフリクションとして、このトータルフリクションの温度変化に対する変化量を、低温域で温度変化に対する変化量が大きいATフリクションを基準にして考える。
【0027】
ATフリクションの大きさが略一定になる温度TO1を所定温度Aとして、例えば15〜20℃に設定し、所定温度A以下の状態を高フリクション、A以上の状態を低フリクションとする。ステップS105でATF油温が所定温度A以下である場合には、後述するようにステップS113に進み目標アイドル回転数RTGを高めに設定しているが、これは前述したように、ATF油温TOが所定温度A以下ではATフリクションが大きく、アイドル回転数を高めに設定して早急にATF油温TOを高める必要があるからである。
【0028】
また、前述した所定温度Bと所定温度Aを比べると、所定温度Aの方が高温である。
【0029】
図2に戻り、ステップS107では状態フラグaがゼロであるか否かの判定を行い、フラグaがゼロであった場合にはステップS108に進み、目標アイドル回転数RTGを、Dレンジ用の目標回転RTGを低く設定した後述する図8のLで示したテーブルから検索して決定する。
【0030】
ここで、上記ステップS108および後述するステップS113で使用する、図8に示したDレンジ用の目標回転数を設定したテーブルについて説明する。横軸は温度、縦軸はエンジン回転数であり、実線HはステップS113で使用する第1の目標アイドル回転数テーブルで、実線LはステップS108で使用する第2の目標アイドル回転数テーブルである。
【0031】
どちらも、エンジン始動から暖機運転終了の目安温度TFまでは、温度上昇にともなってエンジン回転数が低下し、その後略一定の回転数を保ち、エンジン冷却水温が過剰に高温になった場合にはエンジン回転数は上昇する。高温部でエンジン回転数が高くなっているのは、エンジン回転を高めることによってウォーターポンプの回転を速くして、冷却水の循環量を増やし、エンジン冷却水温TWの上昇を抑えるためである。
【0032】
ステップS103で自動変速機2がDレンジ以外であった場合には、ステップS109に進み、目標アイドル回転数RTGをニュートラルレンジ(以下、Nレンジという)用の目標回転数を設定した後述する図7に示すテーブルから検索して決定する。
【0033】
ステップS104で始動時の外気温度TASが所定の温度Bより低かった場合にはステップS113に進み、目標アイドル回転数RTGを、Dレンジ用の目標アイドル回転RTGを高く設定した図8のHで示したテーブル(エンジンフリクションとATフリクションを考慮した第1の目標アイドル回転数のテーブル。以下、第1の目標アイドル回転数テーブルとする)から検出して決定する。これにより、ヒータ性能上温度調節が必要な極低温時のエンジン始動においては、目標回転数を低めに設定した図7のテーブルを検索することがなく、ヒータ性能に支障をきたすことがない。
【0034】
ステップS105でATF油温TOが所定の温度Aより低かった場合には、ステップS110で状態フラグaを1としてステップS113に進み、目標アイドル回転数RTGを、Dレンジ用の目標アイドル回転RTGを高く設定した図8のHで示したテーブルから検出して決定する。
【0035】
ステップS106で始動時のエンジン冷却水温TWSが所定の温度Aよりも低かった場合にはステップS113に進み、前述した方法と同様に、目標アイドル回転数RTGをDレンジ用の目標アイドル回転RTGを高く設定した図8のHで示したテーブルから検出して決定する。
【0036】
ステップS107で状態フラグaがゼロではなかった場合には、ステップS114に進む。ステップS114で行う制御フローを図3に示す。
【0037】
ステップS201では車両が停止して安定な状態になっているか否かを車速センサー11、スロットル開度センサー7等の検出信号に基づいて判定する。安定した状態とは、車速がゼロになり、かつ減速に伴うエンジン回転数の低下が終了し、アイドリング状態になっていることをいう。
【0038】
ステップS201で安定した停止状態であると判定された場合にはステップS202に進み、暫定目標アイドル回転数RTPを前回の目標アイドル回転数RTGから演算間隔毎の目標回転数の変化量を引いたものとし、ステップS203に進む。
【0039】
ステップS203ではステップS202で求めた暫定Dレンジ目標回転数RTPがDレンジ用の目標アイドル回転RTGを低く設定したテーブル(第1の目標アイドル回転数から低減したATフリクション分を除いた、第1の目標アイドル回転数よりも低く設定された第2の目標アイドル回転数のテーブル。以下、第2の目標アイドル回転数テーブルとする)から検索した値以上であるか否かの判定を行い、検索した値以上である場合にはステップS112に進み、目標アイドル回転数RTGを暫定Dレンジ目標回転数RTPとする。
【0040】
ステップS203で、暫定Dレンジ目標回転数RTPが検索した値より低い場合にはステップS111に進み、状態フラグaをゼロにしてステップS108に進み、目標アイドル回転数RTGを、第2の目標回転数テーブルから検索して決定する。
【0041】
ステップS201で車両が安定した停止状態ではないと判定した場合には、ステップS113に進み、目標アイドル回転数RTGを、第1の目標アイドル回転数テーブルから検出して決定する。
【0042】
図7にS109で使用するNレンジ用のテーブルを示す。Dレンジ用と同様に、エンジン始動にNレンジまで回転数が低下し続け、その後略一定の回転数を保ち、エンジン冷却水温が過剰に高温になると、エンジン回転数が上がっている。
【0043】
図6に、エンジン冷却水温TWとATF油温TOの温度上昇特性を示す。エンジン冷却水温TWは、ATF油温TOに比べて短時間で温度上昇する特性がある。
【0044】
図9に各温度の変化とそれに伴う目標回転数の変化について示す。
【0045】
エンジン回転数曲線Rは第1の目標アイドル回転数テーブルから検索した場合の目標アイドル回転数RTGで、エンジン回転数曲線Sは同じく第2の目標アイドル回転数テーブルから検索した場合の目標アイドル回転数RTGである。温度のグラフにおいて、Pはエンジン冷却水温の変化、QはATF油温の変化を表している。
【0046】
エンジン始動時に、エンジン冷却水温TWとATF油温TOがともに所定温度Aよりも低い場合には、目標アイドル回転数RTGの変化は回転数曲線Rで表される。
【0047】
エンジン始動時に、エンジン冷却水温TWとATF油温TOがともに所定温度A以上である場合には、目標アイドル回転数RTGの変化は回転数曲線Sで表される。
【0048】
エンジン始動時に、エンジン冷却水温TWは所定温度A以上であるが、ATF油温TOは所定温度Aよりも低い場合、例えば図6においてエンジン始動後にt1でエンジンを停止し、その直後にエンジンを再始動したような場合には、ATF油温TOが所定温度Aより低い間(0≦t<ta)は、目標アイドル回転数RTGは第1の目標アイドル回転数テーブルから検索するので、回転数曲線Rとなる。ATF油温TOが所定温度Aに等しくなると(t=ta)、車両が停止、かつアイドリング等が安定した状態であれば、目標回転数はステップS202で求めた暫定レンジ目標アイドル回転数RTP(図9の曲線T)となり、目標回転数曲線Sに漸近する。そして、暫定レンジ目標アイドル回転数RTPが目標回転数曲線Sと等しい値になると(t=tb)、それ以降の目標アイドル回転数RTGは目標回転数曲線Sになる。
【0049】
従来のように、目標アイドル回転数RTGの設定にATF油温を考慮しない場合には、上記のようにエンジン冷却水温TWが暖機不要な温度になっていると、ATF油温がまだ低温であっても低めの目標回転数となってしまう。しかしATF油温が低いためATフリクションが大きく、エンジン回転が不安定になる等の問題が生じる可能性がある。この問題を解消するために所定温度Aを高く設定すると、エンジンフリクション、ATフリクションともに小さくなっていても目標アイドル回転数RTGを高めに設定し、エンジン回転が吹け上がる可能性がある。
【0050】
しかし、本実施形態ではATF油温TOに応じて目標アイドル回転数RTGを切換えて、運転状況に応じてエンジンフリクションおよびATフリクションに対して最適な目標アイドル回転数RTGを設定するので、不要に高いアイドル回転数を設定することによる燃費の低下を防止し、結果として燃費の向上を図ることが可能である。
【0051】
また、渋滞中や、減速中のようにエンジン回転数が変動する時には目標アイドル回転数RTGの切換えを行わず、車両が停止、かつエンジン回転数が安定した状態でのみ目標アイドル回転数の切換えを行うので、切換えに伴う吸入空気量変化によるエンジン回転数の変動等を防止できる。
【0052】
第2実施形態について説明する。
【0053】
本実施形態は、図2のステップS114のみが第1実施形態と異なる。図10に本実施形態のステップS114で行う制御フローを示す。
【0054】
ステップS301でフラグbが1であるか否かの判定を行う。フラグbが1でない場合には、ステップS302に進み、その時のエンジン冷却水温TWを目標アイドル回転数切換時のエンジン冷却水温TWCとして読み込み、ステップS303に進む。
【0055】
ステップS303ではエンジン冷却水温TWが前述した目標アイドル回転数切換時エンジン冷却水温TWCから所定の変化量Dだけ変改したか否かを判定し、変化した場合はステップS304に進む。ここで所定の温度変化量Dとは、エンジン冷却水温TWに対するエンジン回転数の変化率を算出する際の温度の基本変化量で、エンジン冷却水温TWがD(℃)変化した時に目標アイドル回転数RTGをE(rpm)低下させることとする。
【0056】
ステップS304で暫定目標アイドル回転数RTPを次式(1)で設定し、ステップS305に進む。
【0057】
暫定目標アイドル回転数=前回計算時の目標アイドル回転数−D×E・・・(1)
ステップS305ではフラグbを1にして、ステップS306に進む。
【0058】
ステップS306ではエンジン冷却水温TWを読み込み、前回更新エンジン冷却水温としてステップS307に進む。
【0059】
ステップS307では暫定目標アイドル回転数RTPが第2の目標アイドル回転数テーブルから検索したエンジン冷却水温TW以上であるか否かの判定をおこない、テーブル値以上である場合にはステップS112へ進む。
【0060】
テーブル値より低い場合はステップS309へ進み、フラグbをゼロにしてステップS111に進む。
【0061】
ステップS301でフラグbが1である場合は、ステップS308に進み、エンジン冷却水温TWが前回更新エンジン冷却水温から所定の温度変化量Dだけ変化したか否かの判定を行い、変化した場合はステップS304へ、変化していない場合はステップS112へ進む。
【0062】
ステップS303で目標アイドル回転数切換え時のエンジン冷却水温に所定の温度変化量Dを加えたものがエンジン冷却水温TWと等しくない場合には、ステップS112に進む。
【0063】
上記の制御により、本実施形態では、第1の目標アイドル回転数テーブルを選択した後、エンジン暖機途中でATF油温TOが所定値A以上となった場合に、エンジン冷却水温に対する回転数の所定の変化率をもって徐々に第2の目標アイドル回転数テーブルへ漸近させる。
【0064】
図11に上記制御をタイムチャートに表す。図9と同様にエンジン回転数曲線Rは第1の目標アイドル回転数テーブルから検索した場合の目標アイドル回転数RTGで、エンジン回転数曲線Sは同じく第2の目標アイドル回転数テーブルから検索した場合の目標アイドル回転数RTGである。温度のグラフにおいて、Pはエンジン冷却水温の変化、QはATF油温の変化を表している。
【0065】
エンジン始動時に、エンジン冷却水温TWは所定温度A以上であるが、ATF油温TOは所定温度Aよりも低い場合、ATF油温TOが所定温度Aより低い間(0≦t<ta)は、目標アイドル回転数RTGは第1の目標アイドル回転数テーブルから検索するので、回転数曲線Rとなる。ATF油温TOが所定温度Aに等しくなると(t=ta)、車両が停止、かつアイドリング等が安定した状態であれば、目標回転数はステップS304で求めたエンジン冷却水温TWに対する所定の変化率で変化する暫定レンジ目標アイドル回転数RTP(図11の直線U)となり、目標回転数曲線Sに漸近する。そして、暫定レンジ目標アイドル回転数RTPが目標回転数曲線Sと等しい値になると(t=tb)、それ以降の目標アイドル回転数RTGは目標回転数曲線Sになる。
【0066】
以上により、本実施形態ではエンジン冷却水温TWに対するアイドル回転数の所定の変化率を設けて、エンジン冷却水温TWに応じて目標アイドル回転数RTGを下げながら目標アイドル回転数テーブルの乗換えを行うので、スムーズな乗換えが可能となる。
【0067】
なお、本実施形態ではエンジン始動時に目標アイドル回転数テーブルの選択を行ったが、エンジン始動後所定時間経過後にテーブルの選択を行ってもよい。
【0068】
エンジン始動直後はエンジン各部の温度が安定状態にないため、燃焼状態も安定しない。そこで、燃焼状態が安定するまでの、例えば始動後30秒間は、高い目標アイドル回転数RTGを設定して早期に燃焼を安定させることを優先し、燃焼状態が安定した後に前述したテーブル選択を行うことにすれば、より効率よく目標アイドル回転数RTGの制御を行うことが可能となる。
【0069】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のシステム構成を表す図である。
【図2】第1実施形態の制御を表すフローチャートである。
【図3】第1実施形態において、図2のステップS114にて行う制御のフローチャートである。
【図4】ATF油温に対するATフリクションの変化を表す図である。
【図5】エンジン冷却水温に対するエンジンフリクションの変化を表す図である。
【図6】エンジン始動後のエンジン冷却水温とATF油温の変化を表す図である。
【図7】Nレンジ用の目標アイドル回転数を設定したテーブルである。
【図8】エンジン冷却水温に対するDレンジ用の目標アイドル回転数を設定したテーブルである。
【図9】第1実施形態における目標アイドル回転数の切換えのタイムチャートである。
【図10】第2実施形態において図2のステップS114にて行う制御のフローチャートである。
【図11】第2実施形態における目標アイドル回転数の切換えのタイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 自動変速機
3 車輪
4 コントロールユニット
5 外気温センサー
6 冷却水温センサー
7 スロットル開度センサー
8 ATF油温センサー
9 ニュートラルスイッチセンサー
10 ギヤポジションセンサー
11 車速センサー
Claims (6)
- エンジンのアイドル回転数を目標アイドル回転数となるように制御するアイドル回転数制御装置において、
自動変速機作動油の温度を検出する自動変速機作動油温検出手段を設け、
前記自動変速機作動油の温度が所定温度より低い時のフリクションを高フリクション、前記自動変速機作動油の温度が所定温度より高い時のフリクションを低フリクションとして、
前記高フリクションに対応させた第1の目標アイドル回転数を設定する第1目標アイドル回転数設定手段と、
前記低フリクションに対応させた第1の目標アイドル回転数よりも低い第2の目標アイドル回転数を設定する第2目標アイドル回転数設定手段とを設け、
自動変速機作動油温に応じて第1の目標アイドル回転数もくしは第2の目標アイドル回転数のいずれか一方をエンジン始動時から逐次選択する目標アイドル回転数選択手段を設けたことを特徴とするアイドル回転数制御装置。 - エンジン始動時に、前記目標アイドル回転数選択手段がエンジン始動時の自動変速機作動油温に基づいて第1の目標アイドル回転数を選択した後、エンジン暖機途中で自動変速機作動油温が暖機不要な温度まで上昇した場合に、目標アイドル回転数を前記第1の目標アイドル回転数から第2の目標アイドル回転数へ漸近するように移行させる目標アイドル回転数補正手段を備えた請求項1に記載のアイドル回転数制御装置。
- エンジン始動時に、前記目標アイドル回転数選択手段が、エンジン始動時の自動変速機作動油温に基づいて第1の目標アイドル回転数を選択した後、エンジン暖機途中で自動変速機作動油温が暖機不要な温度まで上昇した場合に、目標アイドル回転数を前記第1の目標アイドル回転数から第2の目標アイドル回転数へ、冷却水温に対する所定の変化率をもって移行させる目標アイドル回転数補正手段を備えた請求項1に記載のアイドル回転数制御装置。
- 前記目標アイドル回転数選択手段は、エンジン始動から所定時間が経過するまでは目標アイドル回転数の選択を禁止して、自動変速機作動油温にかかわらず前記第1の目標アイドル回転数を選択して、所定時間経過後に自動変速機作動油温に基づいて第1もしくは第2の目標アイドル回転数を選択する請求項2または3のいずれかに記載のアイドル回転数制御装置。
- 前記目標アイドル回転数選択手段は、所定の外気温度以上になったときに前記第2の目標アイドル回転数を選択する請求項1に記載のアイドル回転数制御手段。
- 前記目標アイドル回転数選択手段は、車両が停止かつエンジン回転数が安定状態のときに前記第1の目標アイドル回転数から第2の目標アイドル回転数経の切換えを行う請求項1から5のいずれかに記載のアイドル回転数制御装置。
Priority Applications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2003
- 2003-01-09 JP JP2003003596A patent/JP2004218451A/ja active Pending
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