JP2003277042A - 表面平滑性に優れる多孔質シリカフィルムの製造方法 - Google Patents

表面平滑性に優れる多孔質シリカフィルムの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィルム表面が平滑性に優れた多孔質シリカ
フィルムの製造方法を提供すること。 【解決手段】 加水分解縮合したアルコキシシラン類と
界面活性剤とを含む塗布液を、基板に塗布した後、焼成
あるいは抽出により界面活性剤を除去して多孔質シリカ
フィルムを調製する際に、この塗布液にポリジメチルシ
ロキサンを主成分とする有機ケイ素化合物を添加するこ
とを特徴とする表面の平滑性が優れた多孔質シリカフィ
ルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、光機能材料、電子機能
材料などに応用できる多孔質シリカフィルムの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】均一なメソ細孔を持つ多孔質の無機化合
物は、従来のゼオライト等の酸化物に比べ、大きい細孔
を持ち、触媒担体、分離吸着剤、燃料電池、センサーへ
の利用が検討されている。このような均一なメソ細孔を
持つ酸化物の製造法に関しては、有機化合物を利用して
無機物の構造制御をすることを利用した方法が、新規な
形状、構造が得られるため注目されている。特に有機化
合物と無機化合物の自己組織化を利用することで合成さ
れる均一なメソ細孔を持つ酸化物は、従来のゼオライト
等の酸化物に比べ、高い細孔容積、表面積を持つことが
知られている。ここで言う均一なメソ孔を持つ酸化物と
は、酸化物中に細孔が規則正しく配置しているため、X
線回折法による測定で構造規則性を示す回折ピークの存
在がみられるものを指す。
【0003】有機化合物と無機化合物の自己組織化を利
用した均一なメソ細孔を持つ酸化物の製造方法として
は、たとえばWO−91/11390にシリカゲルと界
面活性剤などを密封した耐熱性容器内で水熱合成するこ
とにより製造する方法、Bull.Chem.Soc.
Jp.誌1990年63巻988頁には、層状ケイ酸塩
の一種であるカネマイトと界面活性剤とのイオン交換に
より製造する方法が知られている。
【0004】このような均一なメソ細孔を持つ酸化物を
光機能材料、電子機能材料などに応用するために、近
年、その形態をフィルム状に調製することが報告されて
いる。たとえば、Nature誌1996年379巻7
03頁、あるいはJ.Am.Chem.Soc.誌19
99年121巻7618頁などには、アルコキシシラン
の縮合物と界面活性剤からなるゾル液中に基板を入れ基
板表面に多孔質シリカを析出させフィルム状にする方
法、あるいは、Supramolecular Sci
ence誌1998年5巻247頁、Adv.Mate
r.誌1998年10巻1280頁、Nature誌1
997年389巻364頁、あるいはNature誌1
999年398巻223頁などには、アルコキシシラン
の縮合物と界面活性剤を有機溶媒に混合した液を塗布し
有機溶媒を蒸発させて基板上にフィルムを調製する方法
が記載されている。基板表面に多孔質シリカを析出する
方法では、調製に長時間を要したり、粉体として析出す
る多孔質シリカが多く歩留まりが悪いなどの欠点があ
り、有機溶媒を蒸発させる方法の方が多孔質シリカフィ
ルムの調製に優れている。
【0005】有機溶媒を蒸発させて基板上にフィルムを
調製する方法において、たとえば、特開2000−38
509号公報では、多価アルコールグリコールエーテル
溶媒、グリコールアセテートエーテル溶媒、アミド系溶
媒、ケトン系溶媒、カルボン酸エステル溶媒などが用い
られており、またWO99/03926では、アミド結
合を有する有機溶媒及びエステル結合を有する有機溶媒
などが用いられている。
【0006】一方、最近、このような多孔質シリカフィ
ルムを光機能材料、電子機能材料などに応用するに際
し、表面の平滑性の問題が生じている。たとえば、電子
機能材料として層間絶縁膜への応用を考えた場合、膜の
平滑性は±数nmにしなければならない。しかしなが
ら、有機溶媒を蒸発させてフィルムに製膜する方法で
は、どうしても膜表面に凹凸が発生することは避けられ
なかった。
【0007】たとえば、層間絶縁膜として誘電率が大き
いH2Oの吸着による絶縁性低下を防止するため、塗布液
中にパーフルオロアルカン基含有アルコキシシランを添
加することが報告されている(たとえば、特開2001
−226171号公報)。ところがこの場合には、フィ
ルム表面に縞が生ずることが記載されている。また塗布
液中にパーフルオロアルカン基含有アルコキシシランを
添加しなくとも、塗布液は種々の沸点を持つ化合物の混
合液であり、各混合物の表面張力も異なるため、蒸発時
にその蒸発速度の違いから、フィルム表面にクレーター
状の欠陥を生じたり放射状の筋を生じることがある。ゆ
っくり時間をかけて製膜すれば平坦になるかもしれない
が、蒸発速度が遅いと規則性が低下することが指摘され
ているため(たとえば、J.Phys.Chem.B誌
1997年101巻10610頁)、溶媒は膜から素早
く蒸発させる必要がある。
【0008】また、塗布液中にシリコーン系界面活性剤
を添加した報告がされている(例えば、特開2000−
187866号公報)。しかしながら、この報告で得ら
れる膜は、X線回折法による測定で周期的な構造を示さ
ないため、細孔が均一に規則正しく配列していない。従
って均質な材料としての利用は困難である。表面に凹凸
がある多孔質シリカフィルムでは、光機能材料、電子機
能材料などへの応用は困難であるため、平滑なフィルム
表面を有する多孔質シリカフィルムの製造方法が望まれ
ていた。
【0009】
【発明の目的】本発明の目的は、光機能材料や電子機能
材料に応用可能であるような平滑なフィルム表面を有す
る多孔質シリカフィルムの製造方法を提供することにあ
る。
【0010】
【発明の概要】本発明は上記のような技術的課題を解決
したものであって、フィルム表面が平滑性に優れた多孔
質シリカフィルムの製造方法を提供するものである。す
なわち本発明に係る表面平滑性に優れる多孔質シリカフ
ィルムの製造方法は、加水分解縮合したアルコキシシラ
ン類と界面活性剤とを含む塗布液を、基板に塗布した
後、焼成あるいは抽出により界面活性剤を除去して多孔
質シリカフィルムを調製する際に、この塗布液にポリジ
メチルシロキサンを主成分とする有機ケイ素化合物を添
加することを特徴とする。
【0011】前記多孔質シリカフィルムは、X線回折法
による測定で周期的な結晶構造を有し、相対強度が最大
である回折ピークの面間隔が20〜120Åの範囲であ
ることが好ましい。前記ポリジメチルシロキサンを主成
分とする有機ケイ素化合物の添加量は、アルコキシシラ
ン類の部分加水分解物と界面活性剤からなる塗布液に対
して界面活性剤からなる塗布液に対して500ppm〜
20000ppmであることが望ましい。
【0012】前記アルコキシシラン類が一般式 (Z
O)4-nSiRn(式中、n=0〜2、Zはメチル基、エ
チル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル
基、t−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基を
示し、Rはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−
プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、i−ブチル
基、sec−ブチル基、フェニル基、フェネチル基、フ
ッ素原子、(CH2a(CF2b(O(CF2cd
(式中、Xはフッ素原子、OCF3、OCF(C
32、OC(CF33、CF(CF32、C(C
33を示し、a=0〜3、b=0〜10、c=1〜
3、d=0〜3である。)、C6e(5-e)(式中、e
=0〜4である。)R2O(CHR3CH2O)f(CHR
4CH2O)g(CH2h(式中R2〜R4は同一でも異な
っていてもよく、それぞれ水素原子、メチル基を示し、
f=0〜20、g=1〜20、h=1〜4である。))
で表される化合物の少なくとも1種以上であることが望
ましい。
【0013】前記ポリジメチルシロキサンを主成分とす
る有機ケイ素化合物は、ポリジメチルシロキサンとポリ
アルキレンオキシドのブロックコポリマーであることが
望ましい。多孔質シリカフィルム内に、フッ素原子が
0.5原子%〜20原子%の範囲で存在していることが
好ましい。
【0014】また表面平滑性に優れる多孔質シリカフィ
ルム製造用塗布液は、加水分解縮合したアルコキシシラ
ン類と界面活性剤とを含む塗布液を、基板に塗布した
後、焼成あるいは抽出により界面活性剤を除去して、X
線回折法による測定で周期的な結晶構造を有し、相対強
度が最大である回折ピークの面間隔が20〜120Åの
範囲である多孔質シリカフィルムを調製する際に、この
塗布液にポリジメチルシロキサンを主成分とする有機ケ
イ素化合物を添加することを特徴とする。
【0015】
【発明の具体的説明】以下本発明に係る多孔質シリカフ
ィルムの製造方法について具体的に説明する。フィルム
表面が平滑性に優れる多孔質シリカフィルム、好ましく
はX線回折法による測定で周期的な結晶構造を有し、相
対強度が最大である回折ピークの面間隔が20〜120
Åの範囲であるフィルム表面が平滑性に優れる多孔質シ
リカフィルムを製造するには、まず、アルコキシシラン
類の加水分解縮合反応を行う。この加水分解縮合は、ア
ルコキシシラン類が部分的に加水分解縮合した状態であ
っても完全に加水分解縮合した状態であってもよく、触
媒の存在下で行う。通常は触媒として酸が使用され、た
とえば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸等の無機酸、酢
酸、プロピオン酸、ブタン酸、シュウ酸、マレイン酸、
p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸が
挙げられる。
【0016】アルコキシシラン類としては、テトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポ
キシシラン、テトラブチルシラン等の4級アルコキシシ
ラン、トリメトキシフルオロシラン、トリエトキシフル
オロシラン、トリイソプロポキシフルオロシラン、トリ
ブトキシフルオロシラン等の3級アルコキシフルオロシ
ラン、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシメチル
シラン、トリメトキシエチルシラン、トリエトキシエチ
ルシラン、トリメトキシプロピルシラン、トリエトキシ
プロピルシラン等の3級アルコキシアルキルシラン、ト
リメトキシフェニルシラン、トリエトキシフェニルシラ
ン、トリメトキシクロロフェニルシラン、トリエトキシ
クロロフェニルシラン等の3級アルコキシアリールシラ
ントリメトキシフェネチルシラン、トリエトキシフェネ
チルシラン等の3級アルコキシフェネチルシラン、ジメ
トキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン等の
2級アルコキシアルキルシラン、CF3(CF23CH2
CH2Si(OCH33、CF3(CF25CH2CH2
i(OCH33、CF3(CF27CH2CH2Si(O
CH33、CF3(CF29CH2CH2Si(OCH3
3、(CF32CF(CF24CH2CH2Si(OC
33、(CF32CF(CF26CH2CH2Si(O
CH33、(CF32CF(CF28CH2CH2Si
(OCH33、CF3(C64)CH2CH2Si(OC
33、CF3(CF23(C64)CH2CH2Si
(OCH33、CF3(CF25(C64)CH2CH2
Si(OCH33、CF3(CF27(C64)CH2
2Si(OCH33、CF3(CF2 3CH2CH2Si
CH3(OCH32、CF3(CF25CH2CH2SiC
3(OCH32、CF3(CF27CH2CH2SiCH
3(OCH32、CF3(CF2 9CH2CH2SiCH3
(OCH32、(CF32CF(CF24CH2CH2
iCH3(OCH32、(CF32CF(CF26CH2
CH2SiCH3(OCH32、(CF32CF(C
28CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(C6
4)CH2CH2SiCH3(OCH32、CF3(C
23(C64)CH2CH 2SiCH3(OCH32
CF3(CF25(C64)CH2CH2SiCH3(OC
32、CF3(CF27(C64)CH2CH2SiC
3(OCH32、CF 3(CF23CH2CH2Si(O
CH2CH33、CF3(CF25CH2CH2Si(OC
2CH33、CF3(CF27CH2CH2Si(OCH
2CH33、CF3(CF29CH2CH2Si(OCH2
CH33等のフッ素含有アルコキシシラン、CH3
(CH2CH2O)6(CH23Si(OCH33、CH3
O(CH2CH2O)7(CH23Si(OCH33、C
3O(CH2CH2O)8(CH23Si(OCH33
CH3O(CH2CH2O)9(CH23Si(OCH33
等のポリアルキレンオキシド基含有アルコキシシランが
挙げられる。特に、テトラエトキシシラン、CF3(C
25CH2CH2Si(OCH33、CF3(CF25
CH2CH2Si(OCH2CH33の使用が好ましい。
このようなアルコキシシラン類は、1種単独でまたは2
種以上の組み合わせで使用できる。
【0017】加水分解はアルコキシシラン類、pH調製
剤および水によって行うが、添加する水の量はアルコキ
シシラン1モル当たり、0.5〜20モルの範囲であり、室
温で数分〜5時間程度かけて行う。この時に溶媒を共存
させて行うことができる。使用可能な溶媒としては、メ
タノール、エタノール、1−プロパノール等の一級アル
コール、2−プロパノール、2−ブタノール等の二級ア
ルコール、ターシャリーブチルアルコール等の三級アル
コール、アセトン、アセトニトリル等が挙げられる。溶
媒は1種単独でまたは2種以上の組み合わせで使用でき
る。
【0018】アルコキシシラン類の加水分解縮合反応
後、界面活性剤を添加し数分〜5時間程度撹拌する。界
面活性剤としては、通常、長鎖アルキル基および親水基
を有する化合物を使用する。長鎖アルキル基としては、
炭素原子数8〜24のものが好ましい。また、親水基と
しては、たとえば、4級アンモニウム塩、アミノ基、ニ
トロソ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等が挙げら
れる。
【0019】界面活性剤としては、具体的には、一般式
n2n+1N(CH33X(式中、nは8〜24の整
数であり、Xはハロゲン化物イオン、HSO4 -または有
機アニオンである。)で表されるアルキルアンモニウム
塩の使用が好ましい。使用する界面活性剤は、アルコキ
シシラン類とのモル比を変えることにより、得られる多
孔質シリカフィルムの結晶構造を制御することができ
る。界面活性剤のモル数はアルコキシシラン類の1モル
に対して、0.03〜1モルの範囲が好ましく、0.05〜0.2モ
ルの範囲がより好ましい。界面活性剤がこの範囲内であ
れば、自己組織化に寄与できない過剰なシリカが生成し
て、多孔質性が著しく低下することはなく、また、過剰
の界面活性剤により、均一な細孔構造を形成できず、焼
成によって構造が崩壊するなどの不都合もない。
【0020】また、界面活性剤として、ポリアルキレン
オキサイド構造を有する化合物も好ましく使用できる。
ポリアルキレンオキシド構造としては、ポリエチレンオ
キシド構造、ポリプロピレンオキシド構造、ポリテトラ
メチレンオキシド構造、ポリブチレンオキシド構造など
が挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレ
ンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレ
ンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェ
ニルエーテルなどのエーテル型化合物、ポリオキシエチ
レングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレンソルビトール脂
肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレン
グリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなど
のエーテルエステル型化合物などを挙げることができ
る。
【0021】界面活性剤が、ポリアルキレンオキサイド
構造を有する化合物の場合には、界面活性剤のモル数が
アルコキシシラン類の1モルに対して、0.003〜0.05モ
ルの範囲が好ましく、0.005〜0.03モルの範囲がより好
ましい。界面活性剤がこの範囲内であれば、自己組織化
に寄与できない過剰なシリカが生成して、多孔質性が著
しく低下することはなく、また、過剰の界面活性剤によ
り、均一な細孔構造を形成できず、焼成によって構造が
崩壊するなどの不都合もない。
【0022】界面活性剤は、固体の状態でも、溶媒ある
いはアルコキシシランの加水分解溶液に溶解した状態な
どでもいずれの状態であってもよい。本発明では、フィ
ルム表面を平滑にするために、アルコキシシラン類の加
水分解縮合物と界面活性剤からなる溶液に、ポリジメチ
ルシロキサンを主成分とする有機ケイ素化合物を添加し
ている。
【0023】ポリジメチルシロキサンを主成分とする有
機ケイ素化合物としては、トリメチルシロキシ末端ポリ
ジメチルシロキサン、ポリフェニルシロキサンとポリジ
メチルシロキサンのコポリマー、ポリフェニルメチルシ
ロキサンとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ポリ
−3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサンと
ポリジメチルシロキサンのコポリマー、ポリエチレンオ
キシドとポリジメチルシロキサンのコポリマー、ポリプ
ロピレンオキシドとポリジメチルシロキサンのコポリマ
ー、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドと
ポリジメチルシロキサンのコポリマー、ヒドリド末端ポ
リジメチルシロキサン、ポリメチルヒドリドシロキサン
とポリジメチルシロキサンのコポリマー、シラノール末
端ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。特にポリジ
メチルシロキサンとポリエチレンレンオキシドのブロッ
クコポリマー、ポリジメチルシロキサンとポリエチレン
レンオキシドとポリプロピレンオキシドのブロックコポ
リマーの使用が好ましい。
【0024】ポリジメチルシロキサンを主成分とする有
機ケイ素化合物の添加量は、アルコキシシラン類の加水
分解物と界面活性剤からなる塗布液に対して(塗布液の
重量を基準として)、500ppm〜20000ppm
の範囲であり、特に5000ppm〜10000ppm
の範囲が好ましい。この範囲内であれば、添加量が少な
くてフィルム表面の平滑性の効果が出ないということは
なく、また添加量が多すぎてフィルム表面の平滑性は良
好であるが多孔質シリカフィルムの規則性が著しく低下
するということもない。
【0025】ポリジメチルシロキサンを主成分とする有
機ケイ素化合物の添加には、特に制限はなく、油状物の
状態でも、溶媒あるいはアルコキシシランの加水分解溶
液に溶解した状態でも、上記に示した範囲で添加される
のであればよい。アルコキシシランの加水分解縮合物
と、界面活性剤と、ポリジメチルシロキサンを主成分と
する有機ケイ素化合物とを含む溶液を基材に塗布して乾
燥後、焼成あるいは抽出により界面活性剤を除去するこ
とにより、多孔質シリカフィルムが得られる。この多孔
質シリカフィルムは、好ましくはX線回折法による測定
で周期的な構造を有し、相対強度が最大である回折ピー
クの面間隔が20〜120Åの範囲にあるものである。
【0026】またアルコキシシラン類としてフッ素含有
アルコキシシランを使用すれば、多孔質シリカフィルム
内にフッ素原子を固定することもできる。フッ素原子の
固定化量は0.5原子%〜20原子%の範囲であり、よ
り好ましくは1原子%〜15原子%の範囲である。この
範囲内であれば、多孔質シリカの規則性が著しく低下す
ることもなく、表面平滑性も低下することはない。
【0027】本発明により製造した多孔質シリカフィル
ムでは、X線光電子分光測定した結果、フッ素原子と炭
素とも、直接Siとも結合していると考えられる。多孔
質シリカをフィルムに形成する場合の基材としては、一
般的に用いられるものであれば何れのものも使用でき
る。たとえば、ガラス、石英、シリコンウエハー、ステ
ンレス等が挙げられる。また、板状、皿状等の何れの形
状であってもよい。
【0028】また、基材に塗布する方法としては、たと
えば、スピンコート法、キャスティング法、ディップコ
ート法等の一般的な方法が挙げられる。スピンコート法
の場合、スピナー上に基材を置き、該基材上に試料を滴
下し500〜10000rpmで回転させることによ
り、フィルム表面が平滑性に優れる均一な膜厚の多孔質
シリカフィルムが得られる。このときの回転時間は1秒
〜10分が好ましい。乾燥条件は特に限定されず、溶媒
が蒸発できればよい。また、焼成条件も特に限定され
ず、界面活性剤が除去できる温度であればよい。通常2
00℃〜600℃の範囲で実施することができる。焼成
雰囲気も、大気中、不活性ガス中、真空中のいずれでも
良い。
【0029】また、界面活性剤を抽出により除去する場
合では、アルコール類、エーテル類、アリール類化合物
等の有機溶媒を用いて通常20〜100℃で数分〜24
時間かけて行う。得られた多孔質シリカフィルムは、自
立した状態でも、基材に固着した状態でも、高い表面平
滑性と構造規則性を有し、透明性を有するため、層間絶
縁膜、分子記録媒体、透明導電性フィルム、固体電解
質、光導波路、LCD用カラー部材などの光機能材料、
電子機能材料として応用できる。特に、層間絶縁膜は、
強度、耐熱性、低誘電率(高空隙率)が求められてお
り、このような均一な細孔を有するフィルム表面の平滑
性に優れるシリカフィルムは、層間絶縁膜として有望で
ある。
【0030】また、得られた多孔質シリカフィルムは、
X線回折法による測定で周期的な結晶構造を有し、相対
強度が最大である回折ピークの面間隔が20〜120Å
の範囲であり、その規則性を損なうことなく有機ケイ素
化合物によりシリル化することもできる。有機ケイ素化
合物によるシリル化はシリカ表面改質方法として一般的
な方法であるが、本発明の多孔質シリカフィルムにおい
ても、その様な一般的な方法によってシリル化を実施で
きる。
【0031】有機ケイ素化合物としては、塩化トリメチ
ルシラン、ヘキサメチレンジシラザン、ヘキサメチレン
ジシロキサン等を使用することができる。有機ケイ素化
合物によるシリル化は、液相あるいは気相雰囲気下で実
施する。液相で実施する場合は、有機溶媒を用いて実施
しても良い。使用することのできる有機溶媒としては、
メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソ
プロピルアルコール等のアルコール類、ジエチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオ
キサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等のアリールアルカン類等が挙
げられる。
【0032】気相で実施する場合は、有機ケイ素化合物
をガスで稀釈して用いてもよい。使用することのできる
希釈ガスとしては、空気、窒素、アルゴン、水素等が挙
げられる。有機ケイ素化合物によるシリル化の反応温度
は、0〜120℃の範囲であることが好ましく、より好
ましくは20〜100℃の範囲である。この範囲内であ
れば温度が低いために、反応が進まないこともなく、ま
た、温度が高すぎて副反応を起こすこともなく、効率良
くシリル化が進行する。
【0033】シリル化に要する時間は反応温度にもよる
が、通常、数分〜40時間で、好ましくは10分〜24
時間である。得られた多孔質シリカフィルムの平滑性
は、光学顕微鏡を用いて確認することができる。本明細
書における平滑とは、膜表面上に縞状やクレーター状の
凹凸がなく、膜剥がれのない状態をいう。
【0034】また、得られた多孔質シリカフィルムのフ
ッ素原子の固定化および/またはシリル化による効果
は、比誘電率を測定することで確認できる。比誘電率の
測定は、多孔質フィルム表面と基材に用いたシリコンウ
ェハーの裏面に蒸着法によりアルミニウム電極を作成
し、25℃、相対湿度50%の雰囲気下、周波数100
kHzにて常法により行なうことができる。
【0035】
【実施例】以下、実施例によりさらに本発明を詳細に説
明する。
【0036】
【実施例1】テトラエトキシシラン10.0gとエタノール1
0mLを混合撹拌した。1N塩酸1.0mLおよび水10.0mLを添
加しさらに1時間撹拌した。次いで、得られた混合液
に、エタノール60mLに溶解したポリ(アルキレンオキサ
イド)ブロックコポリマー(BASF社製Pluron
icP123:HO(CH2CH2O)20(CH2CH(C
3)O)70(CH2CH2O)20H)2.8gと、ポリジメチル
シロキサンとポリエチレンレンオキシドのブロックコポ
リマー0.6g(8000ppm、アズマックス社製DBE
−821)とを添加した。1時間撹拌後、透明、均一な
塗布液が得られた。
【0037】この塗布液を、シリコンウエハー表面上に
数滴のせ、10秒間、2000rpmで回転させシリコンウエハ
ー表面にフィルムを調製した。得られたフィルムを乾
燥、焼成した。X線回折測定により、フィルムは面間隔
7.0nmの周期的なヘキサゴナル構造を保持していた。
また、光学顕微鏡により表面には筋や縞模様は確認でき
ず、表面の平滑性が優れていることがわかった。
【0038】表1に面間隔値、表面評価結果および比誘
電率測定結果を示す。また、図1に光学顕微鏡写真を示
す。
【0039】
【実施例2】テトラエトキシシラン10.0gとエタノール1
0mLを混合撹拌した。1N塩酸1.0mLおよび水10.0mLを添
加しさらに1時間撹拌した。次いで、得られた混合液
に、エタノール60mLに溶解したポリ(アルキレンオキサ
イド)ブロックコポリマー(BASF社製Pluron
icP123:HO(CH2CH2O)20(CH2CH(C
3)O)70(CH2CH2O)20H)2.8gと、ポリジメチル
シロキサンとポリエチレンレンオキシドとポリプロピレ
ンオキシドのブロックコポリマー 0.6g(8000pp
m、アズマックス社製DBP−732)とを添加した。
1時間撹拌後、透明、均一な塗布液が得られた。
【0040】この塗布液を、シリコンウエハー表面上に
数滴のせ、10秒間、2000rpmで回転させシリコンウエハ
ー表面にフィルムを調製した。得られたフィルムを乾
燥、焼成した。X線回折測定により、フィルムは面間隔
7.1nmの周期的なヘキサゴナル構造を保持していた。
また、光学顕微鏡により表面には筋や縞模様は確認でき
ず、表面の平滑性が優れていることがわかった。
【0041】表1に面間隔値、表面評価結果および比誘
電率測定結果を示す。
【0042】
【実施例3】テトラエトキシシラン10.0gとエタノール1
0mLを混合撹拌した。1N塩酸1.0mLおよび水10.0mLを添
加しさらに1時間撹拌した。次いで、得られた混合液
に、エタノール60mLに溶解したポリ(アルキレンオキサ
イド)ブロックコポリマー(BASF社製Pluron
icP123:HO(CH2CH2O)20(CH2CH(C
3)O)70(CH2CH2O)20H)2.8gと、ポリメチルヒ
ドリドシロキサンとポリジメチルシロキサンのコポリマ
ー0.6g(8000ppm、アズマックス社製HMS−3
01)とを添加した。1時間撹拌後、透明、均一な塗布
液が得られた。
【0043】この塗布液を、シリコンウエハー表面上に
数滴のせ、10秒間、2000rpmで回転させシリコンウエハ
ー表面にフィルムを調製した。得られたフィルムを乾
燥、焼成した。X線回折測定により、フィルムは面間隔
7.0nmの周期的なヘキサゴナル構造を保持していた。
また、光学顕微鏡により表面には筋や縞模様は確認でき
ず、表面の平滑性が優れていることがわかった。
【0044】表1に面間隔値、表面評価結果および比誘
電率測定結果を示す。
【0045】
【実施例4】テトラエトキシシラン10.0gとエタノール1
0mLを混合撹拌した。1N塩酸1.0mLおよび水10.0mLを添
加しさらに1時間撹拌した。次いで、得られた混合液
に、エタノール60mLに溶解したポリ(アルキレンオキサ
イド)ブロックコポリマー(BASF社製Pluron
icP123:HO(CH2CH2O)20(CH2CH(C
3)O)70(CH2CH2O)20H)2.8gと、ポリエチレン
オキシドとポリジメチルシロキサンとポリエチレンオキ
シドのブロックコポリマー0.6g(8000ppm、アズ
マックス社製DBE−C25)とを添加した。1時間撹
拌後、透明、均一な塗布液が得られた。
【0046】この塗布液を、シリコンウエハー表面上に
数滴のせ、10秒間、2000rpmで回転させシリコンウエハ
ー表面にフィルムを調製した。得られたフィルムを乾
燥、焼成した。X線回折測定により、フィルムは面間隔
7.0nmの周期的なヘキサゴナル構造を保持していた。
また、光学顕微鏡により表面には筋や縞模様は確認でき
ず、表面の平滑性が優れていることがわかった。
【0047】表1に面間隔値、表面評価結果および比誘
電率測定結果を示す。
【0048】
【実施例5】テトラエトキシシラン10.0gとエタノール1
0mLを混合撹拌した。1N塩酸1.0mLおよび水10.0mLを添
加しさらに1時間撹拌した。次いで、得られた混合液
に、エタノール60mLに溶解したポリ(アルキレンオキサ
イド)ブロックコポリマー(BASF社製Pluron
icP123:HO(CH2CH2O)20(CH2CH(C
3)O)70(CH2CH2O)20H)2.8gと、ポリジメチル
シロキサンとポリエチレンレンオキシドのブロックコポ
リマー0.6g(8000ppm、アズマックス社製DBE
−C25)と、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テ
トラヒドロオクチル−1−トリエトキシシラン(東京化
成:CF3(CF25CH2CH2Si(OC2 53)1.
2gとを混合した。1時間撹拌後、透明、均一な塗布液が
得られた。
【0049】この塗布液を、シリコンウエハー表面上に
数滴のせ、10秒間、2000rpmで回転させシリコンウエハ
ー表面にフィルムを調製した。得られたフィルムを乾
燥、焼成した。X線回折測定により、フィルムは面間隔
6.0nmの周期的なヘキサゴナル構造を保持していた。
また、光学顕微鏡により表面には筋や縞模様は確認でき
ず、表面の平滑性が優れていることがわかった。X線光
電子分光測定により、フィルム内にフッ素原子が8原子
%でほぼ均一に存在することがわかった。
【0050】表1に面間隔値、表面評価結果および比誘
電率測定結果を示す。また、図2に光学顕微鏡写真を示
す。また、図5にX線光電子分光測定結果を示す。
【0051】
【実施例6】実施例1で得られたフィルムを、200℃
で1mmHgまで減圧にして1時間乾燥した。50℃ま
で冷却した後、ヘキサメチレンジシラザン蒸気を導入
し、2時間反応した。100℃で1時間乾燥後、シリル
化したフィルムを得た。X線回折測定により、シリル化
後でもフィルムは面間隔7.0nmの周期的なヘキサゴ
ナル構造を保持していた。
【0052】表1に面間隔値、表面評価結果および比誘
電率測定結果を示す。
【0053】
【実施例7】実施例6と同様な操作で、実施例1で得ら
れたフィルムの代わりに実施例5で得られたフィルムを
用いてシリル化を行った。X線回折測定により、シリル
化後でもフィルムは面間隔6.0nmの周期的なヘキサ
ゴナル構造を保持していた。また、光学顕微鏡により表
面には筋や縞模様は確認できず、表面の平滑性が優れて
いることがわかった。表1に面間隔値、表面評価結果お
よび比誘電率測定結果を示す。
【0054】
【比較例1】実施例1と同様な操作で、ポリジメチルシ
ロキサンを主成分とする有機ケイ素化合物を添加せずに
塗布液を得て、シリコンウエハー表面上にフィルムを調
製した。X線回折測定により、フィルムは面間隔7.0
nmの周期的なヘキサゴナル構造を保持していた。また、
光学顕微鏡により表面にははっきりとした放射状の筋
(縞模様)が確認でき、表面が平滑ではないことがわか
った。またアルミニウム電極とフィルムとの接触面積が
正確に算出できないため、比誘電率を測定することがで
きなかった。
【0055】表1に面間隔値と表面評価結果を示す。図
3に光学顕微鏡写真を示す。
【0056】
【比較例2】テトラエトキシシラン61mLと無水エタ
ノール61mL、イオン交換水5mLおよび0.07Nの塩酸0.
2mLをテフロン(R)容器中に密閉し、60℃の水浴に9
0分間つけた。この溶液を室温まで冷却しストック液を
調製した。ポリプロピレン製容器に、ストック液10mL、
エタノール10mL、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テ
トラヒドロオクチル−1−トリエトキシシラン0.42mL、
イオン交換水0.4mLおよび0.07Nの塩酸1.0mLを混合
し塗布液を調製した。溶液の重量(100重量%とす
る。)を量り、その量の6重量%でエチレンオキシド−
プロピレンオキシドブロックコポリマー(BASF社製Pl
uronicL121)を加えた。得られた溶液を20分
間超音波処理し、得られた無色透明な溶液を0.2μm
のシリンジフィルターに通してろ過した。
【0057】このようにして得られた塗布液1.2mLを、5
00rpmで10秒回転させながらシリコンウェハー上に滴下
し、25秒間で3000rpmに上げフィルムを調製した。窒素
パージした箱型炉中で、毎分5℃で昇温し、425℃までフ
ィルムを加熱して425℃で30分間保つことにより焼成を
行った。焼成後、シリコンウエハーからフィルムの剥が
れが観測された。このため比誘電率を測定することがで
きなかった。表1に表面評価結果を示す。図4に光学顕
微鏡写真を示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、光機能材料や電子機能
材料に応用可能な、均一な細孔を有するとともにフィル
ム表面の平滑性に優れる多孔質シリカフィルムが得られ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例1で製造されたフィルムの表
面平滑性を説明する光学顕微鏡写真である。
【図2】 図2は、実施例5で製造されたフィルムの表
面平滑性を説明する光学顕微鏡写真である。
【図3】 図3は、比較例1で製造されたフィルムの表
面平滑性を説明する光学顕微鏡写真である。
【図4】 図4は、比較例2で製造されたフィルムの表
面平滑性を説明する光学顕微鏡写真である。
【図5】 図5は、実施例5で製造されたフィルムのX
線光電子分光測定結果を示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 窪 田 武 司 千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株 式会社内 (72)発明者 蔵 野 義 人 千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株 式会社内 (72)発明者 村 上 雅 美 千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株 式会社内 Fターム(参考) 4G072 AA25 BB09 BB15 FF06 GG03 HH29 HH30 KK13 KK17 LL15 MM04 MM36 NN21 QQ06 RR05 UU30 4J038 AA011 AA012 DF022 DL021 DL022 DL031 DL032 DL071 DL072 DL151 DL152 HA441 HA442 JB11 KA09 MA02 MA04 MA09 PB09

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加水分解縮合したアルコキシシラン類と
    界面活性剤とを含む塗布液を、基板に塗布した後、焼成
    あるいは抽出により界面活性剤を除去して多孔質シリカ
    フィルムを調製する際に、この塗布液にポリジメチルシ
    ロキサンを主成分とする有機ケイ素化合物を添加するこ
    とを特徴とする表面平滑性に優れる多孔質シリカフィル
    ムの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記多孔質シリカフィルムが、X線回折
    法による測定で周期的な結晶構造を有し、相対強度が最
    大である回折ピークの面間隔が20〜120Åの範囲で
    あることを特徴とする請求項1記載の表面平滑性に優れ
    る多孔質シリカフィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリジメチルシロキサンを主成分とする
    有機ケイ素化合物の添加量が、上記塗布液に対して50
    0ppm〜20000ppmであることを特徴とする請
    求項1記載の表面平滑性に優れる多孔質シリカフィルム
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 アルコキシシラン類が一般式 (ZO)
    4-nSiR1 n(式中、n=0〜2、Zはメチル基、エチル
    基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、
    t−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基を示
    し、R1はメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−
    プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、i−ブチル
    基、sec−ブチル基、フェニル基、フェネチル基、フ
    ッ素原子、(CH2a(CF2b(O(CF2cd
    (式中、Xはフッ素原子、OCF3、OCF(C
    32、OC(CF33、CF(CF32、C(C
    33を示し、a=0〜3、b=0〜10、c=1〜
    3、d=0〜3である。)、C6e (5-e)(式中、e
    =0〜4である。)R2O(CHR3CH2O)f(CHR
    4CH2O)g(CH2h(式中R2〜R4は同一でも異な
    っていてもよく、それぞれ水素原子、メチル基を示し、
    f=0〜20、g=1〜20、h=1〜4である。))
    で表される化合物の少なくとも1種以上であることを特
    徴とする請求項1または2記載の表面平滑性に優れる多
    孔質シリカフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 ポリジメチルシロキサンを主成分とする
    有機ケイ素化合物が、ポリジメチルシロキサンとポリア
    ルキレンオキシドのブロックコポリマーであることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面平滑性に
    優れる多孔質シリカフィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 多孔質シリカフィルム内に、フッ素原子
    が0.5原子%〜20原子%の範囲で存在することを特
    徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の表面平滑性に
    優れる多孔質シリカフィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 加水分解縮合したアルコキシシラン類と
    界面活性剤とを含む塗布液を、基板に塗布した後、焼成
    あるいは抽出により界面活性剤を除去して、X線回折法
    による測定で周期的な結晶構造を有し、相対強度が最大
    である回折ピークの面間隔が20〜120Åの範囲であ
    る多孔質シリカフィルムを調製する際に、この塗布液に
    ポリジメチルシロキサンを主成分とする有機ケイ素化合
    物を添加してなることを特徴とする表面平滑性に優れる
    多孔質シリカフィルム製造用塗布液。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方
    法により製造された多孔質シリカフィルムからなる層間
    絶縁膜。
  9. 【請求項9】 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方
    法により製造された表面平滑性に優れる多孔質シリカフ
    ィルムをシリル化した層間絶縁膜。
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