JP4699738B2 - pn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子の形成方法 - Google Patents

pn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子の形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、n型III−V族化合物半導体層とp型リン化硼素層とから成る整流性に優れるpn接合構造を有する発光特性に優れるヘテロ構造化合物半導体発光素子に関する。
従来、組成式AlGaInN(0≦X,Y,Z≦1、X+Y+Z=1)で表記されるIII族窒化物半導体は、例えば、短波長可視光を出射するIII族窒化物半導体発光素子を構成するために利用されている(例えば、非特許文献1参照)。例えば、発光ダイオード(英略称:LED)にあって、p型及びn型クラッド(clad)層を構成するために利用されている(上記の非特許文献1参照)。発光ダイオード或いはレーザダイオード(英略称:LD)等の半導体発光素子は、発光を効率的にもたらすために、発光部はpn接合型2重ヘテロ接合(double hetero:略称DH)構造とするのがもっぱらである(上記の非特許文献1参照)。DH構造発光部とは、発光層と、それに両側で接合するp型及びn型クラッド層とからなる接合構造の部位である。
pn接合型DH構造のIII族窒化物半導体発光素子に於いて、発光層は窒化ガリウム・インジウム(組成式GaInN:0≦Y、Z≦1、Y+Z=1)や窒化リン化ガリウム(組成式GaN1−Q:0≦Q≦1)等のIII−V族化合物半導体材料から一般に構成されている。発光層を挟時するためのp型クラッド層は従来、一般にAlGaN(0≦X,Y≦1、X+Y=1)から構成されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、障壁層として好適な低い抵抗のp型III族窒化物半導体層を得るには、(a)同層の形成時にマグネシウム(元素記号:Mg)等の第II族元素の添加(ドーピング)操作(例えば、特許文献2参照)、及び(b)層内から水素原子を逸脱させるための熱処理(例えば、特許文献3参照)が必要とされている。
一方で、リン化硼素(化学式:BP)では、不純物を故意に添加しない、所謂、アンドープ(undope)でも低抵抗のp型導電層が得られている(例えば、非特許文献2参照)。これを利用して、最近では、リン化硼素からp型クラッド層を構成して、pn接合型DH構造のIII族窒化物半導体発光素子を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
赤崎 勇編著、「III−V族化合物半導体」、1994年5月20日、初版、(株)培風館発行、13章。 ティ−.ウダガワ(T.Udagawa)他、第5回窒化物半導体国際会議テクニカルダイジェスト(Technical Digest of 5th. Int. Conf. Nitride Semiconductors),431頁 日本特許 第2713094号 日本特許 第2778405号 日本特許 第2540791号 米国特許US6,069,021号
しかし、n型III族窒化物半導体層上には、p型リン化硼素の連続膜を安定して成長させることができない。ピット(pit;孔)が多量に存在するため、連続性に欠けるリン化硼素層は、その不連続性のために電流の円滑な通流が阻害され、抵抗の高い層となってしまう。従って、この様な不連続なリン化硼素層をクラッド層として使用したところで、例えば、素子駆動電流を平面的に拡散できずに、発光面積の小さなIII族窒化物半導体発光素子がもたらされるのみである。
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するために成されたもので、n型III−V族化合物半導体層上に、連続性に優れるp型リン化硼素層を安定して成長させるための積層構造を提示するものである。また、その積層構造を利用して形成したp型リン化硼素層を備えたpn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子を提供するものである。
本発明は、以下の各項からなる。
(1)結晶基板上に、n型のIII−V族化合物半導体から成る下部クラッド層と、n型の(0001)−窒化ガリウム・インジウム(組成式Ga In 1−X N:0≦X≦1)からなる発光層と、p型のリン化硼素(BP)から成る上部クラッド層とを備え,上記発光層を挟時している上記の下部及び上部クラッド層にn型並びにp型電極とを設けるpn接合型ヘテロ構造の化合物半導体発光素子の形成方法に於いて、n型の(0001)−窒化ガリウム・インジウム(組成式Ga In 1−X N:0≦X≦1)からなる発光層を成長させた後、発光層上に中間層をなすn型のリン化硼素層を、その硼素源とリン源をP/Bの元素比を150〜2000とし、成長速度を毎分3〜300nmとして気相成長させ、次いで中間層上に上部クラッド層をなすp型のリン化硼素を、その硼素源に対するリン源の比率(P/B比率)を前記の中間層を成長させる際の硼素源に対するリン源の比率(P/B比率)よりも低くして気相成長させることを特徴とするpn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子の形成方法。
(2)下部クラッド層がAlGaInN(0≦X,Y,Z≦1,X+Y+Z=1)である上記(1)に記載のpn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子の形成方法。
(3)n型中間層が、発光層の最表層を成す、面方位を(0001)とするn型の窒化ガリウム・インジウム(組成式GaIn1−XN:0≦X≦1)層の表面上に設けた、面方位を(111)とするリン化硼素層から構成されていることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のpn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子の形成方法。
(4)n型中間層が、n型の(0001)−窒化ガリウム・インジウム(組成式GaIn1−XN:0≦X≦1)層のa軸に、<110>方向を平行とする、アンドープ(undope)でn型の(111)−リン化硼素層から構成されていることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のpn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子の形成方法。
(5)n型中間層が、キャリア濃度を、その上に設ける上部クラッド層を構成するp型のリン化硼素層のキャリア濃度以下とし、且つ、層厚を2nm以上で60nm以下とする、アンドープでn型の(111)−リン化硼素層から構成されていることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のpn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子の形成方法。
(6)上部クラッド層を気相成長させる際の原料の硼素源に対するリン源の比率が5〜150である上記(1)〜(5)のいずれかに記載のpn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子の形成方法。
(7)上面を(0001)−面とするn型の窒化ガリウム・インジウム(組成式GaIn1−XN:0≦X≦1)から成る発光層を成長させた後、発光層上に700℃以上で950℃以下の温度で、n型の(111)−リン化硼素層から成る中間層を形成することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のpn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子の形成方法。
(8)上面を(0001)−面とするn型の窒化ガリウム・インジウム(組成式GaIn1−XN:0≦X≦1)から成る発光層を成長させた後、発光層上に、(0001)−GaIn1−XN(0≦X≦1)層のa軸に<110>方向を平行とする、アンドープでn型の(111)−リン化硼素層から成る中間層を形成することを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のpn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子の形成方法。
(9)成長温度を、700℃以上で、上部クラッド層を構成するp型のリン化硼素層の成長温度以下として、上部クラッド層を構成するp型のリン化硼素層のキャリア濃度以下とするn型の(111)−リン化硼素層から成る中間層を形成することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかまたは上記(8)に記載のpn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子の形成方法。
本発明に依れば、p型のリン化硼素層を、n型の含硼素III−V族化合物、例えばリン化硼素層を介在させて形成することとしたので、連続性が有り、且つ低抵抗のp型クラッド層を構成するに好適なp型リン化硼素層を形成でき、従って、素子駆動電流を発光領域に拡散でき、発光面積の広い高出力のpn接合型ヘテロ構造化合物半導体LEDを提供できる。
本発明の化合物半導体発光素子は結晶基板の表面に形成されたn型のIII−V族化合物半導体からなる下部クラッド層と、下部クラッド層の表面上に形成されたn型のIII−V族化合物半導体からなる発光層と、発光層の表面上に形成されたp型のリン化硼素(化学式BP)からなる上部クラッド層を備えた発光素子において、上記発光層と上部クラッド層の間にn型の含硼素III−V族化合物、例えばn型のリン化硼素からなる中間層を設けたことが特徴である。
本発明で用いられる結晶基板としてはサファイア(α−Al)、六方晶の(0001)−炭化珪素、六方晶の(0001)−酸化亜鉛(ZnO)などが好適である。
n型のIII−V族化合物半導体からなる下部クラッド層は一般式AlGaInN(0≦X,Y,Z≦1,X+Y+Z=1)で表されるもので、例えばGaNなどである。
n型のIII−V族化合物半導体からなる発光層は一般式GaIn1−Q(Mは窒素とは別のV族元素を表し、0≦Q<1である)で表されるもので、例えばGaInN(0≦Y,Z≦1,Y+Z=1)やGaN(0≦Q<1)などである。
上部クラッド層のp型のリン化硼素(化学式BP)は非特許文献2に記載の方法、即ち有機硼素化合物を硼素源とし、水素化物をリン源とする有機金属熱分解化学的気相堆積(MOCVD)法により得ることができる。
本発明の中間層は、特にn型III−V族化合物半導体層とp型リン化硼素層との中間に、n型III−V族化合物半導体層の上面と、p型リン化硼素層の下面の双方に接触させて設ける。中間層は、n型III−V族化合物半導体層上に、平滑で連続性のあるp型リン化硼素層を形成するために設けるものである。連続性のあるp型リン化硼素層を成長させるために、中間層は、n型III−V族化合物半導体層の上面を充分に被覆でき、且つp型リン化硼素層との密着性に優れる材料から構成する必要がある。この観点からして、n型III−V族化合物半導体材料との「濡れ」性(斎藤 幸夫著、「結晶成長」(2002年11月20日、(株)裳華房発行、第1版、31〜34頁参照)に優れる硼素を含むIII−V族化合物半導体材料(含硼素III−V族化合物半導体)は中間層を構成するに好適である。また、含硼素III−V族化合物半導体は、同じく硼素を構成元素として含むp型リン化硼素層を成長させるに際し、その成長を促し、連続膜を与える下地層にできるため好都合である。
含硼素III−V族化合物半導体として、リン化硼素・アルミニウム(組成式BαAl1−αP:0<α≦1)、リン化硼素・ガリウム(組成式BαGa1−αP:0<α≦1)、リン化硼素・インジウム(組成式BαIn1−αP:0<α≦1)を例示できる。また、砒素(元素記号:As)を構成元素とする砒化硼素・アルミニウム(組成式BαAl1−αAs:0<α≦1)、砒化硼素・ガリウム(組成式BαGa1−αAs:0<α≦1)、砒化硼素・インジウム(組成式BαIn1−αAs:0<α≦1)を例示できる。これらの含硼素III−V族化合物半導体の中で、リン化硼素(BP)は、p型リン化硼素層との格子整合をなすため、中間層を構成する材料として特に、好適である。
以下含硼素III−V族化合物として主にリン化硼素を例にとり説明する。
中間層を構成するためのリン化硼素層は、ハロゲン(halogen)法、ハイドライド(hydride)法やMOCVD(有機金属化学的気相堆積)法に依り形成できる。また、分子線エピタキシャル法に依り形成できる(J.Solid State Chem.,133(1997)、269〜272頁参照)。中間層を成長させる温度は、発光層を成す例えばn型III族窒化物半導体層の熱的な変性を抑制するため、比較的に低温とするのが望ましい。特に、中間層上にp型のリン化硼素層を形成するための温度以下とすると、発光層の熱的な変性を抑制するのに効果を奏する。また、中間層の成長温度は、中間層を島(island)状ではなく、連続層で安定して得るため700℃以上とするのが好適である。例えばMOCVD法に依り、800℃で窒化ガリウム・インジウム(GaIn1−XN:0≦X≦1)を成長させた後、同じく800℃でリン化硼素から成る中間層を形成する。発光層とするn型III族窒化物半導体層を成長させたのと同一の気相成長設備を利用すれば、簡便に中間層を形成できる。
III族原料に対するV族原料の比率、所謂、V/III比率を高比率として成長させたIII−V族化合物半導体層、特にリン化硼素層は、連続性に優れているため、中間層を構成するのに好適に使用できる。III族及びV族原料とは、リン化硼素の場合はリン化硼素層の気相成長時に使用する硼素(B)源及びリン(P)源である。V/III比率とは、気相成長反応系に供給する硼素源中の硼素に対するリン源中のリンの元素比率である。このV/III比率を150以上とし2000以下とした場合、n型の(0001)−窒化ガリウム・インジウム(GaIn1−XN:0≦X≦1)層上には、特に、連続性に優れるリン化硼素層を形成できる。V/III比率が150未満では、硼素の供給量に対してリンの供給量が不足するため、リン化硼素の連続膜を安定して得るに至らない。逆に、V/III比率が2000を超えた高比率とすると、リン(P)が関与した析出物が発生し、中間層に好適な平坦なリン化硼素層を安定して得るに至らない。
上記の好適なV/III比率(第1のV/III比率とする)の範囲で気相成長させたリン化硼素層は連続層であり、また、硼素源に対するリン源の供給量が適度であるため、n型の伝導層となる。中間層として適するn型リン化硼素層のキャリア濃度は、その上のp型リン化硼素層のキャリア濃度以下である。また、p型リン化硼素層から発光層への電流の流通に支障を来さない様に、高抵抗ではなく、少なくともキャリア濃度を1×1017cm−3以上とする導電層であるのが好ましい。n型のリン化硼素層は、不純物を故意に添加しないアンドープ状態でも形成でき、それを気相成長させる際のV/III比率や成長温度を変化させれば、キャリア濃度を調整できる。上記のリン化硼素層を気相成長させるに好適な温度及びV/III比率の範囲内に於いて、成長温度を高温とする程、キャリア濃度を高められる。また、V/III比率を高くする程、高キャリア濃度のリン化硼素層が得られる。
更に、リン化硼素層の成長速度を毎分3nm以上で毎分300nm以下の好適な範囲に設定すると、(0001)−窒化ガリウム・インジウム(GaIn1−XN:0≦X≦1)層にあって、そのa軸に、<110>方向を平行とする、立方晶閃亜鉛鉱結晶型でn型の(111)−リン化硼素を形成できる。ウルツ鉱結晶型のGaIn1−XN(0≦X≦1)のa軸は、0.319nm以上で0.353nm以下の範囲にある(寺本 巌著、「半導体デバイス概論」、1995年3月30日、(株)培風館発行、初版、28頁参照)。一方、リン化硼素(BP)の{110}格子面の間隔は、0.320nmである。このため、(0001)−GaIn1−XN(0≦X≦1)のa軸に、<110>方向を平行として配向した(111)−リン化硼素層は、a軸と{110}格子面との間隔の略一致から、特に、(0001)−GaIn1−XN(0≦X≦1)層との密着性に優れるものとなる。従って、この様な密着性に優れるリン化硼素層から中間層を好適に構成できる。因みに、面方位を(0001)面とするGaIn1−XN(0≦X≦1)層は、例えば、面方位を(0001)とするサファイア(α−Al)、六方晶の(0001)−炭化珪素(SiC)並びに(0001)−酸化亜鉛(ZnO)等の、六方晶の(0001)結晶を基板とすれば成長できる。
本発明における中間層はリン化硼素が好ましいが、前記した硼素の一部をアルミニウムやインジウムで置換したものや、リンを砒素で置換したものも使用可能である。
n型の中間層上にはp型のリン化硼素層を設ける。p型リン化硼素層は、格子整合の関係にあるn型リン化硼素層から成る中間層を下地層として成長させるため、V/III比率5以上とすれば、連続的なリン化硼素層を形成できる。一方で、p型の伝導層を成長させるために、V/III比率(第2のV/III比率)は、n型リン化硼素層を気相成長させる場合の第1のV/III比率以下とする。好ましくはV/III比率は5〜150である。p型リン化硼素層は、発光層へ正孔を注入するために設ける機能層である。p型リン化硼素層を、n型中間層を介在させて設ける積層構成にあって、n型中間層の層厚が過度に厚いと、n型中間層の内部の電子との結合に因り、正孔を効率的に発光層に注入するに不都合となる。従って、n型中間層の層厚は60nm以下とするのが適する。逆に、極端に薄い中間層では、n型III族窒化物半導体層の上面を被覆するに不充分である。このためn型III族窒化物半導体層上に、低いV/III比率で、連続性のあるリン化硼素層を安定して形成できない。従って、n型中間層の層厚は2nm以上とするのが適する。
n型のリン化硼素層等から構成された中間層は、n型III族窒化物半導体層にp型のリン化硼素層を設けるに際し、n型III族窒化物半導体層の上面を充分に被覆して、連続性に優れるp型リン化硼素層を安定してもたらす作用を有する。
n型リン化硼素層を介在させて設けたp型リン化硼素層を利用して、III族窒化物半導体LEDを構成する場合を例にして、本発明を具体的に説明する。図1に本実施例に記載のLED100の平面模式図を示す。図2には、図1に示す破線A−A’に沿ったLED100の断面構造を模式的に示す。
(0001)−サファイア(Al単結晶)基板101上に、Siドープn型GaN層(キャリア濃度=7×1018cm−3,層厚=3.1μm)からなる下部クラッド層102、n型窒化ガリウム・インジウム(Ga0.92In0.08N)層(キャリア濃度=8×1017cm−3、層厚=0.08μm)からなる発光層103を順次、積層させた。一般的なX線回折法に依り、Ga0.92In0.08N層の上面の面方位は(0001)であると認められた。上記のGaN層及びGa0.92In0.08N層は、トリメチルガリウム((CHGa)/アンモニア(NH)/水素(H)反応系常圧(略大気圧)MOCVD法で成長させた。下部クラッド層を成すGaN層は1100℃で成長させた。発光層103を成すGa0.92In0.08N層は850℃で成長させた。
(0001)−Ga0.92In0.08Nから成る発光層103を気相成長させた後、発光層103の(0001)面上に、850℃でn型のリン化硼素(BP)層を中間層104として形成した。中間層104を成すBP層は、トリエチル硼素(分子式:(CB)を硼素(B)源とし、ホスフィン(分子式:PH)をリン源とする(CB/PH/水素(H)反応系常圧(略大気圧)MOCVD法で成長させた。中間層104をなすリン化硼素層は、硼素源に対するリン源の供給比率(V/III比率=PH/(CB供給濃度比率)を430として成長させた。このため、アンドープのリン化硼素層はキャリア濃度を6×1018cm−3とするn型の導電層となった。中間層104をなすn型リン化硼素層の層厚は、0.02μmとした。
次に、上記の(CB/PH/H反応系常圧MOCVD法を利用して、中間層104上に、アンドープのリン化硼素層を上部クラッド層105として堆積した。p型リン化硼素層は1025℃で成長させた。また、気相成長させる際のV/III比率は20に設定した。このリン化硼素層は、中間層104を成すリン化硼素層の場合よりも、高温で且つ低いV/III比率で成長させたため、p型で、キャリア濃度を1×1019cm−3とする低抵抗の導電層となった。上部クラッド層105の層厚は、1.1μmとした。
公知のフォトリソグラフィー技術を利用して、上部クラッド層105を成すp型リン化硼素層にパターニング(patterning)を施した。次に、塩素ガス(Cl)を用いた一般的なプラズマエッチング手段に依り、p型BP上部クラッド層105、n型BP中間層104、及びn型Ga0.92In0.08N発光層103の一部の領域を図1及び図2に示す如く除去した。プラズマエッチングにより露出させたn型GaN下部クラッド層102の表面には、公知の真空蒸着手段に依り、ランタン・アルミニウム合金層106a及びアルミニウム層106bを連続的に被着させて、n型オーミック電極106を形成した。一方、p型BP層から成る上部クラッド層105の表面の端部には、電子ビーム蒸着法でニッケル(Ni)、及び金(Au)を順次、被着させp型オーミック電極107を形成した。両方のオーミック電極106,107について、アロイング処理は施さなかった。
n型及びp型オーミック電極106,107間に、20mAの順方向電流を通流したところ、LED100から中心波長を430nmとする青色光が放射された。また、順方向電圧は3.4Vであり、逆方向電流を10μAとした際の逆方向電圧は8.3Vであった。本実施例のLED100では、n型リン化硼素から成る中間層104を配置した上に、p型のリン化硼素層から成る上部クラッド層105を配置する構成としたので、連続性に優れ、且つ低抵抗のp型層を形成できた。このため、順方向電流を、発光領域の略全面に拡散でき、従って、チップ(chip)状態で発光出力を8ミリワット(mW)とする高出力の青色LEDがもたらされた。
発光面積の広い高出力の化合物半導体LEDとして利用される。
実施例に記載のLED100平面模式図である。 図1に記載のLED100の、波線A−A‘に沿った断面構造を示す模式図である。
符号の説明
100 LED
101 基板
102 下部クラッド層
103 発光層
104 中間層
105 上部クラッド層
106 n型オーミック電極
107 p型オーミック電極

Claims (9)

  1. 結晶基板上に、n型のIII−V族化合物半導体から成る下部クラッド層と、n型の(0001)−窒化ガリウム・インジウム(組成式Ga In 1−X N:0≦X≦1)からなる発光層と、p型のリン化硼素(BP)から成る上部クラッド層とを備え,上記発光層を挟時している上記の下部及び上部クラッド層にn型並びにp型電極とを設けるpn接合型ヘテロ構造の化合物半導体発光素子の形成方法に於いて、n型の(0001)−窒化ガリウム・インジウム(組成式Ga In 1−X N:0≦X≦1)からなる発光層を成長させた後、発光層上に中間層をなすn型のリン化硼素層を、その硼素源とリン源をP/Bの元素比を150〜2000とし、成長速度を毎分3〜300nmとして気相成長させ、次いで中間層上に上部クラッド層をなすp型のリン化硼素を、その硼素源に対するリン源の比率(P/B比率)を前記の中間層を成長させる際の硼素源に対するリン源の比率(P/B比率)よりも低くして気相成長させることを特徴とするpn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子の形成方法。
  2. 下部クラッド層がAlGaInN(0≦X,Y,Z≦1,X+Y+Z=1)である請求項1に記載のpn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子の形成方法。
  3. n型中間層が、発光層の最表層を成す、面方位を(0001)とするn型の窒化ガリウム・インジウム(組成式GaIn1−XN:0≦X≦1)層の表面上に設けた、面方位を(111)とするn型のリン化硼素から構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のpn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子の形成方法。
  4. n型中間層が、n型の(0001)−窒化ガリウム・インジウム(組成式GaIn1−XN:0≦X≦1)層のa軸に、<110>方向を平行とする、アンドープ(undope)でn型の(111)−リン化硼素から構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のpn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子の形成方法。
  5. n型中間層が、キャリア濃度を、その上に設ける上部クラッド層を構成するp型のリン化硼素層のキャリア濃度以下とし、且つ、層厚を2nm以上で60nm以下とする、アンドープでn型の(111)−リン化硼素から構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のpn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子の形成方法。
  6. 上部クラッド層を気相成長させる際の原料の硼素源に対するリン源の比率が5〜150である請求項1〜5のいずれかに記載のpn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子の形成方法。
  7. 上面を(0001)−面とするn型の窒化ガリウム・インジウム(組成式GaIn1−XN:0≦X≦1)から成る発光層を成長させた後、発光層上に700℃以上で950℃以下の温度で、n型の(111)−リン化硼素層から成る中間層を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のpn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子の形成方法。
  8. 上面を(0001)−面とするn型の窒化ガリウム・インジウム(組成式GaIn1−XN:0≦X≦1)から成る発光層を成長させた後、発光層上に、(0001)−GaIn1−XN(0≦X≦1)層のa軸に<110>方向を平行とする、アンドープでn型の(111)−リン化硼素層から成る中間層を形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のpn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子の形成方法。
  9. 成長温度を、700℃以上で、上部クラッド層を構成するp型のリン化硼素層の成長温度以下として、上部クラッド層を構成するp型のリン化硼素層のキャリア濃度以下とするn型の(111)−リン化硼素層から成る中間層を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかまたは請求項8に記載のpn接合型ヘテロ構造化合物半導体発光素子の形成方法。
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