JP2004209962A - 金属積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリアミド酸および/またはポリイミドに、一般式(1)
【化1】
(式中、mは0以上の整数を示し、Xはそれぞれ独立に同一であっても異なっていてもよく、O、SO2、S、CO、CH2、C(CH3)2、C(CF3)2または直結を示す。また、R1は、同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基を表し、それぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立である。)で表されるビスマレイミド化合物を配合してなる樹脂組成物を、金属箔の少なくとも片面に積層することを特徴とする金属積層体及び該樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温接着性に優れ、更には半田耐熱性に優れる金属積層体及びポリイミド積層体用樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリイミドは耐熱性、耐薬品性、機械的強度、電気特性等に優れていることから耐熱性の求められる航空分野のみならず、フレキシブルプリント基板や半導体パッケージ等に代表される電子分野で用いられる耐熱性接着剤として多く適用されている。
【0003】
近年、ポリイミド系耐熱性接着剤には、加工上、耐熱性に加えて、低温接着性という特性が要求されるようになってきた。
【0004】
低温接着性に優れたものとして、例えば、特許文献1にはシロキサンユニットを有するポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、リン酸エステル系可塑剤からなる樹脂組成物が報告されている。しかし、この場合、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、可塑剤、どの成分にも脂肪族ユニットを含むため、熱分解温度が低下し、耐熱性という観点で問題があった。
【0005】
一方、十分な接着強度と耐熱性を有するものとして、特許文献2や特許文献3、及び特許文献4等で開示された特定のポリアミド酸とビスマレイミド化合物とで構成される樹脂が開発されているが、接着には300℃以上の温度を要しているものもあり、低温接着性という観点からは未だ不十分なものも多く、また、該特許公報には、その用途としてフイルムを製造しているに留まるものであった。
【0006】
他方、近年環境保全の観点から、電子部品実装に鉛フリー半田が用いられるようになってきており、チップや部品の実装や、リペアと呼ばれるチップや部品を取り外す工程においても半田耐熱性に優れるポリイミド金属積層板が望まれている。また、リジットフレックスやフレキシブル多層基板と言われる用途では従来要求されてきた半田耐熱温度では信頼性が不足することが指摘され始め、より高温の耐熱性が望まれるようになってきている。金属積層体をチップ・オン・フィルム(以下、COFと略記することがある)に用いる場合、インナーリードボンダあるいはフリップチップボンダを使用し、300℃以上の高温でAu−Au接合、あるいはAu−Sn接合により、チップと金属配線を接合する。このため、COFに用いる場合でも半田耐熱性に優れる基材が望まれている。
【0007】
現在、COF基材としては、主に非熱可塑性ポリイミドであり、ポリイミドフィルムに金属をスパッタして得られるポリイミド金属積層板が使用されてきた(特許文献5参照)。しかしながらスパッタ方式の場合、金属層のピンホールにより歩留まりが悪化しやすく、ピンホールがないポリイミド金属積層板が望まれていた。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−212468号公報
【0009】
【特許文献2】
特開平01−289862号公報
【0010】
【特許文献3】
特開平6−145638号公報
【0011】
【特許文献4】
特開平6−192639号公報
【0012】
【特許文献5】
特開平07−070762号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、優れた低温接着性を有するポリイミド積層体用樹脂組成物を提供することである。
【0014】
また更に、ピンポールのない、半田耐熱性に優れるポリイミド金属積層板を提供することであり、加えて鉛フリー半田や、COF実装に使用されるAu−Sn接合、あるいはAu−Au接合時に膨れが発生しにくい、半田耐熱性に優れるポリイミド金属積層板を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ピンホールがないポリイミド金属積層板として、圧延銅箔や電解銅箔とポリイミドを積層したフレキシブル回路基板を考えたが、接着剤としてポリイミドを使用した場合、使用するポリイミドによっては、発泡する等の問題点があることを見出し、これについて検討した結果、ポリアミド酸および/またはポリイミドに特定のビスマレイミド化合物を配合することにより、低温接着性に優れ、また半田耐熱性に優れ、更に上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
即ち、本発明は以下に示すものである。
(1)ポリアミド酸および/またはポリイミドに、一般式(1)
【0017】
【化6】
【0018】
(式中、mは0以上の整数を示し、Xはそれぞれ独立に同一であっても異なっていてもよく、O、SO2、S、CO、CH2、C(CH3)2、C(CF3)2または直結を示す。また、R1は、同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基を表し、それぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立である。)で表されるビスマレイミド化合物を配合してなる樹脂組成物を、金属箔の少なくとも片面に積層することを特徴とする金属積層体。
(2)金属積層体が、1層以上のポリイミドフィルムの片面もしくは両面にポリイミド層が形成され、該ポリイミド層に金属が片面または両面に積層された構造である(1)記載の金属積層体。
(3)ポリアミド酸および/またはポリイミドが、それぞれ、一般式(2)および一般式(3)
【0019】
【化7】
【0020】
【化8】
【0021】
(式中、nは0以上の整数を示し、Yはそれぞれ独立に同一であっても異なっていてもよく、O、SO2、S、CO、CH2、C(CH3)2、C(CF3)2または直結を示す。また、Aは、4価の有機基であり、R2は、同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基を表し、それぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立である。)で表される繰り返し構造単位を有するものである(1)記載金属積層体。
(4)Aで表される4価の有機基が、一般式(4)
【0022】
【化9】
【0023】
(式中、ZはO、SO2、S、CO、CH2、C(CH3)2、C(CF3)2または直結を示す。)である(3)記載の金属積層体。
(5)ポリアミド酸および/またはポリイミドに、一般式(1)
【0024】
【化10】
【0025】
(式中、mは0以上の整数を示し、Xはそれぞれ独立に同一であっても異なっていてもよく、O、SO2、S、CO、CH2、C(CH3)2、C(CF3)2または直結を示す。また、R1は、同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基を表し、それぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立である。)で表されるビスマレイミド化合物を配合してなることを特徴とするポリイミド金属積層体用樹脂組成物。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明はポリアミド酸および/またはポリイミドに、一般式(1)
【0027】
【化11】
【0028】
(式中、mは0以上の整数を示し、Xはそれぞれ独立に同一であっても異なっていてもよく、O、SO2、S、CO、CH2、C(CH3)2、C(CF3)2または直結を示す。また、R1は、同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基を表し、それぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立である。)で表されるビスマレイミド化合物を配合するしたポリイミド積層体用樹脂組成物及び該樹脂組成物を金属箔の少なくとも片面に積層することを特徴とする金属積層体に関するものである。
【0029】
一般式(1)中、mは0以上の整数を示し、好ましくは0〜6、より好ましくは0〜4である。また、Xはそれぞれ独立に同一であっても異なっていてもよく、O、SO2、S、CO、CH2、C(CH3)2、C(CF3)2または直結を示し、好ましくはO、C(CH3)2、直結である。R1は、同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基を表し、それぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立である。好ましくは、ベンゼン環の置換位置はオルソ位、またはメタ位で結合した化合物である。
【0030】
本発明のポリアミド酸および/またはポリイミドは、特に制限はないが、好ましくはそれぞれ、一般式(2)および一般式(3)
【0031】
【化12】
【0032】
【化13】
【0033】
(式中、nは0以上の整数を示し、Yはそれぞれ独立に同一であっても異なっていてもよく、O、SO2、S、CO、CH2、C(CH3)2、C(CF3)2または直結を示す。また、Aは、4価の有機基であり、R2は、同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基を表し、それぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立である。)で表わされる繰り返し単位構造を有するものであり、好ましくはそれぞれ、一般式(5)および一般式(6)
【0034】
【化14】
【0035】
【化15】
【0036】
(式中、lは1〜7の整数を示す。R2は同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基を表し、それぞれのベンゼン環の置換位置は相互に独立であり、酸素原子および窒素原子から選ばれる同一ベンゼン環に結合する同一または相異なる二つのヘテロ原子は、少なくとも一つのベンゼン環に対してオルト位またはメタ位にあるとする。また、Aは4価の有機基を表す。)で表される繰り返し構造単位を有するものであり、更に好ましくは、それぞれ、一般式(7)および一般式(8)
【0037】
【化16】
【0038】
【化17】
【0039】
(式中、lは1〜7の整数を示し、酸素原子および窒素原子から選ばれる同一ベンゼン環に結合する同一または相異なる二つのヘテロ原子は、少なくとも一つのベンゼン環に対してオルト位またはメタ位にあるとする。Aは4価の有機基を表す。)で表される繰り返し構造単位を有するものであり、より更に好ましくは、それぞれ、一般式(9)および一般式(10)
【0040】
【化18】
【0041】
【化19】
【0042】
(式中、l、Aは、前記と同じ意味を示す。)で表される繰り返し構造単位を有するものである。
【0043】
一般式(2)〜(3)中、nは0以上の整数を示し、好ましくは0〜6、より好ましくは0〜4である。一般式(5)〜(10)中、lは、1〜7の整数を示し、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3である。また、Yはそれぞれ独立に同一であっても異なっていてもよく、O、SO2、S、CO、CH2、C(CH3)2、C(CF3)2または直結を示し、好ましくはO、CO、C(CH3)2、直結である。
【0044】
一般式(2)〜(6)において、R2は、同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基を表し、それぞれベンゼン環の置換位置は相互に独立であり、好ましくは、ベンゼン環の置換位置はオルソ位、またはメタ位で結合した化合物である。
【0045】
一般式(2)〜(10)中のAで表される4価の有機基は、特に制限はないが、具体例を挙げると、炭素数2〜27の脂肪族基、環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群より選ばれた4価有機基等が挙げられ、好ましくは一般式(4)
【0046】
【化20】
(式中、Zは前記と同じ意味を示す。)で表される有機基である。
【0047】
一般式(1)〜(3)、(5)(6)においてR1及びR2で表されるハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子等が挙げられ、炭化水素基としては、メチル基やエチル基等の低級アルキル基、ビニル基やアリル基等の低級アルケニル基、ベンジル基やフェネチル基等のアラルキル基、フェニル基やナフチル基等のアリール基等、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
【0048】
一般式(1)で示されるビスマレイミド化合物の具体例としては、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ビス(3−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル)エーテル、1,3−ビス(3−(3−マレイミドフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、ビス(3−(3−(3−マレイミドフェノキシ)フェノキシ)フェニル)エーテル、1,3−ビス(3−(3−(3−マレイミドフェノキシ)フェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、N,N’−4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−3,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−3,3’−ジフェニルケトンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、4,4’−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル)ケトン、ビス(4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル)スルホン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
これらのビスマレイミド化合物は、それぞれ対応するジアミン化合物と無水マレイン酸を例えば特開平4−99764号公報記載の方法等で縮合、脱水反応させて製造することができる。
【0050】
尚、本発明の金属積層体を製造する場合は、ビスマレイミド化合物のポリイミドへの配合割合は、特に制限はないが、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸の総重量に対して、好ましくは0.1〜70重量%であり、より好ましくは、0.1〜50重量%である。ビスマレイミド化合物の配合量が0.1重量%未満では、本発明の目的とする半田耐熱性の向上にあまり効果が見られない場合があり、また、70重量%を越えると金属箔の接着強度が低下する傾向にある。
【0051】
ビスマレイミド化合物のポリアミド酸への配合方法としては、(イ)ポリアミド酸溶液にビスマレイミド化合物を添加する方法、(ロ)ポリアミド酸の重合の際、例えば、ジアミン化合物またはテトラカルボン酸二無水物装入時に、あるいは、重合の途中に添加する方法、(ハ)ポリアミド酸の粉体とビスマレイミド化合物とを固体同士で混合する方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
また、ポリアミド酸を予め脱水イミド化しポリイミド溶液とした後、ビスマレイミド化合物を配合しても良い。
【0053】
一般式(2)で表されるポリアミド酸は、一般式(11)
【0054】
【化21】
【0055】
(式中、n、Y、R2は、前記と同じ意味を示す。)で表されるジアミン化合物と一般式(12)
【0056】
【化22】
【0057】
(式中、Aは前記と同じ意味を示す。)で表されるテトラカルボン酸二無水物を反応させて得られる物であり、このポリアミド酸からなる樹脂組成物を脱水イミド化してなる樹脂組成物も本発明のものである。
【0058】
一般式(9)で示される芳香族ジアミン化合物の具体例としては、例えばビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェニル)エーテル、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、ビス(3−(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェニル)エーテル、1,3−ビス(3−(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’− ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、ビス(4−アミノフェニル)ズルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、1,3−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(1−(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、2,2−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
一般式(12)の式中、Aは、4価の有機基を示し、具体的には、例えば炭素数2〜27の脂肪族基、環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群より選ばれた4価の基を示す。
【0060】
また、一般式(12)で表されるテトラカルボン酸二無水物に特に制限はなく、従来公知のテトラカルボン酸二無水物を用いることにより、様々なガラス転移温度を有するポリイミドを得ることができる。
【0061】
テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、エチレングリコールビストリメリット酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−へキサフルオロプロパン二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシベンゾイル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシベンゾイル)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシベンゾイル)ベンゼン二無水物、2,2’−ビス((3,4−ジカルボキシ)フェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、2,3’−ビス((3,4−ジカルボキシ)フェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、2,4’−ビス((3,4−ジカルボキシ)フェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、3,3’−ビス((3,4−ジカルボキシ)フェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、3,4’−ビス((3,4−ジカルボキシ)フェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、4,4’−ビス((3,4−ジカルボキシ)フェノキシ)ベンゾフェノン二無水物等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。
【0062】
本発明に係るポリアミド酸の製造方法としては、ポリアミド酸を製造可能な方法が公知方法を含め全て適用できる。中でも、有機溶媒中で反応を行うことが好ましい。このような反応において用いられる溶媒として、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,2−ジメトキシエタン等が挙げられる。
【0063】
この反応における反応原料の濃度は、通常、2〜50重量%、好ましくは10〜50重量%であり、反応温度は、通常、60℃以下、好ましくは50℃以下である。反応圧力は特に限定されず、常圧で十分実施できる。また、反応時間は反応原料の種類、溶媒の種類および反応温度によって異なるが、通常0.5〜24時間で十分である。このような重縮合反応により、一般式(2)で表されるポリアミド酸が生成される。
【0064】
一般式(3)で表されるポリイミドは、このポリアミド酸を100〜400℃に加熱してイミド化するか、または無水酢酸等のイミド化剤を用いて化学イミド化することにより、ポリアミド酸に対応する繰り返し単位構造を有するポリイミドが得られる。
【0065】
また、130℃〜250℃で反応を行うことにより、ポリアミド酸の生成と熱イミド化反応が同時に進行し、本発明に係るポリイミドを得ることができる。すなわち、ジアミン成分、酸二無水物成分とを有機溶媒中に懸濁または溶解させ、130〜250℃の加熱下に反応を行い、ポリアミド酸の生成と脱水イミド化とを同時に行わせることにより、本発明に係るポリイミドを得ることができる。
【0066】
本発明のポリイミド金属積層体用樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で他の樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニルスルフィド、変性ポリフェニレンオキシド基、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、エポキシ樹脂等を適当量配合することも可能である。
【0067】
本発明のポリイミド金属積層体用樹脂組成物からフィルムを製造することもでき、その方法は特に制限されるものではなく、例えば、(イ)ポリアミド酸溶液を、基材(ガラスプレート、金属プレートまたは耐熱性を有する樹脂フィルム)の上に塗布した後、加熱してイミド化する方法、(ロ)ポリイミド溶液を基材(ガラスプレート、金属プレートまたは耐熱性を有する樹脂フィルム)の上に塗布した後、加熱する方法等が挙げられる。
【0068】
また、上述した樹脂組成物からなる接着剤層と耐熱性フィルムとを有して接着性絶縁テープを構成することもできる。接着性絶縁テープは、接着剤層が耐熱性フィルムの片面だけに形成された片面テープ、接着剤層が耐熱性フィルムの両面に形成された両面テープの他、他の任意の層を有して構成される。
【0069】
本発明のポリイミド金属積層体用樹脂組成物から接着性絶縁テープを作製するには、上述した樹脂組成物を含有する溶液を、耐熱性フィルムの片面あるいは両面に塗布し、乾燥すれば良い。その際、塗布後の厚みは、0.5〜100μm、好ましくは、1〜30μmである。
【0070】
耐熱性フィルムとしては、例えば、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート等の耐熱性樹脂のフィルム、エポキシ樹脂−ガラスクロス、エポキシ樹脂−ポリイミド−ガラスクロス等の複合耐熱フィルム等が挙げられるが、特にポリイミド樹脂からなるフィルムが、耐熱性や寸法安定性という観点から好ましい。耐熱性フィルムの厚みは、好ましくは5〜130μm、更に好ましくは、12.5〜75μmである。
【0071】
本発明の金属積層体は、金属箔の少なくとも片面に前述のビスマレイミド化合物を配合した樹脂組成物を積層させれば良い。その具体的製造方法の一例としては、例えば非熱可塑性ポリイミドフィルムに、一般式(1)で表わされるビスマレイミド化合物が配合された熱可塑性ポリイミドまたは該熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸を含むワニスを塗布し、乾燥・キュアして熱可塑性ポリイミド層を形成し、さらに熱可塑性ポリイミド層の表面に、金属の該面を熱圧着することにより製造する方法を挙げることができる。
【0072】
本発明の金属積層体は、上述した樹脂組成物からなる接着剤層と金属箔とを必須成分とするが、接着剤層と金属箔との間に、中間層として、他の樹脂組成物からなる接着剤層あるいは非接着剤層が単層又は多層存在していても良い。
【0073】
また、本発明の金属積層体においては、一般式(1)で表わされるビスマレイミド化合物を配合してなる樹脂組成物を少なくともどこかの一層に含めば良く、また、複数層上記化合物を配合してなる樹脂層を有していても良い。
【0074】
本発明の金属積層体を作製するには、一例として上述した樹脂組成物を含有する溶液を、金属箔に塗布し乾燥すれば良い。その際、塗布後の厚さは、0.5〜100μmの範囲が好ましい。0.5μm未満では十分な接着力が得られない場合があり、100μmを超えても接着性はあまり大きくは向上しないことがある。
【0075】
金属箔の種類としては、公知の金属箔、合金箔全てが適用可能であるが、圧延銅箔、電解銅箔、銅合金箔、ステンレス箔が、コスト面、熱伝導性、剛性等の観点から好適である。また、金属箔の厚みは、テープ状に利用できる厚みであれば制限はないが、2〜150μmが好ましく利用できる。より好ましくは2〜105μmである。
【0076】
本発明の金属積層体において、より好ましくは、1層以上のポリイミドフィルムの片面もしくは両面にポリイミド層が形成され、該ポリイミド層に金属が片面または両面積層された構造を有するものであり、該ポリイミド層が一般式(1)で表わされるビスマレイミド化合物を含む樹脂組成物である。
【0077】
ポリイミドフィルムとしては、好ましくは非熱可塑性ポリイミドフィルムであり、具体的には特定のジアミンと特定のテトラカルボン酸二無水物から合成される組成物が利用できる。特定のジアミンの例として、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル等が挙げられる。これらは、単独または2種類以上使用しても良い。
【0078】
特定のテトラカルボン酸二無水物の例として、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’―ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸等が挙げられる。これらは、単独または、二種類以上使用してもよい。
【0079】
また、非熱可塑性ポリイミドフィルムとして市販の非熱可塑性ポリイミドフィルムも使用できる。例えば、ユーピレックス(登録商標)S、ユーピレックス(登録商標)SGA、ユーピレックス(登録商標)SN(宇部興産株式会社製、商品名)、カプトン(登録商標)H、カプトン(登録商標)V、カプトン(登録商標)EN(東レ・デュポン株式会社製、商品名)、アピカル(登録商標)AH、アピカル(登録商標)NPI、アピカル(登録商標)HP(鐘淵化学工業株式会社製、商品名)等が挙げられる。非熱可塑性ポリイミドの表面はプラズマ処理、コロナ放電処理等を施しもよい。
【0080】
非熱可塑性ポリイミド層の厚みは、目的により特に制限はないが、5〜250μmの範囲が好適に利用できる。
【0081】
さらに、市販の非熱可塑性ポリイミドフィルムの、熱可塑性ポリイミド層を積層しない側に、構造の異なる非熱可塑性ポリイミドを積層してもよい。
【0082】
また本発明において、ポリイミドフィルム、接着性絶縁テープあるいは金属積層体の接着剤層の上に剥離性の保護フィルム、キャリアーフィルム、キャリアー金属箔があっても良い。保護フィルム、キャリアーフィルムとしては、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等が挙げられ、キャリアー金属箔としては、圧延銅箔、電解銅箔、銅合金箔、ステンレス箔等が挙げられる。厚さは、1〜200μm、好ましくは、10〜100μmである。また、接着剤層との90°剥離接着強度は0.01〜10kN/mの範囲にあることが好ましい。
【0083】
本発明により提供されるポリイミド金属積層体は、優れた半田耐熱性を備えるという顕著な効果を有するものである。従来ビスマレイミドを用いた樹脂は耐熱性樹脂として知られていたが、これはいわゆる熱分解温度を指すのもであり半田耐熱性とは直接関連性がない。具体的には先行技術にも有るようにビスマレイミドとジアミンにより得られる樹脂は、その5%重量減少温度がおおよそ400℃前後で、一方、ポリイミドは熱可塑性ポリイミドであっても500℃前後と耐熱性が高い。しかしながら、従来用いられてきた熱可塑性ポリイミドを使用した金属積層体の半田耐熱性は、せいぜい260℃程度以下であり、昨今の使用温度の高温化に充分応えることが出来なくなってきた。そこで対策としてガラス転移温度の高い熱可塑性ポリイミドを用いることを試みたが、金属箔との積層温度が高温になり、従来プロセスでは充分な接着強度が発現せず、また、熱可塑性ポリイミドが金属箔表面の凹凸を完全に埋め込むことが出来ずボイドと呼ばれる欠陥が発生するなどの問題が発生していた。そこで、本発明において、ポリイミドにビスマレイミドを混合することで、ガラス転移温度が下がることで金属との積層を容易にし、且つ、半田耐熱性を従来より20℃程度以上向上することが可能となった。
【0084】
【実施例】
以下、本発明を、実施例によりさら詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0085】
なお、実施例中のポリイミドの物性は以下の方法により測定した。
ガラス転移温度(Tg):示差走査熱量計(株式会社マック・サイエンス製、DSC3110)により10℃/min昇温条件により測定した。
【0086】
尚、DSC法でTgが求められないものについては、固体粘弾性装置 RSAII(レオメトリックス社製)により1Hz、5℃/min昇温条件にて得られた損失弾性率(E”)のピークにより求めた。
90°剥離接着強度:IPC−TM−650method、2,4,9に従い測定した。
【0087】
また、実施例中の半田耐熱試験はIPC―TM―650(The institute for Interconnecying and Packaging Electronic Circuits) No.2.4.13に準拠して行なった。半田温度は、240℃、260℃、280℃、300℃、320℃、340℃で行ない、膨れや金属とポリイミド界面の変色が発生しない最高温度を半田耐熱温度とした。さらに、試料は85℃、相対湿度85%、50時間状態調整したものを使用した。
【0088】
実施例1
攪拌機および窒素導入管を備えた容器に、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン12.00g、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン15.94gおよびN,N−ジメチルアセトアミド48.70gを挿入し、窒素雰囲気下において50℃で1時間攪拌した。その後、系内温度を室温に下げ、3,3’,4,4’ −ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物11.90gを溶液温度の上昇に注意しながら分割して加え、再度50℃まで加温し4時間攪拌した。
【0089】
得られたビスマレイミド化合物含有ポリアミド酸溶液の一部を取り、ガラス板上にキャストした後、50℃から270℃まで昇温速度7℃/分で加熱して、厚さ20μmのフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムのガラス転移温度(Tg)は106℃であった。
【0090】
また、得られたビスマレイミド化合物含有ポリアミド酸溶液の一部を銅箔(日本電解株式会社製、SLP−35、厚さ35μm)上にキャストし、50℃から270℃まで昇温速度7℃/分で加熱してポリイミド厚12μmの金属積層体を得た。
【0091】
低温接着性を評価するために、この金属積層体を銅箔(日本電解株式会社製、SLP−35、厚さ35μm)に、パルスボンダー(ケル株式会社製、TC−1320UD)を用いて、190℃、3MPa、2秒で加熱圧着した。得られた試験片を用い、IPC−TM−650method、2,4,9に従って90°剥離試験を行った結果、1.6kN/mであった。
【0092】
実施例2〜4
ジアミン化合物あるいはビスマレイミド化合物の種類、配合量を変えた以外は実施例1と同様に重合、配合、評価を行った。結果を表1に併せて示す。ここで使用した1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェノキシ)ベンゼンおよび1,3−ビス(3−(3−マレイミドフェノキシ)フェノキシ)ベンゼンは1H−NMRとFD−massにより同定した。
【0093】
1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン:1H−NMR(CD3SOCD3) δ: 5.24 (s, 4H), 6.12−6.16 (ddd, 2H, J = 7.83, 2.43, 0.82 Hz), 6.23 (t, 2H, J = 2.30 Hz), 6.33−6. 37 (ddd, 2H, J = 7.83, 2.43, 0.82 Hz), 6.61 (t, 2H, J = 2.43 Hz), 6.67 (t, 1H, J = 2.43 Hz), 6.71−6.80(m, 6H), 6.99 (t, 2H, J = 7.83 Hz), 7.35 (t, 2H, J = 7.83 Hz), 7.38 (t,1H, J = 7.83 Hz) FD−mass 476 (M+)
【0094】
1,3−ビス(3−(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェノキシ)ベンゼン:1H−NMR (CD3SOCD3) δ: 5.21 (s, 4H), 6.11−6.12 (ddd, 2H, J =7.83, 2.16, 0.81 Hz), 6.21 (t, 8H, J = 2.16 Hz), 6.31−6.36 (ddd, 2H, J= 7.83, 2.16, 0.81 Hz), 6.67−6.82 (m, 13H), 6.98 (t, 8H, J = 8.10 Hz),7.31−7.42 (m, 5H)、FD−mass 660 (M+)
【0095】
1,3−ビス(3−(3−マレイミドフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン:1H−NMR (CDCl3) δ: 6.72 (t, 3H, J = 2.30 Hz), 6.79−6.83 (dd, 6H, J = 7.83, 2.43 Hz), 7.05−7.08 (m, 5H), 7.12−7.16 (m, 5H), 7.34−7.51 (m, 5H)、FD−mass 636 (M+)
【0096】
実施例5
撹拌機及び窒素導入管を備えた容器に、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド855gを加え、これに1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン69.16gを加え、溶解するまで室温にて撹拌を行った。その後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物75.84gを加え、60℃において撹拌を行い、ポリアミック酸溶液を得た。ポリアミック酸の含有率が15重量%であった。得られたワニスの一部500gに1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン 48.3gを加え、室温にて2時間攪拌を行なった。
【0097】
市販のポリイミド樹脂フィルム(東レ・デュポン株式会社製、商品名:カプトン(登録商標)150EN)を用い、前述の方法により得られたビスマレイミド化合物含有ポリアミド酸溶液の一部をロールコーターにより乾燥後の厚さで2μmになるように塗布し、115℃で2分、150℃で2分、180℃で2分、240℃で2分、265℃で2分、エアーフロート方式の乾燥炉にて乾燥を行い、片面が熱可塑性ポリイミド樹脂層である絶縁フィルムを得た。その後、市販の電解銅箔(古河サーキットフォイル社製F0−WS 9μm)に、ロールラミネーターにより240℃で圧力1.5MPaの条件で、金属箔と絶縁フィルムを張り合わせ、その後、バッチ式のオートクレーブにて温度280℃で4時間窒素雰囲気下でアニールを行い、ポリイミド金属積層体を得た。得られたポリイミド金属積層体の半田耐熱温度は320℃であった。また、銅箔とポリイミド界面のボイドの有無を1250倍にて断面及び、銅箔をエッチング除去した表面にて観察したがボイドは見られなかった。
【0098】
実施例6〜13
ジアミン、酸二無水物、ビスマレイミドの種類、配合量を変えた以外は実施例5と同様にして重合、配合、積層、評価を行なった。結果を表2に併せて示す。尚、銅箔とポリイミド界面のボイドは全てのサンプルで観察されなかった。
【0099】
実施例14
撹拌機及び窒素導入管を備えた容器に、溶媒としてポリアミック酸の含有率が15重量%になるようにN,N−ジメチルアセトアミドを加え、これにp−フェニレンジアミンと3,4’−オキシジアニリンを30mol%、70mol%の比率で加え、溶解するまで室温にて撹拌を行った。その後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を総ジアミンモルを1とし、0.985モル分を加え、60℃において撹拌を行い、ポリアミック酸溶液を得た。得られたワニスに1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼンをポリアミック酸に対し40wt%になるように加え、室温にて2時間攪拌を行なった。
【0100】
得られたビスマレイミド化合物含有ポリアミド酸溶液の一部を取り、ガラス板上にキャストした後、50℃から270℃まで昇温速度7℃/分で加熱して、厚さ20μmのフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムのガラス転移温度(Tg)は220℃であった。
【0101】
また、市販のポリイミド樹脂フィルム(東レ・デュポン株式会社製、商品名:カプトン(登録商標)150EN)を用い、得られたビスマレイミド化合物含有ポリアミド酸溶液の一部をアプリケーターにより乾燥後の厚さで2μmになるように塗布し、50℃から270℃まで昇温速度7℃/minで乾燥を行い、片面が熱可塑性ポリイミド樹脂層である絶縁フィルムを得た。その後、市販の電解銅箔(古河サーキットフォイル社製F0−WS 9μm)と重ね合わせ、130℃で約1時間乾燥後、温度300℃、圧力2.5MPa、4時間プレスにより金属箔と絶縁フィルムを張り合わせポリイミド金属積層体を得た。銅箔とポリイミド界面のボイドは観察されなかった。また、剥離試験を行った結果、0.85kN/mであった。
【0102】
実施例15、16
ジアミン、酸二無水物、ビスマレイミドの種類、配合量を変えた以外は実施例14と同様にして重合、配合、積層、評価を行なった。結果を表3に併せて示す。尚、銅箔とポリイミド界面のボイドは全てのサンプルで観察されなかった。
【0103】
比較例1
ビスマレイミド化合物を配合しなかった以外は、実施例1と同様に重合、配合、評価を行った。結果を表1に併せて示す。剥離接着強度は0kN/mと全く接着しない。
【0104】
比較例2
撹拌機及び窒素導入管を備えた容器に、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド855gを加え、これに1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン69.16gを加え、溶解するまで室温にて撹拌を行った。その後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物75.84gを加え、60℃において撹拌を行い、ポリアミック酸溶液を得た。ポリアミック酸の含有率が15重量%であった。
【0105】
市販のポリイミド樹脂フィルム(東レ・デュポン株式会社製、商品名:カプトン(登録商標)150EN)を用い、得られたポリアミド酸溶液の一部をロールコーターにより乾燥後の厚さで2μmになるように塗布し、115℃で2分、150℃で2分、180℃で2分、240℃で2分、265℃で2分、エアーフロート方式の乾燥炉にて乾燥を行い、片面が熱可塑性ポリイミド樹脂層である絶縁フィルムを得た。その後、実施例5と同様の市販の電解銅箔に、ロールラミネーターにより240℃で圧力1.5MPaの条件で、金属箔と絶縁フィルムを張り合わせ、その後、バッチ式のオートクレーブにて温度280℃で4時間窒素雰囲気下でアニールを行い、ポリイミド金属積層体を得た。得られたポリイミド金属積層体の半田耐熱温度は260℃であった。また、銅箔とポリイミド界面に数μm〜数十μm程度のボイドが観察された。
【0106】
比較例3〜5
ビスマレイミド化合物を配合しなかった以外は、実施例14、15、16と同様に重合、配合、評価を行った。結果を表3に併せて示す。剥離接着強度は0kN/mと全く接着せず、ボイドの評価は出来なかった。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
【表3】
【0110】
注*1)APB:1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン
APB5:1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン
APB7:1,3−ビス(3−(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェノキシ)ベンゼン
DABP:3,3’−ジアミノベンゾフェノン
m−BP:4,4’−(3−アミノフェノキシ)ビフェニル
ODA:4,4’−オキシジアニリン(4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)
3,4’−ODA:3,4’−オキシジアニリン(3,4’−ジアミノジフェニルエーテル)
PPD:p−フェニレンジアミン
*2)BTDA:3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODPA:3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物
PMDA:無水ピロメリット酸
*3)APB−BMI:1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン
APB5−BMI:1,3−ビス(3−(3−マレイミドフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン
BMI−MP:N,N’−m−フェニレンビスマレイミド
BMI−S:ビス(4−マレイミドフェニル)メタン
【0111】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、Tg低下効果により低温接着性に優れ、電子分野用途の耐熱性接着剤等として好適に用いることができる。
【0112】
また、本発明により、高い加工温度を用いなくとも金属とポリイミド界面にボイドが残存することなく高い接着強度を有する積層板が得られ、また、使用温度条件が厳しいLSIチップや部品実装工程及び、それらリペア工程においても膨れが発生しにくい、半田耐熱性に優れるポリイミド金属積層板を提供できる。
Claims (5)
- 金属積層体が、1層以上のポリイミドフィルムの片面もしくは両面にポリイミド層が形成され、該ポリイミド層に金属が片面または両面に積層された構造である請求項1記載の金属積層体。
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