JP2004207854A - 非放射性誘電体線路用のパルス変調器およびそれを用いたミリ波送受信器 - Google Patents
非放射性誘電体線路用のパルス変調器およびそれを用いたミリ波送受信器 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】パルス変調させる周波数やパルス変調用スイッチの動作周波数を簡易な構成でもって制御して、発振周波数とパルス変調させる周波数とを容易に整合させることができ、その結果、良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、ミリ波レーダー等に適用した際に正確な探知が可能となるものとすること。
【解決手段】非放射性誘電体線路用のパルス変調器において、ショットキーバリアダイオード7のモードサプレッサ1bと反対側に、ショットキーバリアダイオード7に対向する面を有する金属部材8が近接配置されている。
【選択図】 図1
【解決手段】非放射性誘電体線路用のパルス変調器において、ショットキーバリアダイオード7のモードサプレッサ1bと反対側に、ショットキーバリアダイオード7に対向する面を有する金属部材8が近接配置されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非放射性誘電体線路型のミリ波集積回路,ミリ波レーダーモジュール等に組み込まれ、ミリ波信号をスイッチング制御またはASK(Amplituted Shift Keying)変調させるパルス変調器、およびそれを用いた非放射性誘電体線路構造のミリ波送受信器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、マイクロ波やミリ波の高周波信号を伝送させるためには金属導波管が多く用いられてきたが、近年のモジュール小型化の要求により、誘電体線路を用いたモジュールが開発されている。中でも、伝送損失の少ない非放射性誘電体線路(Nonradiative Dielectric Waveguideで、以下、NRDガイドという)が注目されている。NRDガイドの基本構成を図3に示す。同図に示すように、所定の間隔aでもって平行配置された平行平板導体11、12の間に、断面が長方形等の矩形状の誘電体線路13を配置した構成であり、この間隔aが高周波信号の波長λに対してa≦λ/2であれば、外部から誘電体線路13へのノイズの侵入をなくしかつ外部への高周波信号の放射をなくして、誘電体線路13中で高周波信号を伝搬させることができる。なお、波長λは使用周波数における空気中(自由空間)での波長である。
【0003】
このようなNRDガイドに組み込まれるパルス変調器の従来例の斜視図を図4(a)に、上方から見た時の平面図を図4(b)に示す(下記の非特許文献1参照)。同図のように、サーキュレータ(circulatorで、以下、CLTともいう)とショットキーバリアダイオード(以下、SBDともいう)とを使用することで、高周波信号の振幅変調またはスイッチング機能をもたせたミリ波送受信器やミリ波レーダ等が開発されている。
【0004】
同図において、20a、20b、20cはテフロン、ポリスチレン等の誘電体線路からなるLSE(Longitudinal Section Electric)モードの電磁波を遮断するモードサプレッサ、21は周囲にモードサプレッサ20a、20b、20cが120°の間隔で放射状に配置されるCLT用の2枚のフェライト円板、22はモードサプレッサ20の内部に配置され、銅箔等からなるストリップ線路導体であり、電界が平行平板導体の主面に垂直方向であるLSEモードの電磁波を遮断する。また、ストリップ導体線路22はTEM(Transverse ElectroMagnetic)モードを除去するためにλ/4チョークパターンが施されている。
【0005】
また、モードサプレッサ20bのフェライト円板と反対側の他端には、所定の空隙を設けて、テフロン、ポリスチレン等の誘電体線路23aが配置され、さらにアルミナ等の誘電体線路とは誘電率の異なる誘電体シート24が配置されている。
【0006】
そして、誘電体シート24の後方には、銅箔等からなるストリップ線路導体25がプリントされ、チョーク型バイアス供給線路構造のストリップ線路導体25の中途にショットキーバリアダイオード26が実装された誘電体配線基板27が配置される。また、誘電体配線基板27の後方には、テフロン、ポリスチレン等の誘電体線路23bが配置されている。
【0007】
そして、モードサプレッサ20a中を伝搬してきた高周波信号(電磁波)は、フェライト円版21によって波面が時計方向(または反時計方向)に回転されモードサプレッサ20bへ伝搬され、モードサプレッサ20cへは伝搬しない。そして、モードサプレッサ20bを伝搬した電磁波は、その先の誘電体配線基板27上のSBD26において、SBD26に順方向にバイアス電圧をかけたとき(順方向電流を入力したとき)はほとんど吸収され、逆方向にバイアス電圧をかけたとき(順方向電流を流さないとき)は反射される。
【0008】
SBD26で反射された電磁波は、再びモードサプレッサ20b中を伝搬し、フェライト円板21によって波面が時計方向に回転されモードサプレッサ20cへ伝搬される。このようにして、SBD26に順方向か逆方向のバイアス電圧を印加することにより、高周波信号にスイッチング制御またはASK変調を施すことができる。なお、振幅変調の度合いを大きくすると、スイッチング制御することとなる。
【0009】
【非特許文献1】
Futoshi Kuroki,Masayuki Sugioka,Shinji Matsukawa,Kengo Ikeda,and T.Yoneyama、“High−Speed ASK Transceiver Based on the NRD−Guide Technology at 60−GHzBand”、IEEE Transaction on Microwave Theory and Techniques,USA、IEEE、JUNE 1998、VOL.46、NO.6、pp806−810
【特許文献1】
特開2002−232212号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のNRDガイド用のパルス変調器では、所望の周波数で動作させるために、モードサプレッサ20bと誘電体線路23aとの空隙、誘電体線路23a、23bの長さ、誘電体シート24の厚みでインピーダンスの整合をとっており、それらの位置ずれや加工精度が低いと動作周波数がずれ、所望の周波数でのASK変調の特性が劣化していた。即ち、それらの加工精度および位置決め精度の管理が難しく、また、組み立ての再現性が低く、製造の作業性が悪くなるため、信頼性の高いものとならず、量産にも向かないという問題点があった。
【0011】
さらに、従来のパルス変調器では、図4(b)のように、SBD26が実装された誘電体配線基板27を誘電体シート24と誘電体線路23bで挟む構成になっており、このため組立作業時にSBD26に誘電体線路23bが接触し、SBD26を破損するという問題点があった。
【0012】
そこで、本出願人は、誘電体線路23bがなく、また誘電体シート24やモードサプレッサ20bと誘電体線路23aとの間に空隙を設けない構成のものを提案した(特許文献1参照)。
【0013】
しかしながら、パルス変調器を用いてミリ波レーダーモジュール等のミリ波送受信器を一旦構成すると、パルス変調させる周波数帯域が固定されるのに対して、ミリ波レーダーモジュールに組み込まれる電圧制御発振器(Voltage Control Oscillator:VCO)やガンダイオード等の高周波発生素子の周波数にバラツキがあるため、発振周波数とパルス変調させる周波数とを整合させることができない場合があった。
【0014】
このようなパルス変調器を備えたミリ波送受信器では、ASK変調が不十分なため、ミリ波信号のアイソレーション特性が劣化して、ミリ波レーダー等に適用した際に正確な探知が困難になるという問題点があった。
【0015】
従って、本発明は上記事情に鑑みて完成されたものであり、その目的は、パルス変調させる周波数やパルス変調用スイッチの動作周波数を簡易な構成でもって制御して、発振周波数とパルス変調させる周波数とを容易に整合させることができ、その結果、良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、ミリ波レーダー等に適用した際に正確な探知が可能となるものとすることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の非放射性誘電体線路用のパルス変調器は、高周波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体間に、該平行平板導体のそれぞれの内面に互いに対向させて設置された2枚のフェライト板の周縁に略放射状に複数配置された、LSMモードの電磁波を伝送するとともにLSEモードの電磁波を遮断する誘電体線路からなるモードサプレッサと、該モードサプレッサの一方の端面に設置されたインピーダンス整合部材とからなるサーキュレータが設けられており、誘電体配線基板上のチョーク型バイアス供給線路の中途にショットキーバリアダイオードを接続したパルス変調用スイッチの前記ショットキーバリアダイオードを、前記複数のモードサプレッサのうちの一つの他方の端面に対向させるとともに、前記ショットキーバリアダイオードのバイアス電圧印加方向が前記LSMモードの電磁波の電界方向に合致するように設置した非放射性誘電体線路用のパルス変調器において、前記ショットキーバリアダイオードの前記モードサプレッサと反対側に、前記ショットキーバリアダイオードに対向する面を有する金属部材が近接配置されていることを特徴とする。
【0017】
本発明のパルス変調器は、ショットキーバリアダイオードのモードサプレッサと反対側に、ショットキーバリアダイオードに対向する面を有する金属部材が近接配置されていることから、パルス変調させる周波数やパルス変調用スイッチの動作周波数を簡易な構成でもって制御して、発振周波数とパルス変調させる周波数とを容易に整合させることができる。即ち、モードサプレッサを伝搬してショットキーバリアダイオードに達した高周波信号(電磁波)にはショットキーバリアダイオードの外側まで分布する成分が存在する。そこで、電磁波に対して金属壁となる金属部材をショットキーバリアダイオード近傍まで近づけることでショットキーバリアダイオードの部位で電界強度(電界振幅)が最大となるように、ショットキーバリアダイオードと金属部材との間の間隔を調整することができ、その結果、ショットキーバリアダイオードに順方向にバイアス電圧をかけたとき(順方向電流を入力したとき)は高周波信号は効果的に吸収され、逆方向にバイアス電圧をかけたとき(順方向電流を流さないとき)は高周波信号が効果的に反射されることとなる。
【0018】
その結果、良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、ミリ波レーダー等に適用した際に正確な探知が可能となるものとなる。
【0019】
また、従来のような空隙や誘電体シートを用いずにパルス変調器を所望の周波数で動作させるためのインピーダンスの整合が可能となり、さらにはパルス変調器をミリ波レーダー等に組み込んだ後に、ネジ状の金属柱等から成る金属部材を筐体や容器の壁部の貫通孔より挿入しその突出長さを調整することによってパルス変調用スイッチの動作周波数を所望の値に再現性良く安定して制御することができる。
【0020】
本発明のパルス変調器において、好ましくは、前記金属部材は、金属柱から成り、一端面を前記ショットキーバリアダイオードに対向するように近接配置されていることを特徴とする。
【0021】
本発明のパルス変調器は、好ましくは金属部材は金属柱から成り、一端面をショットキーバリアダイオードに対向させて近接配置されていることから、金属部材の一端面とショットキーバリアダイオードとの間の間隔を調整することにより、きわめて容易にパルス変調用スイッチの動作周波数を制御することができる。この金属部材をネジ状の金属柱とすれば、そのネジ込み長さを微妙に調整することでパルス変調用スイッチの動作周波数を高い精度で制御することができる。
【0022】
本発明のパルス変調器において、好ましくは、前記モードサプレッサと前記パルス変調用スイッチとの間に、前記モードサプレッサと略同じ幅の中間誘電体線路が介装されていることを特徴とする。
【0023】
本発明のパルス変調器は、好ましくはモードサプレッサとパルス変調用スイッチとの間に、モードサプレッサと略同じ幅の中間誘電体線路が介装されていることから、中間誘電体線路の長さや誘電率および金属部材によってパルス変調用スイッチの動作周波数を制御でき、制御可能な周波数幅が広がるという作用効果を有する。
【0024】
本発明のミリ波送受信器は、
送信用のミリ波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体間に、
高周波発生素子から出力され周波数変調されたミリ波信号を伝搬させる第1の誘電体線路と、
該第1の誘電体線路に付設され、前記高周波発生素子から出力された高周波信号を周期的に周波数変調してミリ波信号として出力し前記第1の誘電体線路中を伝搬させるミリ波信号発振部と、
前記第1の誘電体線路に一端側が電磁結合するように近接配置されるかまたは前記第1の誘電体線路に一端が接合されて、前記ミリ波信号の一部をミキサー側へ伝搬させる第2の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第1の接続部,第2の接続部および第3の接続部を有する第1のサーキュレータであって、前記第1の誘電体線路の前記ミリ波信号の出力端に前記第1の接続部が接続される第1のサーキュレータと、
該第1のサーキュレータの前記第2の接続部に一端が接続され、前記ミリ波信号をパルス変調するショットキーバリアダイオードが他端に接続された第3の誘電体線路と、
前記第1のサーキュレータの前記第3の接続部に一端が接続された第4の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第4の接続部,第5の接続部および第6の接続部を有する第2のサーキュレータであって、前記第4の接続部に前記第4の誘電体線路の他端が接続された第2のサーキュレータと、
該第2のサーキュレータの前記第5の接続部に一端が接続され、ミリ波信号を伝搬させるとともに先端部に送受信アンテナを有する第5の誘電体線路と、
前記送受信アンテナで受信され前記第5の誘電体線路を伝搬して前記第2のサーキュレータの前記第6の接続部より出力した受信波をミキサー側へ伝搬させる第6の誘電体線路と、
前記第2の誘電体線路の中途と前記第6の誘電体線路の中途とを近接させて電磁結合させるかまたは接合させて成り、ミリ波信号の一部と受信波とを混合させて中間周波信号を発生させるミキサーと
を具備しており、
前記第1および第2のサーキュレータが本発明のパルス変調器を構成していることを特徴とする。
【0025】
本発明のミリ波送受信器は、上記の構成により、ミリ波信号の良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、ミリ波レーダー等に適用した際に正確な探知が可能なものとなる。
【0026】
また、本発明のミリ波送受信器は、
送信用のミリ波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体間に、
高周波発生素子から出力され周波数変調されたミリ波信号を伝搬させる第1の誘電体線路と、
該第1の誘電体線路に付設され、前記高周波発生素子から出力された高周波信号を周期的に周波数変調して送信用のミリ波信号として出力し前記第1の誘電体線路中を伝搬させるミリ波信号発振部と、
前記第1の誘電体線路に一端側が電磁結合するように近接配置されるかまたは前記第1の誘電体線路に一端が接合されて、前記ミリ波信号の一部をミキサー側へ伝搬させる第2の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第1の接続部,第2の接続部および第3の接続部を有する第1のサーキュレータであって、前記第1の誘電体線路の前記ミリ波信号の出力端に前記第1の接続部が接続される第1のサーキュレータと、
該第1のサーキュレータの第2の接続部に一端が接続され、前記ミリ波信号のパルス変調を行なうショットキーバリアダイオードが他端に接続された第3の誘電体線路と、
前記第1のサーキュレータの前記第3の接続部に一端が接続され、ミリ波信号を伝搬させるとともに先端部に送信アンテナを有する第4の誘電体線路と、
先端部に受信アンテナ、他端部にミキサーが各々設けられた第5の誘電体線路と、
前記第2の誘電体線路の中途と前記第5の誘電体線路の中途とを近接させて電磁結合させるかまたは接合させて成り、ミリ波信号の一部と受信波とを混合させて中間周波信号を発生させるミキサーとを具備しており、
前記第1のサーキュレータが請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のパルス変調器を構成していることを特徴とする。
【0027】
本発明のミリ波送受信器は、上記の構成により、ミリ波信号の良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、ミリ波レーダー等に適用した際に正確な探知が可能なものとなるとともに、送信アンテナと受信アンテナとが独立していることから、送信アンテナで受信されて混入した受信波がミキサーへ混入することがなく、ノイズが低減されてより正確な探知が可能なものとなる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明のNRDガイド用のパルス変調器、およびそれを用いたミリ波送受信器としてのミリ波レーダーモジュールについて以下に説明する。図1(a)は本発明のパルス変調器の透視斜視図、図1(b)は本発明のパルス変調器を上方から見た平面図である。なお、両図とも平行平板導体は省略してある。
【0029】
同図において、CLTのアイソレーションを向上させるためにLSEモードの電磁波を遮断するモードサプレッサ1a、1b、1cが設けられている。モードサプレッサ1a〜1cの内部にはTEMモードを除去するためにλ/4チョークパターンからなるCu製のストリップ線路導体3が設けられており、モードサプレッサ1a〜1cの先端には誘電体板から成るインピーダンス整合部材4を設けている。CLT用の1対のフェライト円板2の周囲には、モードサプレッサ1a〜1cが120°の間隔で放射状に配置されている。フェライト円板2の上方および下方の平行平板導体の外面には、フェライト円板2をCLTとして作動させるための磁石が配置される。
【0030】
CLTでは、モードサプレッサ1a中を伝搬してきた電磁波は、フェライト円板2によって波面が時計方向(または反時計方向)に回転されモードサプレッサ1bへ伝搬され、モードサプレッサ1cへは伝搬しない。同様に、モードサプレッサ1b中を伝搬してきた電磁波は、モードサプレッサ1cへ伝搬される。このようにして、電磁波の伝搬路が変換される。フェライト円板2の主面に略垂直に印加される直流磁界のS極とN極の位置を逆にすると、高周波信号の波面の回転方向も逆転することは言うまでもない。
【0031】
本発明において、モードサプレッサ1bの端部にミリ波信号をパルス変調(振幅変調またはスイッチング制御)するSBDを設けたパルス変調用スイッチとしての配線基板が設けられている。この配線基板を図2に示す。例えば、配線基板5の一主面にチョーク型バイアス供給線路6を形成し、その中途にフリップチップ実装、バンプ実装あるいはハンダ実装されたSBD7を設けたものである。SBD7のバイアス電圧をオン−オフすることにより、ミリ波信号をオン−オフ制御(スイッチング制御)してパルス化することができる。
【0032】
本発明においては、SBD7のモードサプレッサ1bと反対側に、SBD7に対向する面を有する金属部材8が近接配置されている。SBD7と金属部材8との間の間隔dを変化させることで、容易にインピーダンス整合がとれ、所望の周波数でASK変調を行うことが可能となる。
【0033】
即ち、モードサプレッサ1bを伝搬してSBD7に達した高周波信号(電磁波)にはSBD7の外側まで分布する成分が存在する。そこで、電磁波に対して金属壁となる金属部材8をSBD7近傍まで近づけることで、SBD7の部位で電界強度(電界振幅)が最大となるように間隔dを調整することができ、その結果、SBD7に順方向にバイアス電圧をかけたとき(順方向電流を入力したとき)は高周波信号は効果的に吸収され、逆方向にバイアス電圧をかけたとき(順方向電流を流さないとき)は高周波信号が効果的に反射されることとなる。
【0034】
このとき、間隔dを自在に調整可能なように金属部材8を平行平板導体に固定したり、平行平板導体に穴をあけて外部より金属部材を間隔dを自在に調整可能なように挿通固定する構成等が採用できる。
【0035】
本発明において、金属部材8は金属柱から成り、一端面をSBD7に対向させて近接配置されていることが好ましい。例えば、図5、図6に示すように、ミリ波レーダーモジュールを成す筐体の側壁9に貫通孔をあけて、ピン状等の金属柱から成る金属部材8を貫通孔に挿通固定する構成とし、種々の長さの金属部材8を設けることによって所望の周波数でのASK変調が可能となる。また、また、筐体の側壁9に内周面にネジ切りが形成された貫通孔を形成し、その貫通孔にネジ状の金属部材8をネジ込む構成とし、金属部材8のネジ込み長さを調整することにより、所望の周波数でのASK変調が可能となる。
【0036】
金属部材8の形状は、円柱状、角柱状、ネジ状等の種々の形状とし得るが、ミリ波レーダーモジュールの作製後に間隔dを高い精度で維持するためには、一端面を平滑処理した円柱状のものがよい。
【0037】
本発明の金属部材8は、Cu,Al,Fe,Ni,Ag,Au,Pt,ステンレススチール(SUS)、真鍮(Cu−Zn合金)、Fe−Ni合金、Fe−Ni−Co合金等の金属や合金から成る。
【0038】
また、金属部材8とSBD7との間の間隔dは0.1〜4.0mm程度がよく、0.1mm未満では、金属部材8とSBD7とが接触しやすくなる。4.0mmを超えると、インピーダンス整合を効果的に行なうことが難しくなるとともにミリ波モジュールが大型化することとなる。
【0039】
本発明において、2枚の同一形状のフェライト円板2は平行平板導体のそれぞれの内面に対してその主面が平行にかつ同心状に対向配置されるが、平行平板導体の内面にそれらの主面が接していてもよく、また平行平板導体の内面から所定の間隔をあけて設置してもよい。なお、図1のものは、2枚のフェライト円板2の主面とモードサプレッサ1の主面とは面一とされ、それらは平行平板導体の内面に接した状態である。
【0040】
なお、上記フェライト円板2の代わりに正多角形のフェライト板を用いてもよく、その場合接続される誘電体線路の本数をn本(nは2以上の整数)とすると、その平面形状は正m角形(mは3以上の整数)である。なお、フェライト円板2の主面に対して、平行平板導体の外側から直流磁界を印加する磁石、電磁石等を設けることにより、フェライト円板2はCLTとして機能する。
【0041】
本発明において、モードサプレッサ1bとパルス変調用スイッチSpとの間にモードサプレッサ1bと略同じ幅の中間誘電体線路を介装してもよく、中間誘電体線路の誘電率や長さを調整することによりパルス変調用スイッチSpの動作周波数等を制御することができる。
【0042】
モードサプレッサ1b、誘電体線路および中間誘電体線路の材料は、テフロン,ポリスチレン等の樹脂、または低比誘電率のコーディエライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)セラミックス,アルミナ(Al2O3)セラミックス,ガラスセラミックス等のセラミックスが好ましく、これらは高周波帯域において低損失である。
【0043】
本発明でいう高周波帯域は、数10〜数100GHz帯域のマイクロ波帯域およびミリ波帯域に相当し、例えば30GHz以上、特に50GHz以上、更には70GHz以上の高周波帯域が好適である。
【0044】
本発明のNRDガイド用の平行平板導体は、高い電気伝導度および加工性等の点で、Cu,Al,Fe,Ag,Au,Pt,SUS(ステンレススチール),真鍮(Cu−Zn合金)等の導体板、あるいはセラミックス,樹脂等から成る絶縁板の表面にこれらの導体層を形成したものでもよい。
【0045】
また、本発明のNRDガイドは、高周波発生素子としてVCOやガンダイオード等の高周波ダイオードを組み込むことによって、無線LAN,自動車のミリ波レーダー等に使用されるものであり、例えば自動車の周囲の障害物および他の自動車に対しミリ波を照射し、反射波を元のミリ波と合成して中間周波信号を得、この中間周波信号を分析することにより障害物および他の自動車までの距離、それらの移動速度等が測定できる。
【0046】
かくして、本発明のNRDガイド用のパルス変調器は、高周波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体間に、平行平板導体のそれぞれの内面に互いに対向させて設置された2枚のフェライト板の周縁に略放射状に複数配置された、LSMモードの電磁波を伝送するとともにLSEモードの電磁波を遮断する誘電体線路からなるモードサプレッサ1a〜1cと、モードサプレッサ1a〜1cの一方の端面に設置されたインピーダンス整合部材4とからなるCLTが設けられており、誘電体配線基板上のチョーク型バイアス供給線路6の中途にSBD7を接続したパルス変調用スイッチSpのSBD7を、複数のモードサプレッサ1a〜1cのうちの一つ(モードサプレッサ1b)の他方の端面に対向させるとともに、SBD7のバイアス電圧印加方向がLSMモードの電磁波の電界方向に合致するように設置したものにおいて、SBD7のモードサプレッサ1bと反対側に、SBD7に対向する面を有する金属部材8が近接配置されている構成である。これにより、パルス変調させる周波数やパルス変調用スイッチSpの動作周波数を簡易な構成でもって制御して、発振周波数とパルス変調させる周波数とを容易に整合させることができる。その結果、良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、ミリ波レーダー等に適用した際に正確な探知が可能となる。
【0047】
次に、本発明のミリ波送受信器としてのミリ波レーダーモジュールについて以下に説明する。
【0048】
図5〜図8は本発明のミリ波レーダーモジュールを示すものであり、図5は送信アンテナと受信アンテナが一体化されたものの平面図、図6は送信アンテナと受信アンテナが独立したものの平面図、図7はミリ波信号発振部の斜視図、図8はミリ波信号発振部用の可変容量ダイオード(バラクタダイオード)を設けた配線基板の斜視図である。
【0049】
図5のミリ波レーダーモジュールは、送信用のミリ波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置された平行平板導体(他方は省略する)51間に高周波発生素子から出力され周波数変調されたミリ波信号を伝搬させる第1の誘電体線路53と、第1の誘電体線路53に付設され、ミリ波信号を周期的に周波数変調して送信用のミリ波信号として出力し、第1の誘電体線路53中を伝搬させるミリ波信号発振部52と、第1の誘電体線路53に一端側が電磁結合するように近接配置されるかまたは第1の誘電体線路53に一端が接合されて、ミリ波信号の一部をミキサー62側へ伝搬させる第2の誘電体線路61とが設けられている。
【0050】
また、平行平板導体51間に、平行平板導体51に平行に対向配置された2枚のフェライト板55aの周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれミリ波信号の入出力端とされた第1の接続部55a1、第2の接続部55a2および第3の接続部55a3を有する第1のCLTAであって、第1の誘電体線路53のミリ波信号の出力端にモードサプレッサ54aを介して第1の接続部55a1が接続される第1のCLTAと、第1のCLTAの第2の接続部55a2にモードサプレッサ54bを介して一端が接続され、ミリ波信号をパルス変調するSBD7が他端に接続された第3の誘電体線路56と、第1のCLTAの第3の接続部55a3に一端が接続された第4の誘電体線路54cとが設けられている。
【0051】
また、平行平板導体51間に、平行平板導体51に平行に対向配置された2枚のフェライト板55bの周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれミリ波信号の入出力端とされた第4の接続部55b1、第5の接続部55b2および第6の接続部55b3を有する第2のCLTBであって、第4の誘電体線路54cのミリ波信号の出力端に第4の接続部55b1が接続される第2のCLTBと、第2のCLTBの第5の接続部55b2に一端がモードサプレッサ54dを介して接続され、ミリ波信号を伝搬させるとともに先端部に送受信アンテナ59aを有する第5の誘電体線路59と、送受信アンテナ59aで受信され第5の誘電体線路59を伝搬して第2のCLTの第6の接続部55b3に一端が接続されたモードサプレッサ54eを介して出力した受信波をミキサー62側へ伝搬させる第6の誘電体線路60と、第2の誘電体線路61の中途と第6の誘電体線路60の中途とを近接させて電磁結合させるかまたは接合させてなり、ミリ波信号の一部と受信波とを混合させて中間周波数信号を発生させるミキサー62とが設けられている。
【0052】
なお、図中M1は中間周波数信号を発生させるミキサー部、61aは、第2の誘電体線路61のミキサー62と反対側の端部に設けられた無反射終端部(ターミネータ)である。
【0053】
第1の誘電体線路53の一端に設けられた電圧制御型のミリ波信号発振部52は、バイアス電圧印加方向が高周波信号の電界方向に合致するように、第1の誘電体線路53の高周波ダイオード(高周波発生素子)近傍に配置された可変容量ダイオードのバイアス電圧を周期的に制御して、三角波、正弦波等とすることにより、周波数変調した送信用のミリ波信号として出力する。なお、高周波ダイオードと可変容量ダイオードとの組み合わせと同等の機能を有するVCOをミリ波信号発振部52として用いてもよい。
【0054】
図5において、54a,54b,54c,54d,54eはモードサプレッサである。また、57はミリ波信号をパルス変調するSBD7が設けられた配線基板(パルス変調用スイッチSp)である。例えば、配線基板5の一主面にチョーク型バイアス供給線路6を形成し、その中途にフリップチップ実装、バンプ実装またはハンダ実装されたSBD7を設けたスイッチである。そして、SBD7のバイアス電圧をオン−オフすることにより、ミリ波信号をオフ−オン制御(スイッチング制御)することによりパルス化することができる。
【0055】
また、送受信アンテナ59aは、第5の誘電体線路59の先端をテーパー状とすることにより設けられる。または、送受信アンテナ59aは、平行平板導体51に開口を設け、平行平板導体51の外面にその開口に金属導波管を介してホーンアンテナ等のアンテナを接続した構成のものでもよい。
【0056】
第4の誘電体線路54cは接続用誘電体線路であり、その略全体がモードサプレッサとなっている。
【0057】
なお、高周波発生素子を第1の誘電体線路53ではなく、第2の誘電体線路61に付設し、電磁結合により第1の誘電体線路53にミリ波信号を伝達させる構成としてもよく、図5のものと同様の機能を有するものとなる。
【0058】
また、本発明のミリ波レーダーモジュールの実施の形態の他の例として、送信アンテナと受信アンテナを独立させた図6のタイプがある。
【0059】
図6のミリ波レーダーモジュールは、送信用のミリ波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置された平行平板導体(他方は省略する)65間に、高周波発生素子から出力され周波数変調されたミリ波信号を伝搬させる第1の誘電体線路67と、第1の誘電体線路67に付設され、ミリ波信号を周期的に周波数変調して送信用のミリ波信号として出力し、第1の誘電体線路67中を伝搬させるミリ波信号発振部66と、第1の誘電体線路67に一端側が電磁結合するように近接配置されるかまたは第1の誘電体線路67に一端が接合されて、ミリ波信号の一部をミキサー76側へ伝搬させる第2の誘電体線路69とが設けられている。
【0060】
また、平行平板導体65間に、平行平板導体65に平行に対向配置された2枚のフェライト板70aの周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれミリ波信号の入出力端とされた第1の接続部70a1、第2の接続部70a2および第3の接続部70a3を有するCLTであって、第1の誘電体線路67のミリ波信号の出力端にモードサプレッサ68aを介して第1の接続部70a1が接続されるCLTと、CLTの第2の接続部70a2に一端がモードサプレッサ68bを介して接続され、ミリ波信号をパルス変調するSBD7が他端に接続された第3の誘電体線路71と、CLTの第3の接続部70a3にモードサプレッサ68cを介して一端が接続され、ミリ波信号を伝搬させるとともに先端部に送信アンテナ73aを有する第4の誘電体線路73と、先端部に受信アンテナ75a、他端部にミキサー76が各々設けられた第5の誘電体線路75と、第2の誘電体線路69の中途と第5の誘電体線路75の中途とを近接させて電磁結合させるかまたは接合させてなり、ミリ波信号の一部と受信波とを混合させて中間周波数信号を発生させるミキサー76とが設けられている。
【0061】
なお、図中M2は中間周波数信号を発生させるミキサー部、69aは、第2の誘電体線路69のミキサー76と反対側の端部に設けられた無反射終端部である。
【0062】
第1の誘電体線路67の一端に設けられた電圧制御型のミリ波信号発振部66は、バイアス電圧印加方向が高周波信号の電界方向に合致するように、第1の誘電体線路67の高周波ダイオード近傍に配置された可変容量ダイオードのバイアス電圧を周期的に制御して、三角波、正弦波等とすることにより、周波数変調した送信用のミリ波信号として出力する。なお、高周波ダイオードと可変容量ダイオードとの組み合わせと同等の機能を有するVCOをミリ波信号発振部66として用いてもよい。
【0063】
図6において、68a,68b,68cはモードサプレッサである。また、77はミリ波信号をパルス変調するSBD7が設けられた配線基板であり、図3のような構成であり、図5の場合と同様のものである。
【0064】
また、送信アンテナ73a、受信アンテナ75aは、第4の誘電体線路73、第5の誘電体線路75の先端をテーパー状とすることにより設けられる。または、送信アンテナ73a、受信アンテナ75aは、平行平板導体65に開口を設け、平行平板導体65の外面にその開口に金属導波管を介してホーンアンテナ等のアンテナを接続した構成のものでもよい。
【0065】
図5,図6のミリ波レーダーモジュール用のミリ波信号発振部52,66をガンダイオードで構成した場合を図7,図8に示す。これらの図において、82は、ガンダイオード83を設置(マウント)するための金属ブロック、83は、ミリ波を発振する高周波ダイオードの1種であるガンダイオード、84は、金属ブロック82の一側面に設置され、ガンダイオード83にバイアス電圧を供給するとともに高周波信号の漏れを防ぐローパスフィルタとして機能するチョーク型バイアス供給線路84aを形成した配線基板、85は、チョーク型バイアス供給線路84aとガンダイオード83の上部導体とを接続する金属箔リボン等の帯状導体、86は、誘電体の基体に共振用の金属ストリップ線路86aを設けた金属ストリップ共振器、87は、金属ストリップ共振器86により共振した高周波信号をミリ波信号発振部外へ導く誘電体線路である。
【0066】
さらに、誘電体線路87の中途には、周波数変調用ダイオードであって可変容量ダイオードの1種であるバラクタダイオード80を装荷した配線基板88を設置している。このバラクタダイオード80のバイアス電圧印加方向は、誘電体線路87での高周波信号の伝搬方向に垂直かつ平行平板導体の主面に平行な方向(電界方向)とされている。また、バラクタダイオード80のバイアス電圧印加方向は、誘電体線路87中を伝搬するLSM01モードの高周波信号の電界方向と合致しており、これにより高周波信号とバラクタダイオード80とを電磁結合させ、バイアス電圧を制御することによりバラクタダイオード80の静電容量を変化させることで、高周波信号の周波数を制御できる。また、89は、バラクタダイオード80と誘電体線路87とのインピーダンス整合をとるための高比誘電率の誘電体板である。
【0067】
また図8に示すように、配線基板88の一主面にはチョーク型バイアス供給線路90が形成され、チョーク型バイアス供給線路90の中途にバラクタダイオード80が配置される。チョーク型バイアス供給線路90のバラクタダイオード80との接続部には、接続用の電極81が形成されている。
【0068】
そして、ガンダイオード83から発振された高周波信号は、金属ストリップ共振器86を通して誘電体線路87に導出される。次に、高周波信号の一部はバラクタダイオード80で反射されてガンダイオード83側へ戻る。この反射信号がバラクタダイオード80の静電容量の変化に伴って変化し、発振周波数が変化する。
【0069】
また、図5,図6のミリ波レーダーモジュールはFMCW(Frequency Modulation Continuous Waves)方式であり、その動作原理は以下のようなものである。ミリ波信号発振部の変調信号入力用のMODIN端子に、電圧振幅の時間変化が三角波,正弦波等となる入力信号を入力し、その出力信号を周波数変調し、ミリ波信号発振部の出力周波数偏移を三角波,正弦波等になるように偏移させる。そして、送受信アンテナ59a,送信アンテナ75aより出力信号(送信波)を放射した場合、送受信用アンテナ59a,送信アンテナ75aの前方にターゲットが存在すると、電波の伝搬速度の往復分の時間差をともなって、反射波(受信波)が戻ってくる。この時、ミキサー62,76の出力側のIFOUT端子には、送信波と受信波の周波数差が出力される。
【0070】
このIFOUT端子の出力周波数等の周波数成分を解析することで、Fif=4R・fm・Δf/c(Fif:IF(中間周波数)出力周波数,R:距離,fm:変調周波数,Δf:周波数偏移幅,c:光速)という関係式から距離を求めることができる。
【0071】
本発明のミリ波信号発振部において、チョーク型バイアス供給線路84aおよび帯状導体85の材料は、Cu,Al,Au,Ag,W,Ti,Ni,Cr,Pd,Pt等から成り、特にCu,Agが、電気伝導度が良好であり、損失が小さく、発振出力が大きくなるといった点で好ましい。
【0072】
また、帯状導体85は金属ブロック82の表面から所定間隔をあけて金属ブロック82と電磁結合しており、チョーク型バイアス供給線路84aとガンダイオード素子83との間に架け渡されている。即ち、帯状導体85の一端はチョーク型バイアス供給線路84aの一端に半田付け等により接続され、帯状導体85の他端はガンダイオード素子83の上部導体に半田付け等により接続されており、帯状導体85の接続部を除く中途部分は宙に浮いた状態となっている。
【0073】
そして、金属ブロック82は、ガンダイオード素子83の電気的な接地(アース)を兼ねているため金属であれば良く、その材料は金属(合金を含む)であれば特に限定するものではなく、真鍮(黄銅:Cu−Zn合金),Al,Cu,SUS(ステンレススチール),Ag,Au,Pt等から成る。また金属ブロック82は、全体が金属から成るもの、セラミックスやプラスチック等の絶縁基体の表面全体または部分的に金属メッキしたもの、絶縁基体の表面全体または部分的に導電性樹脂材料等をコートしたものであっても良い。
【0074】
かくして、本発明のミリ波送受信器としてのミリ波レーダーモジュールは、図5の場合、ミリ波信号の良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、正確な探知が可能なものとなる。また、図6の場合、ミリ波信号の良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、正確な探知が可能となるとともに、送信アンテナと受信アンテナとが独立していることから、送信アンテナで受信されて混入した受信波がミキサーへ混入することがなく、ノイズが低減されてより正確な探知が可能となる。
【0075】
【実施例】
本発明のパルス変調器の実施例を以下に説明する。
【0076】
図1のパルス変調器を以下のようにして構成した。平行平板導体として厚さ6mmの2枚のAl板を1.8mmの間隔で配置し、それらの間に断面形状が1.8mm(高さ)×0.8mm(幅)の矩形状であり、比誘電率4.9のガラスセラミックスから成るモードサプレッサ1a、1b、1cを設け、120°の等角度間隔で放射状になるようにして2枚の対向配置されたフェライト円板2に接続して配置した。なお、モードサプレッサ1a〜1cは、その内部に、λ/4チョークパターンが施されたCuから成るストリップ線路導体3を配置することにより形成した。
【0077】
このとき、モードサプレッサ1a〜1cの上下面が2枚のフェライト円板2の主面に面一となるようにした。即ち、2枚のフェライト円板2を平行平板導体の内面に互いに対向させて設置し、インピーダンス整合部材4の上下にフェライト円板2の間隔(厚さ)に略等しい間隔でそれぞれ段差ができるよう構成している。
【0078】
このフェライト円板2の寸法は直径2.0mm、厚さ0.23mmであり、フェライト円板2の上下に直流磁界を印加するための磁石を配置した。即ち、平行平板導体の外面のフェライト円板2に対応する部分に、フェライト円板2と同心的に直径12.5mm、深さ5mmの円形の凹部を形成し、その凹部に厚さ4.5mmで直径12.5mmの円形の磁石を設置した。またモードサプレッサ1a〜1cの先端部に接着されたインピーダンス整合部材4は比誘電率4.9のコーディライトセラミックスから成り、その高周波信号の伝送方向に垂直な面での断面形状は高さ1.34mm×幅0.8mmで、伝送方向の長さ(厚さ)は0.15mmであった。従って、モードサプレッサ1a〜1cとインピーダンス整合部材4との段差は、フェライト円板2の厚みに相当する0.23mmとした。
【0079】
さらに、配線基板5の裏側(モードサプレッサ1bと反対側の面)には、図3に示すように、チョーク型バイアス供給線路6がプリントされている。チョーク型バイアス供給線路6の幅の広い線路と幅の狭い線路について、幅の広い線路の長さはλ/4=0.7mm、幅の狭い線路の長さもλ/4=0.7mmであり、幅の広い線路部の幅は1.5mm、幅の狭い線路部の幅は0.1mmである。そして、チョーク型バイアス供給線路6の中途にはSBD7がフリップチップ実装にて実装されている。
【0080】
そして、SBD7のモードサプレッサ1bと反対側に、一端面がSBD7に対向するとともに、SBD7との間隔dが0.4mmまたは2.0mmになるようにして、直径1.5mmの円柱状のアルミニウム合金から成るの金属部材8を設けた。この金属部材8は、図5に示すように、筐体の側壁50に形成された貫通孔に固定することによって、SBD7との間隔dを調整できるようにした。
【0081】
上記構成のパルス変調器について、スペクトラムアナライザを用いて76〜77GHzの高周波帯域で、SBD7に順方向にバイアス電圧を印加した場合(SBD7:オン状態、高周波信号:SBD7に吸収されてオフ状態となる)と、SBD7にバイアス電圧を印加しない場合(SBD7:オフ状態、高周波信号:SBD7に反射されてオン状態となる)とについて、高周波信号のオン/オフ比(アイソレーション特性)を測定した結果を図9に示す。
【0082】
本実施例では、76.5±0.5GHzを目的の周波数としており、金属部材8とSBD7との間隔dを調整することにより、15dB以上の幅でオン/オフ比を変化させることができた。
【0083】
なお、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を行なうことは何等差し支えない。
【0084】
【発明の効果】
本発明のパルス変調器は、ショットキーバリアダイオードのモードサプレッサと反対側に、ショットキーバリアダイオードに対向する面を有する金属部材が近接配置されていることから、パルス変調させる周波数やパルス変調用スイッチの動作周波数を簡易な構成でもって制御して、発振周波数とパルス変調させる周波数とを容易に整合させることができる。その結果、良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、ミリ波レーダー等に適用した際に正確な探知が可能となるものとなる。
【0085】
また、従来のような空隙や誘電体シートを用いずにパルス変調器を所望の周波数で動作させるためのインピーダンスの整合が可能となり、さらにはパルス変調器をミリ波レーダー等に組み込んだ後に、ネジ状の金属柱等から成る金属部材を筐体や容器の壁部の貫通孔より挿入しその突出長さを調整することによってパルス変調用スイッチの動作周波数を所望の値に再現性良く安定して制御することができる。
【0086】
本発明のパルス変調器は、好ましくは金属部材は金属柱から成り、一端面をショットキーバリアダイオードに対向させて近接配置されていることから、金属部材の一端面とショットキーバリアダイオードとの間の間隔を調整することにより、きわめて容易にパルス変調用スイッチの動作周波数を制御することができる。この金属部材をネジ状の金属柱とすれば、そのネジ込み長さを微妙に調整することでパルス変調用スイッチの動作周波数を高い精度で制御することができる。
【0087】
本発明のパルス変調器は、好ましくはモードサプレッサとパルス変調用スイッチとの間に、モードサプレッサと略同じ幅の中間誘電体線路が介装されていることから、中間誘電体線路の長さや誘電率および金属部材によってパルス変調用スイッチの動作周波数を制御でき、制御可能な周波数幅が広がるという作用効果を有する。
【0088】
本発明の送受信アンテナを有するミリ波送受信器は、ミリ波信号の良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、ミリ波レーダー等に適用した際に正確な探知が可能なものとなる。また、本発明の送信アンテナおよび受信アンテナを有するミリ波送受信器は、ミリ波信号の良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、ミリ波レーダー等に適用した際に正確な探知が可能なものとなるとともに、送信アンテナと受信アンテナとが独立していることから、送信アンテナで受信されて混入した受信波がミキサーへ混入することがなく、ノイズが低減されてより正確な探知が可能なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の非放射性誘電体線路用のパルス変調器の透視斜視図、(b)は(a)のパルス変調器の平面図である。
【図2】本発明のパルス変調器に用いられるパルス変調用スイッチの正面図である。
【図3】非放射性誘電体線路の基本構成を示し、内部を一部透視したものの斜視図である。
【図4】(a)は従来の非放射性誘電体線路用のパルス変調器の斜視図、(b)は(a)のパルス変調器の平面図である。
【図5】本発明のミリ波送受信器について実施の形態の例を示す平面図である。
【図6】本発明のミリ波送受信器について実施の形態の他の例を示す平面図である。
【図7】本発明の電圧制御型のミリ波信号発振部の斜視図である。
【図8】図7のミリ波信号発振部用のバラクタダイオードを設けた配線基板の斜視図である。
【図9】本発明のパルス変調器のアイソレーション特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1a〜1c:モードサプレッサ
2:フェライト円板
5:配線基板
7:ショットキーバリアダイオード
8:金属部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、非放射性誘電体線路型のミリ波集積回路,ミリ波レーダーモジュール等に組み込まれ、ミリ波信号をスイッチング制御またはASK(Amplituted Shift Keying)変調させるパルス変調器、およびそれを用いた非放射性誘電体線路構造のミリ波送受信器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、マイクロ波やミリ波の高周波信号を伝送させるためには金属導波管が多く用いられてきたが、近年のモジュール小型化の要求により、誘電体線路を用いたモジュールが開発されている。中でも、伝送損失の少ない非放射性誘電体線路(Nonradiative Dielectric Waveguideで、以下、NRDガイドという)が注目されている。NRDガイドの基本構成を図3に示す。同図に示すように、所定の間隔aでもって平行配置された平行平板導体11、12の間に、断面が長方形等の矩形状の誘電体線路13を配置した構成であり、この間隔aが高周波信号の波長λに対してa≦λ/2であれば、外部から誘電体線路13へのノイズの侵入をなくしかつ外部への高周波信号の放射をなくして、誘電体線路13中で高周波信号を伝搬させることができる。なお、波長λは使用周波数における空気中(自由空間)での波長である。
【0003】
このようなNRDガイドに組み込まれるパルス変調器の従来例の斜視図を図4(a)に、上方から見た時の平面図を図4(b)に示す(下記の非特許文献1参照)。同図のように、サーキュレータ(circulatorで、以下、CLTともいう)とショットキーバリアダイオード(以下、SBDともいう)とを使用することで、高周波信号の振幅変調またはスイッチング機能をもたせたミリ波送受信器やミリ波レーダ等が開発されている。
【0004】
同図において、20a、20b、20cはテフロン、ポリスチレン等の誘電体線路からなるLSE(Longitudinal Section Electric)モードの電磁波を遮断するモードサプレッサ、21は周囲にモードサプレッサ20a、20b、20cが120°の間隔で放射状に配置されるCLT用の2枚のフェライト円板、22はモードサプレッサ20の内部に配置され、銅箔等からなるストリップ線路導体であり、電界が平行平板導体の主面に垂直方向であるLSEモードの電磁波を遮断する。また、ストリップ導体線路22はTEM(Transverse ElectroMagnetic)モードを除去するためにλ/4チョークパターンが施されている。
【0005】
また、モードサプレッサ20bのフェライト円板と反対側の他端には、所定の空隙を設けて、テフロン、ポリスチレン等の誘電体線路23aが配置され、さらにアルミナ等の誘電体線路とは誘電率の異なる誘電体シート24が配置されている。
【0006】
そして、誘電体シート24の後方には、銅箔等からなるストリップ線路導体25がプリントされ、チョーク型バイアス供給線路構造のストリップ線路導体25の中途にショットキーバリアダイオード26が実装された誘電体配線基板27が配置される。また、誘電体配線基板27の後方には、テフロン、ポリスチレン等の誘電体線路23bが配置されている。
【0007】
そして、モードサプレッサ20a中を伝搬してきた高周波信号(電磁波)は、フェライト円版21によって波面が時計方向(または反時計方向)に回転されモードサプレッサ20bへ伝搬され、モードサプレッサ20cへは伝搬しない。そして、モードサプレッサ20bを伝搬した電磁波は、その先の誘電体配線基板27上のSBD26において、SBD26に順方向にバイアス電圧をかけたとき(順方向電流を入力したとき)はほとんど吸収され、逆方向にバイアス電圧をかけたとき(順方向電流を流さないとき)は反射される。
【0008】
SBD26で反射された電磁波は、再びモードサプレッサ20b中を伝搬し、フェライト円板21によって波面が時計方向に回転されモードサプレッサ20cへ伝搬される。このようにして、SBD26に順方向か逆方向のバイアス電圧を印加することにより、高周波信号にスイッチング制御またはASK変調を施すことができる。なお、振幅変調の度合いを大きくすると、スイッチング制御することとなる。
【0009】
【非特許文献1】
Futoshi Kuroki,Masayuki Sugioka,Shinji Matsukawa,Kengo Ikeda,and T.Yoneyama、“High−Speed ASK Transceiver Based on the NRD−Guide Technology at 60−GHzBand”、IEEE Transaction on Microwave Theory and Techniques,USA、IEEE、JUNE 1998、VOL.46、NO.6、pp806−810
【特許文献1】
特開2002−232212号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のNRDガイド用のパルス変調器では、所望の周波数で動作させるために、モードサプレッサ20bと誘電体線路23aとの空隙、誘電体線路23a、23bの長さ、誘電体シート24の厚みでインピーダンスの整合をとっており、それらの位置ずれや加工精度が低いと動作周波数がずれ、所望の周波数でのASK変調の特性が劣化していた。即ち、それらの加工精度および位置決め精度の管理が難しく、また、組み立ての再現性が低く、製造の作業性が悪くなるため、信頼性の高いものとならず、量産にも向かないという問題点があった。
【0011】
さらに、従来のパルス変調器では、図4(b)のように、SBD26が実装された誘電体配線基板27を誘電体シート24と誘電体線路23bで挟む構成になっており、このため組立作業時にSBD26に誘電体線路23bが接触し、SBD26を破損するという問題点があった。
【0012】
そこで、本出願人は、誘電体線路23bがなく、また誘電体シート24やモードサプレッサ20bと誘電体線路23aとの間に空隙を設けない構成のものを提案した(特許文献1参照)。
【0013】
しかしながら、パルス変調器を用いてミリ波レーダーモジュール等のミリ波送受信器を一旦構成すると、パルス変調させる周波数帯域が固定されるのに対して、ミリ波レーダーモジュールに組み込まれる電圧制御発振器(Voltage Control Oscillator:VCO)やガンダイオード等の高周波発生素子の周波数にバラツキがあるため、発振周波数とパルス変調させる周波数とを整合させることができない場合があった。
【0014】
このようなパルス変調器を備えたミリ波送受信器では、ASK変調が不十分なため、ミリ波信号のアイソレーション特性が劣化して、ミリ波レーダー等に適用した際に正確な探知が困難になるという問題点があった。
【0015】
従って、本発明は上記事情に鑑みて完成されたものであり、その目的は、パルス変調させる周波数やパルス変調用スイッチの動作周波数を簡易な構成でもって制御して、発振周波数とパルス変調させる周波数とを容易に整合させることができ、その結果、良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、ミリ波レーダー等に適用した際に正確な探知が可能となるものとすることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の非放射性誘電体線路用のパルス変調器は、高周波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体間に、該平行平板導体のそれぞれの内面に互いに対向させて設置された2枚のフェライト板の周縁に略放射状に複数配置された、LSMモードの電磁波を伝送するとともにLSEモードの電磁波を遮断する誘電体線路からなるモードサプレッサと、該モードサプレッサの一方の端面に設置されたインピーダンス整合部材とからなるサーキュレータが設けられており、誘電体配線基板上のチョーク型バイアス供給線路の中途にショットキーバリアダイオードを接続したパルス変調用スイッチの前記ショットキーバリアダイオードを、前記複数のモードサプレッサのうちの一つの他方の端面に対向させるとともに、前記ショットキーバリアダイオードのバイアス電圧印加方向が前記LSMモードの電磁波の電界方向に合致するように設置した非放射性誘電体線路用のパルス変調器において、前記ショットキーバリアダイオードの前記モードサプレッサと反対側に、前記ショットキーバリアダイオードに対向する面を有する金属部材が近接配置されていることを特徴とする。
【0017】
本発明のパルス変調器は、ショットキーバリアダイオードのモードサプレッサと反対側に、ショットキーバリアダイオードに対向する面を有する金属部材が近接配置されていることから、パルス変調させる周波数やパルス変調用スイッチの動作周波数を簡易な構成でもって制御して、発振周波数とパルス変調させる周波数とを容易に整合させることができる。即ち、モードサプレッサを伝搬してショットキーバリアダイオードに達した高周波信号(電磁波)にはショットキーバリアダイオードの外側まで分布する成分が存在する。そこで、電磁波に対して金属壁となる金属部材をショットキーバリアダイオード近傍まで近づけることでショットキーバリアダイオードの部位で電界強度(電界振幅)が最大となるように、ショットキーバリアダイオードと金属部材との間の間隔を調整することができ、その結果、ショットキーバリアダイオードに順方向にバイアス電圧をかけたとき(順方向電流を入力したとき)は高周波信号は効果的に吸収され、逆方向にバイアス電圧をかけたとき(順方向電流を流さないとき)は高周波信号が効果的に反射されることとなる。
【0018】
その結果、良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、ミリ波レーダー等に適用した際に正確な探知が可能となるものとなる。
【0019】
また、従来のような空隙や誘電体シートを用いずにパルス変調器を所望の周波数で動作させるためのインピーダンスの整合が可能となり、さらにはパルス変調器をミリ波レーダー等に組み込んだ後に、ネジ状の金属柱等から成る金属部材を筐体や容器の壁部の貫通孔より挿入しその突出長さを調整することによってパルス変調用スイッチの動作周波数を所望の値に再現性良く安定して制御することができる。
【0020】
本発明のパルス変調器において、好ましくは、前記金属部材は、金属柱から成り、一端面を前記ショットキーバリアダイオードに対向するように近接配置されていることを特徴とする。
【0021】
本発明のパルス変調器は、好ましくは金属部材は金属柱から成り、一端面をショットキーバリアダイオードに対向させて近接配置されていることから、金属部材の一端面とショットキーバリアダイオードとの間の間隔を調整することにより、きわめて容易にパルス変調用スイッチの動作周波数を制御することができる。この金属部材をネジ状の金属柱とすれば、そのネジ込み長さを微妙に調整することでパルス変調用スイッチの動作周波数を高い精度で制御することができる。
【0022】
本発明のパルス変調器において、好ましくは、前記モードサプレッサと前記パルス変調用スイッチとの間に、前記モードサプレッサと略同じ幅の中間誘電体線路が介装されていることを特徴とする。
【0023】
本発明のパルス変調器は、好ましくはモードサプレッサとパルス変調用スイッチとの間に、モードサプレッサと略同じ幅の中間誘電体線路が介装されていることから、中間誘電体線路の長さや誘電率および金属部材によってパルス変調用スイッチの動作周波数を制御でき、制御可能な周波数幅が広がるという作用効果を有する。
【0024】
本発明のミリ波送受信器は、
送信用のミリ波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体間に、
高周波発生素子から出力され周波数変調されたミリ波信号を伝搬させる第1の誘電体線路と、
該第1の誘電体線路に付設され、前記高周波発生素子から出力された高周波信号を周期的に周波数変調してミリ波信号として出力し前記第1の誘電体線路中を伝搬させるミリ波信号発振部と、
前記第1の誘電体線路に一端側が電磁結合するように近接配置されるかまたは前記第1の誘電体線路に一端が接合されて、前記ミリ波信号の一部をミキサー側へ伝搬させる第2の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第1の接続部,第2の接続部および第3の接続部を有する第1のサーキュレータであって、前記第1の誘電体線路の前記ミリ波信号の出力端に前記第1の接続部が接続される第1のサーキュレータと、
該第1のサーキュレータの前記第2の接続部に一端が接続され、前記ミリ波信号をパルス変調するショットキーバリアダイオードが他端に接続された第3の誘電体線路と、
前記第1のサーキュレータの前記第3の接続部に一端が接続された第4の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第4の接続部,第5の接続部および第6の接続部を有する第2のサーキュレータであって、前記第4の接続部に前記第4の誘電体線路の他端が接続された第2のサーキュレータと、
該第2のサーキュレータの前記第5の接続部に一端が接続され、ミリ波信号を伝搬させるとともに先端部に送受信アンテナを有する第5の誘電体線路と、
前記送受信アンテナで受信され前記第5の誘電体線路を伝搬して前記第2のサーキュレータの前記第6の接続部より出力した受信波をミキサー側へ伝搬させる第6の誘電体線路と、
前記第2の誘電体線路の中途と前記第6の誘電体線路の中途とを近接させて電磁結合させるかまたは接合させて成り、ミリ波信号の一部と受信波とを混合させて中間周波信号を発生させるミキサーと
を具備しており、
前記第1および第2のサーキュレータが本発明のパルス変調器を構成していることを特徴とする。
【0025】
本発明のミリ波送受信器は、上記の構成により、ミリ波信号の良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、ミリ波レーダー等に適用した際に正確な探知が可能なものとなる。
【0026】
また、本発明のミリ波送受信器は、
送信用のミリ波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体間に、
高周波発生素子から出力され周波数変調されたミリ波信号を伝搬させる第1の誘電体線路と、
該第1の誘電体線路に付設され、前記高周波発生素子から出力された高周波信号を周期的に周波数変調して送信用のミリ波信号として出力し前記第1の誘電体線路中を伝搬させるミリ波信号発振部と、
前記第1の誘電体線路に一端側が電磁結合するように近接配置されるかまたは前記第1の誘電体線路に一端が接合されて、前記ミリ波信号の一部をミキサー側へ伝搬させる第2の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第1の接続部,第2の接続部および第3の接続部を有する第1のサーキュレータであって、前記第1の誘電体線路の前記ミリ波信号の出力端に前記第1の接続部が接続される第1のサーキュレータと、
該第1のサーキュレータの第2の接続部に一端が接続され、前記ミリ波信号のパルス変調を行なうショットキーバリアダイオードが他端に接続された第3の誘電体線路と、
前記第1のサーキュレータの前記第3の接続部に一端が接続され、ミリ波信号を伝搬させるとともに先端部に送信アンテナを有する第4の誘電体線路と、
先端部に受信アンテナ、他端部にミキサーが各々設けられた第5の誘電体線路と、
前記第2の誘電体線路の中途と前記第5の誘電体線路の中途とを近接させて電磁結合させるかまたは接合させて成り、ミリ波信号の一部と受信波とを混合させて中間周波信号を発生させるミキサーとを具備しており、
前記第1のサーキュレータが請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のパルス変調器を構成していることを特徴とする。
【0027】
本発明のミリ波送受信器は、上記の構成により、ミリ波信号の良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、ミリ波レーダー等に適用した際に正確な探知が可能なものとなるとともに、送信アンテナと受信アンテナとが独立していることから、送信アンテナで受信されて混入した受信波がミキサーへ混入することがなく、ノイズが低減されてより正確な探知が可能なものとなる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明のNRDガイド用のパルス変調器、およびそれを用いたミリ波送受信器としてのミリ波レーダーモジュールについて以下に説明する。図1(a)は本発明のパルス変調器の透視斜視図、図1(b)は本発明のパルス変調器を上方から見た平面図である。なお、両図とも平行平板導体は省略してある。
【0029】
同図において、CLTのアイソレーションを向上させるためにLSEモードの電磁波を遮断するモードサプレッサ1a、1b、1cが設けられている。モードサプレッサ1a〜1cの内部にはTEMモードを除去するためにλ/4チョークパターンからなるCu製のストリップ線路導体3が設けられており、モードサプレッサ1a〜1cの先端には誘電体板から成るインピーダンス整合部材4を設けている。CLT用の1対のフェライト円板2の周囲には、モードサプレッサ1a〜1cが120°の間隔で放射状に配置されている。フェライト円板2の上方および下方の平行平板導体の外面には、フェライト円板2をCLTとして作動させるための磁石が配置される。
【0030】
CLTでは、モードサプレッサ1a中を伝搬してきた電磁波は、フェライト円板2によって波面が時計方向(または反時計方向)に回転されモードサプレッサ1bへ伝搬され、モードサプレッサ1cへは伝搬しない。同様に、モードサプレッサ1b中を伝搬してきた電磁波は、モードサプレッサ1cへ伝搬される。このようにして、電磁波の伝搬路が変換される。フェライト円板2の主面に略垂直に印加される直流磁界のS極とN極の位置を逆にすると、高周波信号の波面の回転方向も逆転することは言うまでもない。
【0031】
本発明において、モードサプレッサ1bの端部にミリ波信号をパルス変調(振幅変調またはスイッチング制御)するSBDを設けたパルス変調用スイッチとしての配線基板が設けられている。この配線基板を図2に示す。例えば、配線基板5の一主面にチョーク型バイアス供給線路6を形成し、その中途にフリップチップ実装、バンプ実装あるいはハンダ実装されたSBD7を設けたものである。SBD7のバイアス電圧をオン−オフすることにより、ミリ波信号をオン−オフ制御(スイッチング制御)してパルス化することができる。
【0032】
本発明においては、SBD7のモードサプレッサ1bと反対側に、SBD7に対向する面を有する金属部材8が近接配置されている。SBD7と金属部材8との間の間隔dを変化させることで、容易にインピーダンス整合がとれ、所望の周波数でASK変調を行うことが可能となる。
【0033】
即ち、モードサプレッサ1bを伝搬してSBD7に達した高周波信号(電磁波)にはSBD7の外側まで分布する成分が存在する。そこで、電磁波に対して金属壁となる金属部材8をSBD7近傍まで近づけることで、SBD7の部位で電界強度(電界振幅)が最大となるように間隔dを調整することができ、その結果、SBD7に順方向にバイアス電圧をかけたとき(順方向電流を入力したとき)は高周波信号は効果的に吸収され、逆方向にバイアス電圧をかけたとき(順方向電流を流さないとき)は高周波信号が効果的に反射されることとなる。
【0034】
このとき、間隔dを自在に調整可能なように金属部材8を平行平板導体に固定したり、平行平板導体に穴をあけて外部より金属部材を間隔dを自在に調整可能なように挿通固定する構成等が採用できる。
【0035】
本発明において、金属部材8は金属柱から成り、一端面をSBD7に対向させて近接配置されていることが好ましい。例えば、図5、図6に示すように、ミリ波レーダーモジュールを成す筐体の側壁9に貫通孔をあけて、ピン状等の金属柱から成る金属部材8を貫通孔に挿通固定する構成とし、種々の長さの金属部材8を設けることによって所望の周波数でのASK変調が可能となる。また、また、筐体の側壁9に内周面にネジ切りが形成された貫通孔を形成し、その貫通孔にネジ状の金属部材8をネジ込む構成とし、金属部材8のネジ込み長さを調整することにより、所望の周波数でのASK変調が可能となる。
【0036】
金属部材8の形状は、円柱状、角柱状、ネジ状等の種々の形状とし得るが、ミリ波レーダーモジュールの作製後に間隔dを高い精度で維持するためには、一端面を平滑処理した円柱状のものがよい。
【0037】
本発明の金属部材8は、Cu,Al,Fe,Ni,Ag,Au,Pt,ステンレススチール(SUS)、真鍮(Cu−Zn合金)、Fe−Ni合金、Fe−Ni−Co合金等の金属や合金から成る。
【0038】
また、金属部材8とSBD7との間の間隔dは0.1〜4.0mm程度がよく、0.1mm未満では、金属部材8とSBD7とが接触しやすくなる。4.0mmを超えると、インピーダンス整合を効果的に行なうことが難しくなるとともにミリ波モジュールが大型化することとなる。
【0039】
本発明において、2枚の同一形状のフェライト円板2は平行平板導体のそれぞれの内面に対してその主面が平行にかつ同心状に対向配置されるが、平行平板導体の内面にそれらの主面が接していてもよく、また平行平板導体の内面から所定の間隔をあけて設置してもよい。なお、図1のものは、2枚のフェライト円板2の主面とモードサプレッサ1の主面とは面一とされ、それらは平行平板導体の内面に接した状態である。
【0040】
なお、上記フェライト円板2の代わりに正多角形のフェライト板を用いてもよく、その場合接続される誘電体線路の本数をn本(nは2以上の整数)とすると、その平面形状は正m角形(mは3以上の整数)である。なお、フェライト円板2の主面に対して、平行平板導体の外側から直流磁界を印加する磁石、電磁石等を設けることにより、フェライト円板2はCLTとして機能する。
【0041】
本発明において、モードサプレッサ1bとパルス変調用スイッチSpとの間にモードサプレッサ1bと略同じ幅の中間誘電体線路を介装してもよく、中間誘電体線路の誘電率や長さを調整することによりパルス変調用スイッチSpの動作周波数等を制御することができる。
【0042】
モードサプレッサ1b、誘電体線路および中間誘電体線路の材料は、テフロン,ポリスチレン等の樹脂、または低比誘電率のコーディエライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)セラミックス,アルミナ(Al2O3)セラミックス,ガラスセラミックス等のセラミックスが好ましく、これらは高周波帯域において低損失である。
【0043】
本発明でいう高周波帯域は、数10〜数100GHz帯域のマイクロ波帯域およびミリ波帯域に相当し、例えば30GHz以上、特に50GHz以上、更には70GHz以上の高周波帯域が好適である。
【0044】
本発明のNRDガイド用の平行平板導体は、高い電気伝導度および加工性等の点で、Cu,Al,Fe,Ag,Au,Pt,SUS(ステンレススチール),真鍮(Cu−Zn合金)等の導体板、あるいはセラミックス,樹脂等から成る絶縁板の表面にこれらの導体層を形成したものでもよい。
【0045】
また、本発明のNRDガイドは、高周波発生素子としてVCOやガンダイオード等の高周波ダイオードを組み込むことによって、無線LAN,自動車のミリ波レーダー等に使用されるものであり、例えば自動車の周囲の障害物および他の自動車に対しミリ波を照射し、反射波を元のミリ波と合成して中間周波信号を得、この中間周波信号を分析することにより障害物および他の自動車までの距離、それらの移動速度等が測定できる。
【0046】
かくして、本発明のNRDガイド用のパルス変調器は、高周波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体間に、平行平板導体のそれぞれの内面に互いに対向させて設置された2枚のフェライト板の周縁に略放射状に複数配置された、LSMモードの電磁波を伝送するとともにLSEモードの電磁波を遮断する誘電体線路からなるモードサプレッサ1a〜1cと、モードサプレッサ1a〜1cの一方の端面に設置されたインピーダンス整合部材4とからなるCLTが設けられており、誘電体配線基板上のチョーク型バイアス供給線路6の中途にSBD7を接続したパルス変調用スイッチSpのSBD7を、複数のモードサプレッサ1a〜1cのうちの一つ(モードサプレッサ1b)の他方の端面に対向させるとともに、SBD7のバイアス電圧印加方向がLSMモードの電磁波の電界方向に合致するように設置したものにおいて、SBD7のモードサプレッサ1bと反対側に、SBD7に対向する面を有する金属部材8が近接配置されている構成である。これにより、パルス変調させる周波数やパルス変調用スイッチSpの動作周波数を簡易な構成でもって制御して、発振周波数とパルス変調させる周波数とを容易に整合させることができる。その結果、良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、ミリ波レーダー等に適用した際に正確な探知が可能となる。
【0047】
次に、本発明のミリ波送受信器としてのミリ波レーダーモジュールについて以下に説明する。
【0048】
図5〜図8は本発明のミリ波レーダーモジュールを示すものであり、図5は送信アンテナと受信アンテナが一体化されたものの平面図、図6は送信アンテナと受信アンテナが独立したものの平面図、図7はミリ波信号発振部の斜視図、図8はミリ波信号発振部用の可変容量ダイオード(バラクタダイオード)を設けた配線基板の斜視図である。
【0049】
図5のミリ波レーダーモジュールは、送信用のミリ波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置された平行平板導体(他方は省略する)51間に高周波発生素子から出力され周波数変調されたミリ波信号を伝搬させる第1の誘電体線路53と、第1の誘電体線路53に付設され、ミリ波信号を周期的に周波数変調して送信用のミリ波信号として出力し、第1の誘電体線路53中を伝搬させるミリ波信号発振部52と、第1の誘電体線路53に一端側が電磁結合するように近接配置されるかまたは第1の誘電体線路53に一端が接合されて、ミリ波信号の一部をミキサー62側へ伝搬させる第2の誘電体線路61とが設けられている。
【0050】
また、平行平板導体51間に、平行平板導体51に平行に対向配置された2枚のフェライト板55aの周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれミリ波信号の入出力端とされた第1の接続部55a1、第2の接続部55a2および第3の接続部55a3を有する第1のCLTAであって、第1の誘電体線路53のミリ波信号の出力端にモードサプレッサ54aを介して第1の接続部55a1が接続される第1のCLTAと、第1のCLTAの第2の接続部55a2にモードサプレッサ54bを介して一端が接続され、ミリ波信号をパルス変調するSBD7が他端に接続された第3の誘電体線路56と、第1のCLTAの第3の接続部55a3に一端が接続された第4の誘電体線路54cとが設けられている。
【0051】
また、平行平板導体51間に、平行平板導体51に平行に対向配置された2枚のフェライト板55bの周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれミリ波信号の入出力端とされた第4の接続部55b1、第5の接続部55b2および第6の接続部55b3を有する第2のCLTBであって、第4の誘電体線路54cのミリ波信号の出力端に第4の接続部55b1が接続される第2のCLTBと、第2のCLTBの第5の接続部55b2に一端がモードサプレッサ54dを介して接続され、ミリ波信号を伝搬させるとともに先端部に送受信アンテナ59aを有する第5の誘電体線路59と、送受信アンテナ59aで受信され第5の誘電体線路59を伝搬して第2のCLTの第6の接続部55b3に一端が接続されたモードサプレッサ54eを介して出力した受信波をミキサー62側へ伝搬させる第6の誘電体線路60と、第2の誘電体線路61の中途と第6の誘電体線路60の中途とを近接させて電磁結合させるかまたは接合させてなり、ミリ波信号の一部と受信波とを混合させて中間周波数信号を発生させるミキサー62とが設けられている。
【0052】
なお、図中M1は中間周波数信号を発生させるミキサー部、61aは、第2の誘電体線路61のミキサー62と反対側の端部に設けられた無反射終端部(ターミネータ)である。
【0053】
第1の誘電体線路53の一端に設けられた電圧制御型のミリ波信号発振部52は、バイアス電圧印加方向が高周波信号の電界方向に合致するように、第1の誘電体線路53の高周波ダイオード(高周波発生素子)近傍に配置された可変容量ダイオードのバイアス電圧を周期的に制御して、三角波、正弦波等とすることにより、周波数変調した送信用のミリ波信号として出力する。なお、高周波ダイオードと可変容量ダイオードとの組み合わせと同等の機能を有するVCOをミリ波信号発振部52として用いてもよい。
【0054】
図5において、54a,54b,54c,54d,54eはモードサプレッサである。また、57はミリ波信号をパルス変調するSBD7が設けられた配線基板(パルス変調用スイッチSp)である。例えば、配線基板5の一主面にチョーク型バイアス供給線路6を形成し、その中途にフリップチップ実装、バンプ実装またはハンダ実装されたSBD7を設けたスイッチである。そして、SBD7のバイアス電圧をオン−オフすることにより、ミリ波信号をオフ−オン制御(スイッチング制御)することによりパルス化することができる。
【0055】
また、送受信アンテナ59aは、第5の誘電体線路59の先端をテーパー状とすることにより設けられる。または、送受信アンテナ59aは、平行平板導体51に開口を設け、平行平板導体51の外面にその開口に金属導波管を介してホーンアンテナ等のアンテナを接続した構成のものでもよい。
【0056】
第4の誘電体線路54cは接続用誘電体線路であり、その略全体がモードサプレッサとなっている。
【0057】
なお、高周波発生素子を第1の誘電体線路53ではなく、第2の誘電体線路61に付設し、電磁結合により第1の誘電体線路53にミリ波信号を伝達させる構成としてもよく、図5のものと同様の機能を有するものとなる。
【0058】
また、本発明のミリ波レーダーモジュールの実施の形態の他の例として、送信アンテナと受信アンテナを独立させた図6のタイプがある。
【0059】
図6のミリ波レーダーモジュールは、送信用のミリ波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置された平行平板導体(他方は省略する)65間に、高周波発生素子から出力され周波数変調されたミリ波信号を伝搬させる第1の誘電体線路67と、第1の誘電体線路67に付設され、ミリ波信号を周期的に周波数変調して送信用のミリ波信号として出力し、第1の誘電体線路67中を伝搬させるミリ波信号発振部66と、第1の誘電体線路67に一端側が電磁結合するように近接配置されるかまたは第1の誘電体線路67に一端が接合されて、ミリ波信号の一部をミキサー76側へ伝搬させる第2の誘電体線路69とが設けられている。
【0060】
また、平行平板導体65間に、平行平板導体65に平行に対向配置された2枚のフェライト板70aの周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれミリ波信号の入出力端とされた第1の接続部70a1、第2の接続部70a2および第3の接続部70a3を有するCLTであって、第1の誘電体線路67のミリ波信号の出力端にモードサプレッサ68aを介して第1の接続部70a1が接続されるCLTと、CLTの第2の接続部70a2に一端がモードサプレッサ68bを介して接続され、ミリ波信号をパルス変調するSBD7が他端に接続された第3の誘電体線路71と、CLTの第3の接続部70a3にモードサプレッサ68cを介して一端が接続され、ミリ波信号を伝搬させるとともに先端部に送信アンテナ73aを有する第4の誘電体線路73と、先端部に受信アンテナ75a、他端部にミキサー76が各々設けられた第5の誘電体線路75と、第2の誘電体線路69の中途と第5の誘電体線路75の中途とを近接させて電磁結合させるかまたは接合させてなり、ミリ波信号の一部と受信波とを混合させて中間周波数信号を発生させるミキサー76とが設けられている。
【0061】
なお、図中M2は中間周波数信号を発生させるミキサー部、69aは、第2の誘電体線路69のミキサー76と反対側の端部に設けられた無反射終端部である。
【0062】
第1の誘電体線路67の一端に設けられた電圧制御型のミリ波信号発振部66は、バイアス電圧印加方向が高周波信号の電界方向に合致するように、第1の誘電体線路67の高周波ダイオード近傍に配置された可変容量ダイオードのバイアス電圧を周期的に制御して、三角波、正弦波等とすることにより、周波数変調した送信用のミリ波信号として出力する。なお、高周波ダイオードと可変容量ダイオードとの組み合わせと同等の機能を有するVCOをミリ波信号発振部66として用いてもよい。
【0063】
図6において、68a,68b,68cはモードサプレッサである。また、77はミリ波信号をパルス変調するSBD7が設けられた配線基板であり、図3のような構成であり、図5の場合と同様のものである。
【0064】
また、送信アンテナ73a、受信アンテナ75aは、第4の誘電体線路73、第5の誘電体線路75の先端をテーパー状とすることにより設けられる。または、送信アンテナ73a、受信アンテナ75aは、平行平板導体65に開口を設け、平行平板導体65の外面にその開口に金属導波管を介してホーンアンテナ等のアンテナを接続した構成のものでもよい。
【0065】
図5,図6のミリ波レーダーモジュール用のミリ波信号発振部52,66をガンダイオードで構成した場合を図7,図8に示す。これらの図において、82は、ガンダイオード83を設置(マウント)するための金属ブロック、83は、ミリ波を発振する高周波ダイオードの1種であるガンダイオード、84は、金属ブロック82の一側面に設置され、ガンダイオード83にバイアス電圧を供給するとともに高周波信号の漏れを防ぐローパスフィルタとして機能するチョーク型バイアス供給線路84aを形成した配線基板、85は、チョーク型バイアス供給線路84aとガンダイオード83の上部導体とを接続する金属箔リボン等の帯状導体、86は、誘電体の基体に共振用の金属ストリップ線路86aを設けた金属ストリップ共振器、87は、金属ストリップ共振器86により共振した高周波信号をミリ波信号発振部外へ導く誘電体線路である。
【0066】
さらに、誘電体線路87の中途には、周波数変調用ダイオードであって可変容量ダイオードの1種であるバラクタダイオード80を装荷した配線基板88を設置している。このバラクタダイオード80のバイアス電圧印加方向は、誘電体線路87での高周波信号の伝搬方向に垂直かつ平行平板導体の主面に平行な方向(電界方向)とされている。また、バラクタダイオード80のバイアス電圧印加方向は、誘電体線路87中を伝搬するLSM01モードの高周波信号の電界方向と合致しており、これにより高周波信号とバラクタダイオード80とを電磁結合させ、バイアス電圧を制御することによりバラクタダイオード80の静電容量を変化させることで、高周波信号の周波数を制御できる。また、89は、バラクタダイオード80と誘電体線路87とのインピーダンス整合をとるための高比誘電率の誘電体板である。
【0067】
また図8に示すように、配線基板88の一主面にはチョーク型バイアス供給線路90が形成され、チョーク型バイアス供給線路90の中途にバラクタダイオード80が配置される。チョーク型バイアス供給線路90のバラクタダイオード80との接続部には、接続用の電極81が形成されている。
【0068】
そして、ガンダイオード83から発振された高周波信号は、金属ストリップ共振器86を通して誘電体線路87に導出される。次に、高周波信号の一部はバラクタダイオード80で反射されてガンダイオード83側へ戻る。この反射信号がバラクタダイオード80の静電容量の変化に伴って変化し、発振周波数が変化する。
【0069】
また、図5,図6のミリ波レーダーモジュールはFMCW(Frequency Modulation Continuous Waves)方式であり、その動作原理は以下のようなものである。ミリ波信号発振部の変調信号入力用のMODIN端子に、電圧振幅の時間変化が三角波,正弦波等となる入力信号を入力し、その出力信号を周波数変調し、ミリ波信号発振部の出力周波数偏移を三角波,正弦波等になるように偏移させる。そして、送受信アンテナ59a,送信アンテナ75aより出力信号(送信波)を放射した場合、送受信用アンテナ59a,送信アンテナ75aの前方にターゲットが存在すると、電波の伝搬速度の往復分の時間差をともなって、反射波(受信波)が戻ってくる。この時、ミキサー62,76の出力側のIFOUT端子には、送信波と受信波の周波数差が出力される。
【0070】
このIFOUT端子の出力周波数等の周波数成分を解析することで、Fif=4R・fm・Δf/c(Fif:IF(中間周波数)出力周波数,R:距離,fm:変調周波数,Δf:周波数偏移幅,c:光速)という関係式から距離を求めることができる。
【0071】
本発明のミリ波信号発振部において、チョーク型バイアス供給線路84aおよび帯状導体85の材料は、Cu,Al,Au,Ag,W,Ti,Ni,Cr,Pd,Pt等から成り、特にCu,Agが、電気伝導度が良好であり、損失が小さく、発振出力が大きくなるといった点で好ましい。
【0072】
また、帯状導体85は金属ブロック82の表面から所定間隔をあけて金属ブロック82と電磁結合しており、チョーク型バイアス供給線路84aとガンダイオード素子83との間に架け渡されている。即ち、帯状導体85の一端はチョーク型バイアス供給線路84aの一端に半田付け等により接続され、帯状導体85の他端はガンダイオード素子83の上部導体に半田付け等により接続されており、帯状導体85の接続部を除く中途部分は宙に浮いた状態となっている。
【0073】
そして、金属ブロック82は、ガンダイオード素子83の電気的な接地(アース)を兼ねているため金属であれば良く、その材料は金属(合金を含む)であれば特に限定するものではなく、真鍮(黄銅:Cu−Zn合金),Al,Cu,SUS(ステンレススチール),Ag,Au,Pt等から成る。また金属ブロック82は、全体が金属から成るもの、セラミックスやプラスチック等の絶縁基体の表面全体または部分的に金属メッキしたもの、絶縁基体の表面全体または部分的に導電性樹脂材料等をコートしたものであっても良い。
【0074】
かくして、本発明のミリ波送受信器としてのミリ波レーダーモジュールは、図5の場合、ミリ波信号の良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、正確な探知が可能なものとなる。また、図6の場合、ミリ波信号の良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、正確な探知が可能となるとともに、送信アンテナと受信アンテナとが独立していることから、送信アンテナで受信されて混入した受信波がミキサーへ混入することがなく、ノイズが低減されてより正確な探知が可能となる。
【0075】
【実施例】
本発明のパルス変調器の実施例を以下に説明する。
【0076】
図1のパルス変調器を以下のようにして構成した。平行平板導体として厚さ6mmの2枚のAl板を1.8mmの間隔で配置し、それらの間に断面形状が1.8mm(高さ)×0.8mm(幅)の矩形状であり、比誘電率4.9のガラスセラミックスから成るモードサプレッサ1a、1b、1cを設け、120°の等角度間隔で放射状になるようにして2枚の対向配置されたフェライト円板2に接続して配置した。なお、モードサプレッサ1a〜1cは、その内部に、λ/4チョークパターンが施されたCuから成るストリップ線路導体3を配置することにより形成した。
【0077】
このとき、モードサプレッサ1a〜1cの上下面が2枚のフェライト円板2の主面に面一となるようにした。即ち、2枚のフェライト円板2を平行平板導体の内面に互いに対向させて設置し、インピーダンス整合部材4の上下にフェライト円板2の間隔(厚さ)に略等しい間隔でそれぞれ段差ができるよう構成している。
【0078】
このフェライト円板2の寸法は直径2.0mm、厚さ0.23mmであり、フェライト円板2の上下に直流磁界を印加するための磁石を配置した。即ち、平行平板導体の外面のフェライト円板2に対応する部分に、フェライト円板2と同心的に直径12.5mm、深さ5mmの円形の凹部を形成し、その凹部に厚さ4.5mmで直径12.5mmの円形の磁石を設置した。またモードサプレッサ1a〜1cの先端部に接着されたインピーダンス整合部材4は比誘電率4.9のコーディライトセラミックスから成り、その高周波信号の伝送方向に垂直な面での断面形状は高さ1.34mm×幅0.8mmで、伝送方向の長さ(厚さ)は0.15mmであった。従って、モードサプレッサ1a〜1cとインピーダンス整合部材4との段差は、フェライト円板2の厚みに相当する0.23mmとした。
【0079】
さらに、配線基板5の裏側(モードサプレッサ1bと反対側の面)には、図3に示すように、チョーク型バイアス供給線路6がプリントされている。チョーク型バイアス供給線路6の幅の広い線路と幅の狭い線路について、幅の広い線路の長さはλ/4=0.7mm、幅の狭い線路の長さもλ/4=0.7mmであり、幅の広い線路部の幅は1.5mm、幅の狭い線路部の幅は0.1mmである。そして、チョーク型バイアス供給線路6の中途にはSBD7がフリップチップ実装にて実装されている。
【0080】
そして、SBD7のモードサプレッサ1bと反対側に、一端面がSBD7に対向するとともに、SBD7との間隔dが0.4mmまたは2.0mmになるようにして、直径1.5mmの円柱状のアルミニウム合金から成るの金属部材8を設けた。この金属部材8は、図5に示すように、筐体の側壁50に形成された貫通孔に固定することによって、SBD7との間隔dを調整できるようにした。
【0081】
上記構成のパルス変調器について、スペクトラムアナライザを用いて76〜77GHzの高周波帯域で、SBD7に順方向にバイアス電圧を印加した場合(SBD7:オン状態、高周波信号:SBD7に吸収されてオフ状態となる)と、SBD7にバイアス電圧を印加しない場合(SBD7:オフ状態、高周波信号:SBD7に反射されてオン状態となる)とについて、高周波信号のオン/オフ比(アイソレーション特性)を測定した結果を図9に示す。
【0082】
本実施例では、76.5±0.5GHzを目的の周波数としており、金属部材8とSBD7との間隔dを調整することにより、15dB以上の幅でオン/オフ比を変化させることができた。
【0083】
なお、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を行なうことは何等差し支えない。
【0084】
【発明の効果】
本発明のパルス変調器は、ショットキーバリアダイオードのモードサプレッサと反対側に、ショットキーバリアダイオードに対向する面を有する金属部材が近接配置されていることから、パルス変調させる周波数やパルス変調用スイッチの動作周波数を簡易な構成でもって制御して、発振周波数とパルス変調させる周波数とを容易に整合させることができる。その結果、良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、ミリ波レーダー等に適用した際に正確な探知が可能となるものとなる。
【0085】
また、従来のような空隙や誘電体シートを用いずにパルス変調器を所望の周波数で動作させるためのインピーダンスの整合が可能となり、さらにはパルス変調器をミリ波レーダー等に組み込んだ後に、ネジ状の金属柱等から成る金属部材を筐体や容器の壁部の貫通孔より挿入しその突出長さを調整することによってパルス変調用スイッチの動作周波数を所望の値に再現性良く安定して制御することができる。
【0086】
本発明のパルス変調器は、好ましくは金属部材は金属柱から成り、一端面をショットキーバリアダイオードに対向させて近接配置されていることから、金属部材の一端面とショットキーバリアダイオードとの間の間隔を調整することにより、きわめて容易にパルス変調用スイッチの動作周波数を制御することができる。この金属部材をネジ状の金属柱とすれば、そのネジ込み長さを微妙に調整することでパルス変調用スイッチの動作周波数を高い精度で制御することができる。
【0087】
本発明のパルス変調器は、好ましくはモードサプレッサとパルス変調用スイッチとの間に、モードサプレッサと略同じ幅の中間誘電体線路が介装されていることから、中間誘電体線路の長さや誘電率および金属部材によってパルス変調用スイッチの動作周波数を制御でき、制御可能な周波数幅が広がるという作用効果を有する。
【0088】
本発明の送受信アンテナを有するミリ波送受信器は、ミリ波信号の良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、ミリ波レーダー等に適用した際に正確な探知が可能なものとなる。また、本発明の送信アンテナおよび受信アンテナを有するミリ波送受信器は、ミリ波信号の良好なASK変調が可能となってミリ波信号のアイソレーション特性が向上し、ミリ波レーダー等に適用した際に正確な探知が可能なものとなるとともに、送信アンテナと受信アンテナとが独立していることから、送信アンテナで受信されて混入した受信波がミキサーへ混入することがなく、ノイズが低減されてより正確な探知が可能なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の非放射性誘電体線路用のパルス変調器の透視斜視図、(b)は(a)のパルス変調器の平面図である。
【図2】本発明のパルス変調器に用いられるパルス変調用スイッチの正面図である。
【図3】非放射性誘電体線路の基本構成を示し、内部を一部透視したものの斜視図である。
【図4】(a)は従来の非放射性誘電体線路用のパルス変調器の斜視図、(b)は(a)のパルス変調器の平面図である。
【図5】本発明のミリ波送受信器について実施の形態の例を示す平面図である。
【図6】本発明のミリ波送受信器について実施の形態の他の例を示す平面図である。
【図7】本発明の電圧制御型のミリ波信号発振部の斜視図である。
【図8】図7のミリ波信号発振部用のバラクタダイオードを設けた配線基板の斜視図である。
【図9】本発明のパルス変調器のアイソレーション特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1a〜1c:モードサプレッサ
2:フェライト円板
5:配線基板
7:ショットキーバリアダイオード
8:金属部材
Claims (5)
- 高周波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体間に、該平行平板導体のそれぞれの内面に互いに対向させて設置された2枚のフェライト板の周縁に略放射状に複数配置された、LSMモードの電磁波を伝送するとともにLSEモードの電磁波を遮断する誘電体線路からなるモードサプレッサと、該モードサプレッサの一方の端面に設置されたインピーダンス整合部材とからなるサーキュレータが設けられており、誘電体配線基板上のチョーク型バイアス供給線路の中途にショットキーバリアダイオードを接続したパルス変調用スイッチの前記ショットキーバリアダイオードを、前記複数のモードサプレッサのうちの一つの他方の端面に対向させるとともに、前記ショットキーバリアダイオードのバイアス電圧印加方向が前記LSMモードの電磁波の電界方向に合致するように設置した非放射性誘電体線路用のパルス変調器において、前記ショットキーバリアダイオードの前記モードサプレッサと反対側に、前記ショットキーバリアダイオードに対向する面を有する金属部材が近接配置されていることを特徴とする非放射性誘電体線路用のパルス変調器。
- 前記金属部材は、金属柱から成り、一端面を前記ショットキーバリアダイオードに対向させて近接配置されていることを特徴とする請求項1記載の非放射性誘電体線路用のパルス変調器。
- 前記モードサプレッサと前記パルス変調用スイッチとの間に、前記モードサプレッサと略同じ幅の中間誘電体線路が介装されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の非放射性誘電体線路用のパルス変調器。
- 送信用のミリ波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体間に、
高周波発生素子から出力され周波数変調されたミリ波信号を伝搬させる第1の誘電体線路と、
該第1の誘電体線路に付設され、前記高周波発生素子から出力された高周波信号を周期的に周波数変調してミリ波信号として出力し前記第1の誘電体線路中を伝搬させるミリ波信号発振部と、
前記第1の誘電体線路に一端側が電磁結合するように近接配置されるかまたは前記第1の誘電体線路に一端が接合されて、前記ミリ波信号の一部をミキサー側へ伝搬させる第2の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第1の接続部,第2の接続部および第3の接続部を有する第1のサーキュレータであって、前記第1の誘電体線路の前記ミリ波信号の出力端に前記第1の接続部が接続される第1のサーキュレータと、
該第1のサーキュレータの前記第2の接続部に一端が接続され、前記ミリ波信号をパルス変調するショットキーバリアダイオードが他端に接続された第3の誘電体線路と、
前記第1のサーキュレータの前記第3の接続部に一端が接続された第4の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第4の接続部,第5の接続部および第6の接続部を有する第2のサーキュレータであって、前記第4の接続部に前記第4の誘電体線路の他端が接続された第2のサーキュレータと、
該第2のサーキュレータの前記第5の接続部に一端が接続され、ミリ波信号を伝搬させるとともに先端部に送受信アンテナを有する第5の誘電体線路と、
前記送受信アンテナで受信され前記第5の誘電体線路を伝搬して前記第2のサーキュレータの前記第6の接続部より出力した受信波をミキサー側へ伝搬させる第6の誘電体線路と、
前記第2の誘電体線路の中途と前記第6の誘電体線路の中途とを近接させて電磁結合させるかまたは接合させて成り、ミリ波信号の一部と受信波とを混合させて中間周波信号を発生させるミキサーと
を具備しており、
前記第1および第2のサーキュレータが請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のパルス変調器を構成していることを特徴とするミリ波送受信器。 - 送信用のミリ波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体間に、
高周波発生素子から出力され周波数変調されたミリ波信号を伝搬させる第1の誘電体線路と、
該第1の誘電体線路に付設され、前記高周波発生素子から出力された高周波信号を周期的に周波数変調して送信用のミリ波信号として出力し前記第1の誘電体線路中を伝搬させるミリ波信号発振部と、
前記第1の誘電体線路に一端側が電磁結合するように近接配置されるかまたは前記第1の誘電体線路に一端が接合されて、前記ミリ波信号の一部をミキサー側へ伝搬させる第2の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第1の接続部,第2の接続部および第3の接続部を有する第1のサーキュレータであって、前記第1の誘電体線路の前記ミリ波信号の出力端に前記第1の接続部が接続される第1のサーキュレータと、
該第1のサーキュレータの第2の接続部に一端が接続され、前記ミリ波信号のパルス変調を行なうショットキーバリアダイオードが他端に接続された第3の誘電体線路と、
前記第1のサーキュレータの前記第3の接続部に一端が接続され、ミリ波信号を伝搬させるとともに先端部に送信アンテナを有する第4の誘電体線路と、
先端部に受信アンテナ、他端部にミキサーが各々設けられた第5の誘電体線路と、
前記第2の誘電体線路の中途と前記第5の誘電体線路の中途とを近接させて電磁結合させるかまたは接合させて成り、ミリ波信号の一部と受信波とを混合させて中間周波信号を発生させるミキサーとを具備しており、
前記第1のサーキュレータが請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のパルス変調器を構成していることを特徴とするミリ波送受信器。
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