以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
本発明の一実施形態は、例えば撮影光学系により結像された光学像を光電変換素子等によって順次画像信号に変換し、これにより得られた画像信号を所定の形態の画像データとして記録媒体に記録し得ると共に、この記録媒体に記録された画像データを画像として再生表示する画像表示装置等を備えて構成された撮影機器、例えばデジタルカメラやビデオカメラ等に適用した場合の例示である。
なお、以下の説明に用いる各図面においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、これらの図面に記載された構成要素の数量,構成要素の形状,構成要素の大きさの比率及び各構成要素の相対的な位置関係は、図示の形態のみに限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態の撮影機器の主に前面側の外観を示す斜視図である。図2は、図1の撮影機器の内部構成の概略を示すブロック構成図である。
まず、本発明の一実施形態の撮像装置であるカメラ1の外部構成の概略を主に図1を用いて以下に説明する。
図1に示すように、本実施形態のカメラ1は、カメラ本体2と、撮影レンズ鏡筒(以下、単にレンズ鏡筒という)3とによって主に構成されている。本カメラ1は、カメラ本体2に対してレンズ鏡筒3が着脱自在に構成されるいわゆるレンズ交換式カメラシステムを構成している。
レンズ鏡筒3は、複数の光学レンズ(図1では符号3a参照;詳細後述)等からなる撮影光学系を内部に有して構成される交換用レンズ鏡筒である。レンズ鏡筒3の外面上には、複数のレンズ側の操作部材であるレンズ操作部30として、例えばフォーカスリング31,ズームリング32,マクロモード切換ボタン33,レンズファンクションボタン34等が配設されている。
フォーカスリング31は、手動による焦点調節操作(いわゆるマニュアルフォーカス(MF)操作)を行うために設けられた環状の操作部材である。フォーカスリング31は、レンズ鏡筒3の外周面上において光軸O周りに回動自在に配設されている。
したがって、電動による焦点調節動作(いわゆるオートフォーカス(AF)動作)時には当該フォーカスリング31自体は動かないか、若しくは動いても無効となる(即ち、フォーカスレンズの移動に寄与しない)。一方、カメラ1がAF動作モードで動作中に使用者がこのフォーカスリング31を手動による回動操作(MF操作)を行うとカメラ1は手動焦点調節(MF)動作モードに一時的に切り換わり、フォーカスリング31の操作量に応じた焦点調節動作が実行される。
ズームリング32は、手動ズームモード時に手動によるズーム操作を行ったり、電動ズームモード時に電動ズームの変倍方向やズーミング速度等の指示操作を行うために設けられた環状の操作部材である。ズームリング32は、レンズ鏡筒3の外周面上において光軸O周りに回動自在に配設されていると共に、光軸Oに沿う方向の所定の範囲内をスライド移動可能に構成されている。なお、本実施形態のカメラ1におけるレンズ鏡筒3は、焦点距離を連続的に変更可能に構成されるいわゆるズームレンズ鏡筒であって、手動ズームモードと電動ズームモードとを切り換えて使用し得るように構成されている。そのために、上記ズームリング32は、スライド移動することによって撮影モードを切り換える撮影モード切換部材として機能する一方、手動にて回動される際には手動ズーム操作部材として機能する。
なお、フォーカスリング31,ズームリング32の回転量や回転方向は、例えばフォトカプラ等のエンコーダ等(不図示)を用いて検出され、その検出結果はレンズ制御部40へと出力され、その入力に基いてレンズ制御部40はフォーカス制御やズーム制御を実行する。また、ズームリング32のスライド移動量や移動方向は、スライド移動に応じて作用するスイッチ部(不図示)からの出力信号に基いて検出され、その検出結果はレンズ制御部40へと出力され、その入力に基いてレンズ制御部40のモード変更制御部40c(スライド判定部。後述する)はズームリング32のスライド状態、即ちモード変更操作の判定を行う。
マクロモード切換ボタン33は、変倍可能な通常撮影モード(ズームモード;以下単に通常撮影モードという)から近接撮影可能で大きな撮影倍率での撮影を可能とするマクロモード(即ち近接撮影モード)へと切り換える際に押圧操作するための操作部材である。なお、本実施形態のカメラ1におけるレンズ鏡筒3は、通常撮影モードと、通常撮影モード時の最短撮影距離よりも近接撮影を可能とするいわゆるマクロモードとを切り換えて使用し得るように構成されている。通常撮影モードからマクロモードへの切り換え操作はマクロモード切換ボタン33を押しながらズームリング32を先端方向へとスライド移動させることにより行われる。また、マクロモードから通常撮影モードへの切り換え操作はマクロモード切換ボタン33の押圧操作無しにズームリング32を手前にスライド移動させるのみの操作で実行し得る。なお、本レンズ鏡筒3においては、マクロモードに切り換えたときには所定の一焦点距離(既定値;例えば焦点距離43mm等)に固定されるように構成されている。これは、本実施形態に示すレンズ鏡筒3の設計では、特にこの焦点距離(43mm)において近距離までのピント合わせが可能になっているからであって、設計によっては焦点距離を上記数値43mmに限定されるものではない。マクロモードを設けることによって、このような特定の条件を自動設定できるメリットがあるが、そればかりでなく調整領域を限定して使うことによるメリットもある。
つまり、マクロモードに設定した状態ではズーム光学系の光軸O方向への移動は規制される。このことは、マクロモード時において発生するレンズ収差によって生じる画像の劣化を抑止するため、最も収差補正が良好なレンズ位置にズーム光学系を固定するように構成している。これにより、マクロモード時にも常に良好な画質を維持し得るように構成している。つまり、本実施形態のカメラ1におけるレンズ鏡筒3のズーム光学系は、通常撮影モード時にはズーム光学系として機能する一方、マクロモード時には収差補正用レンズ群として機能している。
また、本実施形態のカメラ1のレンズ鏡筒3は、マクロモードに設定された時、焦点調節を行い得る被写体までの距離の範囲が限定される(例えば被写体距離20〜50cmの範囲内限定)。このことは、マクロモード時のフォーカス光学系の光軸O方向への移動範囲を限定することで自動焦点調節動作が遅くなることを抑止するための措置である。
レンズファンクションボタン34は、本レンズ鏡筒3の各種の設定を行う際に操作する操作部材である。レンズファンクションボタン34は、オートフォーカス(AF)モードからマニュアルフォーカス(MF)モードへの切り換え操作や、意図せずにモード切り換えが行われてしまうことの禁止や解除などの操作を、レンズ部から手を離さないで利用できる。さらに、レンズファンクションボタン34は、その他のモード設定の補助などを行う際にも利用可能な操作部材である。
カメラ本体2は、上面カバー11と、前面カバー12と、背面カバー13と、底面カバー14等によって構成される外装部材と、この外装部材の内部に配設される各種の構成ユニットと、外装部材の外面に配設される複数の操作部材等によって主に構成されている。
上面カバー11は、カメラ本体2の上面側に配設される内部構成部材を覆い保護し得るように内部空間を形成して構成される上面側外装部材である。上面カバー11の上面には、複数のボディ側操作部20が配設されている。ここで複数のボディ側操作部20としては例えば静止画撮影時に押圧操作するシャッターリリースボタン21,各種設定等を行う際に使用するコントロールダイヤルであるメインダイヤル23及びサブダイヤル22,操作モードの切換操作を行うモード設定切換ダイヤル24,各種設定操作の際に使用するファンクションボタン25,動画撮影の開始操作及び停止操作時に使用する動画ボタン26等が配設されている。なお、図示されていないが、上面カバー11の背面側の所定の部位にも操作部材が配設されている。
前面カバー12は、カメラ本体2の前面を覆う前面側外装部材である。前面カバー12の略中央部には、略円形状のマウント開口が形成されていて、このマウント開口の周縁部に配設されたボディマウントリングとレンズ鏡筒3の後端面に設けられたレンズマウント部とがバヨネット結合することで、カメラ本体2とレンズ鏡筒3とが一体となるように構成される。また、前面カバー12には、装着されたレンズ鏡筒3の取り外し操作時に使用するレンズ開放用ボタン28等の操作部材が配設されている。
背面カバー13は、カメラ本体2の背面を覆う背面側外装部材である。背面カバー13には、図示を省略しているが、表示装置(表示部61)を収納する収納部位等が形成されているほか、複数の操作部材が背面カバー13の外面上の所定の部位にそれぞれ配設されている。このような構成は、従来一般的なカメラと同様の構成であるものとして、図示及び詳細説明は省略する。
底面カバー14は、カメラ本体2の底面を覆う底面側外装部材である。底面カバー14には、例えばカメラ本体2の内部に対して着脱自在に配設される電源電池や記録媒体等の収納室の開口が形成されており、その開口を開閉するための蓋部材が配設されている。この底面カバー14についても、従来一般的なカメラと同様構成であるものとして図示及び詳細説明は省略する。
さらに、上記の構成のほかに、外装部材の所定の部位、例えば前面カバー12若しくは背面カバー13の左側面等には、本カメラ1と外部機器等との間でデータ通信を行うための各種の接続コネクタを設けるための開口や、その開口を開閉するための蓋部材等が設けられている。これらの構成についても、従来一般的なカメラと同様構成であるものとして図示及び詳細説明は省略する。
次に、カメラ1の内部構成の概略を主に図2を用いて以下に説明する。図2に示すように、本実施形態のカメラ1におけるレンズ鏡筒3は、複数の光学レンズからなる複数のレンズ群(詳細後述)と、各レンズ群をそれぞれ別個に独立して保持する複数のレンズ支持部材(36,37,39等。詳細後述)と、固定筒35と、絞り機構38と、複数の駆動部である複数のドライバ(41,42,43,44。詳細後述)と、レンズ制御部40と、位置検出部である位置センサ45と、フラッシュメモリ46と、レンズ操作部30と、レンズ側インターフェース47等を具備して主に構成されている。
レンズ制御部40は、カメラ本体2側の後述するボディ制御部66と協働してレンズ鏡筒3を統括的に制御する制御手段である。そのために、レンズ制御部40には、各ドライバ(41,42,43,44),位置センサ45,フラッシュメモリ46,レンズ側インターフェース47等が電気的に接続されている。
本実施形態のカメラ1のレンズ鏡筒3におけるレンズ制御部40は、内部にフォーカス制御部40a,リセット部40b,モード変更制御部40c等の回路部を有している。フォーカス制御部40aは後述する二群(フォーカス)レンズ支持筒駆動用のフォーカスドライバ41を駆動制御する制御回路である。リセット部40bはレンズ鏡筒3の設定状態を所定の時に所定の設定状態にリセット処理する制御回路である。モード変更制御部40cはズームリング32のスライド移動に連動して作用するスイッチ部(不図示)からの出力信号に応じて設定された動作モードを検出し、検出した動作モードに応じた制御を行う制御回路であり、スライド判定手段及びモード変更制御手段の役目をする。
レンズ鏡筒3は、上述したように複数の光学レンズ等からなる複数のレンズ群を有して構成されており、これら複数の光学レンズは、光軸Oに沿って並べて配設されている。これにより、上記複数の光学レンズは、被写体の光学像を形成し、その被写体像を撮像素子52(後述する)の受光面上に結像させる役目をしている。
本実施形態のカメラ1のレンズ鏡筒3における撮影光学系は、後述の図3で詳述するが、第一レンズ群3a,第二レンズ群3b,第三レンズ群3c,第四レンズ群3d,第五レンズ群3eの5つのレンズ群で構成されている。これら複数のレンズ群は、各レンズ群を構成する全ての光学レンズの光軸Oが一致するように、レンズ鏡筒3の先端側から順に所定の間隔を置いて並べて配設されている。なお、図面の煩雑化を避けるために、図2では、可動レンズ群である第二レンズ群3b,第三レンズ群3c,第四レンズ群3dのみを模式的に図示し、固定レンズ群である第一レンズ群3a,第五レンズ群3eの図示は省略している。
このうち、第二レンズ群3bは焦点調節動作に主に寄与するフォーカスレンズ群である。第二レンズ群3bは、可動鏡筒(可動部材)である第二レンズ群支持筒36によって保持されており、第二レンズ群支持筒36はレンズ制御部40のフォーカス制御部40aの制御下でフォーカスドライバ41によって光軸O方向に進退駆動される。
第二レンズ群支持筒36の駆動手段であるフォーカスドライバ41は、例えばボイスコイルモータ(VCM)等のリニアモータ式の駆動源と、この駆動源の駆動機構等及び該駆動源を駆動制御する電気回路等を含んで構成される。
また、第三レンズ群3c,第四レンズ群3dは、被写体像の光学的変倍動作に主に寄与するズームレンズ群である。第三レンズ群3cは可動部材である第三レンズ群支持筒37によって保持されており、第三レンズ群支持筒37はレンズ制御部40の制御下で三群(ズーム)レンズ支持筒駆動用のズームドライバ42によって光軸O方向に進退駆動される。また、第四レンズ群3dは第四レンズ群支持筒39に保持されており、第四レンズ群支持筒39は第四レンズ群支持筒駆動用のドライバ44によって光軸O方向に進退駆動される。この場合において、第四レンズ群支持筒39の駆動制御は、第三レンズ群支持筒37の移動方向及び移動量に応じて行われる。
ズームドライバ42及び第四レンズ群支持筒駆動用のドライバ44は、例えばステッピングモータ等の駆動源と、この駆動源の駆動機構等及び該駆動源を駆動制御する電気回路等を含んで構成される。
第三レンズ群支持筒37と第四レンズ群支持筒39とは、例えばコイルスプリング等の付勢部材によって連結されていて、両者間の駆動機構中(例えば駆動力伝達機構中のバックラッシ等)により生じる移動誤差を吸収するように構成されている。
絞り機構38は、上記複数のレンズ群中の所定の部位に配設されており、上記複数の光学レンズを通過する被写体からの光量を調節する機構部である。絞り機構38は、絞り機構駆動用の絞りドライバ43を介してレンズ制御部40によって駆動制御される。絞りドライバ43は、例えばステッピングモータ等の駆動源及びその駆動力を伝達する駆動機構等を含んで構成されている。
フラッシュメモリ46は、例えばレンズ鏡筒3に関する製品情報や固有のレンズ情報等、各種の情報が予め記憶された記憶媒体である。レンズ制御部40は、フラッシュメモリ46から必要となる各種情報(データ)を適宜読み込んで、各種の制御を実行する際に参照する。また、レンズ制御部40は、必要に応じてフラッシュメモリ46に対し所定の情報(データ)を書き込むこともできるようになっている。
位置センサ45は、第二レンズ群支持筒36,第三レンズ群支持筒37,第四レンズ群支持筒39の光軸O上におけるそれぞれの位置を検出する位置検出手段である。位置センサ45の検出信号はレンズ制御部40へと出力される。これにより、レンズ制御部40は、位置センサ45の出力信号に基いて各レンズ支持筒(36,37,39)の駆動制御を各対応する各ドライバ(41,42,44)を介して行う。
なお、上記カメラ1においては、各レンズ支持筒(36,37,39)の位置を検出する位置検出手段(位置センサ45)としては、例えば各レンズ支持筒(36,37,39)の他の支持筒等に対する相対的な位置を検出する相対位置検出センサと、各レンズ支持筒(36,37,39)の固定筒35に対する絶対的な位置(例えば基準位置)を検出するための絶対位置検出センサ等が含まれる。
具体的には、第二レンズ群支持筒36の位置を検出する位置センサとして例えば磁気センサ素子(MRセンサ素子)等が適用される。また、第三,第四レンズ群支持筒37,39の位置を検出する位置センサとして例えばフォトインタラプタ(PI),リニアエンコーダ等が適用されている。
磁気センサ(MR(Magneto Resistive)センサ)は、例えば可動部材(第二レンズ群支持筒36)側に固設されたセンサ素子と、このセンサ素子に対向する部位であって固定部材(固定筒35)側に固設され磁力を帯びて形成された磁気スケールとによって構成される。
また、絶対位置検出センサは、例えば光軸O方向に所定間隔を置いて固定部材(固定筒35)側に固設されたフォトインタラプタ等の二つのセンサ素子と、この二つのセンサ素子に対応する部位であって可動部材(第三,第四レンズ群支持筒37,39)側に固設された遮光板とによって構成される。
レンズ側インターフェース47は、レンズ制御部40に接続される電気回路に接続される電気接点部材等からなる。つまり、レンズ鏡筒3とカメラ本体2とを一体に連結状態とした時に、レンズ側インターフェース47は、ボディ側インターフェース68(電気接点部材;図2参照)と接触することによって、レンズ鏡筒3のレンズ制御部40とカメラ本体2のボディ制御部66との間の電気的な接続を確立させるインターフェースである。
レンズ鏡筒3とカメラ本体2とが、レンズ側インターフェース47及びボディ側インターフェース68を介して電気的に接続されると、レンズ制御部40とボディ制御部66とは相互に通信可能な状態となる。これにより、レンズ制御部40とボディ制御部66との間では、適宜所定のタイミングで各種の情報(データ)等の送受信が行われる。具体的には、例えば、レンズ制御部40は、レンズ操作部30から生じる指示信号や位置センサ45からの出力信号(検出信号)等に応じた情報(データ)信号等をボディ制御部66へと送信する。また、後述するボディ制御部66は、ボディ側操作部20(後述)の指示信号に応じた所定の制御信号(駆動制御信号等)をレンズ制御部40へと送信する。
レンズ操作部30は、例えば焦点調節動作モード(自動焦点調節動作,手動焦点調節動作)の切り換え操作や、ズーム操作等を行うための各種の指示操作部材等(スイッチ類及びその電気回路等)を含んで構成される。
一方、カメラ本体2は、シャッタ機構50と、シャッタ機構駆動用のシャッタドライバ69と、撮像素子52,アナログ処理部53,アナログ−デジタル変換部(以下、AD変換部と略称する)54等を含んで構成される撮像部51と、この撮像部51を駆動制御する撮像ドライバ65と、AE処理部55と、AF処理部56と、画像データ処理部57と、画像データ圧縮展開部58と、表示ドライバ61a及び液晶表示装置(図2ではLCDと表記している)61bとからなる表示部61と、メモリインターフェース(以下、メモリIFと略記する)62a及び記録媒体62bとからなる記録部62と、SDRAM63と、フラッシュメモリ64と、操作部20と、ボディ制御部66と、通信用バス67と、ボディ側インターフェース68と、電源回路70等を具備して主に構成されている。
シャッタ機構50は、撮像素子52の受光面上に被写体像を露光する時間を制御する機構部である。シャッタ機構50は、ボディ制御部66によって駆動制御される。
撮像素子52は、例えばCMOS,CCD等の光電変換素子等が適用される。撮像素子52は、第二レンズ群3b,第三レンズ群3c,第四レンズ群3d等を含む複数の光学レンズによって集光された光束によって形成された被写体像を所定の受光面(撮像面I)上に受光させ、この光学的結像に対し光電変換処理を行う。これによって、被写体像(光学像)の光量を電荷量を表わすアナログ信号へと変換し、これによって光電変換素子と呼ばれる。撮像素子52によって生成された電気信号(アナログ画像信号)はアナログ処理部53へと出力される。
アナログ処理部53は、撮像素子52から出力された電気信号(アナログ画像信号)を受けて、リセットノイズ等を低減した上で波形整形を行った後、所望の明るさとなるようにゲインアップ処理等を行う信号処理部である。アナログ処理部53による処理済み信号は、AD変換部54へと出力される。
AD変換部54は、アナログ処理部53から出力されたアナログ画像信号を受けて、これをデジタル画像信号(以後、画像データという)に変換する信号処理部である。AD変換部54から出力された画像データは、通信用バス67を介してSDRAM63において一時的に記憶される。
通信用バス67は、カメラ1の内部で発生した各種データ等を、本カメラ1を構成する内部構成ユニットの各部へと転送するための転送路である。通信用バス67は、AD変換部54,AE処理部55,AF処理部56,画像データ処理部57,画像データ圧縮展開部58,表示ドライバ61a,メモリIF62a,SDRAM63,ボディ制御部66等に接続されている。
SDRAM63は、AD変換部54において生成された画像データや、画像データ処理部57,画像データ圧縮展開部58において処理された画像データ等の各種データを一時的に記憶する記憶部である。
AE処理部55は、SDRAM63に一時的に記憶されたAD変換後の画像データに基いて被写体輝度を算出するデータ処理部である。なお、AE処理部55において扱うデータ、即ち被写体輝度算出用データとしては、上記の画像データ以外に、例えば専用測光センサを設け、この専用測光センサからの出力データとしてもよい。
AF処理部56は、上記画像データから高周波成分の信号を取り出して、AF(Auto Focus;オートフォーカス)積算処理を行って合焦評価値を取得するデータ処理部である。
画像データ処理部57は、上記SDRAM63から読み出した画像データに対して様々な画像処理を施すデータ処理部である。この画像データ処理部57において各種の処理が行われた後の画像データは、再度SDRAM63に一時的に記憶される。
画像データ圧縮展開部58は、所定の圧縮方式による画像データの圧縮処理や、所定の圧縮方式により圧縮された圧縮画像データの展開(伸長)処理等を行うデータ処理部である。この画像データ圧縮展開部58において取り扱う画像データが静止画像データである場合には、例えばJPEG規格に準拠した方式等による圧縮及び展開処理を行う。また、画像データ圧縮展開部58において取り扱う画像データが動画像データである場合には、例えばMotion−JPEG規格やH.264規格等に準拠した各種方式等による圧縮及び展開処理を行う。なお、静止画に係る画像データの記録を行う場合には、画像データ圧縮展開部58は、SDRAM63から画像データを読み出し、読み出した画像データを、例えばJPEG圧縮方式に従った圧縮処理を施して、圧縮処理済みのJPEG画像データを、再度SDRAM63に一時記憶するという、一連の処理が実行される。
ボディ制御部66は、SDRAM63に一時記憶されたJPEG画像データに対して、必要となるJPEGヘッダ情報等を付加してJPEGファイルを作成し、作成されたJPEGファイルをメモリIF62aを介して記録媒体62bへと記録する処理を行う。
記録部62は、画像データを始めとする各種データを記録するための構成部であって、メモリIF62aと記録媒体62bとによって構成される。
メモリIF62aは、ボディ制御部66の制御下で記録媒体62bをドライブし、該記録媒体62bに記録済みの画像データファイルを読み込んだり、所定形式の画像データを記録媒体62bに記録する等の処理を行う際のインターフェースである。
記録媒体62bは、画像データ等を記録するための媒体であって、例えばカメラ本体2に対して着脱自在に配設されるカード形状の半導体メモリ、いわゆるメモリカード等が適用される。なお、記録媒体62bの形態は、この形態に限られることはなく、他の形態、例えばカメラ本体2内に固定される媒体としてもよいし、半導体メモリ以外にも、光学板媒体,磁気媒体等、様々な形態のものを適用し得る。
表示部61は、例えば液晶表示装置(LCD)等、各種形態の表示装置(以下LCDと略記する)61bと、このLCD61bをボディ制御部66の制御下で駆動制御する表示ドライバ61aとによって構成される。
表示部61は、例えば撮影動作直後の画像データを受けて所定の短い時間だけ撮影取得結果としての画像をLCD61bに表示するレックビュー表示、記録媒体62bに記録済みの画像データ(JPEGファイル等)等に基く画像(静止画像,動画像等)の再生表示や撮影動作時におけるライブビュー表示等の表示を行う。
ここで、例えば記録媒体62bに記録済みの画像データ(JPEGファイル)に基いて画像再生を行う場合には、ボディ制御部66は、画像データ圧縮展開部58を介して記録媒体62bに記録済みの画像データ(JPEGファイル)の中から所望のデータを読み出して伸張処理(展開処理)を施す。画像データ圧縮展開部58において伸張処理された画像データはSDRAM63に一時記憶される。続いて、ボディ制御部66は、表示ドライバ61aを介して上記伸張処理済み画像データをSDRAM63から読み出し、表示部61を用いて表示可能な映像信号に変換処理した後、LCD61bへと出力する。これにより、LCD61bには画像表示がなされる。
ボディ制御部66は、当該カメラ本体2の各種シーケンスを統括的に制御する制御手段である。また、ボディ制御部66は、レンズ制御部40と協働してレンズ鏡筒3側の各種ドライバ(41,42,43,44)を駆動制御する制御手段として機能する。ボディ制御部66には、操作部20と、フラッシュメモリ64とが直接接続されている。
操作部20は、本カメラ1に対する各種操作を行うための複数の操作部材及び対応する操作スイッチ等によって構成される。使用者が操作部20のうちの所定の操作部材を操作すると、対応する操作スイッチより所定の指示信号が発生し、その指示信号は、ボディ制御部66へと伝達されるようになっている。この指示信号を受けて、ボディ制御部66は、適宜操作に応じた各種シーケンスを実行する。操作部20としては、具体的には、例えば電源ボタン(不図示),シャッターリリースボタン21,メニューボタン(不図示),メニューボタンによって呼び出された情報に基きLCD61bに表示されるメニュー表示を見ながら各種設定等を行う際に使用するコントロールダイヤル(メインダイヤル23,サブダイヤル22),操作モードの切換操作を行うモード設定切換ダイヤル24,各種設定操作の際に使用するファンクションボタン25,動画撮影の開始操作及び停止操作時に使用する動画ボタン26,再生モードに切り換える再生ボタン(不図示)等のほか、各種の指示を入力するための入力用操作部材等が含まれる。なお、操作部20に含まれる各種の操作部材の機能等については、本発明に直接関わりのない部分であるのでその詳細説明は省略する。
フラッシュメモリ64は、ホワイトバランスモードに応じたホワイトバランスゲイン,ローパスフィルタ係数等のカメラ動作に必要となる各種パラメータ,銀塩粒子による粒状感に似せた粒状パターンの画像データ,カメラ1を特定するための固有情報、例えば製品名,製造番号等の各種の情報が予め記憶されているメモリ部である。さらに、フラッシュメモリ64には、ボディ制御部66にて実行される各種プログラム等も予め記憶されている。したがって、ボディ制御部66は、フラッシュメモリ64に記憶されているプログラムを適宜のタイミングで読み込んで実行する。その際、ボディ制御部66は、各種シーケンス処理に必要となる各種のパラメータ等を、フラッシュメモリ64から読み込む。
電源回路70は、バッテリ等の電源と、この電源を制御する回路等によって構成され、ボディ制御部66の制御下で、本カメラ1のカメラ本体2及びレンズ鏡筒3内の各構成ユニットや回路ユニットに対し必要となる電力を適宜供給する構成部である。
なお、上記以外のその他の構成部については、本発明に直接関連しないので、従来一般的なカメラと同様構成であるものとして、それらの詳細説明及び図示は省略する。
次に、本実施形態のカメラ1のレンズ鏡筒3が各状態にあるときの撮影光学系を構成する複数のレンズ群の移動状態を、図3を用いて概念的に説明する。
図3は、本実施形態のカメラ1のレンズ鏡筒3の撮影光学系を構成する複数のレンズ群のみを示し、(A)〜(E)においてレンズ鏡筒の各状態における各レンズ群の位置を示している。このうち、
(A)は、通常撮影モード時においてズーム広角端(最も短焦点距離にある位置)にあって無限遠合焦時の各レンズ群位置(W −inf)、
(B)は、通常撮影モード時においてズーム中間位置(中間焦点距離にある位置)にあって無限遠合焦時の各レンズ群位置(S −inf)、
(C)は、通常撮影モード時においてズーム中間位置(中間焦点距離にある位置)であってズーム光学系がマクロモード時と同位置に配置された時の無限遠合焦時の各レンズ群位置(M1 −inf)、
(D)は、通常撮影モード時においてズーム望遠端(最も長焦点位置)にあって無限遠合焦時の各レンズ群位置(T −inf)、
(E)は、マクロモード時における所定状態時の各レンズ群位置(M2−X)、
をそれぞれ示している。
なお、上記図3(B),(C)で示す中間位置とは、当該レンズ鏡筒3において変倍可能な焦点距離、即ち広角端から望遠端の間の所定の位置を示すものである。
また、上記図3(C)において示す各レンズ群位置(M1−inf)の状態は、図3(B)の中間焦点距離状態から図3(D)の望遠端状態との間の状態、即ちズーミング途中の状態とする。
これら複数のレンズ群(3a,3b,3c,3d,3e)は光軸Oを一致させた状態で光軸Oに沿って並べて配置され、このうちの可動レンズ群(3b,3c,3d)が光軸Oに沿う方向に移動することになる。
図3に示すように、本実施形態のカメラ1のレンズ鏡筒3において採用される撮影光学系は、被写体側から像面I側に順に負屈折力の第一レンズ群3a(先端側固定レンズ群),負屈折力の第二レンズ群3b(フォーカスレンズ群),正屈折力の第三レンズ群3c(ズームレンズ群A),負屈折力の第四レンズ群3d(ズームレンズ群B),正屈折力の第五レンズ群3e(像面I側固定レンズ群)からなる。
通常撮影モードにおいては、図3(A)に示す広角端(W−inf)から図3(D)に示す望遠端(T−inf)までの間で変倍動作(ズーミング)がなされる。その際の各レンズ群は、第一レンズ群3aは固定され、第二レンズ群3bは像面I側に凸状の軌跡で移動し、第三レンズ群3cは被写体側にのみ移動し、第四レンズ群3dは被写体側にのみ移動し、第五レンズ群3eは固定されている。
通常撮影モード時における合焦動作(フォーカシング)は、第二レンズ群3bの光軸O方向への移動によって行われる。遠距離側から近距離側への合焦動作は、第二レンズ群3bが被写体側へと繰り出されることにより行われる。
なお、第二レンズ群3bを通常撮影時よりもさらに被写体側へと繰り出すことにより、近接撮影を行なうことができる。このように第二レンズ群3bを近接領域で移動させる場合において、第三,第四レンズ群3c,3dの配置を図3(C)に示す状態としたときに、レンズ収差を良好に抑えることができるようにしている。
図3(E)に示されるマクロモードに切り換わると、第二,第三,第四レンズ群3b,3c,3dが通常撮影モード時の可動領域内における所定の位置(予め規定されている位置)に移動する。
図3に示す例では、第二レンズ群3b(フォーカスレンズ群)は、図3(D)に示される通常撮影モード時の望遠端無限遠合焦時(T−inf)の位置に移動する。一方、第三レンズ群3cは、図3(B)に示される中間焦点距離の状態と図3(D)に示される望遠端状態との間の領域における所定の位置(規定位置)に移動する。また、第四レンズ群3dは、通常撮影モード時における第二レンズ群3bとの相対的な位置よりも像面I側に移動する。
なお、図3においては、通常撮影モードの望遠端無限遠合焦時のレンズ群配置(D)からマクロモード(E)へ切り換わった場合のレンズ群の移動方向を矢印で示している。これとは別に、例えば通常撮影モードの広角端無限遠合焦時のレンズ群配置(A)の状態にある時にマクロモードへと切り換わった場合には、第二,第三,第四レンズ群3b,3c,3dの各々のレンズ群は、図3(A)で示すレンズ位置からそれぞれが被写体側へ移動して図3(E)で示す所定の位置に配置される。
マクロモード時のフォーカシングは、第二レンズ群3bの光軸O方向への移動により行われる。近距離への合焦動作は第二レンズ群3bの被写体側への移動により行われ、遠距離への合焦動作は第二レンズ群3bの像面I側への移動により行われる。
上述したように、可動レンズ群の位置は、位置検出手段としての位置センサ45によって検出される。可動レンズ群(3b,3c,3d)はそれぞれが個別に独立して駆動制御されるようになっていることから、それぞれの位置検出を行うために各対応する検出センサが設けられている。
ここで、例えば第四レンズ群支持筒39の位置検出手段の構成について、図4〜図6を用いて以下に簡単に説明する。
図4,図5は、本実施形態のカメラのレンズ鏡筒における複数のレンズ群と、そのうちの可動レンズ群の駆動機構を簡略に示す概念図である。このうち図4は第四レンズ群が最も像面I寄りの位置にある状態を示している。図5は第四レンズ群が光軸上を図4の状態から被写体側へと移動した時の状態を示している。図6は、第四レンズ群の移動に応じて出力される二つの位置センサからの出力信号を示す図である。
上述したように、本実施形態のカメラ1のレンズ鏡筒3においては、第一レンズ群3a,第五レンズ群3e,固定筒35が固定部材であり、第二レンズ群3bを保持する第二レンズ群支持筒36,第三レンズ群3cを保持する第三レンズ群支持筒37,第四レンズ群3dを保持する第四レンズ群支持筒39が可動部材である。第二レンズ群支持筒36はフォーカスドライバ41によって駆動される。第三レンズ群支持筒37はズームドライバ42によって駆動される。第四レンズ群支持筒39はドライバ44によって駆動される。
そして、例えば第四レンズ群支持筒39には遮光板39aが設けられている一方、この遮光板39aに対応させた固定部材(固定筒35)側の部位であって、上記遮光板39aが通過しかつ光軸O方向に所定間隔を置いてフォトインタラプタ等の二つのセンサ素子が固設されている。
このように構成される上記レンズ鏡筒3において、例えば第四レンズ群3dが図4の位置、即ち最も像面I寄りの位置にある時、二つのフォトインタラプタ45ba,45bbは共にオフ状態を示す「通過」状態となっている。このときの二つのフォトインタラプタ45ba,45bbからの出力信号は図6の第1領域が相当する。
この状態から第四レンズ群支持筒39が光軸Oに沿って被写体側へと移動すると、第四レンズ群支持筒39の遮光板39aが後方側のフォトインタラプタ45bbのみを遮蔽する状態(オン状態)になる。このときの二つのフォトインタラプタ45ba,45bbからの出力信号は図6の第2領域に相当する。つまり、この第2領域にあるとき、一方のフォトインタラプタ45baはオフ状態を示す「通過」状態であり、他方のフォトインタラプタ45bbはオン状態を示す「遮光」状態である。
この状態から第四レンズ群支持筒39がさらに光軸Oに沿って被写体側へと移動すると、第四レンズ群支持筒39の遮光板39aは二つのフォトインタラプタ45ba,45bbを同時に遮蔽する状態(オン状態)になる。このときの二つのフォトインタラプタ45ba,45bbからの出力信号は図6の第3領域に相当する。
この状態からさらに第四レンズ群支持筒39が光軸Oに沿って被写体側へと移動すると、第四レンズ群支持筒39の遮光板39aは二つのフォトインタラプタ45ba,45bbのうち先端側のフォトインタラプタ45baのみを遮蔽する状態になる。このときの二つのフォトインタラプタ45ba,45bbからの出力信号は図6の第4領域に相当する。この第4領域にあるとき、先端側のフォトインタラプタ45baはオン状態を示す「遮光」状態であり、後端側のフォトインタラプタ45baはオフ状態を示す「通過」状態となっている。
このように、二つのフォトインタラプタ45ba,45bbの出力信号を検出することにより、第四レンズ群3dの絶対位置を検出することができる。
以上のように構成された本実施形態のカメラ1の作用を、図7〜図12のフローチャートを用いて以下に説明する。
図7,図8は、本実施形態のカメラのメインシーケンスであるカメラ制御処理のフローチャートである。図9は、図7の第1リングシフト制御処理(ステップS106の処理)のサブルーチンを示すフローチャートである。図10は、図8の第2リングシフト制御処理(ステップS134の処理)のサブルーチンを示すフローチャートである。図11は、図9のリセット処理(ステップS303,S311の処理)のサブルーチンを示すフローチャートである。図12は、図10の2Gピント合わせ追従処理(ステップS332の処理)のサブルーチンを示すフローチャートである。
まず、使用者によってカメラ1の電源ボタン(不図示)が操作されることによりカメラ1が起動し、電源状態がオン状態とされているものとする。
カメラ1がこの状態にあるとき、図7のステップS101において、ボディ制御部66は、現在設定されている動作モードが撮影モードであるか否かの確認を行う。ここで、撮影モードに設定されている場合にはステップS102の処理に進む。撮影モード以外に設定されている場合にはステップS211の処理に進む。
即ち、ステップS102において、ボディ制御部66は、撮像ドライバ65を介して撮像部51を制御して連続的に画像データを取得すると共に、表示部61を制御して取得したこの画像データに基く画像を連続的に表示するライブビュー画像表示処理(いわゆるスルー画処理)を実行する。その後、ステップS103の処理に進む。
ステップS103において、ボディ制御部66は、パラメータ操作が行われたか否かの確認を行う。このパラメータ操作とは、カメラ1における各種設定値の変更操作等である。具体的には、例えば焦点調整操作(フォーカシング),変倍操作(ズーミング),露出調整操作(シャッタ速度値,絞り値,露出補正値等)等の各種のパラメータを変更する操作等である。ここで、パラメータ操作が行われたことが確認された場合には、次のステップS104の処理に進む。また、パラメータ操作が行われていない場合には、次のステップS104の処理をスキップして、ステップS105の処理に進む。
ステップS104において、ボディ制御部66は、第1のパラメータ変更処理を実行する。この第1のパラメータ変更処理は、上述のステップS104において行われたパラメータ操作に応じた一般的な処理である。
続いて、ステップS105において、ボディ制御部66は、レンズ制御部40のモード変更制御部40c(スライド判定部)と連繋してズームリング32のスライド移動操作(シフト操作)が行われて動作モードの変更操作が行われたか否かの確認を行う。ここで、ズームリング32のスライド移動操作(リングシフト操作)が確認された場合には、次のステップS106の処理に進む。また、ズームリング32のスライド移動操作(シフト操作)が確認されない場合には、次のステップS106の処理をスキップして、ステップS111の処理に進む。
ステップS106において、ボディ制御部66は、レンズ制御部40のモード変更制御部40cと連繋して第1のリングシフト制御処理を実行する。この第1のリングシフト制御処理の詳細は、図9のサブルーチンである。
即ち、図9のステップS301において、ボディ制御部66は、ピント位置記録LD処理を実行する。その後、ステップS302の処理に進む。
ステップS302において、ボディ制御部66は、マクロモードから通常撮影モードへのモード変更操作が行われたか否かを確認する。ここで、マクロモードから通常撮影モードへのモード変更操作が行われたことが確認された場合には、次のステップS303の処理に進み、このステップS303においてボディ制御部66はリセット処理を実行する。また、マクロモードから通常撮影モードへのモード変更操作が行われなかった場合には、ステップS311の処理に進み、このステップS311においてボディ制御部66はリセット処理を実行する。なお、上記リセット処理の詳細は、図11に示すサブルーチンである。このリセット処理は、レンズ鏡筒3のレンズ制御部40内に設けられるリセット部40bによる制御処理である。
図11のステップS401において、ボディ制御部66は、レンズ制御部40との連繋によって位置センサ45からの出力信号を検出しモード変更制御部40cの制御によって第四レンズ群3dの位置を確認する。即ち、第四レンズ群3dが図6で説明したいずれの領域にあるかの判定処理を行う。
続いて、ステップS402において、ボディ制御部66は、上述のステップS401の処理結果に基いて、第四レンズ群(図11においては「4G」と略記している)3dが基準位置にあるか否かの確認を行う。ここで、第四レンズ群(4G)3dが基準位置にあることが確認された場合には、次のステップS404の処理に進む。また、第四レンズ群(4G)3dが基準位置以外にあることが確認された場合には、ステップS403の処理に進む。
上述のステップS402の処理にて第四レンズ群(4G)3dが基準位置以外にあると判定されて、ステップS403の処理に進むと、このステップS403において、ボディ制御部66は、レンズ制御部40のリセット部40bと連繋しドライバ44を介して第四レンズ群支持筒39を駆動制御して第四レンズ群(4G)3dを移動させる処理を行う。その後、ステップS402の処理に戻り、以降同様の処理を繰り返す。
一方、上述のステップS402の処理にて第四レンズ群(4G)3dが基準位置にあると判定されて、ステップS404の処理に進むと、このステップS404において、ボディ制御部66は、レンズ制御部40のリセット部40bと連繋しドライバ44を介して第四レンズ群支持筒39を駆動制御して第四レンズ群(4G)3dの移動を停止させる処理を行う。その後、次のステップS405の処理に進む。
ステップS405において、ボディ制御部66は、上述のステップS401の処理結果に基いて、第三レンズ群(図11においては「3G」と略記している)3cが基準位置にあるか否かの確認を行う。ここで、第三レンズ群(3G)3cが基準位置にあることが確認された場合には、次のステップS407の処理に進む。また、第三レンズ群(3G)3cが基準位置以外にあることが確認された場合には、ステップS406の処理に進む。
上述のステップS405の処理にて第三レンズ群(3G)3cが基準位置以外にあると判定されて、ステップS406の処理に進むと、このステップS406において、ボディ制御部66は、レンズ制御部40のリセット部40bと連繋しズームドライバ42を介して第三レンズ群支持筒37を駆動制御して第三レンズ群(3G)3cを移動させる処理を行う。その後、ステップS405の処理に戻り、以降同様の処理を繰り返す。
一方、上述のステップS405の処理にて第三レンズ群(3G)3cが基準位置にあると判定されて、ステップS407の処理に進むと、このステップS407において、ボディ制御部66は、レンズ制御部40のリセット部40bと連繋しズームドライバ42を介して第三レンズ群支持筒37を駆動制御して第三レンズ群(3G)3cの移動を停止させる処理を行う。その後、図9の処理シーケンスに戻る(リターン)。
上述のようなリセット制御を行うことによって、様々な操作の過程で積算されたガタなどによる位置制御誤差をいったん初期化して、より高品位の撮影描写を可能とする高精度なレンズ制御を可能としている。特に、本実施形態で説明したような、手動,自動の操作切り換えや、各レンズが独立してアクチュエーター制御されるなど、多くの機能を持つものでは、こうした初期化制御は重要である。例えば、電源を切った時に、アクチュエーターの補助がなくなると、重力や内部で使われているバネなどの力によって、レンズ群が正規の位置からずれてしまうことがある。また、手動ズーム,手動ピント合わせなどでユーザーが操作できる部分があると、様々なユーザーの癖があって、その動かし方によっては、レンズの位置がずれてしまうこともある。本実施形態に示される類の高画質を誇るレンズ鏡筒3は、高度で正確な位置合わせ制御によって、その実力の描写を達成するものが多く、これらの誤差は極力排除することが重要である。
また、特に、手動ズームと電動ズームなどでは、制御の考え方が根本的に異なり、電動ズームでは、変倍用のレンズ群を全てカメラ側が位置調整制御できるが、手動(マニュアル)ズームでは、ユーザーのリング操作を判定して、それに従った、いわばつじつまを合わせるような制御をして行く必要がある。このように、モードによる制御切り換えがある以上、仕切り直しにリセット動作を行うことが重要となる。マクロと通常ズーム域でも、同様の仕切り直しとしてのリセット動作があった方が、正確な制御が出来る。
例えば、マニュアルズーム操作から、その他のモードに切り換える場合など、リニアエンコーダ基準の制御からステッピングモータによるパルス制御に切り替えられる。このようなパルス制御の方が精度良く、かつ、高速の位置制御が可能である。このような制御の仕方が変わる場合には、ここで説明したように、それぞれの制御の基準位置を明確にしてから(リセット動作で初期位置出ししてから)制御を開始して精度を確保する。また、このように、各群が独立のアクチュエーターで制御される場合、電源がオフ状態でレンズ群に重力やバネの力がかかる時、各レンズの位置は不確定になりがちである。特に、ステッピングモータにパルス入力して位置を決めるオープンループ制御では、基準となる初期位置からの制御が重要なので、モード切り換え時や電源投入時には、リセット動作は欠かせないものとなる。
図9のステップS303のリセット処理の終了後は、図9のステップS304の処理に進む。この時点において、カメラ1のレンズ鏡筒3は、通常撮影モードに設定されている状態にある。
そこで、ステップS304において、ボディ制御部66は、レンズ制御部40と連繋し、各ドライバ42,44を介して第三,第四レンズ群支持筒37,39を駆動制御して、所定のレンズ位置に第三レンズ群(3G)3c,第四レンズ群(4G)3dを移動させる処理を行う。その後、ステップS305の処理に進む。
ステップS305において、ボディ制御部66は、SDRAM63に予め記憶されている所定の第1テーブルデータを参照し、これに基くLD処理を実行する。その後、図7の処理シーケンスに戻る(リターン)。
一方、図9のステップS311のリセット処理の終了後は、図9のステップS312の処理に進む。この時点において、カメラ1のレンズ鏡筒3は、マクロモード設定されている状態にある。
そこで、ステップS312において、ボディ制御部66は、レンズ制御部40と連繋し、各ドライバ42,44を介して第三,第四レンズ群支持筒37,39を駆動制御して、マクロモードにおける規定の位置に第三レンズ群(3G)3c,第四レンズ群(4G)3dを移動させる処理を行う。その後、ステップS313の処理に進む。
ステップS313において、ボディ制御部66は、SDRAM63に予め記憶されている所定の第2テーブルデータを参照し、これに基くLD処理を実行する。その後、図7の処理シーケンスに戻る(リターン)。
即ち、上述のステップS106の第1のリングシフト制御処理(図9のサブルーチン)の終了後は図7に戻ってステップS111の処理に進む。また、上述のステップS105の処理にてズームリング32のスライド移動操作(シフト操作)が確認されなかった場合にも、ステップS111の処理に進む。
図7のステップS111において、ボディ制御部66は、現在設定されている動作モードが撮影モードのうち静止画撮影モードであるか否かの確認を行う。ここで、静止画撮影モードに設定されている場合にはステップS112の処理に進み、ステップS112においてボディ制御部66は、撮像部51等を制御して通常の静止画撮影処理を実行する。その後、上述のステップS101の処理に戻る。一方、静止画撮影モード以外に設定されている場合には図8のステップS121の処理に進む。
ステップS121において、ボディ制御部66は、現在設定されている動作モードが撮影モードのうち動画撮影モードであるか否かの確認を行う。ここで、動画撮影モードに設定されている場合にはステップS122の処理に進む。一方、動画撮影モード以外に設定されている場合には図7のステップS101の処理に戻る。
ステップS122において、ボディ制御部66は、撮像部51等を制御して通常の動画撮影処理を実行し、動画撮影動作を開始する。
続いてステップS123において、ボディ制御部66は、動画撮影処理が終了したか否かの確認を行う。ここで、動画撮影処理終了が確認された場合、例えば操作部20のうちの動画ボタン26による動画撮影停止操作等がなされて動画撮影終了を指示する指示信号が確認された場合には、ステップS124の処理に進む。また、動画撮影処理終了が確認されない場合には、ステップS131の処理に進む。
上記ステップS123の処理にて動画撮影処理終了が確認されてステップS124の処理に進むと、このステップS124において、ボディ制御部66は、通常の動画撮影終了処理を実行する。続いて、ボディ制御部66は、記録部62等を制御して、取得された動画像データの記録処理を実行する。その後、ステップS101の処理に戻る。なお、上述のステップS124の処理においては、動画撮影終了後、後回しにしていたレンズ位置の正確な位置出しを行なうようにしてもよい。つまり、初期位置を再確認するためにリセット動作を行ってもよい。
一方、上記ステップS123の処理にて動画撮影処理終了が確認されずにステップS131の処理に進むと、このステップS131において、ボディ制御部66は、パラメータ操作(カメラ1の各種設定値の変更操作等)が行われたか否かの確認を行う。ここで、パラメータ操作が行われたことが確認された場合には、次のステップS132の処理に進む。また、パラメータ操作が行われていない場合には、次のステップS132の処理をスキップして、ステップS133の処理に進む。
ステップS132において、ボディ制御部66は、第2のパラメータ変更処理を実行する。この第2のパラメータ変更処理は、上述のステップS131において行われたパラメータ操作に応じた一般的な処理である。
続いて、ステップS133において、ボディ制御部66は、レンズ制御部40のモード変更制御部40c(スライド判定部)と連繋してズームリング32のスライド移動操作(シフト操作)が行われて動作モードの変更操作が行われたか否かの確認を行う。ここで、ズームリング32のスライド移動操作(リングシフト操作)が確認された場合には、次のステップS134の処理に進む。また、ズームリング32のスライド移動操作(シフト操作)が確認されない場合には、次のステップS134の処理をスキップして、上述のステップS123の処理に戻る。
ステップS134において、ボディ制御部66は、レンズ制御部40のモード変更制御部40cと連繋して第2のリングシフト制御処理を実行する。この第2のリングシフト制御処理の詳細は、図10のサブルーチンである。
即ち、図10のステップS321において、ボディ制御部66は、マクロモードから通常撮影モードへのモード変更操作が行われたか否かを確認する。ここで、マクロモードから通常撮影モードへのモード変更操作が行われたことが確認された場合には、次のステップS322の処理に進む。
ステップS322において、ボディ制御部66は第二レンズ群(2G)3bの駆動制御を行うフォーカシング追従処理(図10では「2Gピント合わせ追従」処理と記載)を実行する。その後、ステップS323の処理に進む。
ステップS323において、ボディ制御部66はレンズ制御部40と連繋し、各ドライバ42,44を介して第三,第四レンズ群支持筒37,39を駆動制御して、所定のレンズ位置に第三レンズ群(3G)3c,第四レンズ群(4G)3dを移動させる処理を行う。その後、図8のステップS123の処理に戻る(リターン)。
一方、上述のステップS321の処理にてマクロモードから通常撮影モードへのモード変更操作が行われなかった場合には、ステップS311の処理に進み、このステップS311において、ボディ制御部66はフォーカシング追従処理(「2Gピント合わせ追従」処理)を実行する。その後、ステップS333の処理に進む。
なお、上述のステップS323,S333の各処理は、動画撮影中かそうでないかによって、レンズ駆動の方法を切り換えるようにしてもよい。つまり、動画撮影中は大きな作動音を避けて、例えばゆっくりと(低速で)駆動し、動画撮影中でなければ迅速さを優先した駆動制御とする、といった制御を行なうようにしてもよい。
上記フォーカシング追従処理(「2Gピント合わせ追従」処理)の詳細は、図12に示すサブルーチンである。
即ち、図12のステップS351において、ボディ制御部66は、撮像部51によって取得され画像データ処理部57によって処理済みの画像データに基いて現在撮像中の画像(ライブビュー画像)中の被写体が画面内において小さくなったか否かの確認を行う。画面内において被写体が小さくなる場合とは、被写体が動体であってその被写体がカメラ1から遠ざかる方向に移動している場合や、被写体に対してカメラ1(を持った撮影者)が離れる方向に移動している場合等が考えられる。ここで、被写体が小さくなる変化が確認された場合には、ステップS352の処理に進む。また、被写体が小さくなる変化が確認されない場合には、ステップS353の処理に進む。
ステップS352において、ボディ制御部66は、フォーカスドライバ41を介して第二レンズ群支持筒36を駆動制御して遠距離側で合焦するように第二レンズ群3bを繰り込み方向へ駆動する。その後、ステップS354の処理に進む。
一方、ステップS353においては、ボディ制御部66は、フォーカスドライバ41を介して第二レンズ群支持筒36を駆動制御して近距離側で合焦するように第二レンズ群3bを繰り出し方向へ駆動する。その後、ステップS354の処理に進む。
ステップS354において、ボディ制御部66は、フォーカスドライバ41を介して第二レンズ群支持筒36を駆動制御してウォブリング動作を行うと共に、撮像部51により連続的に取得され続けている画像データに基いてコントラスト判定処理を行う。ここで、ウォブリング動作は、第二レンズ群(フォーカスレンズ群)を光軸O方向に微小振動的に移動させつつ合焦位置まで移動させる動作である。このウォブリング動作を行うことによってコントラストの変化をこまめに検出することによってその低下を防ぎながらピントの変化を目立たせることなく見せることができるようになる。また、コントラスト判定処理は、図14に示すような処理である。即ち、図14(A)に撮像信号を概念化して示し、「撮像指示」として示すタイミングで、シャッターリリースボタン21の半押し操作が行われると、一般的な山登りAF処理が実行される。図14(A)において、「山登りAF(A)」とあるのはマクロモード時におけるAF処理である。マクロ領域においては、フォーカスレンズの移動量を大とする駆動制御がなされる(図14(B)参照)。「山登りAF(B)」とあるのは通常撮影モード時におけるAF処理である。通常撮影領域においては、フォーカスレンズの移動量がマクロ撮影時に比べて小とする駆動制御がなされる(図14(B)参照)。また、図14(A)において「マクロ→通常切替」として示すタイミングで、ズームリング32のスライド操作が行われて、マクロモードから通常撮影モードへの切り換え操作が行われている。なお、図14(C)は、コントラスト判定値の概念図である。このようなコントラスト判定処理を実行後、ステップS355の処理に進む。
ステップS355において、ボディ制御部66は、上述のステップS354の処理によるコントラスト判定処理の結果に基いてコントラストピークの確認処理を行う。ここで、コントラストピークが確認された場合には、ステップS356の処理に進む。また、確認されない場合には、上述のステップS354の処理に戻る。
ステップS356において、ボディ制御部66は、レンズ制御部40と連繋し第二レンズ群3bを駆動制御するピント制御処理を停止する。その後、図8のステップS123の処理に戻る(リターン)。
一方、上述のステップS101の処理にて、撮影モード以外に設定されていると判断されてステップS211の処理に進むと、このステップS211において、ボディ制御部66は、現在設定されている動作モードが再生モードであるか否かの確認を行う。ここで、再生モードに設定されている場合にはステップS212の処理に進む。再生モード以外に設定されている場合にはステップS101の処理に戻る。なお、本実施形態のカメラ1における動作モードとしては、上述の撮影モード,再生モード以外の動作モードを有していてもよいが、撮影モード以外の動作モードについては、本発明に直接関連しない部分であるので、その説明は省略した。また、図7において、ステップS211の処理にて再生モード以外に設定されている場合には、さらに別の動作モードであるか否かの確認判定をおこなうようにすればよいが、その説明は省略している。そのために、ステップS211の処理で再生モード以外の設定が確認された場合には、便宜的にステップS101の処理に戻ることとしている。
図7のステップS212において、ボディ制御部66は、表示部61,記録部62等を制御して、LCD61bの表示画面上に、記録媒体62bに記録済みの画像ファイルに関するファイル一覧表示処理を実行する。その後、ステップS213の処理に進む。
ステップS213において、ボディ制御部66は、操作部20からの指示信号を監視してファイル選択指示信号が生じたか否かの確認を行う。ここで、ファイル選択指示信号が確認された場合には、ステップS214の処理に進む。また、ファイル選択指示信号が確認されない場合には、ステップS216の処理に進み、このステップS216において、ボディ制御部66は、操作部20からの指示信号を監視して終了指示信号が生じたか否かの確認を行う。この場合の終了指示信号は、例えば再生モードを終了する旨の指示信号、若しくは他の動作モードへ変更するための指示信号等が相当する。ここで、終了指示信号が確認された場合には、上述のステップS101の処理に戻る。また、終了指示信号が確認されない場合には、上述のステップS212の処理に戻る。
一方、上述のステップS213んp処理にてファイル選択指示信号が確認されてステップS214に進むと、このステップS214において、ボディ制御部66は、選択された画像ファイルの再生処理を実行する。その後、ステップS215の処理に進む。
ステップS215において、ボディ制御部66は、操作部20からの指示信号を監視して終了指示信号が生じたか否かの確認を行う。この場合の終了指示信号は、例えば選択ファイル再生処理を終了する旨の指示信号である。ここで、終了指示信号が確認された場合には、上述のステップS212の処理に戻る。また、終了指示信号が確認されない場合には、上述のステップS214の処理に戻る。
上述したように、本実施形態のカメラ1においては、マクロモードに設定すると規定の一焦点距離(例えば焦点距離43mm等)に固定して変倍動作(ズーミング)を規制している。したがって、変倍可能な通常撮影モード(ズームモード)に設定した状態で、当該カメラ1の使用中にマクロモードへの切換操作を行った場合、各レンズ群が所定のズーム位置にあるとき(図3(C)に示すとき)のみはスムースに移行が可能であるかもしれないが、各レンズ群がその他のズーム位置にあるときには、まず、その所定位置に持って行ってからマクロ用のピント合わせを行うので円滑に切り換えを行うことができない。
具体的には、通常撮影モードで撮影中、例えば広角端や望遠端等、図3(C)に示す状態以外の焦点距離設定で撮影を行っているときにマクロモードへと切り換える場合、各レンズ群のレンズ位置をマクロモードに対応する上記所定のレンズ位置(図3(C)の状態)へと各レンズ群を移動させる必要がある。そのために、モード切換操作を行った時には、設定されている焦点距離を正確に判定して設定し直した方が、画面隅々までの描写を重視した設計通りの位置に厳密に制御できるがためにいったんリセットして所定の位置に移動させた後、マクロモードに対応する上記所定のレンズ位置(図3(C)の状態)への移動を行うような駆動制御がなされる。この場合、静止画撮影を行っている場合には設計に従った厳密な光学系の位置制御が出来、収差などの影響を排除した設計の光学特性を最大限に発揮するメリットがあるが、動画撮影のモード切換の場合には、焦点距離が急激に変化することになると同時に、合焦状態にも影響が現われて、撮像中(ライブビュー画像)若しくは撮影記録中(記録画像データ)の動画に乱れが生じてしまうことになる。
これは、光学系の厳密な位置合わせによって、画面の隅々まで完璧な静止画描写を行うのを旨とした設計を優先した考え方で、一瞬の描写ばかりが重要ではない動画撮影時の制御としては、必ずしも最適なものではない場合がある。特に、中断や不連続のない円滑な動画を重視するユーザーには、一瞬の周辺の画像の乱れより、主要被写体の連続的な表現を重視した制御が好ましい。
そこで、本実施形態のカメラ1においては、上述のフローチャート(図7,図8等)で説明したように、静止画撮影時には、通常のモード切換処理、即ち上記第1リングシフト制御処理(図7のステップS106の処理;図9のサブルーチン)を行う。一方、動画撮影時には、上記第2リングシフト制御処理(図8のステップS134の処理;図10のサブルーチン)を行う。この第2リングシフト制御処理では、モード切換操作に伴って合焦状態を追従させるように第二レンズ群の駆動制御を優先させて行っている。これは、山登りAFなどコントラストAFを続けて実行することで、主被写体に対しては良好なピント位置が保証できるので、主被写体に対しての描写に対しては問題がないことを想定している。ただし、正規の位置に第三レンズ群、第四レンズ群の制御はすぐには行われないので、これらの制御を開始して終了するまでの間は、静止画画質で求めたような完璧な描写は後回しにした形になる。ただし、動画においては、各コマの静止画としての描写性より動きを表わす画像の連続性の方を重視するニーズが高い。この実施形態では、まず被写体のピント合わせを重視して、しかるのちに第三レンズ群、第四レンズ群を収差補正の出来た画角用に制御していくので、上記ニーズを満たすことが出来る。このような制御を実行することによって、本実施形態のカメラ1においては、動画撮影中にモード切換操作を行っても、連続性のあるレンズ移動を重視して円滑な切り換えが行われるので、撮像中若しくは撮影記録中の動画にリセット時の乱れが生じることがない。
例えば、図13に示すように、本実施形態のカメラ1を用いて充分に小さい動体(例えば蝶等)を主要被写体とし、これをマクロモードで動画撮影を行っているものとする。この状態において、近接位置に存在していた静止被写体100,動体被写体101aのうち動体被写体101aが図13の符号101bで示す位置に移動したとする。このときの移動は、動体被写体101aが近接位置から遠ざかる方向に移動したものと想定する。なお、撮像画面内での被写体の移動を検出する技術は、従来一般に実用化されている画像処理技術、例えば動体検出追尾,顔認識追尾等の画像判定技術を用いる。
これにより、カメラ1から動体被写体101の移動後の位置101bまでの距離が充分に離れてしまい、途中からマクロモードで合焦させ得る領域を外れてしまうことがある。この場合には、例えばマクロモードを解除して通常撮影モードへと切り換えた上で撮影を続行することになる。この場合において、マクロモード時に追尾中の被写体がマクロモード対応外となったことを判定し、その判定結果に基づいて、表示部61のLCD61bの表示画面上に、その旨の表示、例えば「撮影モードを切り換えて下さい(マクロ→通常)」といった警告表示を行うようにすればよい。この場合、撮影者はこの警告表示を見て撮影モード切換操作を行う。
本実施形態のカメラ1においては、マクロモードでの動画撮影中にモード切り換え操作を行っても、上記リセット処理を行うことなく通常撮影モードへのモード切り換えを行うようにしている。
以上説明したように上記一実施形態によれば、マクロモードでの動画撮影中にモード切り換え操作を行ったとしても実行中の動画撮影動作を中断させることはなく、また、撮像中若しくは撮影記録中の動画像に乱れ等を生じさせることもなく、常にスムースなモード切り換えを行なうことができる。
また、ここでは、特にマクロ域と通常ズーム域への切り換えについて論じているが、電動ズームから即座に手動ズームに切り換える時や、手動ズームで迅速に画角を決めた後、滑らかで、操作が容易な電動ズームに切り換えるような際にも、今回の考え方は適用できる。
つまり、動画撮影時には、厳密な光学系の位置出しの優先度よりも、被写体を滑らかに追い続ける仕様を重視する。そのため、初期位置出しをしてまでの画質確保の優先度は下げ、ピント追従の後で、出来る限りの画質確保補正を行うようにする。制御方法が異なるモード間の仕切り直しや、アクチュエータによるレンズ制御で電源を切った場合に生じうる位置誤差などに対応するレンズシステムを有する場合には有効な技術となる。
即ち、きめ細かくリセット動作を行う場合と、リセットを行わず連続性を重視する場合とを撮影の態様によって切り換えるという本発明の考え方は、広く応用が可能なものである。従って、独立して移動可能な複数の光学系(上記実施形態では第三レンズ群と第四レンズ群)と、上記複数の光学系の位置を制御する複数のアクチュエータ(上記実施形態ではステッピングモータ)と複数の位置判定部と(上記実施形態ではフォトインタラプタやリニアエンコーダ)を有するものに適応が可能で、上記複数の光学系の位置関係を制御する複数の光学系制御態様(ここでは主にマクロモードと通常ズーム域の制御の仕方が異なることに対応)があるカメラにおいて重要な技術となる。つまり、動画、静止画の撮影モード(態様)を有する場合、これらの制御を行う制御部(マイコン)が、上記複数の光学系制御態様切り換え時の仕切り直し制御(上記複数の光学系の位置出し制御用の初期化、または、リセット動作)を動画、静止画という撮影態様に従って変更するという特徴が、本発明に特有のものとなっている。
なお、上記一実施形態においては、レンズ交換式のカメラシステムを例に挙げて説明したが、本発明はこの例に限られることはなく、例えばカメラ本体に対してレンズ鏡筒が固定されて構成されるカメラに対しても全く同様に適用することが可能である。
また、上述の一実施形態で説明した各処理シーケンスは、その性質に反しない限り、手順の変更を許容し得る。したがって、上述の処理シーケンスに対して、例えば各処理ステップの実行順序を変更したり、複数の処理ステップを同時に実行させたり、一連の処理シーケンスを実行する毎に、各処理ステップの順序が異なるようにしてもよい。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
[付記1]
複数のレンズ群によって形成される撮影光学系と、上記撮影光学系を変倍可能にかつ近接撮影可能とするために上記複数のレンズ群のうちの一部の可動レンズ群を光軸方向に独立して移動可能とする複数の駆動部と、上記可動レンズ群の位置を検出する位置検出部とを備えた撮影レンズ鏡筒と、
上記撮影レンズ鏡筒を介して形成される光学像を電気的な画像信号に逐次変換する撮像素子を備えた撮像部と、
上記撮像部によって取得された画像信号に基く静止画像データ若しくは動画像データを記録する記録部と、
撮影モードを切り換える撮影モード切換部材と、
少なくとも上記撮影レンズ鏡筒の駆動部を制御する制御部と、
を具備し、
上記制御部は、静止画像の撮影記録動作中に通常撮影モードとマクロモードとの間で撮影モード切り換えが行われた時には、上記位置検出部の検出結果に基いて上記複数のレンズ群のうちの可動レンズ群を切り換え時点のレンズ位置から所定の基準位置へと移動させた後、指定されたレンズ位置へと移動させる駆動制御を実行し、
動画像の撮影記録動作中に通常撮影モードとマクロモードとの間で撮影モード切り換えが行われた時には、上記複数のレンズ群のうちの可動レンズ群を撮影モード切り換え後の撮影モードに対応する所定のレンズ位置へと直接移動させる駆動制御を実行することを特徴とする撮影機器。
[付記2]
通常撮影モードと近接撮影モードとの設定状態を確認するステップと、
静止画撮影モードと動画撮影モードとの設定状態を確認するステップと、
静止画撮影モード時に通常撮影モードからマクロ撮影モードへと切り換えられた場合には、通常撮影モード時の複数のレンズ群の各レンズ位置をいったん基準位置に移動させた後、所定のレンズ位置へと移動させる駆動制御ステップと、
動画撮影モード時に通常撮影モードからマクロ撮影モードへと切り換えられた場合には、複数のレンズ群の各々について焦点調節駆動とマクロ撮影モードに対応したレンズ位置へと移動させる駆動とを実行する駆動制御ステップと、
を有する撮影機器のレンズ群駆動制御方法。