JP2008260918A - 膜形成用組成物およびシリカ系膜とその形成方法 - Google Patents

膜形成用組成物およびシリカ系膜とその形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高集積化および多層化が望まれている半導体素子などにおいて好適に用いることができ、絶縁膜を形成する際に所望の比誘電率を簡便に得ることができる膜形成用組成物を提供すること。
【解決手段】上記膜形成用組成物は、下記式(1)で示される示性式を持ち、120℃において固体状であるシリコーン樹脂と、特定のシラン化合物を加水分解縮合して得られた加水分解縮合物と、(D)有機溶媒とを含有する。
(HSiO)(HSiO1.5(SiO ・・・・・(1)
(式(1)中、n、mおよびkはそれぞれ数であり、n+m+k=1としたとき、nは0.05以上であり、mは0を超えて0.95以下であり、kは0〜0.2である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、膜形成用組成物ならびにシリカ系膜およびその形成方法に関する。
従来、半導体素子などにおける層間絶縁膜として、CVD法などの真空プロセスで形成されたシリカ(SiO)膜が多用されている。そして、近年、より均一な層間絶縁膜を形成することを目的として、SOG(Spin on Glass)膜と呼ばれるテトラアルコキシランの加水分解生成物を主成分とする塗布型の絶縁膜も使用されるようになっている。
通常、半導体装置に用いられる低比誘電率絶縁膜用の有機シリカゾル組成物は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)やパッケージング等の力学的ストレスの生ずる工程での収率を考慮して、熱硬化後に得られた有機シリカ膜が高い弾性率を示すように、有機シリカゾルの組成が制御されている(特許文献1参照)。具体的には、有機シリカゾル内の4官能性シラン化合物あるいはそれ以上の数の加水分解性置換基を有するシラン化合物を、好ましくは40モル%以上と多量とすることにより、シリカ膜中の絶対的な架橋密度の向上を図っている。これらのシラン化合物の成分比を上げることにより架橋密度が上昇し、弾性率および硬度が高い膜が得られるという。しかしながら、これらのシラン化合物が有する架橋部位(シラノール)を完全に反応させることは難しいため、絶縁膜形成用組成物中で徐々に加水分解縮合反応が進行し、塗布時に膜厚が変化したり、異物の発生や粘度の上昇などによって貯蔵安定性が低かったりする場合があり、解決が待たれている。
米国特許第6495264号明細書
本発明の目的は、高集積化および多層化が望まれている半導体素子などにおいて好適に用いることができ、絶縁膜を形成する際に所望の比誘電率を簡便に得ることができる膜形成用組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記膜形成用組成物を用いて得られるシリカ系膜およびその形成方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
本発明の上記目的および利点を達成する膜形成用組成物は、第1に、
(A)下記式(1)で示される示性式を持ち、120℃において固体状であるシリコーン樹脂と、(B)下記式(2)で表される化合物、下記式(3)で表される化合物、および下記式(4)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物を加水分解縮合して得られた加水分解縮合物と、(D)有機溶媒とを含有することを特徴とする。
(HSiO)(HSiO1.5(SiO ・・・・・(1)
(式(1)中、n、mおよびkはそれぞれ数であり、n+m+k=1としたとき、nは0.05以上であり、mは0を超えて0.95以下であり、kは0〜0.2である。)
Si(OR ・・・・・(2)
(式(2)中、Rは1価の有機基を示す。)
(RO)3−aSi−(R−Si(OR3−b ・・(3)
(式(3)中、R〜Rは同一または異なり、それぞれ1価の有機基を示し、aおよびbは同一または異なり、0〜1の数を示し、Rは酸素原子、フェニレン基または−(CH−で表される基(ここで、pは1〜6の整数である。)を表し、cは0または1を示す。)
Si(OR4−d ・・・・・(4)
(式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基を表し、Rは1価の有機基を表し、dは1〜3の整数を示す。)
本発明の上記目的および利点を達成する膜形成用組成物は、第2に、(C)上記式(1)で示される示性式を持つシリコーン樹脂の存在下で、上記式(2)で表される化合物、上記式(3)で表される化合物、および上記式(4)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物を加水分解縮合して得られた加水分解縮合物と、(D)有機溶媒とを含有することを特徴とする。
本発明の上記膜形成用組成物において、上記式(1)で示される示性式を持つシリコーン樹脂は、下記式(5)で示されるケイ素化合物を、有機溶媒中、塩基性ないし中性条件下で加水分解縮合させて得られるものであることができる。
Figure 2008260918
(式(5)中、xは3〜25の整数を示す。)
さらに、本発明の上記目的および利点を達成するシリカ系膜の形成方法は、上記絶縁膜形成用組成物を基板に塗布し、塗膜を形成する工程と、前記塗膜に硬化処理を施す工程とを含む。
本発明の上記目的および利点を達成するシリカ系膜は、上記シリカ系膜の形成方法により得られる。
なお、本明細書において、「シリカ系膜」とは、化学量論的に示性式SiOで表される二酸化ケイ素膜のほか、組成がSiOから多少ずれたケイ素酸化膜一般を包含する概念として理解されるベきである。
本発明の絶縁膜形成用組成物によれば、上記(A)成分と上記(B)成分とを含むので、上記(A)成分と上記(B)成分の混合比を変えることで所望の比誘電率を有する絶縁膜を容易に形成することが可能となり、特には比誘電率3〜4程度の絶縁膜を容易に形成することが可能となる。
また、本発明の膜形成用組成物によれば、上記(A)成分の存在下において、上記式(1)〜(3)で表されるシラン化合物を加水分解縮合して得られた加水分解縮合物を含むので、上記(A)成分とシラン化合物との反応量比を変えることで所望の比誘電率を有する絶縁膜を容易に形成することが可能となり、特には比誘電率3〜4程度の絶縁膜を容易に形成することが可能となる。
上記本発明の膜形成用組成物は、基板上に塗付した後、一旦溶媒を除去してしまえば、溶媒除去後の塗膜は固体状であり、物理的に安定となるため、従来知られている二酸化ケイ素前駆体(その多くは溶媒除去後も液体状である。)に比べて、引き続いて行われる加熱工程または光照射工程までのハンドリング性の点で大きな利点を有する。
上記シリカ系膜は比誘電率が小さく、機械的強度に優れ、かつ、比誘電率が小さい。
以下、本発明の一実施形態に係る膜形成用組成物、ならびにシリカ系膜およびその形成方法について具体的に説明する。
1.本発明の一実施形態に係る膜形成用組成物およびその製造
本発明の一実施形態に係る膜形成用組成物は、(A)上記式(1)で示される示性式を持ち、120℃において固体状であるシリコーン樹脂と、(B)上記式(2)で表される化合物、上記式(3)で表される化合物、および上記式(4)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物を加水分解縮合して得られた加水分解縮合物と、(D)有機溶媒とを含有する。
(A)成分のシリコーン樹脂と、(B)成分の加水分解縮合物との混合比は、適宜設定することが可能で、(A)成分および(B)成分の総量に対して、(A)成分;0.1〜99.9重量%、(B)成分;0.1〜99.9重量%であることが好ましい。(A)成分と(B)成分との混合比を変えることで、得られた膜形成用組成物により形成される膜の比誘電率を変えることが可能となる。
1.1 (A)成分:シリコーン樹脂
本発明における(A)成分であるシリコーン樹脂は、上記式(1)の示性式で表される。その構造としては、直鎖状、分岐状、環状、かご状などの構造であることができる。
上記式(1)の示性式で表される(A)成分であるシリコーン樹脂は、n+m+k=1としたときに、nは0.05以上であり、mは0を超えて0.95以下であり、kは0〜0.2である。nは好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.2〜0.5であり、さらに好ましくは0.2以上0.5未満であり、特に0.2〜0.4であることが好ましい。nが0.05より小さいときは、本発明の組成物を溶媒に溶解した組成物として使用するときに、溶媒に対する溶解性が不足して、特にスピンコートによる塗布法を採用した場合にストリエーションなどの成膜異常が発生しやすくなる。またmは0を超えて0.95以下であり、好ましくは0.1〜0.8であり、より好ましくは0.5〜0.8であり、さらに好ましくは0.5を超えて0.8以下であり、特に0.6〜0.8であることが好ましい。mが0.95より大きい場合には、当該シリコーン樹脂を含む組成物を溶媒に溶解したときに、その保存安定性が悪く保存中にゲル化を起こしやすくなる場合がある。kは0〜0.2であり、好ましくは0.1以下であり、特に0であることが好ましい。kが0.2より大きい場合には、当該シリコーン樹脂を含む組成物を溶媒に溶解した組成物としたときに、その保存安定性が悪く保存中にゲル化を起こしやすくなる場合がある。
(A)成分であるシリコーン樹脂の重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量をいう。以下同じ。)は、好ましくは200から500,000であり、より好ましくは1,000〜100,000であり、さらに好ましくは2,000〜50,000である。
(A)成分であるシリコーン樹脂は、汎用の有機溶媒に可溶である。そのため後述するように(A)成分であるシリコーン樹脂、(B)成分および有機溶媒からなる組成物を調製し、塗布型の二酸化ケイ素前駆体として好適に使用することができる。
(A)成分であるシリコーン樹脂は、120℃において固体状である。そのため、当該シリコーン樹脂を含む組成物を溶媒に溶解した状態で基板上に塗付した後、一旦溶媒を除去してしまえば、溶媒除去後の塗膜は物理的に安定となるため、従来知られている二酸化ケイ素前駆体(その多くは溶媒除去後も液体状である。)に比べて、引き続いて行われる加熱工程または光照射工程までのハンドリング性の点で大きな利点を有する。
さらに(A)成分であるシリコーン樹脂は、そのSi−OH含量がSi−O結合の総量に対して好ましくは5%以下であり、より好ましくは3%以下である。ここで、Si−O結合の総量とは、Si−O−Siに含まれるSi−O結合とSi−OHに含まれるSi−O結合との合計量をいう。シリコーン樹脂中にSi−OH結合が上記の割合を超えて存在すると、シリコーン樹脂またはそれを含有するシリコーン樹脂組成物の保存安定性が不足する場合があり、また、かかるシリコーン樹脂を用いて得られる二酸化ケイ素膜に圧縮応力がかかり、膜にクラックが生じやすくなることが懸念されるが、本発明における(A)成分であるシリコーン樹脂は、かかる問題が生ずることがない。このSi−OH含量は、シリコーン樹脂について測定した29Si−NMRスペクトルの積算値から求めることができる。
<シリコーン樹脂の製造方法>
上記の如き(A)成分であるシリコーン樹脂は、好ましくは上記式(5)で表されるケイ素化合物を、有機溶媒中、塩基性または中性条件下で加水分解縮合させる方法により製造することができる。
上記式(5)において、xは好ましくは3〜15であり、より好ましくは3〜8である。
方法(A)で用いられる上記式(5)で表されるケイ素化合物は、有機溶媒中、ジクロロシランを加水分解・縮合することで合成することができる。加水分解・縮合の際には、有機溶媒および水以外に触媒などの第3成分を加えてもよい。
ここで使用することのできる溶媒としては、上記式(5)で表されるケイ素化合物およびシリコーン樹脂成分ならびに任意的に加えられる第3成分と反応しないものであれば特に限定されず、例えばハロゲン化炭化水素溶媒、炭化水素溶媒、エーテル溶媒、極性溶媒などを挙げることができる。上記ハロゲン化炭化水素溶媒としては塩素化炭化水素溶媒が好ましく、例えば塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素など;
上記炭化水素溶媒としては、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなど;
上記エーテル溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルペンチルエーテル、エチルヘキシルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオクチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン、テトラヒドロフランなど;
上記極性溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどを、それぞれ挙げることができる。これらのうち、該溶液の安定性の点で、塩素化炭化水素溶媒、エーテル溶媒または炭化水素溶媒が好ましい。
ジクロロシランの加水分解のため水の量は、ジクロロシラン1モルに対して、好ましくは0.5モル以上5モル未満であり、より好ましくは0.5〜3モルであり、さらに好ましくは0.9〜1.5モルである。水添加量が0.5モル%未満では未反応のクロル体が残留することとなり、好ましくない。なお、本反応に使用する水の量は、反応系に明示的に添加する水の他に、ジクロロシラン、溶媒、その他の第3成分、雰囲気、使用装置など、反応系中に存在または混入する可能性のあるすべての水分を考慮した値である。
ジクロロシランの加水分解・縮合反応は、好ましくは−78〜100℃、より好ましくは−20〜50℃の温度において、好ましくは0.5〜3時間行われる。
なお、上記式(5)で表されるケイ素化合物は室温で安定な化合物ではあるが、室温で取り扱う場合は、上記に例示した溶媒の溶液状態での取り扱い、保存が好ましく、また、無溶媒状態で取り扱い、保存する場合には0℃以下で行なうのが望ましい。
また、上記式(5)で表されるケイ素化合物は、蒸留精製が可能であり、蒸留精製した後に次段階の反応に供することが望ましい。蒸留により、脱金属、脱ハロゲンなどが可能となる。上記式(5)で表されるケイ素化合物が金属、ハロゲンなどの不純物を含有すると、保存中にゲル化が進行し、(A)成分であるシリコーン樹脂が得られないおそれがある。上記式(5)で表されるケイ素化合物を蒸留精製した場合、蒸留により得られた精製物も溶液状態で保管するのが望ましい。蒸留時の減圧度は常圧(1.013×10Pa)以下が望ましく、蒸留時の加温温度も200℃以下が望ましい。特に好ましい蒸留の条件は5×10〜1×10Pa、30〜90℃である。
上記式(1)の示性式で表され、120℃において固体状であるシリコーン樹脂は、上記式(5)で表されるケイ素化合物を、有機溶媒中、塩基性条件ないし中性条件下で、加水分解縮合させて生成させることが可能である。
本加水分解縮合反応を塩基性条件下で行う場合には、塩基触媒を用いることができる。塩基触媒は、無機塩基および有機塩基のいずれでもよい。無機塩基としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどを挙げることができる。
また、有機塩基としては、例えばn−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、シクロヘキシルアミンなどの直鎖状、分岐状または環状のモノアルキルアミン;
ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの直鎖状、分岐状または環状のジアルキルアミン;
トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミンなどの直鎖状、分岐状または環状のトリアルキルアミン;
アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミンなどの芳香族アミン;
エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼンなどのジアミン;
イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール;
ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジンなどのピリジン;
ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンなどのピペラジンのほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどの他の含窒素複素環化合物などを挙げることができる。
これらの塩基触媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
これら塩基触媒の使用量としては、上記式(5)で表されるケイ素化合物100重量部に対して好ましくは0.01重量部以下である。
上記式(5)で表されるケイ素化合物の加水分解縮合時に用いられる有機溶媒としては、上記式(5)で表されるケイ素化合物および生成するシリコーン樹脂成分ならびに任意的に使用される塩基触媒と反応しないものであれば特に限定されない。例えば塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などの塩素化炭化水素溶媒;
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素溶媒;
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルペンチルエーテル、エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル溶媒;
プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどの極性溶媒などを挙げることができる。これらのうち、該溶液の安定性の点で、塩素化炭化水素溶媒、エーテル溶媒または炭化水素溶媒が好ましい。
溶媒の使用量は、使用される上記式(5)で表されるケイ素化合物100重量部に対して好ましくは100〜10,000重量部である。
本加水分解縮合反応は、−50℃〜200℃の温度範囲で行うことができ、0℃〜100℃で反応させることが好ましい。加水分解縮合反応の時間は、好ましくは0.5〜3時間である。
上記の方法において、水の添加量を制御することにより、上記式(1)におけるn、mおよびkの値を所望の値にすることができる。例えば水の添加量を少なくすればnの値をより大きくすることができ、水の添加量を多くすればmの値をより大きくすることができる。
1.2.(B)成分;加水分解縮合物
(B)成分である加水分解縮合物は、上記式(2)で表される化合物(以下、「化合物1」ともいう)、上記式(3)で表される化合物(以下、「化合物2」ともいう)、および上記式(4)で表される化合物(以下、「化合物3」ともいう)よりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物が加水分解縮合されて得られる。
1.2.1.化合物1
上記式(2)において、Rで表される1価の有機基としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アリール基、アリル基、グリシジル基等を挙げることができる。
ここで、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜5である。これらのアルキル基は鎖状でも、分岐していてもよく、さらに水素原子がフッ素原子等に置換されていてもよい。アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基等を挙げることができる。アルケニル基としては、例えばビニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、3−ヘキセニル基を挙げることができる。特に、Rで表される1価の有機基としては、アルキル基またはフェニル基であることが特に好ましい。
化合物1の具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシランなどを挙げることができ、特に好ましい化合物としてはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが挙げられる。これらは、1種あるいは2種以上を一緒に使用してもよい。
1.2.2.化合物2
上記式(3)において、R〜Rの一価の有機基としては、前記式(2)のRとして例示したものと同様の基を挙げることができる。
上記式(3)においてc=0のときの化合物2としては、例えばヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ヘキサフェノキシジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−フェニルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン等を挙げることができる。
これらのうち、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン等を、好ましい例として挙げることができる。
また、上記式(3)においてc=1のときの化合物2としては、例えばビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−iso−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−tert−ブトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−iso−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−tert−ブトキシシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)メタン、
ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン等を挙げることができる。
これらのうち、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン等を好ましい例として挙げることができる。
上述した化合物2は、1種あるいは2種以上を一緒に使用してもよい。
1.2.3.化合物3
上記式(4)において、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基を表し、Rは1価の有機基を表し、dは1〜3、好ましくは2または3の整数を示す。
上記式(4)において、R,Rの1価の有機基としては、前記式(2)のRとして例示したものと同様の基を挙げることができる。
化合物3の具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリ−n−プロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリ−n−ブトキシシラン、イソプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、イソプロピルトリ−tert−ブトキシシラン、イソプロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリイソプロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルイソトリエトキシシラン、sec−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチルトリイソプロポキシシラン、sec−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチルトリフェノキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルト−n−プロポキシシラン、tert−ブチルトリイソプロポキシシラン、tert−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、tert−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、tert−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、tert−ブチルトリフェノキシシラン、
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ−n−プロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジ−sec−ブトキシシラン、ジエチルジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジイソプロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−フェノキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジ−n−プロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジイソプロピルジ−n−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジイソプロピルジフェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−フェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−フェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−フェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−プロポキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、ジフェニルジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニルジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシランが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上を一緒に使用してもよい。
化合物3として特に好ましい化合物は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等である。これらは1種あるいは2種以上を一緒に使用してもよい。
1.2.4.触媒
上記の如き化合物1〜3よりなる群から選択される少なくとも1種のシラン化合物を加水分解縮合する際に、触媒を使用することができる。触媒は、金属キレート化合物、酸性化合物および塩基性化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
1.2.4−1.金属キレート化合物
触媒として使用可能な金属キレート化合物は、下記式(7)で表される。
M(OR10f−e ・・・・・(7)
(式中、Rはキレート剤、Mは金属原子、R10はアルキル基またはアリール基を示し、fは金属Mの原子価を示し、eは1〜fの整数を示す。)
ここで、金属Mとしては、IIIB族金属(アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム)およびIVA族金属(チタン、ジルコニウム、ハフニウム)より選ばれる少なくとも1種の金属であることが好ましく、チタン、アルミニウム、ジルコニウムがより好ましい。また、R10で表されるアルキル基またはアリール基としては、上記式(2)におけるRで表されるアルキル基またはアリール基と同じ基を挙げることができる。
金属キレート化合物の具体例としては、トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリイソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノイソプロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−tert−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、
ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノイソプロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−tert−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタン等のチタンキレート化合物;トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリイソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、
モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノイソプロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−tert−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノイソプロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−tert−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物;
トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリイソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノイソプロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−tert−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノイソプロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−tert−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物等が挙げられる。これらは1種または2種以上で用いられる。
特に、(CH(CH)CH−O)4−tTi(CHCOCHCOCH、(CH(CH)CH−O)4−tTi(CHCOCHCOOC、(CO)4−tTi(CHCOCHCOCH、(CO)4−tTi(CHCOCHCOOC、(C(CH)CH−O)4−tTi(CHCOCHCOCH、(C(CH)CH−O)4−tTi(CHCOCHCOOC、(CH(CH)CH−O)4−tZr(CHCOCHCOCH、(CH(CH)CH−O)4−tZr(CHCOCHCOOC、(CO)4−tZr(CHCOCHCOCH、(CO)4−tZr(CHCOCHCOOC、(C(CH)CH−O)4−tZr(CHCOCHCOCH、(C(CH)CH−O)4−tZr(CHCOCHCOOC、(CH(CH)CH−O)3−sAl(CHCOCHCOCH、(CH(CH)CH−O)3−sAl(CHCOCHCOOC、(CO)3−sAl(CHCOCHCOCH、(CO)3−sAl(CHCOCHCOOC、(C(CH)CH−O)3−sAl(CHCOCHCOCH、(C(CH)CH−O)3−sAl(CHCOCHCOOC等の1種または2種以上が、使用される金属キレート化合物として好ましい。
(上記において、tは1〜4の整数であり、sは1〜3の整数である。)
金属キレート化合物の使用量は、シラン化合物の総量100重量部(完全加水分解縮合物換算)に対して、好ましくは0.0001〜10重量部、より好ましくは0.001〜5重量部である。金属キレート化合物の使用割合が0.0001重量部未満であると、塗膜の塗布性が劣る場合があり、10重量部を超えるとポリマー成長を制御できずゲル化を起こす場合がある。
金属キレート化合物の存在下でシラン化合物を加水分解縮合させる場合、シラン化合物の総量1モル当たり0.5〜20モルの水を用いることが好ましく、1〜10モルの水を加えることが特に好ましい。添加する水の量が0.5モル未満であると加水分解反応が十分に進行せず、塗布性および貯蔵安定性に問題が生じる場合があり、20モルを越えると加水分解および縮合反応中のポリマーの析出やゲル化が生じる場合がある。また、水は断続的あるいは連続的に添加されることが好ましい。
1.2.4−2.酸性化合物
触媒として使用可能な酸性化合物としては、有機酸または無機酸が例示できる。有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、シキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、メサコン酸、シトラコン酸、リンゴ酸、マロン酸、グルタル酸の加水分解物、無水マレイン酸の加水分解物、無水フタル酸の加水分解物等を挙げることができる。無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等を挙げることができる。
なかでも、加水分解縮合反応中のポリマーの析出やゲル化のおそれが少ない点で有機酸が好ましく、このうち、カルボキシル基を有する化合物がより好ましく、なかでも、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、ギ酸、マロン酸、フタル酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、メサコン酸、シトラコン酸、リンゴ酸、マロン酸、グルタル酸の加水分解物、無水マレイン酸の加水分解物などの有機酸が特に好ましい。これらの酸性化合物は1種あるいは2種以上を一緒に使用してもよい。
酸性化合物の使用量は、シラン化合物の総量100重量部(完全加水分解縮合物換算)に対して、好ましくは0.0001〜10重量部、より好ましくは0.001〜5重量部である。酸性化合物の使用量がシラン化合物の総量100重量部に対して0.0001重量部未満であると、塗膜の塗布性が劣る場合があり、一方、10重量部を超えると、急激に加水分解縮合反応が進行しゲル化を起こす場合がある。
酸性化合物の存在下でシラン化合物を加水分解縮合させる場合、シラン化合物の総量1モル当たり0.5〜20モルの水を用いることが好ましく、1〜10モルの水を加えることが特に好ましい。添加する水の量が0.5モル未満であると加水分解反応が十分に進行せず、塗布性および貯蔵安定性に問題が生じる場合があり、20モルを越えると加水分解および縮合反応中のポリマーの析出やゲル化が生じる場合がある。また、水は断続的あるいは連続的に添加されることが好ましい。
1.2.4−3.塩基性化合物
触媒として使用可能な塩基性化合物としては、例えば、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、N−メチルメタノールアミン、N−エチルメタノールアミン、N−プロピルメタノールアミン、N−ブチルメタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン、N−エチルプロパノールアミン、N−プロピルプロパノールアミン、N−ブチルプロパノールアミン、N−メチルブタノールアミン、N−エチルブタノールアミン、N−プロピルブタノールアミン、N−ブチルブタノールアミン、N,N−ジメチルメタノールアミン、N,N−ジエチルメタノールアミン、N,N−ジプロピルメタノールアミン、N,N−ジブチルメタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,N−ジエチルプロパノールアミン、N,N−ジプロピルプロパノールアミン、N,N−ジブチルプロパノールアミン、N,N−ジメチルブタノールアミン、N,N−ジエチルブタノールアミン、N,N−ジプロピルブタノールアミン、N,N−ジブチルブタノールアミン、N−メチルジメタノールアミン、N−エチルジメタノールアミン、N−プロピルジメタノールアミン、N−ブチルジメタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、
N−メチルジプロパノールアミン、N−エチルジプロパノールアミン、N−プロピルジプロパノールアミン、N−ブチルジプロパノールアミン、N−メチルジブタノールアミン、N−エチルジブタノールアミン、N−プロピルジブタノールアミン、N−ブチルジブタノールアミン、N−(アミノメチル)メタノールアミン、N−(アミノメチル)エタノールアミン、N−(アミノメチル)プロパノールアミン、N−(アミノメチル)ブタノールアミン、N−(アミノエチル)メタノールアミン、N−(アミノエチル)エタノールアミン、N−(アミノエチル)プロパノールアミン、N−(アミノエチル)ブタノールアミン、N−(アミノプロピル)メタノールアミン、N−(アミノプロピル)エタノールアミン、N−(アミノプロピル)プロパノールアミン、N−(アミノプロピル)ブタノールアミン、N−(アミノブチル)メタノールアミン、N−(アミノブチル)エタノールアミン、N−(アミノブチル)プロパノールアミン、N−(アミノブチル)ブタノールアミン、メトキシメチルアミン、メトキシエチルアミン、メトキシプロピルアミン、メトキシブチルアミン、エトキシメチルアミン、エトキシエチルアミン、エトキシプロピルアミン、エトキシブチルアミン、プロポキシメチルアミン、プロポキシエチルアミン、プロポキシプロピルアミン、プロポキシブチルアミン、ブトキシメチルアミン、ブトキシエチルアミン、ブトキシプロピルアミン、ブトキシブチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラプロピルエチレンジアミン、テトラブチルエチレンジアミン、メチルアミノメチルアミン、メチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルアミノブチルアミン、エチルアミノメチルアミン、エチルアミノエチルアミン、エチルアミノプロピルアミン、エチルアミノブチルアミン、プロピルアミノメチルアミン、プロピルアミノエチルアミン、プロピルアミノプロピルアミン、プロピルアミノブチルアミン、ブチルアミノメチルアミン、ブチルアミノエチルアミン、ブチルアミノプロピルアミン、ブチルアミノブチルアミン、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、モルホリン、メチルモルホリン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウムおよび下記式(8)で表わされる化合物などを挙げることができる。
塩基性化合物は、このうち特に、下記式(8)で表される含窒素化合物(以下、「化合物4」ともいう。)が好ましい。
(XN)Y ・・・・・(8)
上記式(8)において、X,X,X,Xは同一または異なり、それぞれ水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基など)、ヒドロキシアルキル基(好ましくはヒドロキシエチル基など)、アリール基(好ましくはフェニル基など)、アリールアルキル基(好ましくはフェニルメチル基など)を示し、Yはハロゲン原子(好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、1〜4価のアニオン性基(好ましくはヒドロキシ基など)を示し、gは1〜4の整数を示す。
化合物4の具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−プロピルアンモニウム、水酸化テトラ−iso−プロピルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化テトラ−iso−ブチルアンモニウム、水酸化テトラ−tert−ブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウム、水酸化テトラヘキシルアンモニウム、水酸化テトラヘプチルアンモニウム、水酸化テトラオクチルアンモニウム、水酸化テトラノニルアンモニウム、水酸化テトラデシルアンモニウム、水酸化テトラウンデシルアンモニウム、水酸化テトラドデシルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラ−n−プロピルアンモニウム、塩化テトラ−n−プロピルアンモニウム、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、臭化−n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、水酸化−n−オクタデシルトリメチルアンモニウム、臭化−n−オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化トリデシルメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハイドロジェンサルフェート、臭化トリブチルメチルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、塩化トリラウリルメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化ベンジルトリエチルアンモニウム、臭化ベンジルトリブチルアンモニウム、臭化フェニルトリメチルアンモニウム、コリン等を好ましい例として挙げることができる。これらのうち特に好ましくは、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−プロピルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラ−n−プロピルアンモニウム、塩化テトラ−n−プロピルアンモニウムである。化合物4は、1種あるいは2種以上を一緒に使用してもよい。
塩基性化合物の使用量は、シラン化合物中の加水分解性基の総量1モルに対して、好ましくは0.00001〜10モル、より好ましくは0.00005〜5モルである。塩基性化合物の存在下でシラン化合物を加水分解縮合する場合、シラン化合物の総量1モル当たり0.5〜20モルの水を用いることが好ましく、1〜10モルの水を加えることが特に好ましい。
塩基性化合物を触媒として使用する場合、加水分解縮合反応の後、酸性化合物を使用して、組成物のpHを調整してもよい。ここで使用する酸性化合物としては、触媒として例示した酸性化合物を使用することができ、有機酸を使用するのがより好ましい。
上記の如くして合成される(B)加水分解縮合物の重量平均分子量は、好ましくは1,200〜200,000であり、より好ましくは1,500〜150,000であり、さらに好ましくは2,000〜120,000である。
(B)成分である加水分解縮合物は、汎用の有機溶媒に可溶である。そのため後述するように(A)成分であるシリコーン樹脂、(B)成分および有機溶媒からなる組成物を調製し、塗布型の二酸化ケイ素前駆体として好適に使用することができる。
(B)成分である加水分解縮合物は、120℃において固体状である。そのため、当該加水分解縮合物を含む組成物を溶媒に溶解した状態で基板上に塗付した後、一旦溶媒を除去してしまえば、溶媒除去後の塗膜は物理的に安定となるため、引き続いて行われる加熱工程または光照射工程までのハンドリング性の点で大きな利点を有する。
1.2.5.有機溶媒
加水分解縮合物を製造する際に使用可能な有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどの多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコール部分エーテル;エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコールなどのケトンが挙げられる。
シラン化合物の加水分解縮合における反応温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜80℃である。反応時間は、好ましくは30〜1,000分間、より好ましくは30〜180分間である。
1.3.(D)成分:有機溶媒
本発明の膜形成用組成物は、上記(A)シリコーン樹脂および(B)加水分解縮合物ならびに必要に応じて使用される後述のその他の添加物を(D)有機溶媒に溶解して形成される。ここで使用する有機溶媒としては、シリコーン樹脂成分と反応しないものであれば特に限定されない。例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルペンチルエーテル、エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、p−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;およびプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどの極性溶媒を挙げることができる。これらのうち、該溶液の安定性の点でエーテル系溶媒、炭化水素系溶媒が好ましい。これらの溶媒は、単独でもあるいは2種以上の混合物としても使用できる。上記の溶媒を使用する場合、その使用量は、所望のシリコン酸化膜の膜厚に応じて適宜調整することができる。好ましくは上(A)シリコーン樹脂および(B)加水分解縮合物の合計1重量部に対し1,000重量部以下であり、特に好ましくは500重量部以下である。1,000重量部を越えると、塗布液の成膜が困難な場合があり好ましくない。
1.4.その他の添加物
本発明の一実施形態に係る膜形成用組成物は、上記の如き(A)シリコーン樹脂および(B)加水分解縮合物を必須の成分として含有するものであるが、さらに有機高分子や界面活性剤などの成分を添加してもよい。
1.4.1.有機高分子
上記膜形成用組成物は、膜中空孔形成剤として有機高分子をさらに含むことができる。
有機高分子としては、例えば、糖鎖構造を有する重合体、ビニルアミド系重合体、(メタ)アクリル系重合体、芳香族ビニル化合物系重合体、デンドリマー、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリアリーレン、ポリアミド、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、フッ素系重合体、ポリアルキレンオキサイド構造を有する重合体などを挙げることができる。
ポリアルキレンオキサイド構造を有する重合体としては、例えばポリメチレンオキサイド構造、ポリエチレンオキサイド構造、ポリプロピレンオキサイド構造、ポリテトラメチレンオキサイド構造、ポリブチレンオキシド構造などが挙げられる。
具体的には、ポリオキシメチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどのエーテル型化合物、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩などのエーテルエステル型化合物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエーテルエステル型化合物などを挙げることができる。
ポリオキシチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、下記のようなブロック構造を有する化合物が挙げられる。
−(X’)−(Y’)
−(X’)−(Y’)−(X’)
(式中、X’は−CHCHO−で表される基を、Y’は−CHCH(CH)O−で表される基を示し、lは1〜90、qは10〜99、rは0〜90の数を示す。)
これらの中で、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどのエーテル型化合物をより好ましい例として挙げることができる。前述の有機ポリマーは、1種あるいは2種以上を一緒に使用しても良い。
1.4.2.界面活性剤
界面活性剤としては、たとえば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、さらには、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などを挙げることができ、好ましくはフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤を挙げることができる。
界面活性剤の使用量は、得られる加水分解縮合物100重量部に対して、好ましくは0.00001〜1重量部である。これらは、1種あるいは2種以上を一緒に使用してもよい。
2.本発明のもう1つの別の実施形態に係る膜形成用組成物およびその製造
本発明の別の実施形態に係る膜形成用組成物は、(C)上記式(1)で示される示性式を持ち、120℃で固体状であるシリコーン樹脂の存在下で、上記式(2)で表される化合物、上記式(3)で表される化合物および上記式(4)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物を加水分解縮合させて得られた加水分解縮合物と、(D)有機溶媒とを含有することを特徴とする。
(C)上記式(1)で示される示性式を持ち、120℃で固体状であるシリコーン樹脂と、上記式(2)〜(4)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物との使用割合は、適宜設定することが可能で、(C)成分およびシラン化合物の総量に対して、(C)成分;0.1〜99.9重量%、シラン化合物;0.1〜99.9重量%であることが好ましい。(C)成分とシラン化合物との使用割合を変えることにより、得られる膜形成用組成物により形成された膜の比誘電率を変えることが可能となる。
なお、上記式(1)で示される示性式を持つシリコーン樹脂、上記式(2)で表される化合物、上記式(3)で表される化合物および上記式(4)で表される化合物、(D)成分である有機溶媒ならびに有機高分子や界面活性剤などのその他の添加物については、本発明の前記した実施形態に係る膜形成用組成物において使用したものと同様のものが用いられる。
(C)上記式(1)で示される示性式を持ち、120℃で固体状であるシリコーン樹脂の存在下で、上記式(2)〜(4)のそれぞれで表されるシラン化合物の群から選択される少なくとも1種を加水分解縮合する際には、触媒を使用することができるが、触媒としては、本発明の前記した実施形態において(B)成分の加水分解縮合物を得る場合と同様に、金属キレート化合物、酸性化合物および塩基性化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いることができる。
加水分解縮合物を製造する際に使用可能な有機溶媒は、本発明の前記した実施形態において(B)成分の加水分解縮合物を製造する際に使用する有機溶媒(1.2.5.有機溶媒)と同様の有機溶媒である。
上記のようにして得られる(C)加水分解縮合物の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜200,000であり、より好ましくは5,000〜150,000であり、さらに好ましくは8,000〜120,000である。
上記(C)加水分解縮合物は、汎用の有機溶媒に可溶である。そのため後述するように(C)加水分解縮合物および有機溶媒からなる組成物を調製し、塗布型の二酸化ケイ素前駆体として好適に使用することができる。
上記(C)加水分解縮合物は、120℃において固体状である。そのため、(C)加水分解縮合物を含む組成物を溶媒に溶解した状態で基板上に塗付した後、一旦溶媒を除去してしまえば、溶媒除去後の塗膜は物理的に安定となるため、引き続いて行われる加熱工程または光照射工程までのハンドリング性の点で大きな利点を有する。
さらに上記加水分解縮合物は、そのSi−OH含量がSi−O結合の総量に対して好ましくは5%以下であり、より好ましくは3%以下である。
第2実施形態の膜形成用組成物の(F)成分である有機溶媒ならびに有機高分子や界面活性剤などのその他の添加物についても、前記した本発明の第1実施形態の膜形成用組成物において例示したものと同様のもの適宜に選択して使用することができる。有機溶媒およびその他の添加物の好ましい使用範囲も、前記した実施形態の膜形成用組成物におけるのと同様である。
3.シリカ系膜の形成方法
本発明の一実施形態に係るシリカ系膜(絶縁膜)の形成方法は、上記膜形成用組成物を基板に塗布し、塗膜を形成する工程と、塗膜に硬化処理を施す工程とを含む。
膜形成用組成物が塗布される好ましい基板としては、例えばSi、SiO、SiN、SiC、SiCN等のSi含有層が挙げられる。膜形成用組成物を基板に塗布する方法としては、例えばスピンコート、浸漬法、ロールコート法、スプレー法などの塗装手段が用いられる。基板に膜形成用組成物を塗布した後、溶媒を除去し塗膜を形成する。この際の膜厚は、溶媒除去後の膜厚として、例えば1回塗りで厚さ0.05〜2.5μm、2回塗りでは厚さ0.1〜5.0μmの塗膜を形成することができる。その後、得られた塗膜に対して、硬化処理を施すことでシリカ系膜を形成することができる。
硬化処理としては、加熱、電子線や紫外線などの高エネルギー線照射、プラズマ処理、およびこれらの組み合わせを挙げることができ、加熱処理または高エネルギー線照射が好ましい。
加熱により硬化を行なう場合は、この塗膜を不活性雰囲気下(窒素中、希ガス中など)、酸化性雰囲気下(酸素中、大気中など)で、好ましくは80〜800℃、より好ましくは80〜450℃、特に好ましくは300〜450℃に加熱する。この際の加熱方法としては、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することができる。上記塗膜の硬化速度を制御するため、必要に応じて、段階的に加熱したり、あるいは加熱雰囲気を段階的に変更してもよい。加熱の際の圧力としては常圧または減圧とすることができる。最も好ましくは、第一段階で酸化性雰囲気下において80〜500℃で加熱した後、第二段階で不活性雰囲気下および/または減圧下において500℃を超えて800℃以下の温度で加熱する、二段階の加熱方法である。
このような工程により、シリカ系膜の製造を行なうことができる。
4.シリカ系膜
上記の如くして製造される本発明のシリカ系膜は、低誘電率であり、かつ表面平坦性に優れるため、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAMなどの半導体素子用層間絶縁膜として特に優れており、かつ、エッチングストッパー膜、半導体素子の表面コート膜などの保護膜、多層レジストを用いた半導体作製工程の中間層、多層配線基板の層間絶縁膜、液晶表示素子用の保護膜や絶縁膜などに好適に用いることができる。また、本発明のシリカ系膜は、銅ダマシンプロセスを含む半導体装置に有用である。
本発明のシリカ系膜は、その比誘電率が、好ましくは2.5〜5.0、より好ましくは3.0〜4.0であり、その弾性率が、好ましくは1〜100GPa、より好ましくは2〜50GPaであり、その膜密度が、好ましくは0.7〜1.5g/cm、より好ましくは0.8〜1.4g/cmである。これらのことから、本発明のシリカ系膜は、機械的特性、薬液耐性、および低比誘電率等の絶縁膜特性に極めて優れているといえる。
5.実施例
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
5.1.評価方法
比誘電率測定は、次のようにして行った。
5.1.1.比誘電率測定(Δk)
0.1Ω・cm以下の抵抗率を有する8インチのN型シリコンウエハ上に、スピンコート法を用いて膜形成用組成物を塗布し、ホットプレート上にて90℃で3分間、次いで窒素雰囲気下200℃で3分間加熱して溶媒除去し、さらに50mTorrの減圧下(真空雰囲気)420℃の縦型ファーネスで1時間焼成して膜を得た。
得られた膜に、蒸着法によりアルミニウム電極パターンを形成し、比誘電率測定用サンプルを作成した。該サンプルについて、周波数100kHzの周波数で、アジデント社製、HP16451B電極およびHP4284AプレシジョンLCRメータを用いてCV法により、室温(24℃)における当該膜の比誘電率を測定した。
5.2.膜形成用組成物の製造および膜の形成
合成例1(シリコーン樹脂の合成)
500mlの4口フラスコにデュアコンデンサー、空気導入管、温度計およびセプタムを装備し、窒素雰囲気中、塩化メチレン200mlを仕込んだ。この反応系をドライアイス‐アセトンバスにより−60℃に冷却した後、液化したHSiCl(18.7g,185mmol)をシリンジにて注入した。同温度−60℃において、蒸留水(3.16ml、175mmol)を3分間かけて、滴下し、その後、2時間かけて室温まで昇温した。更に、そのまま室温で1時間撹拌した。その後、反応液を分液ロートに移し、塩化メチレン層を蒸留水100mlで5回洗浄、塩化メチレン層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過し、ケイ素化合物溶液(イ)を得た。ケイ素化合物溶液(イ)について、H−NMR、29Si−NMRの測定を行なった。H−NMR測定では、4.8ppm〜4.6ppmの領域に、Si−H由来の複数のピークが観察され、それ以外には溶媒由来以外のピークは観察されなかった。一方、29Si−NMR測定では、−46.9ppm、−48.6ppm、−48.9ppmに、(SiHO)構造由来のピークが観察され、それ以外の位置にはピークは観察されなかった。
次いで、ケイ素化合物溶液(イ)を常圧で40℃まで加温し、塩化メチレンを留去して、液を約15mlまで濃縮した。次いで、本液を0.5mmHgの減圧度で、80℃まで温度をかけ減圧蒸留して蒸留液(ロ)11.4gを得た。また、蒸留残渣は1.7gであった。蒸留液(ロ)について、H−NMR、29Si−NMRの測定を行なった。H−NMR測定では、4.8ppm〜4.6ppm、主には4.7ppm〜4.6ppmの領域に、Si−H由来のピークが観察された。また、4.8ppm〜4.6ppmの領域に現れるSi−H由来のピークと、塩化メチレン由来のピークの積分比から、蒸留液(ロ)には、ケイ素化合物が55重量%溶解していることが判明した。一方、29Si−NMR測定では、−46.9ppm、−48.6ppm、−48.9ppmに、(SiHO)構造由来のピークが観察され、それ以外の位置にはピークは観察されなかった。GC−MSの分析においては、[SiHO]:m/z 183(M −H)、[SiHO]:m/z 229(M −H)、[SiHO]:m/z 275(M −H)、[SiHO]:m/z 321(M −H)が検出された。
大気中、50ml茄子型フラスコに、上記蒸留液(ロ)(塩化メチレンに対して、前記式(5)のケイ素化合物が55重量%含まれている)を10g、塩化メチレンを10g加え室温にて攪拌、更にトリエチルアミンを塩化メチレンに溶解し0.1重量%とした溶液11.8mlを3分間かけて滴下し、その後、室温にて14時間攪拌した。その後、反応液に1重量%シュウ酸水を加え、反応を停止、次いで分液ロートに移し、更にn−ブチルエーテル60mlを加え水槽を分液、再度1重量%シュウ酸水を加え分液した後、蒸留水で3回水洗を行なった後、溶媒留去、更にn−ブチルエーテルで3回、減圧留去による溶媒置換作業を行ない、均一で透明な、シリコーン樹脂−n−ブチルエーテル溶液(ハ)(固形分含有量約10重量%)54gを得た。
シリコーン樹脂−n−ブチルエーテル溶液(ハ)について、H−NMR、29Si−NMRの測定を行なった。H−NMR測定では、4.8ppm〜4.6ppmの領域にSi−H由来のブロードなピークが、4.5ppm〜4.3ppmの領域にSi−H由来のブロードなピークが、観察され、双方の積分比は62:38であった。一方、29Si−NMR測定では、−47ppm〜−51ppmの領域にHSi(−O)のピークと−80pppm〜−87ppmの領域にHSi(−O)ピークが観察され、双方の積分比は43:57であった。
また、シリコーン樹脂−n−ブチルエーテル溶液(ハ)について、燃焼ガス吸収法によるイオンクロマト分析により、溶液中の塩素濃度を測定した所、測定法検出限界の1ppm以下であることが解った。
このシリコーン樹脂を含有するn−ブチルエーテル溶液(ハ)を少量とり、減圧にて溶媒を留去したところ、白色の固体状物が得られた。この固体状物を120℃に加熱したが、固体は熔融しなかった。
また、このシリコーン樹脂につき、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は35,000であった。
5.2.1.実施例1
窒素置換した石英製セパラブルフラスコ内に、メチルトリメトキシシラン60.9g、テトラメトキシシラン177.3g、およびn−ブチルエーテル599.1gを加え、これを水浴で60℃に加熱した後に、20重量%シュウ酸水溶液2.3gおよび超純水160.4gを加えて60℃で5時間撹拌した。この液を減圧下で全溶液量500gとなるまで濃縮し、固形分含有量20重量%の加水分解縮合物を得た。
この加水分解縮合物を含有するn−ブチルエーテル溶液について、燃焼ガス吸収法によるイオンクロマト分析により、溶液中の塩素濃度を測定したところ、塩素濃度は測定法検出限界の1ppm以下であることがわかった。
この加水分解縮合物を含有するn−ブチルエーテル溶液を少量とり、減圧にて溶媒を留去したところ、白色の固体状物が得られた。この固体状物を120℃に加熱したが、固体は熔融しなかった。
また、この加水分解縮合物につき、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は3,600であった。
そして、得られた加水分解縮合物1.0gと、合成例1で得られたシリコーン樹脂−n−ブチルエーテル溶液(ハ)8.0gとを混合撹拌した後に、n−ブチルエーテルにて固形分含有量10重量%まで希釈し、加水分解縮合物を含む膜形成用組成物を得た。
得られた膜形成用組成物を8インチシリコンウエハ上にスピンコート法により塗布し、大気中80℃で5分間、次いで窒素下200℃で5分間加熱したのち、さらに真空下425℃で1時間加熱し、無色透明の膜を形成した。得られた膜の比誘電率は、3.87であった。
5.2.2.実施例2
窒素置換した石英製セパラブルフラスコ内に、メチルトリメトキシシラン60.9g、テトラメトキシシラン177.3gおよびn−ブチルエーテル599.1gを加え、これを水浴で60℃に加熱した後に、20重量%シュウ酸水溶液2.3gおよび超純水160.4gを加えて60℃で5時間撹拌した。この液を減圧下で全溶液量500gとなるまで濃縮し、固形分含有量20重量%の加水分解縮合物を得た。
そして、得られた加水分解縮合物2.0gと、合成例1で得られたシリコーン樹脂−n−ブチルエーテル溶液(ハ)6.0gとを混合撹拌した後に、n−ブチルエーテルにて固形分含有量10重量%まで希釈し、加水分解縮合物を含む膜形成用組成物を得た。
得られた膜形成用組成物を8インチシリコンウエハ上にスピンコート法により塗布し、大気中80℃で5分間、次いで窒素下200℃で5分間加熱したのち、さらに真空下425℃で1時間加熱し、無色透明の膜を形成した。得られた膜の比誘電率は、3.61であった。
5.2.3.実施例3
窒素置換した石英製セパラブルフラスコ内に、メチルトリメトキシシラン60.9g、テトラメトキシシラン177.3gおよびn−ブチルエーテル599.1gを加え、これを水浴で60℃に加熱した後に、20重量%シュウ酸水溶液2.3gおよび超純水160.4gを加えて60℃で5時間撹拌した。この液を減圧下で全溶液量500gとなるまで濃縮し、固形分含有量20重量%の加水分解縮合物を得た。
そして、得られた加水分解縮合物3.5gと、合成例1で得られたシリコーン樹脂−n−ブチルエーテル溶液(ハ)3.0gとを混合撹拌した後に、n−ブチルエーテルにて固形分含有量10重量%まで希釈し、加水分解縮合物を含む膜形成用組成物を得た。
得られた膜形成用組成物を8インチシリコンウエハ上にスピンコート法により塗布し、大気中80℃で5分間、次いで窒素下200℃で5分間加熱したのち、さらに真空下425℃で1時間加熱し、無色透明の膜を形成した。得られた膜の比誘電率は、3.43であった。
5.2.4.実施例4
窒素置換した石英製セパラブルフラスコ内に、合成例1で得られたシリコーン樹脂−n−ブチルエーテル溶液(ハ)8.0g、メチルトリメトキシシラン0.12g、テトラメトキシシラン0.36gおよびn−ブチルエーテル1.2gを加え、これを水浴で60℃に加熱した後に、20重量%シュウ酸水溶液4.0×10−3gおよび超純水0.32gを加えて60℃で5時間撹拌した。この液を、減圧下で濃縮した後に、n−ブチルエーテルにて固形分含有量10重量まで希釈し、加水分解縮合物を含む膜形成用組成物を得た。
この膜形成用組成物について、燃焼ガス吸収法によるイオンクロマト分析により、溶液中の塩素濃度を測定したところ、塩素濃度は測定法検出限界の1ppm以下であることがわかった。
この膜形成用組成物を少量とり、減圧にて溶媒を留去したところ、白色の固体状物が得られた。この固体状物を120℃に加熱したが、固体は熔融しなかった。
また、この膜形成用組成物に含有される加水分解縮合物につき、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は42,000であった。
得られた膜形成用組成物を8インチシリコンウエハ上にスピンコート法により塗布し、大気中80℃で5分間、次いで窒素下200℃で5分間加熱したのち、さらに真空下425℃で1時間加熱し、無色透明の膜を形成した。得られた膜の比誘電率は、3.83であった。
5.2.5.実施例5
窒素置換した石英製セパラブルフラスコ内に、合成例1で得られたシリコーン樹脂−n−ブチルエーテル溶液(ハ)6.0g、メチルトリメトキシシラン0.24g、テトラメトキシシラン0.72gおよびn−ブチルエーテル2.4gを加え、これを水浴で60℃に加熱した後に、20重量%シュウ酸水溶液0.01gおよび超純水0.64gを加えて60℃で5時間撹拌した。この駅を、減圧下で濃縮した後に、n−ブチルエーテルにて固形分含有量10重量%まで希釈し、加水分解縮合物を含む膜形成用組成物を得た。
この膜形成用組成物について、燃焼ガス吸収法によるイオンクロマト分析により、溶液中の塩素濃度を測定したところ、塩素濃度は測定法検出限界の1ppm以下であることがわかった。
この膜形成用組成物を少量とり、減圧にて溶媒を留去したところ、白色の固体状物が得られた。この固体状物を120℃に加熱したが、固体は熔融しなかった。
また、この膜形成用組成物に含有される加水分解縮合物につき、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は40,000であった。
得られた膜形成用組成物を8インチシリコンウエハ上にスピンコート法により塗布し、大気中80℃で5分間、次いで窒素下200℃で5分間加熱したのち、さらに真空下425℃で1時間加熱し、無色透明の膜を形成した。得られた膜の比誘電率は、3.65であった。
5.2.6.実施例6
窒素置換した石英製セパラブルフラスコ内に、合成例1で得られたシリコーン樹脂−n−ブチルエーテル溶液(ハ)3.0g、メチルトリメトキシシラン0.42g、テトラメトキシシラン1.26gおよびn−ブチルエーテル4.2gを加え、これを水浴で60℃に加熱した後に、20重量%シュウ酸水溶液1.6×10−2gおよび超純水1.12gを加えて60℃で5時間撹拌した。この液を、減圧下で濃縮した後に、n−ブチルエーテルにて固形分含有量10重量%まで希釈し、加水分解縮合物を含む膜形成用組成物を得た。
この膜形成用組成物について、燃焼ガス吸収法によるイオンクロマト分析により、溶液中の塩素濃度を測定したところ、塩素濃度は測定法検出限界の1ppm以下であることがわかった。
この膜形成用組成物を少量とり、減圧にて溶媒を留去したところ、白色の固体状物が得られた。この固体状物を120℃に加熱したが、固体は熔融しなかった。
また、この膜形成用組成物に含有される加水分解縮合物につき、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は37,000であった。
得られた膜形成用組成物を8インチシリコンウエハ上にスピンコート法により塗布し、大気中80℃で5分間、次いで窒素下200℃で5分間加熱したのち、さらに真空下425℃で1時間加熱し、無色透明の膜を形成した。得られた膜の比誘電率は、3.37であった。
5.3.実施例の考察
(1)実施例1〜実施例3においては、合成例1で得られたシリコーン樹脂と、シラン化合物を加水分解縮合して得られた加水分解縮合物との混合比を変えることで、得られた膜の比誘電率を変えることができることが分かった。
(2)実施例4〜実施例6においても同様に、合成例1で得られたシリコーン樹脂と、シラン化合物との混合比を変えることで得られた膜の比誘電率を変えることができることが分かった。
以上により、本発明により得られる絶縁膜形成用組成物は所望の比誘電率を有する絶縁膜を形成するのに好適に用いることができる。また、本発明により得られるシリカ系膜は、半導体素子などの層間絶縁膜として好適な性能を有するものであることが確認された。

Claims (5)

  1. (A)下記式(1)で示される示性式を持ち、120℃において固体状であるシリコーン樹脂と、(B)下記式(2)で表される化合物、下記式(3)で表される化合物、および下記式(4)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物を加水分解縮合して得られた加水分解縮合物と、(D)有機溶媒とを含有することを特徴とする膜形成用組成物。
    (HSiO)(HSiO1.5(SiO ・・・・・(1)
    (式(1)中、n、mおよびkはそれぞれ数であり、n+m+k=1としたとき、nは0.05以上であり、mは0を超えて0.95以下であり、kは0〜0.2である。)
    Si(OR ・・・・・(2)
    (式(2)中、Rは1価の有機基を示す。)
    (RO)3−aSi−(R−Si(OR3−b ・・・(3)
    (式(3)中、R〜Rは同一または異なり、それぞれ1価の有機基を示し、aおよびbは同一または異なり、0〜1の数を示し、Rは酸素原子、フェニレン基または−(CH−で表される基(ここで、pは1〜6の整数である。)を表し、cは0または1を示す。)
    Si(OR4−d ・・・・・(4)
    (式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基を表し、Rは1価の有機基を表し、dは1〜3の整数を示す。)
  2. (C)下記式(1)で示される示性式を持ち、120℃において固体状であるシリコーン樹脂の存在下で、下記式(2)で表される化合物、下記式(3)で表される化合物、および下記式(4)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物を加水分解縮合して得られた加水分解縮合物と、(D)有機溶媒と、を含有することを特徴とする膜形成用組成物。
    (HSiO)(HSiO1.5(SiO ・・・・・(1)
    (式(1)中、n、mおよびkはそれぞれ数であり、n+m+k=1としたとき、nは0.05以上であり、mは0を超えて0.95以下であり、kは0〜0.2である。)
    Si(OR ・・・・・(2)
    (式(2)中、Rは1価の有機基を示す。)
    (RO)3−aSi−(R−Si(OR3−b ・・・(3)
    (式(3)中、R〜Rは同一または異なり、それぞれ1価の有機基を示し、aおよびbは同一または異なり、0〜1の数を示し、Rは酸素原子、フェニレン基または−(CH−で表される基(ここで、pは1〜6の整数である。)を表し、cは0または1を示す。)
    Si(OR4−d ・・・・・(4)
    (式中、Rは水素原子、フッ素原子または1価の有機基を表し、Rは1価の有機基を表し、dは1〜3の整数を示す。)
  3. 上記式(1)で示される示性式を持ち、120℃において固体状であるシリコーン樹脂が、下記式(5)で示されるケイ素化合物を、有機溶媒中、塩基性ないし中性条件下で縮合させて得られるものである請求項1または2に記載の膜形成用組成物。
    Figure 2008260918
    (式(5)中、xは3〜25の整数を示す。)
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の膜形成用組成物を基板に塗布し、塗膜を形成する工程と前記塗膜に硬化処理を施す工程とを含むことを特徴とするシリカ系膜の形成方法。
  5. 請求項4に記載のシリカ系膜の形成方法により得られたシリカ系膜。
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