[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態に係る撮像装置としてのデジタルカメラ1の構成例の概略を図1に示す。この図に示されるように、デジタルカメラ1は、例えばレンズ交換式のカメラであり、カメラ本体10とレンズ部20とを有する。デジタルカメラ1は、レンズ交換式のカメラに限らず、固定レンズ式のカメラでもよい。
レンズ部20は、ズーム機能を有する光学系21を備える。また、レンズ部20は、レンズ制御部22と、操作部23と、駆動部24と、状態判定部25と、特性記録部26と、本体通信部27とを備える。本体通信部27は、カメラ本体10と通信するためのインターフェースである。操作部23は、例えばレンズに設けられたリングやスイッチであり、ユーザにより操作され、ユーザからの入力を取得する。レンズ制御部22は、本体通信部27を介してカメラ本体10から入力された制御信号や、操作部23をから入力されたユーザからの指示に基づいて、光学系21の動作を制御する。駆動部24は、レンズ制御部22の制御下で、光学系21を駆動する。状態判定部25は、光学系21の状態に係る情報を取得し、その情報をレンズ制御部22に出力する。特性記録部26は、例えば光学系21に係る情報といったレンズ部20の特性に係る情報を記録しており、これらの情報は、必要に応じてレンズ制御部22によって読み出される。
カメラ本体10は、信号処理制御部11と、時計11jと、撮像部12と、方位判定部13と、加速度センサ14と、GPS部15と、操作部16と、記録部17と、表示部18と、タッチパネル18bと、レンズ通信部19aと、通信部19bとを備える。信号処理制御部11は、後述するとおり、デジタルカメラ1の各部を制御し、また、取得した画像信号に基づいて、画像処理等を行う。時計11jは、撮影した画像に撮影日時を記録する等のために必要な日時を出力する。
撮像部12は、撮像素子などを含み、光学系21によって結像された被写体像を電気信号に変換し、画像信号を作成する。撮像部12は、作成した画像信号を信号処理制御部11に出力する。
操作部16は、レリーズボタン、各種ダイヤル、各種ボタン等であり、入力されたユーザの指示を取得する。記録部17は、カメラ本体10に対して着脱可能な一般的な記録媒体であり、例えば撮像された画像が記録される。
表示部18は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスを含む。表示部18は、撮像部12で取得されて画像処理されたライブビュー画像や撮像画像等の各種画像や、デジタルカメラ1に係る情報を表示する。タッチパネル18bは、表示部18上に設けられている。タッチパネル18bは、表示部18の表示等に対応するユーザによってタッチされた位置を取得し、信号処理制御部11に出力する。
レンズ通信部19aは、レンズ部20の本体通信部27と接続する。このように、カメラ本体10とレンズ部20との間の通信は本体通信部27とレンズ通信部19aとを介して行われる。通信部19bは、カメラ本体10の外部との通信を行う。通信部19bを介して、カメラ本体10は、例えばフラッシュ等のアクセサリや、インターネット等と接続できる。
方位判定部13は、例えば地磁気に基づいて、カメラ本体10が向いている方位を取得し、信号処理制御部11に出力する。加速度センサ14は、例えば重力加速度に基づいて、カメラ本体10の仰角を取得し、信号処理制御部11に出力する。GPS部15は、GPSを利用して、カメラ本体10の位置を取得し、信号処理制御部11に出力する。方位判定部13、加速度センサ14、及びGPS部15によって、カメラ本体10の位置及び姿勢が特定される。
信号処理制御部11は、信号処理部11aと、画像処理部11bと、表示制御部11cと、レンズ制御部11dと、電子ズーム部11eと、ズーム制御部11fと、確認画像生成部11gと、遷移画像作成部11hと、画質評価部11iとを含む。信号処理部11aは、デジタルカメラ1の各部への制御信号や取得した各種情報等を処理する演算を行う。画像処理部11bは、撮像部12から取得した画像信号に基づいて、各種画像処理を行う。表示制御部11cは、表示部18への表示を制御する。
レンズ制御部11dは、レンズ部20の動作を制御する。レンズ制御部11dは、例えば、光学系21のズーミング、合焦、絞り調整等の動作に関する指令をレンズ制御部22に出力する。レンズ制御部11dは、例えば、後に詳述するように、ズーム光学系のノンリニア制御や、リニア制御等を行う。ここで、ノンリニア制御とは、ズーム光学系の動作において、変倍時に常に最適な光学特性が得られるように、複数のレンズの位置の組み合わせが適切となるように各レンズを移動させる一般的なズーム制御である。一方、リニア制御とは、ズーム光学系の動作において、目標とする焦点距離にできるだけ早く設定されるように、変倍途中の光学特性を無視して、複数のレンズの各々を目標位置に直線的に移動させるズーム制御である。電子ズーム部11eは、撮像部12で取得された画像の一部を拡大する電子ズームに係る演算処理を行う。
ズーム制御部11fは、光学ズームと電子ズームとの組み合わせに係る制御を行う。例えば後に詳述するように、アシストモード処理においては、ユーザのズーム操作に応じて、電子ズームを行うべきか光学ズームを行うべきかを判定する。すなわち、ズーム制御部11fは、電子ズームと光学ズームとの合計である加算焦点距離が所定の値未満であるとき電子ズームが用いられ、加算焦点距離が所定の値以上であるとき光学ズームが用いられるように、レンズ制御部11d及び電子ズーム部11eに指令を出力する。また、急速ズーム調整処理においては、ズーム制御部11fは、電子ズームを解除する動作と、ズーム光学系をリニア制御によってズームアップさせる動作とのタイミングについて、レンズ制御部11d及び電子ズーム部11eに指令を出力する。
確認画像生成部11gは、後に詳述するように、撮像部12で取得された画像のうち、電子ズームを用いて拡大した状態で画像を記録する記録領域と、記録領域以外の非記録領域とを示すことで、記録される画像と記録領域外の被写体の様子とが確認されやすい確認画像を生成する。この確認画像は、表示制御部11cによって、表示部18に表示される。
遷移画像作成部11hは、後述の第2の実施形態の説明で詳述するように、ズーム光学系のリニア制御の最中に表示部18に表示させる遷移画像を作成する。画質評価部11iは、後述の第2の実施形態の説明で詳述するように、ズーム光学系のリニア制御の最中に表示部18に表示させる画像を選択するために、撮像部12で取得された画像の画質を評価する。
レンズ部20の光学系21と駆動部24とを含む機構について図2乃至図7を参照してさらに説明する。図2は、レンズ部20の断面の概略を示す。レンズ部20は、レンズ鏡筒の一部となる円筒形をしているレンズ鏡枠用の第1の固定部材111及び第2の固定部材112と、第1の固定部材111の撮像素子側に設けられた中央に穴が開いた円盤形状の撮像素子側壁部材113と、第2の固定部材112の被写体側に設けられた中央に穴が開いた円盤形状の蓋部材114とを有する。第1の固定部材111と第2の固定部材112とは、嵌合結合されている。第1の固定部材111と撮像素子側壁部材113とは、ビス止め固定されている。第2の固定部材112と蓋部材114とは、小ねじで固定されている。
第1の固定部材111及び第2の固定部材112の内側には、正の屈折力を有する第1のレンズ群121と、負の屈折力を有する第2のレンズ群122と、正の屈折力を有する第3のレンズ群123とが設けられている。第1のレンズ群121は、円筒形状をした第1のレンズ枠126に固定されている。第2のレンズ群122は、円筒形状をした第2のレンズ枠127に固定されている。第3のレンズ群123は、円筒形状をした第3のレンズ枠128に固定されている。なお、図においては、第1のレンズ群121と、第2のレンズ群122と、第3のレンズ群123とは、1枚のレンズとして図示されているが、複数のレンズを含んでもよい。
撮像素子側壁部材113には、支持板131が設けられている。センサユニットのベース部材134には、撮像素子132及びカバーガラス133が固定されている。このベース部材134が支持板131に固定されることで、撮像素子132等が第1の固定部材111に対して位置決めされる。なお、図2には、撮像素子132が含まれるコンパクトカメラ用のレンズ鏡筒が示されているが、交換式レンズの場合、支持板131がレンズ鏡側マウントに置き換えられる。
第1の固定部材111の内側の所定の位置には、円筒形状をした中間固定支持部材152と、固定絞り部材156とが設けられている。固定絞り部材156は、第2のレンズ群122と第3のレンズ群123との間に配置された固定絞りを構成する。
第1のレンズ群121は、コイルが可動するタイプのボイスコイル型リニアモータによってレンズ鏡筒内で光軸方向へ移動させられる。第2のレンズ群122及び第3のレンズ群123は、それぞれ電磁駆動モータ(ステッピングモータ)によってレンズ鏡筒内で光軸方向へ移動させられる。まず、第1のレンズ群121の周辺の構造について図2、図3及び図4を参照して説明する。図3は、レンズ部20を被写体側から見たときの概略を表す平面図である。図4は、第1のレンズ枠126及び固定絞り部材156の周辺の側面図である。
第1の固定部材111の円周上には、磁性体の外ヨーク141が3箇所に設けられている。なお、第1の固定部材111と第2の固定部材112との嵌合結合は、この外ヨーク141を避けるように形成されている。各外ヨーク141が配置されている部分には、厚さ方向にN極とS極とが接合された異極対向型の永久磁石142が設けられている。永久磁石142は、例えばアウトサート成形により固定されている。永久磁石142が接合された外ヨーク141は、第1の固定部材111の外側から固定可能となっている。永久磁石142に対向する磁性体の内ヨーク143は、固定絞り部材156に設けられた内ヨーク取り付け台158を介して固定されている。
第1のレンズ群121を固定する第1のレンズ枠126は、2本の第1のガイド軸151によって、光軸方向のみに進退移動するように回転規制されている。この第1のガイド軸151は、第1の固定部材111に設けられた円筒形状をした中間固定支持部材152と蓋部材114とによって支持されている。蓋部材114の撮像素子側壁面と、第2のレンズ枠127の被写体側壁面には、例えばゴム材で形成されたストッパ153が例えば3箇所に設けられている。ストッパ153の形状は、例えば円筒形状、球形、矩形、台形等、種々の形状を取り得る。これらストッパ153により、第1のレンズ枠126は、光軸方向の移動範囲が規制されている。
第1のレンズ枠126には、例えばアウトサート成形により、複数の可動コイル144が固定されている。可動コイル144は、小判型形状に巻回したコイルである。可動コイル144は、永久磁石142と内ヨーク143との間に、永久磁石142及び内ヨーク143と非接触に支持されている。永久磁石142と可動コイル144との位置関係の概略を図5に示す。可動コイル144の円周方向の幅は、内ヨーク143及び永久磁石142の幅よりも大きい。
図2に示されるように、第1のレンズ枠126の内ヨーク143の周囲には、開口が設けられている。この開口部は、小判型の外形状した可動コイル144から発生する熱を外部へ放出するためのものである。
永久磁石142と内ヨーク143との間に発生する磁束内で可動コイル144に電流が流されると、可動コイル144には光軸方向に駆動力が働く。この駆動力よって第1のレンズ枠126は、第1のガイド軸151に沿って光軸方向に進退駆動される。なお、図4に示されるように、固定絞り部材156には、可動コイル144が光軸方向に移動したとき、衝突しないように開口部159が設けられている。このように、外ヨーク141、永久磁石142、内ヨーク143、可動コイル144等によって、ボイスコイル型リニアモータによる第1の駆動機構部140が構成されている。
また、第1のレンズ枠126には、第1のレンズ枠126の位置を検出するための図示しない位置検出器が設けられている。すなわち、第1の固定部材111の内表面に、位置検出用マグネットスケールが露出して配置されている。一方、対向する第1のレンズ枠126には、ホール素子が設けられている。ホール素子がマグネットスケールに対して相対的に移動(変位)すると、磁界の変化に応じてホール素子の出力が変化する。ホール素子の出力に基づいて第1のレンズ枠126の光軸方向への変位(移動)が検出され得る。なお、ここで用いられる永久磁石は、光軸方向に複数個のNS極をそれぞれ接合したり、多極化(NS,NS)鎖構造にしたりすることも可能である。この場合、第1のレンズ枠126の位置決め精度が向上する。なお、位置検出器には、磁気式のものに限らず、光学式やその他の方式のものが用いられてもよい。
なお、上述の説明では、各永久磁石142には、NSに分極した1つの磁石が用いられている。しかしながらこれに限らず、第1のレンズ枠126の移動範囲が大きいことを考慮して、永久磁石142として複数の永久磁石(N,S,Nの分極接合)が光軸方向に配置されてもよい。また、ここでは可動コイル型ボイスコイル型電磁モータについて説明したが、これに代えて、第1のレンズ枠126に永久磁石を固定し、第1の固定部材111に駆動コイルを配置した可動磁石型ボイスコイル型電磁モータとしてもよい。
第1のレンズ群121は、第2のレンズ群122及び第3のレンズ群123に比べて、移動距離が大きく、また、大きく重くなりがちである。また、第1のレンズ群121は、第2のレンズ群122及び第3のレンズ群123に比べて、その移動範囲に関して設計の自由度が高い。このため、第1のレンズ群121は、往復移動するように設計されやすい。このような第1のレンズ群121の駆動機構として本実施形態のように電磁リニアモータが用いられることで、大きくて重い第1のレンズ群121が速く大きく変位され得る。また、固定絞り部材156に設けられた開口部に第1の駆動機構部140の一部(可動コイル144等)が入り込む構成をとることで、光軸方向を薄く、かつ径方向にも小さなレンズ鏡筒が実現され得る。
次に、ステッピングモータによって駆動される第2のレンズ群122及び第3のレンズ群123の周辺の構造について図2、図6及び図7を参照して説明する。図6は、固定絞り部材156の概略を表す平面図である。図7は、第2のレンズ枠127及び第3のレンズ枠128の駆動に用いられる駆動機構部170の概略を示す図である。図7に示されるように、駆動機構部170は、「コ」の字形状した支持部材171を含む。支持部材171には、スクリュー172が設けられている。このスクリュー172は、回転位置検出用のエンコーダ付の電動のモータ173によって駆動されて、その軸回りに回転する。スクリュー172には、ナット174が螺合している。
ナット174には、第2のレンズ枠127又は第3のレンズ枠128が固定される。レンズ枠とナット174とは図示しない連結片を介して結合され得る。連結片の具体的な一例として、レンズ枠は、そのレンズ枠とナット174との間に設けられたトーションばね又は圧縮コイルばねを介した3点接触板付の連結片で支持され得る。このような連結により、レンズ枠に保持されたレンズが光軸に対して傾斜することによる光学的特性の悪化が防止され得る。その結果、高い光学的特性が確保されつつ小型化が図られる。
モータ173によってスクリュー172が回転すると、圧縮ばねの付勢力を受ける第2のレンズ枠127又は第3のレンズ枠128が固定されたナット174が変位し、第2のレンズ枠127又は第3のレンズ枠128が移動する。支持部材171は、第1の固定部材111に、第2のレンズ枠127又は第3のレンズ枠128が光軸方向に移動するような向きに、複数の小ネジ175で固定されている。すなわち、第1の固定部材に固定された状態において、スクリュー172の回転軸は、光軸と平行になる。また、支持部材171には、モータ173への駆動信号線及び撮像装置の制御回路への原点位置検出信号線を含む図示しないFPC基板が接続されている。
図2に示されるように、レンズ部20には、上述のような機構を有する駆動機構部170が第2のレンズ枠127のため及び第3のレンズ枠128のために、2つ設けられている。すなわち、レンズ部20には、第2のレンズ枠127を駆動するための第2の駆動機構部181と、第3のレンズ枠128を駆動するための第3の駆動機構部186とが設けられている。第2の駆動機構部181のモータが第2のモータ182であり、第2の駆動機構部181のスクリューが第2のスクリュー183であり、第2の駆動機構部181のナットが第2のナット184である。第2のナット184には、第2のレンズ枠127が固定されている。第3の駆動機構部186のモータが第3のモータ187であり、第3の駆動機構部186のスクリューが第3のスクリュー188であり、第3の駆動機構部186のナットが第3のナット189である。第3のナット189には、第3のレンズ枠128が固定されている。
本実施形態では、第2の駆動機構部181と第3の駆動機構部186とは、それぞれが組み立てられた状態で第1の固定部材111に組み付けられ得る。このように、複数の部品からなる第2の駆動機構部181と第3の駆動機構部186とを、予め組み立てたユニット状態としておき、これらユニットを第1の固定部材111に固定可能とすることにより、光学ユニットの組み立て作業が容易に行われ得る。
図2に示されるように、第1の固定部材には光軸と平行に設けられた1本の第3のガイド軸163が片持ち支持されている。第3のレンズ枠128は、第3のガイド軸163によって回転規制されている。同様に、第2のレンズ枠127は、図2に示されていない片持ち支持された第2のガイド軸によって回転規制されている。第2のレンズ枠127と第3のレンズ枠128との間の第3のガイド軸163には、圧縮コイルばね165が介在し、第2のレンズ枠127及び第3のレンズ枠128の光軸方向のガタや移動が規制されている。第3のレンズ枠128と撮像素子側壁部材113との間に圧縮コイルばねが設けられてもよい。
また、第1のレンズ枠126の場合と同様に、第2のレンズ枠127及び第3のレンズ枠128の近傍にも位置検出器が設けられている。すなわち、第2のレンズ枠127及び第3のレンズ枠128に図示しないホール素子が固定され、それらと対向するように、永久磁石がアウトサート成形により固着されている。永久磁石は、厚さ方向にN極及びS極が着磁されている。なお、この永久磁石は、光軸方向に複数個のNS極をそれぞれ接合したり、多極化の鎖構造にしたりすることも可能である。この場合、光軸方向のN極及びS極の幅を同一とする。対向するコイルの外形の幅はそれぞれのN及びS磁石の幅を加算した幅とする。内側の幅(コイルなしの領域)はNS磁石の接合部に対して光軸方向に対象幅とする。このような構造にすると、制御部がNS磁石の接合部でのコイルに流す電流方向の切り替えが容易となる。
第2の駆動機構部181及び第3の駆動機構部186の配置は、例えば図6に示される通りである。この図に示されるように、第2の駆動機構部181とほぼ対向するように第2のレンズ枠127用の第2のガイド軸162が設けられ、第3の駆動機構部186とほぼ対向するように第3のレンズ枠128用の第3のガイド軸163が設けられている。
また、図6に示されるように、固定絞り部材156には、第1のレンズ枠126の駆動機構の第1のガイド軸151や、可動コイル144と干渉しないような開口部が設けられている。また、固定絞り部材156には、第2の駆動機構部181や第3の駆動機構部186や、第2のガイド軸162や第3のガイド軸163と干渉しないような開口部が設けられている。これらの開口部には、第2の駆動機構部181と第3の駆動機構部186の一部が入り込む構造となっている。
次に本実施形態に係るデジタルカメラ1の動作を説明する。撮影モードが選択されているときに実行される撮影モード処理について図8を参照して説明する。撮影モードの選択は、例えばモード選択ダイヤルによって選択される。なお、撮影モードが選択されていないときに行われる、撮像した画像を表示部18が表示する再生モードや、他の通信機器等と通信する通信モード等の動作については、ここではその説明を省略する。
ステップS101において、信号処理制御部11は、レンズ部20と通信を行い、レンズ部20に係る情報を取得する。信号処理制御部11は、例えばレンズ部20の光学系21の状態等の情報を取得する。ステップS102において、信号処理制御部11は、撮像部12から画像信号を取得し、その画像信号について画像処理を施し、スルー画を作成する。信号処理制御部11は、作成したスルー画を表示部18に表示させる。この際、後述する全域表示やアシスト表示等の表示方法は維持される。
ステップS103において、信号処理制御部11は、アシストモードが選択されているか否かを判定する。ここで、アシストモードについて図9を参照して説明する。例えば図9に示される遠くを飛んでいる鳥のように、小さな被写体を撮影する場合を考える。このような被写体を拡大撮影しようとするとき、ズーム機能が用いられる。例えば図9に示されるように、初め実線で示される第1の画角212であった状態から、被写体202を拡大するために、ズーム機能を用いて破線で示される第2の画角214のようにする。このとき、例えば第2の画角214に被写体202が収まっていないと、ユーザは、画角に対する被写体位置を把握できなくなり、正しいフレーミングができなくなる。そこで、本実施形態に係るアシストモードでは、電子ズームを利用して第2の画角214よりも広い画角の画像を取得しながら、この画像と、その内側の画像であって記録をする第2の画角214とを表示部18に表示させる。アシストモードの選択は、例えばダイヤルの設定で行われてもよいし、タッチパネル18b等を用いて事前に入力されてもよい。
ステップS103においてアシストモードが選択されていないと判定されたとき、処理はステップS104に進む。ステップS104において、信号処理制御部11は、ズーム操作が行われているか否かを判定する。すなわち、例えば操作部16のテレ側又はワイド側のズームボタンが押圧されているか否かを判定する。ズーム操作が行われていないと判定されたとき、処理はステップS106に進む。ズーム操作が行われていると判定されたとき、処理はステップS105に進む。
ステップS105において、信号処理制御部11は、入力されたズーム操作に応じて、レンズ部20の光学系21にズーム動作を行わせる。すなわち、例えば、テレ側へズームさせるような操作が行われたとき、信号処理制御部11は、光学系21をテレ側へズームさせるように指令を出力する。駆動部24は、この指令を取得したレンズ制御部22の制御下で、光学系21をテレ側へズームさせる。同様に、例えば、ワイド側へズームさせるような操作が行われたとき、信号処理制御部11は、光学系21をワイド側へズームさせるように指令を出力する。駆動部24は、この指令を取得したレンズ制御部22の制御下で、光学系21をワイド側へズームさせる。これらのズーム動作は、一般的なズーム動作と同様であり、後述するリニア動作(一方向移動動作)と異なるのでノンリニア動作と称することにする。以降、光学系21をリニア動作させる制御をリニア制御と称し、ノンリニア動作させる制御をノンリニア制御と称することにする。ノンリニア制御の後、処理はステップS106に進む。
ステップS106において、信号処理制御部11は、撮像部12で取得された画像の全域の画像を、表示部18に表示させるように、表示画像を更新する。その後、処理はステップS108に進む。
ステップS103において、アシストモードが選択されていると判定されたとき、処理はステップS107に進む。ステップS107において、信号処理制御部11は、アシストモード処理を実行する。アシストモード処理について図10を参照して説明する。
ステップS211において、信号処理制御部11は、テレ側にズームさせるための操作が行われているか否かを判定する。テレ側にズームさせるための操作が行われていると判定されたとき、処理はステップS212に進む。
ステップS212において、信号処理制御部11は、加算焦点距離が所定の焦点距離Z1未満であるか否かを判定する。ここで、加算焦点距離とは、レンズ部20の光学系21の焦点距離に電子ズームによる倍率を加味した、光学ズームと電子ズームとを合わせた画角を表す焦点距離である。加算焦点距離が焦点距離Z1未満であるとき、処理はステップS213に進む。ステップS213において、信号処理制御部11は、テレ側にズームさせるための操作に応じて、テレ側への電子ズーム処理をする。すなわち、信号処理制御部11は、ズーム操作に応じて、撮像部12で得られた画像のうち、電子ズームによって切り出す領域を決定する。その後、処理はステップS215に進む。
一方、ステップS212において、加算焦点距離が焦点距離Z1以上であると判定されたとき、処理はステップS214に進む。ステップS214において、信号処理制御部11は、テレ側にズームさせるための操作に応じて、光学系21をテレ側へズームさせるように指令を出力する。この指令を取得したレンズ制御部22は、光学系21をテレ側へズームさせるように駆動部24を動作させる。ここで行われるズーム動作は、一般的なノンリニア制御で行われる。その後、処理はステップS215に進む。
ステップS215において、信号処理制御部11は、アシスト表示を行う。アシスト表示について、図11を参照して説明する。アシスト表示では、撮像部12で取得された画像の全範囲である撮像範囲222の画像を表示する。アシスト表示では、撮像範囲222内のうち実際に画像を記録する領域である記録領域224と、記録しない領域である非記録領域226とを区別して表した確認画像としての画像を表示する。記録領域224と非記録領域226とを区別するためには、例えば記録領域224と非記録領域226との境界が表示されたり、非記録領域226が網掛け表示にされたり、非記録領域226の輝度や色彩が変化させられたり等、種々の表示方法が用いられ得る。このようなアシスト表示によれば、ユーザは、画像が記録される記録領域224を認識しながら、記録領域224外の被写体202の位置も把握することができる。
なお、非記録領域は、被写体の位置を確認するために表示されるものであり、記録されない領域であるので、例えば図12に示されるように表示されてもよい。すなわち、図12に示されるように、撮像範囲232内の画像がそのまま表示されるのではなく、記録領域234が広く表示され、非記録領域236が例えば画像の1/4の領域に圧縮されて表示される等、記録領域234と非記録領域236とで、比率を変化させて表示されてもよい。非記録領域236が圧縮されることで、ユーザにとってより関心が高い記録領域234が広く確保され得る。
また、画像における注目被写体を検出し、注目被写体が記録領域に入っているときは、記録領域のみが拡大されて表示され、注目被写体が記録領域の外に出たときには、撮像範囲全体が表示されるように、デジタルカメラ1は構成されてもよい。また、記録領域のみが表示される状態と、例えば図11や図12のような撮像範囲全体が表示される状態とが、ユーザの操作によって切り替えられるように、デジタルカメラ1は構成されてもよい。
本実施形態では、非記録領域の画像が必要であるため、電子ズームが利用されている。ここで、電子ズームは、所定の焦点距離Z1未満において用いられる。図13を参照して説明する。図13において、横軸はズーム操作量を示し、縦軸は電子ズーム及び光学ズームのそれぞれの焦点距離を示す。図13において、実線244はズーム操作量と電子ズームの焦点距離との関係を示し、破線246はズーム操作量と光学ズームの焦点距離との関係を示し、一点鎖線242は、電子ズームと光学ズームとを加算した加算焦点距離とズーム操作量との関係を示す。図13に示されるように、加算焦点距離がZ1未満であるとき、ズーム操作に応じて電子ズームが用いられ、加算焦点距離がZ1以上であるとき、電子ズームは固定されて光学ズームが用いられる。ここで、電子ズームのみならず光学ズームが用いられるのは、電子ズームのみでズームアップが行われた場合に生じる有効な画素数が減ることによる画質の低下を抑制するためである。
図10に戻って説明を続ける。ステップS215におけるアシスト表示がなされた後、処理は、図8を参照して説明している撮影モード処理に戻る。ステップS211において、テレ側にズームさせるための操作が行われていないと判定されたとき、処理はステップS221に進む。ステップS221において、信号処理制御部11は、ワイド側にズーム操作が行われたか否かを判定する。ワイド側にズーム操作が行われたと判定されたとき、処理はステップS222に進む。
ステップS222において、信号処理制御部11は、加算焦点距離が所定の焦点距離Z1以上であるか否かを判定する。加算焦点距離が焦点距離Z1以上であるとき、処理はステップS223に進む。ステップS223において、信号処理制御部11は、ワイド側にズームさせるための操作に応じて、光学系21をワイド側へズームさせるように指令を出力する。ここで行われるズーム動作は、一般的なノンリニア制御で行われる。その後、処理はステップS225に進む。
一方、ステップS222において、加算焦点距離が焦点距離Z1以上でないと判定されたとき、処理はステップS224に進む。ステップS224において、信号処理制御部11は、ワイド側にズームさせるための操作に応じて、ワイド側への電子ズーム処理をする。すなわち、信号処理制御部11は、ズーム操作に応じて、撮像部12で得られた画像のうち、電子ズームによって切り出す領域を決定する。その後、処理はステップS225に進む。ステップS225において、信号処理制御部11は、アシスト表示を行う。その後、処理は図8を参照して説明している撮影モード処理に戻る。
ステップS221において、ワイド側にズーム操作が行われていないと判定されたとき、処理はステップS231に進む。ステップS231において、信号処理制御部11は、急速ズーム調整操作が行われたか否かを判定する。すなわち、例えば操作部16に設けられた急速ズーム調整操作のための専用のボタンが押圧されたか否か、タッチパネルから急速ズーム調整の操作が行われたか否か等を判定する。急速ズーム調整操作が行われていないと判定されたとき、処理は図8を参照して説明している撮影モード処理に戻る。一方、急速ズーム調整操作が行われたと判定されたとき、処理はステップS232に進む。
ステップS232において、信号処理制御部11は、急速ズーム調整処理を行う。急速ズーム調整処理は、電子ズームによる画像の劣化を避けるため、撮影前に電子ズームを解除しつつ同じ画角が得られるように光学ズームを行う処理である。図14を参照して急速ズーム調整処理について説明する。図14において、横軸はズーム操作量を示し、縦軸は各焦点距離を示す。図14において、実線244はズーム操作量と電子ズームの焦点距離との関係を示し、破線246はズーム操作量と光学ズームの焦点距離との関係を示し、一点鎖線242は、電子ズームと光学ズームとを加算した加算焦点距離とズーム操作量との関係を示す。急速ズーム調整操作が行われた後の矢印248で示された部分が急速ズーム調整処理が行われている部分である。すなわち、急速ズーム調整処理においては、光学ズームによって急速にテレ側にズームし、このテレ側へのズームを打ち消すように電子ズームによってワイド側にズームする。急速テレ側ズーム処理の間において加算焦点距離は変化しないように調整される。なお、急速テレ側ズーム処理が行われる時間を処理時間Tzとする。
急速ズーム調整処理において、光学ズームの速度を上げるため、本実施形態では次のような工夫がなされている。すなわち、ズームレンズであるレンズ部20の光学系21が例えば図15に示されるような構成を有している場合を考える。この光学系21は、物体(被写体)側から像(撮像素子)側に向かって順に、正屈折力を有する第1のレンズ群G1と、負屈折力を有する第2のレンズ群G2と、正屈折力を有する第3のレンズ群G3とを含む。明るさ絞りSが第3のレンズ群G3の物体側に位置している。明るさ絞りSの位置は、変倍動作が行われても移動しない。第3のレンズ群G3の像側には、赤外カットフィルターなどの光学フィルターや撮像素子のカバーガラスなどの光学フィルター類OFと、撮像素子の撮像面Iとが位置している。
図15は、通常のズーミング動作であるノンリニア動作の際の、各レンズ群の移動方式の概要を示す。図15(a)は広角端Wの場合の各レンズの位置を示し、図15(c)は望遠端Tの場合の各レンズの位置を示し、図15(b)は広角端と望遠端との間の中間焦点距離状態Sの場合の各レンズの位置を示す。図15(a)と図15(b)との間、及び図15(b)と図15(c)との間の矢印は、各レンズ群の移動方向を示す。この図に示されるように、第1のレンズ群G1は、広角端から望遠端への変倍に際して、まず像側に移動し、変倍途中にて移動方向が反転して物体側へ移動する。第1のレンズ群G1は、広角端の場合よりも望遠端の場合において物体側に位置する。第2のレンズ群G2は、広角端から望遠端への変倍に際して、像側にのみ移動する。第3のレンズ群G3は、広角端から望遠端への変倍に際して、物体側にのみ移動する。
ノンリニア動作では、各焦点距離において、適切な光学特性が得られるように、第1のレンズ群G1と第2のレンズ群G2と第3のレンズ群G3との位置関係が決定されている。
なお、第1のレンズ群G1は、フォーカシングレンズ群でもあり、広角端、望遠端、広角端から望遠端の変倍途中の何れでも光軸方向の移動(物体側への繰り出し)により無限遠物体から至近物体までの合焦を行う。
上述の一般的なノンリニア動作に対して、急速ズーム調整処理において行われるズーム動作、すなわちリニア動作(一方向移動動作)について図16を参照して説明する。図16(a)は、急速テレ側ズーム処理開始時の第1のレンズ群G1、第2のレンズ群G2及び第3のレンズ群G3の位置を示し、図16(b)は、急速テレ側ズーム処理終了時の、すなわち、望遠側に設定されたときの第1のレンズ群G1、第2のレンズ群G2及び第3のレンズ群G3の位置を示す。図16(a)と図16(b)との間の矢印は、各レンズ群の移動方向を示す。図16に示されるように、急速テレ側ズーム処理においては、各レンズ群は、目標位置に直線的に移動する。この移動は、図15を参照して説明したノンリニア動作では、例えば第1のレンズ群G1が往復移動こととは対照的である。このように、リニア動作においては、ノンリニア動作の場合からは逸脱した移動方式でレンズ移動が行われる。
なお、リニア動作(一方向移動動作)では、レンズ群は、一方向に一定の速度で移動する必要はなく、徐々に移動速度を上昇させたり、移動途中で速度を変えたりしてもよい。すなわち、レンズ群が像側及び物体側に行ったり来たりするような往復移動をせずに、一方向にのみ移動する動作は、リニア動作(一方向移動動作)に含まれる。
リニア動作(一方向移動動作)によれば、各レンズ群が一方向のみに移動するのでレンズの移動距離が最短となり、移動時間がノンリニア動作の場合と比較して短くなる。このため、リニア制御によれば、ノンリニア制御よりも短時間で目標とする焦点距離に各レンズ群の位置が設定され得る。なお、図16(a)に示される急速ズーム調整処理開始時の各レンズ群位置はワイド端でも中間状態でもどのような位置でもよい。
なお、ここでは、ノンリニア動作において第1のレンズ群G1が広角端から望遠端までの間に往復移動する場合を例に挙げて説明したが、第2のレンズ群G2や第3のレンズ群G3が往復移動するものでもよい。また、これら移動方向の反転は、広角端から望遠端までの間に1回しか起こらない態様に限らず、複数回移動方向の反転が起こるものでもよい。これら何れの場合にも、リニア動作においては、各レンズ群は直線的に移動する。
リニア動作では、光学系21を構成する全てのレンズが直線的に一方向に移動することが好ましい。ただし、複数の往復変位するレンズがある場合、その一部について一方向に移動させることでも、光学系21を所望の焦点距離に設定するための時間を短縮できる場合もある。
また、フォーカシングを行うレンズ群も第1のレンズ群G1に限るものではない。例えば、第3のレンズ群の像側に、ズーミング動作の際に移動または静止する正又は負屈折力のレンズ群を配置し、これをフォーカシングレンズ群としてもよい。
上述のレンズ構成と別のレンズ構成の場合の例を図17及び図18を参照して説明する。図17に示されるように、光学系21は、物体(被写体)側から像(撮像素子)側に向かって順に、負屈折力を有する第1のレンズ群G1と、正屈折力を有する第2のレンズ群G2と、正屈折力を有する第3のレンズ群とを含む。明るさ絞りSが第2のレンズ群G2の物体側直前に位置している。第3のレンズ群G3の像側には、赤外カットフィルターなどの光学フィルターFや、撮像素子のカバーガラスCや、撮像素子の撮像面Iが位置している。
図17は、通常のズーミング動作であるノンリニア動作の際の、各レンズ群の移動方式の概要を示す。図17(a)は広角端Wの場合の各レンズの位置を示し、図17(c)は望遠端Tの場合の各レンズの位置を示し、図17(b)は広角端と望遠端との間の中間焦点距離状態Sの場合の各レンズの位置を示す。図17(a)と図17(b)との間、及び図17(b)と図17(c)との間の矢印は、各レンズ群の移動方向を示す。この図に示されるように、第1のレンズ群G1は、広角端から望遠端への変倍に際して、まず像側に移動し、変倍途中にて移動方向が反転して物体側へ移動する。第1のレンズ群G1は、広角端の場合よりも望遠端の場合において物体側に位置する。第2のレンズ群G2は、広角端から望遠端への変倍に際して、物体側にのみ移動する。明るさ絞りSは第2のレンズ群と一体で移動する。第3のレンズ群G3は、広角端から望遠端への変倍に際して、像側にのみ移動する。第3のレンズ群はフォーカシングレンズ群でもあり、広角端、望遠端、広角端から望遠端の変倍途中の何れでも光軸方向の移動(物体側への繰り出し)により無限遠物体から至近物体の合焦を行う。
上述の通常のノンリニア動作に対して、急速ズーム調整処理において行われるズーム動作、すなわちリニア動作(一方向移動動作)について図18を参照して説明する。図18(a)は、急速ズーム調整処理開始時の第1のレンズ群G1、第2のレンズ群G2及び第3のレンズ群G3の位置を示し、図18(b)は、急速ズーム調整処理終了時の、すなわち、望遠側に設定された第1のレンズ群G1、第2のレンズ群G2及び第3のレンズ群G3の位置を示す。図18(a)と図18(b)との間の矢印は、各レンズ群の移動方向を示す。図18に示されるように、急速ズーム調整処理においては、各レンズ群は、目標位置に直線的に移動する。この移動は、図17を参照して説明したノンリニア動作では、例えば第1のレンズ群G1が往復変位することとは対照的である。このように、リニア動作においては、ノンリニア動作の場合からは逸脱した移動方式でレンズ移動が行われる。
リニア制御によれば、各レンズ群が一方向のみに移動するのでレンズの移動距離が最短となり、移動時間がノンリニア動作の場合と比較して短くなる。このため、ノンリニア制御よりも短時間で目標とする焦点距離に各レンズ群の位置が設定され得る。なお、図18(a)に示される急速ズーム調整処理開始時の各レンズ群位置はワイド端でも中間状態でもどのような位置でもよい。
急速ズーム調整処理について、図19に示すフローチャートを参照して説明する。ステップS301において、信号処理制御部11は、画面中央部の画像の特徴を記録する。ステップS302において、信号処理制御部11は、ズーム途中であるか否かを判定する。ズーム途中であると判定されたとき、処理はステップS305に進む。一方、ズーム途中でないと判定されたとき、処理はステップS303に進む。
ステップS303において、信号処理制御部11は、光学ズームに必要な時間に基づいて処理時間Tzを算出する。ステップS304において、信号処理制御部11は、処理時間Tzに基づいて、電子ズームの速度を決定し、電子ズームを戻す動作を開始させる。その後、処理はステップS305に進む。
ステップS305において、信号処理制御部11は、テレ側に光学ズームするように光学系21をリニア制御させる。ステップS306において、信号処理制御部11は、ステップS301で記録された画像特徴と、現在の画像特徴とが類似しているか否かを判定する。類似していると判定されたとき、処理はそのまま図10を参照して説明しているアシストモード処理に戻る。一方、類似していないと判定されたとき、処理はステップS307に進む。ステップS307において、信号処理制御部11は、画像特徴が類似していない旨の警告をユーザに伝える。警告は、表示部18に表示されてもよいし、音声などによって出力されてもよい。その後、処理はアシストモード処理に戻る。
図10に戻って説明を続ける。急速ズーム調整処理の後、処理は図8を参照して説明している撮影モード処理に戻る。図8に戻って説明を続ける。アシストモード処理の後、処理はステップS108に進む。ステップS108において、信号処理制御部11は、撮影操作が行われたか否かを判定する。撮影操作が行われていないと判定されたとき、処理はステップS110に進む。一方、撮影操作が行われたと判定されたとき、処理はステップS109に進む。ステップS109において、信号処理制御部11は、撮像動作、すなわち、上述の撮影用範囲の画像の記録を行う。その後、処理はステップS110に進む。ステップS110において、信号処理制御部11は、撮影モードであるか否かを判定する。撮影モードであると判定されたとき、処理はステップS101に戻る。一方、撮影モードでないと判定されたとき、撮影モード処理は終了する。
本実施形態に係るデジタルカメラ1によれば、アシスト表示によって、ズームアップの際に生じやすい被写体が画角から外れることによって、被写体を見失うということが起こりにくくなる。また、急速テレ側ズーム処理によれば、リニア制御により急速に光学ズームを動作させて素早く希望の焦点距離に設定され得る。この急速テレ側ズーム処理と電子ズームを解除する動作とが組み合わされれば、画角を変化させることなく電子ズームが素早く解除され得る。その結果、電子ズームを利用することによる画質の劣化が防がれる。アシスト表示とリニア制御とが組み合わされることにより、見失い対策がなされながら画質が確保され、迅速かつ的確に被写体を大きく捉えて撮影が行われ得る。
なお、上述のとおり、リニア動作(一方向移動動作)は、レンズが像側及び物体側に行ったり来たりするような往復移動をせずに、一方向にのみ移動する動作を意味している。したがって、一方向移動動作を含む本発明が実施されているか否かは、高速ズーム操作中の画像変化が通常ズーム操作中の画像変化と異なることを確認するによって、判定され得る。
[第1の実施形態の変形例]
本発明の第1の実施形態の変形例について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。第1の実施形態では、図14を参照して説明したように、急速テレ側ズーム処理において、光学ズームと電子ズームとを共に単調に変化させている。急速テレ側ズーム処理では、光学特性を考慮せず、各レンズ群を直線的に目的位置まで移動させるので、急速テレ側ズーム処理の開始時と終了時との間においては、画像が乱れる可能性がある。そこで、本変形例では、この間の画像の乱れが目立たないように電子ズームを行う。
図20に示される模式図を参照して説明する。図20において、横軸はズーム操作量を示し、縦軸は各焦点距離を示す。図20において、実線244はズーム操作量と電子ズームの焦点距離との関係を示し、破線246はズーム操作量と光学ズームの焦点距離との関係を示し、一点鎖線242は、電子ズームと光学ズームとを加算した加算焦点距離との関係を示す。矢印248で示された部分が急速テレ側ズーム処理である。この図において破線246で模式的に示されるように、急速テレ側ズーム処理中には、光学系21の各レンズの位置が不適切となり、結像される画像に乱れが生じる。そこで、急速テレ側ズーム処理中においては、実線244に示されるように、例えば初めに素早く電子ズームをワイド側に調整し、その後徐々に電子ズームをワイド側に調整していく。
本変形例のように、電子ズームの動作を調整することによって、光学系の乱れによる取得画像の劣化が目立たないように表示され得る。例えば本変形例のように、初めに電子ズームが解除されることによって注目被写体は小さくなり、取得画像の劣化が目立たないようになる。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態では、光学ズームのリニア制御が、電子ズームをキャンセルするための急速ズーム調整処理のみならず、一般のズーム動作にも適用される。
本実施形態に係る撮影モード処理を図21を参照して説明する。ステップS401において、信号処理制御部11は、レンズ部20と通信を行い、レンズ部20に係る情報を取得する。信号処理制御部11は、例えばレンズ部20の光学系21の状態等の情報を取得する。ステップS402において、信号処理制御部11は、撮像部12から画像信号を取得し、その画像信号について画像処理を施し、スルー画を作成する。信号処理制御部11は、作成したスルー画を表示部18に表示させる。この際、全域表示やアシスト表示等の表示方法は維持される。
ステップS403において、信号処理制御部11は、アシストモードが選択されているか否かを判定する。アシストモードが選択されていると判定されたとき、処理はステップS404に進む。ステップS404において、信号処理制御部11は、アシストモード処理を行う。アシストモード処理は、第1の実施形態において説明したとおりである。アシストモード処理の後、処理はステップS410に進む。
ステップS403においてアシストモードが選択されていないと判定されたとき、処理はステップS405に進む。ステップS405において、信号処理制御部11は、ズーム操作が行われているか否かを判定する。すなわち、例えば操作部16のテレ側又はワイド側のズームボタンが押圧されているか否かを判定する。ズーム操作が行われていないと判定されたとき、処理はステップS409に進む。ズーム操作が行われていると判定されたとき、処理はステップS406に進む。
ステップS406において、信号処理制御部11は、急速テレ端ズーム操作が行われたか否かを判定する。すなわち、信号処理制御部11は、例えば操作部16に設けられた急速テレ端ズーム動作のための専用のボタンが押圧されたか否か、タッチパネルから急速テレ端ズーム動作のための操作が行われたか否か等を判定する。急速テレ端ズーム操作が行われたとき、処理はステップS407に進む。
ステップS407において、信号処理制御部11は、急速テレ端ズーム処理を行う。ここで、急速テレ端ズーム処理は、リニア制御でレンズ部20の光学系21の各レンズ群の位置をテレ端位置に移動させる処理である。リニア制御で各レンズ群の移動が行われるので、通常のノンリニア制御よりも高速に光学系21がテレ端に設定される。
急速テレ端ズーム処理について、図22を参照して説明する。ステップS501において、信号処理制御部11は、画面中央部の画像の特徴を記録する。ステップS502において、信号処理制御部11は、テレ端に光学ズームするように光学系21をリニア制御させる。ステップS503において、信号処理制御部11は、ステップS501で記録された画像特徴と、ズーム動作後の現在の画像特徴とが類似しているか否かを判定する。類似していると判定されたとき、処理はそのまま図21を参照して説明している撮影モード処理に戻る。一方、類似していないと判定されたとき、処理はステップS504に進む。ステップS504において、信号処理制御部11は、画像特徴が類似していない旨の警告をユーザに伝える。その後、処理は撮影モード処理に戻る。図21に戻って説明を続ける。急速テレ端ズーム処理の後、処理はステップS409に進む。
ステップS406の判定において、急速テレ端ズーム操作が行われていないと判定されたとき、処理はステップS408に進む。ステップS408において、信号処理制御部11は、入力されたズーム操作に応じて、レンズ部20の光学系21に一般的なズーム動作であるノンリニア制御を行わせる。その後、処理はステップS409に進む。ステップS409において、信号処理制御部11は、撮像部12で取得された画像の全域の画像を、表示部18に表示させるように、表示画像を更新する。その後、処理はステップS410に進む。
ステップS410において、信号処理制御部11は、撮影操作が行われたか否かを判定する。撮影操作が行われていないと判定されたとき、処理はステップS412に進む。一方、撮影操作が行われたと判定されたとき、処理はステップS411に進む。ステップS411において、信号処理制御部11は、撮像動作、すなわち、上述の撮影用範囲の画像の記録を行う。その後、処理はステップS412に進む。ステップS412において、信号処理制御部11は、撮影モードであるか否かを判定する。撮影モードであると判定されたとき、処理はステップS401に戻る。一方、撮影モードでないと判定されたとき、撮影モード処理は終了する。
本実施形態によれば、電子ズームをキャンセルするための急速ズーム調整処理に限らず、一般のズーム動作においてもリニア制御が用いられる。リニア制御で各レンズ群の移動が行われるので、通常のノンリニア制御よりも高速にレンズ部20の光学系21がテレ端に設定される。したがって、例えば鳥を撮影するときのように、被写体である鳥が飛び立つ前に素早く望遠で撮影を行いたいとき等に、本実施形態は効果を奏する。
なお、本実施形態では、光学系21の各レンズ群がテレ端の位置にリニア制御で素早く移動する例を示した。しかしながらこれに限らず、各レンズ群がテレ端以外の位置にリニア制御で移動するように構成されてもよい。例えばレンズ群がテレ側の所定の焦点距離に設定されるようにしてもよいし、ワイド端やワイド側の所定の焦点距離や標準の焦点距離に設定されるようにしてもよい。
また、焦点距離を高速に変化させるリニア制御と同時に、焦点距離の変化に合わせて合焦調整が行われてもよい。例えば図9を参照して説明したように、遠くの鳥の写真を撮ろうとするとき、ズームアップと共にピント位置を無限遠にするように構成されてもよい。また、リニア制御後の画角に基づいて露出値を算出するように構成されてもよい。また、被写体がリニア制御後の画角内に納まると判定されたとき、リニア制御が行われるように構成されてもよい。
[第2の実施形態の第1の変形例]
本発明の第2の実施形態の第1の変形例について説明する。ここでは、第2の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。本変形例では、急速テレ端ズーム処理が異なる。上述のとおり、リニア制御中は、光学系が理想的な配置から外れるために、画像が劣化する。本変形例では、光学系21のリニア制御における画質の劣化が目立たないように、リニア制御前の画像が表示部18に表示される。本変形例に係る急速テレ端ズーム処理について、図23を参照して説明する。
ステップS601において、信号処理制御部11は、画面中央部の画像の特徴を記録する。ステップS602において、信号処理制御部11は、画像中央部の画像を記録する。ステップS603において、信号処理制御部11は、光学ズームに必要な時間に基づいて処理時間Tzを算出する。
ステップS604において、信号処理制御部11は、ステップS602で記録した画像を、徐々に拡大しながら表示部18に表示させる。この拡大では、処理時間Tzでズーム比分だけ拡大するような拡大率で拡大が行われる。この拡大動作と同時に、信号処理制御部11は、テレ側に光学ズームするように光学系21をリニア制御させる。光学系21のズーム動作が行われている間は、表示部18には、記録された画像の拡大画像が表示され、撮像部12で取得されたスルー画は表示されない。
ステップS605において、信号処理制御部11は、ステップS601で記録された画像特徴と、ズーム動作後の現在撮像部12によって取得されている画像の画像特徴とが類似しているか否かを判定する。類似していると判定されたとき、処理はそのまま図21を参照して説明した撮影モード処理に戻る。一方、類似していないと判定されたとき、処理はステップS606に進む。ステップS606において、信号処理制御部11は、画像特徴が類似していない旨の警告をユーザに伝える。その後、処理は撮影モード処理に戻る。撮影モード処理に戻ると、ステップS409において表示部18には、スルー画が表示される。
本変形例に係る模式図を図24に示す。図24(a)は、急速テレ端ズーム処理前における撮像部12が取得するズーム前撮像画像322を示す。黒色で塗り潰されている部分が注目被写体329を示す。ズーム前撮像画像322のうち、太線で囲った領域がズーム後の画角を表すズーム後撮像範囲324である。本変形例では、ステップS601において、画像の中央部であるズーム後撮像範囲324の画像特徴が記録され、ステップS602において、画像の中央部であるズーム後撮像範囲324の画像が記録される。
ステップS604では、図24(b)に示されるように、ズーム後撮像範囲324が処理時間Tzかけて徐々に拡大された拡大画像326が、表示部18に遷移画像として表示される。この間、リニア制御の光学ズームが行われているがスルー画は表示されない。図24(c)は、光学系21がテレ端に設定されたときに撮像部12で取得されるズーム後撮像画像328である。図24(c)に示されるようなズーム後撮像画像328が得られているとき、図24(b)に示されるような記録された画像の拡大画像326と画像の特徴が一致していることになる。
本変形例によれば、リニア制御による光学系21のズーム動作によって取得画像の劣化が生じても、表示部18には、劣化していない遷移画像が表示される。その結果、ユーザは違和感なくデジタルカメラ1を操作することができる。
[第2の実施形態の第2の変形例]
本発明の第2の実施形態の第2の変形例について説明する。ここでは、第2の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。本変形例では、急速テレ端ズーム処理が異なる。本変形例では、光学系21のリニア制御における画質の劣化が目立たないように、光学系21のリニア制御中に取得画像の画質を評価し、画質が良好な場合のみ取得画像が表示部18に表示される。本変形例に係る急速テレ端ズーム処理について、図25を参照して説明する。
ステップS701において、信号処理制御部11は、画像中央部の画像特徴を記録する。ステップS702において、信号処理制御部11は、現在取得されている画像を記録し、表示部18に表示させる。ステップS703において、信号処理制御部11は、光学系21をリニア制御によってズーム動作させる。
ステップS704において、信号処理制御部11は、画質が良好であるか否かを判定する。画質の判定には、例えばコントラスト値が用いられ得る。急速テレ端ズーム処理中におけるズーム量とコントラスト値との関係が例えば図26のようになっていたとする。このとき、例えば、コントラスト値が図26に破線で示した所定の閾値よりも大きいとき、画質が良好であると判断する。画質の良否の判定には、コントラスト値に限らず、種々の特徴量が用いられ得る。
ステップS704の判定において、画質が良好であると判定されたとき、処理はステップS705に進む。ステップS705において、信号処理制御部11は、画質が良好であると判定された現在の取得画像を記録し、表示部18に表示させる画像をこの現在の取得画像に更新する。その後、処理はステップS706に進む。一方、ステップS704の判定において、画質が良好でないと判定されたとき、処理はステップS706に進む。すなわち、表示画像は更新されることなく、前回画質が良好であると判定されたときの画像が表示部18には表示されたままとなる。
ステップS706において、信号処理制御部11は、光学系21がテレ端になったか否かを判定する。テレ端になっていないと判定されたとき、処理はステップS703に戻る。一方、テレ端になったと判定されたとき、処理はステップS707に進む。ステップS707において、信号処理制御部11は、ステップS701で記録された画像特徴と、現在撮像部12によって取得されている画像の画像特徴とが類似しているか否かを判定する。類似していると判定されたとき、処理はそのまま図21を参照して説明した撮影モード処理に戻る。一方、類似していないと判定されたとき、処理はステップS708に進む。ステップS708において、信号処理制御部11は、画像特徴が類似していない旨の警告をユーザに伝える。その後、処理は撮影モード処理に戻る。撮影モード処理に戻ると、ステップS409において表示部18には、スルー画が表示される。
本変形例に係る模式図を図27に示す。図27(a)は、急速テレ端ズーム処理前における撮像部12が取得するズーム前撮像画像332を示す。黒色で塗り潰されている部分が注目被写体339を示す。本変形例では、画質が良好であると判定されるまで、表示画像の更新が行われない。例えば図27(b)のように、画質が良好であると判定されたズーム中撮像画像334が得られたとき、そのズーム中撮像画像334が表示部18に表示される。なお、ズーム中撮像画像334中には、図27(b)に斜線で示した画素のように、画質が劣化している画素も含まれる。図27(c)は、光学系21がテレ端に設定されたときに撮像部12で取得されるズーム後撮像画像338である。図27(c)に示されるようなズーム後撮像画像338が得られているとき、図27(a)に示されるような記録されたズーム前撮像画像332と画像の特徴が一致していることになる。
本変形例によれば、リニア制御による光学系21のズーム動作によって取得画像の劣化が生じても、表示部18には、劣化していない画像が選択的に表示される。その結果、ユーザは違和感なくデジタルカメラ1を操作することができる。
なお、上述の各実施形態やその変形例に係る処理やその順序は、上述の説明に限定されず、矛盾しない範囲で、各処理内容を変更したり、処理を追加したり削除したり、処理の順序を入れ替えたり等、適宜変更され得る。また、各実施形態やその変形例は適宜組み合され得る。例えば、図24や図27を参照して説明した画像の劣化を目立たなくする処理は、急速テレ端ズーム処理のみならず、図19を参照して説明した急速ズーム調整処理にも用いられ得る。