JP2004210706A - 1−アルキルチオ−4−t−ブチル−2−ニトロベンゼン類および2−アルキルチオ−5−t−ブチルアニリン類の製造方法、並びに該製造方法で得られる化合物 - Google Patents
1−アルキルチオ−4−t−ブチル−2−ニトロベンゼン類および2−アルキルチオ−5−t−ブチルアニリン類の製造方法、並びに該製造方法で得られる化合物 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】入手容易な原料から短工程にて効率良く安価に1−アルキルチオ−4−t−ブチル−2−ニトロベンゼン類、および2−アルキルチオ−5−t−ブチルアニリン類を製造する方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表される化合物を、硫化物イオンおよびアルキル化剤と反応する下記一般式(II)で表される化合物の製造方法、および下記一般式(II)で表される化合物を還元する下記一般式(III)で表される化合物の製造方法。下記式(IV)で表される4−t−ブチル−1−(2−エチルヘキシルチオ)−2−ニトロベンゼン化合物。
【化1】
式中、R1は置換基を表す。nは0以上3以下の整数を表す。Xはハロゲン原子を表す。
【化2】
式中、R1は置換基を表す。nは0以上3以下の整数を表す。R2はアルキル基を表す。
【化3】
式中、R1は置換基を表す。nは0以上3以下の整数を表す。R2はアルキル基を表す。
【化4】
【選択図】 なし
【解決手段】下記一般式(I)で表される化合物を、硫化物イオンおよびアルキル化剤と反応する下記一般式(II)で表される化合物の製造方法、および下記一般式(II)で表される化合物を還元する下記一般式(III)で表される化合物の製造方法。下記式(IV)で表される4−t−ブチル−1−(2−エチルヘキシルチオ)−2−ニトロベンゼン化合物。
【化1】
式中、R1は置換基を表す。nは0以上3以下の整数を表す。Xはハロゲン原子を表す。
【化2】
式中、R1は置換基を表す。nは0以上3以下の整数を表す。R2はアルキル基を表す。
【化3】
式中、R1は置換基を表す。nは0以上3以下の整数を表す。R2はアルキル基を表す。
【化4】
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料に用いるイエロー色素形成カプラ−の合成中間体や、あるいは色素、医薬品、農薬、電子材料等の合成中間体として有用な1−アルキルチオ−4−t−ブチル−2−ニトロベンゼン類、および2−アルキルチオ−5−t−ブチルアニリン類の製造方法、並びに新規な4−t−ブチル−1−(2−エチルヘキシルチオ)−2−ニトロベンゼン化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1−アルキルチオ−4−t−ブチル−2−ニトロベンゼン類、および2−アルキルチオ−5−t−ブチルアニリン類はハロゲン化銀写真感光材料のイエロー色素形成カプラーの中間体や色素、医薬品、農薬、電子材料等の合成中間体として有用である。特に、イエロー色素形成カプラーは種々のアニリン類が使用され(例えば特許文献1参照)、色素形成カプラー構造に組み込まれ、なかでも2−アルキルチオ−5−t−ブチルアニリン類の部分構造を有する色素形成カプラーは吸収特性及び堅牢性に優れる。
1−アルキルチオ−4−t−ブチル−2−ニトロベンゼン類、および2−アルキルチオ−5−t−ブチルアニリン類の合成法としては1−ハロ−2−ニトロベンゼン類とアルキルメルカプタンを反応させて、1−アルキルチオ−4−t−ブチル−2−ニトロベンゼンを合成し、さらにこれを還元して合成する方法が考えられるが、実際には操作が多段階になり煩雑であることや、アルキルメルカプタンの臭気の問題があり、また市販されていないアルキルメルカプタンを用いる場合には別途そのアルキルメルカプタンを合成しなければならないという問題がある。
逆に、4−t−ブチル−2−ニトロチオフェノール類をアルキル化する方法においては、4−t−ブチル−2−ニトロチオフェノール類を合成する必要がある。置換基を持たない2−ニトロチオフェノールそのものの合成方法として、1−クロロ−2−ニトロベンゼンと硫化物イオンとの反応が知られている(非特許文献1参照)。しかしながら、この方法は、ニトロ基の還元、スルフィド類の副生により、選択的に2−ニトロチオフェノールが得られず、選択的に得るには限られた条件が必要であり、加えて、チオフェノール類のアルキル化においては副生するジスルフィド類の生成を抑制しなければならない。
そこで1−アルキルチオ−4−t−ブチル−2−ニトロベンゼン類、および2−アルキルチオ−5−t−ブチルアニリン類を入手容易な原料から短工程にて効率良く合成する製造方法の開発が求められていた。
【0003】
【特許文献1】
欧州公開特許公報第1246006A2号
【非特許文献1】
「ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサエティ(Journal of Chemical Society)」127巻、440〜444ページ(1925年)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、入手容易な原料から短工程にて効率良く安価に1−アルキルチオ−4−t−ブチル−2−ニトロベンゼン類、および2−アルキルチオ−5−t−ブチルアニリン類を製造する方法を提供することにある。また、新規な4−t−ブチル−1−(2−エチルヘキシルチオ)−2−ニトロベンゼン化合物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、下記に示すような製造法を用いて下記一般式(II)〜下記一般式(III)で表される化合物を製造すること、並びに下記一般式(IV)で表わされる化合物により、前記課題が解決されることを見出した。
すなわち本発明は、
(1)下記一般式(I)で表される化合物を、硫化物イオンおよびアルキル化剤と反応することを特徴とする下記一般式(II)で表される化合物の製造方法。
【0006】
【化5】
【0007】
式中、R1は置換基を表す。nは0以上3以下の整数を表す。nが2以上のとき複数のR1はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。Xはハロゲン原子を表す。
【0008】
【化6】
【0009】
式中、R1は置換基を表す。nは0以上3以下の整数を表す。nが2以上のとき複数のR1はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。R2はアルキル基を表す。
(2)前記(1)項に記載の反応を相間移動触媒の存在下で行うことを特徴とする前記一般式(II)で表される化合物の製造方法。
(3)前記(1)項または(2)項の方法で製造した前記一般式(II)で表される化合物を還元することを特徴とする下記一般式(III)で表される化合物の製造方法。
【0010】
【化7】
【0011】
式中、R1は置換基を表す。nは0以上3以下の整数を表す。nが2以上のとき複数のR1はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。R2はアルキル基を表す。
(4)前記(3)項に記載の製造方法において、前記一般式(II)で表される化合物を反応液から単離せずそのまま次の還元を行うことを特徴とする前記一般式(III)で表される化合物の製造方法。
(5)下記式(IV)で表される4−t−ブチル−1−(2−エチルヘキシルチオ)−2−ニトロベンゼン化合物
を提供するものである。
【0012】
【化8】
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の一般式(I)で表される化合物を詳細に説明する。
【0014】
【化9】
【0015】
式中、R1は置換基を表す。nは0以上3以下の整数を表す。nが2以上のとき複数のR1はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。好ましくはnは0である。R1の置換基の例としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルまたはアリールスルフィニル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールまたはヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が挙げられる。
【0016】
なお、上述の置換基はさらに置換基で置換されていてもよく、該置換基としては上述の基が挙げられる。
【0017】
以下にR1の置換基の例を更に説明する。
これらの置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキル基で、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル、3−(2、4−ジ−t−アミルフェノキシ)プロピル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシルが挙げられ、多シクロアルキル基、例えば、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基で、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)やトリシクロアルキル基等の多環構造の基が挙げられる。好ましくは単環のシクロアルキル基、ビシクロアルキル基であり、単環のシクロアルキル基が特に好ましい。)、
【0018】
アルケニル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルケニル基で、好ましくは炭素数2〜30のアルケニル基であり、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基[(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基で、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)が挙げられ、多シクロアルケニル基、例えば、ビシクロアルケニル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基で、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)、やトリシクロアルケニル基等であり、単環のシクロアルケニル基が特に好ましい。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、
【0019】
アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基で、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、芳香族もしくは非芳香族、単環もしくは縮環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有するヘテロ環基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、
【0020】
アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、
【0021】
アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基であり、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基で、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
【0022】
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、炭素数0〜30のヘテロ環アミノ基であり、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、N−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基であり、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、
【0023】
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基で、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基であり、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、
【0024】
アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基で、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基で、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、
【0025】
アルキルまたはアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基であり、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキルまたはアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基であり、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基であり、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、
【0026】
アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリールまたはヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基(ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましい)、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のイミド基で、例えばN−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基で、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、
【0027】
ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基で、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基で、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)が挙げられる。
【0028】
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられ、具体的には、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0029】
R1で好ましいものはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、nは0の場合が好ましい。
一般式(I)においてXはハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)を表す。好ましくはXは、塩素原子または臭素原子である。
【0030】
次に本発明の一般式(II)で表される化合物を詳細に説明する。
【0031】
【化10】
【0032】
一般式(II)において、R1、nは前記一般式(I)において述べたものと同じものを表し、好ましい範囲も同様である。
【0033】
一般式(II)においてR2はアルキル基を表す。このアルキル基としては直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキル基で、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル、3−(2、4−ジ−t−アミルフェノキシ)プロピルなどが挙げられる。R2が有しても良い置換基としては、前述のR1の置換基として挙げたものが挙げられる。R2はアルキル基以外の置換基を有さないアルキル基が好ましく、β位で分岐したアルキル基がさらに好ましく、2−エチルヘキシル基が最も好ましい。
【0034】
次に本発明の一般式(III)で表される化合物を詳細に説明する。
【0035】
【化11】
【0036】
一般式(III)において、 R1、n、R2は前記一般式(I)および一般式(II)において述べたものと同じものを表し、好ましい範囲も同様である。
【0037】
本発明において一般式(II)で表される化合物のうち、好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
【化12】
【0039】
【化13】
【0040】
次に本発明において一般式(III)で表される化合物のうち、好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
【化14】
【0042】
【化15】
【0043】
なお、以降の説明において、以上に示された例示化合物を引用する場合、それぞれの例示化合物に付された括弧書きの番号(x)を用いて、「例示化合物(x)」と表示することとする。
【0044】
次に本発明の製造方法を詳細に説明する。
本発明の製造方法では、具体的には下記に示すように、一般式(I)で表される化合物を硫化物イオンと反応させることでハロゲン原子がメルカプト基となったニトロチオフェノール類を生成し、さらにアルキル化剤と反応させることで一般式(II)で表される化合物が生成する。このとき中間体としてジアリールスルフィド類が生成し、これが引き続き、硫化物イオン、もしくは硫化物イオンとアルキル化剤の反応によって生成するアルキルメルカプタンと反応して、ニトロチオフェノール類を生成し、これがアルキル化剤と反応し一般式(II)で表される化合物が生成する場合もある。さらにその後、一般式(II)で表される化合物が還元剤により還元され、一般式(III)で表される化合物が生成する。
【0045】
【化16】
【0046】
なお、上記において、X、R1、R2、nは一般式(I)〜(III)において規定した基である。
本発明においては、まず一般式(I)で表される化合物を硫化物イオンと反応し、その後アルキル化剤を添加して反応を行っても良いが、一般式(I)で表される化合物と、硫化物イオンとアルキル化剤を同時に含む反応系(すなわち、硫化物イオンとアルキル化剤の共存下)で反応を行って一般式(II)で表される化合物を合成することが好ましい。さらにその後、一般式(II)で表される化合物を還元剤により還元し一般式(III)で表される化合物が合成されるが、本発明においては前記反応で一旦できる一般式(II)で表される化合物を単離してもよいが、単離せずに一般式(II)で表される化合物を含む反応溶液をそのまま引き続き還元反応を行って一般式(III)で表される化合物を合成することが好ましい。
【0047】
本発明において用いられる硫化物イオンとしては、硫化ナトリウム9水和物や水硫化ナトリウム等の硫化物イオンを含有する塩を添加して用いても良いが、硫化水素と塩基を用いても良い。硫化物イオンの使用量としては、一般式(I)で表される化合物の1モル当たり、好ましくは0.01 〜100モル、より好ましくは0.5〜20モル、さらに好ましくは1〜10モルの割合で使用される。
【0048】
本発明において用いるアルキル化剤としてはハロゲン化アルキル(例えばヨウ化メチル、オクチルクロライド、2−エチルヘキシルブロマイドなど)、スルホン酸アルキルエステル(例えばp−トルエンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸ドデシル)、硫酸ジアルキルエステル(例えばジメチル硫酸、ジエチル硫酸)、炭酸ジアルキルエステル(例えば炭酸ジメチル、炭酸ジエチル)などが挙げられ、好ましくはハロゲン化アルキルが用いられる。アルキル化剤の使用量としては、一般式(I)で表される化合物の1モル当たり、好ましくは0.01 〜100モル、より好ましくは0.5〜20モル、さらに好ましくは1〜10モルの割合で使用される。
【0049】
本発明において一般式(II)で表される化合物を合成する工程では、好ましくは相間移動触媒が用いられる。本発明において用いられる相間移動触媒としてはアンモニウム塩(例えばテトラブチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド)、ホスフィニウム塩(例えば、テトラブチルホスフィニウムブロマイド)などが挙げられ、さらに好ましくはアンモニウム塩が使用される。相間移動触媒の使用量としては、一般式(I)で表される化合物の1モル当たり、好ましくは0.001 〜10モル、より好ましくは0.01〜1モル、さらに好ましくは0.05〜0.5モルの割合で使用される。
【0050】
本発明の一般式(II)で表される化合物を合成する反応においては、塩基の存在下で反応を行っても良い。この塩基としては無機化合物の塩基でもよいし、有機化合物の塩基でもよい。例えば水酸化化合物(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラブチルアンモニウム)、水素化化合物(例えば、水素化ナトリウム)、炭酸化合物(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、重炭酸化合物(例えば、重炭酸ナトリウム)、アミン類(例えばアンモニア、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン)アニリン類(例えば、アニリン、ジメチルアニリン)、芳香族ヘテロ環類(例えば、ピリジン、ピコリン、イミダゾール)、含窒素ヘテロ環類(例えば、1、8―ジアザビシクロ―[5,4,0]―7―ウンデセン)、酢酸塩化合物(例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム)、有機化合物の金属塩(たとえばナトリウムメトキシド、t―ブトキシカリウム)などが挙げられる。さらに好ましくは水酸化化合物が使用され、より好ましくは水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが使用される。塩基の使用量としては、一般式(I)もしくは一般式(II)で表される化合物の1モル当たり、好ましくは0.001 〜100モル、より好ましくは0.01〜20モル、さらに好ましくは0.1〜10モル、最も好ましくは0.5〜5モルの割合で使用される。
【0051】
本発明において一般式(III)で表される化合物を合成する工程で用いる還元剤としては既知の種々の還元剤を用いることができ、例えば水素化アルミニウム金属塩(例えば水素化アルミニウムリチウム)、水素化ホウ素金属塩(例えば水素化ホウ素ナトリウム)、金属(例えば鉄、亜鉛、ナトリウム)、水素(特にパラジウム、ラネーニッケルなどの金属触媒を一緒に用いることが好ましい)、ヒドラジン(特にパラジウム、ラネーニッケルなどの金属触媒を一緒に用いることが好ましい)、ハイドロサルファイトナトリウムなどを用いることができるが、鉄もしくはハイドロサルファイトナトリウムを用いることが好ましい。還元剤の使用量としては、一般式(II)で表される化合物の1モル当たり、好ましくは0.1 〜100モル、より好ましくは0.5〜20モル、さらに好ましくは1〜10モルの割合で使用される。
【0052】
本発明の方法で使用される一般式(I)で表される化合物は、既知の種々の方法によって合成でき、例えば後述のように4−t−ブチル−1−ハロベンゼン類をニトロ化する方法等によって合成できる。
【0053】
本発明の反応においては各工程ともに、無溶媒で反応を行ってもよいが、好ましくは適当な溶媒に溶解または分散して行ってもよい。本発明の反応に用いることのできる溶媒としては、例えば水、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)、塩素系溶媒(例えばジクロロメタン、クロロホルム)、芳香族系溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、キシレン)、アミド系溶媒(例えば、N、N−ジメチルホルムアミド、 N、N−ジメチルアセトアミド)、ウレイド系溶媒(例えば1、3―ジメチル−2―イミダゾリジノン)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル)、エーテル系溶媒(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン)、スルホン系溶媒(例えば、スルホラン)、スルホキシド系溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)、リン酸アミド系溶媒(例えば、ヘキサメチルホスホリックトリアミド)、炭化水素系溶媒(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン)が挙げられる。好ましくは水が用いられる。
【0054】
これら溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。溶媒の使用量としては、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の1質量部当たり、好ましくは0.1 〜1000質量部、より好ましくは0.5〜100質量部、さらに好ましくは1〜20質量部の割合で使用される。
【0055】
本発明においては各工程ともに、反応温度としては特に制限はないが、−50℃から300℃の範囲で実施可能であり、好ましくは0℃から250℃の範囲で実施でき、さらに好ましくは20℃から150℃の範囲で実施でき、特に好ましくは50℃から100℃の範囲で実施できる。
【0056】
本発明においては各工程ともに、反応時間としては特に制限はないが、1分から100時間の範囲で実施可能であり、好ましくは30分から50時間の範囲で実施でき、さらに好ましくは1時間から20時間の範囲で実施できる。
【0057】
本発明においては一般式(III)で表される化合物を酸を用いて造塩することにより、精製することができる。適当な溶媒中で造塩した後、ろ過して塩を単離し、さらにこの塩を塩基性の水溶液と有機溶媒とで処理して一般式(III)で表される化合物を抽出し、濃縮することで一般式(III)で表される化合物を精製することが好ましい。
【0058】
ここで用いる酸としては、無機の酸(例えば塩酸、硫酸、硝酸、燐酸)、カルボン酸(例えば蟻酸、酢酸)、スルホン酸(例えばp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸)などが挙げられ、スルホン酸が好ましく、p−トルエンスルホン酸が特に好ましい。酸の使用量としては、一般式(III)で表される化合物の1モル当たり、好ましくは0.1 〜10モル、より好ましくは0.5〜5モル、さらに好ましくは1〜2モルの割合で使用される。
【0059】
造塩時の溶媒としては、前記のような各種の溶媒が用いられるが、アルコール系溶媒、アセトニトリルが好ましく、またトルエン、キシレン、ヘキサン、酢酸エチルあるいはこれらの溶媒と水を混合したものを用いることも好ましい。また塩基性の水溶液とともに抽出に用いる溶媒としてはトルエン、キシレン、酢酸エチルが好ましい。
【0060】
本発明の化合物及び製造方法は、ハロゲン化銀写真感光材料に用いるイエロー色素形成カプラ−の合成中間体や、あるいは色素、医薬品、農薬、電子材料等の合成中間体として有用であり、これらの材料の製造方法として有用である。
特に、欧州公開特許公報第1246006A2号に記載の一般式(I)、(D)、(IV)で表わされる化合物において、R3とR4が置換したアニリンの部分構造に本発明の一般式(III)で表わされる化合物を使用するのが好ましく、このようなイエロー色素形成カプラーまたは色素は、該欧州公開特許公報に記載の色素形成カプラーまたは色素の合成方法において、本発明の一般式(III)で表わされる化合物を合成中間体として使用することにより、容易に合成される。
【0061】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0062】
<実施例1>
例示化合物(1)および例示化合物(11)を下記に示すとおり合成した。
【0063】
【化17】
【0064】
濃硫酸400mlに氷冷下、濃硝酸(比重1.38)400mlを滴下した。この溶液に氷冷下、化合物(A−1)370gを1時間かけて滴下し、30〜35℃にて5時間撹拌した。反応混合物を氷水1lに添加した後、酢酸エチル1lを添加して抽出、分液し更に有機層を水1lで2回洗浄し、重曹水1lで洗浄し、飽和食塩水1lで洗浄した。溶媒を減圧留去し、化合物(A−2)454gを得た。収率97.1%。
化合物(A−2)106.8g、テトラブチルアンモニウムブロマイド16.0g、水300mlの混合物を75℃に加熱し、これに撹拌しながら硫化ナトリウム9水和物360gを水500mlに溶解した溶液を40分かけて滴下した。さらに75℃にて30分撹拌した後、この反応溶液に2−エチルヘキシルブロマイド217gを添加し、その後80℃にて4時間撹拌し、例示化合物(1)の反応混合物を得た。この反応溶液を静置して水層を分液して除いた後、有機層に水酸化ナトリウム120gを水250mlに溶解した水溶液およびメタノール500mlを加え75℃に昇温した。この反応溶液にハイドロサルファイトナトリウム65gを添加し75℃で15分撹拌した。さらにハイドロサルファイトナトリウム65gおよび水50mlを添加することを3回繰り返した後、75℃で1時間半撹拌した。酢酸エチル200ml、水500mlを添加して抽出、分液し更に有機層を飽和食塩水500mlにて2回洗浄した。溶媒を減圧留去した後、残留物をp−トルエンスルホン酸120gのアセトニトリル1.3l溶液中に滴下し、氷冷して造塩した。吸引ろ過して得られた塩を酢酸エチル1lおよび水酸化ナトリウム40gを水500mlに溶解した水溶液に加えて抽出、分液し更に有機層を飽和食塩水500mlで洗浄した。溶媒を減圧留去し、例示化合物(11)130.0gを得た。収率88.6%。1H−NMR(300MHz、CDCl3)7.29(d、1H)、6.75〜6.68(m、2H)、4.25(bs、2H)、2.72(d、2H)、1.58〜1.15(m、18H)、0.93〜0.80(m、6H)。
【0065】
<実施例2>
例示化合物(1)、および例示化合物(11)を下記に示すとおり合成した。
【0066】
【化18】
【0067】
濃硫酸500mlに氷冷下、濃硝酸(比重1.38)500mlを滴下した。この溶液に氷冷下、化合物(B−1)426gを1時間かけて滴下し、30〜35℃にて7時間撹拌した。反応混合物を氷水1lに添加した後、ヘキサン1lを添加して抽出、分液し更に有機層を水1lで2回洗浄し、重曹水1lで洗浄し、飽和食塩水1lで洗浄した。溶媒を減圧留去し、化合物(B−2)516gを得た。収率100%。
化合物(B−2)129.1g、テトラブチルアンモニウムブロマイド16.0g、水300mlの混合物を75℃に加熱し、これに撹拌しながら硫化ナトリウム9水和物360gを水500mlに溶解した溶液を40分かけて滴下した。さらに75℃にて30分撹拌した後、この反応溶液に2−エチルヘキシルブロマイド217gを添加し、その後80℃にて4時間撹拌し例示化合物(1)の反応混合物を得た。この反応溶液を静置して水層を分液して除いた後、有機層に水酸化ナトリウム120gを水250mlに溶解した水溶液およびメタノール500mlを加え75℃に昇温した。この反応溶液にハイドロサルファイトナトリウム65gを添加し75℃で15分撹拌した。さらにハイドロサルファイトナトリウム65gおよび水50mlを添加することを3回繰り返した後、75℃で1時間半撹拌した。酢酸エチル200ml、水500mlを添加して抽出、分液し更に有機層を飽和食塩水500mlにて2回洗浄した。溶媒を減圧留去した後、残留物をp−トルエンスルホン酸120gのアセトニトリル1.3l溶液中に滴下し、氷冷して造塩した。吸引ろ過して得られた塩を酢酸エチル1lおよび水酸化ナトリウム40gを水500mlに溶解した水溶液に加えて抽出、分液し更に有機層を飽和食塩水500mlで洗浄した。溶媒を減圧留去し、例示化合物(11)120.9gを得た。収率82.4%。
【0068】
<実施例3>
例示化合物(1)、および例示化合物(11)を下記に示すとおり合成した。
【0069】
【化19】
【0070】
硫化ナトリウム9水和物360g、テトラブチルアンモニウムブロマイド16.0gを水220mlに溶解した溶液に75℃にて、化合物(A−2)106.8gと2−エチルヘキシルブロマイド106gの混合物を撹拌しながら50分かけて滴下し、さらに75℃にて1時間撹拌し例示化合物(1)の反応混合物を得た。この反応溶液を静置して水層を分液して除いた後、有機層に水酸化ナトリウム120gを水250mlに溶解した水溶液およびメタノール500mlを加え75℃に昇温した。この反応溶液にハイドロサルファイトナトリウム176gを3回に分けて添加し、75℃で1時間半撹拌した。酢酸エチル200ml、水500mlを添加して抽出、分液し更に有機層を飽和食塩水500mlにて2回洗浄した。溶媒を減圧留去した後、残留物をp−トルエンスルホン酸120gのアセトニトリル1.3l溶液中に滴下し、氷冷して造塩した。吸引ろ過して得られた塩を酢酸エチル1lおよび水酸化ナトリウム40gを水500mlに溶解した水溶液に加えて抽出、分液し更に有機層を飽和食塩水500mlで洗浄した。溶媒を減圧留去し、例示化合物(11)132.4gを得た。収率90.2%。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、入手容易な原料から短工程にて効率良く安価に1−アルキルチオ−4−t−ブチル−2−ニトロベンゼン類、および2−アルキルチオ−5−t−ブチルアニリン類を製造する方法を提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料に用いるイエロー色素形成カプラ−の合成中間体や、あるいは色素、医薬品、農薬、電子材料等の合成中間体として有用な1−アルキルチオ−4−t−ブチル−2−ニトロベンゼン類、および2−アルキルチオ−5−t−ブチルアニリン類の製造方法、並びに新規な4−t−ブチル−1−(2−エチルヘキシルチオ)−2−ニトロベンゼン化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1−アルキルチオ−4−t−ブチル−2−ニトロベンゼン類、および2−アルキルチオ−5−t−ブチルアニリン類はハロゲン化銀写真感光材料のイエロー色素形成カプラーの中間体や色素、医薬品、農薬、電子材料等の合成中間体として有用である。特に、イエロー色素形成カプラーは種々のアニリン類が使用され(例えば特許文献1参照)、色素形成カプラー構造に組み込まれ、なかでも2−アルキルチオ−5−t−ブチルアニリン類の部分構造を有する色素形成カプラーは吸収特性及び堅牢性に優れる。
1−アルキルチオ−4−t−ブチル−2−ニトロベンゼン類、および2−アルキルチオ−5−t−ブチルアニリン類の合成法としては1−ハロ−2−ニトロベンゼン類とアルキルメルカプタンを反応させて、1−アルキルチオ−4−t−ブチル−2−ニトロベンゼンを合成し、さらにこれを還元して合成する方法が考えられるが、実際には操作が多段階になり煩雑であることや、アルキルメルカプタンの臭気の問題があり、また市販されていないアルキルメルカプタンを用いる場合には別途そのアルキルメルカプタンを合成しなければならないという問題がある。
逆に、4−t−ブチル−2−ニトロチオフェノール類をアルキル化する方法においては、4−t−ブチル−2−ニトロチオフェノール類を合成する必要がある。置換基を持たない2−ニトロチオフェノールそのものの合成方法として、1−クロロ−2−ニトロベンゼンと硫化物イオンとの反応が知られている(非特許文献1参照)。しかしながら、この方法は、ニトロ基の還元、スルフィド類の副生により、選択的に2−ニトロチオフェノールが得られず、選択的に得るには限られた条件が必要であり、加えて、チオフェノール類のアルキル化においては副生するジスルフィド類の生成を抑制しなければならない。
そこで1−アルキルチオ−4−t−ブチル−2−ニトロベンゼン類、および2−アルキルチオ−5−t−ブチルアニリン類を入手容易な原料から短工程にて効率良く合成する製造方法の開発が求められていた。
【0003】
【特許文献1】
欧州公開特許公報第1246006A2号
【非特許文献1】
「ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサエティ(Journal of Chemical Society)」127巻、440〜444ページ(1925年)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、入手容易な原料から短工程にて効率良く安価に1−アルキルチオ−4−t−ブチル−2−ニトロベンゼン類、および2−アルキルチオ−5−t−ブチルアニリン類を製造する方法を提供することにある。また、新規な4−t−ブチル−1−(2−エチルヘキシルチオ)−2−ニトロベンゼン化合物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、下記に示すような製造法を用いて下記一般式(II)〜下記一般式(III)で表される化合物を製造すること、並びに下記一般式(IV)で表わされる化合物により、前記課題が解決されることを見出した。
すなわち本発明は、
(1)下記一般式(I)で表される化合物を、硫化物イオンおよびアルキル化剤と反応することを特徴とする下記一般式(II)で表される化合物の製造方法。
【0006】
【化5】
【0007】
式中、R1は置換基を表す。nは0以上3以下の整数を表す。nが2以上のとき複数のR1はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。Xはハロゲン原子を表す。
【0008】
【化6】
【0009】
式中、R1は置換基を表す。nは0以上3以下の整数を表す。nが2以上のとき複数のR1はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。R2はアルキル基を表す。
(2)前記(1)項に記載の反応を相間移動触媒の存在下で行うことを特徴とする前記一般式(II)で表される化合物の製造方法。
(3)前記(1)項または(2)項の方法で製造した前記一般式(II)で表される化合物を還元することを特徴とする下記一般式(III)で表される化合物の製造方法。
【0010】
【化7】
【0011】
式中、R1は置換基を表す。nは0以上3以下の整数を表す。nが2以上のとき複数のR1はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。R2はアルキル基を表す。
(4)前記(3)項に記載の製造方法において、前記一般式(II)で表される化合物を反応液から単離せずそのまま次の還元を行うことを特徴とする前記一般式(III)で表される化合物の製造方法。
(5)下記式(IV)で表される4−t−ブチル−1−(2−エチルヘキシルチオ)−2−ニトロベンゼン化合物
を提供するものである。
【0012】
【化8】
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の一般式(I)で表される化合物を詳細に説明する。
【0014】
【化9】
【0015】
式中、R1は置換基を表す。nは0以上3以下の整数を表す。nが2以上のとき複数のR1はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。好ましくはnは0である。R1の置換基の例としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルまたはアリールスルフィニル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールまたはヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が挙げられる。
【0016】
なお、上述の置換基はさらに置換基で置換されていてもよく、該置換基としては上述の基が挙げられる。
【0017】
以下にR1の置換基の例を更に説明する。
これらの置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキル基で、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル、3−(2、4−ジ−t−アミルフェノキシ)プロピル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシルが挙げられ、多シクロアルキル基、例えば、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基で、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)やトリシクロアルキル基等の多環構造の基が挙げられる。好ましくは単環のシクロアルキル基、ビシクロアルキル基であり、単環のシクロアルキル基が特に好ましい。)、
【0018】
アルケニル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルケニル基で、好ましくは炭素数2〜30のアルケニル基であり、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基[(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基で、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)が挙げられ、多シクロアルケニル基、例えば、ビシクロアルケニル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基で、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)、やトリシクロアルケニル基等であり、単環のシクロアルケニル基が特に好ましい。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、
【0019】
アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基で、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、芳香族もしくは非芳香族、単環もしくは縮環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有するヘテロ環基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、
【0020】
アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、
【0021】
アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基であり、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基で、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
【0022】
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、炭素数0〜30のヘテロ環アミノ基であり、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、N−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基であり、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、
【0023】
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基で、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基であり、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、
【0024】
アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基で、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基で、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、
【0025】
アルキルまたはアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基であり、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキルまたはアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基であり、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基であり、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、
【0026】
アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリールまたはヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基(ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましい)、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のイミド基で、例えばN−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基で、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、
【0027】
ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基で、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基で、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)が挙げられる。
【0028】
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられ、具体的には、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0029】
R1で好ましいものはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、nは0の場合が好ましい。
一般式(I)においてXはハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)を表す。好ましくはXは、塩素原子または臭素原子である。
【0030】
次に本発明の一般式(II)で表される化合物を詳細に説明する。
【0031】
【化10】
【0032】
一般式(II)において、R1、nは前記一般式(I)において述べたものと同じものを表し、好ましい範囲も同様である。
【0033】
一般式(II)においてR2はアルキル基を表す。このアルキル基としては直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキル基で、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル、3−(2、4−ジ−t−アミルフェノキシ)プロピルなどが挙げられる。R2が有しても良い置換基としては、前述のR1の置換基として挙げたものが挙げられる。R2はアルキル基以外の置換基を有さないアルキル基が好ましく、β位で分岐したアルキル基がさらに好ましく、2−エチルヘキシル基が最も好ましい。
【0034】
次に本発明の一般式(III)で表される化合物を詳細に説明する。
【0035】
【化11】
【0036】
一般式(III)において、 R1、n、R2は前記一般式(I)および一般式(II)において述べたものと同じものを表し、好ましい範囲も同様である。
【0037】
本発明において一般式(II)で表される化合物のうち、好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
【化12】
【0039】
【化13】
【0040】
次に本発明において一般式(III)で表される化合物のうち、好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
【化14】
【0042】
【化15】
【0043】
なお、以降の説明において、以上に示された例示化合物を引用する場合、それぞれの例示化合物に付された括弧書きの番号(x)を用いて、「例示化合物(x)」と表示することとする。
【0044】
次に本発明の製造方法を詳細に説明する。
本発明の製造方法では、具体的には下記に示すように、一般式(I)で表される化合物を硫化物イオンと反応させることでハロゲン原子がメルカプト基となったニトロチオフェノール類を生成し、さらにアルキル化剤と反応させることで一般式(II)で表される化合物が生成する。このとき中間体としてジアリールスルフィド類が生成し、これが引き続き、硫化物イオン、もしくは硫化物イオンとアルキル化剤の反応によって生成するアルキルメルカプタンと反応して、ニトロチオフェノール類を生成し、これがアルキル化剤と反応し一般式(II)で表される化合物が生成する場合もある。さらにその後、一般式(II)で表される化合物が還元剤により還元され、一般式(III)で表される化合物が生成する。
【0045】
【化16】
【0046】
なお、上記において、X、R1、R2、nは一般式(I)〜(III)において規定した基である。
本発明においては、まず一般式(I)で表される化合物を硫化物イオンと反応し、その後アルキル化剤を添加して反応を行っても良いが、一般式(I)で表される化合物と、硫化物イオンとアルキル化剤を同時に含む反応系(すなわち、硫化物イオンとアルキル化剤の共存下)で反応を行って一般式(II)で表される化合物を合成することが好ましい。さらにその後、一般式(II)で表される化合物を還元剤により還元し一般式(III)で表される化合物が合成されるが、本発明においては前記反応で一旦できる一般式(II)で表される化合物を単離してもよいが、単離せずに一般式(II)で表される化合物を含む反応溶液をそのまま引き続き還元反応を行って一般式(III)で表される化合物を合成することが好ましい。
【0047】
本発明において用いられる硫化物イオンとしては、硫化ナトリウム9水和物や水硫化ナトリウム等の硫化物イオンを含有する塩を添加して用いても良いが、硫化水素と塩基を用いても良い。硫化物イオンの使用量としては、一般式(I)で表される化合物の1モル当たり、好ましくは0.01 〜100モル、より好ましくは0.5〜20モル、さらに好ましくは1〜10モルの割合で使用される。
【0048】
本発明において用いるアルキル化剤としてはハロゲン化アルキル(例えばヨウ化メチル、オクチルクロライド、2−エチルヘキシルブロマイドなど)、スルホン酸アルキルエステル(例えばp−トルエンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸ドデシル)、硫酸ジアルキルエステル(例えばジメチル硫酸、ジエチル硫酸)、炭酸ジアルキルエステル(例えば炭酸ジメチル、炭酸ジエチル)などが挙げられ、好ましくはハロゲン化アルキルが用いられる。アルキル化剤の使用量としては、一般式(I)で表される化合物の1モル当たり、好ましくは0.01 〜100モル、より好ましくは0.5〜20モル、さらに好ましくは1〜10モルの割合で使用される。
【0049】
本発明において一般式(II)で表される化合物を合成する工程では、好ましくは相間移動触媒が用いられる。本発明において用いられる相間移動触媒としてはアンモニウム塩(例えばテトラブチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド)、ホスフィニウム塩(例えば、テトラブチルホスフィニウムブロマイド)などが挙げられ、さらに好ましくはアンモニウム塩が使用される。相間移動触媒の使用量としては、一般式(I)で表される化合物の1モル当たり、好ましくは0.001 〜10モル、より好ましくは0.01〜1モル、さらに好ましくは0.05〜0.5モルの割合で使用される。
【0050】
本発明の一般式(II)で表される化合物を合成する反応においては、塩基の存在下で反応を行っても良い。この塩基としては無機化合物の塩基でもよいし、有機化合物の塩基でもよい。例えば水酸化化合物(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラブチルアンモニウム)、水素化化合物(例えば、水素化ナトリウム)、炭酸化合物(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、重炭酸化合物(例えば、重炭酸ナトリウム)、アミン類(例えばアンモニア、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン)アニリン類(例えば、アニリン、ジメチルアニリン)、芳香族ヘテロ環類(例えば、ピリジン、ピコリン、イミダゾール)、含窒素ヘテロ環類(例えば、1、8―ジアザビシクロ―[5,4,0]―7―ウンデセン)、酢酸塩化合物(例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム)、有機化合物の金属塩(たとえばナトリウムメトキシド、t―ブトキシカリウム)などが挙げられる。さらに好ましくは水酸化化合物が使用され、より好ましくは水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが使用される。塩基の使用量としては、一般式(I)もしくは一般式(II)で表される化合物の1モル当たり、好ましくは0.001 〜100モル、より好ましくは0.01〜20モル、さらに好ましくは0.1〜10モル、最も好ましくは0.5〜5モルの割合で使用される。
【0051】
本発明において一般式(III)で表される化合物を合成する工程で用いる還元剤としては既知の種々の還元剤を用いることができ、例えば水素化アルミニウム金属塩(例えば水素化アルミニウムリチウム)、水素化ホウ素金属塩(例えば水素化ホウ素ナトリウム)、金属(例えば鉄、亜鉛、ナトリウム)、水素(特にパラジウム、ラネーニッケルなどの金属触媒を一緒に用いることが好ましい)、ヒドラジン(特にパラジウム、ラネーニッケルなどの金属触媒を一緒に用いることが好ましい)、ハイドロサルファイトナトリウムなどを用いることができるが、鉄もしくはハイドロサルファイトナトリウムを用いることが好ましい。還元剤の使用量としては、一般式(II)で表される化合物の1モル当たり、好ましくは0.1 〜100モル、より好ましくは0.5〜20モル、さらに好ましくは1〜10モルの割合で使用される。
【0052】
本発明の方法で使用される一般式(I)で表される化合物は、既知の種々の方法によって合成でき、例えば後述のように4−t−ブチル−1−ハロベンゼン類をニトロ化する方法等によって合成できる。
【0053】
本発明の反応においては各工程ともに、無溶媒で反応を行ってもよいが、好ましくは適当な溶媒に溶解または分散して行ってもよい。本発明の反応に用いることのできる溶媒としては、例えば水、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)、塩素系溶媒(例えばジクロロメタン、クロロホルム)、芳香族系溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、キシレン)、アミド系溶媒(例えば、N、N−ジメチルホルムアミド、 N、N−ジメチルアセトアミド)、ウレイド系溶媒(例えば1、3―ジメチル−2―イミダゾリジノン)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル)、エーテル系溶媒(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン)、スルホン系溶媒(例えば、スルホラン)、スルホキシド系溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)、リン酸アミド系溶媒(例えば、ヘキサメチルホスホリックトリアミド)、炭化水素系溶媒(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン)が挙げられる。好ましくは水が用いられる。
【0054】
これら溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。溶媒の使用量としては、一般式(I)または一般式(II)で表される化合物の1質量部当たり、好ましくは0.1 〜1000質量部、より好ましくは0.5〜100質量部、さらに好ましくは1〜20質量部の割合で使用される。
【0055】
本発明においては各工程ともに、反応温度としては特に制限はないが、−50℃から300℃の範囲で実施可能であり、好ましくは0℃から250℃の範囲で実施でき、さらに好ましくは20℃から150℃の範囲で実施でき、特に好ましくは50℃から100℃の範囲で実施できる。
【0056】
本発明においては各工程ともに、反応時間としては特に制限はないが、1分から100時間の範囲で実施可能であり、好ましくは30分から50時間の範囲で実施でき、さらに好ましくは1時間から20時間の範囲で実施できる。
【0057】
本発明においては一般式(III)で表される化合物を酸を用いて造塩することにより、精製することができる。適当な溶媒中で造塩した後、ろ過して塩を単離し、さらにこの塩を塩基性の水溶液と有機溶媒とで処理して一般式(III)で表される化合物を抽出し、濃縮することで一般式(III)で表される化合物を精製することが好ましい。
【0058】
ここで用いる酸としては、無機の酸(例えば塩酸、硫酸、硝酸、燐酸)、カルボン酸(例えば蟻酸、酢酸)、スルホン酸(例えばp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸)などが挙げられ、スルホン酸が好ましく、p−トルエンスルホン酸が特に好ましい。酸の使用量としては、一般式(III)で表される化合物の1モル当たり、好ましくは0.1 〜10モル、より好ましくは0.5〜5モル、さらに好ましくは1〜2モルの割合で使用される。
【0059】
造塩時の溶媒としては、前記のような各種の溶媒が用いられるが、アルコール系溶媒、アセトニトリルが好ましく、またトルエン、キシレン、ヘキサン、酢酸エチルあるいはこれらの溶媒と水を混合したものを用いることも好ましい。また塩基性の水溶液とともに抽出に用いる溶媒としてはトルエン、キシレン、酢酸エチルが好ましい。
【0060】
本発明の化合物及び製造方法は、ハロゲン化銀写真感光材料に用いるイエロー色素形成カプラ−の合成中間体や、あるいは色素、医薬品、農薬、電子材料等の合成中間体として有用であり、これらの材料の製造方法として有用である。
特に、欧州公開特許公報第1246006A2号に記載の一般式(I)、(D)、(IV)で表わされる化合物において、R3とR4が置換したアニリンの部分構造に本発明の一般式(III)で表わされる化合物を使用するのが好ましく、このようなイエロー色素形成カプラーまたは色素は、該欧州公開特許公報に記載の色素形成カプラーまたは色素の合成方法において、本発明の一般式(III)で表わされる化合物を合成中間体として使用することにより、容易に合成される。
【0061】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0062】
<実施例1>
例示化合物(1)および例示化合物(11)を下記に示すとおり合成した。
【0063】
【化17】
【0064】
濃硫酸400mlに氷冷下、濃硝酸(比重1.38)400mlを滴下した。この溶液に氷冷下、化合物(A−1)370gを1時間かけて滴下し、30〜35℃にて5時間撹拌した。反応混合物を氷水1lに添加した後、酢酸エチル1lを添加して抽出、分液し更に有機層を水1lで2回洗浄し、重曹水1lで洗浄し、飽和食塩水1lで洗浄した。溶媒を減圧留去し、化合物(A−2)454gを得た。収率97.1%。
化合物(A−2)106.8g、テトラブチルアンモニウムブロマイド16.0g、水300mlの混合物を75℃に加熱し、これに撹拌しながら硫化ナトリウム9水和物360gを水500mlに溶解した溶液を40分かけて滴下した。さらに75℃にて30分撹拌した後、この反応溶液に2−エチルヘキシルブロマイド217gを添加し、その後80℃にて4時間撹拌し、例示化合物(1)の反応混合物を得た。この反応溶液を静置して水層を分液して除いた後、有機層に水酸化ナトリウム120gを水250mlに溶解した水溶液およびメタノール500mlを加え75℃に昇温した。この反応溶液にハイドロサルファイトナトリウム65gを添加し75℃で15分撹拌した。さらにハイドロサルファイトナトリウム65gおよび水50mlを添加することを3回繰り返した後、75℃で1時間半撹拌した。酢酸エチル200ml、水500mlを添加して抽出、分液し更に有機層を飽和食塩水500mlにて2回洗浄した。溶媒を減圧留去した後、残留物をp−トルエンスルホン酸120gのアセトニトリル1.3l溶液中に滴下し、氷冷して造塩した。吸引ろ過して得られた塩を酢酸エチル1lおよび水酸化ナトリウム40gを水500mlに溶解した水溶液に加えて抽出、分液し更に有機層を飽和食塩水500mlで洗浄した。溶媒を減圧留去し、例示化合物(11)130.0gを得た。収率88.6%。1H−NMR(300MHz、CDCl3)7.29(d、1H)、6.75〜6.68(m、2H)、4.25(bs、2H)、2.72(d、2H)、1.58〜1.15(m、18H)、0.93〜0.80(m、6H)。
【0065】
<実施例2>
例示化合物(1)、および例示化合物(11)を下記に示すとおり合成した。
【0066】
【化18】
【0067】
濃硫酸500mlに氷冷下、濃硝酸(比重1.38)500mlを滴下した。この溶液に氷冷下、化合物(B−1)426gを1時間かけて滴下し、30〜35℃にて7時間撹拌した。反応混合物を氷水1lに添加した後、ヘキサン1lを添加して抽出、分液し更に有機層を水1lで2回洗浄し、重曹水1lで洗浄し、飽和食塩水1lで洗浄した。溶媒を減圧留去し、化合物(B−2)516gを得た。収率100%。
化合物(B−2)129.1g、テトラブチルアンモニウムブロマイド16.0g、水300mlの混合物を75℃に加熱し、これに撹拌しながら硫化ナトリウム9水和物360gを水500mlに溶解した溶液を40分かけて滴下した。さらに75℃にて30分撹拌した後、この反応溶液に2−エチルヘキシルブロマイド217gを添加し、その後80℃にて4時間撹拌し例示化合物(1)の反応混合物を得た。この反応溶液を静置して水層を分液して除いた後、有機層に水酸化ナトリウム120gを水250mlに溶解した水溶液およびメタノール500mlを加え75℃に昇温した。この反応溶液にハイドロサルファイトナトリウム65gを添加し75℃で15分撹拌した。さらにハイドロサルファイトナトリウム65gおよび水50mlを添加することを3回繰り返した後、75℃で1時間半撹拌した。酢酸エチル200ml、水500mlを添加して抽出、分液し更に有機層を飽和食塩水500mlにて2回洗浄した。溶媒を減圧留去した後、残留物をp−トルエンスルホン酸120gのアセトニトリル1.3l溶液中に滴下し、氷冷して造塩した。吸引ろ過して得られた塩を酢酸エチル1lおよび水酸化ナトリウム40gを水500mlに溶解した水溶液に加えて抽出、分液し更に有機層を飽和食塩水500mlで洗浄した。溶媒を減圧留去し、例示化合物(11)120.9gを得た。収率82.4%。
【0068】
<実施例3>
例示化合物(1)、および例示化合物(11)を下記に示すとおり合成した。
【0069】
【化19】
【0070】
硫化ナトリウム9水和物360g、テトラブチルアンモニウムブロマイド16.0gを水220mlに溶解した溶液に75℃にて、化合物(A−2)106.8gと2−エチルヘキシルブロマイド106gの混合物を撹拌しながら50分かけて滴下し、さらに75℃にて1時間撹拌し例示化合物(1)の反応混合物を得た。この反応溶液を静置して水層を分液して除いた後、有機層に水酸化ナトリウム120gを水250mlに溶解した水溶液およびメタノール500mlを加え75℃に昇温した。この反応溶液にハイドロサルファイトナトリウム176gを3回に分けて添加し、75℃で1時間半撹拌した。酢酸エチル200ml、水500mlを添加して抽出、分液し更に有機層を飽和食塩水500mlにて2回洗浄した。溶媒を減圧留去した後、残留物をp−トルエンスルホン酸120gのアセトニトリル1.3l溶液中に滴下し、氷冷して造塩した。吸引ろ過して得られた塩を酢酸エチル1lおよび水酸化ナトリウム40gを水500mlに溶解した水溶液に加えて抽出、分液し更に有機層を飽和食塩水500mlで洗浄した。溶媒を減圧留去し、例示化合物(11)132.4gを得た。収率90.2%。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、入手容易な原料から短工程にて効率良く安価に1−アルキルチオ−4−t−ブチル−2−ニトロベンゼン類、および2−アルキルチオ−5−t−ブチルアニリン類を製造する方法を提供できる。
Claims (5)
- 請求項1に記載の反応を相間移動触媒の存在下で行うことを特徴とする前記一般式(II)で表される化合物の製造方法。
- 前記請求項3に記載の製造方法において、前記一般式(II)で表される化合物を反応液から単離せずそのまま次の還元を行うことを特徴とする前記一般式(III)で表される化合物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002381752A JP2004210706A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 1−アルキルチオ−4−t−ブチル−2−ニトロベンゼン類および2−アルキルチオ−5−t−ブチルアニリン類の製造方法、並びに該製造方法で得られる化合物 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002381752A JP2004210706A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 1−アルキルチオ−4−t−ブチル−2−ニトロベンゼン類および2−アルキルチオ−5−t−ブチルアニリン類の製造方法、並びに該製造方法で得られる化合物 |
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JP2002381752A Pending JP2004210706A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 1−アルキルチオ−4−t−ブチル−2−ニトロベンゼン類および2−アルキルチオ−5−t−ブチルアニリン類の製造方法、並びに該製造方法で得られる化合物 |
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-
2002
- 2002-12-27 JP JP2002381752A patent/JP2004210706A/ja active Pending
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