JP2004217780A - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】TGICとTGIC以外のエポキシ樹脂を加熱混合して均一な液状のエポキシ樹脂組成物とするに当たって、該組成物を室温で放置しておいてもTGICが析出することのない保存安定性に優れたエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】トリグリシジルイソシアヌレートとモノアリルジグリシジルイソシアヌレート及び又はジアリルモノグリシジルイソシアヌレートを配合して、エポキシ樹脂組成物とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、透明性および保存安定性に優れたエポキシ樹脂組成物に関するものであり、接着剤、塗料、注型材料、積層材料等として有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、エポキシ樹脂は機械的強度ならびに電気的絶縁特性に優れ、また接着性、耐水性、耐熱性等が良好であることから、電気・電子機器及び部品の絶縁被覆や接着剤、LSIや発光ダイオード用封止剤、積層板、構造用複合材料、土木建築用の接着剤や防食材料、塗料等広範囲に用いられている。
上記に例示される用途に対しては、各々異なった特性が求められるが、耐熱性、耐候性および透明性を改善する手段として、トリグリシジルイソシアヌレートとトリグリシジルイソシアヌレート以外のエポキシ樹脂をベース樹脂として配合したエポキシ樹脂組成物が提案されている。
【0003】
3官能エポキシ樹脂として知られるトリグリシジルイソシアヌレート(以下、TGICという)は、化1の構造式に示されるように、トリアジン環を骨格として、1分子中に3つのエポキシ基を有するので、ベースとなるエポキシ樹脂に添加して用いられる場合には、3次元架橋剤として作用し、ベース樹脂の耐熱性、耐候性、透明性を向上させることができる。
【0004】
【化1】
Figure 2004217780
【0005】
しかしながらTGICは結晶性の固体化合物であるため、有機溶媒や樹脂への溶解度が低く、TGICとエポキシ樹脂を加熱混合して液状の均一な組成物とし、更には該組成物を有機溶剤に溶かしてワニスとした場合であっても、室温で放置しておくと、TGICの結晶が一部析出してしまうという問題があった。
【0006】
このような問題点に対して、特許文献1には、有機溶剤に溶け易い化合物として、TGICとビスフェノールAまたはテトラブロモビスフェノールAとの反応生成物が提案されている。
また、特許文献2、特許文献3および特許文献4等には、従来から知られているTGICが高融点タイプと低融点タイプの立体異性体の混合物であって、この混合物から低融点タイプの異性体のみを分別したものを使用することが提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平1−225641号公報(第2頁)
【0008】
【特許文献2】
特開平6−192396号公報(第2頁)
【0009】
【特許文献3】
特開平8−311162号公報(第2〜3頁)
【0010】
【特許文献4】
特開平9−183831号公報(第2頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、TGICとTGIC以外のエポキシ樹脂を加熱混合して均一な液状のエポキシ樹脂組成物とするに当たって、該組成物を室温で放置しておいてもTGICが析出することのない保存安定性に優れたエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、トリグリシジルイソシアヌレートとモノアリルジグリシジルイソシアヌレート及び又はジアリルモノグリシジルイソシアヌレートを配合したエポキシ樹脂組成物が所期の目的を達成しうることを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施において使用されるTGICは、市販の工業薬品として容易に入手することができる。
また、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート(以下、MA−DGICという)及びジアリルモノグリシジルイソシアヌレート(以下、DA−MGICという)は、化2の構造式で表されるものであり、公知の方法により合成することができる。
【0014】
【化2】
Figure 2004217780
【0015】
本発明の実施において使用されるエポキシ樹脂としては、分子内にエポキシ基を複数個持つものならば特に限定されず、これらの具体例としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(エピコート815,エピコート825,エピコート827,エピコート828,エピコート834,エピコート1001,エピコート1002,エピコート1004等油化シェルエポキシ(株)製)、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(エピコート807等同)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(エピコート152,エピコート154等同)、脂環式エポキシ樹脂(CY−175,CY−177,CY−179等CIBA−GEIGY社製)、グリシジルエステル系エポキシ樹脂(CY−182,CY−184,CY−192等同)、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(TGDDM,TGPAP,PGMAP等東都化成(株)製)、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(YD−716等同)、脂肪族ジカルボン酸のジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(IPU−22G等岡村製油(株)製)等が挙げられ、これらのエポキシ樹脂を、単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0016】
これらのエポキシ樹脂は、常温で液体であることが好ましいが、常温で固体のエポキシ樹脂であっても、有機溶剤や他の液体のエポキシ樹脂と併用することにより、液状のエポキシ樹脂組成物にすることができるものであれば使用可能である。
【0017】
本発明の実施において、エポキシ樹脂組成物中に配合されるTGICの割合は10〜50重量%であることが好ましい。10重量%より少ない場合及び50重量%より多い場合には、TGIC硬化物の本来の特性が得られない。
また、MA−DGIC及び又はDA−MGICの配合量は、使用するTGICに対して、0.3〜0.5の割合(重量比)であることが好ましい。TGICに対する配合割合が0.3より少ない場合には、TGICの結晶析出を抑制する効果が十分ではなく、0.5より多い場合には、徒にコスト高を招来するに過ぎない。
【0018】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、従来公知の硬化剤を使用して硬化させることができるが、通常はフェノール性水酸基を有する化合物、酸無水物、アミン類が使用される。
フェノール性水酸基を有する化合物としては、ビスフェノール、レゾルシノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の多価フェノール類等が挙げられる。
酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等、通常エポキシ樹脂の硬化剤として使用されるものであればよく、特に限定されるものではない。
またアミン類としてはメタフェニレンジアミン、ジ(アミノフェニル)メタン(通称ジアミノジフェニルメタン)、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類が例示される。
【0019】
また、エポキシ樹脂の硬化反応を促進させるため、硬化触媒を用いてもよい。
硬化触媒として例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、1、8−ジアザビシクロ(5、4、0)ウンデセン−7等の三級アミン化合物、トリフェニルホスフイン等の有機ホスフイン化合物などが挙げられる。
【0020】
更に、本発明のエポキシ樹脂組成物には、補強剤として例えば、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル等の各種ポリマー、また、ジクミルパーオキシドに代表される過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどのアリル基の重合を促進する重合開始剤を添加することも可能である。
【0021】
また着色防止のため、従来ポリオレフィン等のプラスチックの酸化防止剤として用いられるラジカル補足作用を有するヒンダードフェノール類、過酸化物分解作用を有する有機スルフィド類、あるいはポリ塩化ビニル等の透明性維持に有用な可塑剤である有機亜リン酸エステル等を添加しても良い。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
また、本発明の実施例および比較例で使用した原料は、以下のとおりである。
【0023】
・エポキシ樹脂:油化シェルエポキシ(株)製、商品名「エピコート828」
・TGIC:日産化学(株)製、商品名「TEPIC」
・DA−MGIC:特開平10−316665号公報記載の方法により合成した。
・MA−DGIC:特開2000−344867号公報記載の方法により合成した。
【0024】
〔実施例1〜3〕
エポキシ樹脂(エピコート828)に対し、TGIC及びMA−DGICを表1に記載した割合(重量%)でビーカー中、120℃で10分間加熱混合後、減圧脱気して均一な液状エポキシ樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を室温(約25℃)にて8時間放置した後、TGICの結晶析出の様子を目視にて確認した。
得られた試験結果は、表1に示したとおりであった。
【0025】
〔実施例4〜6〕
MA−DGICの代わりにDA−MGICを用いた以外は実施例1〜3と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製し、TGICの結晶析出の有無を確認した。
得られた試験結果は、表1に示したとおりであった。
【0026】
〔実施例7、8〕
MA−DGICにDA−MGICを併用した以外は実施例1〜3と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製し、TGICの結晶析出の有無を確認した。
得られた試験結果は、表1に示したとおりであった。
【0027】
〔比較例1〜3〕
MA−DGICまたはDA−MGICを用いない場合についても実施例1〜3と同様にして、TGICの結晶析出の有無を確認した。
得られた試験結果は、表1に示したとおりであった。
【0028】
【表1】
Figure 2004217780
【0029】
表1の試験結果によれば、TGICとMA−DGIC及び又はDA−MGICを配合したエポキシ樹脂組成物において、TGICを単独で配合したものに比べて、MA−DGIC及び又はDA−MGICは、TGICの結晶析出を抑制する効果を有するものと認めらる。
【0030】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂にTGICと、TGICと相溶性の良いMA−DGIC及び又はDA−MGICを配合しているので、該樹脂組成物を室温で放置しておいてもTGICが析出することがなく、保存安定性に優れている。
従って本発明のエポキシ樹脂組成物は、耐熱性、透明性及び保存安定性を要求される接着剤、塗料、注型材料、積層材料等として好適なものであり、その産業上の利用効果は多大である。

Claims (1)

  1. トリグリシジルイソシアヌレートとモノアリルジグリシジルイソシアヌレート及び又はジアリルモノグリシジルイソシアヌレートを配合したことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
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