JP2004214455A - リン化硼素系半導体発光素子及びその製造方法 - Google Patents

リン化硼素系半導体発光素子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リン化硼素結晶層の表面に接触させて台座電極を設けて成るリン化硼素系半導体発光素子にあって、発光領域に万遍なく素子駆動電流を拡散させて、高発光強度の発光素子を提供すること。
【解決手段】台座電極を高抵抗または下地層とpn接合を構成できるリン化硼素系半導体非晶層を台座電極の下に選択的に配置して、素子駆動電流の発光層への短絡的な流通を回避して、発光領域の広い高発光強度のリン化硼素系半導体発光素子を得る。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光領域を拡張するに効果を奏する構成から成る台座電極を具備する高発光強度のリン化硼素系半導体発光素子、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、III −V族化合物半導体の一種であるリン化硼素(化学式:BP)層を利用して、発光ダイオード(英略称:LED)或いはレーザダイオード(英略称:LD)等の発光素子を構成する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。リン化硼素半導体では、電子に比較して、正孔(hole)の有効質量が小さいため、p形の伝導層が得られ易いとされている(例えば、特許文献2参照)。最近では、p形のリン化硼素層をオーミック電極を形成するための電極形成層(コンタクト層)として備えた発光素子が知れている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
例えば、III 族窒化物半導体からなる発光層上に設けられたp形リン化硼素から成るコンタクト(contact)層に接触させて設けられる従来のp形電極は、金(元素記号:Au)・亜鉛(元素記号:Zn)合金の単一層から構成されている(上記の特許文献2参照)。結線用途の台座(pad)電極を兼ねる電極をリン化硼素層上に備えた従来のリン化硼素系半導体発光素子にあっては、p形またはn形のリン化硼素層の表面に接触させて設けられるのが通例となっている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第6,069,021号公報明細書
【特許文献2】
特開平2−288388号公報
【特許文献3】
特開平10−242567号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電極の底面部位を導電性のn形またはp形リン化硼素層の正しく表面に接触させて設ける従来の構成では、発光素子を駆動させるために供給する電流(素子駆動電流)が電極の底面部位より短絡的に下層へと流通してしまう問題を充分に回避出来ていない。このため、例えば、発光層の上方に設けた電極を設置するためのリン化硼素結晶層を介して外部へ発光を取り出す方式のLEDにあっては、発光領域に万遍なく素子駆動電流を拡散できない不都合が発生する。従って、発光領域を拡張させて、リン化硼素系半導体発光素子の発光強度を増加させるに支障を来しているのが現状である。
【0006】
本発明は、従来技術の欠点を克服すべく、素子駆動電流を発光領域の広範囲に拡散させるに効果を奏する台座電極の構成を提示すると共に、そのような台座電極を備えたリン化硼素系半導体発光素子、及びそのリン化硼素系半導体発光素子を製造するための製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、上記目的を達成するために、下記を提供する。
(1)結晶基板上に発光層を含む半導体層が下地層として形成され、該半導体層上の第1の領域上にリン化硼素系半導体非晶質層が形成され、該リン化硼素系半導体非晶質層は高抵抗のリン化硼素系半導体非晶質層を含み、該高抵抗リン化硼素系半導体非晶質層上に結線用の台座電極が形成され、前記下地層としての前記半導体層上の前記第1の領域以外の第2の領域上に導電性リン化硼素系結晶層が任意に前記リン化硼素系半導体非晶質層上の一部まで延在して形成され、前記台座電極は底面より上部で前記リン化硼素系半導体結晶層と接していることを特徴とするリン化硼素系半導体発光素子。
(2)結晶基板上に発光層を含む半導体層が下地層として形成され、該半導体層上の第1の領域上にリン化硼素系半導体非晶質層が形成され、該リン化硼素系半導体非晶質層は前記下地層としての前記半導体層とは反対の伝導形のリン化硼素系半導体非晶質層を含み、該反対伝導形リン化硼素系半導体非晶質層上に結線用の台座電極が形成され、前記下地層としての前記半導体層上の前記第1の領域以外の第2の領域上に導電性リン化硼素系結晶層が任意に前記リン化硼素系半導体非晶質層上の一部まで延在して形成され、前記台座電極は底面より上部で前記リン化硼素系半導体結晶層と接していることを特徴とするリン化硼素系半導体発光素子。
(3)前記リン化硼素系半導体非晶質層が、前記下地層としての前記半導体層に接して形成された前記下地層としての前記半導体層とは反対の伝導形を有するリン化硼素系半導体非晶質層と、当該反対伝導形リン化硼素系半導体非晶質層上に形成された高抵抗のリン化硼素系半導体非晶質層との重層構造を有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載のリン化硼素系半導体発光素子。
(4)前記リン化硼素系半導体非晶質層が、アンドープのリン化硼素系半導体から構成されていることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1項に記載のリン化硼素系半導体発光素子。
(5)前記リン化硼素系半導体非晶質層の前記重層構造を構成する2層のリン化硼素系半導体非晶質層が、いずれもアンドープのリン化硼素系半導体から構成されていることを特徴とする上記(3)に記載のリン化硼素系半導体発光素子。
(6)前記台座電極の前記導電性リン化硼素系半導体結晶層と接する部分が、当該導電性リン化硼素結晶層とオーミック接触をなす材料から構成されていることを特徴とする上記(1)〜(5)の何れか1項に記載のリン化硼素系半導体発光素子。
(7)前記台座電極の前記導電性リン化硼素系半導体結晶層とオーミック接触をなす材料から構成された部分が、前記導電性リン化硼素系半導体結晶層上に延在していることを特徴とする上記(6)に記載のリン化硼素系半導体発光素子。
(8)前記台座電極の底面部位が前記リン化硼素系半導体非晶質層に対し非オーミック接触をなす材料から構成されていることを特徴とする上記(6)または(7)に記載のリン化硼素系半導体発光素子。
(9)前記台座電極が、前記リン化硼素系半導体非晶質層上にある底面部位と、該底面部位上に形成され当該底面部位の平面形状の中心と形状中心が一致しているオーミック電極部位とを有することを特徴とする上記(1)〜(8)の何れか1項に記載のリン化硼素系半導体発光素子。
(10)前記台座電極の前記オーミック電極部位が、前記台座電極の前記底面部位の平面積を超える平面積を有することを特徴とする上記(9)に記載のリン化硼素系半導体発光素子。
(11)前記台座電極の前記オーミック電極部位が、前記導電性リン化硼素系半導体結晶層表面上まで延在することを特徴とする上記(10)に記載のリン化硼素系半導体発光素子。
(12)結晶基板上に発光層を含む半導体層を気相成長法により形成し、該半導体層を下地層としかつ結晶基板の温度を250℃以上で1200℃以下とした気相成長法で該下地層と反対導電形または高抵抗のリン化硼素系半導体非晶質層を堆積し、該リン化硼素系半導体非晶質層を選択的に除去して第1の領域に当該リン化硼素系半導体非晶質層を残しそれ以外の第2の領域では前記下地層としての前記半導体層を露出させ、当該露出した前記下地層としての前記半導体層上及び前記リン化硼素系半導体非晶質層上に結晶基板の温度を750℃以上1200℃以下の温度とした気相成長法で導電性リン化硼素系半導体結晶層を堆積し、前記第1の領域の該導電性リン化硼素系半導体結晶層を選択的に除去して前記リン化硼素系半導体非晶質層を露出させ、当該露出したリン化硼素系半導体非晶質層上にかつ前記リン化硼素結晶層に接するように結線用の台座電極を形成し、その後、個別の発光素子に裁断することを特徴とするリン化硼素系半導体発光素子の製造方法。
(13)台座電極を設ける前記第1の領域に在る導電性リン化硼素系半導体結晶層を除去すると同時に、個別の発光素子に裁断、分離するための帯状の切断線を設ける領域に在る導電性のリン化硼素系半導体結晶層を除去して、下方のリン化硼素系半導体非晶質層の表面を露出させることを特徴とする上記(12)に記載のリン化硼素系半導体発光素子の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
非晶質及び導電性の結晶層を成すリン化硼素系半導体とは、硼素(元素記号:B)とリン(元素記号:P)とを含む例えば、BαAlβGaγIn1−α−β−γ1−δAsδ(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0≦δ<1である。また、例えば、BαAlβGaγIn1−α−β−γ1−δδ(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0≦δ<1)である。より具体的には、単量体のリン化硼素(BP)、リン化硼素・ガリウム・インジウム(組成式BαGaγIn1−α−γP:0<α≦1、0≦γ<1)、また、窒化リン化硼素(組成式BP1−δδ:0≦δ<1)や砒化リン化硼素(組成式Bα1−δAsδ)等の複数のV族元素を含む混晶である。特に、単量体のリン化硼素(BP)はリン化硼素系半導体混晶の基材である。室温での禁止帯幅を2.8〜3.4エレクトロンボルト(単位:eV)とする広禁止帯幅のBPを基材とすれば、禁止帯幅の広いリン化硼素系非晶質層または結晶層を形成することができる。禁止帯幅を3.0eVとするリン化硼素系結晶層からは、禁止帯幅を例えば、2.7eVとするIII 族窒化物半導体からなる発光層についての障壁層或いは発光を外部へ透過できる窓(window)層を好適に形成できる。
【0009】
リン化硼素系半導体非晶質層または結晶層は、例えば、ハロゲン(halogen)法(「日本結晶成長学会誌」、Vol.24,No.2(1997)、150頁参照)、ハイドライド法(J.Crystal Growth,24/25(1974)、193〜196頁参照)、並びに分子線エピタキシャル法(J.Solid State Chem.,133(1997)、269〜272頁参照)等の気相成長手段に依り形成できる。また、有機金属化学的気相堆積(MOCVD)法(Inst.Phys.Conf.Ser.,No.129(IOP Publishing Ltd.(UK、1993)、157〜162頁参照)に依り気相成長できる。特に、MOCVD法はトリエチル硼素(分子式:(CB)等の易分解性の物質を硼素源としているため、より低温で非晶質層を気相成長させるに有利な成長手段となる。これらの気相成長手段に依り、リン化硼素系半導体から成る非晶質層を形成する際には、1200℃以下が適する。1200℃を超える高温では、B13等の硼素多量体の発生に因り、単量体のリン化硼素(BP)を基材とするリン化硼素系半導体層の成長が阻害される。一方で、非晶質のリン化硼素系半導体層を構成する元素(構成元素)の原料を気相成長領域で充分に熱分解でき、成膜を進行させることができる250℃以上とするのが適する。一般に、気相成長温度を1000℃を超える高温とすると、p形の伝導を呈する非晶質層または結晶層が得られ易くなる。n形の伝導性の非晶質層または結晶層は、1000℃未満の温度で形成され得る。
【0010】
上記の手段を利用してリン化硼素系非晶質層を効率的に気相成長させるには、所謂、V/III 比率を0.2〜50の範囲に設定するのが重要である。V/III 比率は、リン化硼素系半導体層の成長を実施する領域(成長領域)に供給される第III 族構成元素の合計の濃度に対する、第V族構成元素の合計の濃度の比率で表せる。このV/III 比率を0.2未満の極端に低比率とすると、硼素を富裕とする球体が多く発生し、平坦な表面の非晶質層が安定して得られず不都合となる。50を超えるV/III 比率は、多結晶層の形成を招き、非晶質層を安定して得るに好適とはならない。本発明において結晶層とは、単結晶からなる層、非晶質と単結晶からなる多結晶層、配向性が相違する単結晶からなる多結晶層をいずれをもいう。リン化硼素系結晶層は、V/III 比率を100以上、更に望ましくは500以上で2000以下として安定して形成できる。2000を超える高いV/III 比率では、リン等の第V族元素を含む析出物が発生し、平坦な表面のリン化硼素系半導体結晶層を得るに難を来し、不都合である。非晶質、多結晶或いは単結晶は、一般のX線回折或いは電子線回折技法により判別できる。
【0011】
気相成長された半導体層を下地層として設けるリン化硼素系半導体非晶質層は、抵抗率が大きい高抵抗の非晶質層、下地層を成す半導体層とは反対(逆)の伝導形を有する非晶質層、または、これらの層を重層させた重層構造から構成するのが好ましい。高抵抗の非晶質層の抵抗率は室温で望ましくは10Ω・cm以上、より望ましくは10Ω・cm以上である。下地層とは反対伝導形とは、例えば、下地層がn形層で或る場合、p形であることを指す。非晶質層は、例えば、窒化ガリウム・インジウム(組成式GaIn1−XN:0≦X≦1)から成る発光層、或いは窒化アルミニウム・ガリウム(組成式AlGa1−XN:0≦X≦1)から成るクラッド(clad)障壁層を下地層として形成するのが好ましい。便宣上、高抵抗の非晶質層を「高抵抗非晶質層」と、また下地層とは反対伝導形の非晶質層を「反対導電形非晶質層」と呼称すると、肝要なのは、発光層或いは障壁層上に配置する台座電極の底面の下に、即ち、台座電極の射影領域に、高抵抗非晶質層または反対導電形非晶質層の何れかを設けることにある。台座電極の底面を高抵抗非晶質層上に設ける構成では、高抵抗非晶質層は素子駆動電流が台座電極の底面から下方の発光層へ短絡的に流通することを阻害する抵抗体として作用する。また、台座電極の底面を下地層とは反対伝導形の非晶質層上に設ける構成では、導電性非晶質層は下地層とpn接合構造を形成し、素子駆動電流が台座電極の底面から下方の発光層へ短絡的に流通するのを阻害する作用を有する。高抵抗非晶質層または反対導電形非晶質層を形成する領域(第1の領域)は台座電極の底面を形成する領域(第3の領域)と同一である必要はなく、台座電極の底面(台座電極の射影領域)の少なくとも一部を含む領域であれば効果がある。しかし、素子駆動電流を通流させないpn接合構造を構成する反対導電形非晶質層あるいは高抵抗非晶質層は、台座電極の射影領域及びその周囲に限定して設けることが好ましい。高抵抗非晶質層または反対導電形非晶質層は台座電極の射影領域に形成すれば、素子駆動電流が台座電極の底面から下方の発光層へ短絡的に流通することを防止して、台座電極で遮光される発光層の領域で発光が起きることを防止できる一方、素子駆動電流を下地層に充分に満遍なく通流させるためには、上記第1の領域以外の領域(第2の領域)に形成される導電性結晶層が下地半導体層と広い面積で接触していることが望ましいからである。台座電極の射影領域以外の領域(第2の領域)に広く高抵抗非晶質層または反対導電形非晶質層を形成すると、例えば発光層の全面に設けてしまうと、素子駆動電流を下地層に充分に万遍なく通流できす、高発光強度のLEDを得るに不都合が生ずる。
【0012】
更に、高抵抗非晶質層と、下地層とは反対伝導形の非晶質層とを重層させてリン化硼素系半導体非晶質層を構成することとすると、上記の素子駆動電流の短絡的な流通を防止する上でより効果的となる。下地層上に反対導電形非晶質層を設けてから、次にその上に高抵抗非晶質層を重層させるのが好適である。高抵抗非晶質層を介在させることに依り、pn接合をなす反対導電形非晶質層と下地層との接合部へ流入する素子駆動電流をそもそも減少させるに効果を上げられるからである。
高抵抗非晶質層の層厚としては、台座電極の底面部位を設ける領域にあって、下地層の表面を均等に被覆できる2nm以上であるのが適する。反対導電形非晶質層は、トンネル(tunnel)効果に依りキャリアの下地層へ通過させない50nm以上とするのが望ましい。高抵抗非晶質層または反対導電形非晶質層の層厚を200nmを超えて大とすると、後述するオーミック電極とリン化硼素系半導体結晶層の表面との段差が増し、リン化硼素系半導体結晶層との密着性に優れる電極を形成するに支障を来すため好ましくはない。
【0013】
底面を反対導電形或いは高抵抗の非晶質層に接触する台座電極を形成するには、先ず、下地層上に反対導電形或いは高抵抗非晶質層を成長させた後、台座電極を形成する領域を含む第1の領域に在る反対導電形或いは高抵抗非結晶層を選択的に除去してから、次に、導電性のリン硼素結晶層を成長させた後、台座電極を形成する領域に在る導電性のリン化硼素系結晶層を除去し、反対導電形或いは高抵抗の非晶質層の表面を露出させる。然る後、露出させた非晶質層の表面に、台座電極の底面を構成するのに好都合な材料を被着させれば形成できる。リン化硼素系非結晶層及びリン化硼素系結晶層は、例えば、公知の塩素(元素記号:Cl)系プラズマエッチング手法等によりエッチングすれば除去できる。反対導電形或いは高抵抗の非晶質層を台座電極下に選択的領域に残すには公知のフォトリソグラフィー技術を使用すればよい。台座電極を設ける平面領域に限り、台座電極の底面を設けるにあたっては、公知のフォトリソグラフィー技術を利用した選択パターニング技術を応用するのが好適である。台座電極の底面を反対導電形或いは高抵抗の何れの非晶質層の表面上に設けた場合でも、素子駆動電流が底面部位より、その射影領域に在る下方の発光層への短絡的な流通を阻害できる。ひいては、外部に対し発光が遮蔽される台座電極の射影領域以外の発光領域に素子駆動電流を優先して供給できることとなるため、例えば、高発光強度のLEDを得るに貢献できる。
【0014】
非晶質層を、不純物を故意に添加しない、所謂、アンドープ(undope)層から構成すると、下地層の発光層或いは障壁層を電気的或いは結晶的に変質するのを防止する上で効果がある。従来のマグネシウム(元素記号:Mg)を故意に添加(doping)した窒化ガリウム(GaN)層をn形発光層上に設けた積層構造に於いて、p形不純物であるマグネシウム(Mg)の熱的拡散に因る発光層の高抵抗化、或いは量子井戸構造の発光層にあっては、障壁(barrier)層と井戸(well)層とのヘテロ接合界面の乱雑化を回避できる。リン化硼素系半導体からなる非晶質層にあって、その伝導度は、それを気相成長させる温度(成長温度)及び上記のV/III 比率を調整すれば制御できる。成長温度が低温であり、且つ、V/III 比率を低く設定する程、より高抵抗の非晶質層を得ることができる。高温で、高いV/III 族比率で気相成長させるとより低抵抗の非晶質層を形成できる。リン化硼素系半導体非晶質層の導電性の尺度となる抵抗率は、通常のホール(Hall)効果測定法により計測できる。
【0015】
反対導電形または高抵抗の非晶質層に依る素子動作電流の短絡的流通の阻止機能に加えて、台座電極の底面部位をリン化硼素系半導体に対し、非オーミック接触性の材料から構成すると、尚更、素子駆動電流の短絡的流通を阻止するに効果を上げられる。非オーミック接触性とは、ショットキー(Schottky)接合に見られる様に整流性を呈する接触である。本発明では、特に、接触抵抗を1×10−3Ω・cmを超えて大とする接触も含めることとする。台座電極の底面部位の材料は、リン化硼素系半導体非晶質層の伝導形に依って異にする。高抵抗であれp形のリン化硼素系半導体非晶質層に対しては、例えば、金(元素記号:Au)・ゲルマニウム(元素記号:Ge)、金(Au)・錫(元素記号:Sn)、金(Au)・インジウム(元素記号:In)等の金合金から底面部位を構成する。n形リン化硼素系半導体非晶質層については、金(Au)・亜鉛(元素記号:Zn)、金(Au)・ベリリウム(元素記号:Be)等の金合金から底面部位を構成する。また、非晶質層の伝導形に拘わらず、遷移金属から整流性のある底面部位を構成できる。ショットキー整流性を呈する材料には、チタン(元素記号:Ti)、モリブデン(元素記号:Mo)、バナジウム(元素記号:V)、タンタル(元素記号:Ta)、ハフニウム(元素記号:Hf)及びタンググテン(元素記号:W)等を例示できる。
【0016】
リン化硼素系半導体非晶質層の表面に接触して設けた底面部位を構成する被膜上には、リン化硼素系半導体結晶層とオーミック接触を成す材料から構成した、オーミック電極を設ける。オーミック電極を構成する材料は、リン化硼素系半導体結晶層の伝導形に鑑みて選択する。p形のリン化硼素系半導体結晶層については、金・亜鉛、金・ベリリウム等の金合金から構成できる。n形のリン化硼素系半導体結晶層については、例えば、金・ゲルマニウム、金・錫、金・インジウム等の金合金から構成できる。台座電極の底面部位を設けるリン化硼素系半導体非晶質層と、オーミック電極を設けるリン化硼素系半導体結晶層とが、互いに反対の伝導層であれば、台座電極の底面部位と底面部位上のオーミック電極とは同一の材料から構成できる。例えば、p形のリン化硼素系半導体非晶質層に底面部位を、n形リン化硼素系結晶層にオーミック電極を接触させた台座電極を構成する場合に、底面部位とオーミック電極とを共に金・ゲルマニウム合金から構成する例が挙げられる。ニオブ(元素記号:Nb)、クロム(元素記号:Cr)及び上記の遷移金属からショットキー整流性とオーミック電極の両方を構成することは好適ではない。
【0017】
平面積が台座電極の底面部位の底面積を超えるものとし、且つ底面積に比較して超過する平面積を与える部位をリン化硼素系半導体結晶層の表面まで延在させてそれに接する様に配置すると、リン化硼素系半導体結晶層の表面に密着するオーミック電極を形成できる。リン化硼素系半導体非晶質層に接して設けられた底面を含む底面部位を形成した後、底面部位に接し尚且リン化硼素系半導体結晶層にも接する様にオーミック電極を構成する材料を被着させてから、例えば円形の底面であればより直径の大きな円形の電極となる様に、公知のフォトリソグラフィー技術を利用してオーミック電極材料を加工すれば形成できる。この場合、底面部位の円形領域より外縁に在るオーミック電極の部位をリン化硼素系半導体結晶層の表面と密着させる。底面部位の平面形状と、オーミック電極の平面形状とを相似形とする必要は必ずしも無い。例えば、底面部位の平面形状を円形とし、オーミック電極の平面形状を正方形とする例が上げられる。しかし、底面部位の平面形状の中心とオーミック電極の平面形状の中心とは通常は一致させるのが、リン化硼素系半導体結晶層と平面的に等方的な強度で密着する台座電極を形成する上で特に、望ましい。
【0018】
リン化硼素系半導体結晶層に密着する様に設けたオーミック電極と電気的に導通させて、更に、リン化硼素系半導体結晶層の表面に延在させてオーミック電極を配置すると、台座電極の射影領域以外の発光領域に素子駆動電流を分配できるので好ましい。即ち、リン化硼素系半導体結晶層を透過させて発光を外部へ取り出す方式のLEDにあって、台座電極に依って遮光されない、外部に発光を取り出すに好都合となる発光領域に、素子駆動電流を平面的に拡散できる。この様に延在させたオーミック電極は、台座電極の底面に依ってその射影領域に在る発光層への短絡的な流通を阻害された素子駆動電流を、発光領域に広範囲に拡散させる作用を有し、高発光強度のLEDを製造するに貢献できる。リン化硼素系半導体結晶層の表面に延在させて設けるオーミック電極は、台座電極を成すオーミック電極とは異なる材料からも構成できる。例えば、台座電極のオーミック電極を金・ゲルマニウム合金から構成し、延在させるオーミック電極を金・錫合金から構成する例がある。延在させるオーミック電極は、リン化硼素系半導体結晶層との密着性の良さからして、第III 族元素であるガリウム(元素記号:Ga)やインジウム(元素記号:In)等よりも、第IV族元素の錫(Sn)、ゲルマニウム(Ge)を含む合金からより好適に構成できる。台座電極と延在させるオーミック電極とを共に同一の材料から構成すると、それらを同時に構成でき、工程的に簡便にリン化硼素系半導体発光素子を得る寄与できる。
【0019】
延在させるオーミック電極は、台座電極の射影領域以外の発光領域に万遍なく、均等に素子駆動電流を分配できる様に配置するのが望ましい。即ち、リン化硼素系半導体結晶層の表面、ひいては発光層の表面に於いて、均等な電位分布が帰結される様に配置するのが好適である。延在させるオーミック電極は、台座電極と電気的導通させた帯状、円環状、或いは、枠状などの電極から構成できる。また、これらの帯状電極や枠状電極などを組合わせかつ互いに導通させて構成することができる。帯状、円環状或いは枠状などの電極を構成する線状の電極は、通流する素子駆動電流が増加した場合に於いても断線することの無い様に、通常は10μm以上、更に望ましくは20μm以上の線幅を有するのが望ましい。公知のフォトリソグラフィー技術とパターニング技術と選択エッチング技術を利用すれば、所望の形状及び線幅の線状電極を、リン化硼素系半導体結晶層の表面上に敷設できる。
【0020】
リン化硼素系半導体発光素子は、台座電極或いは台座電極に付属させてオーミック電極を形成した後、個別の素子に裁断して製造する。個別の素子への切断は、通常、基板を成す結晶の劈開方向に沿って設けられる、一般に、裁断線、スクライブライン或いはダイシングラインと呼称される直線状の溝を利用して実施される。本発明では、上記の如くリン化硼素系半導体非晶質層に接して台座電極の底面部位を設けるために、底面部位を設ける領域に在るリン化硼素系半導体結晶層を除去する必要がある。これと同時に個別の素子に裁断線とする溝を形成するとリン化硼素系半導体発光素子を得るにあたっての工程を簡略とすることができる。従って、本発明では、台座電極の底面部位を形成する領域で非晶質層の表面を露出させると同時に、裁断線を設ける領域に於いてリン化硼素系半導体非晶質層の表面を露出させて裁断用途の溝を形成する。この裁断用途の溝は、例えば、立方晶閃亜鉛鉱型の結晶を基板としている場合は、劈開方向である互いに直交する<110>結晶方位に設けるのが得策である。裁断用途の溝(裁断線)の幅は、裁断用器具の刃先の接触に因り、溝の側面を成すリン化硼素系半導体結晶層を大きな損傷させることの無い様に、充分な幅とするのが好適である。一般には、40μm以上で70μm以下とするのが好適である。70μmを超える幅とすると、却って、溝の幅が不必要に広くなるため、裁断器具の刃先の走行に範囲に猶予ができる。このため、刃先の”ぶれ”のため直線的に走行しなくしなくなるため、裁断後の断面を平滑とする個別素子が得られ難くなる。
【0021】
【作用】
台座電極の底面の下に配置した高抵抗または下地層と反対導電形のリン化硼素系半導体非晶質層は、その上に設ける台座電極の底面を通じて供給される素子駆動電流が、台座電極の下方に位置する発光層へ短絡的に流入するのを防止する作用を有する。
【0022】
リン化硼素系半導体に対して非オーミック接触を呈する材料から構成した台座電極の底面は、台座電極を介して供給される素子駆動電流が、下のリン化硼素系半導体非晶質層に短絡的に流通するのを回避する作用を有する。
【0023】
台座電極の一部を成す底面部位に接して設けられ、底面部位の底面積よりも大きな平面積を有し、リン化硼素系半導体結晶層の表面に接して設けるオーミック電極は、リン化硼素系半導体層との密着性に優れる台座電極をもたらす作用を有する。
【0024】
台座電極の一部を成すオーミック電極に電気的に導通させて、且つリン化硼素系半導体結晶層の表面に延在させて設けたオーミック電極は、素子駆動電流を発光領域に広範囲に分配する作用を有する。
【0025】
(第1実施例)
高抵抗のリン化硼素非晶質層の表面と接した底面を有する台座電極を備えた発光ダイオード(LED)を構成する場合を例にして本発明に係わるリン化硼素系半導体発光素子を具体的に説明する。図1にダブルヘテロ(DH)接合構造のLED10を作製するために使用した積層構造体11の断面構造を模式的に示す。
【0026】
基板101には、リン(P)ドープn形珪素(Si)単結晶を使用した。基板101の表面上には、常圧(略大気圧)有機金属気相エピタキシー(MOVPE)手段を利用して、n形のリン化硼素(BP)からなる下部クラッド層102を堆積させた。下部クラッド層102は、トリエチル硼素(分子式:(CB)を硼素(B)源とし、また、ホスフィン(分子式:PH)をリン源として、950℃で堆積した。下部クラッド層102をなすアンドープでn形のBP層のキャリア濃度は1×1019cm−3であり、層厚は420nmとした。
【0027】
n形下部クラッド層102上には、常圧MOCVD法に依り気相成長させたn形窒化ガリウム・インジウム(Ga0.90In0.10N)から成る発光層103を、825℃で形成した。井戸層103を構成する上記の窒化ガリウム・インジウム層は、インジウム組成を相違する複数の相(phase)から構成される多相構造から構成し、その平均的なインジウム組成は0.10(=10%)であった。井戸層103の層厚は10nmとした。発光層103上には、トリメチルガリウム(分子式:(CHGa)/NH/H反応系常圧MOCVD手段により、825℃で珪素(Si)ドープn形窒化ガリウム(GaN)層104を接合させて設けた。GaN層104の層厚は、20nmとした。このn形GaN層104は、接合界面近傍の発光層103の内部領域に、伝導帯及び価電子帯の曲折したバンド(band)構造を形成するために設けた。
【0028】
n形GaN層104上には、アンドープのリン化硼素(BP)からなる非晶質層105を設けた。リン化硼素からなる非晶質層105は、(CB/PH/H反応系常圧MOCVD手段に依り設けた。非晶質層105は、550℃で、且つV/III 比率(=PH/CB)を10として気相成長させたため、室温では、抵抗率を10Ω・cmとする高抵抗層となった。アンドープのリン化硼素非晶質層105の層厚は15nmとした。次に、公知の選択パターニング技術とプラズマエッチング技術とを利用して、台座電極107を形成する予定の領域に限り、非晶質層105を残置させた。非晶質層105を残置させた領域は直径120μmの円形領域とした。残置させたその外の領域では、非晶質層105をエッチングにより除去して、n形GaN層104の表面を露出させた。
【0029】
次に、上記と同一の(CB/PH/H反応系常圧MOCVD手段と気相成長装置を使用し、残置させた非晶質層105及び上記の露出させたn形GaN層104の表面に接合させて、p形のリン化硼素結晶層106を設けた。アンドープのリン化硼素結晶層106は、非晶質層105よりも高温の1025℃で設けた。気相成長時のV/III 比率は1300としたため、リン化硼素結晶層106のキャリア濃度は2×1019cm−3となり、層厚は580nmとした。また、リン化硼素結晶層106の室温での禁止帯幅は3.2eVであったため、リン化硼素結晶層106は、発光を外部へ透過するための窓層を兼用するp形の上部クラッド層として利用した。
【0030】
p形上部クラッド層をなすリン化硼素結晶層106の表面の中央の台座電極107を設ける領域を、公知のフォトリソグラフィー技術を利用して、円形の平面形状に選択的にパターニングを施した。同時に、裁断用の溝孔を設ける領域108にも帯状の平面形状に選択的パターニングを施した。然る後、アルゴン(Ar)/メタン(分子式:CH)/H混合ガスを利用したプラズマエッチング手法に依り、上記のパターニングを施した領域に限定して、非晶質層105の上部に在るリン化硼素結晶層106を選択的にエッチングで除去した。これより、台座電極107を設ける直径100μmの円形の平面領域に於いて、リン化硼素非晶質層105の表面を露出させた。また、裁断線とする幅を50μmとする帯状の領域108に於いて、リン化硼素結晶層105の表面を同時に露出させておいた。裁断線用途の帯状の領域108は、基板101のSi単結晶の劈開方向である互いに直交する<110>結晶方位に平行に設けた。
【0031】
次に、台座電極107を設ける領域に限り開口する様に選択パターニングを施したフォトレシスト材料をマスク(mask:被覆)材として、台座電極107の底面部位107aをなす金・ゲルマニウム(Au95重量%・Ge5重量%)合金膜を一般の真空蒸着手法に依り被着させた。その後、マスク材料をリン化硼素結晶層106の表面から剥離して取り除くに併せて、マスク材の表面に被着させたAu・Ge被膜を除去した。台座電極107の領域にのみ残存させた、底面部位をなすAu・Ge被膜の層厚は150nmとした。次に、リン化硼素結晶層106の表面をフォトレジスト材料で被覆した後、選択パターニング技術に依り、台座電極107のオーミック電極107bを設ける領域に限り、直径を150μmとする円形の開口部を設けた。今回の開口部の中心と、上記の底面部位107aの平面形状とは一致させた。次に、金・ベリリウム(Au99重量%・Be1重量%)合金膜を一般の真空蒸着法に依り形成して、p形リン化硼素結晶層106とオーミック接触をなすオーミック電極107bを形成した。オーミック電極107bの厚さは800nmとした。台座電極107を構成するためのオーミック電極107b以外のマスク材表面上に在るAu・Be合金膜はマスク材を剥離すると共に除去した。これより、底面部位107aに比べて平面積を大とし、p形リン化硼素結晶層106の表面に接する台座電極107の上部部位をなすオーミック電極107bを形成した。
【0032】
次に、珪素単結晶基板101の裏面に、アルミニウム(Al)・アンチモン(Sb)合金からなるn形オーミック電極109を設けた。リン化硼素結晶層106の中央に台座電極107を設けるためのマスク材料を剥離したことにより、前もって形成しておいた裁断用途の帯状の領域108のリン化硼素非晶質層105を露呈させた。この裁断用途の帯状の領域108、即ち、裁断線に沿って、ダイヤモンドブレードをリン化硼素非晶質層105の表面に直線的に走行させた。これより、一辺の長さ(=隣接する裁断線108の中心線間の距離)を300μmとする正方形の個別のLED10に分割した。裁断線108の幅をブレードの幅(約20μm)に比較して、約2.5倍の広さとしたため、個別に分割されたLED10の側面は平坦であった。
【0033】
一般的な断面TEM技法に依る観察では、リン化硼素非晶質層105からの制限視野電子線回折像はハローなものとなった。一方、リン化硼素結晶層106の電子線回折像は、回折環上に単結晶層の場合よりも多くの多点の回折点(spot)を発生させる多結晶層を示すものとなった。
【0034】
本発明では、底面部位107aより大きな平面積のオーミック電極107bの天井部をp形リン化硼素結晶層106の表面に接触させて設けたため、結線時に於いても、台座電極107の剥離は認められなかった。密着性に優れた台座電極107及びn形のオーミック電極109の間に、順方向に20mAの素子駆動電流を流通し発光特性を確認した。LED10からは中心の波長を440nmとする青色帯光が放射された。発光スペクトルの半値幅は280ミリエレクトロンボルト(単位:meV)であった。一般的な積分球を利用して測定される樹脂モールド以前のチップ(chip)状態での輝度は7ミリカンデラ(mcd)であった。また、p形オーミック電極107bの下方の底面部位107aを高抵抗のリン化硼素非晶質層105の表面に接触させて設け、素子駆動電流を発光層103に広範囲に分配できる構成としたため、台座電極107の射影領域以外の発光領域の略全面から均等な強度の発光がもたらされた。また、順方向電流を20mAとした際の順方向電圧は3.5Vであった。逆方向電流を10μAとした際の逆方向電圧は8.2Vであった。
【0035】
(第2実施例)
重層構造としたリン化硼素非晶質層の表面と接した底面を有する台座電極を備えた2重異種接合(DH)構造型の発光ダイオード(LED)を構成する場合を例にして本発明に係わるリン化硼素系半導体発光素子を具体的に説明する。
【0036】
図2に、本第2実施例に係わるLED12の平面構造を模式的に示す。また、図3には、図2に示した破線A−A’に沿ったLED12の断面構造を模式的に示す。図2及び図3に於いて、図1に掲示したと同様の構成要素については同一の符号を付して示すこととする。
【0037】
上記の第1実施例に記載の如く形成されたn形GaN発光層104上に、先ず、アンドープでp形のリン化硼素非晶質層201を形成した。p形リン化硼素非晶質層201のキャリア濃度は8×1018cm−3とし、層厚は12nmとした。p形リン化硼素非晶質層201上には、アンドープで高抵抗のリン化硼素非晶質層105を積層させた。高抵抗のリン化硼素非晶質層105の室温での抵抗率は10Ω・cmとし、層厚は12nmとした。p形リン化硼素非晶質層201及び高抵抗のリン化硼素非晶質層105を、公知のフォトリソグラフィー技術を利用して、台座電極107を設ける予定の領域に限定して、p形及び高抵抗の非晶質層105,201を残存させた。p形及び高抵抗の非晶質層105,201は、中心を同一とした、共に直径を120μmとする平面視円形の形状に残置させた。次に、高抵抗のリン化硼素非晶質層105上に、第1実施例に記載のアンドープのp形リン化硼素結晶層106を堆積させた。
【0038】
次に、プラズマエッチング技法を利用して、台座電極107を設ける領域及び裁断線108を設ける領域に限定して、p形リン化硼素結晶層106を選択的に除去して、高抵抗のリン化硼素非晶質層105の表面を露出させた。p形リン化硼素結晶層106を除去した平面領域は、直径150μmの円形とした。この円形領域の中心と上記の残置させた高抵抗のリン化硼素非晶質層105の円形平面の中心と一致させた。次に、高抵抗のリン化硼素非晶質層105の表面に接する底面部位107aをモリブデン(Mo)とし、その上部部位のオーミック電極107bを金・ベリリウム(Au・Be)とする台座電極107を形成した。モリブデン(Mo)被膜の厚さは10nmとし、Au・Be被膜の厚さは700nmとした。台座電極107の天井部をなすAu・Beオーミック電極107bには、それと電気的に導通させて図3に示す如くの円環電極と線状電極とを付帯オーミック電極107cとして設けた。
【0039】
第1実施例に記載の如く、基板101のSi単結晶の{1.−1.0}及び{−1.−1.0}結晶方位に平行に設けた裁断線108に沿って、個別のLED12に分離、裁断した。一辺を350μmとする正方形のLED12に、20mAの順方向電流を通流した際の発光中心波長は、第1実施例に記載のLED10と略同一の440nmであった。一般の積分球を利用して測定されるチップ状態での輝度は9mcdであり、第1実施例のLED10に比較してより高い発光強度のLEDがもたらされた。また、近視野発光像に依れば、台座電極107以外の発光領域からの均一な強度の発光がもたらされているのが確認された。これは、上部部位であるp形オーミック電極107bの下方の底面部位107aを、p形及び高抵抗のリン化硼素非晶質層105,201から成る重層構造上に設け、素子駆動電流を発光層103に広範囲に分配できる構成とした効果であると認められた。順方向電流を20mAとした際の順方向電圧は3.4Vであり、逆方向電流を10μAとした際の逆方向電圧は8.3Vとなった。
【0040】
【発明の効果】
本発明に依れば、リン化硼素系半導体非晶質層を介してリン化硼素系半導体結晶層を設け、且つ、当該リン化硼素系半導体非晶質層の表面に底面部を接触し、リン化硼素系半導体結晶層の表面にも接触する様に台座電極を設けることにしたので、リン化硼素系半導体結晶層との密着性に優れ、且つ、素子駆動電流を例えば、台座電極に遮光されない発光領域に万遍なく分配でき、従って、発光領域の広い高い発光強度の発光ダイオード等のリン化硼素系半導体発光素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に記載のLEDの断面構造を示す模式図である。
【図2】第2実施例に記載のLEDの平面構造を示す模式図である。
【図3】第2実施例に記載のLEDの断面構造を示す模式図である。
【符号の説明】
10、12…LED
11…積層構造体
101…珪素単結晶基板
102…n形リン化硼素層
103…n形窒化ガリウム・インジウム発光層
104…n形窒化ガリウム層
105…高抵抗のリン化硼素非晶質層
106…p形リン化硼素結晶層
107…台座電極
107a…台座電極の底面部位
107b…台座電極の上部部位をなすオーミック電極
107c…付帯オーミック電極
108…裁断用途の溝(裁断線)
109…n形オーミック電極
201…p形リン化硼素非晶質層

Claims (13)

  1. 結晶基板上に発光層を含む半導体層が下地層として形成され、該半導体層上の第1の領域上にリン化硼素系半導体非晶質層が形成され、該リン化硼素系半導体非晶質層は高抵抗のリン化硼素系半導体非晶質層を含み、該高抵抗リン化硼素系半導体非晶質層上に結線用の台座電極が形成され、前記下地層としての前記半導体層上の前記第1の領域以外の第2の領域上に導電性リン化硼素系結晶層が任意に前記リン化硼素系半導体非晶質層上の一部まで延在して形成され、前記台座電極は底面より上部で前記リン化硼素系半導体結晶層と接していることを特徴とするリン化硼素系半導体発光素子。
  2. 結晶基板上に発光層を含む半導体層が下地層として形成され、該半導体層上の第1の領域上にリン化硼素系半導体非晶質層が形成され、該リン化硼素系半導体非晶質層は前記下地層としての前記半導体層とは反対の伝導形のリン化硼素系半導体非晶質層を含み、該反対伝導形リン化硼素系半導体非晶質層上に結線用の台座電極が形成され、前記下地層としての前記半導体層上の前記第1の領域以外の第2の領域上に導電性リン化硼素系結晶層が任意に前記リン化硼素系半導体非晶質層上の一部まで延在して形成され、前記台座電極は底面より上部で前記リン化硼素系半導体結晶層と接していることを特徴とするリン化硼素系半導体発光素子。
  3. 前記リン化硼素系半導体非晶質層が、前記下地層としての前記半導体層に接して形成された前記下地層としての前記半導体層とは反対の伝導形を有するリン化硼素系半導体非晶質層と、当該反対伝導形リン化硼素系半導体非晶質層上に形成された高抵抗のリン化硼素系半導体非晶質層との重層構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載のリン化硼素系半導体発光素子。
  4. 前記リン化硼素系半導体非晶質層が、アンドープのリン化硼素系半導体から構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のリン化硼素系半導体発光素子。
  5. 前記リン化硼素系半導体非晶質層の前記重層構造を構成する2層のリン化硼素系半導体非晶質層が、いずれもアンドープのリン化硼素系半導体から構成されていることを特徴とする請求項3に記載のリン化硼素系半導体発光素子。
  6. 前記台座電極の前記導電性リン化硼素系半導体結晶層と接する部分が、当該導電性リン化硼素結晶層とオーミック接触をなす材料から構成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のリン化硼素系半導体発光素子。
  7. 前記台座電極の前記導電性リン化硼素系半導体結晶層とオーミック接触をなす材料から構成された部分が、前記導電性リン化硼素系半導体結晶層上に延在していることを特徴とする請求項6に記載のリン化硼素系半導体発光素子。
  8. 前記台座電極の底面部位が前記リン化硼素系半導体非晶質層に対し非オーミック接触をなす材料から構成されていることを特徴とする請求項6または7に記載のリン化硼素系半導体発光素子。
  9. 前記台座電極が、前記リン化硼素系半導体非晶質層上にある底面部位と、該底面部位上に形成され当該底面部位の平面形状の中心と形状中心が一致しているオーミック電極部位とを有することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のリン化硼素系半導体発光素子。
  10. 前記台座電極の前記オーミック電極部位が、前記台座電極の前記底面部位の平面積を超える平面積を有することを特徴とする請求項9に記載のリン化硼素系半導体発光素子。
  11. 前記台座電極の前記オーミック電極部位が、前記導電性リン化硼素系半導体結晶層表面上まで延在することを特徴とする請求項10に記載のリン化硼素系半導体発光素子。
  12. 結晶基板上に発光層を含む半導体層を気相成長法により形成し、該半導体層を下地層としかつ結晶基板の温度を250℃以上で1200℃以下とした気相成長法で該下地層と反対導電形または高抵抗のリン化硼素系半導体非晶質層を堆積し、該リン化硼素系半導体非晶質層を選択的に除去して第1の領域に当該リン化硼素系半導体非晶質層を残しそれ以外の第2の領域では前記下地層としての前記半導体層を露出させ、当該露出した前記下地層としての前記半導体層上及び前記リン化硼素系半導体非晶質層上に結晶基板の温度を750℃以上1200℃以下の温度とした気相成長法で導電性リン化硼素系半導体結晶層を堆積し、前記第1の領域の該導電性リン化硼素系半導体結晶層を選択的に除去して前記リン化硼素系半導体非晶質層を露出させ、当該露出したリン化硼素系半導体非晶質層上にかつ前記リン化硼素結晶層に接するように結線用の台座電極を形成し、その後、個別の発光素子に裁断することを特徴とするリン化硼素系半導体発光素子の製造方法。
  13. 台座電極を設ける前記第1の領域に在る導電性リン化硼素系半導体結晶層を除去すると同時に、個別の発光素子に裁断、分離するための帯状の切断線を設ける領域に在る導電性のリン化硼素系半導体結晶層を除去して、下方のリン化硼素系半導体非晶質層の表面を露出させることを特徴とする請求項12に記載のリン化硼素系半導体発光素子の製造方法。
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