JP5364414B2 - ポリイミド樹脂組成物、それを用いた金属積層体 - Google Patents

ポリイミド樹脂組成物、それを用いた金属積層体 Download PDF

Info

Publication number
JP5364414B2
JP5364414B2 JP2009083026A JP2009083026A JP5364414B2 JP 5364414 B2 JP5364414 B2 JP 5364414B2 JP 2009083026 A JP2009083026 A JP 2009083026A JP 2009083026 A JP2009083026 A JP 2009083026A JP 5364414 B2 JP5364414 B2 JP 5364414B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
general formula
represented
resin composition
polyimide
polyimide resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009083026A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010235695A (ja
Inventor
功 鷲尾
昌弘 鳥井田
渉 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP2009083026A priority Critical patent/JP5364414B2/ja
Publication of JP2010235695A publication Critical patent/JP2010235695A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5364414B2 publication Critical patent/JP5364414B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、ポリイミド樹脂組成物およびその製造方法、該樹脂組成物から得られる樹脂層を有する金属積層体、接着シート等に関する。
ポリイミドは、耐熱性、耐薬品性、機械的強度、電気特性等に優れていることから、航空機の構造材やケーブル被覆材料などに用いられている。ポリイミドは、さらに、フレキシブルプリント基板や半導体パッケージ等の電子分野における耐熱性接着剤としても多く用いられている。
このようなポリイミド系耐熱性接着剤には、加工上、耐熱性に加えて、低温接着性が要求されている。低温接着性に優れたものとして、シロキサンユニットを有するポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、リン酸エステル系可塑剤からなる樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、可塑剤等の成分が脂肪族ユニットを含むため、熱分解温度が低いという問題があった。
一方、十分な接着強度と耐熱性を有するものとして、特定のポリアミド酸とビスマレイミド化合物とを有する樹脂が提案されている(例えば、特許文献2〜4)。しかしながら、接着性を得るには300℃以上の温度を要することがあり、低温接着性において未だ不十分であった。
低温接着性を改善するものとして、特定のビスマレイミド化合物とポリアミド酸から構成される樹脂が提案されている(例えば、特許文献5)。しかしながら、金属積層体の樹脂層は、さらに高い半田耐熱性、寸法安定性を有することが求められている。
すなわち、近年、電子部品実装においては、従来よりも高融点の鉛フリー半田が用いられている。このため、基板は、高い半田耐熱性を有することが求められている。特に、リジットフレックスやフレキシブル多層基板等は、従来の半田耐熱温度では信頼性が不十分であることから、より高温での半田耐熱性が求められている。
また、フレキシブル基板をチップ・オン・フィルム(COF)に用いる場合、インナーリードボンダまたはフリップチップボンダを用いて、チップと金属配線とを、300℃以上の高温でAu−Au接合またはAu−Sn接合する。このため、COFに用いられるフレキシブル基板は、高温でも変形を生じない、高い半田耐熱性を有することが求められる。また、フレキシブル基板の薄型化に加えて、配線の高密度化が進んでおり、金属配線間距離が小さくなっている。このため、フレキシブル基板が高温で加工(接合等)される際に、樹脂層の変形等により金属配線同士が接触する等の不具合が生じ易い。このため、フレキシブル基板は、高い寸法安定性を有することが求められる。
特開平10−212468号公報 特開平1−289862号公報 特開平6−145638号公報 特開平6−192639号公報 特開2004−209962号公報
しかしながら、十分な低温接着性を有しつつ、前述の要求を満足するような半田耐熱性および寸法安定性を有する樹脂組成物は、未だ提案されていない。本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、比較的低温の熱圧着条件で接着でき(低温接着性を有し)、かつ高い半田耐熱性、寸法安定性を有するポリイミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明の第一は、以下のポリイミド樹脂組成物である。
[1] 下記一般式(1)で表されるポリイミドと、下記一般式(2)および/または(3)で表されるイミド化合物とを含むポリイミド樹脂組成物。
Figure 0005364414
〔一般式(1)中、
Aは、下記式で表される基から選ばれる基であり、
Figure 0005364414
(X〜Xはそれぞれ、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−または−NHCO−を表す)
Bは、下記式で表される基から選ばれる基であり、
Figure 0005364414
(Y〜Yはそれぞれ、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−または−NHCO−を表す)
は、下記式で表される基から選ばれる基であり、
Figure 0005364414
(R〜Rはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。Rは、−O−、−S−、−CH−、−C(CH−または−CO−を表す。Rは、水素原子またはフェニル基を表す。)
mは、2以上の整数を表す〕
Figure 0005364414
〔一般式(2)および(3)において、Z〜Zはそれぞれ、下記式で表される基から選ばれる基である。
Figure 0005364414
(R〜R10はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。R11は、−O−、−S−、−CH−、−C(CH−または−CO−を表す。R12は、水素原子またはフェニル基を表す)〕
ただし、一般式(1)におけるWが−NHであり、かつ一般式(2)におけるZおよびZが下記式で表される基である場合を除く。
Figure 0005364414
[2] 前記イミド化合物は、一般式(3)で表されるイミド化合物である、[1]に記載のポリイミド樹脂組成物。
[3] 前記一般式(1)におけるWが、下記式で表される基のいずれかである、[1]または[2]に記載のポリイミド樹脂組成物。
Figure 0005364414
(R〜Rは、前述と同義である)
[4] 前記一般式(1)で表されるポリイミド100重量部に対し、前記一般式(2)および/または(3)で表されるイミド化合物を、5重量部以上100重量部以下含有する、[1]または[3]に記載のポリイミド樹脂組成物。
[5] ポリイミド樹脂組成物のガラス転移温度が、100℃以上300℃以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物。
[6] 前記一般式(2)および一般式(3)において、Z〜Zが下記式で表される基のいずれかである、[1]および[3]〜[5]のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物。
Figure 0005364414
[7] 前記一般式(2)で表されるイミド化合物は、下記一般式(4)〜(6)のいずれかで表される化合物であり、かつ前記一般式(3)で表されるイミド化合物は、下記一般式(7)または(8)で表される化合物である、[1]および[3]〜[6]のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物。
Figure 0005364414
(式中、ZおよびZは、前記と同様である)
Figure 0005364414
(式中、Z〜Zは、前記と同様である)
[8] 前記一般式(1)において、Aは、下記式で表される基から選ばれる基であり、
Figure 0005364414
Bは、下記式で表される基から選ばれる基であり、
Figure 0005364414
は、下記式で表される基から選ばれる基である、
Figure 0005364414
[1]〜[2]および[4]〜[7]のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物。
本発明の第二は、ポリイミド樹脂組成物を含むフィルム、金属積層体、接着シート等である。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物を含むフィルム。
[10] 金属層と、樹脂層とを含む金属積層体であって、前記樹脂層の少なくとも一層が、[1]〜[8]のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物から得られる層である、金属積層体。
[11] 前記樹脂層は、ポリイミドフィルムと、前記ポリイミドフィルムの片面または両面に形成されたポリイミド層と、を有し、前記金属層と接する前記ポリイミド層が、[1]〜[8]のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物から得られる層である、[10]に記載の金属積層体。
[12] 樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの片面または両面に形成され、[1]〜[8]のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物を含む層と、を有する、接着シート。
本発明の第三は、ポリアミド酸溶液、それを用いたポリイミド樹脂組成物の製造方法である。
[13] 一般式(9)で表されるポリアミド酸と、一般式(2)および/または(3)で表されるイミド化合物とを含むポリアミド酸溶液。
Figure 0005364414
〔一般式(9)中、Aは、下記式で表される基から選ばれる基であり、
Figure 0005364414
(X〜Xはそれぞれ、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−または−NHCO−を表す)
Bは、下記式で表される基から選ばれる基であり、
Figure 0005364414
(Y〜Yはそれぞれ、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−または−NHCO−を表す)
は、下記式で表される基から選ばれる基であり、
Figure 0005364414
mは、2以上の整数を表す〕
Figure 0005364414
〔一般式(2)および(3)中、
〜Zは、下記式で表される基から選ばれる基である。
Figure 0005364414
(R〜R10はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。R11は、−O−、−S−、−CH−、−C(CH−または−CO−を表す。R12は、水素原子またはフェニル基を表す)〕ただし、一般式(1)におけるWが−NHであり、かつ一般式(2)のZおよびZが下記式で表される基である場合を除く。
Figure 0005364414
[14] [13]に記載のポリアミド酸溶液を加熱してイミド化するステップを含む、ポリイミド樹脂組成物の製造方法。
[15] 下記一般式(10)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(11)で表されるジアミンとを、下記一般式(12)で表されるジカルボン酸無水物の存在下または非存在下において重縮合反応させることにより、前記一般式(9)で表されるポリアミド酸を得るステップと、前記ポリアミド酸溶液を加熱してイミド化するステップとを含む、ポリイミド樹脂組成物の製造方法であって、前記テトラカルボン酸二無水物、前記ジアミン、および前記ジカルボン酸無水物の仕込み比を、下記式(A)および式(B)を満たすようにする、[14]に記載のポリイミド樹脂組成物の製造方法。
Figure 0005364414
〔一般式(10)〜(12)中、AおよびBは、前記と同様であり、Wは、下記式で表される基から選ばれる基である。
Figure 0005364414
(R〜Rは、前記と同様である)〕
Figure 0005364414
Figure 0005364414
(M1:テトラカルボン酸二無水物のモル数、M2:ジアミンのモル数、M3:ジカルボン酸無水物のモル数)
本発明によれば、比較的低温の熱圧着条件で接着でき、かつ高い半田耐熱性、寸法安定性を有するポリイミド樹脂組成物を提供できる。このため、ポリイミド樹脂組成物を、例えば、フレキシブルプリント基板用接着剤として好ましく適用できる。
本発明の実施例/比較例を示す表である。
1.ポリイミド樹脂組成物
本発明のポリイミド樹脂組成物は、比較的低温の接着温度領域では、低い弾性率を有することで良好な接着性を得るとともに;高温領域では、高い弾性率を有することで優れた半田耐熱性、寸法安定性を得るものである。本発明のポリイミド樹脂組成物は、一般式(1)で表されるポリイミドと、一般式(2)および/または(3)で表されるイミド化合物と、を含む。
本発明のポリイミド樹脂組成物に含まれるポリイミドは、一般式(1)で表される。
Figure 0005364414
一般式(1)におけるAは、下記式で表される2価の基から選ばれる。下記式におけるX〜Xはそれぞれ、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−または−NHCO−である。複数のAに含まれるX〜Xは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
Figure 0005364414
一般式(1)におけるAは、芳香族ジアミンから誘導される2価の基でありうる。芳香族ジアミンの例には、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、1,3−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、3,3’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3 −ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等が含まれる。これらは、単独で用いてもよいし、複数種類を組み合わせて用いてもよい。中でも、ポリイミド樹脂組成物に可とう性を付与する点などから、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンがより好ましく、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンがさらに好ましい。
一般式(1)におけるAには、ポリイミドへの可とう性を付与する等の目的で、前記芳香族ジアミン化合物から誘導される2価の基以外の、他の脂肪族ジアミンから誘導される2価の基が、一種以上含まれていてもよい。
他の脂肪族ジアミンの例には、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、ビス[(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス[(2−アミノメトキシ)エトキシ]エタン、ビス(2−アミノエチル)エーテル、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン等が含まれる。これらの脂肪族ジアミン化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
一般式(1)におけるBは、下記式で表される4価の基から選ばれる。下記式におけるY〜Yはそれぞれ、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−または−NHCO−である。複数のBに含まれるY〜Yは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
Figure 0005364414
一般式(1)におけるBは、テトラカルボン酸二無水物から誘導される4価の基でありうる。テトラカルボン酸二無水物の例には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、2,2−ビス〔(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物等が含まれる。中でも、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物等であることが好ましい。
一般式(1)におけるBには、所望の物理的性質等を損なわない範囲で、性能の改良や改質を行なう目的で、前記テトラカルボン酸二無水物から誘導される4価の基以外の、他のテトラカルボン酸二無水物から誘導される4価の基が、一種以上含まれていてもよい。
他のテトラカルボン酸二無水物の例には、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が含まれる。これらの他のテトラカルボン酸二無水物は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの他のテトラカルボン酸二無水物の芳香環上の水素原子の一部または全てを、フルオロ基またはトリフルオロメチル基からなる群から選ばれる基で置換したテトラカルボン酸二無水物を用いてもよい。
一般式(1)におけるWは、下記式で表される基から選ばれる。下記式におけるR〜Rはそれぞれ、水素原子またはハロゲン原子炭素数1〜3のアルキル基である。下記式におけるRは、−O−、−S−、−CH−、−C(CH−または−CO−である。下記式におけるRは、水素原子またはフェニル基である。
Figure 0005364414
より具体的に、一般式(1)におけるWは、下記式で表される基から選ばれることが好ましい。
Figure 0005364414
一般式(1)におけるWは、アミノ基(HN−)である場合を除いて、ジカルボン酸無水物とアミノ基とから誘導される1価の基でありうる。ジカルボン酸無水物の例には、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、2,3−ジメチル無水マレイン酸、3,4,5,6−テトラハイドロ無水フタル酸、5−ノルボルネン−2,3−無水ジカルボン酸、シス−5−ノルボルネン−エキソ−2,3−無水ジカルボン酸、メチル−5−ノルボルネン−2,3−無水ジカルボン酸、エキソ−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラハイドロ無水フタル酸、エンド−ビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2,3−無水ジカルボン酸、2,3−ジエチル無水マレイン酸、4−エチニル無水フタル酸、4−フェニルエチニル無水フタル酸等が含まれる。
一般式(1)におけるWには、前記ジカルボン酸無水物とアミノ基とから誘導される1価の基以外に、他のジカルボン酸無水物とアミノ基とから誘導される1価の基が含まれていてもよい。
他のジカルボン酸無水物の例には、無水イタコン酸、1−シクロペンテン−1,2−無水ジカルボン酸、シス−無水アコニット酸、イソブテニル無水コハク酸、2−オクテン−1−イルコハク酸、2−ドデセン−1−イル無水コハク酸、シス−1,2,3,6−テトラハイドロ無水フタル酸、1,4,5,6,7,7−ヘキサクロロ−5−ノルボルネン−2,3−無水ジカルボン酸等が含まれる。これらのジカルボン酸無水物は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
一般式(1)におけるmは、2以上の整数であり、後述するポリアミド酸の粘度を満たす範囲であれば特に限定されない。mは、20〜2000であることが好ましい。
一般式(1)で表されるポリイミドは、接着時(可塑化時)における末端アミノ基と、架橋剤やポリイミド中の反応性の高い基との反応を抑制する点から、下記式で表される基のいずれかで末端封止されていることが好ましい。中でも、一般式(1)で表されるポリイミドが、その分子構造内に反応性の高いカルボニル基を有する場合、ポリイミドの末端を封止することが好ましい。具体的には、一般式(1)におけるAに含まれるX〜Xが、−CO−、−COO−、−SO−または−NHCO−であるか、またはBに含まれるY〜Yが、−CO−、−COO−、−SO−または−NHCO−であるとき、Wが下記式で表される基のいずれかであることが好ましい。
Figure 0005364414
ポリイミドの末端が上記の基で封止されていると、ポリイミドの末端(特にアミノ末端)と、ポリイミド分子構造中のカルボニル基との反応を抑制することができる。当該反応を抑制することで、ポリイミド樹脂組成物を加熱して可塑化する時(低温接着時)の樹脂組成物の弾性率を、十分に下げることができる。そのため例えば、ポリイミド樹脂組成物を金属箔に積層して金属積層板を得るために加熱すると、加熱されたポリイミド樹脂組成物が金属箔へ効率よく埋め込まれ、高い接着性を得ることができる。また、上記末端基は架橋反応性も有している。そのため、ポリイミド樹脂組成物の硬化物の弾性率を高めて、かつ線膨張係数を低減させることもできる。
本発明のポリイミド樹脂組成物に含まれるイミド化合物は、ポリイミド樹脂組成物のガラス転移温度を低下させる可塑剤としての機能と、硬化剤(架橋剤)としての機能とを有する。イミド化合物は、一般式(2)で表されるイミド化合物(ビスイミド化合物)、または一般式(3)で表されるイミド化合物(トリイミド化合物)である。
Figure 0005364414
一般式(2)または式(3)におけるZ〜Zはそれぞれ、下記式で表される基から選ばれる。下記式におけるR〜R10はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基である。RとR、およびRとR10は、互いに同一であっても異なっていてもよい。下記式におけるR11は、−O−、−S−、−CH−、−C(CH−または−CO−である。下記式におけるR12は、水素原子またはフェニル基である。
Figure 0005364414
ただし、一般式(1)におけるWが−NHである場合には、一般式(2)におけるZおよびZが下記式で表される基以外の基であることが好ましい。
Figure 0005364414
一般式(2)または(3)におけるZ〜Zはそれぞれ、下記式で表される基から選ばれることが好ましい。さらにZ〜Zの構造は、ポリイミド樹脂組成物の加工条件によって適宜選択されうる。例えば、Z〜Zがマレイミド基を構成しているイミド化合物は、比較的低温でポリイミドとの架橋反応をするため、低温で加工される樹脂組成物に適している。また、Z〜Zが4−フェニルエチニルフタルイミド基を構成するイミド化合物は、比較的高温でポリイミドと架橋反応をするため、高温で加工される樹脂組成物に適している。
Figure 0005364414
一般式(2)または(3)で表されるイミド化合物のイミド基は、ベンゼン環のいずれの炭素に結合していてもよいが、架橋反応性を高めるため、ジフェニルエーテルを構成する酸素原子の結合位置に対して、パラ位またはメタ位に結合していることが好ましい。例えば、一般式(2)で表されるイミド化合物は、下記一般式(4)〜(6)で表されることが好ましい。一般式(3)で表されるイミド化合物は、下記一般式(7)または(8)で表されることが好ましい。
Figure 0005364414
(式中、ZおよびZは、前記と同様である)
Figure 0005364414
(式中、Z〜Zは、前記と同様である)
一般式(3)で表されるトリイミド化合物は3つのイミド基を有しているので、2つのイミド基を有しているビスイミド化合物と比べて分岐度が高い。そのため、一般式(3)で表されるトリイミド化合物を含むポリイミド樹脂組成物は、トリイミド化合物が架橋剤として作用することで、その硬化物の架橋密度が高まり、高弾性率と低線膨張係数とを有する硬化物となりうる。したがって、一般式(3)で表されるトリイミド化合物を含むポリイミド樹脂組成物を接着層として用いると、耐熱性や寸法安定性に優れた金属積層板や接着シートを得ることができる。
本発明のポリイミド樹脂組成物は、一般式(1)で表されるポリイミド100重量部に対して、一般式(2)および/または(3)で表されるイミド化合物を、5重量部以上100重量部以下含有することが好ましく、15重量部以上85重量部以下であることがより好ましい。イミド化合物の含有量を上記範囲にすることで、ポリイミド樹脂組成物のガラス転移温度を十分下げることができ、低温接着性を必要とする金属積層体に好適である。また、イミド化合物の含有量が上記範囲内であると、硬化物が脆くなることもない。
ポリイミド樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、前記ポリイミド以外の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を含んでもよい。熱可塑性樹脂の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、PTFE、セルロイド、ポリアリレート、ポリエーテルニトリル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、変性ポリフェニレンオキシドおよびポリイミド等が含まれる。熱硬化性樹脂の例には、熱硬化性ポリブタジエン、ホルムアルデヒド樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン、シリコン樹脂、SBR、NBR、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリシアネート、フェノール樹脂およびポリビスマレイミド等が含まれる。これらの樹脂を、目的に応じて単独または二種以上をブレンドまたはアロイ化して用いてもよい。複数種の樹脂をブレンドまたはアロイ化する方法は、特に限定されず、公知の方法を適用できる。
ポリイミド樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに他の成分を含んでもよい。たとえば、ポリイミド樹脂組成物は、熱処理で進行する架橋反応を促進させたり、抑制させたりする等、架橋反応の速度を制御する目的で、ガリウム、ゲルマニウム、インジウムまたは鉛を含有する金属触媒;モリブデン、マンガン、ニッケル、カドミウム、コバルト、クロム、鉄、銅、錫または白金等を含む遷移金属触媒;リン化合物、珪素化合物、窒素化合物、硫黄化合物等を含んでもよい。また、架橋反応の速度を制御する目的で、ポリイミド樹脂組成物に、赤外線や紫外線、α、βおよびγ線等の放射線、電子線またはX線等を照射したり、プラズマ処理、ドーピング処理等を施したりしてもよい。
ポリイミド樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに充填剤や添加剤を含んでもよい。充填剤または添加剤の例には、グラファイト、カーボランダム、ケイ石粉、二硫化モリブデン、フッ素系樹脂などの耐摩耗性向上剤;三酸化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の難燃性向上剤;クレー、マイカ等の電気的特性向上剤;アスベスト、シリカ、グラファイト等の耐トラッキング向上剤;硫酸バリウム、シリカ、メタケイ酸カルシウム等の耐酸性向上剤;鉄粉、亜鉛粉、アルミニウム粉、銅粉等の熱伝導度向上剤;その他ガラスビーズ、ガラス球、タルク、ケイ藻土、アルミナ、シラスバルン、水和アルミナ、金属酸化物、着色料及び顔料等が含まれる。これらの充填剤または添加剤は、単独または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリイミド樹脂組成物をフレキシブル回路基板用の積層体の接着層として、または接着シートの接着樹脂層として用いる場合には、ポリイミド樹脂組成物のガラス転移温度を100℃以上300℃以下とすることが好ましい。特に低温接着性を高めるには、ポリイミド樹脂組成物のガラス転移温度を、100℃以上240℃以下とすることがより好ましく、100℃以上200℃以下とすることがさらに好ましい。
ポリイミド樹脂組成物の可塑化時弾性率は、1×10Pa以上1×10Pa以下であることが好ましい。被着体に対する埋め込み性を高めて、良好な接着性を得る点から、ポリイミド樹脂組成物の可塑化時弾性率は、1×10Pa以上1×10Pa以下であることがより好ましい。
可塑化時弾性率は、例えば以下のように測定される。ポリイミド樹脂組成物の前駆体ワニスをフィルムキャスト後、240℃で30分焼成することにより未架橋フィルムを得る。得られた未架橋フィルムの弾性率を、ティー・エイ・インスツルメント社製RSA−IIIを用いて、窒素雰囲気下、引張モード、1Hzにて、400℃まで測定する。この温度範囲で観測した弾性率の最低値を、可塑化時弾性率(E’min)とする。
本発明のポリイミド樹脂組成物はイミド化合物を含有するので、比較的低温の温度領域(可塑化時)において低弾性率を達成するとともに、加熱されて架橋することで高い弾性率を達成しうる。このため、本発明のポリイミド樹脂組成物を、例えば金属積層体の金属層と接する樹脂層に適用すると、樹脂層と金属層とを比較的低温で良好に接着できるとともに、樹脂層の高温での変形や寸法変化を効果的に抑制できる。
さらに、ポリイミドが、分子構造内にカルボニル基等の反応性の高い基を有する場合、ポリイミドの末端アミノ基と反応し易くなる。このような反応が生じると、樹脂組成物を低温接着させる際、イミド化合物を添加しても弾性率が下がり難くなる。本発明では、末端封止したポリイミドと、イミド化合物とを組み合わせたポリイミド樹脂組成物とすることで、このような反応を抑制し、より確実に低温接着性を高めることができる。
2.ポリアミド酸溶液
本発明のポリアミド酸溶液は、前記ポリイミド樹脂組成物の前駆体を含む溶液である。ポリアミド酸溶液は、一般式(9)で表されるポリアミド酸と、前記一般式(2)および/または(3)で表されるイミド化合物と、必要に応じて溶媒とを含む。
本発明に用いられるポリアミド酸は、一般式(9)で表される。
Figure 0005364414
一般式(9)におけるA、Bおよびmは、一般式(1)におけるA、Bおよびmと同様である。
一般式(9)におけるWは、下記式で表される基より選ばれる。下記式におけるR〜Rは、一般式(1)におけるWのR〜Rと同様である。
Figure 0005364414
N,N−ジメチルアセトアミドに、0.5g/dlの濃度の一般式(9)で表されるポリアミド酸を含む溶液の対数粘度ηinhは、0.2〜2.0dl/gであることが好ましく、0.3〜1.0dl/gであることがより好ましく、0.4〜0.9dl/gであることがさらに好ましい。対数粘度ηinhは、例えば、ウベローデ粘度管を用いて測定できる。
ポリアミド酸の対数粘度が上記範囲内であると、フィルムや金属積層体の製造する際のポリアミド酸溶液の塗布工程において、塗膜厚みを均一にし易くなる。また、ポリアミド酸溶液の塗膜をイミド化して得られる樹脂組成物の強度を高めることができ、フィルムや金属積層体として成形し易くなる。
ポリアミド酸溶液における一般式(2)および/または(3)で表されるイミド化合物の、一般式(9)で表されるポリアミド酸に対する含有量は、前記と同様である。
ポリアミド酸溶液は、前記ポリイミド樹脂組成物と同様に、必要に応じて、他の任意成分を含んでもよい。
ポリアミド酸溶液は、ポリアミド酸とイミド化合物を均一に混合し、かつ適切な粘度に調整する等の点から、溶媒を含むことが好ましい。溶媒は、特に制限はないが、非プロトン性極性溶媒であることが好ましく、非プロトン性アミド系溶媒であることがより好ましい。非プロトン性アミド系溶媒の例には、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが含まれる。
ポリアミド酸溶液は、必要に応じて、さらに他の溶媒を含んでもよい。このような他の溶媒の例には、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、o−クロロトルエン、m−クロロトルエン、p−クロロトルエン、o−ブロモトルエン、m−ブロモトルエン、p−ブロモトルエン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン等が含まれる。これらの他の溶媒は、単独で含まれてもよいし、2種以上含まれてもよい。
本発明のポリアミド酸溶液の、E型粘度計により測定された25℃での粘度は、特に制限はないが、塗布厚みを制御し易い等の点から、100〜20000mPa・Sの範囲であることが好ましい。
3.ポリイミド樹脂組成物の製造方法
ポリイミド樹脂組成物の製造方法は、前記ポリアミド酸溶液を加熱してイミド化するステップを含む。
ポリアミド酸溶液を加熱してイミド化するステップでは、イミド化合物の架橋反応が生じない程度の温度で溶媒を除去し、かつポリアミド酸をイミド化(閉環)させる。加熱温度は、例えば100〜300℃程度であり、加熱時間は、例えば3分〜12時間程度である。イミド化は、通常、大気圧で十分で行うが、加圧下でも行なってもよい。イミド化させるときの雰囲気は、特に制限されないが、通常、空気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等であり、不活性気体である窒素やアルゴンであることが好ましい。
一般式(9)で表されるポリアミド酸は、例えば、下記一般式(10)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(11)で表されるジアミンとを重縮合反応させることにより得られる。下記式におけるAおよびBは、一般式(1)におけるAおよびBと同様である。
Figure 0005364414
テトラカルボン酸二無水物とジアミンの仕込み比を、下記式(A)を満たすようにすることが好ましい。
Figure 0005364414
(M1:テトラカルボン酸二無水物のモル数、M2:ジアミンのモル数)
M1:M2は、0.92〜0.995:1.00であることが好ましく、0.95〜0.995:1.00であることがより好ましく、0.97〜0.995:1.00であることがさらに好ましい。前記仕込み比を、このような範囲にすることで、ポリアミド酸の末端がアミノ基となり;かつポリイミドの特性を十分に引き出せる程度の分子量にすることができ、取扱いも容易である。
末端が封止されたポリアミド酸は、一般式(10)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、一般式(11)で表されるジアミンと、さらに下記一般式(12)で表されるジカルボン酸無水物とを重縮合反応させることにより得られる。
Figure 0005364414
は、下記式で表される基から選ばれる。下記式におけるR〜Rは、一般式(1)のWにおけるR〜Rと同様である。
Figure 0005364414
テトラカルボン酸二無水物、ジアミンおよびジカルボン酸無水物の仕込み比は、以下のような観点から、前記式(A)を満たし、かつ下記式(B1)を満たすことが好ましい。さらに、前記仕込み比は、前記式(A)を満たし、かつ式(B2)を満たすことがより好ましく;前記式(A)を満たし、かつ式(B3)を満たすことがさらに好ましい。
一般式(12)で表されるジカルボン酸無水物の添加量が、ポリアミド酸の末端アミノ基数に対し等モルより多い場合、過剰に加えた未反応ジカルボン酸無水物は、その後の加工プロセスにおいて揮発して製造装置等を汚染することがある。一方、ジカルボン酸無水物の添加量が末端アミノ基数に対して等モル未満である場合、末端アミノ基が未反応のまま残る。この未反応の末端アミノ基が、ポリイミド中の反応性の高いカルボニル基などと架橋反応を起こし、金属箔等に接着させる際の弾性率の低下を妨げることがあるためである。
Figure 0005364414
Figure 0005364414
Figure 0005364414
(M1:テトラカルボン酸二無水物のモル数、M2:ジアミンのモル数、M3:ジカルボン酸無水物のモル数)
一般式(2)で表されるイミド化合物は、公知の方法で合成されうる。一方、一般式(3)で表されるイミド化合物は、例えば以下に示される反応で合成される。つまり、式(3A)で表される1,3,5-トリ(アミノフェノキシ)ベンゼンに、3当量のジカルボン酸無水物を反応させてイミド化すればよい。より具体的には、1,3,5-トリ(アミノフェノキシ)ベンゼンと、ジカルボン酸無水物とを反応させて相当するアミド酸化合物として、さらに脱水閉環してイミド化合物へ変換する。
Figure 0005364414
1,3,5-トリ(アミノフェノキシ)ベンゼンと、ジカルボン酸無水物とを反応させてイミド化するには、例えば以下の手法があるが、特に限定されるものではない。
(1)100℃以下の低温、具体的には、−20〜70℃、好ましくは0〜60℃でアミド酸化合物を合成し、ついで100〜200℃に温度を上げてイミド化することによりイミド化合物を得る方法(熱イミド化)
(2)上記(1)と同様にアミド酸化合物を合成後、無水酢酸などのイミド化剤を用いて化学的にイミド化を行う方法(化学イミド化)
(3)上記(1)と同様にアミド酸化合物を合成後、触媒存在下または不存在下、共沸脱水用溶媒の存在下においてイミド化を行う方法(共沸脱水閉環法)
(4)トリアミン、ジカルボン酸無水物を混合した後、触媒及び/または共沸脱水用溶媒の存在下または不存在下、すぐに昇温することでイミド化する方法(直接熱イミド化)
1,3,5-トリ(アミノフェノキシ)ベンゼンと、ジカルボン酸無水物との反応は、有機溶媒中にて行うことが好ましい。用いられる有機溶媒は、1,3,5-トリ(アミノフェノキシ)ベンゼンと、ジカルボン酸無水物との反応に影響しない限り制限はなく、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕エーテル、テトラヒロドフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、アニソールなどのエーテル類;フェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノ−ル、2,4−キシレノ−ル、2,5−キシレノ−ル、2,6−キシレノ−ル、3,4−キシレノ−ル、3,5−キシレノ−ルなどのフェノール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミドなどのアミド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタムなどのラクタム類;ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン、スルホランなどの含硫黄溶媒類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどを挙げることができる。これらの有機溶媒は単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。さらに、反応有機溶媒には、他の溶媒を共存させてもよい。
反応溶媒の使用量は、特に制限されず、その用いる溶媒種や組成によって異なるが、1重量部の原料(トリアミン化合物またはジカルボン酸無水物)に対して、1〜1000重量部、好ましくは3〜100重量部である。
1,3,5-トリ(アミノフェノキシ)ベンゼンと、ジカルボン酸無水物との反応は、有機塩基触媒または酸触媒の存在下で行ってもよい。有機塩基触媒の例には、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、ピリジン、α-ピコリン、β-ピコリン、γ-ピコリン、2,4-ルチジン、2,6-ルチジン、キノリン、イソキノリンなどが含まれるが、好ましくはピリジン、γ-ピコリンである。
これら触媒の使用量は、反応速度が実質的に向上すれば特に制限はないが、原料のジアミン化合物に対して、0.001〜10倍モル、好ましくは0.005モル〜5倍モル、さらに好ましくは0.01〜1倍モルである。
反応時間は、使用する原料の種類、溶剤の種類、触媒の種類、共沸脱水用溶媒の種類や量、及び反応温度などにより異なるが、目安としては、1〜24時間であり、通常数時間である。また直接熱イミド化を行なう際は目安として、留出する水がほぼ理論量に達する(通常は全てが回収されるわけではないので、50〜90%の回収率である。)まで反応させることであり、通常数時間程度である。この場合、イミド化によって生じる水を、トルエン等の共沸剤で除去する方法が一般的で有効である。
反応混合物から目的物であるイミド化合物を単離する方法は、特に限定されないが、目的物が反応溶媒から析出した場合は、濾取もしくは遠心分離によって単離すればよい。
4.ポリイミド樹脂組成物の用途
本発明のポリイミド樹脂組成物は、種々の用途に用いられるが、低温接着性や高温加工時の寸法安定性が求められる用途、例えばドライフィルム、接着シート、金属積層体等に適用されることが好ましい。
1)ドライフィルム
ドライフィルムは、本発明のポリイミド樹脂組成物を含む。ドライフィルムは、例えば基板上に、前記ポリアミド酸溶液を塗布し、脱溶媒およびイミド化した後、得られたフィルムを基板から剥離することにより得られる。ポリアミド酸溶液の脱溶媒およびイミド化は、特に制限はないが、減圧下あるいは窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
加熱温度は、前述の通り、ポリアミド酸溶液に含まれるイミド化合物が架橋反応しない温度であって、溶媒の沸点以上かつイミド化反応が進行する温度であればよい。例えば、非プロトン系アミド溶媒中で合成されたポリアミド酸である場合、脱溶媒およびイミド化させる際の加熱温度は、100〜300℃程度であればよく、加熱時間は、特に制限はないが、通常3分〜12時間程度であればよい。
基板の例には、金属箔、ガラス等の無機基板、各種樹脂フィルム等が含まれる。ポリアミド酸溶液の塗膜の厚みは、ポリアミド酸溶液の固形分濃度にもよるが、脱溶媒、イミド化後のフィルム厚みが1mm以下となるように調整されることが好ましい。
ポリアミド酸溶液の塗布手段の例には、ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター、ディップコーター、スプレーコーター、コンマコーター、カーテンコーター、バーコーター等の一般的な塗布手段が含まれる。これらの塗布手段は、ポリアミド酸溶液の粘度や塗膜厚さに応じて、適宜選択される。
ポリアミド酸溶液の乾燥手段の例には、電気加熱あるいはオイル加熱した熱風、赤外線等を熱源としたロールサポート、エアーフロート方式の乾燥炉等が含まれる。ポリイミド樹脂の変質、金属箔の酸化による変色を防止する目的等に応じて、乾燥雰囲気を空気以外の窒素、アルゴン、水素等のガスで置換してもよい。
2)接着シート
接着シートは、少なくとも本発明のポリイミド樹脂組成物を含む接着層を有する。さらに、接着シートは、樹脂フィルムと、その片面または両面に形成された接着層とを有し、接着層が、本発明のポリイミド樹脂組成物を含むことが好ましい。
樹脂フィルムは、特に制限されないが、ポリイミドフィルムであることが好ましい。ポリイミドフィルムの例には、非熱可塑性ポリイミドの前駆体ワニスを塗布、乾燥して得られるフィルム、市販の非熱可塑性ポリイミドフィルム等が含まれる。具体的には、ユーピレックスS、ユーピレックスSGA、ユーピレックスSN(宇部興産株式会社製、登録商標/商品名)、カプトンH、カプトンV、カプトンEN(東レ・デュポン株式会社製、登録商標/商品名)、アピカルAH、アピカルNPI、アピカルHP((株)カネカ製、登録商標/商品名)等が含まれる。
接着シートは、前記ドライフィルムと同様に、例えば樹脂フィルム上に、ポリアミド酸溶液を塗布、乾燥、および必要に応じてイミド化することにより得られる。接着層の厚みは、1mm以下であることが好ましい。
3)金属積層体
金属積層体は、金属層と、樹脂層とを有し、樹脂層の少なくとも一層が、本発明のポリイミド樹脂組成物から得られる層である。
金属層は、特に限定されないが、銅、銅合金、ステンレス鋼、ステンレス鋼の合金、ニッケル、ニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウムおよびアルミニウム合金等から選ばれる金属であることが好ましい。中でも、金属層は、銅、銅合金、またはステンレス箔であることがより好ましい。金属層は、金属箔であってもよいし、スパッタ法等により樹脂層上に形成されたものであってもよい。
金属層の厚みは、リール状で使用できる厚みであれば、特に制限はないが、0.1μm以上150μm以下であることが好ましく、2μm以上150μm以下であることがより好ましく、3μm以上50μm以下であることがさらに好ましく、3μm以上35μm以下であることがさらに好ましく、3μm以上12μm以下であることが最も好ましい。
樹脂層は、ポリイミド層であることが好ましい。樹脂層は、特に限定されず、単層であってもよいし、多層であってもよい。樹脂層が、多層のポリイミド層である場合、隣接するポリイミド層の成分が、互いに異なることが好ましい。隣接するポリイミド層の成分が互いに異なるとは、具体的には、モノマーの成分や組成が異なることをいう。また、単層のポリイミド層、または多層のポリイミド層のうち少なくとも一層は、2種以上の異なるポリイミドからなる樹脂組成物(混合物)を含んでもよい。
樹脂層が、多層のポリイミド層である場合、樹脂層は、ポリイミドフィルムと、該ポリイミドフィルムの片面または両面に形成されたポリイミド層とを有し、このうち金属層と接する前記ポリイミド層が、本発明のポリイミド樹脂組成物から得られる層であることが好ましい。本発明のポリイミド樹脂組成物から得られる層は、金属層との密着性に優れるためである。
ポリイミドフィルムは、前述のポリイミドフィルムと同様のものが用いられる。ポリイミドフィルムとして、市販の非熱可塑性ポリイミドフィルムを用いる場合、フィルム厚さは通常3μm以上75μm以下であり、好ましくは7.5μm以上40μm以下である。ポリイミドフィルムとして、非熱可塑性ポリイミドの前駆体ワニスを塗布乾燥させて得られるフィルムを用いる場合、フィルム厚さは0.1μm以上40μm以下、好ましくは0.5μm以上25μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上16μm以下である。これらのポリイミドフィルムの表面には、プラズマ処理、コロナ放電処理等を施してもよい。
金属層と接するポリイミド層は、本発明のポリイミド樹脂組成物から得られる層であり、具体的には、ポリイミド樹脂組成物に含まれるイミド化合物を架橋反応させて得られる層であることが好ましい。
金属層に接するポリイミド層の厚さは、0.1μm以上20μm以下であることが好ましく、0.1μm以上10μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上5μm以下であることがさらに好ましい。ポリイミド層の総厚みが大きくなりすぎると、剛性が高くなるため、耐折性などが要求される用途には適さず、薄すぎると絶縁性やハンドリング性が低下する。このため、金属積層体の樹脂層の総厚みは、3μm以上75μm以下であることが好ましく、10μm以上45μm以下であることがより好ましい。ポリイミド層の厚みが上記範囲内にあると、金属積層体は、絶縁性、柔軟性、作業性に優れ、かつ低コストである傾向がある。
本発明のポリイミド金属積層体は、特に制限されないが、例えば以下の方法により製造されうる。
(1)本発明のポリイミド樹脂組成物を含むドライフィルムと、金属箔と、を加熱圧着する方法。
(2)本発明のポリアミド酸溶液(ポリイミド前駆体ワニス)を金属箔上に塗布、乾燥およびイミド化する方法。
(1)のドライフィルムは、前記の通り、単層のポリイミド層、または多層のポリイミド層であってもよい。ドライフィルムが、多層のポリイミド層である場合、少なくとも金属箔と接するポリイミド層が、本発明のポリイミド樹脂組成物を含んでいればよい。
(1)の方法における、加熱圧着方法の例には、オイル等を熱媒とした加熱または誘電加熱により熱せられた、金属ロールまたは金属ロール表面を、ゴム等でライニングしたロール間でラミネートする方法;熱プレスする方法等が含まれる。ラミネートする方法は、連続したロール品の製造に適しており、熱プレスする方法は、カットシート状の枚葉品の製造に適しており、用途に応じて適宜選択されうる。
加熱圧着時の雰囲気ガスは、例えば、空気、窒素、アルゴン等である。加熱温度は、熱可塑ポリイミドの、主にガラス転移温度に応じた温度であり、通常100〜400℃であり、150〜300℃であることが好ましい。加熱時間は、例えば0.01秒〜15時間である。加熱圧力は、例えば0.1〜30MPaであればよく、0.5〜10MPaであることが好ましい。
金属箔とポリイミド層との密着力をさらに向上させる点で、オートクレーブ等を用いて後処理してもよい。後処理温度は、通常150〜400℃、好ましくは200〜350℃である。処理時間は1分〜50時間であり、圧力は常圧〜3MPaである。金属箔の酸化を防止する上で、オートクレーブ装置内を、真空、または窒素、アルゴン等の不活性ガスで置換しておくことが好ましい。
(2)の方法における、ポリアミド酸溶液の塗膜の乾燥温度は、60〜600℃の温度範囲であればよいが、段階的に昇温することが好ましい。塗膜を段階的に昇温して乾燥することで、発泡やユズ肌等の不具合を生じることなく、膜厚が均一で、かつ寸法安定性にも優れるポリイミド層を得ることができる。乾燥時間は、0.05〜500分の範囲で、適宜設定されればよい。ポリアミド酸溶液の塗布・乾燥手段は、前述と同様のものを用いることができる。
樹脂層の両面に金属箔が積層された両面金属積層体は、(1)または(2)のいずれの方法によっても製造されうるが、(1)と(2)を組み合わせた方法によっても製造されうる。たとえば、(1)のドライフィルムと金属箔とを加熱圧着して得られる片面金属積層体(i)と、(2)のポリアミド酸溶液を金属箔に塗布、乾燥およびイミド化して得られる片面金属積層体(ii)と、を用意する。そして、片面金属積層体(i)のドライフィルム面と、片面金属積層体(ii)のポリイミド面とを加熱圧着して積層する。
このように、金属層に接するポリイミド層を、本発明のポリイミド樹脂組成物から得られる層にすることで、比較的低温で金属層と良好に接着できる。このため、高い加工温度にしなくても金属とポリイミド界面にボイドが残存することなく、高い接着強度を有する積層板を得ることができる。さらに、本発明のポリイミド樹脂組成物から得られるポリイミド層は、高温時の弾性率が高いため、使用温度条件が厳しいLSIチップや部品実装工程、それらリペア工程等における半田膨れ等を抑制できる。さらに、前記ポリイミド層は、高温時の変形や寸法変化が少ないので、基板の薄型化や、配線の高密度化に伴って発生する配線ショート等を抑制することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これにより何ら限定されるものではない。実施例および比較例で用いた化合物の略称は、以下の通りである。
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
APB:1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン
BTDA:3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
MA:無水マレイン酸
NDA:5−ノルボルネン−2,3−無水ジカルボン酸(無水ナディック酸)
PEPA:4−フェニルエチニル無水フタル酸
APB−BMI:1,3−ビス(3−ビスマレイミドフェノキシ)ベンゼン
APB−BNI:1,3−ビス(3−ビスナディックイミドフェノキシ)ベンゼン
ポリアミド酸を、以下のように合成した。
(合成例1)
アミン末端ポリアミド酸の合成
撹拌機および窒素導入管を備えた容器に、溶媒としてDMAc793gを装入した後、APB205gを装入し、室温で撹拌して溶解させた。この溶液に、BTDA222gを装入し、室温で12時間撹拌することによりポリアミド酸ワニスを得た。得られたポリアミド酸ワニスにおける、ポリアミド酸固形分の含有率は35重量%であった。ポリアミド酸ワニスの対数粘度は0.76dl/gであり、25℃でのE型粘度は125000mPa・Sであった。
(合成例2)
PEPA末端ポリアミド酸の合成
撹拌機および窒素導入管を備えた容器に、溶媒としてDMAc1375gを装入した後、APB351gを装入し、室温にて撹拌して溶解させた。この溶液に、BTDA381g、PEPA8.94gを装入し、室温で12時間撹拌することによりポリアミド酸ワニスを得た。得られたポリアミド酸ワニスにおける、ポリアミド酸固形分の含有率は35重量%であった。ポリアミド酸ワニスの対数粘度は0.64dl/gであり、25℃でのE型粘度は52000mPa・Sであった。
(合成例3、4)
NDA末端ポリアミド酸、MA末端ポリアミド酸の合成
末端基導入用のジカルボン酸無水物を、下記表1に示されたものに変更した以外は、合成例2と同様にポリアミド酸を合成した。この結果を、合成例1、2と合わせて表1に示す。
Figure 0005364414
トリイミド化合物を、以下のように合成した。
(合成例5)
1,3,5−トリ(3−マイレイミドフェノキシ)ベンゼン(以下TrisAPB−TMI)の合成
撹拌機、窒素導入管、ディーンスターク、冷却器および温度計を備えたフラスコに、TrisAPB20.0g(50.0mmol)、および溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド(以下DMF)30.0g、脱水共沸溶媒としてトルエン75.0gを装入し、窒素ガスを通じながら攪拌して溶解させた。この溶液に、無水マレイン酸16.2g(165mmol)を加え、室温にて一晩攪拌した。その後、触媒としてp-トルエンスルホン酸一水和物(以下PTS)0.951g(5.00mmol)を装入し、130℃まで加熱し8時間反応させた。この際、トルエンと水の蒸発が生じ、それらの一部は冷却器にて凝縮した。ディーンスタークにトラップされた水とトルエンを分離した後、トルエンのみ系内に還流し、一部は窒素ガスの流通により、冷却管上部から系外へ留去された。
得られた反応混合物を冷却後、水で抽出洗浄して過剰に用いた無水マレイン酸およびPTSを除去した。得られた有機層を濃縮・乾燥して粗生成物を得た。その後、粗生成物をDMF68.0gに溶解し、メタノール210gを加えて再沈殿させ、析出物を濾取・乾燥した。この操作を3回繰り返し、16.2gのTrisAPB−TMIを得た(収率47%)。NMRより構造確認を行った。
1H−NMR(DMSO):δ=6.45(s,3H)、7.05−7.20(m,9H)、7.15(s,6H)、7.47(t,3H)
(合成例6)
1,3,5-トリ(3−ナディックイミドフェノキシ)ベンゼン(以下TrisAPB−TNI)の合成
撹拌機、窒素導入管、ディーンスターク、冷却器および温度計を備えたフラスコに、TrisAPB12.0g(30.0mmol)、および溶媒としてDMAc180gを装入し、窒素ガスを通じながら攪拌して溶解させた。この溶液に、無水ナディック酸19.2g(117mmol)を加え、室温にて一晩攪拌した。その後、触媒としてp-トルエンスルホン酸一水和物(以下PTS)1.71g(9.00mmol)および共沸脱水溶媒としてトルエン90.0gを装入し、160℃まで加熱し8時間反応させた。この際、トルエンと水の蒸発が生じ、それらの一部は冷却器にて凝縮してディーンスタークにて水とトルエンを分離した後、トルエンのみ系内に還流し、一部は窒素ガスの流通により、冷却管上部から系外へ留去された。
反応混合物を冷却後、エバポレーターにてトルエンを留去した。その後、得られた溶液を3%重曹水1000gに投入し3時間攪拌後、析出物を濾取、水洗後、乾燥し粗生成物を得た。メチルエチルケトンから再結晶することにより精製し、20.4gのTrisAPB−TNIを得た(収率81%)。NMRより構造確認を行った。
1H−NMR(DMSO):δ=1.58(s,6H)、3.33(m,6H)、3.46(m,6H)、6.20(t,6H)、6.39(s,3H)、6.82−6.96(m,6H)、7.04−7.14(m,3H)、7.44(t,3H)
(実施例1)
混練機用ボトルに、合成例1で得られたポリアミド酸ワニスと、合成例5で得られたイミド化合物とを装入した。このとき、ポリアミド酸ワニス中のポリアミド酸固形分100重量部に対して、イミド化合物が18重量部となるように調製した。この溶液を、混練機にて混合および溶解させ、E型粘度計における25℃での粘度が100〜1000となるように、DMAcを適宜加えることにより、淡褐色透明なポリアミド酸溶液(ポリイミド樹脂組成物の前駆体ワニス)を得た。
得られた溶液をキャスト後、焼成して得られる未架橋フィルム(ドライフィルム)または架橋後フィルムについて、以下の試験を行い、線膨張係数(CTE)、架橋後弾性率(E’@350℃)、および可塑化時弾性率(E’min)をそれぞれ測定した。
1)線膨張係数(CTE)
上記ポリアミド酸溶液の塗布膜を、350℃で2時間焼成し、架橋後フィルム(厚み70μm)を作製した。この架橋後フィルムを、島津製作所(株)社製熱分析装置TMA50シリーズを用いて、乾燥空気雰囲気下、100℃〜200℃の範囲の線膨張係数を測定した。
2)架橋後弾性率(E’@350℃)
1)で得られた架橋後フィルムを、ティー・エイ・インスツルメント社製RSA−IIIを用いて、窒素雰囲気下、引張モード、1Hzにて400℃まで弾性率を測定し、350℃での弾性率を架橋後弾性率(E’@350℃)とした。
3)可塑化時弾性率(E’min)
上記ポリアミド酸溶液の塗布膜を、240℃で30分焼成し、未架橋フィルム(ドライフィルム)(厚み70μm)を作製した。この未架橋フィルムを、ティー・エイ・インスツルメント社製RSA−IIIを用い、窒素雰囲気下、引張モード、1Hzにて400℃まで弾性率を測定した。そして、この範囲で測定した弾性率の最低値を、可塑化時弾性率(E’min)とした。
また、市販のポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、商品名:カプトン80EN)の両面に、上記ポリアミド酸溶液(ポリイミド樹脂組成物の前駆体ワニス)を、グラビアコーターにより乾燥後の厚さで2.5μmになるように塗布した。この塗膜を、70℃で5分、100℃で2分、140℃で2分、180℃で2分、220℃で10分乾燥することにより、ポリイミドフィルムの両面に未架橋の熱可塑性ポリイミド層を有するポリイミド絶縁フィルム(樹脂層)を得た。
上記ポリイミド絶縁フィルムと、市販の銅箔(古河サーキットフォイル(株)製、商品名:F1−WS、厚さ18μm)とを、ハンドプレスを用いて、以下の条件で加熱圧着した。ポリイミド絶縁フィルムの熱可塑性ポリイミド層と、銅箔とをそれぞれはり合わせて、8MPaで圧着しながら、2℃/分の速度で360℃まで昇温し、そのまま4時間保持して接着させた。これにより、ポリイミド金属積層体(両面金属積層板)を得た。得られたポリイミド金属積層体の寸法精度およびピール強度を測定した。これらの結果を、図1の表2に示す。
4)寸法変化
10cm×10cmの上記両面金属積層板サンプルを用意し、この基材の四方に孔を空けた後、両面の銅箔をエッチング除去した。この両面金属積層板サンプルを、湿度50%、23℃の雰囲気にて24時間放置した。その後、形成した孔の孔間距離変化率を測定した。銅箔の搬送方向およびそれに対して垂直方向の平均値から、寸法変化を算出した。
5)ピール強度
金属箔の搬送方向に対して平行方向の長さが50mm、幅が1mmの上記両面金属積層板サンプルを用意した。この両面金属積層板サンプルを、23℃、相対湿度50%の環境下でJIS C−6471に準拠し、金属箔を90度の角度になるように樹脂層から剥離速度50mm/minで剥離し、そのときの応力を測定した。
(実施例2〜27)
ポリアミド酸またはイミド化合物の種類、イミド化合物の添加量を表2に示されるように変更した以外は、実施例1と同様にポリアミド酸溶液を調製し、同様に試験を行った。これらの結果を、図1の表2に示す。
(比較例1〜3)
ポリアミド酸を合成例1として、かつイミド化合物をAPB−BMIとして、表2に示される添加量としたこと以外は、実施例1と同様にポリアミド酸溶液を調製し、同様に試験を行った。これらの結果を、図1の表2に示す。
本発明のポリアミド酸溶液をイミド化して得られる実施例1〜27のドライフィルムは、同量のイミド化合物を含む比較例1〜3のドライフィルムと比較して、可塑化時における弾性率(E’min)を十分に下げることができ、かつ架橋後における弾性率(E’@350℃)が高く、かつ線膨張係数(CTE)が低いことがわかった。
特に、ドライフィルムに含まれるポリイミドが末端封止されていると、可塑化時における弾性率(E’min)を十分に下げられることがわかった(実施例15〜17、および比較例1〜3参照)。これは、可塑化時に、ポリイミド末端のアミノ基と、ポリイミド構造内のカルボニル基との反応を抑制でき、イミド化合物の添加による低弾性率効果が得られたためと考えられる。
また、本発明のポリイミド樹脂組成物から得られる樹脂層を有する実施例1〜27の金属積層体は、同量のイミド化合物を含む樹脂層を有する比較例1〜3の金属積層体と比較して、高いピール強度と寸法安定性を有することがわかった。
本発明のポリイミド樹脂組成物を用いることで、比較的低温で、被着体と良好に接着できるとともに、高温加工時の寸法安定性を高くすることができる。このため、本発明のポリイミド樹脂組成物は、耐熱性フィルム、接着シート、フレキシブルプリント基板(金属積層体)および半導体パッケージ等に好ましく用いられる。

Claims (16)

  1. 下記一般式(1)で表されるポリイミドと、下記一般式(3)で表されるイミド化合物と、を含むポリイミド樹脂組成物。
    Figure 0005364414
    〔一般式(1)中、
    Aは、下記式で表される基から選ばれる基であり、
    Figure 0005364414
    (X〜Xはそれぞれ、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−または−NHCO−を表す)
    Bは、下記式で表される基から選ばれる基であり、
    Figure 0005364414
    (Y〜Yはそれぞれ、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−または−NHCO−を表す)
    は、下記式で表される基から選ばれる基であり、
    Figure 0005364414
    (R〜Rはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し;Rは、−O−、−S−、−CH−、−C(CH−または−CO−を表し;Rは、水素原子またはフェニル基を表す)、
    mは、2以上の整数を表す〕
    Figure 0005364414
    〔一般式(3)において、Z〜Zはそれぞれ、下記式で表される基から選ばれる基である。
    Figure 0005364414
    (R〜R10はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し;R11は−O−、−S−、−CH−、−C(CH−または−CO−を表し;R12は、水素原子またはフェニル基を表す)〕
  2. 下記一般式(1)で表されるポリイミドと、下記一般式(2)で表されるイミド化合物と、を含むポリイミド樹脂組成物。
    Figure 0005364414
    〔一般式(1)中、
    Aは、下記式で表される基から選ばれる基であり、
    Figure 0005364414
    (X〜Xはそれぞれ、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−または−NHCO−を表す)
    Bは、下記式で表される基から選ばれる基であり、
    Figure 0005364414
    (Y〜Yはそれぞれ、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−または−NHCO−を表す)
    は、下記式で表される基から選ばれる基であり、
    Figure 0005364414
    (R〜Rはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し;Rは、−O−、−S−、−CH−、−C(CH−または−CO−を表し;Rは、水素原子またはフェニル基を表す)、
    mは、2以上の整数を表す〕
    Figure 0005364414
    〔一般式(2)において、Z及びZはそれぞれ、下記式で表される基である。
    Figure 0005364414
    (R及びRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す)
  3. 前記一般式(1)におけるWが、下記式で表される基のいずれかである、請求項1または2に記載のポリイミド樹脂組成物。
    Figure 0005364414
    (R〜Rは、前述と同義である)
  4. 前記一般式(1)で表されるポリイミド100重量部に対し、
    前記一般式(2)または(3)で表されるイミド化合物を、5重量部以上100重量部以下含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリイミド樹脂組成物。
  5. ポリイミド樹脂組成物のガラス転移温度が、100℃以上300℃以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリイミド樹脂組成物。
  6. 前記一般式(2)において、
    またはZが、下記式で表される基である、
    Figure 0005364414
    または前記一般式(3)において、
    〜Zが、下記式で表される基のいずれかである、
    Figure 0005364414
    請求項1または2に記載のポリイミド樹脂組成物。
  7. 前記一般式(2)で表されるイミド化合物が、下記一般式(4)〜(6)のいずれかで表される化合物である、
    または前記一般式(3)で表されるイミド化合物は、下記一般式(7)または(8)で表される化合物である、請求項1または2に記載のポリイミド樹脂組成物。
    Figure 0005364414
    (式中、ZおよびZは、前記と同様である)
    Figure 0005364414
    (式中、Z〜Zは、前記と同様である)
  8. 前記一般式(1)において、
    Aは、下記式で表される基から選ばれる基であり、
    Figure 0005364414
    Bは、下記式で表される基から選ばれる基であり、
    Figure 0005364414
    で表される基のR 〜R はそれぞれ水素原子を表し;R は、−CH −を表し;R は、水素原子またはフェニル基を表す、
    請求項1または2に記載のポリイミド樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリイミド樹脂組成物を含むフィルム。
  10. 金属層と、樹脂層とを含む金属積層体であって、
    前記樹脂層の少なくとも一層が、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリイミド樹脂組成物から得られる層である、金属積層体。
  11. 前記樹脂層は、
    ポリイミドフィルムと、
    前記ポリイミドフィルムの片面または両面に形成されたポリイミド層と、を有し、
    前記金属層と接する前記ポリイミド層が、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリイミド樹脂組成物から得られる層である、請求項10に記載の金属積層体。
  12. 樹脂フィルムと、
    前記樹脂フィルムの片面または両面に形成され、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリイミド樹脂組成物を含む層と、
    を有する、接着シート。
  13. 一般式(9)で表されるポリアミド酸と、一般式(3)で表されるイミド化合物と、を含むポリアミド酸溶液。
    Figure 0005364414
    〔一般式(9)中、
    Aは、下記式で表される基から選ばれる基であり、
    Figure 0005364414
    (X〜Xはそれぞれ、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−または−NHCO−を表す)
    Bは、下記式で表される基から選ばれる基であり、
    Figure 0005364414
    (Y〜Yはそれぞれ、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−または−NHCO−を表す)
    は、下記式で表される基から選ばれる基であり、
    Figure 0005364414
    (R 〜R はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し;R は、−O−、−S−、−CH −、−C(CH −または−CO−を表し;R は、水素原子またはフェニル基を表す)
    mは、2以上の整数を表す〕
    Figure 0005364414
    〔一般式(3)中、
    〜Zは、下記式で表される基から選ばれる基である。
    Figure 0005364414
    (R〜R10はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し;R11は、−O−、−S−、−CH−、−C(CH−または−CO−を表し;R12は、水素原子またはフェニル基を表す)〕
  14. 一般式(9)で表されるポリアミド酸と、一般式(2)で表されるイミド化合物と、を含むポリアミド酸溶液。
    Figure 0005364414
    〔一般式(9)中、
    Aは、下記式で表される基から選ばれる基であり、
    Figure 0005364414
    (X〜Xはそれぞれ、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−または−NHCO−を表す)
    Bは、下記式で表される基から選ばれる基であり、
    Figure 0005364414
    (Y〜Yはそれぞれ、単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−C(CH−、−C(CF−、−SO−または−NHCO−を表す)
    は、下記式で表される基から選ばれる基であり、
    Figure 0005364414
    (R 〜R はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し;R は、−O−、−S−、−CH −、−C(CH −または−CO−を表し;R は、水素原子またはフェニル基を表す)
    mは、2以上の整数を表す〕
    Figure 0005364414
    〔一般式(2)中、
    及びZ は、下記式で表される基から選ばれる基である。
    Figure 0005364414
    (R及びRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す)〕
  15. 請求項13または14に記載のポリアミド酸溶液を加熱してイミド化するステップを含む、ポリイミド樹脂組成物の製造方法。
  16. 下記一般式(10)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(11)で表されるジアミンとを、下記一般式(12)で表されるジカルボン酸無水物の存在下または非存在下において重縮合反応させることにより、前記一般式(9)で表されるポリアミド酸を得るステップと、
    前記ポリアミド酸溶液を加熱してイミド化するステップとを含む、ポリイミド樹脂組成物の製造方法であって、
    前記テトラカルボン酸二無水物、前記ジアミン、および前記ジカルボン酸無水物の仕込み比を、下記式(A)および式(B)を満たすようにする、請求項15に記載のポリイミド樹脂組成物の製造方法。
    Figure 0005364414
    〔一般式(10)〜(12)中、
    AおよびBは、前記と同様であり、
    は、下記式で表される基から選ばれる基である。
    Figure 0005364414
    (R〜Rは、前記と同様である)〕
    Figure 0005364414
    Figure 0005364414
    (M1:テトラカルボン酸二無水物のモル数、M2:ジアミンのモル数、M3:ジカルボン酸無水物のモル数)
JP2009083026A 2009-03-30 2009-03-30 ポリイミド樹脂組成物、それを用いた金属積層体 Active JP5364414B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009083026A JP5364414B2 (ja) 2009-03-30 2009-03-30 ポリイミド樹脂組成物、それを用いた金属積層体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009083026A JP5364414B2 (ja) 2009-03-30 2009-03-30 ポリイミド樹脂組成物、それを用いた金属積層体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010235695A JP2010235695A (ja) 2010-10-21
JP5364414B2 true JP5364414B2 (ja) 2013-12-11

Family

ID=43090335

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009083026A Active JP5364414B2 (ja) 2009-03-30 2009-03-30 ポリイミド樹脂組成物、それを用いた金属積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5364414B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101485729B1 (ko) * 2012-06-07 2015-01-22 미쯔이가가꾸가부시끼가이샤 폴리이미드 수지 조성물, 필름, 접착제 및 부품
US9315633B2 (en) * 2014-08-29 2016-04-19 The Boeing Company Nanomodified backbones for polyimides with difunctional and mixed-functionality endcaps
CN109219513B (zh) * 2016-06-03 2021-03-09 株式会社有泽制作所 柔性金属包覆层合板的制造方法
KR102338871B1 (ko) 2018-02-13 2021-12-13 주식회사 엘지화학 열전도도가 향상된 폴리이미드 필름 및 그 제조 방법
JP7417345B2 (ja) 2020-12-23 2024-01-18 信越化学工業株式会社 環状イミド樹脂組成物、プリプレグ、銅張積層板およびプリント配線板

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB1457269A (en) * 1972-11-02 1976-12-01 Ciba Geigy Ag Compositions comprising a polyimide resin or polyemide acid precursor therefor and an olefinically unsaturated imide or amide acid precursor therefor
JPH0632854A (ja) * 1992-07-20 1994-02-08 Ube Ind Ltd 末端変性イミドオリゴマーの組成物
JP4205993B2 (ja) * 2002-07-01 2009-01-07 三井化学株式会社 金属積層体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010235695A (ja) 2010-10-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5166364B2 (ja) ポリイミド樹脂組成物、それを用いた金属積層体
JP7469383B2 (ja) 金属張積層板及び回路基板
TWI296569B (en) Polyimide metal laminated matter
JP2585552B2 (ja) ポリイミド
JP6073789B2 (ja) ポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリイミドフィルム、およびこれらの製造に使用されるトリアジン化合物の製造方法
JP5251508B2 (ja) 耐熱性フィルム金属箔積層体、およびその製造方法
JP5139986B2 (ja) ポリイミド系樹脂組成物及びその製造方法、ならびに金属積層体
JP5679237B2 (ja) アルコキシシリル基含有シラン変性ポリイミド樹脂、樹脂ワニス、ポリイミド系接着剤、硬化物、接着シート、積層体およびフレキシブルプリント基板
JP2010518222A (ja) ポリイミド製造方法およびこれにより製造されたポリイミド
JP6743697B2 (ja) 多層ポリイミドフィルム、多層ポリイミドフィルムの製造方法、それを用いたポリイミド積層体、及びそれらに用いられる共重合ポリイミド
JP5544144B2 (ja) ポリイミド金属積層体およびポリイミド接着シート
JP5364414B2 (ja) ポリイミド樹脂組成物、それを用いた金属積層体
JP5693422B2 (ja) 耐熱両面金属積層板、これを用いた耐熱透明フィルム、及び耐熱透明回路基板
JP4205993B2 (ja) 金属積層体
JP3635384B2 (ja) 耐熱性ボンディングシート
JP6462708B2 (ja) ポリイミド共重合体およびこれを用いた成形体
JP2008149549A (ja) 金属積層体の製造方法
JP2008030434A (ja) ポリイミド複合フレキシブルシートとその製造方法
JP7101352B2 (ja) ポリイミド、ポリイミドフィルム、ポリイミド金属積層体及び、ポリアミド酸
US20040096679A1 (en) Metal laminate
JP4443176B2 (ja) 接着補助剤組成物
JP5405273B2 (ja) ポリイミド樹脂、ならびにそれを用いたドライフィルム、金属積層体および接着シート
KR100517233B1 (ko) 금속적층체
JP2004285103A (ja) 熱可塑性ポリイミド及びそれを含有する接着剤
JP4137625B2 (ja) ポリイミド前駆体組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110804

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120918

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120925

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121211

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130903

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130909

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5364414

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250