JP2004210579A - 多孔質シリカフィルムの製造方法、該方法により得られた多孔質シリカフィルム、並びにそれからなる半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る多孔質シリカフィルムの製造方法は、界面活性剤と環状シロキサンとの存在下に、アルコキシシラン類を加水分解縮合して塗布液を調製し、該塗布液を基板表面に塗布し、次いで、基板表面に形成された塗布膜を加熱することを特徴とする。
【効果】本発明の多孔質シリカフィルムの製造方法によれば、空隙率が増加するため誘電率が小さく、さらに疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを得ることができる。
【選択図】 なし
【効果】本発明の多孔質シリカフィルムの製造方法によれば、空隙率が増加するため誘電率が小さく、さらに疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを得ることができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、多孔質シリカフィルムの製造方法、該方法により得られた多孔質シリカフィルムに関する。より詳細には、空隙率が高く、疎水性に優れる多孔質シリカフィルムの製造方法、該方法により得られた多孔質シリカフィルムに関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
均一なメソ細孔を持つ多孔質の無機化合物は、従来のゼオライト等の酸化物に比べ、大きな細孔を有し、細孔容積および表面積が大きいため、触媒担体、分離吸着剤、燃料電池、センサーへの利用が検討されている。
このような均一なメソ細孔を持つ酸化物の製造法に関しては、有機化合物を利用して無機物の構造制御を利用した方法が、新規な形状、構造が得られるため注目されている。特に有機化合物と無機化合物の自己組織化を利用することで合成される均一なメソ細孔を持つ酸化物は、従来のゼオライト等の酸化物に比べ、高い細孔容積、表面積を持つことが知られている。ここで言う均一なメソ細孔を持つ酸化物とは、酸化物中に細孔が規則正しく配置しているため、X線回折法による測定で構造規則性を示す回折ピークの存在が認められるものを指す。
【0003】
有機化合物と無機化合物の自己組織化を利用した均一なメソ細孔を持つ酸化物の製造方法としては、例えば、国際公開91/11390号明細書には、シリカゲルと界面活性剤などを用いて、密封した耐熱性容器内で水熱合成することにより製造する方法が記載されている。また、Bull.Chem.Soc.Jp.誌,1990年,63巻,988頁には、層状ケイ酸塩の一種であるカネマイトと界面活性剤とのイオン交換により製造する方法が記載されている。
【0004】
このような均一なメソ細孔を持つ酸化物を半導体材料などに用いるために、近年、その形態をフィルム状に調製することが報告されている。
例えば、Nature誌,1996年,379巻,703頁、J.Am.Chem.Soc.誌,1999年,121巻,7618頁などには、アルコキシシランの縮合物と界面活性剤からなるゾル液中に基板を浸漬し、その基板表面に多孔質シリカを析出させてフィルム状に形成する方法が記載されている。さらに、Supramolecular Science誌,1998年,5巻,247頁、Adv.Mater.誌,1998年,10巻,1280頁、Nature誌,1997年,389巻,364頁、あるいはNature誌,1999年,398巻,223頁などには、アルコキシシラン類の縮合物と界面活性剤とを有機溶媒に混合した溶液を基板に塗布し、次いで有機溶媒を蒸発させて基板上にフィルムを調製する方法が記載されている。
【0005】
このうち、前者の基板表面に多孔質シリカを析出する方法では調製に長時間を要し、また、粉体として析出する多孔質シリカが多く歩留まりが悪いなどの欠点があるため、後者の有機溶媒を蒸発させる方法の方が多孔質シリカフィルムの調製には優れている。
この有機溶媒を蒸発させて基板上にフィルムを調製する方法において用いられる溶媒としては、たとえば、特開2000−38509号公報には、多価アルコールグリコールエーテル溶媒、グリコールアセテートエーテル溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、カルボン酸エステル溶媒などが記載されており、また国際公開99/03926号明細書には、アミド結合を有する有機溶媒およびエステル結合を有する有機溶媒など、種々の溶媒が記載されている。
【0006】
一方、このような多孔質シリカフィルムを半導体材料などに用いるに際し、膜の疎水性と高空隙率化との両立が問題となっている。例えば、多孔質シリカフィルムは、半導体材料として層間絶縁膜に使用する場合、比誘電率が1である空孔の割合が高いため非常に低い比誘電率、すなわち高空隙率を有する膜として有望であるが、多孔質であるが故に、誘電率の大きいH2Oを容易に吸着してしまい誘電率が著しく増大してしまう。そのため、層間絶縁膜中に疎水性官能基を導入する方法が提案されている。
【0007】
例えば、細孔内シラノール基をトリメチルシリル化によって水の吸着を防止して絶縁性を保持する方法が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、この方法では細孔内のシラノール基を完全にシリル化できないことが報告されている(非特許文献1、非特許文献2参照)。
また、メチルトリアルコキシシラン類とテトラアルコキシシラン類の共縮合物(共ゲル化物)を用いた塗布液による多孔質シリカフィルムの製造方法が提案されている(特許文献3参照)。この方法は、疎水化成分であるメチルトリアルコキシシラン類の使用割合を増加させた塗布液を用いることで、得られる多孔質シリカフィルムの疎水性を向上させるものである。
【0008】
しかしながら、この公報で得られる膜は、X線回折法による測定で周期的な構造を示さないため、細孔が均一に規則正しく配列していない。従って均質な材料としての利用は困難である。
また、ジメチルアルコキシシラン類、テトラアルコキシシラン類をそれぞれ部分的に加水分解した後に混合して疎水性メソポーラスシリカ粉体を製造する方法が報告されている(非特許文献3参照)。この方法により得られる粉体はジアルキルアルコキシシランが比較的多く導入されても規則的細孔構造を持ち、さらに疎水性にも優れる。しかしながら、この製造法では製造に数日を要するため実用的ではなく、さらに得られるものが粉体であるため半導体材料などに使用するには好ましくない。
【0009】
また、環状シロキサン化合物であるテトラメチルテトラシクロシロキサンを粉体表面に薄膜コーティングする方法により得られた粉体は疎水性を示すことが報告されている(非特許文献4参照)。しかしながら、粉体であるため半導体材料に使用するには好ましくない。
さらに、環状シロキサン化合物をプラズマCVD法により基板上に成膜する方法が報告されている(特許文献4〜7参照)。しかしながら、この方法では、プラズマを発生させるために非常に高価な装置が必要であって好ましくない。また、得られる膜は非常に低い気孔率であり、このことから、例えば半導体材料として層間絶縁膜に使用する場合、空孔の割合が低いため低比誘電率が期待できないという問題があった。
【0010】
さらに、環状シロキサン類を加水分解縮合したシロキサン系樹脂を成膜する方法が報告されている(特許文献8参照)。しかしながら、この方法では細孔形成を制御するための添加剤を一切使用していないので、得られる膜の空隙率は低く低誘電率が期待できないといった問題があった。
一方、最近の半導体技術の進歩に伴い、多孔質シリカフィルムの低誘電率化がさらに求められている。低誘電率化の方法として、多孔質シリカフィルムの空隙率を増加させる方法がある。そのような方法として、従来から、界面活性剤の分子の長さを長くし、より大きな細孔径を有する多孔質シリカフィルムを製造し、空隙率を増加させることにより低誘電率化する方法が試みられている。しかしながら、そのような長さが調整された界面活性剤を合成するのは困難であり、さらに長さが調整された界面活性剤が合成されたとしても、所望の細孔径を有する多孔質シリカフィルムを製造することは困難であった。
【0011】
また、多孔質シリカフィルムの細孔径を大きくする方法として、界面活性剤のミセル内部にポリマーを導入し、多孔質シリカフィルムを製造する方法が試みられている。そのようなものとして、疎水性ポリマーを用いた多孔質シリカフィルムを製造する方法が報告されている(特許文献9参照)。この方法により得られる多孔質シリカフィルムは空隙率が増加し、低誘電率化するが、該フィルムを調製した後、さらに疎水化処理を行う必要があり製造工程が煩雑であるという問題があった。
【0012】
【特許文献1】
国際公開第00/39028号明細書
【特許文献2】
米国特許第6208014号明細書
【特許文献3】
特開2001−049174号公報
【特許文献4】
特開平5−202478号公報
【特許文献5】
米国特許第20020098714号明細書
【特許文献6】
国際公開第02/043119号明細書
【特許文献7】
米国特許第6348725号明細書
【特許文献8】
ヨーロッパ特許第1217649号明細書
【特許文献9】
米国特許第6270846号明細書
【非特許文献1】
J.Phys.Chem.誌,B1997巻,101号,6525頁
【非特許文献2】
J.Colloid Interface Sci.誌,1997年,188号,409頁
【非特許文献3】
Chem.Commun.誌,2000年,1487頁
【非特許文献4】
表面科学誌,2001年,22巻,9頁
【0013】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う課題を解決するものであって、多孔質シリカフィルムを製造した後に疎水化処理を行う必要がなく、さらに低誘電率で疎水性に優れる多孔質シリカフィルムの製造方法、および該方法により得られた多孔質シリカフィルムを提供することを目的とする。
【0014】
【発明の概要】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、環状シロキサンを用いて多孔質シリカフィルムを製造することにより、多孔質シリカフィルムを製造した後に疎水化処理を行う必要がなく、低誘電率で疎水性に優れる多孔質シリカフィルムが得られることを見出し、本発明に至った。
【0015】
すなわち本発明の多孔質シリカフィルムの製造方法は、界面活性剤と環状シロキサンとの存在下に、アルコキシシラン類を加水分解縮合して塗布液を調製し、該塗布液を基板表面に塗布し、次いで、基板表面に形成された塗布膜を加熱することを特徴とする。
上記塗布液にシリコーンオイルを添加することも好ましい。
【0016】
上記基板表面に形成された塗布膜を加熱することにより、界面活性剤を除去し、かつ環状シロキサン類の重合物を多孔質シリカフィルムの細孔内部に形成する。
また、上記基板表面に形成された塗布膜を加熱する際の温度が、250〜600℃であることも好ましい。
【0017】
さらに、上記界面活性剤と上記環状シロキサンとを含有する混合溶液を、部分的に加水分解脱水縮合されたアルコキシシラン類に添加することが好ましい。
上記環状シロキサン類が、一般式
【0018】
【化4】
【0019】
(式中、R1、R2は同一でも異なっていてもよく、それぞれH、C6H5、CaH2a+1、CF3(CF2)b(CH2)c、ハロゲン原子を示し、aは1〜3の整数、bは0〜10の整数、cは0〜4の整数であり、nは3〜8の整数である)
で表される環状シロキサン化合物の少なくとも1種であることが好ましい。
さらに、上記環状シロキサン類が、一般式
【0020】
【化5】
【0021】
(式中、R3、R4、R5、R6、R7、R8は同一でも異なっていてもよく、それぞれH、C6H5、CaH2a+1、CF3(CF2)b(CH2)c、ハロゲン原子を示し、aは1〜3の整数、bは0〜10の整数、cは0〜4の整数であり、
Lは0〜8の整数、mは0〜8の整数、nは0〜8の整数であり、かつ3≦L+m+n≦8であり、
Si−H結合が少なくとも2つ以上含まれる)
で表される環状シロキサン化合物の少なくとも1種であることも好ましい。
【0022】
またさらに、上記環状シロキサン類が、一般式
【0023】
【化6】
【0024】
(式中、R9は、H、C6H5、CaH2a+1、CF3(CF2)b(CH2)c、ハロゲン原子を示し、aは1〜3の整数、bは0〜10の整数、cは0〜4の整数であり、nは3〜8の整数である)
で表される環状シロキサン化合物の少なくとも1種であることも好ましい。
本発明に係る多孔質シリカフィルムは、上記の方法で得られたことを特徴とする。
【0025】
本発明に係る半導体材料は、上記の細孔径が拡大された多孔質シリカフィルムが用いられていることを特徴とする。
さらに、本発明に係る半導体装置は、上記半導体材料が用いられていることを特徴とする。
【0026】
【発明の具体的説明】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の多孔質シリカフィルムの製造方法は、アルコキシシラン類を、界面活性剤と環状シロキサンとの存在下に加水分解、脱水縮合して得られる塗布液を、基板表面に塗布し、次いで、界面活性剤を除去することを特徴とする多孔質シリカフィルムを調製する方法である。
【0027】
まず、以下に本発明に用いられる塗布液について説明する。
塗布液
本発明に用いられる塗布液は、上述のようにアルコキシシラン類を界面活性剤と環状シロキサンとの存在下で加水分解、脱水縮合して得られる。
そのような塗布液は、具体的には、
(1)それぞれ後述するような成分であるアルコキシシラン類、界面活性剤、環状シロキサン、触媒、および水、さらに必要に応じて溶媒を一度に添加して数分〜5時間程度攪拌して得ることができ、
(2)アルコキシシラン類、触媒、および水、さらに必要に応じて溶媒を添加し、10分〜5時間程度攪拌して、アルコキシシラン類を一部加水分解、脱水縮合させ、さらに必要に応じて溶媒に溶解された界面活性剤と、必要に応じて溶媒に溶解された環状シロキサンを添加し、さらに数分〜5時間程度攪拌して得ることもでき、
(3)アルコキシシラン類、触媒、および水、さらに必要に応じて溶媒を添加し、10分〜5時間程度攪拌して、アルコキシシラン類を一部加水分解、脱水縮合させ、さらに界面活性剤と環状シロキサンと溶媒との混合溶液を添加し、さらに数分〜5時間程度攪拌して得ることもできる。
【0028】
このようにして得られる塗布液においては、環状シロキサンを中心として界面活性剤の疎水基が配列するため、ミセルの径は大きくなると考えられる。したがって、そのようなミセルを含有する塗布液から得られる多孔質シリカフィルムの細孔径は大きくなり空隙率が増加するため、誘電率が小さい多孔質シリカフィルムを得ることができる。また、該塗布液から得られる多孔質シリカフィルムは、疎水性に優れる。つまり、塗布液を基板に塗布し、乾燥させた後、さらに、焼成により界面活性剤を除去すると、ミセルの中心部に存在していた環状シロキサン類が、多孔質シリカフィルムの細孔内表面で重合し、表面が疎水性官能基を持つシロキサンの薄膜で被膜されると考えられる。
【0029】
本発明においては、上記(3)のように、界面活性剤と環状シロキサンとを予め混合して混合溶液を調製し、部分的に加水分解脱水縮合されているアルコキシシラン類に添加することが好ましい。このように塗布液を調製することにより、ミセル内部に環状シロキサンが効率よく取り込まれると考えられ、その後、塗布液を基板に塗布し、乾燥させた後、さらに、焼成により界面活性剤を除去すると、誘電率が小さい多孔質シリカフィルムを容易に製造することができる。
【0030】
また、上述の製法において、環状シロキサンと共に、シリコーンオイルを用いることも好ましい。それによって、さらに疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを得ることができる。つまり、塗布液を調製する際に、環状シロキサンとシリコーンオイルを中心として界面活性剤が配列し、ミセルを形成すると考えられる。その後、塗布液を基板に塗布し、乾燥させた後、さらに、焼成により界面活性剤を除去すると、ミセルの中心部に取り込まれたシリコーンオイルが多孔質シリカフィルムの細孔内表面に付着し、細孔壁を部分的に厚膜化することで細孔径が小さくなった狭部を形成すると考えられる。そのような狭部は、多孔質シリカフィルムの断面TEM観察をすると、細孔内の細孔壁同士が約1〜40Åの範囲で離間している。さらに狭部で環状シロキサン類が重合することによって、狭部が閉塞され、さらに疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを得ることができると考えられる。
【0031】
以下、上記各成分について説明する。
(アルコキシシラン類)
塗布液の調製に用いられるアルコキシシラン類としては、具体的には、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブチルシラン等の4級アルコキシシラン;
トリメトキシフルオロシラン、トリエトキシフルオロシラン、トリイソプロポキシフルオロシラン、トリブトキシフルオロシラン等の3級アルコキシフルオロシラン;
トリメトキシメチルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラン、トリエトキシエチルシラン、トリメトキシプロピルシラン、トリエトキシプロピルシラン等の3級アルコキシアルキルシラン;
トリメトキシフェニルシラン、トリエトキシフェニルシラン、トリメトキシクロロフェニルシラン、トリエトキシクロロフェニルシラン等の3級アルコキシアリールシラン;
トリメトキシフェネチルシラン、トリエトキシフェネチルシラン等の3級アルコキシフェネチルシラン;
ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン等の2級アルコキシアルキルシラン等が挙げられる。これらのうちでは、テトラエトキシシランを用いることが好ましい。本発明においてアルコキシシラン類は、これらから選ばれる1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0032】
本発明において、アルコキシシラン類として、テトラエトキシシランを用いることにより、室温下での加水分解反応を制御することが容易となる。
(環状シロキサン類)
また、塗布液の調製に用いられる環状シロキサン類としては、一般式
【0033】
【化7】
【0034】
(式中、R1、R2は同一でも異なっていてもよく、それぞれH、C6H5、CaH2a+1、またはCF3(CF2)b(CH2)c、ハロゲン原子を示し、aは1〜3の整数、bは0〜10の整数、cは0〜4の整数であり、nは3〜8の整数である。)で表される環状シロキサン化合物を用いることができる。上記式で表される環状シロキサン化合物は、Si−H結合を少なくとも2つ以上有することが好ましく、また、R1、R2の少なくともいずれかがHであることも好ましい。
【0035】
このような環状シロキサンを用いると、得られる多孔質シリカフィルムの細孔径は大きくなり空隙率が増加するため、誘電率が低下する。さらに、疎水性に優れた多孔質シリカフィルムを調製することができる。
そのような環状シロキサン類は、具体的には、トリ(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメチルシクロトリシロキサン、トリフェニルトリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、テトラエチルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。特に、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンが好ましい。本発明において用いられる環状シロキサン類は、これらの中から1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0036】
本発明に用いられる環状シロキサン類のモル数は、アルコキシシラン類のモル数に対して、好ましくは0.1〜50モル%、さらに好ましくは0.5〜25モル%、特に好ましくは1〜10モル%の範囲が望ましい。このようなモル比で環状シロキサン類を用いると、誘電率が低下され、さらに疎水性に優れた多孔質シリカフィルムを効率よく調製することができる。
【0037】
(界面活性剤)
塗布液の調製に用いられる界面活性剤としては、通常、長鎖アルキル基および親水基を有する化合物を使用することができる。長鎖アルキル基としては、好ましくは炭素原子数8〜24のもの、さらに好ましくは炭素原子数12〜18のものが望ましく、また、親水基としては、例えば、4級アンモニウム塩、アミノ基、ニトロソ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等が挙げられ、好ましくは4級アンモニウム塩、またはヒドロキシル基であることが望ましい。
【0038】
そのような界面活性剤としては、具体的には、
一般式:CnH2n+1(N(CH3)2)a(CH2)mN(CH3)2CLH2L+1X(1+a)
(式中、aは0または1であり、nは8〜24の整数であり、mは0〜12の整数であり、Lは1〜24の整数であり、Xはハロゲン化物イオン、HSO4 −または有機アニオンである。)で表されるアルキルアンモニウム塩の使用が好ましい。
【0039】
本発明の多孔質フィルムの製造方法において、界面活性剤は、アルコキシシラン類とのモル比を変えることにより、得られる多孔質シリカフィルムの結晶構造を制御することができる。
上記界面活性剤のモル数は、アルコキシシラン類のモル数に対して、好ましくは0.03〜1倍、さらに好ましくは0.05〜0.2倍、特に好ましくは0.07〜0.15倍の範囲が望ましい。上記一般式で表される界面活性剤が上記範囲にあることにより、自己組織化に寄与できない過剰なシリカが混在することがないため、フィルムの多孔質性が向上し、さらに、均一な細孔を有する六方晶系の周期的な結晶構造を形成することができるため、焼成によってその構造が崩壊しない。
【0040】
また、界面活性剤としては、ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物も使用できる。
ポリアルキレンオキシド構造としてはポリエチレンオキシド構造、ポリプロピレンオキシド構造、ポリテトラメチレンオキシド構造、ポリブチレンオキシド構造などが挙げられる。
【0041】
そのようなポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物としては、具体的には、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのエーテル型化合物;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエーテルエステル型化合物などを挙げることができる。
【0042】
界面活性剤が、ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物の場合には、界面活性剤のモル数がアルコキシシラン類のモル数に対して、好ましくは0.003〜0.05倍、さらに好ましくは0.005〜0.03倍、特に好ましくは0.007〜0.02倍の範囲が望ましい。上記ポリアルキレンオキサイド構造を有する界面活性剤が上記範囲にあることにより、自己組織化に寄与できない過剰なシリカが混在することがないため、フィルムの多孔質性が向上し、さらに、均一な細孔を有する六方晶系の周期的な結晶構造を形成することができるため、焼成によってその構造が崩壊しない。
【0043】
本発明において、界面活性剤は、これらから選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることできる。界面活性剤が上記に示した範囲で添加されるのであれば、界面活性剤の状態は問われず、固体状態、溶媒に溶解した状態の何れの状態であってもよい。
上記の界面活性剤は、水中でミセルを形成し、規則的に配列する。本発明においては、このミセルをテンプレートとして、シリカと複合体をつくり、テンプレートを除去すると均一で規則的な細孔を有する多孔質シリカフィルムを調製することができる。
【0044】
(触媒および溶媒)
塗布液の調製に用いられる触媒としては酸が使用され、例えば、塩酸、臭酸、硝酸、硫酸等が挙げられる。さらに、上記溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール等の一級アルコール;2−プロパノール、2−ブタノール等の二級アルコール;ターシャリーブチルアルコール等の三級アルコール;アセトン、アセトニトリル等が挙げられる。溶媒は、これらから選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることできる。
【0045】
(シリコーンオイル)
本発明において、必要に応じて塗布液に添加されるシリコーンオイルとしては、特に限定されないが、ポリジメチルシロキサンを主成分とする有機ケイ素化合物が挙げられる。そのようなものとして、トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルシロキサンとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ポリフェニルメチルシロキサンとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ポリ−3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサンとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ポリエチレンオキシドとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ポリプロピレンオキシドとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ヒドリド末端ポリジメチルシロキサン、ポリメチルヒドリドシロキサンとポリジメチルシロキサンのコポリマー、シラノール末端ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。本発明において用いられるシリコーンオイルは、これらの中から1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0046】
このようなシリコーンオイルの添加量は、アルコキシシラン類の100重量部に対して、好ましくは1〜100重量部、さらに好ましくは5〜50重量部の範囲が望ましい。シリコーンオイルが上記範囲で添加されることにより、さらに疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを得ることができる。
〔多孔質シリカフィルムの製造方法〕
本発明に係る多孔質シリカフィルムは、上述のようにして調製された塗布液を、基板に塗布し、該基板表面に形成された塗布膜を乾燥させた後、さらに、焼成により界面活性剤を除去することにより製造される。
【0047】
この基板としては、一般的に用いられるものであれば何れのものも使用できる。例えば、ガラス、石英、シリコンウエハー、ステンレス等が挙げられる。また、板状、皿状等の何れの形状であってもよい。
また、基板に塗布液を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、ディップコート法等の一般的な方法が挙げられる。スピンコート法の場合、スピナー上に基板を置き、該基板上に試料を滴下し、500〜10000rpmで回転させる。
【0048】
また、乾燥条件は特に限定されず、溶媒が蒸発できればよい。
一方、焼成する際の温度は、用いられる環状シロキサン類の種類によって好ましい範囲が異なるが、250〜600℃、好ましくは300〜450℃の範囲であることが望ましい。上記温度範囲であれば、界面活性剤が除去され、かつ環状シロキサン類の重合物が多孔質シリカフィルムの細孔内部に形成されるため、疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを得ることができる。また、焼成雰囲気は、大気中、不活性ガス中、真空中のいずれの状態であってもよいが、不活性ガス中、真空中が、疎水性官能基へのダメージが少ないため、より疎水性が発揮できて好ましい。
【0049】
上述したように、本発明に用いられる塗布液に環状シロキサンを用いることにより、環状シロキサンを用いないで調製された多孔質シリカフィルムよりも細孔径が大きく、低誘電率化した多孔質シリカフィルムを得ることができる。さらに、上記範囲で焼成することにより、環状シロキサン類が多孔質シリカフィルムの細孔内表面で重合することによって、表面が疎水性官能基を持つシロキサンの薄膜で被膜されると考えられ、疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを得ることができる。したがって、本発明の多孔質シリカフィルムを製造した後に、疎水化処理を行う必要がない。
【0050】
また、塗布液に環状シロキサンと共にシリコーンオイルを用いることも好ましく、さらに疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを得ることができる。
このように、本発明の多孔質シリカフィルムの製造方法によれば、多孔質シリカフィルムを製造した後に疎水化処理を行うことなく、誘電率および疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを得ることができる。
【0051】
〔多孔質シリカフィルム〕
本発明の多孔質シリカフィルムが得られ、該フィルムは、自立した状態(フィルム単独)、または基板に固着した状態で得られる。
本発明の多孔質シリカフィルムの面間隔はX線回折法により確認され、環状シロキサンを用いることなく製造された多孔質シリカフィルムに比べ1.1〜2.5倍拡大する。面間隔の拡大は細孔径の拡大および空隙率の増加と相関があるため、環状シロキサンを用いることなく製造された多孔質シリカフィルムに比べ多孔質シリカフィルムは低誘電率化する。
【0052】
このようにして得られる多孔質シリカフィルムは、上述したように面間隔が大きくなり空隙率が増加するためより低誘電率となり、さらに細孔内表面が疎水性官能基を持つシロキサンの薄膜で被膜されるため疎水性に優れる。また、塗布液に環状シロキサンと共にシリコーンオイルを用いた場合、さらに疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを得ることができる。
【0053】
本発明の多孔質シリカフィルムの誘電率は、乾燥雰囲気下での比誘電率測定により確認される。ここで言う乾燥雰囲気下とは、多孔質シリカフィルムを乾燥N2中で加熱し、フィルム中に存在する吸着水を除去した状態を示す。このような状態では、多孔質シリカフィルムが保持する空隙率に相当する比誘電率が測定されると考えられる。さらに、多孔質シリカフィルムの疎水性は、加湿雰囲気下の比誘電率を測定することで確認される。ここで言う加湿雰囲気下とは、湿度調節器等を用いて一定の相対湿度に保持した状態を示す。このような状態では、多孔質シリカフィルムの疎水性の程度によってH2Oの吸着量が変化するため、疎水化に相当する比誘電率が測定されると考えられる。
【0054】
本発明の細孔径が拡大された多孔質シリカフィルムは、誘電率と疎水性の両方に優れるため、層間絶縁膜、配線間絶縁膜などの半導体材料;分子記録媒体、透明導電性フィルム、固体電解質、光導波路、LCD用カラー部材などの光機能材料、電子機能材料として用いることができる。特に、半導体材料の層間絶縁膜や配線間絶縁膜には、低誘電率と疎水性が求められており、このような低誘電率と疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを用いることが好ましい。
【0055】
以下に、本発明の多孔質シリカフィルムを配線間絶縁膜として用いた半導体装置について具体的に説明する。
まず、上述のようにしてシリコンウエハー表面上に、多孔質シリカフィルムを形成する。本発明の多孔質シリカフィルムの製造方法によれば、空隙率が増加するため低誘電率化し、さらに疎水性に優れる配線間絶縁膜を得ることができる。次いで、該多孔質シリカフィルムを、フィルム上に形成されたフォトレジストのパターン通りにエッチングする。このように多孔質シリカフィルムをエッチングした後に、気相成長法(CVD;Chemical Vapor Deposition)により多孔質シリカフィルム表面に窒化チタン(TiN)や窒化タンタル(TaN)などからなるバリア膜を形成する。
【0056】
さらに、多孔質シリカフィルム表面にバリア膜を成膜した後、メタルCVD法、スパッタリング法あるいは電解メッキ法により銅配線を形成し、さらにCMP(Chemical Mechanical Polishing)により膜を平滑化する。さらに、キャップ膜を表面に作成する。さらに必要であれば、ハードマスクを形成し上記の工程を繰り返すことで多層化することができ、本発明の半導体装置を製造することができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明の多孔質シリカフィルムの製造方法によれば、空隙率が増加するため低誘電率化し、さらに疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを得ることができる。
【0058】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例、比較例における面間隔の測定、窒素ガス吸着法による細孔径の測定、比誘電率の測定は以下のようにして行った。
面間隔の測定
XRD測定はCuKα線で40kV,20mA、モノクロメーター(グラファイト0002)を使用し集中法で行う。
乾燥雰囲気下での比誘電率の測定
基板上の多孔質フィルム表面と基板に用いたシリコンウエハーの裏面に蒸着法によりアルミニウム電極を作成し、乾燥N2中、400℃、30min乾燥し、25℃になるまでN2中で冷却後、周波数100kHzにて常法により行う。
加湿雰囲気下での比誘電率の測定
基板上の多孔質フィルム表面と基板に用いたシリコンウエハーの裏面に蒸着法によりアルミニウム電極を作成し、25℃、相対湿度50%の雰囲気下、周波数100kHzにて常法により行う。
【0059】
【実施例1】
テトラエトキシシラン10.0gとエタノール10mLとを室温下混合撹拌した後、1N塩酸1.0mLおよび水10mLを添加撹拌した。撹拌後、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(アヅマックス(株)製)0.3gとポリ(アルキレンオキサイド)ブロックコポリマー(BASF社製PluronicP123,HO(CH2CH2O)20(CH2CH(CH3)O)70(CH2CH2O)20H)3.0gとをエタノール60mLに溶解した混合溶液に添加し、透明、均一な塗布液を得た。
【0060】
この塗布液を、8inchシリコンウエハー表面上に数滴載せ、2000rpmで10秒間回転させて、シリコンウエハー表面に塗布した後、100℃で乾燥し、さらに400℃で3時間焼成して、多孔質フィルムを調製した。得られた多孔質フィルムは、X線回折測定により、面間隔12.1nmであった。また、乾燥雰囲気下での比誘電率は、k=1.7であり、加湿雰囲気下の比誘電率は2.4であった。
【0061】
【実施例2】
テトラエトキシシラン10.0gとエタノール10mLとを室温下混合撹拌した後、1N塩酸1.0mLおよび水10.0mLを添加撹拌した。撹拌後、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(アヅマックス(株)製)0.3gと、ポリジメチルシロキサンとポリエチレンレンオキシドのブロックコポリマー(8000ppm、アヅマックス(株)製DBE−C25)0.6gと、ポリ(アルキレンオキサイド)ブロックコポリマー(BASF社製PluronicP123,HO(CH2CH2O)20(CH2CH(CH3)O)70(CH2CH2O)20H)3.0gとをエタノール60mLに溶解した混合溶液に添加し、透明、均一な塗布液を得た。
【0062】
この塗布液を、8inchシリコンウエハー表面上に数滴載せ、2000rpmで10秒間回転させて、シリコンウエハー表面に塗布した後、100℃で乾燥し、さらに400℃で3時間焼成して、多孔質フィルムを調製した。得られた多孔質フィルムは、X線回折測定により、面間隔13.0nmであった。また、乾燥雰囲気下での比誘電率は、k=1.8であり、加湿雰囲気下の比誘電率は2.2であった。
【0063】
【比較例1】
1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを無添加とした以外は、実施例1と同様にして多孔質フィルムを調製した。得られた多孔質フィルムは、X線回折測定により、面間隔6.5nmであった。また、乾燥雰囲気下での比誘電率は、k=2.5であり、加湿雰囲気下の比誘電率は5.5であった。
【0064】
【比較例2】
1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを無添加とした以外は、実施例2と同様にして多孔質フィルムを調製した。得られた多孔質フィルムは、X線回折測定により、面間隔7.0nmであった。また、乾燥雰囲気下での比誘電率は、k=2.5であり、加湿雰囲気下の比誘電率は5.1であった。
【発明の技術分野】
本発明は、多孔質シリカフィルムの製造方法、該方法により得られた多孔質シリカフィルムに関する。より詳細には、空隙率が高く、疎水性に優れる多孔質シリカフィルムの製造方法、該方法により得られた多孔質シリカフィルムに関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
均一なメソ細孔を持つ多孔質の無機化合物は、従来のゼオライト等の酸化物に比べ、大きな細孔を有し、細孔容積および表面積が大きいため、触媒担体、分離吸着剤、燃料電池、センサーへの利用が検討されている。
このような均一なメソ細孔を持つ酸化物の製造法に関しては、有機化合物を利用して無機物の構造制御を利用した方法が、新規な形状、構造が得られるため注目されている。特に有機化合物と無機化合物の自己組織化を利用することで合成される均一なメソ細孔を持つ酸化物は、従来のゼオライト等の酸化物に比べ、高い細孔容積、表面積を持つことが知られている。ここで言う均一なメソ細孔を持つ酸化物とは、酸化物中に細孔が規則正しく配置しているため、X線回折法による測定で構造規則性を示す回折ピークの存在が認められるものを指す。
【0003】
有機化合物と無機化合物の自己組織化を利用した均一なメソ細孔を持つ酸化物の製造方法としては、例えば、国際公開91/11390号明細書には、シリカゲルと界面活性剤などを用いて、密封した耐熱性容器内で水熱合成することにより製造する方法が記載されている。また、Bull.Chem.Soc.Jp.誌,1990年,63巻,988頁には、層状ケイ酸塩の一種であるカネマイトと界面活性剤とのイオン交換により製造する方法が記載されている。
【0004】
このような均一なメソ細孔を持つ酸化物を半導体材料などに用いるために、近年、その形態をフィルム状に調製することが報告されている。
例えば、Nature誌,1996年,379巻,703頁、J.Am.Chem.Soc.誌,1999年,121巻,7618頁などには、アルコキシシランの縮合物と界面活性剤からなるゾル液中に基板を浸漬し、その基板表面に多孔質シリカを析出させてフィルム状に形成する方法が記載されている。さらに、Supramolecular Science誌,1998年,5巻,247頁、Adv.Mater.誌,1998年,10巻,1280頁、Nature誌,1997年,389巻,364頁、あるいはNature誌,1999年,398巻,223頁などには、アルコキシシラン類の縮合物と界面活性剤とを有機溶媒に混合した溶液を基板に塗布し、次いで有機溶媒を蒸発させて基板上にフィルムを調製する方法が記載されている。
【0005】
このうち、前者の基板表面に多孔質シリカを析出する方法では調製に長時間を要し、また、粉体として析出する多孔質シリカが多く歩留まりが悪いなどの欠点があるため、後者の有機溶媒を蒸発させる方法の方が多孔質シリカフィルムの調製には優れている。
この有機溶媒を蒸発させて基板上にフィルムを調製する方法において用いられる溶媒としては、たとえば、特開2000−38509号公報には、多価アルコールグリコールエーテル溶媒、グリコールアセテートエーテル溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、カルボン酸エステル溶媒などが記載されており、また国際公開99/03926号明細書には、アミド結合を有する有機溶媒およびエステル結合を有する有機溶媒など、種々の溶媒が記載されている。
【0006】
一方、このような多孔質シリカフィルムを半導体材料などに用いるに際し、膜の疎水性と高空隙率化との両立が問題となっている。例えば、多孔質シリカフィルムは、半導体材料として層間絶縁膜に使用する場合、比誘電率が1である空孔の割合が高いため非常に低い比誘電率、すなわち高空隙率を有する膜として有望であるが、多孔質であるが故に、誘電率の大きいH2Oを容易に吸着してしまい誘電率が著しく増大してしまう。そのため、層間絶縁膜中に疎水性官能基を導入する方法が提案されている。
【0007】
例えば、細孔内シラノール基をトリメチルシリル化によって水の吸着を防止して絶縁性を保持する方法が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、この方法では細孔内のシラノール基を完全にシリル化できないことが報告されている(非特許文献1、非特許文献2参照)。
また、メチルトリアルコキシシラン類とテトラアルコキシシラン類の共縮合物(共ゲル化物)を用いた塗布液による多孔質シリカフィルムの製造方法が提案されている(特許文献3参照)。この方法は、疎水化成分であるメチルトリアルコキシシラン類の使用割合を増加させた塗布液を用いることで、得られる多孔質シリカフィルムの疎水性を向上させるものである。
【0008】
しかしながら、この公報で得られる膜は、X線回折法による測定で周期的な構造を示さないため、細孔が均一に規則正しく配列していない。従って均質な材料としての利用は困難である。
また、ジメチルアルコキシシラン類、テトラアルコキシシラン類をそれぞれ部分的に加水分解した後に混合して疎水性メソポーラスシリカ粉体を製造する方法が報告されている(非特許文献3参照)。この方法により得られる粉体はジアルキルアルコキシシランが比較的多く導入されても規則的細孔構造を持ち、さらに疎水性にも優れる。しかしながら、この製造法では製造に数日を要するため実用的ではなく、さらに得られるものが粉体であるため半導体材料などに使用するには好ましくない。
【0009】
また、環状シロキサン化合物であるテトラメチルテトラシクロシロキサンを粉体表面に薄膜コーティングする方法により得られた粉体は疎水性を示すことが報告されている(非特許文献4参照)。しかしながら、粉体であるため半導体材料に使用するには好ましくない。
さらに、環状シロキサン化合物をプラズマCVD法により基板上に成膜する方法が報告されている(特許文献4〜7参照)。しかしながら、この方法では、プラズマを発生させるために非常に高価な装置が必要であって好ましくない。また、得られる膜は非常に低い気孔率であり、このことから、例えば半導体材料として層間絶縁膜に使用する場合、空孔の割合が低いため低比誘電率が期待できないという問題があった。
【0010】
さらに、環状シロキサン類を加水分解縮合したシロキサン系樹脂を成膜する方法が報告されている(特許文献8参照)。しかしながら、この方法では細孔形成を制御するための添加剤を一切使用していないので、得られる膜の空隙率は低く低誘電率が期待できないといった問題があった。
一方、最近の半導体技術の進歩に伴い、多孔質シリカフィルムの低誘電率化がさらに求められている。低誘電率化の方法として、多孔質シリカフィルムの空隙率を増加させる方法がある。そのような方法として、従来から、界面活性剤の分子の長さを長くし、より大きな細孔径を有する多孔質シリカフィルムを製造し、空隙率を増加させることにより低誘電率化する方法が試みられている。しかしながら、そのような長さが調整された界面活性剤を合成するのは困難であり、さらに長さが調整された界面活性剤が合成されたとしても、所望の細孔径を有する多孔質シリカフィルムを製造することは困難であった。
【0011】
また、多孔質シリカフィルムの細孔径を大きくする方法として、界面活性剤のミセル内部にポリマーを導入し、多孔質シリカフィルムを製造する方法が試みられている。そのようなものとして、疎水性ポリマーを用いた多孔質シリカフィルムを製造する方法が報告されている(特許文献9参照)。この方法により得られる多孔質シリカフィルムは空隙率が増加し、低誘電率化するが、該フィルムを調製した後、さらに疎水化処理を行う必要があり製造工程が煩雑であるという問題があった。
【0012】
【特許文献1】
国際公開第00/39028号明細書
【特許文献2】
米国特許第6208014号明細書
【特許文献3】
特開2001−049174号公報
【特許文献4】
特開平5−202478号公報
【特許文献5】
米国特許第20020098714号明細書
【特許文献6】
国際公開第02/043119号明細書
【特許文献7】
米国特許第6348725号明細書
【特許文献8】
ヨーロッパ特許第1217649号明細書
【特許文献9】
米国特許第6270846号明細書
【非特許文献1】
J.Phys.Chem.誌,B1997巻,101号,6525頁
【非特許文献2】
J.Colloid Interface Sci.誌,1997年,188号,409頁
【非特許文献3】
Chem.Commun.誌,2000年,1487頁
【非特許文献4】
表面科学誌,2001年,22巻,9頁
【0013】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う課題を解決するものであって、多孔質シリカフィルムを製造した後に疎水化処理を行う必要がなく、さらに低誘電率で疎水性に優れる多孔質シリカフィルムの製造方法、および該方法により得られた多孔質シリカフィルムを提供することを目的とする。
【0014】
【発明の概要】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、環状シロキサンを用いて多孔質シリカフィルムを製造することにより、多孔質シリカフィルムを製造した後に疎水化処理を行う必要がなく、低誘電率で疎水性に優れる多孔質シリカフィルムが得られることを見出し、本発明に至った。
【0015】
すなわち本発明の多孔質シリカフィルムの製造方法は、界面活性剤と環状シロキサンとの存在下に、アルコキシシラン類を加水分解縮合して塗布液を調製し、該塗布液を基板表面に塗布し、次いで、基板表面に形成された塗布膜を加熱することを特徴とする。
上記塗布液にシリコーンオイルを添加することも好ましい。
【0016】
上記基板表面に形成された塗布膜を加熱することにより、界面活性剤を除去し、かつ環状シロキサン類の重合物を多孔質シリカフィルムの細孔内部に形成する。
また、上記基板表面に形成された塗布膜を加熱する際の温度が、250〜600℃であることも好ましい。
【0017】
さらに、上記界面活性剤と上記環状シロキサンとを含有する混合溶液を、部分的に加水分解脱水縮合されたアルコキシシラン類に添加することが好ましい。
上記環状シロキサン類が、一般式
【0018】
【化4】
【0019】
(式中、R1、R2は同一でも異なっていてもよく、それぞれH、C6H5、CaH2a+1、CF3(CF2)b(CH2)c、ハロゲン原子を示し、aは1〜3の整数、bは0〜10の整数、cは0〜4の整数であり、nは3〜8の整数である)
で表される環状シロキサン化合物の少なくとも1種であることが好ましい。
さらに、上記環状シロキサン類が、一般式
【0020】
【化5】
【0021】
(式中、R3、R4、R5、R6、R7、R8は同一でも異なっていてもよく、それぞれH、C6H5、CaH2a+1、CF3(CF2)b(CH2)c、ハロゲン原子を示し、aは1〜3の整数、bは0〜10の整数、cは0〜4の整数であり、
Lは0〜8の整数、mは0〜8の整数、nは0〜8の整数であり、かつ3≦L+m+n≦8であり、
Si−H結合が少なくとも2つ以上含まれる)
で表される環状シロキサン化合物の少なくとも1種であることも好ましい。
【0022】
またさらに、上記環状シロキサン類が、一般式
【0023】
【化6】
【0024】
(式中、R9は、H、C6H5、CaH2a+1、CF3(CF2)b(CH2)c、ハロゲン原子を示し、aは1〜3の整数、bは0〜10の整数、cは0〜4の整数であり、nは3〜8の整数である)
で表される環状シロキサン化合物の少なくとも1種であることも好ましい。
本発明に係る多孔質シリカフィルムは、上記の方法で得られたことを特徴とする。
【0025】
本発明に係る半導体材料は、上記の細孔径が拡大された多孔質シリカフィルムが用いられていることを特徴とする。
さらに、本発明に係る半導体装置は、上記半導体材料が用いられていることを特徴とする。
【0026】
【発明の具体的説明】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の多孔質シリカフィルムの製造方法は、アルコキシシラン類を、界面活性剤と環状シロキサンとの存在下に加水分解、脱水縮合して得られる塗布液を、基板表面に塗布し、次いで、界面活性剤を除去することを特徴とする多孔質シリカフィルムを調製する方法である。
【0027】
まず、以下に本発明に用いられる塗布液について説明する。
塗布液
本発明に用いられる塗布液は、上述のようにアルコキシシラン類を界面活性剤と環状シロキサンとの存在下で加水分解、脱水縮合して得られる。
そのような塗布液は、具体的には、
(1)それぞれ後述するような成分であるアルコキシシラン類、界面活性剤、環状シロキサン、触媒、および水、さらに必要に応じて溶媒を一度に添加して数分〜5時間程度攪拌して得ることができ、
(2)アルコキシシラン類、触媒、および水、さらに必要に応じて溶媒を添加し、10分〜5時間程度攪拌して、アルコキシシラン類を一部加水分解、脱水縮合させ、さらに必要に応じて溶媒に溶解された界面活性剤と、必要に応じて溶媒に溶解された環状シロキサンを添加し、さらに数分〜5時間程度攪拌して得ることもでき、
(3)アルコキシシラン類、触媒、および水、さらに必要に応じて溶媒を添加し、10分〜5時間程度攪拌して、アルコキシシラン類を一部加水分解、脱水縮合させ、さらに界面活性剤と環状シロキサンと溶媒との混合溶液を添加し、さらに数分〜5時間程度攪拌して得ることもできる。
【0028】
このようにして得られる塗布液においては、環状シロキサンを中心として界面活性剤の疎水基が配列するため、ミセルの径は大きくなると考えられる。したがって、そのようなミセルを含有する塗布液から得られる多孔質シリカフィルムの細孔径は大きくなり空隙率が増加するため、誘電率が小さい多孔質シリカフィルムを得ることができる。また、該塗布液から得られる多孔質シリカフィルムは、疎水性に優れる。つまり、塗布液を基板に塗布し、乾燥させた後、さらに、焼成により界面活性剤を除去すると、ミセルの中心部に存在していた環状シロキサン類が、多孔質シリカフィルムの細孔内表面で重合し、表面が疎水性官能基を持つシロキサンの薄膜で被膜されると考えられる。
【0029】
本発明においては、上記(3)のように、界面活性剤と環状シロキサンとを予め混合して混合溶液を調製し、部分的に加水分解脱水縮合されているアルコキシシラン類に添加することが好ましい。このように塗布液を調製することにより、ミセル内部に環状シロキサンが効率よく取り込まれると考えられ、その後、塗布液を基板に塗布し、乾燥させた後、さらに、焼成により界面活性剤を除去すると、誘電率が小さい多孔質シリカフィルムを容易に製造することができる。
【0030】
また、上述の製法において、環状シロキサンと共に、シリコーンオイルを用いることも好ましい。それによって、さらに疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを得ることができる。つまり、塗布液を調製する際に、環状シロキサンとシリコーンオイルを中心として界面活性剤が配列し、ミセルを形成すると考えられる。その後、塗布液を基板に塗布し、乾燥させた後、さらに、焼成により界面活性剤を除去すると、ミセルの中心部に取り込まれたシリコーンオイルが多孔質シリカフィルムの細孔内表面に付着し、細孔壁を部分的に厚膜化することで細孔径が小さくなった狭部を形成すると考えられる。そのような狭部は、多孔質シリカフィルムの断面TEM観察をすると、細孔内の細孔壁同士が約1〜40Åの範囲で離間している。さらに狭部で環状シロキサン類が重合することによって、狭部が閉塞され、さらに疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを得ることができると考えられる。
【0031】
以下、上記各成分について説明する。
(アルコキシシラン類)
塗布液の調製に用いられるアルコキシシラン類としては、具体的には、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブチルシラン等の4級アルコキシシラン;
トリメトキシフルオロシラン、トリエトキシフルオロシラン、トリイソプロポキシフルオロシラン、トリブトキシフルオロシラン等の3級アルコキシフルオロシラン;
トリメトキシメチルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラン、トリエトキシエチルシラン、トリメトキシプロピルシラン、トリエトキシプロピルシラン等の3級アルコキシアルキルシラン;
トリメトキシフェニルシラン、トリエトキシフェニルシラン、トリメトキシクロロフェニルシラン、トリエトキシクロロフェニルシラン等の3級アルコキシアリールシラン;
トリメトキシフェネチルシラン、トリエトキシフェネチルシラン等の3級アルコキシフェネチルシラン;
ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン等の2級アルコキシアルキルシラン等が挙げられる。これらのうちでは、テトラエトキシシランを用いることが好ましい。本発明においてアルコキシシラン類は、これらから選ばれる1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0032】
本発明において、アルコキシシラン類として、テトラエトキシシランを用いることにより、室温下での加水分解反応を制御することが容易となる。
(環状シロキサン類)
また、塗布液の調製に用いられる環状シロキサン類としては、一般式
【0033】
【化7】
【0034】
(式中、R1、R2は同一でも異なっていてもよく、それぞれH、C6H5、CaH2a+1、またはCF3(CF2)b(CH2)c、ハロゲン原子を示し、aは1〜3の整数、bは0〜10の整数、cは0〜4の整数であり、nは3〜8の整数である。)で表される環状シロキサン化合物を用いることができる。上記式で表される環状シロキサン化合物は、Si−H結合を少なくとも2つ以上有することが好ましく、また、R1、R2の少なくともいずれかがHであることも好ましい。
【0035】
このような環状シロキサンを用いると、得られる多孔質シリカフィルムの細孔径は大きくなり空隙率が増加するため、誘電率が低下する。さらに、疎水性に優れた多孔質シリカフィルムを調製することができる。
そのような環状シロキサン類は、具体的には、トリ(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメチルシクロトリシロキサン、トリフェニルトリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、テトラエチルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。特に、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンが好ましい。本発明において用いられる環状シロキサン類は、これらの中から1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0036】
本発明に用いられる環状シロキサン類のモル数は、アルコキシシラン類のモル数に対して、好ましくは0.1〜50モル%、さらに好ましくは0.5〜25モル%、特に好ましくは1〜10モル%の範囲が望ましい。このようなモル比で環状シロキサン類を用いると、誘電率が低下され、さらに疎水性に優れた多孔質シリカフィルムを効率よく調製することができる。
【0037】
(界面活性剤)
塗布液の調製に用いられる界面活性剤としては、通常、長鎖アルキル基および親水基を有する化合物を使用することができる。長鎖アルキル基としては、好ましくは炭素原子数8〜24のもの、さらに好ましくは炭素原子数12〜18のものが望ましく、また、親水基としては、例えば、4級アンモニウム塩、アミノ基、ニトロソ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等が挙げられ、好ましくは4級アンモニウム塩、またはヒドロキシル基であることが望ましい。
【0038】
そのような界面活性剤としては、具体的には、
一般式:CnH2n+1(N(CH3)2)a(CH2)mN(CH3)2CLH2L+1X(1+a)
(式中、aは0または1であり、nは8〜24の整数であり、mは0〜12の整数であり、Lは1〜24の整数であり、Xはハロゲン化物イオン、HSO4 −または有機アニオンである。)で表されるアルキルアンモニウム塩の使用が好ましい。
【0039】
本発明の多孔質フィルムの製造方法において、界面活性剤は、アルコキシシラン類とのモル比を変えることにより、得られる多孔質シリカフィルムの結晶構造を制御することができる。
上記界面活性剤のモル数は、アルコキシシラン類のモル数に対して、好ましくは0.03〜1倍、さらに好ましくは0.05〜0.2倍、特に好ましくは0.07〜0.15倍の範囲が望ましい。上記一般式で表される界面活性剤が上記範囲にあることにより、自己組織化に寄与できない過剰なシリカが混在することがないため、フィルムの多孔質性が向上し、さらに、均一な細孔を有する六方晶系の周期的な結晶構造を形成することができるため、焼成によってその構造が崩壊しない。
【0040】
また、界面活性剤としては、ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物も使用できる。
ポリアルキレンオキシド構造としてはポリエチレンオキシド構造、ポリプロピレンオキシド構造、ポリテトラメチレンオキシド構造、ポリブチレンオキシド構造などが挙げられる。
【0041】
そのようなポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物としては、具体的には、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのエーテル型化合物;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエーテルエステル型化合物などを挙げることができる。
【0042】
界面活性剤が、ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物の場合には、界面活性剤のモル数がアルコキシシラン類のモル数に対して、好ましくは0.003〜0.05倍、さらに好ましくは0.005〜0.03倍、特に好ましくは0.007〜0.02倍の範囲が望ましい。上記ポリアルキレンオキサイド構造を有する界面活性剤が上記範囲にあることにより、自己組織化に寄与できない過剰なシリカが混在することがないため、フィルムの多孔質性が向上し、さらに、均一な細孔を有する六方晶系の周期的な結晶構造を形成することができるため、焼成によってその構造が崩壊しない。
【0043】
本発明において、界面活性剤は、これらから選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることできる。界面活性剤が上記に示した範囲で添加されるのであれば、界面活性剤の状態は問われず、固体状態、溶媒に溶解した状態の何れの状態であってもよい。
上記の界面活性剤は、水中でミセルを形成し、規則的に配列する。本発明においては、このミセルをテンプレートとして、シリカと複合体をつくり、テンプレートを除去すると均一で規則的な細孔を有する多孔質シリカフィルムを調製することができる。
【0044】
(触媒および溶媒)
塗布液の調製に用いられる触媒としては酸が使用され、例えば、塩酸、臭酸、硝酸、硫酸等が挙げられる。さらに、上記溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール等の一級アルコール;2−プロパノール、2−ブタノール等の二級アルコール;ターシャリーブチルアルコール等の三級アルコール;アセトン、アセトニトリル等が挙げられる。溶媒は、これらから選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることできる。
【0045】
(シリコーンオイル)
本発明において、必要に応じて塗布液に添加されるシリコーンオイルとしては、特に限定されないが、ポリジメチルシロキサンを主成分とする有機ケイ素化合物が挙げられる。そのようなものとして、トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルシロキサンとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ポリフェニルメチルシロキサンとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ポリ−3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサンとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ポリエチレンオキシドとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ポリプロピレンオキシドとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ヒドリド末端ポリジメチルシロキサン、ポリメチルヒドリドシロキサンとポリジメチルシロキサンのコポリマー、シラノール末端ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。本発明において用いられるシリコーンオイルは、これらの中から1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0046】
このようなシリコーンオイルの添加量は、アルコキシシラン類の100重量部に対して、好ましくは1〜100重量部、さらに好ましくは5〜50重量部の範囲が望ましい。シリコーンオイルが上記範囲で添加されることにより、さらに疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを得ることができる。
〔多孔質シリカフィルムの製造方法〕
本発明に係る多孔質シリカフィルムは、上述のようにして調製された塗布液を、基板に塗布し、該基板表面に形成された塗布膜を乾燥させた後、さらに、焼成により界面活性剤を除去することにより製造される。
【0047】
この基板としては、一般的に用いられるものであれば何れのものも使用できる。例えば、ガラス、石英、シリコンウエハー、ステンレス等が挙げられる。また、板状、皿状等の何れの形状であってもよい。
また、基板に塗布液を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、ディップコート法等の一般的な方法が挙げられる。スピンコート法の場合、スピナー上に基板を置き、該基板上に試料を滴下し、500〜10000rpmで回転させる。
【0048】
また、乾燥条件は特に限定されず、溶媒が蒸発できればよい。
一方、焼成する際の温度は、用いられる環状シロキサン類の種類によって好ましい範囲が異なるが、250〜600℃、好ましくは300〜450℃の範囲であることが望ましい。上記温度範囲であれば、界面活性剤が除去され、かつ環状シロキサン類の重合物が多孔質シリカフィルムの細孔内部に形成されるため、疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを得ることができる。また、焼成雰囲気は、大気中、不活性ガス中、真空中のいずれの状態であってもよいが、不活性ガス中、真空中が、疎水性官能基へのダメージが少ないため、より疎水性が発揮できて好ましい。
【0049】
上述したように、本発明に用いられる塗布液に環状シロキサンを用いることにより、環状シロキサンを用いないで調製された多孔質シリカフィルムよりも細孔径が大きく、低誘電率化した多孔質シリカフィルムを得ることができる。さらに、上記範囲で焼成することにより、環状シロキサン類が多孔質シリカフィルムの細孔内表面で重合することによって、表面が疎水性官能基を持つシロキサンの薄膜で被膜されると考えられ、疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを得ることができる。したがって、本発明の多孔質シリカフィルムを製造した後に、疎水化処理を行う必要がない。
【0050】
また、塗布液に環状シロキサンと共にシリコーンオイルを用いることも好ましく、さらに疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを得ることができる。
このように、本発明の多孔質シリカフィルムの製造方法によれば、多孔質シリカフィルムを製造した後に疎水化処理を行うことなく、誘電率および疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを得ることができる。
【0051】
〔多孔質シリカフィルム〕
本発明の多孔質シリカフィルムが得られ、該フィルムは、自立した状態(フィルム単独)、または基板に固着した状態で得られる。
本発明の多孔質シリカフィルムの面間隔はX線回折法により確認され、環状シロキサンを用いることなく製造された多孔質シリカフィルムに比べ1.1〜2.5倍拡大する。面間隔の拡大は細孔径の拡大および空隙率の増加と相関があるため、環状シロキサンを用いることなく製造された多孔質シリカフィルムに比べ多孔質シリカフィルムは低誘電率化する。
【0052】
このようにして得られる多孔質シリカフィルムは、上述したように面間隔が大きくなり空隙率が増加するためより低誘電率となり、さらに細孔内表面が疎水性官能基を持つシロキサンの薄膜で被膜されるため疎水性に優れる。また、塗布液に環状シロキサンと共にシリコーンオイルを用いた場合、さらに疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを得ることができる。
【0053】
本発明の多孔質シリカフィルムの誘電率は、乾燥雰囲気下での比誘電率測定により確認される。ここで言う乾燥雰囲気下とは、多孔質シリカフィルムを乾燥N2中で加熱し、フィルム中に存在する吸着水を除去した状態を示す。このような状態では、多孔質シリカフィルムが保持する空隙率に相当する比誘電率が測定されると考えられる。さらに、多孔質シリカフィルムの疎水性は、加湿雰囲気下の比誘電率を測定することで確認される。ここで言う加湿雰囲気下とは、湿度調節器等を用いて一定の相対湿度に保持した状態を示す。このような状態では、多孔質シリカフィルムの疎水性の程度によってH2Oの吸着量が変化するため、疎水化に相当する比誘電率が測定されると考えられる。
【0054】
本発明の細孔径が拡大された多孔質シリカフィルムは、誘電率と疎水性の両方に優れるため、層間絶縁膜、配線間絶縁膜などの半導体材料;分子記録媒体、透明導電性フィルム、固体電解質、光導波路、LCD用カラー部材などの光機能材料、電子機能材料として用いることができる。特に、半導体材料の層間絶縁膜や配線間絶縁膜には、低誘電率と疎水性が求められており、このような低誘電率と疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを用いることが好ましい。
【0055】
以下に、本発明の多孔質シリカフィルムを配線間絶縁膜として用いた半導体装置について具体的に説明する。
まず、上述のようにしてシリコンウエハー表面上に、多孔質シリカフィルムを形成する。本発明の多孔質シリカフィルムの製造方法によれば、空隙率が増加するため低誘電率化し、さらに疎水性に優れる配線間絶縁膜を得ることができる。次いで、該多孔質シリカフィルムを、フィルム上に形成されたフォトレジストのパターン通りにエッチングする。このように多孔質シリカフィルムをエッチングした後に、気相成長法(CVD;Chemical Vapor Deposition)により多孔質シリカフィルム表面に窒化チタン(TiN)や窒化タンタル(TaN)などからなるバリア膜を形成する。
【0056】
さらに、多孔質シリカフィルム表面にバリア膜を成膜した後、メタルCVD法、スパッタリング法あるいは電解メッキ法により銅配線を形成し、さらにCMP(Chemical Mechanical Polishing)により膜を平滑化する。さらに、キャップ膜を表面に作成する。さらに必要であれば、ハードマスクを形成し上記の工程を繰り返すことで多層化することができ、本発明の半導体装置を製造することができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明の多孔質シリカフィルムの製造方法によれば、空隙率が増加するため低誘電率化し、さらに疎水性に優れる多孔質シリカフィルムを得ることができる。
【0058】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例、比較例における面間隔の測定、窒素ガス吸着法による細孔径の測定、比誘電率の測定は以下のようにして行った。
面間隔の測定
XRD測定はCuKα線で40kV,20mA、モノクロメーター(グラファイト0002)を使用し集中法で行う。
乾燥雰囲気下での比誘電率の測定
基板上の多孔質フィルム表面と基板に用いたシリコンウエハーの裏面に蒸着法によりアルミニウム電極を作成し、乾燥N2中、400℃、30min乾燥し、25℃になるまでN2中で冷却後、周波数100kHzにて常法により行う。
加湿雰囲気下での比誘電率の測定
基板上の多孔質フィルム表面と基板に用いたシリコンウエハーの裏面に蒸着法によりアルミニウム電極を作成し、25℃、相対湿度50%の雰囲気下、周波数100kHzにて常法により行う。
【0059】
【実施例1】
テトラエトキシシラン10.0gとエタノール10mLとを室温下混合撹拌した後、1N塩酸1.0mLおよび水10mLを添加撹拌した。撹拌後、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(アヅマックス(株)製)0.3gとポリ(アルキレンオキサイド)ブロックコポリマー(BASF社製PluronicP123,HO(CH2CH2O)20(CH2CH(CH3)O)70(CH2CH2O)20H)3.0gとをエタノール60mLに溶解した混合溶液に添加し、透明、均一な塗布液を得た。
【0060】
この塗布液を、8inchシリコンウエハー表面上に数滴載せ、2000rpmで10秒間回転させて、シリコンウエハー表面に塗布した後、100℃で乾燥し、さらに400℃で3時間焼成して、多孔質フィルムを調製した。得られた多孔質フィルムは、X線回折測定により、面間隔12.1nmであった。また、乾燥雰囲気下での比誘電率は、k=1.7であり、加湿雰囲気下の比誘電率は2.4であった。
【0061】
【実施例2】
テトラエトキシシラン10.0gとエタノール10mLとを室温下混合撹拌した後、1N塩酸1.0mLおよび水10.0mLを添加撹拌した。撹拌後、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(アヅマックス(株)製)0.3gと、ポリジメチルシロキサンとポリエチレンレンオキシドのブロックコポリマー(8000ppm、アヅマックス(株)製DBE−C25)0.6gと、ポリ(アルキレンオキサイド)ブロックコポリマー(BASF社製PluronicP123,HO(CH2CH2O)20(CH2CH(CH3)O)70(CH2CH2O)20H)3.0gとをエタノール60mLに溶解した混合溶液に添加し、透明、均一な塗布液を得た。
【0062】
この塗布液を、8inchシリコンウエハー表面上に数滴載せ、2000rpmで10秒間回転させて、シリコンウエハー表面に塗布した後、100℃で乾燥し、さらに400℃で3時間焼成して、多孔質フィルムを調製した。得られた多孔質フィルムは、X線回折測定により、面間隔13.0nmであった。また、乾燥雰囲気下での比誘電率は、k=1.8であり、加湿雰囲気下の比誘電率は2.2であった。
【0063】
【比較例1】
1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを無添加とした以外は、実施例1と同様にして多孔質フィルムを調製した。得られた多孔質フィルムは、X線回折測定により、面間隔6.5nmであった。また、乾燥雰囲気下での比誘電率は、k=2.5であり、加湿雰囲気下の比誘電率は5.5であった。
【0064】
【比較例2】
1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを無添加とした以外は、実施例2と同様にして多孔質フィルムを調製した。得られた多孔質フィルムは、X線回折測定により、面間隔7.0nmであった。また、乾燥雰囲気下での比誘電率は、k=2.5であり、加湿雰囲気下の比誘電率は5.1であった。
Claims (11)
- 界面活性剤と環状シロキサン類との存在下に、アルコキシシラン類を加水分解縮合して塗布液を調製し、
該塗布液を基板表面に塗布し、次いで、基板表面に形成された塗布膜を加熱することを特徴とする多孔質シリカフィルムの製造方法。 - 上記塗布液にシリコーンオイルを添加することを特徴とする請求項1に記載の多孔質シリカフィルムの製造方法。
- 上記基板表面に形成された塗布膜を加熱することにより、界面活性剤を除去し、かつ環状シロキサン類の重合物を多孔質シリカフィルムの細孔内部に形成することを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質シリカフィルムの製造方法。
- 上記基板表面に形成された塗布膜を加熱する際の温度が、250〜600℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質シリカフィルムの製造方法。
- 上記界面活性剤と上記環状シロキサンとを含有する混合溶液を、部分的に加水分解脱水縮合されたアルコキシシラン類に添加することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質シリカフィルムの製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかの方法で得られたことを特徴とする多孔質シリカフィルム。
- 請求項9に記載の多孔質シリカフィルムが用いられていることを特徴とする半導体材料。
- 請求項10に記載の半導体材料が用いられていることを特徴とする半導体装置。
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