JP2004212452A - カメラ付き電子機器 - Google Patents

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JP2004212452A JP2002379081A JP2002379081A JP2004212452A JP 2004212452 A JP2004212452 A JP 2004212452A JP 2002379081 A JP2002379081 A JP 2002379081A JP 2002379081 A JP2002379081 A JP 2002379081A JP 2004212452 A JP2004212452 A JP 2004212452A
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竜太 佐々木
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Abstract

【目的】可変焦点式の撮像光学系を簡便でかつローコストで組み込む。
【構成】電磁石29を第1及び第2レンズ保持枠24,25の間に配す。第1及び第2レンズ保持枠24,25の外周に、リング状の永久磁石28,30を設ける。電磁石29に流す電流の向きを切り換えることで電磁石29と永久磁石28,30との間に作用する磁石の吸引及び反発を利用して固定筒26に対して第1及び第2レンズ保持枠24,25を光軸方向に移動する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話、携帯情報端末などの電子機器に電子カメラを内蔵したカメラ付き電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯電話、携帯情報端末などの携帯用の電子機器に小型の電子カメラを内蔵したものが提案されている(特許文献1)。電子カメラは、CCD型やCMOS型の固体撮像素子と撮像光学系とで構成されており、撮像光学系により結像する被写体像を固体撮像素子で撮像する。撮像した画像は、電子機器に設けた液晶モニタで確認することが可能であり、また公衆回線などを通じて別の電子機器に撮像画像を送信することが可能である。しかし、撮像光学系は、一般的に単焦点レンズを用いたパンフォーカスタイプとなっている。そこで、焦点距離を変更することができる撮像光学系を組み込むことが望まれている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−223924号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、焦点距離を変更するには、撮影レンズのうちの一部のレンズを光軸方向に移動する機構が必要になる。従来写真用カメラなどでは、モータの駆動を用いてカム筒などを回転してカムの回転に対する光軸方向の変位によりレンズを予め決められた位置に移動している。しかし、このようなカム機構に用いる筒は、プラスチック材料を用いて射出成型により外周にカム溝やカム開口を作るため、筒の製作が容易ではなく、コストが高くついてしまう欠点があった。しかも、精度が必要になるとともに、小型の電子機器に用いる撮影光学系では筒のサイズが小さいため、組立のときに困難極まる作業となる欠点があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、可変焦点式の撮像機構をコンパクトにして簡便に組み込むことができるように工夫した電子機器をローコストで提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のカメラ付き電子機器では、前記レンズ群を保持するレンズ保持部材と、前記レンズ保持部材に設けられた永久磁石と、前記永久磁石との間で作用する吸着又は反発を利用して前記レンズ保持部材を移動させる固定の電磁石と、前記レンズ保持部材を光軸方向に位置決めする位置決め手段とを備えたものである。
【0007】
電磁石を用いて永久磁石付きのレンズ保持枠を光軸方向に移動する手段には、光軸方向に直進的に移動させる直進移動手段と光軸を中心とする周方向に回転させながらレンズ保持部材を光軸方向に移動させる回転移動手段とが考えられる。
【0008】
このような直進移動手段を用いる場合には、電磁石への通電をON−OFF制御するON−OFF制御手段と、電磁石に流す電流の向きを変える磁極切換制御手段との何れか一方を用いることができる。ON−OFF制御手段では、電磁石への通電をONしたときに永久磁石との間で作用する吸着又は反発を利用して隣り合うレンズ保持部材を一方の位置に移動させ、電磁石への通電をOFFしたときには永久磁石同士の反発又は吸着を利用して隣り合うレンズ保持部材を互いが離反する又は接近する方向に向けてそれぞれ移動する。この場合には、撮影レンズを構成するうちの少なくとも隣り合う2つのレンズ保持部材を互いの間隔が変わるように移動して焦点距離を変える撮影光学系に対して用いることができる。
【0009】
磁極切換制御手段を用いる場合には、電磁石を通電して一方向の極を発生させて永久磁石との間で作用する吸着を利用してレンズ保持部材を移動させるとともに、電流の向きを逆方向に切り換えることで電磁石に前記一方向とは逆の他方向の磁極を発生させて永久磁石との間で作用する反発を利用してレンズ保持部材を移動させる。
【0010】
直進移動手段を用い、かつ磁極切換制御手段を用いる場合には、保持手段、及び位置決め手段とを備えるとともに、レンズ保持部材のうちの光軸方向に沿う一方側に電磁石を配す。前記保持手段は、レンズ保持部材を光軸方向に移動自在に保持するもので、また前記位置決め手段は、光軸方向のうちの異なる二位置でレンズ保持部材を位置決めするものである。これによれば、レンズ保持部材の移動を磁力により行い、レンズ保持部材の位置決めは位置決め手段で行うため、精度の高いレンズ移動を行うことができる。
【0011】
回転移動手段を用いる場合には、磁極切換制御手段を用いる。この構成では、電磁石を永久磁石の外周に配し、電磁石の磁極を変えることで永久磁石との間で作用する吸着又は反発を利用してレンズ保持部材を光軸を中心とする周方向に回転させる。この場合、回転することでレンズ保持部材を光軸方向に移動させて光軸上のうちの予め決められた位置に位置決めする手段が必要になる。この位置決め手段としては、例えばレンズ保持部材に設けたカムピンと、前記カムピンが光軸方向から当接し、光軸を中心とする周方向に対して光軸方向に変位を持つ固定のカム面とで構成するのが好適である。
【0012】
例えばON−OFF制御手段を用い、かつ直進移動手段を用いる場合には、隣り合う一対のレンズ保持部材の間にリング状の電磁石を配する構成が好適である。この場合には、一対のレンズ保持部材に設ける永久磁石は、どちらも電磁石に吸着するかまたは電磁石と反発するようにしておけばよい。なお、この構成では、ON−OFF制御手段代わりに磁極切換制御手段を用いてもよい。なお、隣り合う一対のレンズ保持部材の両外側にそれぞれ電磁石を配してもよい。
【0013】
また、隣り合う2つのレンズ保持枠を移動させる光学系で、磁極切換制御手段を用い、かつ直進移動手段を用いる場合には、磁極切換ごとに一対のレンズ保持部材に対向する両側に異なる磁極が生じる電磁石を用いてもよい。この場合には、対向する側が異なる磁極となるように一対の永久磁石を配置すればよい。
【0014】
さらに、隣り合う第1及び第2レンズ保持枠を移動させる光学系で、磁極切換制御手段を用い、かつ回転移動手段を用いる場合には、隣り合う一対のレンズ保持部材の間に1個の付勢手段を、また一対のレンズ保持部材の両外側に第1及び第2カム部材をそれぞれ配し、前記付勢手段で第1及び第2レンズ保持部材を第1及び第2カム部材に向けてそれぞれ相反する方向に付勢するようにすると、第1及び第2カムピンが第1及び第2カム面に確実に当接する。
【0015】
【発明の実施の形態】
携帯電話10は、図1及び図2に示すように、本体部11と折畳部12とで構成されており、本体部11に対して折畳部12を起伏することができる。本体部11には、操作部13、シャッターボタン14、テレ/ワイド切換ボタン15などが露呈して設けられている。操作部13は、電源ボタンを含み、その他電話やメールの操作を行うための多数の操作ボタンからなる。テレ/ワイド切換ボタン15は、テレ端又はワイド端に向けてズームするための2つのボタンで構成されている。このテレ/ワイド切換ボタン15やシャッターボタン14は本体部11の側面に設けられており、倒伏時でも操作することができる。折畳部12の裏面には、撮像した画像を表示する液晶表示部16が設けられている。倒伏時に露呈される折畳部の表面には撮影窓17が露呈して設けられており、撮影窓17の奥にはカメラ部が配されている。
【0016】
カメラ部は、図3に示すように、撮像光学系20と固体撮像素子21とで構成されている。撮像光学系20は、撮影レンズを構成する第1及び第2レンズ群22,23とからなり、磁力を利用してそれらレンズ群22,23をそれぞれ光軸方向に直進的に移動させて互いの間隔を変更することでテレ位置とワイド位置とで焦点距離を変更する二焦点切替式の光学系となっている。
【0017】
第1及び第2レンズ群22,23は、それぞれ第1及び第2レンズ保持枠24,25に保持されている。撮像光学系20は鏡筒に保持され、鏡筒は、図4にも示すように、固定筒26、前ストッパ環27、第1レンズ保持枠24、電磁石29、及び第2レンズ保持枠25で構成されている。
【0018】
第1及び第2レンズ保持枠24,25は、固定筒26の内面に組み込まれ、ガイド手段(図示なし)により光軸方向に移動自在となっている。なお、ガイド手段としては、ガイド突起とガイド溝とで構成するのが好適である。ガイド突起は、第1及び第2レンズ保持枠24,25の外周面に設けられている。ガイド溝は、固定筒26の内周面に光軸方向に沿って直線的に形成されており、ガイド突起が係合する。これらガイド突起とガイド溝とを光軸を中心とする周方向の3分割位置にそれぞれ設けることで各レンズ群22,23の回転止めも行える。
【0019】
固体撮像素子21は折畳部12の内部に設けた基板19に取り付けられている。基板19には、保持部材32を介して撮影光学系20の結像面が固体撮像素子21の撮像面に一致するように固定筒26の後端が取り付けられている。固定筒26には、内周面に第2レンズ保持枠25、電磁石29、及び第1レンズ保持枠24が順に挿入され、最後に前ストッパ環27が前端に固定される。
【0020】
第1及び第2レンズ保持枠24,25には、外周に第1及び第2磁石28,30がそれぞれ取り付けられている。第1及び第2磁石28,30は、第1及び第2レンズ保持枠24,25の対向する面に一部が露呈するように固定されており、対向する面での磁極が引き合う磁極となるように、第1及び第2レンズ保持枠24,25の対向する面のうちの光軸方向の前方側(被写体側)の面がS極、後方側がN極となっているリング形状の永久磁石である。
【0021】
電磁石29は、第1及び第2レンズ保持枠24,25との間に配され、外周が固定筒26の内周面に接する寸法で、かつ内周が撮影光路に入り込まない寸法のリング形状の輪郭に形成されている。電磁石29の前面は第1レンズ保持枠24の後面と対峙し、また後面は第2レンズ保持枠25の前面に対峙している。この電磁石29には、電流切換回路37により通電されることで光軸方向に前・後方で磁極が異なる磁石となる。電流切換回路37は、電流を流す向きを切り換えることで、電磁石の磁極を反転させる。
【0022】
ところで、磁力のみでは、レンズ保持枠24,25を精度良く移動させることができない。そこで、位置決め手段を別に設けるのが望ましい。位置決め手段としては、図3及び図4に示したように当接ピン33,35と一対の当接面34a,34b,36a,36bとで構成する。当接ピン33,35は、第1及び第2レンズ保持枠24,25の外周に突出して設けられている。また、当接面34a,34b,36a,36bは、固定筒26の内周に設けた2つの溝34,36のうちの光軸方向に沿う前後の壁となっている。溝34,36は、光軸方向に直進的に形成されており、光軸方向で対面する当接面34a,34b間の距離及び当接面36a,36b間の距離は各レンズ22,23を移動させる長さに応じて作られている。
【0023】
撮影光学系20は、当接ピン33が当接面34bに、当接ピン35が当接面36aにそれぞれ当接したレンズ位置のときにワイド位置となり、また当接ピン33が当接面34aに、当接ピン35が当接面36bにそれぞれ当接したレンズ位置のときにテレ位置となる。この位置決め手段を前述したガイド手段に持たせるのが複雑化しないため好適である。
【0024】
なお、固定筒26には、電磁石29をセットビスによってネジ止めするためのネジ穴38が形成されている。このネジ穴38を光軸方向に長い長穴とすることで、固定筒26に対して電磁石29の取り付け位置を光軸方向に沿って変えることができ、これにより、組立時にレンズ保持枠24,25に与える磁力の調節を適宜変えることができる。
【0025】
電流切換回路37の駆動は、制御部39に制御される。制御部39は、携帯電話10の各部を統括的に制御するもので、テレ/ワイド切替ボタン15の操作に応じて電流切換回路37の駆動を制御する。この制御は、電流切換回路37にテレ信号又はワイド信号を送って電流切換回路37が電磁石29を通電する電流の向きを制御する。
【0026】
上記構成の作用を簡単に説明する。携帯電話10の電源ボタン又はテレ/ワイド切換ボタン15を操作することで、制御部39が電流切換回路37にワイド信号を送って電流切換回路37を駆動する。電流切換回路37は、一方向の向きで電流を電磁石29に流して電磁石29を通電する。これにより、電磁石29は、光軸方向の前端にS極を後端にN極を発生し、互いの永久磁石28,30を引き寄せる。これにより、撮影光学系20は、図3(A)に示すように、第1及び第2レンズ保持枠24,25が接近する方向に押されて当接ピン33が当接面34bに、当接ピン35が当接面36aにそれぞれ当接したワイド位置となる。この状態では、第1及び第2レンズ保持枠24,25と電磁石29との間に隙間が生じている。
【0027】
撮影するときには、操作部13で操作して携帯電話10をカメラモードにする。これにより固体撮像素子21が駆動して撮影光学系20で結像した被写体像の画像が液晶表示部16に表示される。このモードで折畳部12の表面を被写体に向けてフレーミングした後にシャッターボタン14を押すと、その時点で撮像している被写体画像がメモリに記憶される。この撮影光学系20は、前景から後景まで明快にピントが合うパンフォーカスとなっている。
【0028】
撮像光学系20をワイド位置からテレ位置に切り替える場合には、テレ/ワイド切替ボタン15を操作する。この操作に応答して制御部39からテレ信号が電流切換回路37に送られ、電流切換回路37が電流の向きを逆に流す。これにより、電磁石29の磁極が反転して互いの永久磁石28,30を反発させる。これにより、図3(B)に示すように、第1レンズ保持枠24が光軸方向の前方に向けて移動し、また、第2レンズ保持枠25が光軸方向の後方に向けて移動する。これにより当接ピン33が当接面34aに、当接ピン35が当接面36bにそれぞれ当接し撮像光学系20がテレ位置となる。
【0029】
上記実施形態では、磁極切換制御手段で電磁石の磁極を切り換えるようにしているが、これの代わりにON−OFF制御手段を用いてもよい。この場合には、制御手段に制御されるドライバが電磁石に通電を行うように構成する。電磁石は、通電させているときだけ磁石となり、磁石になると光軸方向の前端にN極に、後端にS極を発生し、互いの永久磁石28,30を反発させる。このとき、第1及び第2レンズ保持枠24,25がテレ位置に移動する。電磁石への通電を遮断したときには、一対の永久磁石28,30が第1及び第2レンズ保持枠24,25の対向する面のうちの光軸方向の前方側(被写体側)の面がS極、後方側がN極となっているから、互いの対向する面で磁極が引き合って第1及び第2レンズ保持枠24,25がワイド位置に移動する。
【0030】
なお、上記各実施形態では、永久磁石28,30や電磁石29に生じる磁極の向きを限定しているが、これらの磁極の向きは磁石の吸引及び反発を利用してレンズを移動することができる向きの磁極であればいずれでもよい。
【0031】
また、電磁石29を第1及び第2レンズ保持枠24,25の間に配しているが、本発明ではこれに限らず、第1及び第2レンズ保持枠24,25の両側に一対の電磁石をそれぞれ配し、個々の電磁石で1個のレンズ保持枠を移動させるようにしてもよい。この場合には、一対の電磁石を通電する制御を同期する必要がある。また、第1及び第2レンズ保持枠24,25の間に圧縮コイルバネを配し、電磁石に引き合う力をバネの付勢で補助するようにしてもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、位置決め手段を当接ピン33,35が当接面34a,36bとで構成しているが、これらの限らず、電磁石29の光軸方向に沿う両側の面と、固定筒26の両端内周の突起とで構成してもよい。
【0033】
次に、磁力を利用してレンズ保持枠を回転しながら光軸方向に移動させる実施形態について説明する。この実施形態では、図5及び図6に示すように、第1カム枠40、固定筒41、第1レンズ保持枠42、コイルバネ43、第2レンズ保持枠44、及び第2カム枠46で鏡筒が構成されている。
【0034】
第1及び第2レンズ保持枠42,44は、固定筒41の内面に光軸を中心とする周方向に回転自在で、かつ光軸方向に移動自在に組み込まれている。
【0035】
第1カム枠40は固定筒41の前端に回転止めした状態で固定され、また第2カム枠46は固定筒41の後端に回転止めした状態で嵌め込まれて固定される。コイルバネ43は、第1レンズ保持枠42と第2レンズ保持枠44との間に配され、第1及び第2レンズ保持枠42,44を互いが離れる方向に向けてそれぞれ付勢する。なお、コイルバネ43は、被写体光路を遮らない内径で作成された圧縮コイルバネである。
【0036】
第1レンズ保持枠42の前端には、光軸方向の前方に向けて突出したカムピン47が設けられている。カムピン47は、第1カム枠40の後端に設けたカム面48に当接する。第2レンズ保持枠44の後端にも光軸方向の後方に向けて突出したカムピン49が設けられている。カムピン49は第2カム枠46の前端に設けたカム面50に当接する。これらカム面48,50は、第1及び第2レンズ保持枠42,44を予め決められた変倍軌跡上に沿ってそれぞれ光軸方向に移動させてテレ位置とワイド位置とに位置決めする。なお、カムピン47,49及びカム面48,50は、例えば光軸を中心とする周方向のうちの3分割位置に3個ずつ設けられている。また、カムピン47,49としては、カム面に当たる形状であればどのような形状でもよい。
【0037】
第1及び第2レンズ保持枠42,44には、外周に第1及び第2磁石ユニット52,53がそれぞれ取り付けられている。第1磁石ユニット52は、図7に示すように、円弧状をした2つの永久磁石54,55で構成されており、それぞれ光軸を中心とする径方向で磁極の向きが同じとなるように外周がS極、内周がN極となっている。これら永久磁石54,55は、光軸を中心とする周方向のうちの等分割位置に配されている。なお、第2磁石ユニット53も第1磁石ユニット52と同じ構成、すなわち円弧状をした2つの永久磁石56,57(図5参照)を、光軸を中心とする周方向のうちの等分割位置に配した構成となっている。
【0038】
固定筒41の内周には、電磁石ユニット60が嵌め込まれている。電磁石ユニット60も、円弧状の2つの電磁石61,62で構成されており、これら電磁石61,62は光軸を中心とする周方向のうちの等分割位置に配した構成となっている。また、各電磁石61,62の光軸方向に沿う長さは第1及び第2磁石ユニット52,53の全部又は一部を覆う長さとなっている。一対の電磁石61,62は、電流切換回路65で電流の流れる向きが切り換えられることで第1及び第2磁石ユニット52,53にそれぞれ引き合う吸引位置と、反発して吸引位置から90度分だけ回転する反発位置との間で第1及び第2レンズ保持枠42,44を回転させる。
【0039】
なお、磁力の吸引又は反発を利用して第1及び第2レンズ保持枠42,44を同期回転することができる構成であれば、第1及び第2磁石ユニット52,53の磁極の向きや電磁石ユニット60に発生させる磁極の向きはいずれでもよい。また、第1レンズ保持枠42と第2レンズ保持枠44との間に回転方向の係合手段を設けて、第1レンズ保持枠42と第2レンズ保持枠44との同期回転を確実にする機構があっても良い。
【0040】
上記構成の作用を簡単に説明する。携帯電話10の電源ボタン又はテレ/ワイド切換ボタン15を操作することで、制御部66が電流切換回路65にワイド信号を送って電流切換回路65を駆動する。電流切換回路65は、一方向の向きで電流を一対の電磁石61,62に流す。これにより、一対の電磁石61,62は、外周にS極を内周にN極を発生し、第1及び第2磁石ユニット52,53を引き寄せる。これにより、第1及び第2レンズ保持枠42,44が吸引位置に回転し、このときのカムピン47,49がカム面48,50に当接する位置で第1及び第2レンズ保持枠42,44が光軸上の異なる二位置に移動される。このときの位置は、第1及び第2レンズ保持枠42,44が最も接近した位置となって撮影光学系がワイド位置となる。
【0041】
撮像光学系20をワイド位置からテレ位置に切り替える場合には、テレ/ワイド切替ボタン15を操作する。この操作に応答して制御部66からテレ信号が電流切換回路65に送られ、電流切換回路65が電流の向きを逆に流す。これにより、電磁石ユニット60の磁極が反転して第1及び第2磁石ユニット52,53との間で反発を作用させる。これにより、第1及び第2レンズ保持枠42,44が同期して90度分だけ回転する。このときのカムピン47,49がカム面48,50に当接する位置で第1及び第2レンズ保持枠42,44が光軸上の異なる二位置に移動される。このときの位置は、第1及び第2レンズ保持枠42,44が最も離反する位置となって撮影光学系がテレ位置となる。
【0042】
また、この実施形態では、バネ43で第1及び第2レンズ保持枠42,44を第1及び第2カム枠40,46に向けてそれぞれ付勢しているから、携帯電話10の電源を切ったときでも第1及び第2レンズ保持枠42,44がその位置に保持され、電磁石ユニット60への通電を解除してもレンズが動くことはない。
【0043】
上記実施形態では、電磁石61,62を2つ設けているが、3個以上設けても良い。この場合、電磁石と同じ個数でカムピンとカム面とを設ける必要がある。
【0044】
上記各実施形態では、隣り合う2つのレンズ群で構成した撮影光学系としているが、本発明ではこれに限らず、3個以上のレンズ群で構成され、そのうちの少なくとも2つのレンズ群の間隔を変えることで焦点距離を変更することができる撮影光学系でも本発明を採用することができるのはいうまでもない。
【0045】
また、上記実施形態では、本発明を用いたカメラを携帯電話に内蔵しているが、PDA(Personal Digital(Data) Assistants )〔携帯情報端末〕などの電子機器に内蔵する構成としてもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明では、レンズ群を保持するレンズ保持部材に設けた永久磁石と電磁石との間で作用する吸着又は反発を利用してレンズ保持部材を光軸方向に移動させ、位置決め手段でレンズ保持部材を光軸方向での異なる位置に位置決めするようにしたから、従来技術で説明したように外周にカム面を作る筒を用いるカム機構と比較して、製造・組立が簡便で、ローコストで作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を用いた携帯電話を示す斜視図であり、倒伏状態を示している。
【図2】起立状態の携帯電話を示す斜視図である。
【図3】携帯電話に内蔵される鏡筒を示す断面図であり、(A)はワイド位置の状態を、また(B)はテレ位置の状態をそれぞれ示している。
【図4】撮像光学系を示す分解斜視図である。
【図5】磁力を利用して回転させながら光軸方向に移動させる別の実施形態を示す断面図である。
【図6】図5で説明した鏡筒を示す分解斜視図である。
【図7】図6で説明した第1磁石ユニットと電磁石ユニットとの位置関係を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 携帯電話
21 固体撮像素子
22 第1レンズ
23 第2レンズ
24,42 第1レンズ保持枠
25,44 第2レンズ保持枠
26 固定筒
28,30,54,55,56,57 永久磁石
29,61,62 電磁石
33,35 当接ピン
34a,34b,36a,36b 当接ピン
43 コイルバネ
47,49 カムピン
48,50 カム面

Claims (6)

  1. 撮影レンズを構成するうちの一レンズ群を他のレンズ群との間隔が異なるように光軸方向に移動して焦点距離を変更する可変焦点式の撮影光学系を組み込んだカメラ付き電子機器において、
    前記レンズ群を保持するレンズ保持部材と、前記レンズ保持部材に設けられた永久磁石と、前記永久磁石との間で作用する吸着又は反発を利用して前記レンズ保持部材を移動させる固定の電磁石と、前記レンズ保持部材を光軸方向に位置決めする位置決め手段とを備えたことを特徴とするカメラ付き電子カメラ。
  2. 前記電磁石は、前記レンズ保持部材のうちの光軸方向に沿う一方側に配され、前記レンズ保持部材を光軸方向に移動させるとともに、前記位置決め手段は、光軸方向での異なる二位置に位置決めすることを特徴とする請求項1記載のカメラ付き電子カメラ。
  3. 前記レンズ保持部材を第1レンズ保持部材とし、その第1レンズ保持部材とそれに隣り合う第2レンズ保持部材とを互いの間隔が異なるように光軸方向に移動して焦点距離を変更する撮影光学系であって、前記電磁石をリング形状に作り、その電磁石を前記第1及び第2レンズ保持部材の間に配したことを特徴とする請求項1記載のカメラ付き電子機器。
  4. 前記電磁石は、前記永久磁石の外周に配され、前記永久磁石との間で作用する吸着又は反発を利用して光軸を中心とする周方向に前記レンズ保持部材を回転させるとともに、前記位置決め手段は、前記レンズ保持部材に設けたカムピンと、前記カムピンが光軸方向から当接し、前記周方向に対して光軸方向に変位を持つ固定のカム面とから構成されていることを特徴とする請求項1記載のカメラ付き電子カメラ。
  5. 前記レンズ保持部材を第1レンズ保持部材とし、その第1レンズ保持部材とそれに隣り合う第2レンズ保持部材とを互いの間隔が異なるように光軸方向に移動して焦点距離を変更する撮影光学系であって、
    前記永久磁石は、前記周方向の等分割位置に磁性の向きを同じにした姿勢で複数設けられており、
    また前記電磁石の磁極は、前記第1及び第2レンズ保持枠の外周に配されており、前記周方向の等分割位置に複数設けられていることを特徴とする請求項4記載のカメラ付き電子機器。
  6. 前記電磁石に流す電流の向きを変えることで前記電磁石の磁極を切り換える制御手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載のカメラ付き電子機器。
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