JP2004216396A - 圧延板の板厚制御方法およびその板厚制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】板速度に基づくマスフロー自動板厚制御を使用した冷間圧延において、板速度検出ロールのスリップや板速度計測装置の異常による板厚制御不良が生じるような場合においても板厚精度を損なうことなく圧延を継続できる制御方法を提供する。
【解決手段】圧延機の入側と出側に設置した板速度検出ロールの周速から圧延板のマスフロー板厚Aを求め、前記マスフロー板厚Aを制御指針として圧延板の板厚を制御する方法において、前記マスフロー板厚Aを求めるとともに、圧延板の巻出し機と巻取り機のコイル周速からマスフロー板厚Bを求め、前記マスフロー板厚Aとマスフロー板厚Bの差がある大きさに達したときは、前記制御指針をマスフロー板厚Aからマスフロー板厚Bに切り替えることを特徴とする圧延板の板厚制御方法。
【選択図】図1
【解決手段】圧延機の入側と出側に設置した板速度検出ロールの周速から圧延板のマスフロー板厚Aを求め、前記マスフロー板厚Aを制御指針として圧延板の板厚を制御する方法において、前記マスフロー板厚Aを求めるとともに、圧延板の巻出し機と巻取り機のコイル周速からマスフロー板厚Bを求め、前記マスフロー板厚Aとマスフロー板厚Bの差がある大きさに達したときは、前記制御指針をマスフロー板厚Aからマスフロー板厚Bに切り替えることを特徴とする圧延板の板厚制御方法。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアルミニウム、銅、鉄鋼などの金属板の冷間圧延に際して、板厚変動を効果的に抑制し得る圧延板の板厚制御方法及びその板厚制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、圧延板の板厚制御方法では板厚精度向上の為、高精度且つ高速応答な自動板厚制御(以下、AGCと略す)方法が多用されている。前記AGCの中で、圧延機の入側と出側(以下、入出側と略す)の板速度を測定してマスフロー板厚を求め、このマスフロー板厚による板厚制御を行うマスフローAGCは、フィードフォワードAGCなどの他のAGCに比べて板厚の制御に優れ、広く使用されてきている。前記マスフローAGCは、圧延機の入出側の板速度を正確に測定する必要があり、板速度の検出には板速度検出ロール(デフロール周速)が主に用いられている。
【0003】
前記板速度検出ロールを用いる方法は、導入コストは安価であるが圧延速度の加減速時等に圧延板と板速度検出ロールの間にスリップが生じると板厚変動が大きくなってしまい安定した板厚制御ができなくなることが知られている。
【0004】
このような板厚制御の問題に対して、板速度検出ロールがスリップしていると判断された場合には、(1)板速度検出ロールによるマスフローAGCを停止することで板厚精度を維持する方法(特許文献1)、或いは(2)マスフローAGCからフィードフォワードAGCへと制御方法を切り替える方法(特許文献2)が提案されている。
【0005】
【特許文献1】
「特開平7−116717号公報」
【特許文献2】
「特開平7−60322号公報」
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記(1)のAGCを停止する方法では、板速度検出ロールがスリップしていると判断された場合には圧延自体も停止するため、圧延の継続には停止−再稼動の手順を踏む必要があり時間のロスを生んで生産効率を低下させてしまう。また、圧延の停止や再稼動時には,圧延速度の加減速による板厚のばらつきが発生し圧延板の不良を招きやすく生産歩留まりの低下も招いてしまう。
【0007】
前記(2)のAGCをマスフローAGCからフィードフォワードAGCに切り替えて圧延する方法では、フィードフォワードAGCがその板厚制御の精度においてマスフローAGCより劣るためにマスフローAGCによる場合と比べてその板厚変動が大きくなり、圧延板の長手方向において板厚変動が大きく異なる圧延板を製造することになる。そのため前記圧延板の利用に際しては、その板厚変動の違いを考慮しなくてはならず時間的あるいは工数的にロスを生じることになり生産性の低下をきたす恐れがある。また、プレス加工などで使用する場合、金型とのクリアランスに差異を生じることになり、金型破損や寸法形状不良を引き起こす恐れもある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、圧延機の入側と出側に設置した板速度検出装置から圧延板のマスフロー板厚Hmを求めると共に、圧延板の巻出し機と巻取り機のコイル周速からマスフロー板厚Hnを求め、前記マスフロー板厚Hmと前記マスフロー板厚Hnの差がある大きさに達したときは、前記マスフロー板厚Hmから前記マスフロー板厚Hnに板厚制御指針を切り替えて圧延を行う圧延板の板厚制御方法である(請求項1)。
【0009】
更に、圧延機の入側と出側に設置した板速度検出装置から圧延板のマスフロー板厚Hmおよび入側板速度と出側板速度の比Ve/Vdを求めると共に、圧延板の巻出し機と巻取り機のコイル周速からマスフロー板厚Hnおよび巻出し機コイル周速と巻取り機コイル周速の比Vce/Vcdを求め、前記Ve/VdとVce/Vcdの差がある大きさに達したときは、前記マスフロー板厚Hmから前記マスフロー板厚Hnに板厚制御指針を切り替えて圧延を行う圧延板の板厚制御方法である(請求項2)。
【0010】
更に、入側板速度Veと出側板速度Vdを検出する手段と、入側板厚Heを検出する手段と、検出された入側板速度に基づき入側板厚をトラッキングする手段と、トラッキングされた入側板厚とその時点の入側板速度と出側板速度によるマスフロー板厚Hmを算出する手段と、巻出し機のコイル周速Vceを検出する手段と巻取り機のコイル周速Vcdを検出する手段と、上記検出された巻出し機のコイル周速に基づき入側板厚をトラッキングする手段と、トラッキングされた上記入側板厚とその時点の巻出し機のコイル周速と巻取り機のコイル周速によるマスフロー板厚Hnを算出する手段と、上記算出された板速度によるマスフロー板厚とコイル周速によるマスフロー板厚を比較判定する手段と、判定されたマスフロー板厚によりロールギャップ制御量を算出する手段と、算出されたロールギャップ制御量に従って板厚補償制御を行う手段とを具備した圧延板の板厚制御装置である(請求項3)。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る板厚制御方法の実施の形態について図1および図2を参照して詳細に説明する。
巻出し機3にコイル巻きされた圧延板2が冷間圧延機1に供給され、冷間圧延機1のワークロール1aにより圧延された後、巻取り機4にコイル巻きされる。冷間圧延機1の入側には、この入側における圧延板2の板速度を検出する入側板速度検出ロール5aと板厚を検出する入側板厚計6が配置されており、冷間圧延機1の出側には圧延板2の板速度を検出する出側板速度検出ロール5bが配置されている。入側板厚計6により検出された入側板厚Heは入側トラッキング装置8aに入力される。入側トラッキング装置8aでは、入側板速度検出ロール5aにより検出された入側板速度Veに基づいて、入側板厚He検出ポイントがワークロール1a直下ポイントに到達するまでトラッキングを行い、ワークロール1a直下における入側板厚Hfを出力する。ワークロール1a直下ポイントへのトラッキングを行う際には、入側板厚計6の検出遅れ時間やワークロール1aの圧下量を操作する圧下装置7の遅れ時間等を考慮してもよい。
【0012】
マスフロー板厚演算装置9aにおいて、ワークロール1aに単位時間当たりに入っていく圧延板2の体積と出ていく圧延板2の体積は等しいとするマスフロー一定則に基づき、前記入側板厚Hfおよび前記入側板厚Hf出力時の入側板速度Veおよび出側板速度Vdを用いて下記(1)式により、ワークロール1a直下での板速度に基づいたマスフロー板厚Hmを演算する。
Hm=Hf×Ve/Vd ・・・(1)
【0013】
次に、入側板厚計6により検出された入側板厚Heを巻出し機3のコイル周速Vceに基づいて、入側板厚He検出ポイントがワークロール1a直下ポイントに到達するまで入側トラッキング装置8bでトラッキングを行い、ワークロール1a直下における入側板厚Hcfを出力する。ここで、コイル周速とは、巻出し機または巻取り機の圧延板コイル最外周部の速度で、コイルの回転数w(rpm)とコイル外径D(mm)から、V=πDw/1000(m/分)式により計算で求める。
尚、コイル外径Dは、初期コイル外径D0(mm)、圧延板板厚h(mm)、圧延経過時間tn(分)から、D=D0−2hwtn(mm)で求められる。
【0014】
マスフロー板厚演算装置9bにおいて、マスフロー一定則に基づき、前記入側板厚Hcfおよび前記入側板厚Hcf出力時の巻出し機3のコイル周速Vce、および巻取り機4のコイル周速Vcdを用いて下記(2)式によりワークロール1a直下でのコイル周速に基づいたマスフロー板厚Hnを演算する。
Hn=Hcf×Vce/Vcd ・・・(2)
【0015】
演算された各マスフロー板厚Hm、Hnは、マスフロー板厚比較装置10に入力されて、下記(3)式のように、その差が一定範囲d内にあれば、板速度検出ロールに基づくマスフロー板厚Hmを出力する。
|Hn−Hm|≦d ・・・(3)
【0016】
下記(4)式のように一定範囲dを超えた場合には、板速度検出ロールがスリップしていると判断して、コイル周速に基づくマスフロー板厚Hnを出力する。
|Hn−Hm|>d ・・・(4)
【0017】
ここで、一定範囲dは、所望する板厚Hrのa%として下記(5)式で求めてもよく、一定値としてもよい。
d=Hr×a/100 ・・・(5)
【0018】
次に、マスフロー板厚比較装置10より出力される板速度検出ロールに基づいたマスフロー板厚Hmまたはコイル周速に基づくマスフロー板厚Hnは、制御量演算装置11に入力されて、圧延板2が所定の板厚Hrになるように圧下装置7へのロールギャップ制御量が決められる。
図2は、請求項1発明の圧延板の板厚制御方法における板厚制御フローチャートを表している。
【0019】
次に、請求項2発明について図1、3を参照して詳細に説明する。
前記実施例では、板速度測定値が異常を示す板速度検出ロールのスリップ発生の判定を板速度検出ロールに基づくマスフロー板厚Hmとコイル周速に基づくマスフロー板厚Hnの差を用いて行ったが、本実施例では板速度検出ロールで検出された入出側板速度比Ve/Vd、および巻出し機3および巻取り機4のコイル周速比Vce/Vcdによる下記(6)式で演算されるスリップ判定値Xによってスリップ判定を行うものである。
X=(Ve/Vd)/(Vce/Vcd) ・・・(6)
【0020】
前記スリップ判定値Xは、板速度検出ロールにまったくスリップが生じていなければ、1となり、スリップが生じた場合には、1よりも小さな値若しくは大きな値になる。スリップ判定値Xの取る正常範囲をN1からN2とし、この範囲内であれば板速度検出ロールにスリップが発生していないと判定して、マスフロー板厚比較装置10は、板速度検出ロールに基づくマスフロー板厚Hmを出力する。スリップ判定値XがN1よりも小さい場合およびN2より大きい場合には、板速度検出ロールにスリップが発生していると判定し、マスフロー板厚比較装置10は、コイル周速に基づくマスフロー板厚Hnを出力する。
【0021】
スリップ判定値Xの正常範囲N1およびN2の決定方法として下記(7)、(8)式のごとくスリップ判定値Xの正常値である1を中心に±b%のスリップは正常であるとして設定してもよい。
下記(7)、(8)式は、b=5%のスリップは正常であるとした場合の正常範囲N1、N2の決定方法である。
N1=1−0.05 ・・・(7)
N2=1+0.05 ・・・(8)
【0022】
以降、前記実施例と同様に板速度検出ロールに基づいたマスフロー板厚Hmまたはコイル周速に基づくマスフロー板厚Hnは、制御量演算装置11に入力されて、圧延板2が所定の板厚Hrになるように圧下装置7へのロールギャップ制御量が決められる。
図3は、請求項2発明の圧延板の板厚制御方法における板厚制御フローチャートを表している。
【0023】
前記実施例では、板速度の検出に板速度検出ロールを用いた例を示したが、板速度をレーザー速度計やその他の速度計を用いて検出してもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明の板厚制御方法は板速度検出装置から求めたマスフロー板厚を制御指針とするマスフローAGCを用いる圧延板の板厚制御方法において、板速度の測定に異常が生じた時、板速度検出装置から求めたマスフロー板厚から巻取り機と巻出し機から求めたマスフロー板厚に制御指針を切り替える方法であるために圧延板の板厚を常時高精度に制御できる。
【0025】
又、本発明の板厚制御装置は、入出側板速度検出装置、入側板厚を検出する装置、入側板厚をトラッキングする装置、マスフロー板厚を算出する装置、巻出し機および巻取り機のコイル周速を検出する装置、板速度によるマスフロー板厚とコイル周速によるマスフロー板厚を比較判定する装置、マスフロー板厚によりロールギャップ制御量を算出する装置とロールギャップ制御量に従って板厚補償制御を行う装置とを具備するもので容易に実現可能であり、工業上顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の係る冷間圧延機板厚制御システムブロック図である。
【図2】本発明に係る板速度とコイル周速によるマスフロー板厚比較装置における処理フローチャートである。
【図3】本発明に係る板速度比とコイル周速比によるマスフロー板厚比較装置における処理フローチャートである。
【符号の説明】
1 圧延機
1a ワークロール
1b 中間ロール
1c バックアップロール
2 圧延板
3 巻出し機
4 巻取り機
5a 入側板速度検出ロール
5b 出側板速度検出ロール
6 入側板厚計
7 圧下装置
8a 入側トラッキング装置
8b 入側トラッキング装置
9a マスフロー板厚演算装置
9b マスフロー板厚演算装置
10 マスフロー板厚比較装置
11 制御量演算装置
【発明の属する技術分野】
本発明はアルミニウム、銅、鉄鋼などの金属板の冷間圧延に際して、板厚変動を効果的に抑制し得る圧延板の板厚制御方法及びその板厚制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、圧延板の板厚制御方法では板厚精度向上の為、高精度且つ高速応答な自動板厚制御(以下、AGCと略す)方法が多用されている。前記AGCの中で、圧延機の入側と出側(以下、入出側と略す)の板速度を測定してマスフロー板厚を求め、このマスフロー板厚による板厚制御を行うマスフローAGCは、フィードフォワードAGCなどの他のAGCに比べて板厚の制御に優れ、広く使用されてきている。前記マスフローAGCは、圧延機の入出側の板速度を正確に測定する必要があり、板速度の検出には板速度検出ロール(デフロール周速)が主に用いられている。
【0003】
前記板速度検出ロールを用いる方法は、導入コストは安価であるが圧延速度の加減速時等に圧延板と板速度検出ロールの間にスリップが生じると板厚変動が大きくなってしまい安定した板厚制御ができなくなることが知られている。
【0004】
このような板厚制御の問題に対して、板速度検出ロールがスリップしていると判断された場合には、(1)板速度検出ロールによるマスフローAGCを停止することで板厚精度を維持する方法(特許文献1)、或いは(2)マスフローAGCからフィードフォワードAGCへと制御方法を切り替える方法(特許文献2)が提案されている。
【0005】
【特許文献1】
「特開平7−116717号公報」
【特許文献2】
「特開平7−60322号公報」
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記(1)のAGCを停止する方法では、板速度検出ロールがスリップしていると判断された場合には圧延自体も停止するため、圧延の継続には停止−再稼動の手順を踏む必要があり時間のロスを生んで生産効率を低下させてしまう。また、圧延の停止や再稼動時には,圧延速度の加減速による板厚のばらつきが発生し圧延板の不良を招きやすく生産歩留まりの低下も招いてしまう。
【0007】
前記(2)のAGCをマスフローAGCからフィードフォワードAGCに切り替えて圧延する方法では、フィードフォワードAGCがその板厚制御の精度においてマスフローAGCより劣るためにマスフローAGCによる場合と比べてその板厚変動が大きくなり、圧延板の長手方向において板厚変動が大きく異なる圧延板を製造することになる。そのため前記圧延板の利用に際しては、その板厚変動の違いを考慮しなくてはならず時間的あるいは工数的にロスを生じることになり生産性の低下をきたす恐れがある。また、プレス加工などで使用する場合、金型とのクリアランスに差異を生じることになり、金型破損や寸法形状不良を引き起こす恐れもある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、圧延機の入側と出側に設置した板速度検出装置から圧延板のマスフロー板厚Hmを求めると共に、圧延板の巻出し機と巻取り機のコイル周速からマスフロー板厚Hnを求め、前記マスフロー板厚Hmと前記マスフロー板厚Hnの差がある大きさに達したときは、前記マスフロー板厚Hmから前記マスフロー板厚Hnに板厚制御指針を切り替えて圧延を行う圧延板の板厚制御方法である(請求項1)。
【0009】
更に、圧延機の入側と出側に設置した板速度検出装置から圧延板のマスフロー板厚Hmおよび入側板速度と出側板速度の比Ve/Vdを求めると共に、圧延板の巻出し機と巻取り機のコイル周速からマスフロー板厚Hnおよび巻出し機コイル周速と巻取り機コイル周速の比Vce/Vcdを求め、前記Ve/VdとVce/Vcdの差がある大きさに達したときは、前記マスフロー板厚Hmから前記マスフロー板厚Hnに板厚制御指針を切り替えて圧延を行う圧延板の板厚制御方法である(請求項2)。
【0010】
更に、入側板速度Veと出側板速度Vdを検出する手段と、入側板厚Heを検出する手段と、検出された入側板速度に基づき入側板厚をトラッキングする手段と、トラッキングされた入側板厚とその時点の入側板速度と出側板速度によるマスフロー板厚Hmを算出する手段と、巻出し機のコイル周速Vceを検出する手段と巻取り機のコイル周速Vcdを検出する手段と、上記検出された巻出し機のコイル周速に基づき入側板厚をトラッキングする手段と、トラッキングされた上記入側板厚とその時点の巻出し機のコイル周速と巻取り機のコイル周速によるマスフロー板厚Hnを算出する手段と、上記算出された板速度によるマスフロー板厚とコイル周速によるマスフロー板厚を比較判定する手段と、判定されたマスフロー板厚によりロールギャップ制御量を算出する手段と、算出されたロールギャップ制御量に従って板厚補償制御を行う手段とを具備した圧延板の板厚制御装置である(請求項3)。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る板厚制御方法の実施の形態について図1および図2を参照して詳細に説明する。
巻出し機3にコイル巻きされた圧延板2が冷間圧延機1に供給され、冷間圧延機1のワークロール1aにより圧延された後、巻取り機4にコイル巻きされる。冷間圧延機1の入側には、この入側における圧延板2の板速度を検出する入側板速度検出ロール5aと板厚を検出する入側板厚計6が配置されており、冷間圧延機1の出側には圧延板2の板速度を検出する出側板速度検出ロール5bが配置されている。入側板厚計6により検出された入側板厚Heは入側トラッキング装置8aに入力される。入側トラッキング装置8aでは、入側板速度検出ロール5aにより検出された入側板速度Veに基づいて、入側板厚He検出ポイントがワークロール1a直下ポイントに到達するまでトラッキングを行い、ワークロール1a直下における入側板厚Hfを出力する。ワークロール1a直下ポイントへのトラッキングを行う際には、入側板厚計6の検出遅れ時間やワークロール1aの圧下量を操作する圧下装置7の遅れ時間等を考慮してもよい。
【0012】
マスフロー板厚演算装置9aにおいて、ワークロール1aに単位時間当たりに入っていく圧延板2の体積と出ていく圧延板2の体積は等しいとするマスフロー一定則に基づき、前記入側板厚Hfおよび前記入側板厚Hf出力時の入側板速度Veおよび出側板速度Vdを用いて下記(1)式により、ワークロール1a直下での板速度に基づいたマスフロー板厚Hmを演算する。
Hm=Hf×Ve/Vd ・・・(1)
【0013】
次に、入側板厚計6により検出された入側板厚Heを巻出し機3のコイル周速Vceに基づいて、入側板厚He検出ポイントがワークロール1a直下ポイントに到達するまで入側トラッキング装置8bでトラッキングを行い、ワークロール1a直下における入側板厚Hcfを出力する。ここで、コイル周速とは、巻出し機または巻取り機の圧延板コイル最外周部の速度で、コイルの回転数w(rpm)とコイル外径D(mm)から、V=πDw/1000(m/分)式により計算で求める。
尚、コイル外径Dは、初期コイル外径D0(mm)、圧延板板厚h(mm)、圧延経過時間tn(分)から、D=D0−2hwtn(mm)で求められる。
【0014】
マスフロー板厚演算装置9bにおいて、マスフロー一定則に基づき、前記入側板厚Hcfおよび前記入側板厚Hcf出力時の巻出し機3のコイル周速Vce、および巻取り機4のコイル周速Vcdを用いて下記(2)式によりワークロール1a直下でのコイル周速に基づいたマスフロー板厚Hnを演算する。
Hn=Hcf×Vce/Vcd ・・・(2)
【0015】
演算された各マスフロー板厚Hm、Hnは、マスフロー板厚比較装置10に入力されて、下記(3)式のように、その差が一定範囲d内にあれば、板速度検出ロールに基づくマスフロー板厚Hmを出力する。
|Hn−Hm|≦d ・・・(3)
【0016】
下記(4)式のように一定範囲dを超えた場合には、板速度検出ロールがスリップしていると判断して、コイル周速に基づくマスフロー板厚Hnを出力する。
|Hn−Hm|>d ・・・(4)
【0017】
ここで、一定範囲dは、所望する板厚Hrのa%として下記(5)式で求めてもよく、一定値としてもよい。
d=Hr×a/100 ・・・(5)
【0018】
次に、マスフロー板厚比較装置10より出力される板速度検出ロールに基づいたマスフロー板厚Hmまたはコイル周速に基づくマスフロー板厚Hnは、制御量演算装置11に入力されて、圧延板2が所定の板厚Hrになるように圧下装置7へのロールギャップ制御量が決められる。
図2は、請求項1発明の圧延板の板厚制御方法における板厚制御フローチャートを表している。
【0019】
次に、請求項2発明について図1、3を参照して詳細に説明する。
前記実施例では、板速度測定値が異常を示す板速度検出ロールのスリップ発生の判定を板速度検出ロールに基づくマスフロー板厚Hmとコイル周速に基づくマスフロー板厚Hnの差を用いて行ったが、本実施例では板速度検出ロールで検出された入出側板速度比Ve/Vd、および巻出し機3および巻取り機4のコイル周速比Vce/Vcdによる下記(6)式で演算されるスリップ判定値Xによってスリップ判定を行うものである。
X=(Ve/Vd)/(Vce/Vcd) ・・・(6)
【0020】
前記スリップ判定値Xは、板速度検出ロールにまったくスリップが生じていなければ、1となり、スリップが生じた場合には、1よりも小さな値若しくは大きな値になる。スリップ判定値Xの取る正常範囲をN1からN2とし、この範囲内であれば板速度検出ロールにスリップが発生していないと判定して、マスフロー板厚比較装置10は、板速度検出ロールに基づくマスフロー板厚Hmを出力する。スリップ判定値XがN1よりも小さい場合およびN2より大きい場合には、板速度検出ロールにスリップが発生していると判定し、マスフロー板厚比較装置10は、コイル周速に基づくマスフロー板厚Hnを出力する。
【0021】
スリップ判定値Xの正常範囲N1およびN2の決定方法として下記(7)、(8)式のごとくスリップ判定値Xの正常値である1を中心に±b%のスリップは正常であるとして設定してもよい。
下記(7)、(8)式は、b=5%のスリップは正常であるとした場合の正常範囲N1、N2の決定方法である。
N1=1−0.05 ・・・(7)
N2=1+0.05 ・・・(8)
【0022】
以降、前記実施例と同様に板速度検出ロールに基づいたマスフロー板厚Hmまたはコイル周速に基づくマスフロー板厚Hnは、制御量演算装置11に入力されて、圧延板2が所定の板厚Hrになるように圧下装置7へのロールギャップ制御量が決められる。
図3は、請求項2発明の圧延板の板厚制御方法における板厚制御フローチャートを表している。
【0023】
前記実施例では、板速度の検出に板速度検出ロールを用いた例を示したが、板速度をレーザー速度計やその他の速度計を用いて検出してもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明の板厚制御方法は板速度検出装置から求めたマスフロー板厚を制御指針とするマスフローAGCを用いる圧延板の板厚制御方法において、板速度の測定に異常が生じた時、板速度検出装置から求めたマスフロー板厚から巻取り機と巻出し機から求めたマスフロー板厚に制御指針を切り替える方法であるために圧延板の板厚を常時高精度に制御できる。
【0025】
又、本発明の板厚制御装置は、入出側板速度検出装置、入側板厚を検出する装置、入側板厚をトラッキングする装置、マスフロー板厚を算出する装置、巻出し機および巻取り機のコイル周速を検出する装置、板速度によるマスフロー板厚とコイル周速によるマスフロー板厚を比較判定する装置、マスフロー板厚によりロールギャップ制御量を算出する装置とロールギャップ制御量に従って板厚補償制御を行う装置とを具備するもので容易に実現可能であり、工業上顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の係る冷間圧延機板厚制御システムブロック図である。
【図2】本発明に係る板速度とコイル周速によるマスフロー板厚比較装置における処理フローチャートである。
【図3】本発明に係る板速度比とコイル周速比によるマスフロー板厚比較装置における処理フローチャートである。
【符号の説明】
1 圧延機
1a ワークロール
1b 中間ロール
1c バックアップロール
2 圧延板
3 巻出し機
4 巻取り機
5a 入側板速度検出ロール
5b 出側板速度検出ロール
6 入側板厚計
7 圧下装置
8a 入側トラッキング装置
8b 入側トラッキング装置
9a マスフロー板厚演算装置
9b マスフロー板厚演算装置
10 マスフロー板厚比較装置
11 制御量演算装置
Claims (3)
- 圧延機の入側と出側に設置した板速度検出装置から圧延板のマスフロー板厚Hmを求めると共に、圧延板の巻出し機と巻取り機のコイル周速からマスフロー板厚Hnを求め、前記マスフロー板厚Hmと前記マスフロー板厚Hnの差がある大きさに達したときは、前記マスフロー板厚Hmから前記マスフロー板厚Hnに板厚制御指針を切り替えて圧延を行うことを特徴とする圧延板の板厚制御方法。
- 圧延機の入側と出側に設置した板速度検出装置から圧延板のマスフロー板厚Hmおよび入側板速度と出側板速度の比Ve/Vdを求めると共に、圧延板の巻出し機と巻取り機のコイル周速からマスフロー板厚Hnおよび巻出し機コイル周速と巻取り機コイル周速の比Vce/Vcdを求め、前記Ve/VdとVce/Vcdの差がある大きさに達したときは、前記マスフロー板厚Hmから前記マスフロー板厚Hnに板厚制御指針を切り替えて圧延を行うことを特徴とする圧延板の板厚制御方法。
- 入側板速度Veと出側板速度Vdを検出する手段と、入側板厚Heを検出する手段と、検出された入側板速度に基づき入側板厚をトラッキングする手段と、トラッキングされた上記入側板厚とその時点の入側板速度と出側板速度によるマスフロー板厚Hmを算出する手段と、巻出し機のコイル周速Vceを検出する手段と巻取り機のコイル周速Vcdを検出する手段と、検出された巻出し機のコイル周速に基づき入側板厚をトラッキングする手段と、トラッキングされた上記入側板厚とその時点の巻出し機のコイル周速と巻取り機のコイル周速によるマスフロー板厚Hnを算出する手段と、上記算出された板速度によるマスフロー板厚とコイル周速によるマスフロー板厚を比較判定する手段と、判定されたマスフロー板厚によりロールギャップ制御量を算出する手段と、算出されたロールギャップ制御量に従って板厚補償制御を行う手段とを具備したことを特徴とする圧延板の板厚制御装置。
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