JP2018044456A - 内燃機関の制御装置及び制御方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2には、通常制御時の点火時期を遅角した触媒暖機用の点火時期マップと、触媒暖機用の点火時期マップに対応して通常制御時のスロットル開度を増大させたスロットル開度マップとをセットし、触媒暖機制御開始後の経過時間が設定時間に達すると、触媒暖機用の点火時期マップ及びスロットル開度マップから通常制御用の点火時期マップ及びスロットル開度マップに切り換える、エンジンの触媒暖機制御装置が開示されている。
アイドル運転中に点火時期の補正によって機関回転速度を目標アイドル回転速度に近づけるアイドル回転速度制御が実施される内燃機関では、始動後の冷機状態でのアイドル運転中に吸入空気量不足に因る機関回転速度の低下が発生すると、点火時期を進角させて機関回転速度を目標アイドル回転速度に近づける制御が実施される。
ここで、汚れやつまりの蓄積に因る吸入空気量不足を暖機後のアイドル運転状態で学習させた場合、始動後の冷機状態でのアイドル運転中は暖機後よりも要求空気量が多いために学習結果が適合せず、学習結果に基づく補正を実施しても機関回転速度が目標よりも低くなり、結果、点火時期が進角補正されて、触媒温度の低下を十分に抑制できないという問題が生じる。
また、本願発明に係る内燃機関の制御方法は、吸入空気量を調整する空気量調整手段を備えた内燃機関の制御方法であって、前記内燃機関が冷機状態のアイドル運転中であるときに排気温度を検出するステップと、排気温度の検出値と所定温度とを比較するステップと、排気温度の検出値が前記所定温度よりも低いときに前記空気量調整手段により吸入空気量を増量するステップと、を含む。
図1は、本発明を適用する内燃機関の一態様を示す全体構成図である。
内燃機関10は、図示しない車両に走行駆動源として搭載される4サイクル4気筒直列機関である。
内燃機関10の吸気ダクト11には、電制スロットル12が配設される。
一方、内燃機関10の排気ポートには、排気マニホールド14の各ブランチ部14bが連結され、排気マニホールド14の集合部14aには、排気ダクト15の一方端が連結される。
また、各気筒には、点火コイルと点火プラグとを含む点火装置18をそれぞれに設けてある。
電子制御装置20は、電制スロットル12の目標開度を演算し、開度検出値TVOが目標開度に近づくように電制スロットル12のモータに開度制御信号を出力する。また、電子制御装置20は、点火装置18による目標点火時期を演算し、係る目標点火時期に応じた点火コイルの通電タイミングを検出して点火装置18に点火制御信号を出力する。
上記の各種センサとして、電制スロットル12の上流側の吸気ダクト11に配設されて内燃機関10の吸入空気流量QAを検出するエアフローセンサ21、第1触媒コンバータ16上流側の排気ダクト15に配設されて第1触媒コンバータ16に流入する排気の温度TEを検出する排気温度センサ22、内燃機関10のクランクシャフトの角度位置APを検出するクランク角センサ23、内燃機関10の冷却水の温度TWを検出する水温センサ24、内燃機関10が搭載される車両の走行距離TDを検出する走行距離センサ25、車両の運転者が操作するアクセルの開度ACを検出するアクセル開度センサ26、運転者による始動操作SOを検出するキースイッチ27、電制スロットル12の開度TVOを検出するスロットル開度センサ28などを設けてある。
なお、水温検出値TWは、内燃機関10の温度(機関温度)を代表する状態量である。
そして、電子制御装置20は、スロットル開度センサ28の出力信号から求めたスロットル開度検出値TVOと目標開度とを比較し、スロットル開度検出値TVOが目標開度に近づくように電制スロットル12の指令値を決定し、係る指令値に応じた開度制御信号を電制スロットル12に出力する。
なお、電子制御装置20は、アイドル回転速度制御による点火時期の補正において、予め設定された点火時期の可変範囲内(進角限界と遅角限界とで挟まれる領域内)で点火時期を変更する。
図2のフローチャートは電子制御装置20による空気量増量の設定処理の手順を示す。
まず、電子制御装置20は、ステップS50で、内燃機関10が冷機状態(暖機中)のアイドル運転中であるか否かを判別する。電子制御装置20は、水温検出値TWが暖機完了温度よりも低く、かつ、アクセル開度(スロットル開度)が所定開度以下であるときに、冷機状態のアイドル運転中であることを検出する。
電子制御装置20は、ステップS51で、車両の走行距離TDを読み込み、次のステップS52では、排温検出値TEをサンプリングすると共に、サンプリングした排温検出値TEの統計処理を実施する。
設定温度TETHは、吸気系での汚れの蓄積に伴う吸入空気量の低下を補償する必要があるか否かを区別するための閾値であり、予め実験やシミュレーションに基づき適合されて電子制御装置20のメモリに記憶される。
一方、排温検出値TEtdが設定温度TETHを下回る場合、吸入空気量の増量補正が必要とされるほどに吸気系で汚れが蓄積している可能性があるので、電子制御装置20は、ステップS54に進む。
点火時期の進角補正量が設定値以下である場合は、吸気系の汚れによる吸入空気量の低下が少なく、吸入空気量の低下によるアイドル回転速度の低下を補償するための点火時期の進角補正量が小さいことを示すので、電子制御装置20は、吸入空気量の増量補正を設定することなく、本ルーチンを終了させる。
そこで、電子制御装置20は、点火時期の進角補正量が設定値を超えている場合、ステップS55に進み、冷機アイドル運転状態(始動後のアイドル放置状態)での吸入空気量を増量補正する設定を行う。
電子制御装置20は、ステップS71で、吸入空気量の増量補正が設定されたか否かを判別し、吸入空気量の増量補正が設定されていない状態(換言すれば、吸気系の汚れが少なく増量補正が必要でない状態)であれば、そのまま本ルーチンを終了させる。
つまり、吸入空気量が増量補正されるとアイドル回転速度が上昇し、係る回転上昇を相殺するように点火時期が遅角されるため、電子制御装置20は、点火時期の遅角側への変化代に基づき吸入空気量が十分に増量されたか否かを判断する。
そして、電子制御装置20は、進角補正量が所定以下に減るまで(点火時期がアイドル回転制御なしでの基本点火時期に近づくまで)、ステップS73での増量補正を繰り返すことで、吸入空気量の増量補正量を徐々に増やし、進角補正量が所定以下に減った時点で、吸入空気量を更に増やす処理を停止させ、直前まで徐々に増やした増量分を維持する。
なお、電子制御装置20は、点火時期を監視しつつ吸入空気量の増量補正量を徐々に増やすときに、最初は速い速度で吸入空気量を増やし、その後、吸入空気量の増量速度を徐々に遅くすることができる。
また、電子制御装置20は、点火時期の進角補正量が所定以下に減ると見込まれる所定の吸入空気量にまで吸入空気量をステップ的に補正することができる。
アイドル運転中の吸入空気量の低下によってアイドル回転速度が低下すると、電子制御装置20は、点火時期を進角させてアイドル運転中の機関回転速度を目標アイドル回転速度にまで上昇させようとする。
そこで、電子制御装置20は、冷機アイドル運転中に排気温度を検出し、係る排気温度のデータに基づき、吸気系の汚れに因って吸入空気量が低下している状態であるか否かを検出し、吸入空気量の低下状態であれば吸入空気量を増やす。
これにより、吸気系の汚れによって冷機アイドル運転中の吸入空気量が減って排気温度が下がり、これに伴って第1触媒コンバータ16の温度が低くなって転換効率が落ち、HC排出量が増加するなど排気性状が悪化することを抑制できる。
まず、電子制御装置20は、ステップS101で、走行距離センサ25で検出される車両の走行距離TD(km)が所定距離TDS(例えば、4000km)以上になっているか否かを判別する。
なお、電子制御装置20は、内燃機関10のフリクション状態を走行距離TDに基づき推定する代わりに、例えば内燃機関10の累積運転時間、内燃機関10の負荷の累積値、内燃機関10の回転数の累積値などに基づき内燃機関10のフリクション状態を推定することができる。
一方、走行距離TDが所定距離TDS以上である場合、換言すれば、内燃機関10のフリクションが十分に低くなっていると推定される場合、電子制御装置20は、ステップS102に進む。
前記所定温度範囲は、例えば10℃−40℃の温度範囲であり、内燃機関10の吸気系における汚れの蓄積などに因るアイドル運転時の吸入空気量の低下を排温検出値TEに基づき推定し、吸入空気量の増量補正を実施する適正温度範囲として予め適合されている。
一方、始動時水温TWSが前記所定温度範囲内である場合(10℃≦TWS≦40℃である場合)、吸入空気量低下の推定及び吸入空気量の増量補正を実施する始動条件を満たすので、電子制御装置20は、ステップS103以降に進んで排温検出値TEのサンプリング処理を実行する。
例えばステップS102の所定温度範囲を10℃−40℃とするとき、電子制御装置20は、係る温度範囲をそれぞれが10℃の幅をもつ3領域に区分し、低温度領域を10℃−20℃の温度範囲とし、中温度領域を20℃−30℃の温度範囲とし、高温度領域を30℃−40℃の温度範囲とする。
ステップS104で、電子制御装置20は、内燃機関10を始動してからの経過時間が始動直後の所定期間内(サンプリング処理の初期期間、第1期間)であるか否かを検出する。電子制御装置20は、例えば、始動後の経過時間が0sec−10secである期間をサンプリング処理の初期期間とすることができる。
ここで、電子制御装置20がステップS105で求める排温検出値TEは、始動時水温TWSが例えば10℃−20℃の範囲内であったときのデータであり、始動時水温TWSが異なると、初期期間内での排温検出値TEが影響を受けてばらつくことになる。
また、電子制御装置20は、始動時水温TWSが低温度領域内であるときにサンプリング処理の初期期間内でサンプリングして正規化した排温検出値TEnの平均値を求め、当該平均値を今回のトリップで得た低温度領域かつ初期期間内でのサンプリングデータとしてメモリに保存する。
そして、電子制御装置20は、次のステップS106に進み、低温度領域かつ初期期間内での排温データとして排温TEtdをメモリに保存する。
始動時水温TWSが低温度領域であってかつサンプリング処理の中間期間内であるとき、電子制御装置20は、ステップS108に進み、ステップS105と同様に、排温検出値TEの統計処理を実施し、次のステップS109では、統計処理で得た排温TEtdを、低温度領域かつ中間期間内での排温データとしてメモリに保存する。
始動時水温TWSが低温度領域であってかつサンプリング処理の終期期間内であるとき、電子制御装置20は、ステップS111に進み、ステップS105と同様に、排温検出値TEの統計処理を実施し、次のステップS112では、統計処理で得た排温TEtdを、低温度領域かつ終期期間内での排温データとしてメモリに保存する。
このように、電子制御装置20は、始動時水温TWSが低温度領域内であるトリップにおいて、機関始動後の初期期間(0〜10sec)、中間期間(10〜20sec)、終期期間(20〜30sec)のそれぞれにおいて排温TEtdを求めてメモリに格納する。
なお、各サンプリング期間は10sec間に限定されず、また、電子制御装置20は、排気温のサンプリングを行わない待機時間をサンプリング期間とサンプリング期間との間に設定することができる。
ステップS113で、電子制御装置20は、始動時水温TWSが中温度領域(20℃−30℃)に該当するか否かを検出する。
更に、電子制御装置20は、ステップS113で始動時水温TWSが中温度領域(及び低温度領域)に該当しないことを検出した場合、つまり、始動時水温TWSが所定温度範囲(10℃−40℃)に含まれるが、低温度領域(10℃−20℃)と中温度領域(20℃−30℃)とのいずれにも該当せず、高温度領域(30℃−40℃)に該当する場合、ステップS123−ステップS131の処理を実施して、ステップS104−ステップS112での処理と同様に初期期間(第1期間)、中間期間(第2期間)、終期期間(第3期間)のそれぞれで排温TEtdを求めてメモリに格納する。
このように、電子制御装置20は、異なる始動時水温TWS別、かつ、始動からの経過時間別(0〜10sec、10〜20sec、20〜30sec)に排気温度をそれぞれサンプリングして統計処理し、処理結果をメモリに格納する(図8参照)。
また、電子制御装置20は、始動からの経過時間別に求めた複数の排温TEtdに重み付けを行って代表温度を設定し、係る代表温度と設定温度TETHとを比較することができる。
また、電子制御装置20は、始動時水温TWS別に、例えば経過時間0−10sec間での排温TEtdのみを求め、この経過時間0−10sec間での排温TEtdが設定温度TETHよりも低いときに、ステップS54に進むように構成することができる。
上記実施形態では、空気量調整手段を電制スロットル12とするが、例えば、吸気バルブのバルブタイミングを可変とする可変動弁機構を空気量調整手段として用いることができ、空気量調整手段は電制スロットル12に限定されない。
また、上記実施形態では、電子制御装置20は、走行距離TDが所定距離以上になってから排気温度のサンプリング処理を実施するが、電子制御装置20は、走行距離TDが短いほど設定温度TETHをより低く設定するなどして、内燃機関10の新品状態では空気量の増量補正が実施され難いようにした上で、内燃機関10の新品状態から排気温度のサンプリング処理を実施することができる。
内燃機関の制御装置は、その一態様として、吸入空気量を調整する空気量調整手段を備えた内燃機関の制御装置であって、前記内燃機関が冷機状態のアイドル運転中であるときの排気温度を検出し、排気温度が所定温度よりも低いときに前記空気量調整手段により吸入空気量を増量する空気量増量手段を備える。
別の好ましい態様では、前記空気量増量手段は、前記点火制御手段による点火時期の進角側への変更が大きくなるほど吸入空気量をより大きく増量する。
さらに別の好ましい態様では、前記空気量増量手段は、始動時における機関温度を検出し、検出した始動時の機関温度に基づき、始動から所定時間内における排気温度の検出値を基準の始動時機関温度での排気温度に変換する。
さらに別の好ましい態様では、前記内燃機関は、排気通路に、第1触媒、前記第1触媒下流側に配置される第2触媒、及び前記第1触媒の上流側に配置されて排気温度に応じた信号を出力する排気温センサを備え、前記空気量増量手段は、前記排気温センサが出力する信号に基づき排気温度を検出する。
Claims (8)
- 内燃機関の吸入空気量を調整する空気量調整手段を備えた、内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関が冷機状態のアイドル運転中であるときの排気温度を検出し、排気温度が所定温度よりも低いときに前記空気量調整手段により吸入空気量を増量する空気量増量手段を備えた、内燃機関の制御装置。 - 前記制御装置は、アイドル運転中の機関回転速度と設定回転速度との比較に応じて点火時期を変更する点火制御手段を更に備え、
前記空気量増量手段は、排気温度が前記所定温度よりも低く、かつ、前記点火制御手段により点火時期が所定以上に進角されているときに、前記空気量調整手段により吸入空気量を増量する、請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 前記空気量増量手段は、前記点火制御手段による点火時期の進角側への変更が大きくなるほど吸入空気量をより大きく増量する、請求項2記載の内燃機関の制御装置。
- 前記空気量増量手段は、排気温度が前記所定温度よりも低くなるほど吸入空気量をより大きく増量する、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
- 前記空気量増量手段は、始動時における機関温度を検出し、検出した始動時の機関温度に基づき、始動から所定時間内における排気温度の検出値を基準の始動時機関温度での排気温度に変換する、請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
- 前記空気量増量手段は、前記内燃機関が走行駆動源として搭載される車両の走行距離が所定距離を超えていることを条件として、前記空気量調整手段により吸入空気量を増量する、請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
- 前記内燃機関は、排気通路に、第1触媒、前記第1触媒下流側に配置される第2触媒、及び前記第1触媒の上流側に配置されて排気温度に応じた信号を出力する排気温センサを備え、
前記空気量増量手段は、前記排気温センサが出力する信号に基づき排気温度を検出する、請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。 - 吸入空気量を調整する空気量調整手段を備えた内燃機関の制御方法であって、
前記内燃機関が冷機状態のアイドル運転中であるときに排気温度を検出するステップと、
排気温度の検出値と所定温度とを比較するステップと、
排気温度の検出値が前記所定温度よりも低いときに前記空気量調整手段により吸入空気量を増量するステップと、
を含む、内燃機関の制御方法。
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