JP2004209355A - 排ガス処理用触媒の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒活性の劣化した使用済みのチタン−バナジウム系の排ガス処理用触媒を粉砕し、得られた粉体を成形することにより、新たに触媒を調製する方法において、初期性能(排ガス処理開始時の触媒活性)に非常に優れ、かつ、その後も長期間触媒活性を高い状態で維持し得る排ガス処理触媒を製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明にかかる排ガス処理触媒の製造方法は、チタン系酸化物およびバナジウム系酸化物を含む触媒の粉体を成形し焼成することによって排ガス処理用触媒を得る方法において、前記粉体としてその少なくとも一部に排ガス処理に使用され活性の劣化した触媒の粉体を用いることとし、かつ、前記焼成までの過程において前記粉体に無機酸および/または有機酸の水溶液を添加しておくことを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス処理用触媒の製造方法に関し、詳しくは、排ガス処理に使用して活性の低下した触媒の再利用を含めた排ガス処理用触媒の製造方法に関する。特に、排ガス中のダイオキシン類などの毒性有機ハロゲン化合物を除去する有機ハロゲン化合物除去用触媒や、排ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去するための脱硝触媒として優れた排ガス処理用触媒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
石炭や重油を燃焼させたときの排ガスやゴミ焼却炉から排出される排ガス等のダストを多く含む排ガスを処理する触媒においては、例えば、上記ダストに由来するアルカリ金属、アルカリ土類金属および重金属類等の成分による触媒表面のマスキング(触媒の表層部に強固に付着し、細孔を閉塞して排ガスの触媒中での拡散が阻害されること。)や、活性成分であるバナジウムの処理時の高熱による凝集等が原因となり、触媒活性が劣化(低下)する。近年、廃棄物の低減やリサイクルの観念から、これら劣化した触媒を再生して再利用する触媒の製造方法が種々提案されている。
【0003】
従来、このような劣化した触媒を再生して再利用する方法としては、使用済み触媒を粉砕して粉体状にし、再度、混練り成形し必要に応じて焼成することによって、被毒されていないFreshな面を形成させて触媒活性を回復させ、再利用する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この方法は、安価という点で好適な方法であるが、基本的には被毒物資が触媒中に残存する上、前述したバナジウムの凝集の問題に対しても有効な方法ではないので、初期性能(排ガス処理開始時点での触媒活性等)についてはある程度回復するものの、その後は比較的早い段階で活性劣化し所望の活性を長期間維持することができない等の耐久性に乏しいという問題があった。
【0004】
一方、現在実用化されている排ガス中の窒素酸化物(NOx)除去方法としては、アンモニアまたは尿素などの固体還元剤を用いて排ガス中の窒素酸化物を脱硝触媒上で接触還元し、無害な窒素と水とに分解する選択的触媒還元(SCR)法が一般的である。これに用いられる脱硝触媒としては、チタン系酸化物とバナジウム系酸化物とを必須としてなる、チタン−バナジウム系触媒などが知られている(例えば、特許文献2および特許文献3参照。)。
また、産業廃棄物や都市廃棄物を処理する焼却施設から発生する排ガス中には、ダイオキシン類、PCB、クロロフェノールなどの極微量の毒性有機ハロゲン化合物が含まれており、特にダイオキシン類は微量であってもきわめて有毒であり、人体に重大な影響を及ぼすため、その除去技術が広く開発されて、実用化が進められている。中でも、触媒分解法は有効な技術のひとつであり、一般的にチタン、バナジウム、タングステンおよびモリブデンなどの酸化物を含有する触媒、なかでもチタン−バナジウム系触媒がよく用いられている。
【0005】
【特許文献1】
特公昭62−57382号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平10−235206号公報
【0007】
【特許文献3】
特公昭62−14339号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の解決しようとする課題は、触媒活性の劣化した使用済みのチタン−バナジウム系の排ガス処理用触媒を粉砕し、得られた粉体を成形することにより、新たに触媒を調製する方法において、初期性能(排ガス処理開始時の触媒活性)に非常に優れ、かつ、その後も長期間触媒活性を高い状態で維持し得る排ガス処理触媒を製造する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その過程において、排ガス処理に使用した触媒の粉体を含み成形に用いる粉体に、無機酸の水溶液および/または有機酸の水溶液を焼成までの過程において添加しておくようにすれば、初期性能をより高くできることに加え、その後も長期間優れた触媒活性を容易に維持させることができることを見出し、上記課題を一挙に解決し得ることを確認して、本発明を完成するに至った。
詳しくは、上記成形に用いる粉体に無機酸の水溶液および/または有機酸の水溶液を加えておくことによって、先の排ガス処理時に付着した被毒成分が上記水溶液に溶解し触媒全体に均一に分散され希釈され得るため、全体として被毒物質の影響を軽減することができ、さらに、凝集したバナジウムの粒子も酸により溶解され再び凝集のない状態で触媒全体に分散されることになるため、得られる触媒は、実質的に新品(未使用品、Fresh品)と同様に、優れた初期性能を示し、かつ、その後長期間触媒活性を維持することもできると考えられる。
【0010】
すなわち、本発明にかかる排ガス処理触媒の製造方法は、
チタン系酸化物およびバナジウム系酸化物を含む触媒の粉体を成形し焼成することによって排ガス処理用触媒を得る方法において、前記粉体としてその少なくとも一部に排ガス処理に使用され活性の劣化した触媒の粉体を用いることとし、かつ、前記焼成までの過程において前記粉体に無機酸および/または有機酸の水溶液を添加しておくことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる排ガス処理触媒の製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
本発明にかかる排ガス処理触媒の製造方法は、チタン系酸化物およびバナジウム系酸化物(以下、「チタン−バナジウム系触媒」と称することがある。)を含む触媒の粉体を成形し焼成することによって排ガス処理用触媒を得る方法において、前記粉体としてその少なくとも一部に排ガス処理に使用され活性の劣化した触媒の粉体を用いることとし、かつ、前記焼成までの過程において前記粉体に無機酸および/または有機酸の水溶液を添加しておくようする。
【0012】
以下、本発明を実施する上での排ガス処理触媒の一般的な製造方法を説明するとともに、本発明の製造方法の特徴である、成形に用いる粉体への無機酸および/または有機酸の水溶液の添加についても詳細に説明する。
本発明の製造方法は、一般的には、排ガス処理に使用し触媒活性の劣化したチタン−バナジウム系触媒を粉砕する粉砕工程と、粉砕により得られた粉体を少なくとも一部用いて成形する成形工程とを備える方法であることが好ましいが、必要に応じて他の工程を備えていてもよい。具体的には、上記成形工程を行い所定の形状の触媒を得た後、さらに、該触媒を焼成する焼成工程を経て、排ガス処理触媒を得る製造方法である。また、焼成工程の前に、所定の温度、所定の時間で乾燥させる乾燥工程を備えていてもよい。
【0013】
粉砕工程において、粉砕の対象となる触媒活性の劣化したチタン−バナジウム系触媒(以下、「劣化触媒」と称することがある。)としては、排ガス処理に使用されたチタン−バナジウム系触媒であればよく、特に限定はされない。
上記排ガス処理における排ガスとしては、例えば、石炭焚ボイラの排ガス、重油焚ボイラの排ガスおよびゴミ焼却炉の排ガス等の一般にダストを多く含む排ガスが挙げられ、具体的には、例えば、窒素酸化物を含む排ガスや有機ハロゲン化合物を含む排ガスが挙げられる。窒素酸化物を含む排ガスを処理する場合は、通常、アンモニア等の還元剤の存在下で、排ガス中の窒素酸化物(NO)を除去処理するようにする。
【0014】
上記劣化触媒としては、具体的には、処理する排ガス中のダストに含まれるアルカリ金属(NaおよびK等)、アルカリ土類金属(CaおよびMg等)および重金属類(Fe、Pb、Zn、As、PおよびSe等)等の被毒成分により、触媒表面がマスキング(詳しくは、触媒の表層部に被毒成分が強固に付着し、例えば細孔を閉塞して排ガスの触媒中でのガス拡散が阻害され、著しく触媒活性が低下すること。)されてなるものであれば、本発明がより有効に適用できるため好ましい。また、250℃以上の高温での排ガス処理に用いられたものも同様に好ましく、より好ましくは300℃以上である。前述したように、高温下の排ガス処理に用いられた触媒においては、活性成分であるバナジウムが凝集粒子化してしまい、触媒活性が低下したものとなるため、本発明が有効に適用できる。
【0015】
劣化触媒において、上記被毒成分であるアルカリ金属、アルカリ土類金属および重金属類の付着量は、ガス流れ方向で分布があるが、例えば、該劣化触媒の重量に対して0.01〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜2重量%、さらに好ましくは0.01〜1重量%である。上記範囲内であれば本発明がより有効に適用できる。
粉砕工程での劣化触媒の粉砕方法としては、特に限定はされないが、例えば、ハンマーミル、ローラミル、ボールミルおよび気流粉砕機などを用いた粉砕方法が採用できる。
【0016】
粉砕により得られた劣化触媒の粉体については、平均粒子径が100μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。平均粒子径が200μmより大きいと、成形後の強度が低下するおそれがある。
粉砕工程において粉砕の対象とする触媒(すなわち、再利用の対象とする触媒)は、前述の通り、チタン系酸化物とバナジウム系酸化物を必須に含むチタン−バナジウム系触媒であるが、上記チタン系酸化物は、チタンを必須金属元素として含む酸化物であり、具体的には、チタンの酸化物(単一酸化物)であっても、チタンと他の金属元素とを含む複合酸化物であってもよい。
【0017】
複合酸化物であるチタン系酸化物としては、例えば、チタニア−シリカ複合酸化物、チタニア−シリカ−ジルコニア複合酸化物、チタニア−ジルコニア複合酸化物、チタニア−アルミナ複合酸化物などが挙げられる。
上記チタン−バナジウム系触媒においては、チタン系酸化物の含有量が、30〜99.9重量%であることが好ましく、より好ましくは50〜99.9重量%、さらに好ましくは70〜99.9重量%であり、バナジウム系酸化物の含有量が、0.1〜25重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.1〜20重量%である。
【0018】
本発明においては、上記チタン−バナジウム系触媒は、チタン系酸化物やバナジウム系酸化物以外の他の金属酸化物を含んでいてもよく、例えば、タングステン、モリブデン、銅、鉄、クロム、マンガン、亜鉛、セリウムおよびスズなどからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含有する酸化物が挙げられる。これらの中でも、タングステン、モリブデンが好適である。
成形工程では、粉砕工程により得られた粉体を少なくとも一部用いて、所望の触媒形状に成形する。
上記成形は、粉砕工程により得られた粉体(必要に応じて成形助剤等の他の成分を含む)を必須とする触媒材料を、押出し成形機などを用いて所望の形状とし、触媒成形材料のみからなる成形体を得るようにする一体成形であってもよいし、また、所望の形状を有する担体(例えば、非吸水性の耐熱基材など)上に、粉砕工程により得られた粉体(必要に応じて成形助剤等の他の成分を含む)を必須とする触媒材料を塗布して、コートする担持成形であってもよい。担持成形の場合に用い得る担体は、通常、担持触媒を得る際に用いられる材質からなるものであれば特に限定はされないが、上記非吸水性の耐熱基材としては、例えば、ステンレス鋼などの金属や、コージェライト、ムライトおよびSiC等のセラミックス、並びに、繊維状セラミックスを紙状素材に抄造したセラミックペーパーなどを、ハニカム状、板状、網状、円柱状、円筒状、波板(コルゲート)状、パイプ状、ドーナツ状、格子状、プレート状(波状プレートを複数積み重ねて隣合うプレート同士の間に空間を設けるようにしてなる形状)あるいは波状等の形状に加工したものを挙げられる。
【0019】
触媒形状については、特に限定はされず、例えば、板状、波板状、網状、ハニカム状、ペレット状、円柱状、円筒状(パイプ状)などの形状が採用できる。粒状や棒状、球状、リング状、円柱状などをなす微小な触媒を成形し、容器に充填したり堆積させたりした状態で使用することもできる。
成形工程においては、劣化触媒を粉砕して得られた粉体を必須として用いて成形するが、この劣化触媒を粉砕して得られた粉体のみを用いて成形することに限らず、例えば、劣化触媒を粉砕して得られた粉体に、未使用触媒(新品触媒、Fresh触媒)を粉砕して得られた粉体を適当な比率で混合し、この混合粉体を成形することであってもよいし、あるいは、劣化触媒を粉砕して得られた粉体や上記混合粉体に、新たな触媒活性成分を添加して成形することであってもよい。未使用触媒の使用や、新たな触媒活性成分の添加等によって、劣化触媒を再利用した触媒であってもより高い触媒活性を有するものを調製できる。
【0020】
劣化触媒の粉体と未使用触媒の粉体との混合粉体を用いて成形する場合の形態としては、特に限定されないが、例えば、次の3つが挙げられる。すなわち、▲1▼劣化触媒の粉体と未使用触媒の粉体とを混合し、成形助剤を加えて混練りし、成形する形態、▲2▼劣化触媒の粉体と、未使用触媒のチタン系酸化物の粉体を混合した後、未使用触媒の活性成分を含む溶液を成形助剤等と共に加えて、混練りし、成形する形態、▲3▼上記▲1▼と▲2▼を組み合わせた方法、すなわち、劣化触媒の粉体と、未使用触媒の担体成分の粉体と、未使用触媒の粉体とを混合した後、未使用触媒の活性成分を含む溶液を成形助剤等と共に加えて、混練りし、成形する形態、である。これら▲1▼〜▲3▼の中でも、▲2▼および▲3▼が好ましい。未使用触媒の活性成分を液状で添加した方が成形性が良いためである。
【0021】
劣化触媒の粉体と未使用触媒の粉体とを混合して成形に用いる場合、この混合粉体中、劣化触媒の粉体の配合割合は、70重量%以下であることが好ましく、より好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下である。
成形工程においては、必要に応じて、触媒成形の材料となる劣化触媒の粉体等に、ガラス繊維や無機および有機のバインダー等の成形助剤などを添加して成形してもよい。これらは、通常触媒成形に使用される配合量の範囲で用いればよい。
本発明の製造方法においては、焼成までの過程において前記粉体(具体的には、前述したように、チタン−バナジウム系の触媒の粉体であって、その少なくとも一部が排ガス処理に使用された触媒の粉体である。)に無機酸および/または有機酸の水溶液を添加しておくようにすることを特徴とする。無機酸および/または有機酸の水溶液を添加しておくことにより、前述した課題を容易に解決できる。
【0022】
無機酸の水溶液としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸およびリン酸等を用いることができる。
有機酸の水溶液としては、例えば、シュウ酸、酢酸およびクエン酸等を用いることができる。また、有機酸の水溶液の場合、焼成した際に分解させることが可能であるためより好適に使用することができる。
無機酸および/または有機酸の水溶液の使用量は、特に限定はされないが、例えば、劣化触媒の粉体量に対して、0.1〜20重量%とすることが好ましく、より好ましくは0.1〜15重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。上記使用量が、0.1重量%未満であると、触媒活性の再生の効果が十分に得られないおそれがあり、20重量%を超えると、無機酸の水溶液を使用した場合は、逆に活性成分を被毒してしまうおそれがあり、有機酸の水溶液を用いた場合は、焼成時の発熱による活性成分のシンタリングや比表面積の低下を招くおそれがある。
【0023】
本発明の製造方法においては、粉砕工程および成形工程の後に、必要に応じて焼成工程を含むようにする。
焼成工程を行う場合、焼成温度は、通常の触媒製造において設定される範囲に設定することができるが、例えば、350〜600℃であることが好ましく、より好ましくは350〜550℃、さらに好ましくは350〜500℃である。焼成温度は、低すぎると、触媒強度が低下するおそれがあり、高すぎると、活性成分のシンタリングや触媒比表面積の低下を引き起こし、触媒活性が低下するおそれがある。
【0024】
成形工程後の成形体について、上記焼成工程を行う前に予め乾燥させておく乾燥工程を行ってもよい。
乾燥条件については特に限定はされず、後の焼成工程の条件等を考慮して適宜設定すればよいが、乾燥温度は、20〜120℃であることが好ましく、より好ましくは20〜100℃、さらに好ましくは20〜80℃である。
本発明の製造方法により得られた排ガス処理触媒は、石炭焚ボイラーや重油焚ボイラーから排出される排ガスや、産業廃棄物や都市廃棄物などを焼却により排出される焼却炉排ガスの処理において好適に用いられる。処理する排ガスの組成については特に制限はないが、前述したように、本発明により得られる排ガス処理触媒は、窒素酸化物を除去する脱硝触媒として、あるいは、有機ハロゲン化合物を除去する有機ハロゲン化合物除去用触媒として、有効に用いることができる。
【0025】
本発明の製造方法により得られた排ガス処理触媒を、有機ハロゲン化合物除去用触媒として用いる場合、処理する排ガスの組成については、有機ハロゲン化合物を含むものであれば特に制限はないが、特にダイオキシン類(ポリハロゲン化ジベンゾダイオキシン、ポリハロゲン化ジベンゾフランおよびポリハロゲン化ビフェニルのうちから選ばれた少なくとも1種)やPCBを含む排ガスが好適である。本発明により得られた排ガス処理触媒を用いて有機ハロゲン化合物を除去するには、排ガスを130〜350℃の温度、好ましくは150〜250℃の温度で、該触媒に接触させ流通させることが望ましい。
【0026】
本発明の製造方法により得られた排ガス処理触媒を、脱硝触媒として用いる場合、該触媒をアンモニアや尿素などの還元剤の存在下で、排ガスと接触させ、排ガス中の窒素酸化物を還元除去するようにする。この際の処理条件については、特に制限はなく、この種の反応に一般的に用いられている処理条件で実施することができる。具体的には、排ガスの種類、性状、要求される窒素酸化物の分解率などを考慮して適宜決定すればよいが、温度は、130〜650℃であることが好ましい。処理時の排ガス温度が130℃より低いと、脱硝効率が低下するおそれがあり、650℃を超えると、活性成分のシンタリングや触媒の比表面積が低下する等の問題が生じるおそれがある。
【0027】
【実施例】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「リットル」を単に「L」と記すことがある。
[参考例1]
市販の酸化チタン粉体(DT−51(商品名)、ミレニアム社製)18.4kgに、メタバナジン酸アンモニウム0.26kgおよびシュウ酸0.31kgを水4Lに溶解させた溶液と、パラタングステン酸アンモニウム1.57kgおよびモノエタノールアミン0.63kgを水3.5Lに溶解させた溶液とを加えてよく混合し、成形助剤と共に適量の水を加えつつ、ニーダーで混錬りした後、押出成形機で外形80mm角、目開き5.0mm、肉厚1.0mm、長さ500mmのハニカム状に成形した。次いで、80℃で乾燥した後、空気雰囲気下450℃で5時間処理し、焼成して触媒A−1を得た。
【0028】
この触媒の組成は、TiO:V:WO:=92:1:7(酸化物換算重量%)であった。
触媒A−1に石炭焚ボイラ排ガスを流通させ、8000時間曝露試験を行った。曝露条件を下記に示す。
曝露条件:
曝露試験に用いるガス組成
=NO:150〜200ppm、O:2〜3%、HO:7〜10%、SO:400〜600ppm、煤塵:5g/Nm、NH/NO(モル比):0.9
温度=380℃
空間速度(STP)=6,000Hr−1
[参考例2]
まず、チタニア−シリカ複合酸化物(Ti−Si複合酸化物)を次のように調製した。すなわち、20重量%アンモニア水200Lにスノーテックス−20(日産化学(株)製シリカゾル、約20重量%のSiO含有)16kgを加え、撹拌、混合した後、硫酸チタニルの硫酸溶液(TiOとして80g/L、硫酸濃度300g/L)300Lを撹拌下で徐々に滴下供給した。得られたゲルを24時間放置した後、ろ過、水洗し、続いて150℃で10時間乾燥した。これを500℃で焼成して得られた粉体の組成は、TiO:SiO=8.5:1.5(モル比)であった。
【0029】
次に、上記Ti−Si複合酸化物18.4kgに、メタバナジン酸アンモニウム0.26kgおよびシュウ酸0.31kgを水5Lに溶解させた溶液と、パラモリブデン酸アンモニウム1.57kgおよびモノエタノールアミン0.63kgを水6Lに溶解させた溶液とを加えてよく混合し、成形助剤と共に適量の水を加えつつ、ニーダーで混錬りした後、押出成形機で外形80mm角、目開き5.0mm、肉厚1.0mm、長さ500mmのハニカム状に成形した。次いで、80℃で乾燥した後、450℃で5時間空気雰囲気下、焼成して触媒B−1を得た。
【0030】
この触媒の組成は、Ti−Si複合酸化物:V:WO=92:1:7(酸化物換算重量%)であった。
触媒B−1に石炭焚ボイラ排ガスを流通させ、8000時間曝露試験を行った。曝露条件は、参考例1と同様である。
[実施例1]
参考例1における曝露試験後の触媒A−1をハンマーミルを用いて粉砕し、平均粒子径20μmの粉体を得た。この粉体20kgに、シュウ酸0.5kgを水6.5Lに溶解させた溶液を加えてよく混合し、成形助剤と適量の水を加えつつニーダーで混錬りした後、押出成形機で外形80mm角、目開き4.0mm、肉厚1.0mm、長さ500mmのハニカム状に成形した。次いで、80℃で乾燥した後、空気雰囲気下450℃で5時間処理し、焼成して再生触媒A−2を得た。
【0031】
この触媒の組成は、TiO:V:WO:=92:1:7(酸化物換算重量%)であった。
[実施例2]
実施例1において、参考例1における曝露試験後の触媒A−1の代わりに、参考例2における曝露試験後の触媒B−1を用いた以外は、実施例1と同様にして、触媒B−2を得た。
この触媒の組成は、Ti−Si複合酸化物:V:WO=92:1:7(酸化物換算重量%)であった。
【0032】
[実施例3]
参考例1における曝露試験後の触媒A−1をハンマーミルにより粉砕して得られた粉体8kgと、市販の酸化チタン粉体11.04kgとを、ニーダーで撹拌し、混合粉体を得た。この混合粉体に、メタバナジン酸アンモニウム0.12kgおよびシュウ酸0.144kgを水3Lに溶解させた溶液と、パラタングステン酸アンモニウム0.84kgおよびモノエタノールアミン0.336kgを水2Lに溶解させた溶液とを加えてよく混合し、さらに、シュウ酸0.5kgを1.5Lの水に溶解させた溶液も加えてよく混合し、成形助剤と共に適量の水を加えつつ、ニーダーで混錬りした後、押出成形機で外形80mm角、目開き5.0mm、肉厚1.0mm、長さ500mmのハニカム状に成形した。次いで、80℃で乾燥した後、空気雰囲気下450℃で5時間処理し、焼成して触媒A−3を得た。
【0033】
この触媒の組成は、TiO:V:WO:=92:1:7(酸化物換算重量%)であった。
[実施例4]
実施例3において、参考例1における曝露試験後の触媒A−1の代わりに、参考例2における曝露試験後の触媒B−1を用いた以外は、実施例3と同様にして、触媒B−3を得た。
この触媒の組成は、Ti−Si複合酸化物:V:WO=92:1:7(酸化物換算重量%)であった。
【0034】
[比較例1]
実施例1において、シュウ酸を加えないようにした以外は、実施例1と同様にして、触媒A−4を得た。
この触媒の組成は、TiO:V:WO:=92:1:7(酸化物換算重量%)であった。
[比較例2]
実施例2において、シュウ酸を加えないようにした以外は、実施例2と同様にして、触媒B−4を得た。
【0035】
この触媒の組成は、Ti−Si複合酸化物:V:WO=92:1:7(酸化物換算重量%)であった。
<窒素酸化物の分解除去処理>
調製した触媒A−1、A−2、A−3、A−4、B−1、B−2、B−3およびB−4に、窒素酸化物(NO)を含有するガスを下記の処理条件で流通させて、NOの分解除去処理を行い、初期性能としての脱硝率を測定した。また、石炭焚ボイラ排ガスによる暴露試験を実施した上記各触媒(曝露3000時間後と曝露8000時間後のもの)についても、同様に、下記の処理条件で脱硝率を測定し、長期間使用後の触媒活性を確認した。これらの結果を表1に示す。
【0036】
処理条件:
処理対象となるガス組成
=NO:200ppm、SO:400ppm、O:2%、HO:10%、N:バランス、NH/NO(モル比):1.0
ガス温度=380℃
空間速度(STP)=16,000Hr−1
脱硝率(NO除去率)算出式:
脱硝率(%)=
〔{(反応器入口NO濃度)−(反応器出口NO濃度)}
/(反応器入口NO濃度)〕×100
【0037】
【表1】
Figure 2004209355
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、触媒活性の劣化した使用済みのチタン−バナジウム系の排ガス処理用触媒を粉砕し、得られた粉体を成形することにより、新たに触媒を調製する方法において、初期性能(排ガス処理開始時の触媒活性)に非常に優れ、かつ、その後も長期間触媒活性を高い状態で維持し得る排ガス処理触媒を製造する方法を提供することができる。

Claims (3)

  1. チタン系酸化物およびバナジウム系酸化物を含む触媒の粉体を成形し焼成することによって排ガス処理用触媒を得る方法において、
    前記粉体としてその少なくとも一部に排ガス処理に使用され活性の劣化した触媒の粉体を用いることとし、かつ、前記焼成までの過程において前記粉体に無機酸および/または有機酸の水溶液を添加しておく、
    ことを特徴とする、排ガス処理用触媒の製造方法。
  2. 前記触媒が脱硝触媒である、請求項1に記載の排ガス処理用触媒の製造方法。
  3. 前記触媒が有機ハロゲン化合物分解触媒である、請求項1に記載の排ガス処理用触媒の製造方法。
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