JP2010014036A - 内燃機関の停止時間推定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】幅広い運転条件に対して、内燃機関の停止時間を精度よく推定する。
【解決手段】内燃機関1の始動時の吸気入口通路10内の温度と内燃機関1の前回の停止時における吸気入口通路10内の温度とによって決まる内燃燃機1の停止中の内燃機関1からの放熱による吸気入口通路10内の温度変化特性と、内燃機関1の始動時の冷却水温度と内燃機関1の前回の停止時における冷却水温度とによって決まる内燃機関1の停止中の冷却水温度変化特性と、を用いて内燃機関1の前回の停止時から内燃機関1の今回の始動までの機関推定停止時間TSOAKを算出する。これによって、幅広い運転条件に対して、内燃機関1の停止時間を精度よく推定することができる。
【選択図】図3
【解決手段】内燃機関1の始動時の吸気入口通路10内の温度と内燃機関1の前回の停止時における吸気入口通路10内の温度とによって決まる内燃燃機1の停止中の内燃機関1からの放熱による吸気入口通路10内の温度変化特性と、内燃機関1の始動時の冷却水温度と内燃機関1の前回の停止時における冷却水温度とによって決まる内燃機関1の停止中の冷却水温度変化特性と、を用いて内燃機関1の前回の停止時から内燃機関1の今回の始動までの機関推定停止時間TSOAKを算出する。これによって、幅広い運転条件に対して、内燃機関1の停止時間を精度よく推定することができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、吸気通路内の温度を利用して内燃機関の停止時間を推定する内燃機関の停止時間推定装置に関する。
特許文献1には、機関内部あるいはその周辺に互いに異なる対象物の温度を検知する3個以上のセンサを設け、これら各センサにより、少なくとも内燃機関の停止時と、内燃機関の再始動時における温度を検出し、前記対象物のうち互いに熱的接触のある2つの対象物の内燃機関停止中の熱平衡現象を利用して、内燃機関の停止時間を算出する技術が開示されている。
特開2004−44432号公報
しかしながら、このような特許文献1においては、センサで温度を検知する対象物の熱容量が大きい場合には、内燃機関の停止直後からの一定期間は温度が殆ど変化しないため、内燃機関の停止から再始動までの時間が短いような場合には、内燃機関の停止時間を推定することができないという問題がある。
そこで、本発明は、内燃機関の停止時間推定装置は、内燃機関の始動時の吸気通路内の温度と当該内燃機関の前回の停止時における吸気通路内の温度とによって決まる当該内燃燃機の停止中の当該内燃機関からの放熱による吸気通路内の温度変化特性と、前記内燃機関の始動時の冷却水温度と当該内燃機関の前回の停止時における冷却水温度とによって決まる当該内燃機関の停止中の冷却水温度変化特性と、を用いて前記内燃機関の前回の停止時から当該内燃機関の今回の始動までの機関推定停止時間を算出することを特徴としている。
本発明によれば、熱容量の小さい吸気通路内の空気の温度と、熱容量の大きい冷却水の温度と、を併用して内燃機関の停止時間を推定することで、幅広い運転条件に対して、内燃機関の停止時間を精度よく推定することができる。
また、熱容量の大きい冷却水の温度のみを用いて内燃機関の停止時間を推定する場合には、内燃機関の停止時間が短いと、応答性が悪く、内燃機関の停止時間を正確に推定することは難しいが、熱容量の小さい吸気通路内の空気の温度も内燃機関の停止時間を推定するに当たって利用しているので、冷却水の温度に変化が現れにくい、内燃機関の停止時間が短い場合についても精度よく推定することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、この発明に係る内燃機関の停止時間推定装置のシステム構成も模式的に示した説明図ある。
火花点火式ガソリン機関からなる内燃機関1は、吸気弁2と排気弁3とを有している。
各気筒の排気を集合させる排気マニホルド4の出口側は、触媒コンバータ5に接続されており、かつこの触媒コンバータ5の上流位置に、空燃比を検出するための空燃比センサ6が設けられている。
各気筒の吸気ポートに向かって各気筒毎に燃料を噴射供給するように燃料噴射弁7が設けられている。この吸気ポートには、ブランチ通路8がそれぞれ接続され、かつこの複数のブランチ通路8の上流端が、コレクタ9に接続されている。コレクタ9の一端には、吸気通路としての吸気入口通路10が接続されており、この吸気入口通路10に、電子制御のスロットル弁11が設けられている。このスロットル弁11は、電気モータからなるアクチュエータ11aを備え、エンジンコントロールユニット12(以下、ECU12と記す)から与えられる制御信号によって、その開度が制御される。尚、各気筒の吸気ポート及びコレクタ9も吸気通路を構成するものである。
また、スロットル弁11の上流には、吸気入口通路10内の温度を検知する吸気通路内温度検知手段としての吸気温センサ13が配置されている。尚、吸気温センサ13の配置される位置は、必ずしも吸気入口通路10に限定されるものではなく、例えばスロットル弁11下流のコレクタ9に配置することも可能である。
シリンダブロックには、内燃機関1の冷却水温度を検知する冷却水温度検知手段としての冷却水温センサ14が取り付けられている。
また、機関回転速度およびクランク角位置を検出するために、クランクシャフトに対してクランク角センサ15が設けられており、さらに、運転者により操作されるアクセルペダル開度(踏込量)を検出するアクセル開度センサ16を備えている。
クランク角センサ15及びアクセル開度センサ16の検出信号は、上記の空燃比センサ6、吸気温センサ13、冷却水温センサ14等の検出信号や、スロットル弁11よりも上流側に配置されたエアフローメータ17の検出信号とともに、ECU12に入力されている。ECU12では、これらの検出信号に基づいて、燃料噴射弁7の噴射量や噴射時期、点火プラグ18による点火時期、スロットル弁11の開度、などを制御する。また、ECU12には、運転者によるエンジンキーのオン/オフ信号が入力されている。
ここで、内燃機関1の吸気入口通路10内の温度は、内燃機関1運転中は外部から空気が吸入されるため環境温度(外気温度)と一致するが、内燃機関1が停止すると外部からの空気の吸入が停止するのため、内燃機関1が停止すると内燃機関1自身の熱が伝達されて環境温度よりも温度が上昇する。尚、内燃機関1は、放熱により徐々に冷却されていくので、内燃機関1の温度は、停止時間が十分に長くなると環境温度と一致する。つまり、吸気入口通路10内の温度は、内燃機関1の停止直後から上昇し始めるが、内燃機関の冷却に伴い、やがて低下し始め、停止時間が十分に長くなると環境温度と一致する。また、内燃機関1が冷却される速度は、内燃機関1が停止した時点における内燃機関1の暖機の度合、すなわち内燃機関1が停止した時点で当該内燃機関1が持つ熱量や、内燃機関1が停止した時点の環境温度(大気温度)によっても変化する。
そのため、内燃機関1の停止後の吸気入口通路10の吸気温センサ13位置における温度変化特性は、図2に示すように、環境条件や直前の運転状況によって変化することになる。図2は、内燃機関の停止後の吸気系内の所定位置における温度上昇の特性を模式的に示した説明図であって、特性線Aは環境温度が−20℃での始動から冷却水温度が0℃になるまで内燃機関を運転後に内燃機関を停止した場合、特性線Bは環境温度が20℃での始動から冷却水温度が30℃になるまで内燃機関を運転後に内燃機関を停止した場合、特性線Cは環境温度が0℃での始動から冷却水温度が10℃になるまで内燃機関を運転後に内燃機関を停止した場合、をそれぞれ示している。
そこで、本実施形態では、内燃機関1停止中の吸気入口通路10内の温度上昇特性が、環境温度や直前の運転状況によって変化することを考慮した上で、内燃機関1の始動時に、内燃機関1停止中の吸気入口通路10内の温度上昇特性を利用して、内燃機関1の前回の停止時から内燃機関1の今回の始動までの機関推定停止時間を算出する。
図3は、内燃機関1が停止してから再始動するまでの時間を推定する際の制御の流れを示すフローチャートである。尚、この図3に示す制御は、ECU12で実行されるものである。
ステップ(以下、単にSと記す)1では、運転者によるエンジンキーのON信号を受信し、ECU12に通電が開始されたらS2へ進む。
S2では、前回内燃機関1を停止した際、つまり直前の内燃機関1の停止時、に記憶しておいた各種パラメータをECU12の記憶領域(バックアップRAM)から呼び出す。詳述すると前回内燃機関1を停止した際の冷却水温度である前回機関停止時水温TWNKO、前回内燃機関1を停止した際の吸気温度である前回機関停止時吸気温TANKO、前回内燃機関1を停止した際の環境温度(大気温度)である前回機関停止時環境温度TENVKO(算出方法については後述)及び前回暖機運転時間DANKIDOを呼び出す。ここで、本実施形態における前回暖機運転時間DANKIDOは、前回内燃機関1を運転した際の始動時から停止時までの水温の変化量である。従って、本実施形態においては、前回内燃機関1を運転した際の始動時の冷却水温センサ14の検出値と、停止時の冷却水温センサ14の検出値とを用いて前回内燃機関1を運転した際の始動時から停止時までの水温の変化量を算出する処理(ECU12内で行われる)が暖機度合検知手段に相当する。
S3では、冷却水温センサ14から始動時水温TWINTを検出し、吸気温センサ13から始動時吸気温TAINTを検出する。ここで、始動時吸気温TAINTは、内燃機関1始動時の吸気入口通路10内の温度を表すことになる。
S4では、始動時吸気温TAINT及び前回機関停止時吸気温TANKOから、環境温度TENVを演算する。詳述すると、始動時水温TWINTが所定の基準温度以下(例えば30℃以下)で、TWINT−TAINTが所定の基準値以下(例えば1℃以下)の場合には、TENV=TAINTとし、それ以外の場合にはTENV=min(TANVKO、TAINT)とする。つまり、このS4で行われる処理が、環境温度検知手段に相当するものである。
尚、吸気温センサ13は、ECU12の通電中は常に吸気温TANを検知しており、吸気温センサ13の検出値をTANとすると、始動時のTANがTAINTであり、停止時のTANがTANVKOとなっている。
S5では、前回の内燃機関1の停止から今回の内燃機関1の始動までの間の冷却水温度の低下が所定の基準値以下であるか否かを判定する。具体的には、TWNKO−TWINTが所定の基準値THSKTWN(例えば1℃)以下であれば、吸気温センサ13の検出値を用いて、内燃機関1の前回の停止時から内燃機関1の今回の始動までの機関推定停止時間TSOAKを算出すべくS6へ進み、TWNKO−TWINTが所定の基準値THSKTWNよりも大きい場合には、冷却水温センサ14の検出値を用いて内燃機関1の前回の停止時から内燃機関1の今回の始動までの機関推定停止時間TSOAKを算出すべくS10へ進む。
これは、内燃機関1の前回の停止時から内燃機関1の今回の始動までの時間が短い場合には、冷却水温度が殆ど低下しないため、冷却水温度の低下を利用して内燃機関1の停止時間を精度よく推定できないためである。また、内燃機関1の前回の停止時から内燃機関1の今回の始動までの時間が長い場合には、吸気温度が環境温度と一致してしまうと、吸気温度を利用して内燃機関1の停止時間を精度よく推定できないためである。
つまり、このS5は、内燃機関1が長時間(例えば10分以上)停止していたか否かを判定し、内燃機関1の停止が長時間(例えば10分以上)と予想される状況では、S10へ進んで冷却水温度の変化(低下)を利用して内燃機関1の停止時間を推定し、内燃機関1の停止が短時間(例えば10分未満)と予想される状況では、S6へ進んで吸気温度の変化(上昇)を利用して内燃機関1の停止時間を推定する。
S6では、前回暖機運転時間DANKIDO及び環境温度TENVがそれぞれがともに所定の規定範囲内にあるか否かを判定し、両者とも所定の規定範囲内にあれS7へ進み、そうでない場合にはS9へ進む。
詳述すると、前回暖機運転時間DANKIDOが予め設定された閾値DANKIDO1よりも大きくかつ予め設定された閾値DANKIDO3以下であり、さらに環境温度TENVが予め設定された閾値TENV1よりも大きくかつ予め設定された閾値TENV3以下の場合にはS7へ進み、そうでない場合にはS9へ進む。
S7では、前回暖機運転時間DANKIDO及び環境温度TENVから今回使用すべき吸気温上昇特性テーブルを選択する。ここで、吸気温上昇特性テーブルは、図4に示すように、前回暖機運転時間DANKIDOと環境温度TENVに応じて異なる吸気温上昇特性テーブルが選択されるよう設定されている。本実施形態においては、吸気温センサ13の検出値を用いて機関推定停止時間TSOAKを算出する場合、4つの吸気温上昇特性テーブルの中から前回暖機運転時間DANKIDOと環境温度TENVとに応じて1つの吸気温上昇特性テーブルが選択される。各吸気温上昇特性テーブル(SKTAN1〜4)は、縦軸が吸気温度上昇分、横軸が内燃機関1の停止時間を表すものであり、吸気温度上昇分から機関推定停止時間TSOAKが算出される。ここで、吸気温度上昇分は、具体的には、前回機関停止時吸気温TANKOから始動時吸気温TAINTを減じた値(TANKO−TAINT)である。また、各吸気温上昇特性テーブルは、環境温度TENVが低いときに選択されるものほど(TANKO−TAINT)の値が同じであっても算出される機関推定停止時間TSOAKが短くなるように補正され、前回暖機運転時間DANKIDOが大きいときに選択されるものほど(TANKO−TAINT)の値が同じであっても算出される機関推定停止時間TSOAKが短くなるように補正されている。つまり、機関推定停止時間TSOAKは、環境温度が低くなるほど短くなるよう補正されると共に、前回の停止時における内燃機関1の暖機の度合が大きくなるほど短くなるよう補正される。
環境温度が低い場合、吸入空気の温度は低くなる。吸入空気の温度が低いと、吸入空気の密度は大きくなる。つまり、環境温度が低いと、内燃機関1の停止時に吸気入口通路10内に滞留する空気の密度は相対的に大きなものとなる。そして、空気密度が大きいほど、内燃機関1の停止後に内燃機関1からの熱の伝達速度は早くなるため、内燃機関1の停止後に吸気入口通路10内の温度上昇は早くなるため、機関推定停止時間TSOAKは、環境温度が低くなるほど短くなるよう補正されるのである。
また、内燃機関1の暖機の度合が大きいほど、内燃機関1の温度が高くなっているため、内燃機関1の停止後に吸気入口通路10内の温度上昇は早くなるため、機関推定停止時間TSOAKは、内燃機関1の暖機の度合が大きくなるほど短くなるよう補正されるのである。
そして、S8では、選択された吸気温上昇特性テーブルを用いて、機関推定停止時間TSOAKを算出する。
S9では、機関推定停止時間TSOAKを所定の値Pとする。S9で機関推定停止時間TSOAKを算出する状況は、上述した図4において、前回暖機運転時間DANKIDOと環境温度TENVとが吸気温上昇特性テーブルが割り付けられていない領域(図4中の斜線部分)にある場合、すなわち吸気温上昇特性テーブルが選択されない場合であり、機関推定停止時間TSOAK算出エラーとして所定値P(例えばP=∞)を算出する。つまり、S9では、内燃機関1が長時間止まっていたと判断し、実質的には、機関推定停止時間TSOAKを算出しないことになる。ここで、上記所定値Pは、S8及びS10(後述)で算出される可能性のある機関推定停止時間TSOAKよりも大きい値に設定されている。
S10では、図5に示す水温低下特性テーブルを用いて、機関推定停止時間TSOAKを算出する。この図5における縦軸は、始動時水温TWINTから環境温度TENVを減じたものを前回機関停止時水温TWNKOから環境温度TENVを減じたもので除した値である。
図6は、機関推定停止時間TSOAKを算出する際の各種パラメータの変化の一例を示したタイミングチャートである。尚、この図6においては、前前回及び前回の内燃機関1始動時に、機関推定停止時間が所定値Pと算出され、今回の内燃機関1始動時に吸気温上昇特性テーブルから機関推定停止時間が算出された場合を示すものである。
図6に示すように、内燃機関1の始動時に検出された冷却水温度が、前回の内燃機関1の停止時に検出された冷却水温度と略同一となるような内燃機関1の停止時間が短い状況では、内燃機関1が停止してから始動するまでの間に内燃機関1から伝達される熱によって上昇する吸気入口通路10内の温度変化、すなわち内燃機関1の前回の停止時における内燃機関1の暖機の度合に応じて機関推定停止時間TSOAKを算出する。
以上説明してきたように、本実施形態においては、熱容量の小さい吸気入口通路10内の空気の温度と、熱容量の大きい冷却水の温度と、を併用して機関推定停止時間TSOAKを算出し、内燃機関1の停止時間を推定している。
詳述すると、内燃機関1の前回の停止時から内燃機関1の今回の始動までの冷却水温度の温度低下代が基準値THSKTWN以下に場合には、環境温度及び内燃機関1の前回の停止時における内燃機関1の暖機の度合に応じて機関推定停止時間TSOAKを算出し、内燃機関1の前回の停止時から内燃機関1の今回の始動までの冷却水温度の温度低下代が基準値THSKTWNより大きい場合には、内燃機関1の前回の停止時における冷却水温度と、内燃機関1の今回の始動時における冷却水温度とに応じて、機関推定停止時間TSOAKを算出する。
これによって、本実施形態においては、幅広い運転条件に対して、内燃機関1の停止時間を精度よく推定することができる。すなわち、熱容量の大きい冷却水の温度のみを用いて内燃機関1の停止時間を推定する場合には、内燃機関1の停止時間が短いと、応答性が悪く、内燃機関1の停止時間を正確に推定することは難しいが、熱容量の小さい吸気入口通路10内の空気の温度も内燃機関1の停止時間を推定するに当たって利用しているので、冷却水の温度に変化が現れにくい、内燃機関1の停止時間が短い場合についても精度よく推定することが可能となる。
また、熱容量の小さい吸気入口通路10内の空気温度を利用して機関推定停止時間TSOAKを算出する際には、前回の停止時までの運転状況や、環境温度を考慮しているので、吸気入口通路10内の空気の温度を利用して機関推定停止時間TSOAKの算出する際の機関推定停止時間TSOAKの精度を一層向上させることができる。
また、上述した実施形態において、例えば、エアフローメータ17が、電気的発熱体(ホットワイヤ)を備えたいわゆるホットワイヤ式のエアフローメータであり、かつ吸気温センサ13とエアフローメータ17とが一体に構成されるような場合には、吸気温センサ13の近傍に内燃機関1以外の熱源(ホットワイヤ)が位置することになる。
図7は、吸気温センサ13とホットワイヤ式のエアフローメータのホットワイヤとが近接する場合に、内燃機関1の停止後に吸気温センサ13で検出される吸気入口通路10内の空気の温度上昇の特性を模式的に示した説明図であって、特性線aは環境温度が−20℃での始動から冷却水温度が0℃になるまで内燃機関1を運転後に内燃機関1を停止した場合、特性線bは環境温度が−20℃での始動から冷却水温度が−10℃になるまで内燃機関1を運転後に内燃機関1を停止した場合、特性線cは環境温度が20℃での始動から冷却水温度が30℃になるまで内燃機関1を運転後に内燃機関1を停止した場合、特性線dは環境温度が0℃での始動から冷却水温度が10℃になるまで内燃機関1を運転後に内燃機関1を停止した場合、をそれぞれ示している。
この図7に示すように、吸気温センサ13に内燃機関1以外の熱源が近接している場合には、内燃機関1の停止直後に上記ホットワイヤのからの熱伝達による温度上昇(ファーストピーク)が発生するため、内燃機関1停止中の吸気入口通路10内の温度変化から内燃機関1の停止時間を一意的に導くことは困難となる。
そこで、吸気温センサ13とホットワイヤ式のエアフローメータのホットワイヤとが近接するような場合には、図8に示すように、実際の吸気温上昇特性に対して、上記ホットワイヤからの熱伝達による温度上昇分(図8中の点線)が予め取り除かれた吸気温上昇特性テーブルを利用することで、内燃機関1停止中の吸気入口通路10内の温度変化から内燃機関1の停止時間を一意的に導くことが可能となる。
つまり、吸気温センサ13とホットワイヤ式のエアフローメータのホットワイヤとが近接するような場合においても、吸気入口通路10内の空気の温度から内燃機関1の停止時間を精度よく推定することが可能となる。
尚、本実施形態においては、吸気系内の温度を検出する吸気温センサ13を用いて環境温度を検出しているが、外気を直接検出する温度センサで環境温度を検出するように構成することも可能である。
上述した実施形態から把握し得る本発明の技術的思想について、その効果とともに列記する。
(1) 内燃機関の停止時間推定装置は、吸気通路内の温度を検出する吸気通路内温度検知手段と、内燃機関の冷却水の温度を検知する冷却水温度検知手段と、を有し、前記内燃機関の始動時の吸気通路内の温度と当該内燃機関の前回の停止時における吸気通路内の温度とによって決まる当該内燃燃機の停止中の当該内燃機関からの放熱による吸気通路内の温度変化特性と、前記内燃機関の始動時の冷却水温度と当該内燃機関の前回の停止時における冷却水温度とによって決まる当該内燃機関の停止中の冷却水温度変化特性と、を用いて前記内燃機関の前回の停止時から当該内燃機関の今回の始動までの機関推定停止時間を算出する。吸気通路内の温度は、吸気通路内の空気の温度である。つまり、熱容量の小さい吸気通路内の空気の温度と、熱容量の大きい冷却水の温度と、を併用して内燃機関の停止時間を推定している。これによって、幅広い運転条件に対して、内燃機関の停止時間を精度よく推定することができる。また、熱容量の大きい冷却水の温度のみを用いて内燃機関の停止時間を推定する場合には、内燃機関の停止時間が短いと、応答性が悪く、内燃機関の停止時間を正確に推定することは難しいが、熱容量の小さい吸気通路内の空気の温度も内燃機関の停止時間を推定するに当たって利用しているので、冷却水の温度に変化が現れにくい、内燃機関の停止時間が短い場合についても精度よく推定することが可能となる。
(2) 前記(1)に記載の内燃機関の停止時間推定装置は、前記内燃機関の周囲の環境温度を検出する環境温度検知手段と、前記内燃機関の前回の停止時における当該内燃機関の暖機の度合を検知する暖機度合検知手段と、を有し、前記環境温度と、前回の停止時における当該内燃機関の暖機の度合とに応じて、前記機関推定停止時間を算出する。内燃機関停止後の吸気通路内の温度は、前回の停止時までの運転状況や、環境温度の影響受けることになるが、機関推定停止時間を算出するにあたって、前回の停止時までの運転状況や、環境温度を考慮しているので、広い運転条件に対して、一層精度よく機関推定停止時間を算出することができる。
(3) 前記(2)に記載の内燃機関の停止時間推定装置は、具体的には、前記内燃機関の前回の停止時から当該内燃機関の今回の始動までの冷却水温度の温度低下代が予め設定された所定値以下に場合には、吸気通路内の温度変化特性に応じて前記機関推定停止時間を算出し、前記内燃機関の前回の停止時から当該内燃機関の今回の始動までの冷却水温度の温度低下代が予め設定された所定値より大きい場合には、前記内燃機関の前回の停止時における冷却水温度と、当該内燃機関の今回の始動時における冷却水温度とに応じて、前記機関推定停止時間を算出する。
(4) 前記(2)または(3)に記載の内燃機関の停止時間推定装置において、前記機関推定停止時間は、具体的には、前記環境温度が低くなるほど短くなるよう補正している。環境温度が低い場合、吸入空気の温度は低くなる。吸入空気の温度が低いと、吸入空気の密度は大きくなる。つまり、環境温度が低いと、内燃機関の停止時に吸気通路内に滞留する空気の密度は相対的に大きなものとなる。また、空気密度が大きいほど、内燃機関の停止後に当該内燃機関からの熱の伝達速度は早くなるため、内燃機関の停止後に吸気通路内の温度上昇は早くなる。
(5) 前記(2)〜(4)のいずれかに記載の内燃機関の停止時間推定装置において、前記機関推定停止時間は、具体的には、前回の停止時における当該内燃機関の暖機の度合が大きくなるほど短くなるよう補正している。内燃機関の暖機の度合が大きいほど、内燃機関の温度が高くなっているため、内燃機関の停止後に吸気通路内の温度上昇は早くなる。
(6) 前記(1)〜(5)のいずれかに記載の内燃機関の停止時間推定装置において、前記吸気通路内温度検知手段の近傍にホットワイヤ式のエアフローメータが配置され、前記機関推定停止時間を算出する際に、前記エアーフローメータの余熱の影響による温度上昇分が取り除かれるように、前記機関推定停止時間を算出する。これによって、前記吸気通路内温度検知手段の近傍にホットワイヤ式のエアフローメータが配置されてる場合であっても、内燃機関の停止時間を精度よく推定することが可能となる。
1…内燃機関
2…吸気弁
7…燃料噴射弁
8…ブランチ通路
9…コレクタ
10…吸気入口通路
11…スロットル弁
12…エンジコントロールユニット
13…吸気温センサ
14…冷却水温センサ
15…クランク角センサ
16…アクセル開度センサ
17…エアフローメータ
2…吸気弁
7…燃料噴射弁
8…ブランチ通路
9…コレクタ
10…吸気入口通路
11…スロットル弁
12…エンジコントロールユニット
13…吸気温センサ
14…冷却水温センサ
15…クランク角センサ
16…アクセル開度センサ
17…エアフローメータ
Claims (6)
- 吸気通路内の温度を検出する吸気通路内温度検知手段と、内燃機関の冷却水の温度を検知する冷却水温度検知手段と、を有し、
前記内燃機関の始動時の吸気通路内の温度と当該内燃機関の前回の停止時における吸気通路内の温度とによって決まる当該内燃燃機の停止中の当該内燃機関からの放熱による吸気通路内の温度変化特性と、前記内燃機関の始動時の冷却水温度と当該内燃機関の前回の停止時における冷却水温度とによって決まる当該内燃機関の停止中の冷却水温度変化特性と、を用いて前記内燃機関の前回の停止時から当該内燃機関の今回の始動までの機関推定停止時間を算出することを特徴とする内燃機関の停止時間推定装置。 - 前記内燃機関の周囲の環境温度を検出する環境温度検知手段と、前記内燃機関の前回の停止時における当該内燃機関の暖機の度合を検知する暖機度合検知手段と、を有し、前記環境温度と、前回の停止時における当該内燃機関の暖機の度合とに応じて、前記機関推定停止時間を算出することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の停止時間推定装置。
- 前記内燃機関の前回の停止時から当該内燃機関の今回の始動までの冷却水温度の温度低下代が予め設定された所定値以下に場合には、吸気通路内の温度変化特性に応じて前記機関推定停止時間を算出し、
前記内燃機関の前回の停止時から当該内燃機関の今回の始動までの冷却水温度の温度低下代が予め設定された所定値より大きい場合には、前記内燃機関の前回の停止時における冷却水温度と、当該内燃機関の今回の始動時における冷却水温度とに応じて、前記機関推定停止時間を算出することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の停止時間推定装置。 - 前記機関推定停止時間は、前記環境温度が低くなるほど短くなるよう補正していることを特徴とする請求項2または3に記載の内燃機関の停止時間推定装置。
- 前記機関推定停止時間は、前回の停止時における当該内燃機関の暖機の度合が大きくなるほど短くなるよう補正していることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の内燃機関の停止時間推定装置。
- 前記吸気通路内温度検知手段の近傍にホットワイヤ式のエアフローメータが配置され、前記機関推定停止時間を算出する際に、前記エアーフローメータの余熱の影響による温度上昇分が取り除かれるように、前記機関推定停止時間を算出することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の停止時間推定装置。
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JP2008175170A JP2010014036A (ja) | 2008-07-04 | 2008-07-04 | 内燃機関の停止時間推定装置 |
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JP2008175170A JP2010014036A (ja) | 2008-07-04 | 2008-07-04 | 内燃機関の停止時間推定装置 |
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Cited By (2)
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2008
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107642424A (zh) * | 2016-07-20 | 2018-01-30 | 联合汽车电子有限公司 | 电喷系统进气温度输出装置 |
CN107642424B (zh) * | 2016-07-20 | 2020-01-14 | 联合汽车电子有限公司 | 电喷系统进气温度输出装置 |
CN111042932A (zh) * | 2019-12-13 | 2020-04-21 | 潍柴动力股份有限公司 | 停机时间获取方法、装置及电子控制单元 |
CN111042932B (zh) * | 2019-12-13 | 2022-06-10 | 潍柴动力股份有限公司 | 停机时间获取方法、装置及电子控制单元 |
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