JP2004216639A - 液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】廃液貯留容器18は、プレート部材38,39と可撓性を有するシート材37とで内部空間を廃液貯留空部40として区画した袋体であり、これらのプレート部材38,39、及びシート材37を、廃液貯留空部40の内部から外部への液体の透過は阻止する一方、気体の透過は許容する半透性素材により作製し、廃液貯留容器18に貯留された廃液の蒸発成分を、シート材37を通じて廃液貯留容器の外部に排出可能に構成した。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタ、ディスプレー製造装置、電極形成装置、或いは、バイオチップ製造装置等、液体噴射ヘッドを用いて液体を噴射する液体噴射装置に係り、特に、クリーニング処理により排出される液体を廃液として貯留可能な廃液貯留容器を備えた液体噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体を液滴として吐出可能な液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置としては、例えば、インク滴を吐出して記録紙上に画像等を記録する画像記録装置、液状の電極材を基板上に吐出して電極を形成する電極形成装置、生体試料を吐出してバイオチップを製造するバイオチップ製造装置、或いは、所定量の試料を容器に吐出するマイクロピペットが提案されている。この種の液体噴射装置では、吐出する液体を貯留容器に貯留し、この液体を液体噴射ヘッドに供給して吐出させている。
【0003】
このような液体噴射装置に用いられる液体の中には、時間の経過とともに溶媒が揮発して増粘するものがある。そして、この増粘した液体がノズル開口に付着すると、ノズル開口の目詰まりが生じ、液滴の正常な吐出に悪影響を及ぼす虞がある。
【0004】
このようなノズル開口の目詰まりを防止するため、種々の対策が講じられている。例えば、液体噴射ヘッドのノズル形成面(ノズルプレート)をキャップ部材で覆って、このキャップ部材とノズル面との間に形成された空部(封止空部)に対してポンプ等の吸引手段によって負圧を与えることにより、ノズル開口から液体を強制的に吸引するとともに、吸引した液体を廃液として、排出チューブを介して廃液タンクに排出するようにしたものがある。以下、この処理をクリーニング処理とよぶ。
【0005】
また、液体を貯留したカートリッジを交換可能なものは、このカートリッジを交換した際に、ノズル開口から強制的に液体を吸引して液体を液体噴射ヘッド内に充填する充填処理を行う場合がある。この充填処理でも、上記のクリーニング処理と同様な処理が行われる。
【0006】
従来の多くの液体噴射装置においては、上部が開放された廃液タンク内に例えばナイロン、ポリエステル等の化学繊維を使用した廃液吸収材を敷設し、この廃液吸収材に排出チューブの排出口を差し込んだ構成を採っている(例えば、特許文献1参照)。そして、クリーニング処理又は充填処理を実行すると、吸引手段によって吸引された液体は廃液チューブの排出口から排出され、廃液として廃液吸収材に吸収保持される。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−341327号公報(第4頁,第4図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般に従来の液体噴射装置では、一旦吸収した廃液を廃液タンクの開口部から漏出させないために、廃液に対する吸収保持性の高い廃液吸収材が用いられている。
一方、例えば上記の画像記録装置(インクジェット式プリンタ)で近年使用されてるインクのように、対象物(記録紙)に対しての定着性、耐水性の高い液体、即ち、乾燥し易く着弾した場所に滲むことなく留まる性質を有する液体が用いられることがある。
【0009】
このような性質の液体が使われると、クリーニング処理等で、この液体を廃液として廃液吸収材に排出した際、この廃液は、廃液吸収材の全体に拡散浸透する前に溶媒が揮発して廃液チューブの出口付近の廃液吸収材に保持された状態で固化してしまう。そして、この廃液固化物によって廃液吸収材が目詰まりしてしまい、それ以上の廃液が廃液吸収材の奥に浸透していかなくなる。そのため、廃液吸収材の全体に亘って廃液を効率よく吸収保持するのが困難となる。こうして、廃液チューブの出口付近の廃液吸収材の吸収保持能力が飽和状態になり、廃液吸収材に吸収されなかった廃液が廃液タンクから漏出してしまう虞があった。
また、廃液チューブの出口付近で上記廃液固化物が堆積した状態において、周囲の湿度変化により堆積した廃液固化物が再び吸湿して流動状態となると、この状態は廃液吸収材の吸収能力を超える廃液が一気に廃液タンクに流れ込んだ状態と同様であり、廃液吸収材に吸収されなかった廃液が廃液タンクから漏出してしまう虞もあった。
【0010】
また、廃液タンクに廃液吸収材を敷設した方式では、廃液タンクの容積に対して、吸収保持可能な廃液の量が少ない。即ち、この方式では、廃液吸収材自体の体積分があるため、その分廃液タンクの容積全てを廃液の吸収保持に使用できない。したがって、廃液吸収材の分が嵩張り、廃液タンクが大型化してしまうという問題があった。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より少ない容積で効率よく廃液を貯留可能とし、小型化が可能な液体噴射装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、ノズル開口を通じて液体噴射ヘッド内の液体を吸引し、吸引した液体を排出用管部材を通じて排出する吸引排出手段と、前記排出用管部材より排出される液体を廃液として貯留可能な廃液貯留容器と、を備えた液体噴射装置において、前記廃液貯留容器は、可撓性を有するシート材で内部空間を廃液貯留空部として区画した袋体であり、前記シート材を、前記廃液貯留空部の内部から外部への液体の透過は阻止する一方、気体の透過は許容する半透性素材により作製し、前記廃液貯留容器に貯留された廃液の蒸発成分を、前記シート材を通じて廃液貯留容器の外部に排出可能に構成したことを特徴とする。
なお、上記「気体」は、蒸気をも含む意味として用いる。
【0013】
上記構成によれば、廃液貯留容器の廃液貯留空部内には、吸収材等の廃液の浸入を妨げるものがないため、廃液貯留空部のほぼ全体を廃液の貯留に使用することができる。
また、廃液貯留空部内に排出された廃液の溶媒が、時間の経過とともに揮発し、蒸気(即ち、蒸発成分)となってシート材を通過して大気に放出され、廃液貯留空部内には固形成分が主に残留する。これにより、廃液の溶媒分の体積を減少させて、より小さい容積でより多くの廃液を貯留することが可能となる。したがって、液体噴射装置の小型化に貢献することが可能となる。
また、廃液の蒸発成分を廃液貯留容器の全周面から透過させることができるので、廃液貯留空部内に貯留された廃液を効率よく乾燥させることができる。
【0014】
また、廃液貯留容器は、可撓性を有するシート材によって作製されているので、形状の自由度が高く、設置場所の形状に柔軟に対応することが可能である。
さらに、廃液貯留容器は、開口部分が殆ど無い袋体のため、液体噴射装置が傾いたとしても一旦廃液貯留空部内に貯留した廃液が漏出し難い。
【0015】
上記構成において、前記排出用管部材を、前記廃液貯留容器と同一の素材によって一体に成型することも可能である。
【0016】
また、上記構成において、前記廃液貯留容器を、廃液導入口が開設された第1プレート部材の周面に、筒状に形成した前記シート材の一端を液密状態で接合すると共に、他端を封止し、前記第1プレート部材と前記シート材で内部空間を廃液貯留空部として区画した袋体とすることもできる。
この構成によれば、第1プレート部材によって廃液貯留空部の廃液導入口側を拡げた状態にしているので、廃液導入口から廃液貯留空部内に廃液を導入し易くすることができる。
【0017】
また、上記構成において、前記廃液貯留容器を、廃液導入口が開設された第1プレート部材の周面に、筒状に形成した前記シート材の一端を液密状態で接合すると共に、他端を第2プレート部材の周面に液密状態で接合し、前記第1プレート部材、前記第2プレート部材、及び前記シート材で内部空間を廃液貯留空部として区画した袋体とすることもできる。
この構成によれば、第1プレート部材及び第2プレート部材によって廃液貯留空部を筒状に拡げた状態にしているので、廃液貯留空部内に廃液を導入し易く、また、より多くの廃インクを貯留することが可能となる。
【0018】
また、上記構成において、前記シート材と前記プレート部材とを同一の素材によって作製するのが好ましい。
この構成によれば、接合時に両部材が馴染み易いので、より確実に接合することが可能となる。
【0019】
また、上記構成において、前記廃液貯留容器を押出成型により作製することもできる。さらに、前記廃液貯留容器を、ブロー成型によりシート材を袋状に成型することにより構成することもできる。
これらの構成によれば、より簡単且つ低コストで廃液貯留容器を作製することが可能となる。また、容器の継ぎ目をより少なくすることができ、貯留した廃液の漏出を防止することが可能となる。
【0020】
さらに、上記構成において、前記シート材をシリコーンゴムにより作製するのが好ましい。このシリコーンゴムは、廃液貯留空部の内部から外部への液体の透過は阻止する一方、気体の透過は許容する性質を有する他、耐熱性・耐薬品性・電気絶縁性を有しており、廃液貯留容器の材料として好適である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンタ(以下、単にプリンタという。)を例に挙げる。このプリンタは、ノズル開口から吐出させた液体状のインク(本発明における液体の一種)を、記録紙(印刷記録媒体の一種)の表面に着弾させることで文字や画像を記録するものであり、画像記録装置の一種でもある。
【0022】
図1に示したプリンタ1は、カートリッジ装着部2を有し、記録ヘッド3(本発明の液体噴射ヘッド)が取り付けられたキャリッジ4を備えている。
記録ヘッド3は、何れも図示しないが、例えば圧電振動子等の圧力発生素子や、共通インク室から圧力室を経てノズル開口に至る一連の流路が形成された流路ユニット等を備え、圧力発生素子を駆動することにより、圧力室内に圧力変動を生じさせ、ノズル開口から圧力室内のインクをインク滴(本発明における液滴)として吐出するように構成されている。
【0023】
そして、記録ヘッド3は、ノズル開口を形成したノズル形成面(ノズルプレート)が記録紙7と対向するように下向きにキャリッジ4に取り付けられている。なお、圧力発生素子としては、所謂縦振動モードの圧電振動子、所謂撓み振動モードの圧電振動子、又は、発熱することにより気泡を発生させて圧力室内の圧力変動を生じさせる発熱素子等を用いることができる。
【0024】
キャリッジ4のカートリッジ装着部2には、記録ヘッド3にインクを供給するブラックインクカートリッジ5Aおよびカラーインクカートリッジ5Bが着脱可能に装着されている。
そして、キャリッジ4は、ガイドロッド6に軸支されて記録紙7の幅方向(主走査方向)に移動可能に取り付けられている。また、このキャリッジ4には、駆動プーリー8と遊転プーリー9との間に掛け渡したタイミングベルト10が接続されている。そして、この駆動プーリー8はパルスモータ11の回転軸に接合されている。従って、キャリッジ4は、パルスモータ11の作動によって記録紙7の幅方向に移動するようになっている。
【0025】
ガイドロッド6の下方には、このガイドロッド6と平行に紙送りローラ12が配置されている。この紙送りローラ12は、記録紙7の副走査方向への搬送時において、紙送りモータ13からの駆動力によって回転される。
【0026】
キャリッジ4の移動範囲の中で、記録領域の外側の端部領域(図1では右側)にはホームポジションが設定されており、印刷動作の待機時等において、記録ヘッド3はこのホームポジションに位置付けられる。このホームポジションには、記録ヘッド3のノズル形成面を払拭するためのワイピング機構14と、非記録状態においてノズル形成面を封止するキャップ部材15とがガイドロッド6に沿って横並びに配設されている。また、キャップ部材15の下方には、このキャップ部材15によって封止されたノズル形成面に対して負圧を与えるためのポンプユニット16が配置されている。
【0027】
図2に示すように、プリンタ1の下部には、廃液貯留容器18が収納枠17内に収納された状態で配置されている。この廃液貯留容器18は、ポンプユニット16から廃液チューブ19を介して送られてくるインクを廃インク(本発明における廃液の一種)として貯留する部材である。この廃液貯留容器18の詳細については後述する。
【0028】
上記ワイピング機構14は、図3に示すように、ワイパブレード14Aと、このワイパブレード14Aの基端部分を保持するワイパホルダ14Bにより構成されており、ワイパ駆動源(図示せず)によってワイパブレード14Aの上部が記録ヘッド3のノズル形成面に摺接可能な位置(ワイピング位置)に移動可能に構成されている。
そして、このワイピング機構14は、記録ヘッド3(キャリッジ4)がワイピング機構14の上方を通過する際にワイピング位置まで移動し、ワイパブレード14Aが記録ヘッド3のノズル形成面を払拭する。これにより、例えばクリーニング処理後にノズル形成面に付着した余分なインク滴を取り除くことができ、記録ヘッド3からインク滴が垂れ落ちて記録紙7を汚す等の不具合を防止することができる。
【0029】
キャップ部材15は、上面が開放された凹部20が形成されたトレイ状の部材であり、エラストマー等の弾性部材により作製され、ホルダ21に保持されている。このキャップ部材15は、図示せぬキャッピング機構によって昇降するようになっており、記録ヘッド3がホームポジションに位置すると上昇し、ノズル形成面を封止する(キャッピング状態)。
また、キャップ部材15の凹部20内には吸収体22が配設されている。この吸収体22は、液体を吸収保持可能なフェルトやスポンジ等の吸液材によって構成されている。このため、記録ヘッド3のノズル形成面を長期間に亘って高湿状態に保つことができる。
【0030】
キャップ部材15とホルダ21には、これら両方の底部を貫通して、凹部20内のインクを排出するための排出路23が開設されており、この排出路23の上端はキャップ部材15の凹部20に連通し、下端はホルダ21の底面に突設された接続口24内に形成されている。またキャップ部材15とホルダ21には、上端が凹部20に連通し、下端が接続口25内に形成されている大気開放路26が開設されている。
【0031】
接続口24には、廃液チューブ19の一端が接続され、廃液チューブ19内の流路が排出路23に連通している。この廃液チューブ19は、可撓性を有する排出用管部材であり、例えば樹脂等の材料により作製される。本実施形態においては、シリコーンゴムで作製したものを用いている。
そして、廃液チューブ19の途中には、ポンプユニット16が設けられており、このポンプユニット16よりも下流側の他端には、廃液貯留容器18が設けられている。
【0032】
一方、接続口25には、大気開放用チューブ28の一端が接続されている。この大気開放用チューブ28は、キャップ部材15の凹部20と装置外部とを連通する空気流路用のチューブであり、廃液チューブ19と同様にシリコーンゴムによって形成されている。また、この大気開放用チューブ28は、他端が大気開放されており、途中には開閉バルブ29が設けられている。この開閉バルブ29は、大気開放用チューブ28の連通状態を制御する。
【0033】
上記ポンプユニット16は、図4に示すように、廃液チューブ19をローラ30で押し潰してしごくことにより、廃液チューブ19内に負圧を発生させる所謂チューブポンプによって構成されている。このポンプユニット16は、上記キャッピング状態におけるノズル形成面に負圧を与え、ノズル開口を通じて記録ヘッド3内のインクを吸引し、吸引したインクや空気を廃液チューブ19を通じて排出する吸引排出手段として機能する。
そして、キャッピング状態においてこのポンプユニット16を作動させてクリーニング処理を行うと、ノズル開口付近で増粘したインクを強制的に排出でき、インク滴の吐出を良好に維持することができる。
【0034】
次に、上記の廃液貯留容器18について説明する。図5は、本実施形態における廃液貯留容器18の外観を示す斜視図である。この廃液貯留容器18は、可撓性を有するシート材37を筒状に形成し、この筒状シート材37の一端を、略長方形の板状に形成した第1プレート部材38の周面に液密状態で接合すると共に、他端を第2プレート部材39の周面に同じく液密状態で接合してなる袋体である。そして、この廃液貯留容器18は、第1プレート部材38、第2プレート部材39、およびシート材37によって内部空間を廃液貯留空部40として区画している。
【0035】
シート材37とプレート部材38,39は、廃液貯留空部40の内部から外部への液体の透過は阻止する一方、気体(水蒸気を含む)の透過は許容する半透性素材により作製されている。本実施形態においては、このシート材37とプレート部材38,39をシリコーンゴムによって作製している。このシリコーンゴムは、上記の性質を有する他、耐熱性・耐薬品性・電気絶縁性を有しており、廃液貯留容器18の材料として好適である。なお、廃液貯留容器18を気体透過性のより良いものとするには、材料としてより純度の高いシリコーンゴムを用いるのが望ましい。勿論、液体の透過を阻止し、気体の透過を許容する性質を有するものであれば、他の素材を用いることも可能である。
【0036】
上記第1プレート部材38と廃液チューブ19は同じ材質で形成されるので、一体成型とすることができる。これにより、第1プレート部材38と廃液チューブ19の接合工程を省略することができ、製造効率が向上する。勿論、それぞれを別個に作製した後に接合するようにしても良い。別個に製作して接合する場合、両部材に同じシリコーンゴムを材料として用いることにより、接合時に両部材が馴染みやすく、より確実に接合することが可能となる。
【0037】
上記第1プレート部材38には、廃液導入口41が開設されており、この廃液導入口41には、廃液チューブ19が液密状態で接続されている。つまり、廃液チューブ19の内部と廃液貯留空部40とは連通しており、ポンプユニット16によって吸引されたインクが廃液チューブ19を通じて廃液貯留容器18の廃液貯留空部40内に廃インクとして排出され、貯留される。本実施形態においては、プレート部材38,39によってシート材37(廃液貯留空部40)を筒状に拡げた状態にしているので、廃液導入口41から廃液貯留空部40内に廃インクを導入し易く、また、より多くの廃インクを貯留することが可能となる。
なお、プリンタ1に設置した状態における廃液貯留容器18の底面に対してより高い位置に廃液導入口41を開設することにより、廃液貯留空部40内に一旦貯留された廃インクを廃液チューブ19側に逆流し難くすることができるが、必要に応じて逆流防止の弁機構を設けるようにしても良い。
【0038】
上記のキャッピング状態において、ポンプユニット16を作動させてクリーニング処理を行うと、吸引されたインクや空気が廃液チューブ19を通じて廃液貯留容器18側に送られ、廃液導入口41から廃液貯留空部40内に廃インクとして排出される。
廃液貯留空部40内に排出された廃インクの溶媒は、時間の経過とともに揮発し、蒸気(即ち、蒸発成分)となってシート材37を通過して大気に放出され、廃液貯留空部40内には、固形成分(例えば、染料インクにおける染料又は顔料インクにおける顔料)が主に残留する。即ち、廃液貯留容器18は、貯留された廃インクを乾燥する乾燥機能を有している。これにより、廃インクの溶媒分の体積を減少させて、より多くの廃インクを貯留することが可能となる。
【0039】
上述のように、廃液貯留容器18は、気体透過性を有する材料で作製されているので、廃インクの蒸発成分を廃液貯留容器18の全周面(シート材37の全面)から透過させることができる。したがって、廃液貯留空部40内に貯留された廃インクを効率よく乾燥させることができる。
【0040】
また、廃液貯留容器18は、主に可撓性を有するシート材37によって作製されているので、形状の自由度が高く、設置場所に凹凸等があってもその形状に柔軟に対応することが可能である。
さらに、従来では、廃インクの乾燥のために廃液タンク上部を開放した状態で廃液吸収材を配設する構成を採っていたため、例えば、装置が傾いた場合に、廃インクが漏出する虞があったが、廃液貯留容器18は、廃液導入口41以外に開口部分が無い袋体のため、装置が傾いたとしても一旦貯留した廃インクが漏出し難い。
【0041】
ここで、図6は、廃液貯留容器18と従来の廃液吸収材に関し、残インク(その時点で貯留されている廃インク)の重量を計測した後に一定量のインクをそれぞれに投入するという作業を一定間隔で繰返し、これらの測定結果から得られた各経過年(横軸)における残インク重量(縦軸)を、5年経過時点における総投入インク量を100%としたときの割合で示したものである。
この図6から、廃液貯留容器18と従来の廃液吸収材とでは、総投入インク量に対しての残インク重量の割合が、5年経過時点においてそれぞれ50%前後となっており、乾燥能力にあまり差は見られなかった。
【0042】
しかしながら、廃液吸収材の場合、吸収材を構成する素材自体の体積分があるため、廃液吸収材の体積全てを廃液の吸収保持に使用することができず、例えば、廃液吸収材の体積の70%分の吸収保持能力しか発揮することができない。
一方、廃液貯留容器18の場合、廃液貯留空部40内には、吸収材等の廃液の浸入を妨げるものがないため、用意した容積(廃液貯留空部40の容積)の殆どを廃インクの貯留に使用することができる。
【0043】
そのため、廃液貯留容器18と従来の廃液吸収材とでそれぞれ同量の廃インクを貯留する場合、廃液貯留容器18は、従来の廃液吸収材と比較して、より小さい容積(体積)で貯留することができる。したがって、装置全体の小型化に貢献することが可能となる。
【0044】
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
【0045】
廃液貯留容器18に関して、上記実施形態においては、図5に示すように、筒状に形成したシート材37の両端にプレート部材38,39を接合したものを示したが、例えば、図7に示すように、筒状に形成したシート材37の一端に第1プレート部材38を接合し、他端を封止(例えば、熱封止)して、第1プレート部材38とシート材37で内部空間を廃液貯留空部40として区画した袋体とする構成とすることも可能である。この構成によれば、第1プレート部材38によって廃液貯留空部の廃液導入口41側を拡げた状態にしているので、廃液導入口41から廃液貯留空部40内に廃液を導入し易くすることができる。
また、廃液貯留容器18を押出成型により作製するようにしてもよく、この場合、後方押出が好適である。さらに、図8に示すように、プレート部材38,39は用いずに、シート材37をブロー成型により袋体とする構成を採ることもできる。この場合、ブロー成型後のシート材37の内部空間が廃液貯留空部40として区画される。この場合において、廃液貯留容器18と廃液チューブ19とを一体成型とすることも可能である。これらの構成によれば、より簡単且つ低コストで廃液貯留容器18を作製することが可能となる。また、容器の継ぎ目をより少なくすることができ、貯留した廃インクの漏出を確実に防止することが可能となる。
【0046】
また、以上では、液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンタを例に挙げて説明したが、本発明は他の液体噴射装置にも適用することができる。例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタを製造するディスプレー製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレーやFED(面発光ディスプレー)等の電極を形成する電極製造装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置,極く少量の試料溶液を正確な量供給するマイクロピペットにも適用することができる。そして、ディスプレー製造装置では、色材噴射ヘッドからR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を吐出する。また、電極製造装置では、電極材噴射ヘッドから液状の電極材料を吐出する。チップ製造装置では、生体有機物噴射ヘッドから生体有機物の溶液を吐出する。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリンタの構成を説明する斜視図である。
【図2】プリンタにおける廃液貯留容器の配置例を示す斜視図である。
【図3】ワイピング機構、キャップ部材、ポンプユニット、及び廃液貯留容器を示す模式図である。
【図4】ポンプユニットの構造を説明する図である。
【図5】廃液貯留容器の外観を示す斜視図である。
【図6】各経過年における残インク重量を5年経過時点における総投入インク量を100%としたときの割合で示した図である。
【図7】廃液貯留容器の他の構成例を示す斜視図である。
【図8】廃液貯留容器のさらに他の構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…インクジェット式プリンタ,2…カートリッジ装着部,3…記録ヘッド,4…キャリッジ,5…インクカートリッジ,6…ガイドロッド,7…記録紙,8…駆動プーリー,9…遊転プーリー,10…タイミングベルト,11…パルスモータ,12…紙送りローラ,13…紙送りモータ,14…ワイピング機構,15…キャップ部材,16…ポンプユニット,17…収納枠,18…廃液貯留容器,19…廃液チューブ,20…凹部,21…ホルダ,22…吸収体,23…排出路,24,25…接続口,26…大気開放路,28…大気開放用チューブ,29…開閉バルブ,30…ローラ,37…シート材,38…第1プレート部材,39…第2プレート部材,40…廃液貯留空部,41…廃液導入口
Claims (8)
- ノズル開口を通じて液体噴射ヘッド内の液体を吸引し、吸引した液体を排出用管部材を通じて排出する吸引排出手段と、
前記排出用管部材より排出される液体を廃液として貯留可能な廃液貯留容器と、
を備えた液体噴射装置において、
前記廃液貯留容器は、可撓性を有するシート材で内部空間を廃液貯留空部として区画した袋体であり、
前記シート材を、前記廃液貯留空部の内部から外部への液体の透過は阻止する一方、気体の透過は許容する半透性素材により作製し、
前記廃液貯留容器に貯留された廃液の蒸発成分を、前記シート材を通じて廃液貯留容器の外部に排出可能に構成したことを特徴とする液体噴射装置。 - 前記排出用管部材は、前記廃液貯留容器と同一の素材によって一体に成型されていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
- 前記廃液貯留容器は、廃液導入口が開設された第1プレート部材の周面に、筒状に形成した前記シート材の一端を液密状態で接合すると共に、他端を封止し、前記第1プレート部材と前記シート材で内部空間を廃液貯留空部として区画した袋体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射装置。
- 前記廃液貯留容器は、廃液導入口が開設された第1プレート部材の周面に、筒状に形成した前記シート材の一端を液密状態で接合すると共に、他端を第2プレート部材の周面に液密状態で接合し、前記第1プレート部材、前記第2プレート部材、及び前記シート材で内部空間を廃液貯留空部として区画した袋体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射装置。
- 前記シート材と前記プレート部材とを同一の素材によって作製したことを特徴とする請求項3又は4に記載の液体噴射装置。
- 前記廃液貯留容器は押出成型により作製されることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射装置。
- 前記廃液貯留容器は、ブロー成型によりシート材を袋状に成型してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射装置。
- 前記シート材は、シリコーンゴムにより作製されていることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の液体噴射装置。
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