JP2004069986A - ブレーキ部材の駆動機構、レンズ移動機構、カメラおよび電子機器 - Google Patents

ブレーキ部材の駆動機構、レンズ移動機構、カメラおよび電子機器 Download PDF

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江口 典稔
Takashi Igarashi
五十嵐 孝
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新倉 英生
Noriyuki Adachi
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Abstract

【課題】簡素化および小型化を図る上で有利なブレーキ部材の駆動機構、レンズ移動機構、カメラおよび電子機器を提供する。
小型化を図る上で有利なレンズ移動機構、カメラおよび電子機器を提供する。
【解決手段】ブレーキ機構15は、第2鏡筒2004の光軸回りの回転位置を所望の角度で停止させるものであり、通電による自己発熱によって記憶された形状に復帰する形状記憶合金からなるブレーキ用構造体2086と、第2鏡筒2004の外周にわたって形成されたローレット2088と、フレーム16に取着された係止ばね2090とを備えて構成されている。係止ばね2090は、例えば、導電性を有するばね板を屈曲して構成され、下部が第2鏡筒2004に臨むフレーム16の箇所に取着され、上部にはローレット2088の凹部に係止可能な爪部2092が形成されている。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブレーキ部材の駆動機構、レンズ移動機構、カメラおよび電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等に用いられているレンズ鏡筒は、複数の可動レンズを有して構成され、変倍(ズーム)調整や焦点調整を行う為に、前記可動レンズをモータ等により光軸方向に移動させる構成となっている。
また、近年、ビデオカメラやデジタルスチルカメラをPDA、携帯電話機等の電子機器へ内蔵するために、小型のレンズ鏡筒が作られる様になってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようにズーム調整や焦点調整が可能なレンズ鏡筒に組み込まれた可動レンズを移動させるレンズ移動機構は、構成を簡素化するため、可動レンズを望遠位置と広角位置の何れかに切り換えて移動させる構成となっていることが多い。
そして、可動レンズを望遠位置と広角位置の間の中間位置に停止させて撮影を行なうことはこれら電子機器の使い勝手を向上させる上で重要であるが、可動レンズをこのような中間位置に停止させる機構としてはなるべく簡素で小型のものが要求される。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、簡素化および小型化を図る上で有利な、可動レンズなどの移動体の移動を停止させるブレーキ部材の駆動機構を提供することを目的とする。また、本発明はこのようなブレーキ部材の駆動機構を備えたレンズ移動機構、このようなレンズ移動機構を組み込んだカメラ、電子機器を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のブレーキ部材の駆動機構は上記目的を達成するため、移動体に接触することで該移動体の移動を停止するブレーキ部材の駆動機構であって、前記駆動機構は前記ブレーキ部材に連結されるとともに通電されることで自己発熱して形状が元の状態に復帰しその長さが変わる形状記憶合金からなる構造体を含んで構成されていることを特徴とする。
そのため、本発明のブレーキ部材の駆動機構によれば、構造体が通電されることで該構造体が自己発熱して形状が元の状態に復帰しその長さが変わることによりブレーキ部材が移動体に接触され、これにより該移動体の移動が停止される。
また、本発明のレンズ移動機構は、互いに光軸を合致させた状態で回転可能に結合された第1鏡筒および第2鏡筒と、前記第1鏡筒の内部に光軸方向に移動可能に配設された可動レンズと、前記第1鏡筒上で第2鏡筒を回転させる回転手段と、前記第2鏡筒が回転した際に前記可動レンズを第1鏡筒に対して光軸方向に移動させる連動手段とを備えたレンズ移動機構において、前記第2鏡筒の回転を停止させるブレーキ機構が設けられ、前記ブレーキ機構は、前記第2鏡筒に接触することで前記第2鏡筒の回転を停止させるブレーキ部材と、前記第2鏡筒に対して前記ブレーキ部材を離間接近する方向に動かす駆動機構とで構成され、前記駆動機構は前記ブレーキ部材に連結されるとともに通電されることで自己発熱して形状が元の状態に復帰しその長さが変わる形状記憶合金からなる構造体を含んで構成されていることを特徴とする。
また、本発明のカメラは、フレームで支持された撮像素子と、フレームで支持され前記撮像素子の前方に配置された第1鏡筒と、前記第1鏡筒の内部に光軸方向に移動可能に配置された可動レンズと、前記第1鏡筒に光軸を合致させた状態で回転可能に結合された第2鏡筒と、前記第1鏡筒上で第2鏡筒を回転させる回転手段と、前記第2鏡筒が回転した際に前記可動レンズを第1鏡筒に対して光軸方向に移動させる連動手段とを備えたカメラにおいて、前記第2鏡筒の回転を停止させるブレーキ機構が設けられ、前記ブレーキ機構は、前記第2鏡筒に接触することで前記第2鏡筒の回転を停止させるブレーキ部材と、前記第2鏡筒に対して前記ブレーキ部材を離間接近する方向に動かす駆動機構とで構成され、前記駆動機構は前記ブレーキ部材に連結されるとともに通電されることで自己発熱して形状が元の状態に復帰しその長さが変わる形状記憶合金からなる構造体を含んで構成されていることを特徴とする。
また、本発明の電子機器は、フレームで支持された撮像素子と、前記撮像素子から出力される撮像信号に基づいて画像を表示する画像表示手段と、前記フレームで支持され前記撮像素子の前方に配置された第1鏡筒と、前記第1鏡筒の内部に光軸方向に移動可能に配置された可動レンズと、前記第1鏡筒に光軸を合致させた状態で回転可能に結合された第2鏡筒と、前記第1鏡筒上で第2鏡筒を回転させる回転手段と、前記第2鏡筒が回転した際に前記可動レンズを第1鏡筒に対して光軸方向に移動させる連動手段とを備えた電子機器において、前記第2鏡筒の回転を停止させるブレーキ機構が設けられ、前記ブレーキ機構は、前記第2鏡筒に接触することで前記第2鏡筒の回転を停止させるブレーキ部材と、前記第2鏡筒に対して前記ブレーキ部材を離間接近する方向に動かす駆動機構とで構成され、前記駆動機構は前記ブレーキ部材に連結されるとともに通電されることで自己発熱して形状が元の状態に復帰しその長さが変わる形状記憶合金からなる構造体を含んで構成されていることを特徴とする。
そのため、本発明のレンズ移動機構、カメラおよび電子機器によれば、構造体が通電されることで該構造体が自己発熱して形状が元の状態に復帰しその長さが変わることによりブレーキ部材が第2鏡筒に接触され、これにより該第2鏡筒の移動が停止される。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるブレーキ部材の駆動機構、レンズ移動機構、カメラおよび電子機器の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図6は、本発明の第1の実施の形態における電子機器の構成を示すブロック図である。
電子機器としての携帯電話機100は、カメラ部102、撮影制御手段104、レンズ制御手段106、表示手段108、記憶手段109、操作入力手段110、通信手段112などを備えて構成されている。なお、前記携帯電話機100は通話やメールなど一般的な携帯電話処理を行なう処理部やその他の従来公知の様々な処理部を有している。
前記カメラ部102は、光学系10と、撮像素子12と、レンズ移動機構14と、ブレーキ機構15と、フレーム16とを有して構成されている。
前記撮影制御手段104は、前記撮像素子12から入力される撮像信号を処理することにより、該撮像信号に基づく画像を前記表示手段106に表示させるように構成されている。
前記レンズ制御手段106は、前記操作入力手段108から与えられるレンズの移動の指示に基づいて前記レンズ移動機構14に対してレンズ駆動用の駆動信号を供給するとともに、ブレーキ機構15に対してブレーキ駆動用の駆動信号を供給するように構成されている。
前記表示手段108は、前記撮像信号に基づく画像の表示を行なう他、文字や記号などを含むメッセージの表示が可能に構成されている。
前記記憶手段109は、前記映像制御手段104から入力される前記撮像信号を記録するように構成されている。
前記操作入力手段110は、テンキーを含む複数の操作キーから構成され、該操作入力手段110に対してなされた操作によって、前記撮影制御手段104に撮影動作の指示や前記レンズ制御手段106に対するレンズ移動の指示を与えるように構成されている。
前記通信手段112は、前記撮影素子12あるいは前記記憶手段109からの映像信号を前記撮影制御手段104を介して入力し、該撮像信号を所定の相手先に通信するように構成されている。
【0006】
図1は本発明の第1の実施の形態によるブレーキ部材の駆動機構が適用されたレンズ移動機構の斜視図、図2はブレーキ作動状態における図1のYY線断面図、図3はブレーキ非作動状態における図1のYY線断面図、図4は図1のXX線断面図、図5はレンズ移動機構を光軸方向から見た図である。
前記カメラ部102は、円筒状の第1鏡筒(固定鏡筒)2002と、前記第1鏡筒2002よりも大きな内径で形成された円筒状の第2鏡筒(可動鏡筒)2004とを備えている。
前記第1鏡筒2002はフレーム16に固定され、この第1鏡筒2002の外側に第2鏡筒2004が軸方向に移動不能で回転のみ可能に結合されている。なお、図4に点線で示すように、第2鏡筒2004から第1鏡筒2002の円環溝にピン2008が挿入固定され、これにより第2鏡筒2004は第1鏡筒2002に対して軸方向に移動不能で回転のみ可能に結合されている。
【0007】
前記カメラ部102の光学系10は、被写体を撮影する固定レンズ2010および第1、第2可動レンズ2012、2014とを備え、これらレンズ2010、2012、2014は第1鏡筒2002の内部に配設されている。
前記撮像素子12は、前記光学系10よって結像された被写体像を受光して撮像信号を出力するように構成されている。前記撮像素子12は、例えばCCDによって構成することができ、前記撮像素子12は、第1鏡筒2002の基部の壁部2015に組付けられた基板2016に取着されている。
【0008】
前記固定レンズ2010は、前記第1鏡筒2002の前端に取着され、第1鏡筒2002の前端の外周にはOリング2018が装着されている。
前記第1可動レンズ2012は枠状の第1可動レンズ支持枠2020に支持されている。前記第1可動レンズ支持枠2020は、第1鏡筒2002の内部に光軸と平行に配設された2本のガイド軸2024に摺動可能に結合され、これにより第1可動レンズ支持枠2020は、光軸方向に直線移動可能にかつ回転不能に第1鏡筒2002の内部に配設されている。
前記第1可動レンズ支持枠2020の外周面には、周方向の外方に第1カムピン2026が突設され、この第1カムピン2026は第1鏡筒2002の外周面のカム溝2028に挿入され、前記カム溝2028は光軸と平行する方向に直線状に延在して形成されている。
前記第2可動レンズ2014は枠状の第2可動レンズ支持枠2022に支持されている。前記第2可動レンズ支持枠2022は、前記2本のガイド軸2024に摺動可能に結合され、これにより第2可動レンズ支持枠2022は、光軸方向に直線移動可能にかつ回転不能に第1鏡筒2002の内部に配設されている。
前記第2可動レンズ支持枠2022の外周面には、周方向の外方に第2カムピン2030が突設され、この第2カムピン2030は第1鏡筒2002の外周面のカム溝2032に挿入され、前記カム溝2032は光軸と平行する方向に直線状に延在して形成されている。
【0009】
前記第2鏡筒2004の基部端面には、前記第1可動レンズ支持枠2002の第1カムピン2026に面した箇所に湾曲面状の第1カム面2034が周方向に延在形成され、前記第2可動レンズ2004の第2カムピン2030に面した箇所に湾曲面状の第2カム面2036が周方向に延在形成されている。
前記第1可動レンズ支持枠2020と第2可動レンズ支持枠2022の間には、コイルばね2038が設けられており、このコイルばね2034によって前記第1可動レンズ支持枠2020と第2可動レンズ支持枠2022とは互いに離間する方向に付勢されている。
また、前記第2可動レンズ支持枠2022と、前記撮像素子12が取着された前記壁部2015との間にはコイルばね2040が設けられており、このコイルばね2040によって前記第2可動レンズ支持枠2022は、前記第1鏡筒2002の基部から離れる方向に付勢されている。
【0010】
そして、これらコイルばね2038、2040によって第1、第2可動レンズ支持枠2020、2022は、前記第1鏡筒の基部から離れる方向に付勢されており、言い換えると第1、第2可動レンズ支持枠2020、2022は、固定レンズ2010に近づく方向に付勢される。
これにより、前記第1可動レンズ支持枠2020の第1カムピン2026は前記第2鏡筒2004の第1カム面2034に常時当接され、前記第2可動レンズ支持枠2022の第2カムピン2030は前記第2鏡筒2004の第2カム面2036に常時当接されている。
【0011】
前記第2鏡筒2004の外周面には、周方向の外方に向けて第2鏡筒側取付ピン2042が突設され、さらに、第1カムピン2026が第1カム面2034に当接し、第2カムピン2030が第2カム面2036に当接した状態で、前記第1鏡筒2002の外周面で前記第2鏡筒側取付ピン2042の周方向の両側箇所に第1、第2取付ピン2044、2046が突設されている。
前記取付ピン2042、2044、2046は、導電性を有する材料で構成され、これら各取付ピン2042、2044、2046には、前記レンズ制御手段106によって前記駆動信号としての電流が供給されるように構成されている。
具体的には、前記各取付ピン2042、2044、2046のそれぞれには、前記レンズ制御手段106からの駆動信号を供給するための独立したリード線(不図示)が接続されている。
【0012】
前記レンズ移動機構14は、可動レンズを光軸方向に動かすものであり、通電による自己発熱によって記憶された形状に復帰する線状の形状記憶合金からなる構造体を含んで構成されている。
本実施の形態では、前記構造体は、第1構造体2048と第2構造体2050とで構成されている。
前記第1構造体2048は、線状の形状記憶合金をコイル状に形成したもので、通電による自己発熱によってその長さが短縮し前記第2鏡筒をその回転方向の一方に回転させるように構成されている。
前記第2構造体2050は、線状の形状記憶合金をコイル状に形成したもので、通電による自己発熱によってその長さが短縮し前記第2鏡筒をその回転方向の他方に回転させるように構成されている。
前記第1構造体2048は、前記第2鏡筒側取付ピン2042と第1取付ピン2044との間に掛け渡され、第1構造体2048の一端は前記第2鏡筒側取付ピン2042に導電性接着剤によって固着され、他端は前記第1取付ピン2044に導電性接着剤によって固着されている。
前記第2構造体2058は、前記第2鏡筒側取付ピン2042と第2取付ピン2046との間に掛け渡され、第2構造体2050の一端は前記第2鏡筒側取付ピン2042に導電性接着剤によって固着され、他端は前記第2取付ピン2046に導電性接着剤によって固着されている。
すなわち、前記第1構造体2048と第2構造体2050は前記第1鏡筒2002の外周面上でそれぞれ周方向の反対方向に延在し、それらの端部は前記第1鏡筒2002に設けられた第1、第2取付ピン2044、2046に取着されていることになる。
【0013】
したがって、前記第1構造体2048に電流が供給され、第2構造体2050に電流が供給されない場合には、前記第1構造体2048が短縮することにより、前記第2鏡筒2004が前記固定レンズ2010の前方から見て時計方向に回転される。
前記第2鏡筒2004の時計方向の回転によって第1カム面2034が移動することにより、第1カムピン2026が前記光軸方向に移動され、これにより前記第1可動レンズ支持枠2020が光軸方向で前記撮像素子12方向に移動される。
また、前記第2鏡筒2004の時計方向の回転によって第2カム面2036が移動することにより、第2カムピン2030が前記光軸方向に移動され、これにより前記第2可動レンズ支持枠2022が光軸方向で前記撮像素子12方向に移動される。
【0014】
また、前記第1構造体2048に電流が供給されず、第2構造体2050に電流が供給される場合には、前記第2構造体2050が短縮することにより、前記第2鏡筒2004が前記固定レンズ2010の前方から見て反時計方向に回転される。
前記第2鏡筒2004の反時計方向の回転によって第1カム面2034が移動することにより、第1カムピン2026が前記光軸方向に移動され、これにより前記第1可動レンズ支持枠2020が光軸方向で前記固定レンズ2010方向に移動される。
また、前記第2鏡筒2004の反時計方向の回転によって第2カム面2036が移動することにより、第2カムピン2030が前記光軸方向に移動され、これにより前記第2可動レンズ支持枠2022が光軸方向で前記固定レンズ2010方向に移動される。
【0015】
そして、前記第1鏡筒2002の第1、第2カムピン2026、2030と、第2鏡筒2004の第1、第2カム面2034、2036と、前記第1、第2構造体2038、2040によって前記第1、第2可動レンズ2012、2014を光軸方向に移動する前記レンズ移動機構14が構成されている。
また、本実施の形態においては、前記第1鏡筒2002の第1、第2カムピン2026、2030と、第2鏡筒2004の第1、第2カム面2034、2036とによって特許請求の範囲の連動手段が構成され、前記第1、第2構造体2038、2040によって特許請求の範囲の回転手段が構成されている。
【0016】
また、本実施の形態では、前記レンズ移動機構14によって前記第1可動レンズ2012および第2可動レンズ2014が前記固定レンズ2010に対して移動することにより、前記光学系10によるズーム比が変化するように構成されている。
【0017】
前記ブレーキ機構15は、前記第2鏡筒2004の光軸回りの回転位置を所望の角度で停止させるものであり、ブレーキ用構造体2086(特許請求の範囲の駆動機構に相当)と、前記第2鏡筒2004の外周にわたって形成されたローレット2088(複数の係合凹部)と、前記フレーム16に取着された係止ばね2090(特許請求の範囲のブレーキ部材に相当)とを備えて構成されている。
前記係止ばね2090は、例えば、導電性を有するばね板を屈曲して構成され、下部が前記第2鏡筒2004に臨むフレーム16の箇所に取着され、上部には前記ローレット2088の凹部に係止可能な爪部2092が形成されており、該爪部2092がローレット2088に常時係止するように配設されている。
前記ブレーキ用構造体2086は、通電されることで自己発熱して形状が元の状態に復帰しその長さが変わるように形状記憶合金から構成されている。本実施の形態では、前記ブレーキ用構造体2086は、線状の形状記憶合金によりコイル状に形成されている。前記ブレーキ用構造体2086の一端は前記係止ばね2090の先端、すなわち爪部2092の背面箇所に導電性接着剤などにより取着され、その他端はフレーム16箇所に導電性接着剤などにより取着されている。前記ブレーキ用構造体2086の他端には不図示のリード線が接続され、前記係止ばね2090の取付箇所には不図示のリード線が接続されている。これら2つのリード線は、前記レンズ制御手段106に接続され、該レンズ制御手段106によって通電されるように、すなわちブレーキ用の駆動電流が供給されるように構成されている。
【0018】
したがって、前記ブレーキ用構造体2086が通電されない場合には、図1に示すように、前記ブレーキ用構造体2086が前記係止ばね2090の付勢力によって伸長され、前記係止ばね2090の爪部2092が前記ローレット2088の凹部に係合し、これにより、前記第2鏡筒2004の回転が停止される。すなわち、前記ブレーキ機構15はブレーキ作動状態となる。
また、前記ブレーキ用構造体2086が通電された場合には、図4に示すように、ブレーキ用構造体2086が短縮することにより、前記係止ばね2090の爪部2092が前記ローレット2088から離間され、前記第2鏡筒2004の回転を可能とする。すなわち前記ブレーキ機構15はブレーキ非動作状態となる。
【0019】
次に上述のように構成された携帯電話機100によって光学系のズーム比を変更する際の作用について説明する。
携帯電話機100の利用者が光学系10を広角に設定するための操作を前記操作入力手段110に対して行なうと、前記レンズ制御手段106は、図2に示すように、前記ブレーキ用構造体2086に前記ブレーキ用の駆動電流を供給して前記ブレーキ機構15をブレーキ非作動状態とする。
次いで、前記レンズ制御手段106は、前記第2鏡筒側取付ピン2042と第2取付ピン2046に電圧を印加することにより前記第2構造体2050に電流を供給する。
すると、前記第2構造体2050が短縮することで前記第1可動レンズ2012、第2可動レンズ2014は、前記レンズ移動機構14の作用によって固定レンズ2010に近接する方向に移動される。この結果、前記光学系10は、そのズーム比が広角となるように設定される。
次いで、前記レンズ制御手段106は、図1に示すように、前記ブレーキ用構造体2086へのブレーキ用の駆動電流の供給を停止して前記ブレーキ機構15をブレーキ作動状態とする。これにより、前記第1、第2可動レンズ2012、2014は設定された広角の位置に停止保持される。
【0020】
携帯電話機100の利用者が光学系10を望遠に設定するための操作を前記操作入力手段110に対して行なうと、広角に設定する場合と同様に、前記レンズ制御手段106は、図2に示すように、前記ブレーキ用構造体2086にブレーキ用の駆動電流御を供給して前記ブレーキ機構15をブレーキ非作動状態とする。
次いで、前記レンズ制御手段106は、前記第2鏡筒側取付ピン2042と第1取付ピン2044に電圧を印加することにより前記電流の供給を行なう。
すると、前記第1構造体2048が短縮することで前記第1可動レンズ2012、第2可動レンズ2014は、前記レンズ移動機構14の作用によって前記撮像素子12に近接する方向に移動される。この結果、前記光学系10は、そのズーム比が望遠となるように設定される。
次いで、前記レンズ制御手段106は、図1に示すように、前記ブレーキ用構造体2086へのブレーキ用の駆動電流の供給を停止して前記ブレーキ機構15をブレーキ作動状態とする。これにより、前記第1、第2可動レンズ2012、2014は設定された望遠の位置に停止保持される。
【0021】
携帯電話機100の利用者が光学系10を広角と望遠の間の任意の位置に設定するための操作を前記操作入力手段110に対して行なうと、上述の場合と同様に、前記レンズ制御手段106は、図2に示すように、前記ブレーキ用構造体2086に電圧を印加することにより電流を供給して前記ブレーキ機構15をブレーキ非作動状態とする。
次いで、前記レンズ制御手段106は、前記第1、第2構造体2048、2050の何れか一方に供給する電流の時間を調節し、これにより、前記第1、第2構造体2048、2050の何れか一方の短縮する寸法を調整する。
これにより、前記第1構造体2048または第2構造体2050が短縮することで前記第1可動レンズ2012、第2可動レンズ2014は、前記レンズ移動機構14の作用によって前記固定レンズ2010と前記撮像素子12の間の任意の位置に移動される。この結果、前記光学系10は、そのズーム比が広角と望遠の間の任意の値となるように設定される。
次いで、前記レンズ制御手段106は、図1に示すように、前記ブレーキ用構造体2086へのブレーキ用の駆動電流の供給を停止して前記ブレーキ機構15をブレーキ作動状態とする。これにより、前記第1、第2可動レンズ2012、2014は設定されたズーム比の位置に停止保持される。
【0022】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第2鏡筒2004の回転を停止させるブレーキ機構15が前記係合ばね2086に連結されるとともに通電されることで自己発熱して形状が元の状態に復帰しその長さが変わる形状記憶合金からなる構造体2086を含んで構成した。
したがって、ブレーキ機構15は構造が簡素で占有スペースも少なくて済むので、ブレーキ機構15、該ブレーキ機構15を用いたレンズ移動機構を簡素化および小型化する上で有利である。また、このようなレンズ移動機構を組み込んだカメラや携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型パーソナルコンピュータなどの電子機器の小型化を図る上で有利である。
また、ブレーキ機構15を用いて第2鏡筒2004の回転を停止させて前記第1、第2可動レンズ2012、2014を停止保持することにより、前記第1、第2構造体2048、2050への電流の供給を停止することができるので、消費電力を低減する上で有利となる。
ブレーキ機構15の作動時に構造体2086が短縮する動作を行ない、この動作に際しては雑音が発生しないので、電子機器の静粛性を高める上で有利となる。特に、携帯電話機においては、前記雑音が送話器(内蔵マイク)を介して携帯電話機の使用者に届くことがないのでより好ましい。
【0023】
次に、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、第2鏡筒を回転させる回転手段の構成である。
図7は第2の実施の形態によるレンズ移動機構の斜視図、図8は図7の側面図である。図7、図8において第1の実施の形態と同一の部材や同様の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
前記第2鏡筒2004の外周面には、周方向の外方に向けて第2鏡筒側取付ピン2042が突設されている。
前記第1鏡筒2002の外周面には、周方向の外側に向けて第1鏡筒側取付ピン2052が突設されている。
前記取付ピン2042、2052は、導電性を有する材料で構成され、これら各取付ピン2042、2052には、前記レンズ制御手段106によって前記駆動信号としての電流が供給されるように構成されている。
具体的には、前記各取付ピン2042、2052のそれぞれには、前記レンズ制御手段106からの駆動信号を供給するための独立したリード線(不図示)が接続されている。
構造体2054は、第1の実施の形態と同様に、通電による自己発熱によって記憶された形状に復帰する線状の形状記憶合金から構成されている。
本実施の形態では、前記構造体2054は、前記第1鏡筒2002の外周面上に前記形状記憶合金がコイル状に巻装されて形成されている。前記構造体2054の一方の端部は前記第1鏡筒側取付ピン2052に導電性接着剤によって固着され、他方の端部は前記第2鏡筒側取付ピン2042に導電性接着剤によって固着されている。
また、前記第2鏡筒2004と第1鏡筒2002の間には不図示の付勢部材が設けられており、該付勢部材の付勢力によって前記第2鏡筒2004はその回転方向の角度位置が所定位置、第2の実施の形態では広角に対応する位置となるように常時付勢されている。
【0024】
第2の実施の形態では、前記構造体2054に電流が供給されると、形状記憶合金が発熱して記憶された形状に復帰することで前記構造体2054が短縮し、前記第2鏡筒2004が前記付勢部材の付勢力に抗して前記固定レンズ2010の前方から見て時計方向に回転される。
前記第2鏡筒2004の時計方向の回転によって第1カム面2034が移動することにより、第1カムピン2026が前記光軸方向に移動され、これにより前記第1可動レンズ支持枠2020が光軸方向で前記撮像素子12方向に移動される。
また、前記第2鏡筒2004の時計方向の回転によって第2カム面2036が移動することにより、第2カムピン2030が前記光軸方向に移動され、これにより前記第2可動レンズ支持枠2022が光軸方向で前記撮像素子12方向に移動される。
また、前記構造体2054に電流が供給されない場合には、該構造体2054が電流が供給されない状態における形状記憶合金の形状となり、すなわち前記通電時に比較して伸長することに加えて、前記付勢部材の付勢力によって前記第2鏡筒2004が前記固定レンズ2010の前方から見て反時計方向に回転される。
前記第2鏡筒2004の反時計方向の回転によって第1カム面2034が移動することにより、第1カムピン2026が前記光軸方向に移動され、これにより前記第1可動レンズ支持枠2020が光軸方向で前記固定レンズ2010方向に移動される。
また、前記第2鏡筒2004の反時計方向の回転によって第2カム面2036が移動することにより、第2カムピン2030が前記光軸方向に移動され、これにより前記第2可動レンズ支持枠2022が光軸方向で前記固定レンズ2010方向に移動される。
【0025】
第2の実施の形態では、前記第1鏡筒2002の第1、第2カムピン2026、2030と、第2鏡筒2004の第1、第2カム面2034、2036と、前記構造体2054によって前記第1、第2可動レンズ2012、2014を光軸方向に移動する前記レンズ移動機構14が構成されている。
また、前記第1鏡筒2002の第1、第2カムピン2026、2030と、第2鏡筒2004の第1、第2カム面2034、2036とによって特許請求の範囲の連動手段が構成され、前記構造体2054によって特許請求の範囲の回転手段が構成されている。
【0026】
第2の実施の形態におけるブレーキ機構15は、前記第2鏡筒2004の光軸回りの回転位置を所望の角度で停止させるものであり、第1の実施の形態と同様に構成されている。すなわち、通電による自己発熱によって記憶された形状に復帰する形状記憶合金からなるブレーキ用構造体2086と、前記第2鏡筒2004の外周にわたって形成されたローレット2088と、前記フレーム16に取着された係止ばね2090とを備えて構成されている。
【0027】
したがって、前記ブレーキ用構造体2086が通電されない場合には、図8に示すように、前記ブレーキ用構造体2086が前記係止ばね2090の付勢力によって伸長され、前記係止ばね2090の爪部2092が前記ローレット2088の凹部に係合し、これにより、前記第2鏡筒2004の回転を停止する。すなわち、前記ブレーキ機構15はブレーキ作動状態となる。
また、前記ブレーキ用構造体2086が通電された場合には、ブレーキ用構造体2086が短縮することにより、前記係止ばね2090の爪部2092が前記ローレット2088から離間され、前記第2鏡筒2004の回転を可能とする。すなわち前記ブレーキ機構15はブレーキ非動作状態となる。
【0028】
次に上述のように構成された携帯電話機100によって光学系のズーム比を変更する際の作用について説明する。
携帯電話機100の利用者が光学系10を広角に設定するための操作を前記操作入力手段110に対して行なうと、前記レンズ制御手段106は、前記ブレーキ用構造体2086に前記ブレーキ用の駆動電流を供給して前記ブレーキ機構15をブレーキ非作動状態とする。
次いで、前記レンズ制御手段106は、前記第2鏡筒側取付ピン2042と第2取付ピン2046に電圧を印加することにより前記構造体2054に電流を供給する。
すると、前記第1可動レンズ2012、第2可動レンズ2014は、前記レンズ移動機構14の作用によって固定レンズ2010に近接する方向に移動される。この結果、前記光学系10は、そのズーム比が広角となるように設定される。
次いで、前記レンズ制御手段106は、前記ブレーキ用構造体2086へのブレーキ用の駆動電流の供給を停止して前記ブレーキ機構15をブレーキ作動状態とする。これにより、前記第1、第2可動レンズ2012、2014は設定された広角の位置に停止保持される。
【0029】
携帯電話機100の利用者が光学系10を望遠に設定するための操作を前記操作入力手段110に対して行なうと、広角に設定する場合と同様に、前記レンズ制御手段106は、前記ブレーキ用構造体2086にブレーキ用の駆動電流御を供給して前記ブレーキ機構15をブレーキ非作動状態とする。
次いで、前記レンズ制御手段106は、前記第2鏡筒側取付ピン2042と第2取付ピン2046への電圧印加を停止する。
すると、前記第1可動レンズ2012、第2可動レンズ2014は、前記レンズ移動機構14の作用によって前記撮像素子12に近接する方向に移動される。この結果、前記光学系10は、そのズーム比が望遠となるように設定される。
次いで、前記レンズ制御手段106は、前記ブレーキ用構造体2086へのブレーキ用の駆動電流の供給を停止して前記ブレーキ機構15をブレーキ作動状態とする。これにより、前記第1、第2可動レンズ2012、2014は設定された望遠の位置に停止保持される。
【0030】
携帯電話機100の利用者が光学系10を広角と望遠の間の任意の位置に設定するための操作を前記操作入力手段110に対して行なうと、上述の場合と同様に、前記レンズ制御手段106は、前記ブレーキ用構造体2086に電圧を印加することにより電流を供給して前記ブレーキ機構15をブレーキ非作動状態とする。
次いで、前記レンズ制御手段106は、前記構造体2054に供給する電流の時間を調節し、これにより、前記構造体2054の短縮する寸法を調整する。
これにより、前記第1可動レンズ2012、第2可動レンズ2014は、前記レンズ移動機構14の作用によって前記固定レンズ2010と前記撮像素子12の間の任意の位置に移動される。この結果、前記光学系10は、そのズーム比が広角と望遠の間の任意の値となるように設定される。
次いで、前記レンズ制御手段106は、前記ブレーキ用構造体2086へのブレーキ用の駆動電流の供給を停止して前記ブレーキ機構15をブレーキ作動状態とする。これにより、前記第1、第2可動レンズ2012、2014は設定されたズーム比の位置に停止保持される。
【0031】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の場合と同様に、ブレーキ機構15は構造が簡素で占有スペースも少なくて済むので、ブレーキ機構15、該ブレーキ機構15を用いたレンズ移動機構を簡素化および小型化する上で有利である。また、このようなレンズ移動機構を組み込んだカメラや携帯電話機などの電子機器の小型化を図る上で有利である。
また、ブレーキ機構15を用いて第2鏡筒2004の回転を停止させて前記第1、第2可動レンズ2012、2014を停止保持することにより、前記第1、第2構造体2048、2050への電流の供給を停止することができるので、消費電力を低減する上で有利となる。
また、ブレーキ機構15の作動時に構造体2086が短縮する動作を行ない、この動作に際しては雑音が発生しないので、電子機器の静粛性を高める上で有利となる。特に、携帯電話機においては、前記雑音が送話器(内蔵マイク)を介して携帯電話機の使用者に届くことがないのでより好ましい。
【0032】
次に、第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、第2鏡筒を回転させる回転手段の構成である。
図9は第3の実施の形態によるレンズ移動機構の側面図、図10は第3の実施の形態によるレンズ移動機構の平面図である。図9、図10において第1の実施の形態と同一の部材や同様の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
前記第2鏡筒2004の外周面には、周方向の半分にわたって導電性を有する例えば銅板からなる帯板状の接続部材2060が取着され、該接続部材2060の両端には導電性を有する第1、第2取付部2062、2064が形成され、これら第1、第2取付部2062、2064は、第2鏡筒2004の周方向で180度対称な箇所に位置している。
前記第1鏡筒2002の基部に位置するフレーム16には、前記第1鏡筒2002を中心にして囲む矩形の四隅のそれぞれの位置に第1鏡筒2002と平行するように第1乃至第4フレーム側取付ピン2066、2068、2070、2072が立設されている。
前記第1、第2フレーム側取付ピン2066、2068は前記接続部材2060の第1取付部2062を挟んで一直線上に位置している。
前記第3、第4フレーム側取付ピン2070、2072は前記接続部材2060の第2取付部2064を挟んで一直線上に位置している。
第1乃至第4フレーム側取付ピン2066、2068、2070、2072は、導電性を有する材料で構成され、これら第1乃至第4フレーム側取付ピン2066、2068、2070、2072には、前記レンズ制御手段106によって前記駆動信号としての電流が供給されるように構成されている。
具体的には、前記第1乃至第4フレーム側取付ピン2066、2068、2070、2072のそれぞれには、前記レンズ制御手段106からの駆動信号を供給するための独立したリード線(不図示)が接続されている。
本実施の形態では、前記構造体は、第1乃至第4構造体2074、2076、2078、2080で構成されている。
【0033】
前記第1乃至第4構造体2074、2076、2078、2080は、線状の形状記憶合金をコイル状に形成したもので、第1の実施の形態と同様に、通電による自己発熱によってその長さが短縮するように構成されている。
前記第1構造体2074は、その一方の端部が第1フレーム側取付ピン2066に導電性接着剤によって固着され、他方の端部が前記第1取付部2062に導電性接着剤によって固着されている。
前記第2構造体2076は、その一方の端部が第2フレーム側取付ピン2068に導電性接着剤によって固着され、他方の端部が前記第1取付部2062に導電性接着剤によって固着されている。
前記第3構造体2078は、その一方の端部が第3フレーム側取付ピン2068に導電性接着剤によって固着され、他方の端部が前記第2取付部2064に導電性接着剤によって固着されている。
前記第4構造体2080は、その一方の端部が第4フレーム側取付ピン2070に導電性接着剤によって固着され、他方の端部が前記第2取付部2064に導電性接着剤によって固着されている。
【0034】
したがって、前記第1フレーム側取付ピン2066と第3フレーム側取付ピン2070に電圧が印加されると、前記第1構造体2074、第1取付部2062、接続部材2060、第2取付部2064、第3構造体2078という経路で電流が流れ、これにより第1、第3構造体2074、2078が短縮し、前記第2鏡筒2004が前記固定レンズ2010の前方から見て時計方向に回転される。
前記第2鏡筒2004の時計方向の回転によって第1カム面2034が移動することにより、第1カムピン2026が前記光軸方向に移動され、これにより前記第1可動レンズ支持枠2020が光軸方向で前記撮像素子12方向に移動される。
また、前記第2鏡筒2004の時計方向の回転によって第2カム面2036が移動することにより、第2カムピン2030が前記光軸方向に移動され、これにより前記第2可動レンズ支持枠2022が光軸方向で前記撮像素子12方向に移動される。
【0035】
また、前記第2フレーム側取付ピン2068と第4フレーム側取付ピン2072に電圧が印加されると、前記第2構造体2076、第1取付部2062、接続部材2060、第2取付部2064、第4構造体2080という経路で電流が流れ、これにより第2、第4構造体2076、2080が短縮し、前記第2鏡筒2004が前記固定レンズ2010の前方から見て反時計方向に回転される。
前記第2鏡筒2004の反時計方向の回転によって第1カム面2034が移動することにより、第1カムピン2026が前記光軸方向に移動され、これにより前記第1可動レンズ支持枠2020が光軸方向で前記固定レンズ2010方向に移動される。
また、前記第2鏡筒2004の反時計方向の回転によって第2カム面2036が移動することにより、第2カムピン2030が前記光軸方向に移動され、これにより前記第2可動レンズ支持枠2022が光軸方向で前記固定レンズ2010方向に移動される。
【0036】
そして、前記第1鏡筒2002の第1、第2カムピン2026、2030と、第2鏡筒2004の第1、第2カム面2034、2036と、前記第1乃至第4構造体2074、2076、2078、2080によって前記第1、第2可動レンズ2012、2014を光軸方向に移動する前記レンズ移動機構14が構成されている。
また、本実施の形態においては、前記第1鏡筒2002の第1、第2カムピン2026、2030と、第2鏡筒2004の第1、第2カム面2034、2036とによって特許請求の範囲の連動手段が構成され、前記前記第1乃至第4構造体2074、2076、2078、2080によって特許請求の範囲の回転手段が構成されている。
【0037】
第3の実施の形態におけるブレーキ機構15は、前記第2鏡筒2004の光軸回りの回転位置を所望の角度で停止させるものであり、第1の実施の形態と同様に構成されている。すなわち、通電による自己発熱によって記憶された形状に復帰する形状記憶合金からなるブレーキ用構造体2086と、前記第2鏡筒2004の外周にわたって形成されたローレット2088と、前記フレーム16に取着された係止ばね2090とを備えて構成されている。
【0038】
したがって、前記ブレーキ用構造体2086が通電されない場合には、図9に示すように、前記ブレーキ用構造体2086が前記係止ばね2090の付勢力によって伸長され、前記係止ばね2090の爪部2092が前記ローレット2088の凹部に係合し、これにより、前記第2鏡筒2004の回転を停止する。すなわち、前記ブレーキ機構15はブレーキ作動状態となる。
また、前記ブレーキ用構造体2086が通電された場合には、ブレーキ用構造体2086が短縮することにより、前記係止ばね2090の爪部2092が前記ローレット2088から離間され、前記第2鏡筒2004の回転を可能とする。すなわち前記ブレーキ機構15はブレーキ非動作状態となる。
【0039】
次に上述のように構成された携帯電話機100によって光学系のズーム比を変更する際の作用について説明する。
携帯電話機100の利用者が光学系10を広角に設定するための操作を前記操作入力手段110に対して行なうと、前記レンズ制御手段106は、図2に示すように、前記ブレーキ用構造体2086に前記ブレーキ用の駆動電流を供給して前記ブレーキ機構15をブレーキ非作動状態とする。
次いで、前記前記レンズ制御手段106は、前記第1フレーム側取付ピン2066と第3フレーム側取付ピン2070に電圧を印加することにより前記電流の供給を行なう。
すると、前記第1、第3構造体2074、2078が短縮することで前記第1可動レンズ2012、第2可動レンズ2014は、前記レンズ移動機構14の作用によって固定レンズ2010に近接する方向に移動される。この結果、前記光学系10は、そのズーム比が広角となるように設定される。
次いで、前記レンズ制御手段106は、前記ブレーキ用構造体2086へのブレーキ用の駆動電流の供給を停止して前記ブレーキ機構15をブレーキ作動状態とする。これにより、前記第1、第2可動レンズ2012、2014は設定された広角の位置に停止保持される。
【0040】
携帯電話機100の利用者が光学系10を望遠に設定するための操作を前記操作入力手段110に対して行なうと、広角に設定する場合と同様に、前記レンズ制御手段106は、前記ブレーキ用構造体2086にブレーキ用の駆動電流御を供給して前記ブレーキ機構15をブレーキ非作動状態とする。
次いで、前記レンズ制御手段106は、前記第2フレーム側取付ピン2068と第4フレーム側取付ピン2072に電圧を印加することにより前記電流の供給を行なう。
すると、前記第2、第4構造体2076、2080が短縮することで前記第1可動レンズ2012、第2可動レンズ2014は、前記レンズ移動機構14の作用によって前記撮像素子12に近接する方向に移動される。この結果、前記光学系10は、そのズーム比が望遠となるように設定される。
次いで、前記レンズ制御手段106は、前記ブレーキ用構造体2086へのブレーキ用の駆動電流の供給を停止して前記ブレーキ機構15をブレーキ作動状態とする。これにより、前記第1、第2可動レンズ2012、2014は設定された望遠の位置に停止保持される。
【0041】
携帯電話機100の利用者が光学系10を広角と望遠の間の任意の位置に設定するための操作を前記操作入力手段110に対して行なうと、上述の場合と同様に、前記レンズ制御手段106は、前記ブレーキ用構造体2086に電圧を印加することにより電流を供給して前記ブレーキ機構15をブレーキ非作動状態とする。
次いで、前記レンズ制御手段106は、前記第1、第3構造体2074、2078、あるいは、第2、第4構造体2076、2080の何れか一方に供給する電流の時間を調節し、これにより、前記第1、第3構造体2074、2078、あるいは、第2、第4構造体2076、2080の短縮する寸法を調整する。
これにより、前記第1可動レンズ2012、第2可動レンズ2014は、前記レンズ移動機構14の作用によって前記固定レンズ2010と前記撮像素子12の間の任意の位置に移動される。この結果、前記光学系10は、そのズーム比が広角と望遠の間の任意の値となるように設定される。
次いで、前記レンズ制御手段106は、前記ブレーキ用構造体2086へのブレーキ用の駆動電流の供給を停止して前記ブレーキ機構15をブレーキ作動状態とする。これにより、前記第1、第2可動レンズ2012、2014は設定されたズーム比の位置に停止保持される。
【0042】
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態の場合と同様に、ブレーキ機構15は構造が簡素で占有スペースも少なくて済むので、ブレーキ機構15、該ブレーキ機構15を用いたレンズ移動機構を簡素化および小型化する上で有利である。また、このようなレンズ移動機構を組み込んだカメラや携帯電話機などの電子機器の小型化を図る上で有利である。
また、ブレーキ機構15を用いて第2鏡筒2004の回転を停止させて前記第1、第2可動レンズ2012、2014を停止保持することにより、前記第1、第2構造体2048、2050への電流の供給を停止することができるので、消費電力を低減する上で有利となる。
また、ブレーキ機構15の作動時に構造体2086が短縮する動作を行ない、この動作に際しては雑音が発生しないので、電子機器の静粛性を高める上で有利となる。特に、携帯電話機においては、前記雑音が送話器(内蔵マイク)を介して携帯電話機の使用者に届くことがないのでより好ましい。
【0043】
なお、上述した第1乃至第3の実施の形態では、係止ばね2090の弾性力を用いて爪部2092のローレット2088への係合を行なった場合について説明したが、爪部2092のローレット2088への係合は、係止ばね2090の弾性力に代え別部材であるスプリングを用いてもよく、あるいは、ブレーキ用構造体2086とは反対側に設けた他の形状記憶合金からなる構造体を用いるようにしてもよい。
また、第1乃至第3の実施の形態においては、ブレーキ用構造体2086にブレーキ用の駆動電流を供給することでブレーキ機構15を非作動状態とするように構成したが、爪部2092をローレット2088から常時離した状態にしておき、ブレーキ用構造体2086に電流を供給することで爪部2092をローレット2088に係合させブレーキ機構15を作動状態とするように構成してもよい。
また、ブレーキ用構造体2086を構成する形状記憶合金の形状は、線状に限定されるものではなく、例えば帯板状であってもよく、さらにブレーキ用構造体2086の形状は通電することでその長さが変わる形状であればよくコイル状に限定されない。
【0044】
なお、実施の形態では、ブレーキ部材として係止ばね2090を用いた場合について説明したが、ブレーキ部材としては、移動体に圧接することで移動体の移動を停止するブレーキシューなどの各種の従来公知の部材を使用できる。
また、本実施の形態では、移動体が回転する場合について説明したが、移動体の移動は回転運動に限らず直線運動などであってもよい。
【0045】
また、上述した第1乃至第3の実施の形態では、前記第2鏡筒2004に前記第1、第2カム面2034、2036が形成され、これら第1、第2カム面2034、2036に第1、第2可動レンズ枠2020、2022の第1、第2カムピン2026、2030が当接されることによって、これら第1、第2カムピン2026、2030が光軸方向に移動される構成であったが、図11に示すように、前記第2鏡筒2004に前記第1、第2カム面2034、2036に代えて第1、第2カム溝2082、2084を設け、これら第1、第2カム溝2082、2084に挿通された前記第1、第2カムピン2026、2030が光軸方向に移動される構成としてもよいことはもちろんである。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、簡素化および小型化を図る上で有利なブレーキ部材の駆動機構、このようなブレーキ部材の駆動機構を備えたレンズ移動機構、このようなレンズ移動機構を組み込んだカメラ、電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるブレーキ部材の駆動機構が適用されたレンズ移動機構の斜視図である。
【図2】ブレーキ作動状態における図1のYY線断面図である。
【図3】ブレーキ非作動状態における図1のYY線断面図である。
【図4】レンズ移動機構を光軸方向から見た図である。
【図5】図1のXX線断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における電子機器の構成を示すブロック図である。
【図7】第2の実施の形態によるレンズ移動機構の斜視図である。
【図8】図7の側面図である。
【図9】第3の実施の形態によるレンズ移動機構の側面図である。
【図10】第3の実施の形態によるレンズ移動機構の平面図である。
【図11】第2鏡筒の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
15……ブレーキ駆動機構、2004……第2鏡筒、2088……ローレット、2086……ブレーキ用構造体、2090……係止ばね、2092……爪部。

Claims (9)

  1. 移動体に接触することで該移動体の移動を停止するブレーキ部材の駆動機構であって、
    前記駆動機構は前記ブレーキ部材に連結されるとともに通電されることで自己発熱して形状が元の状態に復帰しその長さが変わる形状記憶合金からなる構造体を含んで構成されている、
    ことを特徴とするブレーキ部材の駆動機構。
  2. 互いに光軸を合致させた状態で回転可能に結合された第1鏡筒および第2鏡筒と、
    前記第1鏡筒の内部に光軸方向に移動可能に配設された可動レンズと、前記第1鏡筒上で第2鏡筒を回転させる回転手段と、
    前記第2鏡筒が回転した際に前記可動レンズを第1鏡筒に対して光軸方向に移動させる連動手段とを備えたレンズ移動機構において、
    前記第2鏡筒の回転を停止させるブレーキ機構が設けられ、
    前記ブレーキ機構は、前記第2鏡筒に接触することで前記第2鏡筒の回転を停止させるブレーキ部材と、前記第2鏡筒に対して前記ブレーキ部材を離間接近する方向に動かす駆動機構とで構成され、
    前記駆動機構は前記ブレーキ部材に連結されるとともに通電されることで自己発熱して形状が元の状態に復帰しその長さが変わる形状記憶合金からなる構造体を含んで構成されている、
    ことを特徴とするレンズ移動機構。
  3. フレームで支持された撮像素子と、
    フレームで支持され前記撮像素子の前方に配置された第1鏡筒と、
    前記第1鏡筒の内部に光軸方向に移動可能に配置された可動レンズと、
    前記第1鏡筒に光軸を合致させた状態で回転可能に結合された第2鏡筒と、
    前記第1鏡筒上で第2鏡筒を回転させる回転手段と、
    前記第2鏡筒が回転した際に前記可動レンズを第1鏡筒に対して光軸方向に移動させる連動手段とを備えたカメラにおいて、
    前記第2鏡筒の回転を停止させるブレーキ機構が設けられ、
    前記ブレーキ機構は、前記第2鏡筒に接触することで前記第2鏡筒の回転を停止させるブレーキ部材と、前記第2鏡筒に対して前記ブレーキ部材を離間接近する方向に動かす駆動機構とで構成され、
    前記駆動機構は前記ブレーキ部材に連結されるとともに通電されることで自己発熱して形状が元の状態に復帰しその長さが変わる形状記憶合金からなる構造体を含んで構成されている、
    ことを特徴とするカメラ。
  4. フレームで支持された撮像素子と、
    前記撮像素子から出力される撮像信号に基づいて画像を表示する画像表示手段と、
    前記フレームで支持され前記撮像素子の前方に配置された第1鏡筒と、
    前記第1鏡筒の内部に光軸方向に移動可能に配置された可動レンズと、
    前記第1鏡筒に光軸を合致させた状態で回転可能に結合された第2鏡筒と、
    前記第1鏡筒上で第2鏡筒を回転させる回転手段と、
    前記第2鏡筒が回転した際に前記可動レンズを第1鏡筒に対して光軸方向に移動させる連動手段とを備えた電子機器において、
    前記第2鏡筒の回転を停止させるブレーキ機構が設けられ、
    前記ブレーキ機構は、前記第2鏡筒に接触することで前記第2鏡筒の回転を停止させるブレーキ部材と、前記第2鏡筒に対して前記ブレーキ部材を離間接近する方向に動かす駆動機構とで構成され、
    前記駆動機構は前記ブレーキ部材に連結されるとともに通電されることで自己発熱して形状が元の状態に復帰しその長さが変わる形状記憶合金からなる構造体を含んで構成されている、
    ことを特徴とする電子機器。
  5. 前記ブレーキ部材は常時移動体から離れた状態で配設され、前記構造体への通電により該構造体の長さが短縮し前記ブレーキ部材が移動体に対して接触するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のブレーキ部材の駆動機構。
  6. 前記ブレーキ部材は常時第2鏡筒から離れた状態で配設され、前記構造体への通電により該構造体の長さが短縮し前記ブレーキ部材が第2鏡筒に対して接触するように構成されていることを特徴とする請求項2記載のレンズ移動機構または請求項3記載のカメラまたは請求項4記載の電子機器。
  7. 前記ブレーキ部材は常時移動体に接触した状態で配設され、前記構造体への通電により該構造体の長さが短縮し前記ブレーキ部材が移動体から離れるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のブレーキ部材の駆動機構。
  8. 前記ブレーキ部材は常時第2鏡筒に接触した状態で配設され、前記構造体への通電により該構造体の長さが短縮し前記ブレーキ部材が第2鏡筒から離れるように構成されていることを特徴とする請求項2記載のレンズ移動機構または請求項3記載のカメラまたは請求項4記載の電子機器。
  9. 前記接触は係止または圧接であることを特徴とする請求項1記載のブレーキ部材の駆動機構または請求項2記載のレンズ移動機構または請求項3記載のカメラまたは請求項4記載の電子機器。
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