JP2005225689A - 多孔質シリカフィルム形成用塗布液、多孔質シリカフィルムおよびそれらの製造方法ならびに半導体材料および半導体装置 - Google Patents

多孔質シリカフィルム形成用塗布液、多孔質シリカフィルムおよびそれらの製造方法ならびに半導体材料および半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 均一な細孔を有しかつ表面平滑性に優れ、光機能材料、電子機能材料、半導体材料などに好適に使用できる多孔質シリカフィルムを提供する。
【解決手段】 少なくともSi−O−Si結合を有するアルコキシシランを含むシラン化合物(A)と、界面活性剤(B)と、沸点が150〜300℃、20℃における誘電率が25以上かつ粘性率が2.0〜1000cPである有機化合物(C)と、溶媒(D)とを含む多孔質シリカフィルム形成用塗布液を用い、これを基材に塗布し、溶媒(D)を蒸発させ、および界面活性剤を除去することにより、表面に放射状のスジ、縞模様などのない、表面平滑性に優れた多孔質シリカフィルムを得ることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、多孔質シリカフィルム形成用塗布液、多孔質シリカフィルムおよびそれらの製造方法ならびに半導体材料および半導体装置に関する。
均一なメソ孔を持つ多孔質無機化合物は、従来のゼオライトなどの酸化物に比べ、大きい細孔を持ち、触媒担体、分離吸着剤、燃料電池、センサーなどに利用することが検討されている。
このような均一なメソ孔を持つ多孔質無機化合物の合成に関しては、新規な形状、構造を得るのが容易なことから、有機化合物による無機化合物の構造制御作用を利用する方法が注目されている。特に有機化合物と無機化合物の自己組織化を利用することで合成される均一なメソ孔を持つ多孔質無機酸化物は、従来のゼオライトなどの酸化物に比べ、高い細孔容積および表面積を持つ。
有機化合物と無機化合物の自己組織化を利用した均一なメソ孔を持つ多孔質無機酸化物の製造方法としては、たとえば、シリカゲルと界面活性剤などとを封入した耐熱性容器内で水熱合成する方法(特許文献1参照)、層状ケイ酸塩の一種であるカネマイトと界面活性剤とのイオン交換を利用する方法(非特許文献1参照)などが知られている。
また、このような均一なメソ孔を持つ多孔質無機酸化物を光機能材料、電子機能材料などに応用するために、その形態をフィルム状に調製することが報告されている。多孔質シリカフィルムの調製に例をとれば、たとえば、アルコキシシランの縮合物と界面活性剤とからなるゾル液中に基板を入れ、基板表面に多孔質シリカを析出させる方法(非特許文献2、3参照)、アルコキシシランの縮合物と界面活性剤とを有機溶媒に混合した多孔質シリカフィルム形成用塗液を基板に塗布し、有機溶媒を蒸発させて基板上にフィルムを形成する方法(非特許文献4〜7参照)などの方法がある。これらのうち、基板表面に多孔質シリカを析出させる方法では、調製に長時間を要し、また、粉体として析出する多孔質シリカが多いので歩留まりが悪いといった欠点があり、有機溶媒を蒸発させる方法の方が多孔質シリカフィルムの調製に適している。なお、有機溶媒を蒸発させて基板上にフィルムを調製する方法において、溶媒としては、たとえば、アルコール類、多価アルコールグリコールエーテル類、グリコールアセテートエーテル類、アミド類、ケトン類、カルボン酸エステル類(特許文献2)、アミド結合を有する有機溶媒、エステル結合を有する有機溶媒(特許文献3)などが用いられる。これらの中でも、取り扱い易さ、環境負荷への影響が少ないことなどを考慮して、エタノールなどのアルコール類が特に用いられる。
一方、このような多孔質シリカフィルムを光機能材料、電子機能材料などに応用するに際し、表面の平滑性の問題が生じている。たとえば、電子機能材料として層間絶縁膜への応用を考えた場合、膜の平滑性は±数nmにしなければならない。しかしながら、有機溶媒を蒸発させてフィルムに製膜する方法では、表面に±数nmを超える凹凸が発生するのを避けることが困難であることが多い。これは、多孔質シリカフィルム形成用塗液が、沸点、表面張力、蒸発速度などの異なる種々の化合物を含み、加熱により有機溶媒を蒸発させる際に各化合物の蒸発速度の違いから、フィルム表面にクレーター状の欠陥、放射状の筋などを生じるためと考えられる。すなわち表面平滑性に優れる多孔質シリカフィルムを得るには、条件の自由度が著しい制約を受ける。特に、工業的に有利なスピンコートを行う際および/または有機溶媒として環境負荷の少ないアルコール類を用いる際には、フィルム表面のスジ状、放射状の縞模様が顕著であり、平滑性の低下を避けることが困難であることが非常に多い。有機溶媒の蒸発に長時間を掛ければ、表面平滑性の高い多孔質シリカフィルムが得られる可能性はあるけれども、蒸発速度が遅いと、得られるフィルムの膜構造における規則性が低下するので、構造の規則性と表面平滑性の向上とを両立するには、一般的に不利とされている(非特許文献8)。したがって、光機能材料、電子機能材料などに応用可能な、表面平滑性の高い多孔質シリカフィルムおよびその製造方法の開発が急務となっている。
従来、多孔質シリカフィルムの表面平滑性の向上に有効な有機化合物は知られていないけれども、最近になって、25℃における蒸気圧が約1333Pa(10mmHg)以下の有機化合物、特にN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、アセトアミドなどのアミド化合物を添加することにより、膜表面を平滑化できることが見出されている(特許文献4)。この有機化合物を多孔質シリカフィルム形成用塗布液の溶媒として用いれば、表面平滑性に優れる多孔質シリカフィルムが得られるけれども、その効果が特に有効に発揮される添加量は、多孔質シリカフィルム形成用塗布液全量の15〜25体積%程度とされている。
シリカフィルム形成用塗布液を用いてシリカフィルムを成膜する場合には、溶媒蒸発工程が必須であるため、環境不可の低減や、安全性をさらに高める上で、特許文献4の有機化合物よりもさらに少ない量で、高いシリカフィルム平滑化効果を示し、しかも毒性の低い有機化合物が望まれている。
国際公開第91/11390号パンフレット 特開2000−38509号公報 国際公開第99/03926号パンフレット 特開2003−89513号公報 Bull.Chem.Soc.Jp.誌 1990年 63巻 988頁 Nature誌 1996年 379巻 703頁 J.Am.Chem.Soc.誌 1999年 121巻 7618頁 Supramolecular Science誌 1998年5巻 247頁 Adv.Mater.誌 1998年 10巻 1280頁 Nature誌 1997年 389巻 364頁 Nature誌 1999年 398巻 223頁 J.Phys.Chem.B誌 1997年 101巻 106〜10頁
本発明の目的は、表面平滑性に優れる多孔質シリカフィルムを形成するのに用いられる塗布液およびその製造方法、表面平滑性に優れ、光機能材料、電子機能材料などに好適に使用できる多孔質シリカフィルム、半導体材料ならびに半導体装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、多孔質シリカフィルムの表面平滑化に極めて有効な有機化合物を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、(A)少なくともSi−O−Si結合を有するアルコキシシランを含むシラン化合物、(B)界面活性剤、(C)沸点が150℃〜300℃(150℃以上、300℃以下)、20℃における誘電率が25以上かつ粘性率が2.0〜1000cP(2.0cP以上、1000cP以下)である有機化合物および(D)溶媒を含むことを特徴とする多孔質シリカフィルム形成用塗布液である。
また好ましくは本発明の多孔質シリカフィルム形成用塗布液は、有機化合物(C)が直鎖炭素鎖構造をもつ多価アルコール類であることを特徴とする。
また好ましくは本発明の多孔質シリカフィルム形成用塗布液は、前述の有機化合物(C)の含有量が、多孔質シリカフィルム形成用塗布液全量の2体積%〜15体積%(2体積%以上、15体積%以下)であることを特徴とする。
また好ましくは本発明の多孔質シリカフィルム形成用塗布液は、前述のシラン化合物(A)が、アルコキシシラン類を部分的に加水分解、脱水縮合して得られることを特徴とする。
また好ましくは本発明の多孔質シリカフィルム形成用塗布液は、前述のアルコキシシラン類が、一般式
(ZO)4−nSiR
〔式中、n=0〜2である。Zはアルキル基を示す。Rはアルキル基、フェニル基、フェネチル基、フッ素原子、基−(CH(CF(O(CFX(式中、Xはフッ素原子、基−OCF、基−OCF(CF、基−OC(CFを示す。a=0〜3、b=0〜3、c=1〜3、d=0〜3である。)または基−C(5−e)(式中e=0〜4である。)を示す。〕
で表される化合物から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
また好ましくは本発明の多孔質シリカフィルム形成用塗布液は、前述の界面活性剤(B)が、一般式
2m+1N(CH
〔式中、mは8〜24の整数である。Yはハロゲン化物イオン、HSO または有機アニオンを示す。〕
で表されるアルキルアンモニウム塩およびポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
また本発明は、少なくともSi−O−Si結合を有するアルコキシシランを含むシラン化合物(A)、界面活性剤(B)および溶媒(D)を含有する液に、沸点が150℃〜300℃、20℃における誘電率が25以上かつ粘性率が2.0〜1000cPである有機化合物(C)を添加することを特徴とする多孔質シリカフィルム形成用塗布液の製造方法である。
また本発明は、前述のいずれか1つの多孔質シリカフィルム形成用塗布液をフィルム形成用基板に塗布して乾燥し、さらに界面活性剤を除去して得られることを特徴とする多孔質シリカフィルムである。
また好ましくは本発明の多孔質シリカフィルムは、表面の凹凸幅が膜厚の±4%以下であることを特徴とする。
また本発明は、前述のいずれか1つの多孔質シリカフィルムを含む半導体材料である。
また本発明は、前述の半導体材料を含む半導体装置である。
本発明によれば、均一な細孔を持ちかつ表面平滑性に優れる多孔質シリカフィルムが提供される。本発明の多孔質シリカフィルムは、たとえば、光機能材料、電子機能材料などに好適に使用することができ、半導体用材料としての層間絶縁膜に特に適している。
本発明の多孔質シリカフィルム形成用塗布液は、(A)少なくともSi−O−Si結合を有するアルコキシシランを含むシラン化合物(A)、(B)界面活性剤、(C)沸点が150℃〜300℃(150℃以上、300℃以下)、20℃における誘電率が25以上かつ粘性率が2.0〜1000cP(2.0cP以上、1000cP以下)である有機化合物および(D)溶媒を含む。
なお、本明細書において、「液」という語は、溶液だけでなく、成分がミクロ分散した分散液の意も含んでいる。
(A)シラン化合物
本発明において用いられるシラン化合物(A)は、少なくともSi−O−Si結合を有するアルコキシシランを含むシラン化合物である。ただし、Si−O−Si結合を有するアルコキシシランのみからなる必要はなく、たとえば、Si−O−Si結合を有しないアルコキシシラン、Si数が1個のアルコキシシランなどが含まれていてもよい。
シラン化合物(A)における、Si−O−Si結合を有するアルコキシシランの含有率は特に制限されないけれども、好ましくはシラン化合物(A)全量の5重量%以上、さらに好ましくは10〜100重量%、特に好ましくは20〜100重量%である。
このようなシラン化合物(A)は、たとえば、アルコキシシラン類を部分的に加水分解・脱水縮合することにより得ることができる。
ここで使用されるアルコキシシラン類としては、公知のものを使用でき、たとえば、一般式
(ZO)4−nSiR …(1)
〔式中、Z、Rおよびnは上記に同じ。〕
で表わされるアルコキシシラン類(以後「アルコキシシラン類(1)」と称す)が挙げられる。
上記一般式(1)において、符号ZおよびRで示されるアルキル基は、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基などの炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
アルコキシシラン類(1)の具体例としては、たとえばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブチルシランなどの4級アルコキシシラン、トリメトキシフルオロシラン、トリエトキシフルオロシラン、トリイソプロポキシフルオロシラン、トリブトキシフルオロシランなどの3級アルコキシフルオロシラン、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラン、トリエトキシエチルシラン、トリメトキシプロピルシラン、トリエトキシプロピルシランなどの3級アルコキシアルキルシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリエトキシフェニルシラン、トリメトキシクロロフェニルシラン、トリエトキシクロロフェニルシランなどの3級アルコキシアリールシラントリメトキシフェネチルシラン、トリエトキシフェネチルシランなどの3級アルコキシフェネチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシランなどの2級アルコキシアルキルシランなどが挙げられる。これらの中でも、4級アルコキシシランが好ましく、テトラエトキシシランが特に好ましい。
アルコキシシラン類は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
アルコキシシラン類の部分的な加水分解・脱水縮合は、公知の方法に従って実施できる。たとえば、酸触媒の存在下に水を含む有機溶媒中にて行えばよい。もちろん、有機溶媒を用いない方法も採用できる。
酸触媒の存在下に水を含む有機溶媒中にて、アルコキシシラン類の部分的な加水分解・脱水縮合を行う場合、水の使用量は、アルコキシシランのSi原子1モルに対して、通常0.5〜20モルである。酸触媒としては公知のものを使用でき、たとえば、塩酸、臭酸、硝酸、硫酸などが挙げられる。酸触媒は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。酸触媒の使用量は、アルコキシシランのSi原子1モルに対して0.001〜0.4モル、好ましくは0.005〜0.3モル、より好ましくは0.01〜0.2モルの範囲が好適である。アルコキシシラン類の加水分解・脱水縮合反応は、アルコキシシラン類の種類によって異なるが、5〜75℃程度の穏和な温度下でも行うことが出来、3分〜5時間程度で終了する。上記の有機溶媒を用いない場合も、水の使用量は、上記の範囲を好ましい例として挙げることが出来る。
アルコキシシラン類の加水分解脱水縮合の度合いは、たとえば、水の使用量、酸触媒の使用量、反応温度、反応時間などによって適宜変更でき、その中でも、特に水の使用量の影響が大きい。これらの要件を適宜選択することによって、シラン化合物(A)中の、Si−O−Si結合を有するアルコキシシラン含有量を適宜変更することができる。
アルコキシシラン類の加水分解脱水縮合反応は、前述のように、有機溶媒を共存させて行うことができる。使用可能な有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノールなどの一級アルコール、2−プロパノール、2−ブタノールなどの二級アルコール、tert−ブチルアルコールなどの三級アルコール、アセトン、アセトニトリルなどが挙げられる。溶媒は1種単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
アルコキシシラン類の加水分解脱水縮合物の多孔質シリカフィルム形成用塗布液における含有量は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるけれども、通常は該塗布液全量の5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。
(B)界面活性剤
界面活性剤(B)としては、通常、一般式
2m+1N(CHY …(2)
〔式中、mおよびYは上記に同じ。〕
で表されるアルキルアンモニウム塩(以後「アルキルアンモニウム塩(2)」と称す)、および、ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物から選ばれる1種または2種以上を使用する。
アルキルアンモニウム塩(2)としては、アルキル基の炭素数が12〜20のものが好ましい。
また、ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物において、ポリアルキレンオキシド構造としては、ポリエチレンオキシド構造、ポリプロピレンオキシド構造、ポリテトラメチレンオキシド構造、ポリブチレンオキシド構造などが挙げられる。ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物の具体例としては、たとえば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのエーテル型化合物、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル(ソルビトール骨格は直鎖状、環状の何れでも良い。)、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエーテルエステル型化合物などが挙げられる。
界面活性剤(B)は、液体または固体のいずれの状態でも使用でき、適当な溶媒に溶解または分散させた状態でも使用できる。また、塗布液を調製する際は、単独で用いることも、塗布液用の溶媒(D)と混合して用いることもでき、またはアルコキシシラン類の加水分解脱水縮合物と混合することもできる。
界面活性剤(B)は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
界面活性剤(B)の使用量を適宜選択することによって、得られる多孔質シリカフィルムの細孔配列を制御することができる。
界面活性剤(B)の使用量は広い範囲から適宜選択できるけれども、界面活性剤(B)がアルキルアンモニウム塩(2)である場合は、シラン化合物(A)のSi原子1モルに対して好ましくは0.03〜1モル、さらに好ましくは0.05〜0.2モルである。界面活性剤(B)がポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物である場合は、シラン化合物(A)のSi原子1モルに対して、好ましくは0.003〜0.15モル、さらに好ましくは0.005〜0.10モルである。界面活性剤(B)の使用量が前述の範囲よりも著しく少ないと、塗布液中に、自己組織化に寄与し得ないシリカが過剰に混在することになり、得られる多孔質シリカフィルムの多孔質性が低下する可能性がある。また、界面活性剤(B)の使用量が前述の範囲を大きく上回ると、部分的に巨大な径の細孔が形成され、得られる多孔質シリカフィルムの強度が低下し、膜構造の崩壊が起こるおそれがある。
(C)有機化合物
有機化合物(C)は、沸点が150℃〜300℃、好ましくは170℃〜290℃、20℃における誘電率が25以上、好ましくは28以上、より好ましくは30以上、さらに好ましくは33以上、特に好ましくは33〜200であり、かつ、粘性率が2.0〜1000cP、好ましくは2.0〜970cP、さらに好ましくは3.0〜950cPである。本発明の有機化合物(C)の粘性率は、公知の方法によって測定された20℃での値である。また、既知の化合物については、例えば溶媒ハンドブック(講談社刊)等の公知文献に記載の値で代用することも出来る。
有機化合物(C)を用いることによって、得られる多孔質シリカフィルムの表面平滑性を著しく向上させることができる。
また、有機化合物(C)を用いると、後述する溶媒(D)として、多孔質シリカフィルム表面にスジ状、放射状の縞模様を発生させ易いアルコール類を用いても、スジ状、放射状の縞模様の発生は全く認められない。しかも、有機化合物(C)は従来の同様の効果を有する有機化合物よりも少ない量で、有効な表面平滑化効果を発揮する。
したがって、有機化合物(C)は、従来の表面平滑化効果を有する有機化合物よりも少ない量で同様の効果を示すので、環境負荷や安全性などの面からも非常に好ましい。さらに、有機化合物(C)として好ましく用いられる多価アルコールは、一般的にアミド化合物に比して化合物自体の安全性が高い物が多いことも好ましい理由の一つである。
さらに、使用量が少ないことに付随して、次のような利点がある。すなわち、多孔質シリカフィルム形成用塗布液を希釈するほどシラン化合物の濃度が低下し、得られるフィルムの膜厚は薄くなる。本発明によれば、有機化合物(C)の使用量が少なく、必要以上にシラン化合物が希釈されることがないので、表面平滑化用の有機化合物を含まないフィルムと比較しても、膜厚がほとんど変わらないフィルムを得ることができる。加えて、フィルムのシリカ骨格形成時に、有機化合物(C)のシリカ骨格内への侵入量も少なくなり、シリカ結合形成をあまり妨げることがないので、表面平滑化用の有機化合物を含まないフィルムと比較しても、機械強度がほとんど変わらず、機械強度の高いフィルムを得ることができる。
本発明において、有機化合物(C)がこのような優れた効果を発揮する理由は充分明らかではないけれども、前記3種の物性が規定の範囲内にあることが重要であり、その中でも、粘性率が規定の範囲にあることが特に重要であると考えられる。勿論、沸点および誘電率も塗布液の物性に影響するが、粘性率の影響が大きく、溶媒(D)の蒸発速度を遅くする作用などを発揮して表面平滑性を向上させると考えられる。したがって、均一に分散でき、塗布〜乾燥工程で蒸発できる粘性率の高い有機化合物(C)は表面平滑性の向上に有効である。
有機化合物(C)の中でも、特に、ヒドロキシ基を有する直鎖炭素鎖構造を有する多価アルコール類が好ましい。その具体例としては、たとえば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、グリセリンなどが挙げられ、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
有機化合物(C)の多孔質シリカフィルム形成用塗布液における含有量は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは該塗布液全量2体積%〜15体積%、さらに好ましくは2.5体積%〜10体積%である。2体積%を著しく下回ると、フィルム表面の平滑化効果が不充分になる可能性がある。15体積%を超えると得られる多孔質シリカフィルムの強度の低下を招くことがある。
(D)溶媒
溶媒(D)としては、アルコキシシラン類およびその加水分解脱水縮合物を溶解できまたはミクロ分散できるものであれば特に制限されず、公知のものを使用できるけれども、環境負荷、安全性などを考慮すると、アルコール類が好ましい。その具体例としては、たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノールなどの一級アルコール、2−プロパノール、2−ブタノールなどの二級アルコール、tert−ブチルアルコールなどの三級アルコール、アセトン、アセトニトリルなどが挙げられる。
なお、前述のアルコキシシラン類の加水分解脱水縮合反応の際に共存させてもよいアルコール類も、本発明の多孔質シリカフィルム形成用塗布液における溶媒(D)と見なすことが出来る。たとえば、溶媒(D)は、加水分解脱水縮合の際にのみ用いることもできるし、シラン化合物(A)、界面活性剤(B)、有機化合物(C)を混合して多孔質シリカフィルム形成用塗布液を調製する際に、添加混合することができる。
溶媒(D)は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
本発明の多孔質シリカフィルム形成用塗布液の製造方法は特に制限されないけれども、シラン化合物(A)、界面活性剤(B)および溶媒(D)を接触させた後で、有機化合物(C)を添加するのが好ましい。
本発明の多孔質シリカフィルム形成用塗布液は、たとえば、シラン化合物(A)および溶媒(D)を含む液に、界面活性剤(B)の適量を添加して混合し、次いで、この液に、有機化合物(C)の適量を添加して混合し、さらに必要に応じて溶媒(D)の残部を添加することによって調製できる。
有機化合物(C)は、そのままもしくは溶媒に溶解した状態で、または別途調製されたシラン化合物(A)の液に溶解した状態で、シラン化合物(A)と界面活性剤(B)との混合物に添加できる。
有機化合物(C)の添加時期は特に制限されないけれども、得られる多孔質シリカフィルムの表面平滑性をさらに高めるためには、シラン化合物(A)、界面活性剤(B)および溶媒(D)を接触させ、数分〜5時間程度撹拌を行って混合した後に、有機化合物(C)を添加するのが好ましい。
なお、界面活性剤(B)および/または溶媒(D)の存在下で、アルコキシシラン類の部分的な加水分解・脱水縮合を行い、シラン化合物(A)を生成させてもよい。
このようにして得られる多孔質シリカフィルム形成用塗布液を用い、公知の方法に従って、本発明の多孔質シリカフィルムを製造することができる。
たとえば、多孔質シリカフィルム形成用塗布液を基材に塗布して乾燥を行った後、界面活性剤を除去することによって、本発明の多孔質シリカフィルムが得られる。
ここで基材としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ガラス、石英、シリコンウエハ、セラミックス、ステンレス鋼などからなるものが挙げられる。その形状も特に制限されず、たとえば、板状、皿状などが挙げられる。
基材に多孔質シリカフィルム形成用塗布液を塗布する方法としては、固形物に液状物を塗布する公知の方法をいずれも採用でき、たとえば、スピンコート法、キャスティング法、ディップコート法などが挙げられる。スピンコート法の場合、スピナー上に基材を置き、該基材上に塗布液を滴下しながら500〜10000rpmで回転させることにより、フィルム表面平滑性に優れる均一な膜厚のフィルムが得られる。
乾燥の条件は特に制限されず、多孔質シリカフィルム形成用塗布液中に含まれる溶媒(D)の種類などに応じて、乾燥温度および乾燥時間を適宜選択すればよい。
界面活性剤の除去は、公知の方法に従って実施でき、たとえば、焼成、光による分解、抽出などが挙げられる。これらの中でも、焼成が一般的である。焼成の条件は特に制限されず、界面活性剤の種類に応じて、焼成温度および焼成時間を適宜選択すればよい。また、焼成雰囲気も特に制限されず、大気中、不活性ガス中および真空中のいずれでもよい。
このようにして得られる本発明の多孔質シリカフィルムは、平均細孔径が1.3〜10nmである事が好ましい。
本発明の多孔質シリカフィルムは、表面平滑性が非常に良好であり、表面の凹凸幅が膜厚の±4%、好ましくは±3%以下である。なお、多孔質シリカフィルムの表面状態、たとえば、スジ状または放射状縞模様の発生の有無などは、光学顕微鏡により観察して確認した。
本発明の多孔質シリカフィルムの凹凸幅および膜厚は、触針式段差計(商品名:DEKTAK3030、ULVAC社製)を用いた任意の3箇所の測定値の平均値で表される。上記の触針式段差計で任意の場所を走査測定すると、横軸が場所、縦軸を高さのチャートが得られる。本発明の多孔質シリカフィルムを測定すると、表面の凹凸形状を反映した形状のチャートとなる。本明細書において、表面の凹凸幅とは、上記のチャートにおける凹面の底面部と、凸面の上面部との幅を意味する。また、膜厚は上記底面部と上面部との基板からの高さの平均値で表される。
本発明の多孔質シリカフィルムの誘電率は、通常1.5〜3.5である。またフィルムの誘電率は、シリコンウエハを基板として多孔質シリカフィルムを形成し、該シリコンウエハの裏面に蒸着法によりアルミニウム電極を作成し、乾燥N中、400℃、30分乾燥したのち、25℃になるまでN中で冷却し、周波数100kHzで測定した。
本発明の多孔質シリカフィルムは、好ましくはX線回折法による相対強度が最大である回折ピークの面間隔20〜500Åの周期的なヘキサゴナル構造を有する多孔質シリカ膜である。
本発明の多孔質シリカフィルムは、フィルム弾性率として、たとえば、1〜20GPaの強度を有する。フィルム弾性率は、Hysitron社製のTriboscope Systemを用いたナノインデンタにより測定した。
本発明の多孔質シリカフィルムの膜厚は、該フィルムを適用しようとする用途に応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは0.05〜2000μm程度、さらに好ましくは0.08〜1000μm程度である。
本発明の多孔質シリカフィルムは、高い平滑性だけでなく高い強度をも併せ持つことを特徴とする。また、本発明の多孔質シリカフィルム形成用塗布液を用いると、上記のような特徴を有する多孔質シリカフィルムが容易に、たとえば公知の製膜条件においても得られる。
本発明の多孔質シリカフィルムは、自立した状態でも、または基材に固着した状態でも、高い表面平滑性を有し、しかも透明性を有するように形成できる。
本発明の多孔質シリカフィルムは、LSIの層間絶縁膜、誘電体の絶縁材料などの半導体材料に用いられる。また、分子記録媒体、透明導電性フィルム、固体電解質、光導波路、LCD用カラー部材などの光機能材料、電子機能材料としても利用できる。特に、層間絶縁膜は、強度、耐熱性、低誘電率(高空隙率)が求められており、表面平滑性に優れかつ均一な細孔を有する本発明の多孔質シリカフィルムは非常に好適である。
本発明の半導体材料は、従来のシリカ薄膜と同様にして、種々の半導体装置に適用することができる。半導体装置の具体例としては、たとえば、FRAM、シリコンを用いた半導体デバイス、HEMTなど化合物半導体を用いたデバイス、マイクロ波ICなどの高周波デバイス、MFMIS型の高集積強誘電体メモリ、フィルムキャリアなどを用いたマイクロ波伝送線路、多層配線基板などが挙げられる。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお実施例および比較例で用いた原料化合物は、具体的には次のものである。
テトラエトキシシラン(Si(OC):ELグレード、高純度化学研究所製
エタノール:電子工業用、和光純薬工業(株)製
1N塩酸:超微量分析用、和光純薬工業(株)製
界面活性剤:
ポリ(アルキレンオキサイド)ブロックコポリマー〔HO(CHCHO)O(CHCH(CH)O)O(CHCHO)20H〕(Pluronic123、BASF社製)70gを、電子工業用エタノール700gに溶解した。この溶液を、イオン交換樹脂(商品名:SK1BH、日本錬水(株)製)によりイオン交換し、エタノールを蒸留により除去することで脱金属処理したものを使用した。
水:純水製造装置(Milipore社製)にて脱金属処理した水を使用した。
1,3−プロパンジオール(HOCH−CH−CHOH):特級、和光純薬工業(株)製
1,2−エタンジオール(HOCH−CHOH):特級、和光純薬工業(株)製
グリセリン(HOCH−CHOH−CHOH):特級、和光純薬工業(株)製
N,N−ジメチルアセトアミド(CHCON(CH):電子工業用、関東化学(株)製
また、多孔質シリカフィルムの物性値は下記の方法で測定した。
「面間隔の測定」
X線回折法により任意の3点を測定し、その平均値とした。
「誘電率の測定」
フィルムの誘電率はフィルムの電気容量と膜厚から求めた。まず、電気容量は、シリコンウエハを基板として多孔質シリカフィルムを形成し、該シリコンウエハの裏面に蒸着法によりアルミニウム電極を作成し、乾燥N中、400℃、30分乾燥したのち、25℃になるまでN中で冷却し、周波数100kHzで任意の3点を測定し、その平均値とした。この電気容量と触針式段差計により求めた膜厚から誘電率を算出した。
「フィルムの強度(ヤングモジュラス)の測定」
フィルムの強度(ヤングモジュラス)は、Hysitron社製のTriboscope Systemを用いたナノインデンタにより任意の5点を測定し、その平均値とした。
(実施例1)
テトラエトキシシラン10.0gとエタノール10mLとを混合した後、1N塩酸1.0mLをさらに添加攪拌した。次いで、この液に、ポリ(アルキレンオキサイド)ブロックコポリマー2.8gのエタノール40mL溶液を添加攪拌し、均一に混合した。この液に水8mLを添加、50分間攪拌して透明で均一な液を得た。
この液71mLに対して1,3−プロパンジオール(沸点214℃、誘電率35、粘性率62cP)6.6mL(9体積%)添加し、さらに70分間攪拌して本発明の多孔質シリカフィルム形成用塗布液を得た。
この塗布液6mLを直径8インチのシリコンウエハ表面上にのせ、2000rpmで60秒間回転させてシリコンウエハ表面に塗膜(湿潤状態)を調製した。得られた塗膜を100℃で60分間乾燥し、さらに空気中で400℃、180分間焼成した。
得られたフィルムをX線解析したところ、フィルムは面間隔70.6nmの周期的なヘキサゴナル構造を有することが確認された。また、誘電率(RH=0%)は2.03、ヤングモジュラスは7.5GPaであった。フィルム表面は鏡面状になっており、図1に示すように、光学顕微鏡により表面には筋、縞模様などは確認できず、段差計を用いた測定より表面の凹凸は±2%以下になっていることから平滑性が優れていることがわかった。図1は、多孔質シリカフィルムの表面状態を示す光学顕微鏡写真(図1中、1div.(1目盛り)=0.02mm)である。
(実施例2)
1,3−プロパンジオール6.6mLに代えて1,2−エタンジオール(沸点198℃、誘電率37.7、粘性率25.7cP)3.3mL(4.6体積%)を添加する以外は実施例1と同様にして、本発明の多孔質シリカフィルム形成用塗布液を調製した。
この塗布液を用い、実施例1と同様にして多孔質シリカフィルムを成膜したところ、X線解析で面間隔74.8Åの周期的なヘキサゴナル構造を有することが確認された。また誘電率(RH=0%)は2.01、ヤングモジュラスは7.9GPaであった。フィルム表面は鏡面状になっており、図2に示すように、光学顕微鏡により表面には筋や縞模様は確認できず、段差計を用いた測定より表面の凹凸は±2%以下になっていることから平滑性が優れていることがわかった。図2は、多孔質シリカフィルムの表面状態を示す光学顕微鏡写真(図2中、1div.=0.02mm)である。
(実施例3)
1,3−プロパンジオール6.6mLに代えて1,3−プロパンジオール3.3mL(4.6体積%)添加する以外は実施例1と同様にして、本発明の多孔質シリカフィルム形成用塗布液を調製した。
この塗布液を用い、実施例1と同様にして多孔質シリカフィルムを成膜したところ、X線解析で面間隔74.2Åの周期的なヘキサゴナル構造を有することが確認された。また誘電率(RH=0%)は1.89、ヤングモジュラスは7.9GPaであった。フィルム表面は鏡面状になっており、図3に示すように、光学顕微鏡により表面には筋や縞模様は確認できず、段差計を用いて測定したところ表面の凹凸は±3%以下になっていることから平滑性が優れていることがわかった。図3は、多孔質シリカフィルムの表面状態を示す光学顕微鏡写真(図3中、1div.=0.02mm)である。
(実施例4)
1,3−プロパンジオール6.6mLに代えてグリセリン(沸点290℃、誘電率42.5、粘性率945cP)3.3mL(4.6体積%)を添加する以外は実施例1と同様にして、本発明の多孔質シリカフィルム形成用塗布液を調製した。
この塗布液を用い、実施例1と同様にして多孔質シリカフィルムを成膜したところ、X線解析でピークが観測されず周期的な構造を持たないことが確認された。フィルム表面は鏡面状になっており、図4に示すように、光学顕微鏡により表面には筋や縞模様は確認できず、段差計を用いて測定したところ表面の凹凸は±2%以下になっていることから平滑性が優れていることがわかった。図4は、多孔質シリカフィルムの表面状態を示す光学顕微鏡写真(図4中、1div.=0.02mm)である。
(実施例5) テトラエトキシシラン10.0gとエタノール10mLとを混合した後、1N塩酸1.0mLを添加し、1時間30分間攪拌して(A)成分液を得た。また、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル−1−トリエトキシシラン0.1293gと、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメチルシラン0.14gと、エタノール10mLとを混合した後、1N塩酸0.13mLを添加し、24時間撹拌して(B)成分液を得た。さらに、ポリ(アルキレンオキサイド)ブロックコポリマー2.8gをエタノール30mLに溶解し、(C)成分溶液を得た。この(C)成分溶液に、(B)成分液を添加し0.5時間撹拌した。次いで、この(C)成分溶液と(B)成分液との混合液を、(A)成分液に添加して50分間攪拌した。得られた混合液71mLに対して1,3−プロパンジオール6.6mL(9体積%)を添加混合し、さらに70分間攪拌して本発明の多孔質シリカフィルム形成用塗布液を得た。
この塗布液1.5mLを直径8インチのシリコンウエハ表面上にのせ、2000rpmで60秒間回転させてシリコンウエハ表面に塗膜(湿潤状態)を調製した。得られた塗膜を100℃で60分間乾燥し、さらに空気中で400℃、180分間焼成し多孔質シリカフィルムを調製した。得られたフィルムをX線解析したところ、フィルムは面間隔6.52nmの周期的なヘキサゴナル構造を有することが確認された。また誘電率(RH=0%)は1.60、ヤングモジュラスは6.2GPaであった。フィルム表面は鏡面状になっており、図5に示すように、光学顕微鏡により表面には筋や縞模様は確認できず、段差計を用いて測定したところ表面の凹凸は±2%以下になっていることから平滑性が優れていることがわかった。図5は、多孔質シリカフィルムの表面状態を示す光学顕微鏡写真(図5中、1div.=0.02mm)である。 (比較例1)
1,3−プロパンジオール6.6mL添加しない以外は実施例1と同様にして、シリカフィルム形成用塗布液を調製した。この塗布液を用い、実施例1と同様にしてシリカフィルムを成膜したところ、X線解析で面間隔72Åの周期的なヘキサゴナル構造を有することが確認された。フィルム表面は、図6に示すように、光学顕微鏡によりはっきりとした放射状の筋(縞模様)が確認でき、段差計を用いて測定したところ表面の凹凸は5%以上であり平滑ではなく、誘電率・ヤングモジュラスの測定はできない状態であった。図6は、シリカフィルムの表面状態を示す光学顕微鏡写真(図6中、1div.=0.02mm)である。
(比較例2)
1,3−プロパンジオール6.6mLに代えてメタノール6.6ml(9.0体積%)を添加する以外は実施例1と同様にしてシリカフィルム形成用塗布液を調製した。この塗布液を用い、実施例1と同様にしてシリカフィルムを成膜したところ、X線解析で面間隔72Åの周期的なヘキサゴナル構造を有することが確認された。しかしながら、フィルム表面は、図7に示すように、光学顕微鏡によりはっきりとした放射状の筋(縞模様)が確認でき、段差計を用いて測定したところ表面の凹凸は5%以上であり平滑ではなかった。図8は、シリカフィルムの表面状態を示す光学顕微鏡写真(図7中、1div.=0.02mm)である。
実施例1の多孔質シリカフィルムの表面状態を示す光学顕微鏡写真である。 実施例2の多孔質シリカフィルムの表面状態を示す光学顕微鏡写真である。 実施例3の多孔質シリカフィルムの表面状態を示す光学顕微鏡写真である。 実施例4の多孔質シリカフィルムの表面状態を示す光学顕微鏡写真である。 実施例5の多孔質シリカフィルムの表面状態を示す光学顕微鏡写真である。 比較例1の多孔質シリカフィルムの表面状態を示す光学顕微鏡写真である。 比較例2のシリカフィルムの表面状態を示す光学顕微鏡写真である。

Claims (11)

  1. (A)少なくともSi−O−Si結合を有するアルコキシシランを含むシラン化合物、(B)界面活性剤、(C)沸点が150℃〜300℃、20℃における誘電率が25以上かつ粘性率が2.0〜1000cPである有機化合物および(D)溶媒を含むことを特徴とする多孔質シリカフィルム形成用塗布液。
  2. 有機化合物(C)が直鎖炭素鎖構造をもつ多価アルコール類であることを特徴とする請求項1記載の多孔質シリカフィルム形成用塗布液。
  3. 有機化合物(C)の含有量が、多孔質シリカフィルム形成用塗布液全量の2体積%〜15体積%であることを特徴とする請求項1記載の多孔質シリカフィルム形成用塗布液。
  4. シラン化合物(A)が、アルコキシシラン類を部分的に加水分解、脱水縮合して得られることを特徴とする請求項1記載の多孔質シリカフィルム形成用塗布液。
  5. アルコキシシラン類が、一般式
    (ZO)4−nSiR
    〔式中、n=0〜2である。Zはアルキル基を示す。Rはアルキル基、フェニル基、フェネチル基、フッ素原子、基−(CH(CF(O(CFX(式中、Xはフッ素原子、基−OCF、基−OCF(CF、基−OC(CFを示す。a=0〜3、b=0〜3、c=1〜3、d=0〜3である。)または基−C(5−e)(式中e=0〜4である。)を示す。〕
    で表される化合物から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項4記載の多孔質シリカフィルム形成用塗布液。
  6. 界面活性剤(B)が、一般式
    2m+1N(CH
    〔式中、mは8〜24の整数である。Yはハロゲン化物イオン、HSO または有機アニオンを示す。〕
    で表されるアルキルアンモニウム塩およびポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1記載の多孔質シリカフィルム形成用塗布液。
  7. 少なくともSi−O−Si結合を有するアルコキシシランを含むシラン化合物(A)、界面活性剤(B)および溶媒(D)を含有する液に、沸点が150℃〜300℃、20℃における誘電率が25以上かつ粘性率が2.0〜1000cPである有機化合物(C)を添加することを特徴とする多孔質シリカフィルム形成用塗布液の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか1つの多孔質シリカフィルム形成用塗布液をフィルム形成用基板に塗布して乾燥し、さらに界面活性剤を除去して得られる多孔質シリカフィルム。
  9. 表面の凹凸幅が膜厚の±4%以下であることを特徴とする請求項8記載の多孔質シリカフィルム。
  10. 請求項8または9の多孔質シリカフィルムを含む半導体材料。
  11. 請求項10の半導体材料を含む半導体装置。
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