JP2004211221A - スクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントおよびその製造方法ならびにスクリーン印刷用メッシュ織物 - Google Patents

スクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントおよびその製造方法ならびにスクリーン印刷用メッシュ織物 Download PDF

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Abstract

【課題】高い強度と優れた寸法安定性、スカムおよび節糸の抑制効果を有し、ハイメッシュ化が可能な細繊度のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント繊維を提供する。
【解決手段】下記A〜Eを満足することを特徴とするスクリーン紗用芯鞘型ポリエステルモノフィラメント。
A.芯成分のポリエステルが、構成単位の80%以上をポリエチレン−2,6−ナフタレートとすること。
B.芯成分のポリエステルの極限粘度が0.70以上であり、且つ鞘成分に用いるポリエステルの極限粘度より高く、その差が0.15〜0.30の範囲にあること。
C.ポリエステルモノフィラメントの強度が5.5cN/dtex以上であること。
D.ポリエステルモノフィラメントの糸−鏡面の走行糸摩擦係数が0.40以下であること。
E.ポリエステルモノフィラメント繊維長手方向10万メートルで繊維直径に対し10%以上太い節部が1個以下であること。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクリーン印刷用メッシュ織物に好適な、スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントに関する。さらに詳しくは、スクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントに関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷用のスクリーン織物としては、従来は絹などの天然繊維やステンレスなどの無機繊維から成るメッシュ織物が広く使用されてきたが、最近は柔軟性や耐久性があり、かつ寸法安定性もあるナイロンやポリエステルなどの有機繊維から成るメッシュ織物、即ちスクリーン紗が使用されることが多くなってきている。このうち特にポリエステルモノフィラメントからなるスクリーン紗織物は、ナイロンからなるものと比較して水分の影響も少なく、また価格面からも有利であるため広く使用されてきている。
【0003】
しかしながら、最近の家電向け電子回路の印刷分野などにおいては、印刷精度向上に対する要求が厳しくなってきていることから、メッシュがより細かく、紗張りなどにおいて伸びの少ない寸法安定性に優れたスクリーン紗が要求されてきている。すなわち、スクリーン紗用原糸に対しては細繊度化、高強度化が求められている。
【0004】
一般にポリエステル繊維を高強度化するためには、原糸の製造過程において高倍率で延伸を行い、繊維の内部構造を高配向化、高結晶化すれば良いことがわかっているが、スクリーン紗の製造工程は高密度の織物を高速で製織するため、極めて多数回、筬などの強い摩擦にさらされることとなり、フィラメントの表面の一部が削り取られヒゲ状あるいは粉状のかす、いわゆるスカムが発生しやすいが、この現象は高結晶化したものほど重度となる傾向にある。このスカムは量的には少量でも、織機に飛散しその一部はスクリーン紗織物の中に取り込まれる危険性がある。こうなると精密印刷用のハイメッシュ織物においては、メッシュの詰まりという致命的な欠陥になる恐れがあり、スカムの発生防止はスクリーン紗においては重要な課題である。
【0005】
このために、スカムの発生の軽減、防止を目的として多くの改善技術が開示されている。
【0006】
例えば、には破断伸度が35%〜60%という高伸度糸を用いる技術が開示されている(特許文献1参照。)。しかしながら、高伸度ということは、すなわち低倍率延伸を行うということであり、必然的に低強度ということになる。つまり当該技術ではスカムの発生を軽減させることを優先させているために、高強度、高モジュラスという特性を犠牲にしているものである。これではハイメッシュ化の要求に沿って細繊度化した際に強力が不足することとなり、製織性が低下するばかりか、紗伸びなどが発生し寸法安定性の悪化を招き、精密印刷には不適なものとなってしまう。
【0007】
また、ポリエステルを芯成分に、削れに対してポリエステルよりも耐久性のあるナイロンを鞘成分に使用する芯鞘複合繊維が開示されている(特許文献2参照。)。確かにナイロンはポリエステルに比べて削れの発生が少ないことがわかっており、スカム発生の抑制という面では有利ではある。しかしながら一方でナイロンはポリエステルに比べて吸湿性が高く、寸法安定性が低いという欠点を持っている。このためナイロンを鞘に使用した芯鞘複合繊維では、スカムの発生は軽減できるものの、精密印刷に欠かすことのできない寸法安定性に乏しいという事になる。
【0008】
また、精密印刷向けスクリーン紗織物についてはスカムと同様、繊維直径に対して10%以上太い部分、いわゆる節糸と呼ばれるものも致命的な欠点でありこの改善が望まれている。
【0009】
また近年、更なる高モジュラス化を実現するためにポリエチレン2,6−ナフタレートを用いることが開示されている(特許文献3,4参照。)。また、ポリエチレン2,6−ナフタレートの耐疲労性向上のため、特定のジオール成分を共重合する方法が開示されている(特許文献5参照。)。しかしいずれも高モジュラス化に関するものであり、上述の節糸の解消については何ら開示されていない。
【0010】
このように従来の技術では、精密印刷向けのスクリーン紗織物を得るために必要な特性、すなわち高強度で寸法安定に優れ、細繊度化への対応が可能であり、かつスカム発生および節糸発生のないポリエステルモノフィラメントは得られなかったのである。
【0011】
【特許文献1】
特開昭55−16948号公報
【0012】
【特許文献2】
特開平1−132829号公報
【0013】
【特許文献3】
特開平3−45741号公報
【0014】
【特許文献4】
特開平11−279833号公報
【0015】
【特許文献5】
特開平11−335452号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前述の問題点を改良し、従来のモノフィラメントでは得られなかった高い強度で優れた寸法安定性を有し、細繊度化への対応が可能であり、かつスカム抑制効果および節糸抑制効果を有した精密印刷に好適なスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントを提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明、下記A〜Eを満足することを特徴とするスクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントである。
A.芯成分のポリエステルが、構成単位の80%以上をポリエチレン2,6−ナフタレートとすること。
B.芯成分のポリエステルの極限粘度が0.70以上であり、且つ鞘成分のポリエステルの極限粘度より高く、その差が0.15〜0.30の範囲にあること。
C.ポリエステルモノフィラメントの強度が5.5cN/dtex以上であること。
D.ポリエステルモノフィラメントの糸−鏡面の走行糸摩擦係数が0.40以下であること。
E.ポリエステルモノフィラメント繊維長手方向10万メートルで繊維直径に対し10%以上太い節部が1個以下であること。
【0018】
また本発明は、上記のスクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントを製造する際、芯成分と鞘成分とを溶融した後、それぞれの成分を混練手段に通過せしめることを特徴とするスクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントの製造方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステルモノフィラメントは、その横断面において芯成分が鞘成分により覆われ芯成分が表面に露出していないように配置された芯鞘型複合モノフィラメントである。ここで芯鞘型とは芯成分が鞘成分により完全に覆われていれば良く、必ずしも同心円状に配置されている必要はないが、製織時の原糸削れを防ぐ点からは同心円状とするのが好ましい。また断面形状については丸、扁平、三角、四角、五角など幾つもの形状があるが、安定した製糸性および高次加工性を得やすいという点や、スクリーン紗の目開きの安定性などより丸断面が好ましい。
【0020】
(A)本発明の芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントは、芯成分のポリエステルが、構成成分の80%以上をポリエチレン−2,6−ナフタレートとすることが、高い寸法安定性を実現するためには必須である。
【0021】
また、本発明の効果を損なわない範囲でジカルボン酸成分やジオール成分を共重合しても良い。たとえば、ジカルボン酸成分として、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸があげられる。また、ジオール成分としてプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリオキシメチレングリコール等があげられる。また、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料のほか抗酸化剤、着色防止剤、帯電防止剤、耐光剤等を添加しても良い。
【0022】
(B)本発明の芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントは、芯成分のポリエステルの極限粘度が0.70以上であることが必要である。極限粘度が0.70未満となると、スクリーン紗用モノフィラメントとして十分な強度を得ることができない。また、極限粘度の上限としては、製糸性の観点から1.2以下とすることが好ましい。1.2以下とすることで、紡糸時にポリマーを安定して吐出できる。
また、スカム抑制といった観点から、芯成分のポリエステルの極限粘度が鞘成分のポリエステルの極限粘度より高いことが必要であり、その差を0.15〜0.30にすることが必要である。好ましくは0.20〜0.30である。極限粘度の差が0.15以下であるとポリエステルモノフィラメント表面の結晶性が低くならず、スカムが発生しやすくなる。また、差を0.30以上とすると満足する原糸強度が得られない。
【0023】
本発明の芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントにおいて、鞘成分はポリエステルであればよいが、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートがよく、特に好ましくはポリエチレテレフタレートである。またポリエステルには、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料のほか抗酸化剤、着色防止剤、帯電防止剤、耐光剤等が添加されても良い。また、物性を損なわない範囲でポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールといったポリアルキレングリコール類、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸といった脂肪族酸、プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオールといったジオール類を共重合しても良い。
【0024】
本発明においては、芯成分、鞘成分ともにポリエステルであるため、ポリエステル/ナイロン複合糸に度々発生するような複合界面での剥離という現象は起きにくい。しかしながら芯成分:鞘成分の複合比率を70:30〜95:5とすることで鞘成分によるスカム抑制効果の低下を発生することを防止できる。また、原糸を高強度化するといった観点から芯鞘複合比率を75:25〜90:10とすることがより好ましい。
【0025】
(c)本発明の芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントは、強度が5.5cN/dtex以上であることが重要である。そうすることにより、製織性の低下や紗伸びなどの発生を抑え高い寸法安定性を得ることができ、精密印刷にも適したものとして供することができる。
【0026】
(D)本発明の芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントは、ポリエステルモノフィラメントの糸−鏡面の走行糸摩擦係数を0.40以下とすることが重要である。そうすることで、上述した芯成分・鞘成分の極限粘度を規定することとの相乗効果でスカム発生を飛躍的に抑制できる。好ましくは0.30以下である。
【0027】
(E)本発明の芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントは、繊維長手方向10万メートルで繊維直径に対し10%以上太い部分、すなわち節糸部分が1個以下である必要がある。これ以上節糸があると、メッシュにした際、欠点が多くて精密印刷につかえない。節糸の発生を抑える手段は、後述する。
【0028】
本発明の芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントは、スクリ−ン紗用途としてその優れた寸法安定性や高強度という特性を生かして、電子基板など精密印刷に必要なハイメッシュ化が可能であり、スカムおよび節糸の抑制効果より、スクリーン紗の製織工程の安定化と品位の向上が可能であるため、スクリーン紗用の原糸として適した素材となる。
【0029】
次に、本発明のスクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントの製造方法は、上記のような芯成分と鞘成分を溶融した後、それぞれの成分を混練手段に通過せしめることが重要である。上記のような節糸の原因は紡糸工程において熱劣化によってポリマー配管内やパック内で発生するゲル化したポリマーが吐出されるケースと、芯および鞘成分ポリエステルの微妙な粘度ムラに起因し発生するケースとが考えられるが、混練手段を通過させることで、いずれのケースにもおける節糸起因ポリマーを微細粉砕することができ、節糸抑制効果が発現する。
【0030】
混練手段としては例えば、パック内に組み込んだ静止混練子を用いることができる。静止混練子としては例えば、東レエンジニアリング社製‘ハイミキサー’を好ましく採用することができる。静止混練子の段数としては、5段以上とすることが好ましく、さらに好ましくは10段以上である。
【0031】
例えば芯成分および鞘成分を形成するポリマーをそれぞれ独立に溶融、計量した後、図1に示すような静止混練子を組み込んだパック内を通過させ濾過した後、口金を用いて芯鞘複合糸となるように合流、複合させ同一吐出孔から吐出させる。
【0032】
モノフィラメントを紡糸する際に使用する口金は、吐出孔を2個以上有しているものを用いることが望ましい。一般的にモノフィラメントのポリマー吐出量はマルチフィラメントに比べて少なく、そのため紡糸機内のポリマー滞留時間が長くなる傾向がある。これにより前述した熱劣化によるポリマーのゲル化が進んでしまう現象が見られる。このため吐出孔を2個以上持つ口金を複数錘取用として使用することにより、一口金当たりのポリマー吐出量を多くでき、ポリマー滞留時間を短くすることができるため、熱劣化によるゲル化ポリマーの発生を抑制することができる。また熱による粘度低下も同時に抑制できるため、モノフィラメントの強度低下も合わせて防止できる。
【0033】
また、ポリマーの溶融から吐出においては、粘度低下やゲル化の防止のため、溶融されてから口金から吐出されるまでの通過時間を60min.以内とすることが好ましい。
【0034】
またさらに、複数のポリマー吐出孔が口金中心から同距離に配置されている口金を用いることは、各吐出孔へのポリマーの分配性や口金温度履歴をどの吐出孔についても同一とすることができるため、スクリーン紗用モノフィラメントとして必要な糸太さの均一性が得られるため好ましい。
【0035】
紡糸したモノフィラメントは、高強力化するために延伸を施すことが好ましいが、一度未延伸糸として巻き取った後に改めて延伸工程を経て高強力の延伸糸を得る方法や、紡糸した後巻き取りをせずに直接延伸を行い、延伸糸を得る方法など様々な方法を採用することができる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。各特性値は次の方法によって求めた。
【0037】
(1)ポリエステルの極限粘度 [η]
ポリエステル0.8gをオルトクロロフェノール10mlに100℃で溶解し、25℃で溶液粘度を測定し、算出した。
【0038】
(2)強度、伸度
東洋ボールドウィン社製テンシロン引張り試験機を用いて試長20cm、引張り速度10cm/分の条件で応力−歪み曲線から値を求めた。測定のn数は5とした。
【0039】
(3)糸−鏡面の走行糸摩擦係数
糸−鏡面の走行糸摩擦係数は試料の走行速度55m/分、試料長60mとし、鏡面ガイドに接触角180℃として糸を走らせ供給側の張力(T1)と引取側の張力(T2)から次式にて算出した。
摩擦係数(μd)=1/π×log(T2/T1)
鏡面ガイドには、硬質クロムメッキ製で表面粗度0.8sのものを使用した。
【0040】
(4)スカム発生度合い
スルーザー製織機を使用し、織機の回転数を350rpmとして350メッシュのメッシュ織物を製織した。その際に筬の汚れを目視で観察し、スカムの付着状況や周囲への飛散状況を確認した。その上でこれ以上製織の続行が不可能と判断される時点での製織長さを評価値とした。すなわち、この製織長さが短いほどスカムの発生状況が多いことを示している。
【0041】
(5)節糸発生個数
繊維直径に対し10%広げたスリット(繊維直径が30ミクロンの場合33ミクロンに設定)中にモノフィラメントを通し、引き速500m/分で10万メートル走らせたときのモノフィラメントが切断した回数を節糸発生個数とした。
【0042】
(実施例1)
芯成分として極限粘度0.75のポリエチレン−2,6−ナフタレートを、鞘成分として極限粘度0.53のポリエチレンテレフタレートをそれぞれ独立に290℃の温度下で溶融、芯成分と鞘成分との複合比率が重量比で85:15となるように計量した後、紡糸温度290℃とした、図1に示すような紡糸パックのポリマ導入孔1,2に導入した。紡糸パック内には10段の静止混練子(東レエンジニアリング社製‘ハイミキサー’)を組み込んでおり、それぞれの成分についてこの中を通過させ、濾過した後、芯鞘複合用口金を用いてとなるように複合させ、吐出させ紡糸速度1000m/分で巻き取り未延伸糸を得た。
このとき紡糸油剤としてTMB−8(三洋化成製)とA602(竹本油脂製)とを90:10の重量比率で混合した油剤を使用し、油剤付着量を0.6%とした。次いでこれを加熱された2つのホットローラーを用いて(1HR:90℃、2HR:130℃)、延伸倍率3.8倍で延伸することにより10dtex−1fの延伸糸を得た。得られた繊維は強度6.0cN/dtex、伸度13%、糸−鏡面の走行糸摩擦係数は0.25であった。また、節糸発生個数を測定した結果0個であった。該原糸をスルザー製織機で350メッシュのメッシュ織物を製織した際のスカム発生度合いは1900mであった。
【0043】
(比較例1)
静止混練子組込パックを使わずに紡糸した以外は実施例1と同様に延伸糸およびメッシュ織物を得たが、節糸が多発してしまった。
【0044】
(実施例2,3、比較例2,3)
芯成分のポリエチレン−2,6−ナフタレートと鞘成分のポリエチレンテレフタレートの極限粘度を変更した以外は実施例1と同様にして延伸糸およびメッシュ織物を得た。
【0045】
実施例1〜3、比較例1〜3の結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 2004211221
【0047】
(実施例4〜6、比較例4,5)
芯成分と鞘成分との複合比率を変更した以外は実施例1と同様な方法で原糸を得た。結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
Figure 2004211221
【0049】
(比較例6)
油剤の付着量を0.2%まで低下させた以外は実施例1と同様な方法で延伸糸を得た。走行糸摩擦係数は0.60であり、製織時毛羽立ちが激しく且つスカム発生が多く製織不調であった。
【0050】
(比較例7)
静止混練子を鞘成分のみに用い、芯成分に使用しなかった以外は実施例1と同様な方法で延伸糸を得た。得られた原糸は節糸が12個/10万m発生した。
【0051】
【発明の効果】
本発明において得られたポリエステルモノフィラメントは、高強度と優れた寸法安定性を有し、スカム抑制および節糸抑制効果を持つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法において好ましく採用される静止混練子組み込みパックの例示図である。
【符号の説明】
1,2:ポリマー導入孔
3:静止混練子
4:複合口金

Claims (5)

  1. 下記A〜Eを満足することを特徴とするスクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメント。
    A.芯成分のポリエステルが、構成単位の80%以上をポリエチレン−2,6−ナフタレートとすること。
    B.芯成分のポリエステルの極限粘度が0.70以上であり、且つ鞘成分のポリエステルの極限粘度より高く、その差が0.15〜0.30の範囲にあること。
    C.ポリエステルモノフィラメントの強度が5.5cN/dtex以上であること。
    D.ポリエステルモノフィラメントの糸−鏡面の走行糸摩擦係数が0.40以下であること。
    E.ポリエステルモノフィラメント繊維長手方向10万メートルで繊維直径に対し10%以上太い節部が1個以下であること。
  2. 芯成分と鞘成分との複合比率が重量比で70:30〜95:5であることを特徴とする請求項1記載のスクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメント。
  3. 請求項1または2記載のスクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントを製造する際、芯成分と鞘成分を溶融した後、それぞれの成分を混練手段に通過せしめることを特徴とするスクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントの製造方法。
  4. 混練手段がパック内に組み込んだ静止混練子であることを特徴とする請求項3記載のスクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントの製造方法。
  5. 請求項1または2記載のスクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントを用いたことを特徴とするスクリーン印刷用メッシュ織物。
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