JP3722804B2 - 非放射性誘電体線路用のサーキュレータおよびそれを用いたミリ波送受信器 - Google Patents
非放射性誘電体線路用のサーキュレータおよびそれを用いたミリ波送受信器 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非放射性誘電体線路型のミリ波集積回路,ミリ波レーダモジュール等に組み込まれ、複数の誘電体線路間で高周波信号の伝搬路を変換させるサーキュレータ、およびそれを用いた非放射性誘電体線路型のミリ波送受信器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、マイクロ波やミリ波の高周波信号を伝送させるためには金属導波管が多用されてきたが、近年の高周波モジュールの小型化の要求により、誘電体線路を高周波信号の導波路として用いた高周波モジュールが開発されている。なかでも、高周波信号の伝送損失の少ない非放射性誘電体線路(Nonradiative Dielectric Waveguideで、以下NRDガイドともいう)が注目されている。NRDガイドの基本構成を図2に示す。同図に示すように、所定の間隔aでもって平行配置された平行平板導体11,12の間に、断面形状が長方形等の矩形状の誘電体線路13を配置した構成であり、この間隔aが高周波信号の波長λに対してa≦λ/2であれば、外部から誘電体線路13へのノイズの侵入をなくしかつ外部への高周波信号の放射をなくして、誘電体線路13中で高周波信号を効率良く伝搬させることができる。なお、高周波信号の波長λは使用周波数における空気中(自由空間)での波長である。
【0003】
このようなNRDガイドに組み込まれる、高周波信号のサーキュレータの従来例を図3に示す(下記の非特許文献1参照)。同図において、20a、20b、20cはテフロン(R)、ポリスチレン等からなる誘電体線路、21は各誘電体線路20a〜20cの先端部に設けられ、LSE(Longitudinal Section Electric)モードの電磁波を遮断するモードサプレッサ、22はモードサプレッサ21の先端が接続され、周囲に誘電体線路20a〜20cが120°の角度間隔で放射状に配置されるサーキュレータ用の2枚のフェライト円板、23はモードサプレッサ21の内部に配置され、銅箔等からなるストリップ線路導体であり、電界が平行平板導体の主面に垂直方向(図3では縦方向)であるLSEモードの電磁波を遮断する。また、ストリップ導体線路23はTEM(Transverse Electro Magnetic)モードを除去するためにλ/4チョークパターンが施されている。
【0004】
そして、誘電体線路20a中を伝搬してきた電磁波は、フェライト円板22によって波面が反時計方向に回転され誘電体線路20bへ伝搬され、誘電体線路20cへは伝搬しない。同様に誘電体線路20b中を伝搬してきた電磁波は、誘電体線路20cへ伝搬される。このようにして、電磁波の伝搬路が変換される。
【0005】
また、上記のサーキュレータを一つの接続用誘電体線路の両端にそれぞれ接続した2段型のサーキュレータ(下記の非特許文献2参照)が知られており、2段型のサーキュレータによって高周波信号を振幅変調またはスイッチング制御するようにしたミリ波送受信器やミリ波レーダが開発されている。
【0006】
【非特許文献1】
米山 務,「非放射性誘電体線路を用いたミリ波集積回路」電子情報通信学会論文誌 C−1 Vol.J73−C−1 No.3 1990年3月 pp.87−94
【非特許文献2】
Futoshi Kuroki,Masayuki Sugioka,Shinji Matsukawa,Kengo Ikeda,Tsukasa Yoneyama,"High−speed ASK transceiver based on the NRD−guide Technology at 60−GHz band",IEEE Transaction on Microwave Theory and Technology,USA,IEEE,June 1998,Vol.46,No.6,pp806−810.
【非特許文献3】
馬場潤寧、久米千佳夫、太郎丸眞、黒木太司、米山務,「経路切換型60GHz帯NRDガイドBPSK変調器の試作」1998年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会 C−2−27,電子情報通信学会,1998年9月,P53
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図3のサーキュレータにおいては、平行平板導体の外面のフェライト板が位置する部位に一対の磁石を互いに吸引し合う磁極の向きで配置する必要があり、また2段型のサーキュレータの場合2対の磁石を設けていたが、2段型のサーキュレータの場合には以下のような問題点があった。
【0008】
即ち、2段型のサーキュレータの各サーキュレータについて高周波信号の伝搬方向(電磁波の波面の回転方向)を同じにするために2対の磁石のS極とN極の位置を同じにした場合、2対の磁石が近接しているので、一つの平行平板導体において磁石間の反発力で磁石の設置が困難になる。そのため、磁石の設置を容易にするために2対の磁石間の距離を大きくすると、ミリ波モジュールが大型化するという問題があった。
【0009】
そこで、2対の磁石の設置を容易にする構成として、2対の磁石のS極とN極の位置を逆にすることが提案されている(非特許文献3参照)。しかし、2対の磁石間でS極とN極の位置を逆にすると、サーキュレータ間で高周波信号の伝搬方向が逆転するという特性がある。例えば、図3で誘電体線路20aから誘電体線路20bへの伝搬が、誘電体線路20aから誘電体線路20cへの伝搬となる。そのため、2つのサーキュレータで高周波信号の伝搬方向が逆になり、ローカル信号(送信用のミリ波信号の一部)と受信信号とを混合させて中間周波数信号を出力させるミキサー回路等を構成することが困難になるという問題があった。
【0010】
そこで、本出願人は、2段型のサーキュレータにおいて、平行平板導体の外面に、磁力線が平行平板導体の内面に略垂直になっている領域内に全てのフェライト板が存在するように一対の磁石が設置されているNRDガイド用のサーキュレータを提案した(特願2002−14789号)。さらに、高効率振幅変調器を作製するために、3段型のサーキュレータを提案した(特願2002−361333号)。
【0011】
しかしながら、より高機能のミリ波送受信器を作製できるように平行平板導体の外面に信号処理回路を設けたり、ミリ波送受信器の電磁シールド性を向上させるためにミリ波送受信器自体を金属ケースに収納すると、サーキュレータ用の磁石が、周囲の金属製部品や金属ケースに引き寄せられて外れ易くなっているうえ、さらにミリ波送受信器を激しい振動が加わる車載用ミリ波レーダ等として使用すると、外れたり破損したりする危険性があった。
【0012】
また、磁石が外れるのを防止するために磁石の外側からカバーをねじ止めするなどの方法がとられたが、磁力線の乱れや等の悪影響が生じるとともにカバーの増加による組立の煩雑さが問題となった。
【0013】
さらに、樹脂接着剤等の接着剤で磁石を平行平板導体の外面に接着するために磁石の主面に接着剤を塗布して接着すると、平行平板導体の外面と磁石の主面との間に接着剤による空隙が形成され、フェライト板に印加すべき磁力が低下したり、磁力線が乱されるという問題があった。また、接着剤の量を少なくすると接着効果が低下するという問題があった。
【0014】
従って、本発明は上記事情に鑑みて完成されたものであり、その目的は、サーキュレータ用の磁石を平行平板導体の凹部に隙間無く設置し強固に固定できるとともにサーキュレータ特性を安定して得られるものとすることにある。また、サーキュレータを用いたミリ波送受信器が振動の激しい車載用等として使用されても、磁石が平行平板導体に強固に設置されて外れず、安定的に作動できるものとすることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の非放射性誘電体線路用のサーキュレータは、高周波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置された平行平板導体間に、該平行平板導体のそれぞれの内面に互いに対向させて設置された2枚のフェライト板の周縁に放射状に複数配置された、LSMモードの電磁波を伝送するとともにLSEモードの電磁波を遮断するモードサプレッサが設けられた誘電体線路を有しているサーキュレータにおいて、前記平行平板導体は、それぞれ外面に平面視で前記フェライト板を覆う凹部が形成されており、該凹部に前記磁石が嵌着されているとともに前記凹部の開口側の内周面に前記磁石の側面が接着されていることを特徴とする。
【0016】
本発明のサーキュレータは、平行平板導体は、それぞれ外面に平面視でフェライト板を覆う凹部が形成されており、凹部に磁石が嵌着されているとともに凹部の開口側の内周面に磁石の側面が接着されていることから、磁石は凹部に隙間なく強固に接着剤で嵌着されるため、NRDガイドを用いた高機能のミリ波送受信器を構成するために平行平板導体の外面に信号処理回路を設けたり、電磁シールド性を向上させるためにミリ波送受信器自体を金属ケースに収納した際に、サーキュレータ用の磁石が周囲の金属製部品や金属ケースに引き寄せられて外れるのを防ぐことができる。その結果、ミリ波送受信器を激しい振動が加わる車載用に使用しても、磁石が平行平板導体から外れたり破損したりするのを防ぐことができる。また、磁石の外れ防止用のカバーをねじ止めすることも不要となり、組立の煩雑さを解消できるとともに、磁石の磁力線に悪影響を与えることも解消される。
【0017】
さらに、磁石はその側面が凹部の内周面の開口側に接着されていることから、磁石の主面と凹部の底面との間にまったく隙間が生じず、その結果、フェライト板に印加すべき磁力が低下したり磁力線が乱されることもなくなり、安定したサーキュレータ特性が得られる。
【0018】
また、凹部は平面視でフェライト板を覆う大きさであるとともにその凹部に磁石が嵌着されていることから、フェライト板の全面において磁力線が直交するように発生するため、高周波信号の伝搬損失が抑えられた高特性のサーキュレータ特性が得られる。
【0019】
本発明のサーキュレータにおいて好ましくは、前記サーキュレータは、接続用誘電体線路を介して3つが連続して接続されており、前記平行平板導体は、それぞれ外面に平面視で全ての前記サーキュレータの前記フェライト板を覆う凹部が形成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明のサーキュレータは、好ましくは、接続用誘電体線路を介して3つが連続して接続されており、平行平板導体は、それぞれ外面に平面視で全てのサーキュレータのフェライト板を覆う凹部が形成されていることから、3段型のサーキュレータのそれぞれにおいて、高周波信号(電磁波)の波面の回転方向が同じになるため、サーキュレータが組みこまれるミリ波送受信器やミリ波レーダモジュールにおけるミキサー回路等が容易に構成でき、製造が容易化されて量産性に優れたものとなる。また、各サーキュレータを互いに近接させて配置できるので、小型の3段型のサーキュレータとなる。さらに、3段型のサーキュレータは磁力線が平行平板導体の内面に直交している領域内に配置されることから、サーキュレータにおける高周波信号の伝搬損失が小さくなり、良好な伝搬特性が得られる。
【0021】
本発明のサーキュレータにおいて好ましくは、前記接続用誘電体線路は、全体がモードサプレッサとされていることを特徴とする。
【0022】
本発明のサーキュレータは、好ましくは接続用誘電体線路は全体がモードサプレッサとされていることから、各サーキュレータで接続用誘電体線路のモードサプレッサを共用することができ、その結果、接続用誘電体線路を短くすることができるため、小型のサーキュレータとなるとともに、接続用誘電体線路における高周波信号の伝送損失が大幅に小さくなる。
【0023】
本発明のミリ波送受信器は、
送信用のミリ波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体間に、
高周波発生素子から出力され周波数変調されたミリ波信号を伝搬させる第1の誘電体線路と、
該第1の誘電体線路に付設され、前記高周波発生素子から出力された高周波信号を周期的に周波数変調して送信用のミリ波信号として出力し前記第1の誘電体線路中を伝搬させるミリ波信号発振部と、
前記第1の誘電体線路に一端側が電磁結合するように近接配置されるかまたは前記第1の誘電体線路に一端が接合されて、前記ミリ波信号の一部をミキサー側へ伝搬させる第2の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第1の接続部,第2の接続部および第3の接続部を有する第1のサーキュレータであって、前記第1の誘電体線路の前記ミリ波信号の出力端に前記第1の接続部が接続される第1のサーキュレータと、
該第1のサーキュレータの前記第2の接続部に一端が接続され、前記ミリ波信号を振幅変調するショットキーバリアダイオードが他端に接続された第3の誘電体線路と、
前記第1のサーキュレータの前記第3の接続部に一端が接続された第4の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第4の接続部,第5の接続部および第6の接続部を有する第2のサーキュレータであって、前記第4の接続部に前記第4の誘電体線路の他端が接続された第2のサーキュレータと、
前記第2のサーキュレータの前記第5の接続部に一端が接続され、前記ミリ波信号を振幅変調するショットキーバリアダイオードが他端に接続された第5の誘電体線路と、
前記第2のサーキュレータの前記第6の接続部に一端が接続された第6の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第7の接続部,第8の接続部および第9の接続部を有する第3のサーキュレータであって、前記第7の接続部に前記第6の誘電体線路の他端が接続された第3のサーキュレータと、
該第3のサーキュレータの前記第8の接続部に一端が接続され、ミリ波信号を伝搬させるとともに先端部に送受信アンテナを有する第7の誘電体線路と、
前記送受信アンテナで受信され前記第7の誘電体線路を伝搬して前記第3のサーキュレータの前記第9の接続部より出力した受信波をミキサー側へ伝搬させる第8の誘電体線路と、
前記第2の誘電体線路の中途と前記第8の誘電体線路の中途を近接させて電磁結合させるかまたは接合させて成り、前記ミリ波信号の一部と受信波とを混合させて中間周波信号を発生させるミキサーとを具備しており、
前記第1〜3のサーキュレータが上記本発明のサーキュレータであることを特徴とする。
【0024】
本発明のミリ波送受信器は、上記の構成により、信頼性の高い安定したサーキュレータ特性が得られるとともに、ミリ波信号の良好な伝搬特性が得られるためミリ波レーダ等に適用した場合にその探知距離が増大する。
【0025】
また本発明のミリ波送受信器は、
送信用のミリ波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体間に、
高周波発生素子から出力され周波数変調されたミリ波信号を伝搬させる第1の誘電体線路と、
該第1の誘電体線路に付設され、前記高周波発生素子から出力された高周波信号を周期的に周波数変調して送信用のミリ波信号として出力し前記第1の誘電体線路中を伝搬させるミリ波信号発振部と、
前記第1の誘電体線路に一端側が電磁結合するように近接配置されるかまたは前記第1の誘電体線路に一端が接合されて、前記ミリ波信号の一部をミキサー側へ伝搬させる第2の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第1の接続部,第2の接続部および第3の接続部を有する第1のサーキュレータであって、前記第1の誘電体線路の前記ミリ波信号の出力端に前記第1の接続部が接続される第1のサーキュレータと、
該第1のサーキュレータの前記第2の接続部に一端が接続され、前記ミリ波信号を振幅変調するショットキーバリアダイオードが他端に接続された第3の誘電体線路と、
前記第1のサーキュレータの前記第3の接続部に一端が接続された第4の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第4の接続部,第5の接続部および第6の接続部を有する第2のサーキュレータであって、前記第4の接続部に前記第4の誘電体線路の他端が接続された第2のサーキュレータと、
前記第2のサーキュレータの前記第5の接続部に一端が接続され、前記ミリ波信号を振幅変調するショットキーバリアダイオードが他端に接続された第5の誘電体線路と、
前記第2のサーキュレータの前記第6の接続部に一端が接続された第6の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第7の接続部,第8の接続部および第9の接続部を有する第3のサーキュレータであって、前記第7の接続部に前記第6の誘電体線路の他端が接続された第3のサーキュレータと、
該第3のサーキュレータの前記第8の接続部に一端が接続され、ミリ波信号を伝搬させるとともに先端部に送信アンテナを有する第7の誘電体線路と、
前記第3のサーキュレータの前記第9の接続部に接続され、前記送信アンテナで受信混入した受信波を伝搬させるとともに先端部に設けられた無反射終端部で前記受信波を減衰させる第8の誘電体線路と、
先端部に受信アンテナ、他端部にミキサーが各々設けられた第9の誘電体線路と、
前記第2の誘電体線路の中途と前記第9の誘電体線路の中途を近接させて電磁結合させるかまたは接合させて成り、前記ミリ波信号の一部と受信波とを混合させて中間周波信号を発生させるミキサーとを具備しており、
前記第1〜3のサーキュレータが上記本発明のサーキュレータであることを特徴とする。
【0026】
本発明のミリ波送受信器は、上記の構成により、信頼性の高い安定したサーキュレータ特性が得られるとともに、ミリ波信号の良好な伝搬特性が得られるためミリ波レーダ等に適用した場合にその探知距離が増大する。さらに、送信アンテナと受信アンテナとが独立して設けられているため、送信用のミリ波信号がミキサーに混入することが防止されることで、受信信号のノイズが低減してミリ波信号の伝送特性により優れており、ミリ波レーダ等に適用した場合にその探知距離がさらに増大したものとなる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明のNRDガイド用のサーキュレータ(Circulatorで、以下CLTともいう)およびミリ波送受信器としてのミリ波レーダモジュールについて以下に詳細に説明する。図1は本発明のCLTの透視斜視図であり、同図において、4a〜4eは誘電体線路であり、それらの先端部にはLSEモードの電磁波を遮断するモードサプレッサ1a〜1eが設けられている。モードサプレッサ1a〜1eの内部には、図3に示した銅箔等からなるストリップ線路導体が設けられており、ストリップ線路導体は、TEMモードを除去するためにλ/4チョークパターンが施されている。5a、5bは対向配置された一対のフェライト円板2a,2b、およびフェライト円板2b,2cをそれぞれ接続する接続用誘電体線路であり、その内部には図3のストリップ線路導体が設けられており、LSEモードの電磁波を遮断するモードサプレッサとしての機能も有している。
【0028】
なお、モードサプレッサ1a〜1e、接続用誘電体線路5a、5bの先端にインピーダンス整合用の誘電体板6(図4)や短い誘電体線路を接続しても良い。また、2a、2b、2cはそれぞれ、その周囲に誘電体線路4a〜4eおよび接続用誘電体線路5a、5bが120°の等角度間隔で放射状に配置されるCLT用の一対のフェライト円板である。
【0029】
本発明のCLTは、高周波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置された平行平板導体7(図4)間に、平行平板導体7のそれぞれの内面に互いに対向させて設置された2枚のフェライト円板2a(2b,2c)の周縁に放射状に複数配置された、LSMモードの電磁波を伝送するとともにLSEモードの電磁波を遮断するモードサプレッサ1a〜1eが設けられた誘電体線路4a〜4eを有しているものにおいて、平行平板導体7は、それぞれ外面に平面視でフェライト円板2a〜2cを覆う凹部が形成されており、凹部に磁石3が嵌着されているとともに凹部の開口側の内周面に磁石3の側面が接着されている。
【0030】
また、本発明のCLTにおいて好ましくは、図4に示すように、接続用誘電体線路5a,5bを介して3つが連続して接続されており、平行平板導体7は、それぞれ外面に平面視で全てのサーキュレータのフェライト円板2a〜2cを覆う凹部が形成されている。
【0031】
本発明における磁石3は板状のものであり、図5(a),(b)に示すように、その主面の形状は円形、四角形等の多角形である。また、磁石3において、磁力線が平行平板導体7の内面に直交している領域は、平行平板導体7の内面側の主面のうち、磁力線が曲がりやすく所望の磁束密度が得られない外周端部の領域以外の中央領域である。この中央領域は平行平板導体7間の間隔にもよるので、一概には規定できないが、外周端から1.0mm程度以上中央側であれば十分であり、また中央領域では所望の磁束密度が得られる。この中央領域内にフェライト円板2a〜2cが存在するように配置する。
【0032】
そして、磁石3を固定する樹脂接着剤等の接着剤は、磁石3間の距離を変化させたり、磁石3を傾けたりすることのないように、平行平板導体7に設けられた凹部の内周面の開口側に塗布される。この部分は磁力線が平行平板導体7の内面に直交している領域から離れており、また磁石3の下側主面と凹部の底面に隙間が生じないように接着できる。また、接着状態を外部から容易に確認できるため、接着効果の長期信頼性を確保するためにも効果的である。好ましくは、図4に示すように、磁石3の上側主面と凹部の開口との高さを0.1〜3.0mm程度異なるようにして、接着剤のメニスカスが形成されるようにすることが効果的である。0.1mm未満では接着剤のメニスカスが十分に形成されず、3.0mmを超えると接着剤のメニスカスは十分に形成されるが、磁石3が厚くなりすぎて突出部が他の部品に接触したり、磁石3が薄くなりすぎて強度が低下する。
【0033】
また、接着剤としては、高温高湿耐久性を有したエポキシ樹脂から成る樹脂接着剤を用いるのが好ましいが、高温高湿耐久性を有するものであれば他の接着剤でも良い。
【0034】
本発明のCLTは、例えば誘電体線路4a中を伝搬してきた高周波信号(電磁波)はフェライト円板2aによって波面が時計方向に回転されて誘電体線路4bへ伝搬され、誘電体線路5aへは伝搬しない。同様に、誘電体線路4b中を伝搬してきた電磁波は、誘電体線路5aへ伝搬される。このようにして電磁波の伝搬路が変換される。
【0035】
また、フェライト円板2a〜2cの全体に対して一対の磁石を設けているため、フェライト円板2b,2cにおいてもフェライト円板2aと同様の伝搬路の変換が行われる。即ち、誘電体線路4c中を伝搬してきた電磁波は、フェライト円板2bによって波面が時計方向に回転されて誘電体線路5bへ伝搬され、誘電体線路5aへは伝搬しない。同様に、誘電体線路4d中を伝搬してきた電磁波は誘電体線路4eへ伝搬される。フェライト円板2a〜2cの主面に磁力線が直交するように印加される直流磁界のS極とN極の位置を逆にすると、高周波信号の波面の回転方向も逆転する。
【0036】
本発明において、図4に示すように、2枚一対(3対で6枚)の同一形状のフェライト円板2a〜2cは、平行平板導体7の内面に対してその主面が平行にかつ同心状に対向配置されるが、平行平板導体7の内面にそれらの主面が接していても良く、また平行平板導体7の内面から所定間隔をあけて設置しても良い。なお、図1のものは、2枚1対のフェライト円板2a〜2cは、その主面とモードサプレッサ1a〜1eの主面とは面一とされ、それらは平行平板導体7の内面に接した状態である。
【0037】
フェライト円板2a〜2cの厚さは、自動車用のミリ波レーダで使用される77GHz帯域において比誘電率13のフェライトを使用した場合、0.15〜0.30mmが良い。0.15mm未満では、フェライト円板2a〜2cの強度が低下して取り扱いが困難になる。0.30mmを超えると、通過帯域のずれを防ぐためにその直径を小さくしなければならず、直径が小さくなるとCLTのアイソレーションが劣化する。また、フェライト円板2a〜2cの直径は1〜3mmが良く、1mm未満ではCLTのアイソレーションが劣化し、3mmを超えると通過帯域がずれないようにその厚さを薄くする必要があるが、厚さが0.15mm未満になると取扱いが困難になる。
【0038】
また、フェライト円板2a〜2cの代わりに正多角形のフェライト板を用いても良く、その場合、一つのフェライト板に接続される誘電体線路の本数をn本(nは2以上の整数)とすると、その平面形状は正m角形(mは3以上の整数)である。
【0039】
なお、フェライト円板2a〜2cの主面に対して、平行平板導体7の外面側から355500A/m程度の直流磁界を印加する永久磁石や電磁石等からなる磁石3を設けることにより、フェライト円板2a〜2cはCLTとして機能する。
【0040】
本発明において、誘電体線路4a〜4e、接続用誘電体線路5a,5bの材料は、テフロン(R),ポリスチレン等の樹脂、または低比誘電率のコーディエライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)セラミックス,アルミナ(Al2O3)セラミックス,ガラスセラミックス等のセラミックスが好ましく、これらは高周波帯域において低損失である。
【0041】
本発明において、接続用誘電体線路5a,5bはその全体がモードサプレッサとされていることが好ましい。即ち、接続用誘電体線路5a,5b自体がモードサプレッサとなっていることが良い。これにより、各CLTで接続用誘電体線路5a,5bのモードサプレッサを共有することができ、その結果、接続用誘電体線路5a,5bを短くすることができるため、小型のCLTとなる。また、各CLTで接続用誘電体線路5a,5bのモードサプレッサを共用するとともに接続用誘電体線路5a,5bが短くなるため、接続用誘電体線路5a,5bにおける高周波信号の伝送損失が大幅に小さくなる。
【0042】
本発明でいう高周波帯域は、数10〜数100GHz帯域のマイクロ波帯域やミリ波帯域に相当し、例えば30GHz以上、特に50GHz以上、さらには70GHz以上の高周波帯域が好適である。特に、76〜77GHzが好ましく、この場合、本発明のCLTに付随した振幅変調器を作動周波数が76〜77GHz程度である自動車用のミリ波レーダモジュール等のミリ波送受信器に用いた場合、発振器の発振周波数が温度等で変化しても広い帯域で高周波信号の高い透過特性が得られるものとなる。
【0043】
本発明のNRDガイド用の平行平板導体7は、高い電気伝導度および加工性等の点で、Cu,Al,Fe,Ag,Au,Pt,SUS(ステンレススチール),真鍮(Cu−Zn合金)等の導体板、またはセラミックス,樹脂等から成る絶縁板の表面にこれらの導体層を形成したものでもよい。
【0044】
また、本発明のNRDガイドは、高周波発生素子としてガンダイオード等の高周波ダイオードを用い、高周波発生素子から出力された高周波信号の伝搬路に設けられたバラクタダイオード等の可変容量ダイオードのバイアス電圧を電圧制御することによって周波数変調する電圧制御発振器(Voltage Control Oscillator:VCO)、あるいはVCOモジュールを組み込むことによって、無線LAN,自動車のミリ波レーダ等に使用される。例えば、自動車の周囲の障害物および他の自動車に対しミリ波信号を照射し、反射波を元のミリ波信号と合成して中間周波信号を得、この中間周波信号を分析することにより、障害物および他の自動車までの距離、それらの移動速度等が測定できる。
【0045】
そして、本発明のCLTに付随した振幅変調器は、2つのCLTにそれぞれ設けられたショットキーバリアダイオード(以下、SBDともいう)に入力する順方向電流をそれぞれ制御することにより、所定値以上のオン/オフ比が得られるようにすることができる。また、高周波帯域においてアイソレーション特性が改善される帯域幅が格段に広くなる。
【0046】
即ち、SBDは、順方向にバイアス電圧をかけたとき(順方向電流を流したとき:SBDオン時)は、高周波信号の大部分を吸収してその反射がほとんどなく、逆方向にバイアス電圧をかけたとき(順方向電流を流さないとき;SBDオフ時)は、高周波信号の大部分を反射するものであるが、SBDのオフ時の高周波信号の反射特性は高周波信号の入力パワー(電圧振幅)によって変化するため、高周波信号のある入力パワーに対して最大のオン/オフ比が得られる最適な順方向電流値が存在する。また、2つSBDを設けた場合、双方ともオンかオフとされて駆動されるが、第1のCLT側のSBDに順方向にバイアス電圧をかけたとき、SBDで大部分吸収され反射された高周波信号の入力パワーは相当に低下しているので、第2のCLT側のSBDでは、その低下した高周波信号の入力パワーにおいて最大の吸収特性が得られる順方向電流値とする必要がある。これにより、2つのCLTを通過した高周波信号について所定値以上のオン/オフ比が得られることとなる。
【0047】
また、SBDは高周波信号の周波数および温度によりオン/オフ比が変化するため、第1のCLT側のSBDの順方向電流値をある周波数および温度で最適値とすることはできるが、第1のCLT側のSBDで大部分吸収され反射された高周波信号の入力パワーは周波数および温度により変化するため、第2のCLT側のSBDではその変化を考慮した制御を行なう必要がある。このような周波数および温度による変化を加味した第2のCLT側のSBDの制御は、周波数および温度の変化に完全に追随できない場合もあり、後述するように2つのCLTで所定値以上のオン/オフ比が得られるように近似的に制御することができる。これにより、2つのCLTを通過した高周波信号について所定値以上のオン/オフ比が得られる。
【0048】
上記の所定値以上のオン/オフ比とは、例えば2つのCLTで合わせて20dB以上であり、20dB未満ではオン/オフ比(アイソレーション)が小さいため十分なS/N比がとれず、CLTをミリ波レーダに組みこんだ場合に最大探知距離が不十分であったり、誤探知が生ずる可能性がある。
【0049】
そして、2つのCLTで合わせて20dB以上のオン/オフ比を得る2つの場合について以下に説明する。
【0050】
第1の場合として、SBDの入力パワー依存性が入力パワー1dBの変化に対してオン/オフ比が1dB以下である場合、第2のCLT側のSBDの順方向電流を第1のCLT側のSBDによって10dB低下したパワーで最大のオン/オフ比(10dB以上)が得られるように設定する。これにより、2つのCLTで合わせて20dB程度のオン/オフ比が得られる。
【0051】
第2の場合として、SBDの入力パワー依存性が入力パワー1dBの変化に対してオン/オフ比が1.1dB以下である場合、第2のCLT側のSBDの順方向電流を第1のCLT側のSBDによって11dB低下したパワーで最大のオン/オフ比が得られるように設定する。このとき、第1のCLT側のSBDのオン/オフ比による高周波信号(周波数76〜77GHz)の入力パワーの低下をRT1、周波数によるRT1のずれ(低下分)をx、第2のCLT側のSBDのオン/オフ比による高周波信号の入力パワーの低下をRT2とした場合、RT1が11〜20dBのとき、下記表1のようになり、全ての場合でRT1+RT2は20dB以上得られる。
【0052】
なお、第2の場合において、SBDの入力パワー依存性が入力パワー1dBの変化に対してオン/オフ比が1.1dB以下であるとしているが、これは、入力パワー1dBの変化に対してオン/オフ比の変化は一般に1.1dB以下であることによる。また、周波数によるRT1のずれxに対して、RT2を(10−1.1×x)で線形的に規定しているが、実際には(1.1×x)の項は非線形的に変化する場合がある。即ち、厳密にはxの大きさによって1.1dBの値が変化する場合があるが、その変化量はわずかであるため、上記のように近似的に線形的に規定できる。
【0053】
【表1】
【0054】
また、温度によるRT1のずれについても同様であり、第2のCLT側のSBDの順方向電流をSBDの電流依存性に合わせて適切に設定することによって、RT1が変動しても目標とするオン/オフ比を得ることができる。
【0055】
従って、周波数によるずれおよび温度変化によるずれを考慮して上記のような制御を行なうことも可能である。
【0056】
上記のような制御を行う制御回路(図示せず)は、振幅変調器が組み込まれるNRDガイドやミリ波送受信器等の外部に設けることもできるが、平行平板導体の内面または外面に設けることが好ましく、この場合、振幅変調器が小型化され、また、制御回路とSBDとの間の信号線が短縮化されて信号線に余計なインダクタンスやキャパシタンスが発生しにくくなるためSBDを高精度に制御でき、その結果、所定値以上のオン/オフ比を得るのに有利なものとなる。
【0057】
次に、本発明のミリ波送受信器としてのミリ波レーダモジュールについて以下に説明する。
【0058】
図6〜図9は本発明のミリ波レーダモジュールを示し、図6は送信アンテナと受信アンテナとが一体化されたものの平面図、図7は送信アンテナと受信アンテナとが独立したものの平面図、図8はミリ波信号発振部の斜視図、図9はミリ波信号発振部用の可変容量ダイオード(バラクタダイオード)を設けた配線基板の斜視図である。
【0059】
図6のミリ波レーダモジュールは、送信用のミリ波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置された平行平板導体(他方は省略する)51間に高周波発生素子から出力され周波数変調されたミリ波信号を伝搬させる第1の誘電体線路53と、第1の誘電体線路53に付設され、ミリ波信号を周期的に周波数変調して送信用のミリ波信号として出力し、第1の誘電体線路53中を伝搬させるミリ波信号発振部52と、第1の誘電体線路53に一端側が電磁結合するように近接配置されるかまたは第1の誘電体線路53に一端が接合されて、ミリ波信号の一部をミキサー62側へ伝搬させる第2の誘電体線路61とが設けられている。
【0060】
また、平行平板導体51間に、平行平板導体51に平行に対向配置された2枚のフェライト板55aの周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれミリ波信号の入出力端とされた第1の接続部55a1、第2の接続部55a2および第3の接続部55a3を有する第1のCLTAであって、第1の誘電体線路53のミリ波信号の出力端に第1の接続部55a1が接続される第1のCLTAと、第1のCLTAの第2の接続部55a2に一端が接続され、ミリ波信号を振幅変調するSBDが他端部(先端部)に接続された第3の誘電体線路56と、第1のCLTAの第3の接続部55a3に一端が接続された第4の誘電体線路54cとが設けられている。
【0061】
また、平行平板導体間51に、平行平板導体51に平行に対向配置された2枚のフェライト板55bの周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれミリ波信号の入出力端とされた第4の接続部55b1、第5の接続部55b2および第6の接続部55b3を有する第2のCLTBであって、第4の誘電体線路54cのミリ波信号の出力端に第4の接続部55b1が接続される第2のCLTBと、第2のCLTBの第5の接続部55b2に一端が接続され、ミリ波信号を振幅変調するSBDが他端部(先端部)に接続された第5の誘電体線路58と、第2のCLTBの第6の接続部55b3に一端が接続された第6の誘電体線路54eとが設けられている。
【0062】
また、平行平板導体間51に、平行平板導体51に平行に対向配置された2枚のフェライト板55cの周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれミリ波信号の入出力端とされた第7の接続部55c1、第8の接続部55c2および第9の接続部55c3を有する第3のCLTCであって、第7の接続部55c1に第6の誘電体線路54eの他端が接続された第3のCLTCと、第3のCLTCの第8の接続部55c2に一端が接続され、ミリ波信号を伝搬させるとともに先端部に送受信アンテナ59aを有する第7の誘電体線路59と、送受信アンテナ59aで受信され第7の誘電体線路59を伝搬して第3のCLTCの第9の接続部55c3より出力した受信波をミキサー62側へ伝搬させる第8の誘電体線路60と、第2の誘電体線路61の中途と第8の誘電体線路60の中途とを近接させて電磁結合させるかまたは接合させて成り、ミリ波信号の一部と受信波とを混合させて中間周波数信号を発生させるミキサー62とが設けられている。
【0063】
そして、SBDがそれぞれ設けられた第1および第2のCLTA,Bが振幅変調器である。なお、図中M1は中間周波数信号を発生させるミキサー部、61aは、第2の誘電体線路61のミキサー62と反対側の端部に設けられた無反射終端部(ターミネータ)である。
【0064】
第1の誘電体線路53の一端に設けられた電圧制御型のミリ波信号発振部52は、バイアス電圧印加方向が高周波信号の電界方向に合致するように、第1の誘電体線路53の高周波発生素子(高周波ダイオード等)の近傍に配置された可変容量ダイオードのバイアス電圧を周期的に制御して、三角波、正弦波等とすることにより、周波数変調した送信用のミリ波信号として出力する。なお、高周波ダイオードと可変容量ダイオードとの組み合わせと同等の機能を有するVCO(VCOは電圧で周波数を変化させる発振器であり、例えば可変容量ダイオードを用いずにガンダイオード(高周波発生素子)のバイアス電圧を変化させるものも可能である)をミリ波信号発振部として用いることで、同じ目的を達成できる。
【0065】
なお、図6において、54a〜54gはモードサプレッサである。また、57a,57bはミリ波信号を振幅変調するSBDが設けられた配線基板であり、図9のような構成である。例えば、図9の配線基板88の一主面にチョーク型バイアス供給線路90を形成し、その中途にフリップチップ実装、バンプ実装またはハンダ実装されたSBD80を設けたスイッチである。このSBD80の順方向電流を流すまたは流さないという制御をすることにより、ミリ波信号をオフ(吸収)−オン(反射)制御(スイッチング制御)または振幅変調することができる。
【0066】
また、送受信アンテナ59aは、第7の誘電体線路59の先端をテーパー状とすることにより設けられる。または、送受信アンテナ59aは、平行平板導体51に開口を設け、平行平板導体51の外面にその開口に金属導波管を介してホーンアンテナ等のアンテナを接続した構成のものでもよい。
【0067】
第4,第6の誘電体線路54c,54eは接続用誘電体線路であり、その全体がモードサプレッサとなっている。
【0068】
また、第1の誘電体線路53は第1のCLTAの入力用誘電体線路、第3の誘電体線路56は第1のCLTAの変調用誘電体線路、第4の誘電体線路54cは第1のCLTAの出力用誘電体線路に相当する。第4の誘電体線路54cは第2のCLTBの入力用誘電体線路、第5の誘電体線路58は第2のCLTBの変調用誘電体線路、第6の誘電体線路54eは第2のCLTBの出力用誘電体線路に相当する。
【0069】
本発明のミリ波レーダモジュールの実施の形態の他の例として、送信アンテナと受信アンテナを独立させた図7のタイプがある。
【0070】
図7のものは、送信用のミリ波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置された平行平板導体(他方は省略する)78間に高周波発生素子から出力され周波数変調されたミリ波信号を伝搬させる第1の誘電体線路67と、第1の誘電体線路67に付設され、ミリ波信号を周期的に周波数変調して送信用のミリ波信号として出力し、第1の誘電体線路67中を伝搬させるミリ波信号発振部66と、第1の誘電体線路67に一端側が電磁結合するように近接配置されるかまたは第1の誘電体線路67に一端が接合されて、ミリ波信号の一部をミキサー76側へ伝搬させる第2の誘電体線路69とが設けられている。
【0071】
また、平行平板導体78間に、平行平板導体78に平行に対向配置された2枚のフェライト板70aの周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれミリ波信号の入出力端とされた第1の接続部70a1、第2の接続部70a2および第3の接続部70a3を有する第1のCLTAであって、第1の誘電体線路67のミリ波信号の出力端に第1の接続部70a1が接続される第1のCLTAと、第1のCLTAの第2の接続部70a2に一端が接続され、ミリ波信号を振幅変調するSBDが他端部(先端部)に接続された第3の誘電体線路71と、第1のCLTAの第3の接続部70a3に一端が接続された第4の誘電体線路68cとが設けられている。
【0072】
また、平行平板導体78間に、平行平板導体78に平行に対向配置された2枚のフェライト板70bの周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれミリ波信号の入出力端とされた第4の接続部70b1、第5の接続部70b2および第6の接続部70b3を有する第2のCLTBであって、第4の誘電体線路68cのミリ波信号の出力端に第4の接続部70b1が接続される第2のCLTBと、第2のCLTBの第5の接続部70b2に一端が接続され、ミリ波信号を振幅変調するSBDが他端部(先端部)に接続された第5の誘電体線路72と、第2のCLTBの第6の接続部70b3に一端が接続された第6の誘電体線路68eとが設けられている。
【0073】
また、平行平板導体78間に、平行平板導体78に平行に対向配置された2枚のフェライト板70cの周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれミリ波信号の入出力端とされた第7の接続部70c1、第8の接続部70c2および第9の接続部70c3を有する第3のCLTCであって、第7の接続部70c1に第6の誘電体線路68eの他端が接続された第3のCLTCと、第3のCLTCの第8の接続部70c2に一端が接続され、ミリ波信号を伝搬させるとともに先端部に送信アンテナ73aを有する第7の誘電体線路73と、送信アンテナ73aで受信混入した受信波を伝搬させるとともに先端部に設けられた無反射終端74aで受信波を減衰させる第8の誘電体線路74と、先端部に受信アンテナ75a、他端部にミキサー76が各々設けられた第9の誘電体線路75と、第2の誘電体線路69の中途と第9の誘電体線路75の中途とを近接させて電磁結合させるかまたは接合させて成り、ミリ波信号の一部と受信波とを混合させて中間周波数信号を発生させるミキサー76とが設けられている。
【0074】
そして、それぞれSBDが設けられた第1および第2のCLTA,Bが振幅変調器である。なお、図中M2は中間周波数信号を発生させるミキサー部、69aは、第2の誘電体線路69のミキサー76と反対側の端部に設けられた無反射終端部(ターミネータ)である。
【0075】
第1の誘電体線路67の一端に設けられた電圧制御型のミリ波信号発振部66は、バイアス電圧印加方向が高周波信号の電界方向に合致するように、第1の誘電体線路67の高周波発生素子近傍に配置された可変容量ダイオードのバイアス電圧を周期的に制御して、三角波、正弦波等とすることにより、周波数変調した送信用のミリ波信号として出力する。なお、高周波ダイオードと可変容量ダイオードとの組み合わせと同等の機能を有するVCOをミリ波信号発振部として用いることで、同じ目的を達成できる。
【0076】
なお、図7において、68a〜68gはモードサプレッサである。また、77a,77bはミリ波信号を振幅変調するSBDが設けられた配線基板であり、図9のような構成である。
【0077】
また、送信アンテナ73a、受信アンテナ75aは、第7の誘電体線路73、第9の誘電体線路75の先端をテーパー状とすることによりそれぞれ設けられる。または、送信アンテナ73a、受信アンテナ75aは、平行平板導体78に開口を設け、平行平板導体78の外面にその開口に金属導波管を介してホーンアンテナ等のアンテナを接続した構成のものでもよい。
【0078】
第4,第6の誘電体線路68c,68eは接続用誘電体線路であり、その全体がモードサプレッサとなっている。
【0079】
また、第1の誘電体線路67は第1のCLTAの入力用誘電体線路、第3の誘電体線路71は第1のCLTAの変調用誘電体線路、第4の誘電体線路68cは第1のCLTAの出力用誘電体線路に相当する。第4の誘電体線路68cは第2のCLTBの入力用誘電体線路、第5の誘電体線路72は第2のCLTBの変調用誘電体線路、第6の誘電体線路68eは第2のCLTBの出力用誘電体線路に相当する。
【0080】
図6,図7のミリ波レーダモジュール用のミリ波信号発振部52,66をガンダイオードで構成したものを図8,図9に示す。これらの図において、82は、ガンダイオード83を設置するための直方体状の金属ブロック等の金属部材、83は、ミリ波を発振する高周波ダイオードの1種であるガンダイオード、84は、金属部材82の一側面に設置され、ガンダイオード83にバイアス電圧を供給するとともに高周波信号の漏れを防ぐローパスフィルタとして機能するチョーク型バイアス供給線路84aを形成した配線基板、85は、チョーク型バイアス供給線路84aとガンダイオード83の上部導体とを接続する金属箔リボン等の帯状導体、86は、誘電体基体に共振用の金属ストリップ線路86aを設けた金属ストリップ共振器、87は、金属ストリップ共振器86により共振した高周波信号をミリ波信号発振部外へ導く誘電体線路である。
【0081】
さらに、誘電体線路87の中途には、周波数変調用ダイオードであって可変容量ダイオードの1種であるバラクタダイオード80を装荷した配線基板88を設置している。このバラクタダイオード80のバイアス電圧印加方向は、誘電体線路87での高周波信号の伝搬方向に垂直かつ平行平板導体の主面に平行な方向(電界方向)とされている。また、バラクタダイオード80のバイアス電圧印加方向は、誘電体線路87中を伝搬するLSM01モードの高周波信号の電界方向と合致しており、これにより高周波信号とバラクタダイオード80とを電磁結合させ、バイアス電圧を制御することによりバラクタダイオード80の静電容量を変化させることで、高周波信号の周波数を制御できる。また、89は、バラクタダイオード80と誘電体線路87とのインピーダンス整合をとるための高比誘電率の誘電体板である。
【0082】
また図9に示すように、配線基板88の一主面にはチョーク型バイアス供給線路90が形成され、チョーク型バイアス供給線路90の中途にバラクタダイオード80が配置される。チョーク型バイアス供給線路90のバラクタダイオード80との接続部には、接続用の電極81が形成されている。
【0083】
そして、ガンダイオード83から発振された高周波信号は、金属ストリップ共振器86を通して誘電体線路87に導出される。次に、高周波信号の一部はバラクタダイオード80部で反射されてガンダイオード83側へ戻る。この反射信号がバラクタダイオード80の静電容量の変化に伴って変化し、発振周波数が変化する。
【0084】
また、図6,図7のミリ波レーダモジュールはFMCW(Frequency Modulation Continuous Waves)方式であり、その動作原理は以下のようなものである。ミリ波信号発振部の変調信号入力用のMODIN端子に、電圧振幅の時間変化が三角波,正弦波等となる入力信号を入力し、その出力信号を周波数変調し、ミリ波信号発振部の出力周波数偏移を三角波,正弦波等になるように偏移させる。そして、送受信アンテナ59a,送信アンテナ73aより出力信号(送信波)を放射した場合、送受信アンテナ59a,送信アンテナ73aの前方にターゲットが存在すると、電波の伝搬速度の往復分の時間差をともなって、反射波(受信波)が戻ってくる。この時、ミキサー62,76の出力側のIFOUT端子には、送信波と受信波の周波数差が出力される。
【0085】
このIFOUT端子の出力周波数等の周波数成分を解析することで、Fif=4R・fm・Δf/c(Fif:IF(Intermediate Frequency:中間周波数)出力周波数,R:距離,fm:変調周波数,Δf:周波数偏移幅,c:光速)という関係式から距離を求めることができる。
【0086】
本発明のミリ波信号発振部において、チョーク型バイアス供給線路84aおよび帯状導体85の材料は、Cu,Al,Au,Ag,W,Ti,Ni,Cr,Pd,Pt等から成り、特にCu,Agが、電気伝導度が良好であり、損失が小さく、発振出力が大きくなるといった点で好ましい。
【0087】
また、帯状導体85は金属部材82の表面から所定間隔をあけて金属部材82と電磁結合しており、チョーク型バイアス供給線路84aとガンダイオード素子83間に架け渡されている。即ち、帯状導体85の一端はチョーク型バイアス供給線路84aの一端に半田付け等により接続され、帯状導体85の他端はガンダイオード素子83の上部導体に半田付け等により接続されており、帯状導体85の接続部を除く中途部分は宙に浮いた状態となっている。
【0088】
そして、金属部材82は、ガンダイオード素子83の電気的な接地(アース)を兼ねているため金属等の導体であれば良く、その材料は金属(合金を含む)であれば特に限定するものではなく、真鍮(黄銅:Cu−Zn合金),Al,Cu,SUS(ステンレススチール),Ag,Au,Pt等から成る。また金属部材82は、全体が金属から成る金属ブロック、セラミックスやプラスチック等の絶縁基体の表面全体または部分的に金属メッキしたもの、絶縁基体の表面全体または部分的に導電性樹脂材料等をコートしたものであっても良い。
【0089】
かくして、本発明のミリ波送受信器としてのミリ波レーダモジュールは、図6の構成においては、信頼性の高い安定したサーキュレータ特性が得られるとともに、ミリ波信号の良好な伝搬特性が得られるためミリ波レーダ等に適用した場合にその探知距離が増大する。また、高いオン/オフ比(アイソレーション)を有する振幅変調器を有した高性能のものとなる。また、図7の構成においては、図6と同様の作用効果が得られるとともに、送信アンテナと受信アンテナとが独立しているため、送信用のミリ波信号がミキサーに混入することが防止されることで、受信信号のノイズが低減してミリ波信号の伝送特性により優れており、ミリ波レーダ等に適用した場合にその探知距離がさらに増大したものとなる。
【0090】
【実施例】
本発明のNRDガイド用のサーキュレータ(CLT)の実施例を以下に説明する。
【0091】
図1,図4の3段型CLTを以下のようにして構成した。一対の平行平板導体7として、縦45mm×横45mm×厚さ5.5mmのAl板と、縦45mm×横45mm×厚さ3.0mmのAl板とを1.8mmの間隔で配置し、それらの間に断面形状が1.8mm(高さ)×0.8mm(幅)の矩形状であり、比誘電率4.9のコーディエライトセラミックスから成る誘電体線路4a〜4eの先端部にモードサプレッサ1a〜1eを設け、モードサプレッサおよび接続用誘電体線路5a,5bを図1のように120°の等角度間隔で放射状になるように、2枚ずつのフェライト円板2a〜2cに接続し配置した。なお、モードサプレッサ1a〜1eおよび接続用誘電体線路5a,5bは、内部にCu製のλ/4チョークパターンが施されたガラスセラミックスから成る。
【0092】
このとき、モードサプレッサ1a〜1eの上下面が計6枚のフェライト円板2a〜2cの主面に面一となるようにした。即ち、6枚のフェライト円板2a〜2cの2枚ずつを平行平板導体7の内面に互いに対向させて設置し、モードサプレッサ1a〜1eのフェライト円板2a〜2c側の端面に設けた長方形のインピーダンス整合部材6の上下面に、フェライト円板2a〜2cの厚さに等しい間隔でそれぞれ段差ができるようにしている。即ち、インピーダンス整合部材6は、比誘電率4.9のコーディライトセラミックスから成り、高周波信号の伝送方向に直交する面での断面形状は高さ1.34mm×幅0.8mmで、伝送方向の厚さは0.15mmであり、モードサプレッサ1a〜1eとインピーダンス整合部材6との段差はフェライト円板2a〜2cの厚みに相当する0.23mmとした。
【0093】
フェライト円板2a〜2cの寸法は直径2.0mm、厚さ0.23mmであり、また、それらの上下の平行平板導体7の外面に、磁力線が平行平板導体7の内面に直交している領域内にフェライト板2a〜2cが存在するように1対の磁石3を設置した。磁石3は355500A/mの直流磁界を印加するものとした。即ち、平行平板導体7の外面のフェライト円板2a〜2cが位置する部位に、磁石6とフェライト円板2a〜2cとの間の距離が1mmとなるように、厚さ5.5mmの平行平板導体7には縦9.8mm、横16.5mm、深さ4.5mmの凹部、厚さ3.0mmの平行平板導体には縦9.8mm、横16.5mm、深さ2.0mmの凹部を形成した。
【0094】
それらの凹部に、縦8.7mm、横15.4mm、厚さ3.1mmの長方形の磁石3をそれぞれ嵌め込み、図4,図5(a)に示すように、エポキシ樹脂接着剤により接着して嵌着した。磁石3は、平面視でフェライト板2a〜2cを覆っており、磁石3の下面の外周部で、磁力線が平行平板導体7の内面に完全に直交せずに若干曲がっている領域の幅は全周にわたって1.5mm(図5の斜線部)であり、その領域以外の中央領域にフェライト板2a〜2cが存在するよう設置した。
【0095】
この3段型CLTにおいて、振動耐久試験、衝撃試験を施したところ、試験前後での高周波伝送特性(周波数約76.5GHz)に変化が見られないうえ、磁石の破損や外れがないという優れた結果が得られた。
【0096】
また、比較例として、磁石3の下側主面と凹部の底面との間をエポキシ樹脂接着剤により接着するとともに、磁石3の外周端が平面視でフェライト板2a〜2cの外周端に重なるようにして凹部に磁石3を設置した3段型のCLTを作製した。そして、上記実施例と同じ試験を行なったところ、サーキュレータのアイソレーションが劣化するとともに高周波伝送特性(周波数約76.5GHz)も劣化したという結果が得られた。これは、磁石3の下側主面と凹部の底面との間に隙間が生じたため、激しい振動が加わった際に磁石3が凹部から外れたり、部分的に剥離した状態で振動により破損したためと考えられる。また、フェライト板2a〜2cの外周端部では、それらの主面に対して磁力線が直交していないため、サーキュレータ特性が劣化したためと考えられる。
【0097】
なお、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を施すことは何等差し支えない。
【0098】
【発明の効果】
本発明のサーキュレータは、平行平板導体は、それぞれ外面に平面視でフェライト板を覆う凹部が形成されており、凹部に磁石が嵌着されているとともに凹部の開口側の内周面に磁石の側面が接着されていることから、磁石は凹部に隙間なく強固に接着剤で嵌着されるため、NRDガイドを用いた高機能のミリ波送受信器を構成するために平行平板導体の外面に信号処理回路を設けたり、電磁シールド性を向上させるためにミリ波送受信器自体を金属ケースに収納した際に、サーキュレータ用の磁石が周囲の金属製部品や金属ケースに引き寄せられて外れるのを防ぐことができる。その結果、ミリ波送受信器を激しい振動が加わる車載用に使用しても、磁石が平行平板導体から外れたり破損したりするのを防ぐことができる。また、磁石の外れ防止用のカバーをねじ止めすることも不要となり、組立の煩雑さを解消できるとともに、磁石の磁力線に悪影響を与えることも解消される。
【0099】
さらに、磁石はその側面が凹部の内周面の開口側に接着されていることから、磁石の主面と凹部の底面との間にまったく隙間が生じず、その結果、フェライト板に印加すべき磁力が低下したり磁力線が乱されることもなくなり、安定したサーキュレータ特性が得られる。
【0100】
また、凹部は平面視でフェライト板を覆う大きさであるとともにその凹部に磁石が嵌着されていることから、フェライト板の主面の全面において磁力線が直交するように発生するため、高周波信号の伝搬損失が抑えられた高特性のサーキュレータ特性が得られる。
【0101】
本発明のサーキュレータは、好ましくは、接続用誘電体線路を介して3つが連続して接続されており、平行平板導体は、それぞれ外面に平面視で全てのサーキュレータのフェライト板を覆う凹部が形成されていることから、3段型のサーキュレータのそれぞれにおいて、高周波信号(電磁波)の波面の回転方向が同じになるため、サーキュレータが組みこまれるミリ波送受信器におけるミキサー回路等が容易に構成でき、製造が容易化されて量産性に優れたものとなる。また、各サーキュレータを互いに近接させて配置できるので、小型の3段型のサーキュレータとなる。さらに、3段型のサーキュレータは磁力線が平行平板導体の内面に直交している領域内に配置されるため、サーキュレータにおける高周波信号の伝搬損失が小さくなる。
【0102】
本発明のサーキュレータは、好ましくは接続用誘電体線路は全体がモードサプレッサとされていることから、各サーキュレータで接続用誘電体線路のモードサプレッサを共用することができ、その結果、接続用誘電体線路を短くすることができるため、小型のサーキュレータとなるとともに接続用誘電体線路における高周波信号の伝送損失が大幅に小さくなる。
【0103】
本発明のミリ波送受信器は、送受信アンテナを有するものの場合、信頼性の高い安定したサーキュレータ特性が得られるとともに、ミリ波信号の良好な伝搬特性が得られるためミリ波レーダ等に適用した場合にその探知距離が増大する。また、高いオン/オフ比(アイソレーション)を有する振幅変調器を有した高性能のものとなる。また、送信アンテナと受信アンテナが独立したものの場合、上記と同様の作用効果が得られるとともに、送信用のミリ波信号がミキサーに混入することが防止されることで、受信信号のノイズが低減してミリ波信号の伝送特性により優れており、ミリ波レーダ等に適用した場合にその探知距離がさらに増大したものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサーキュレータについて実施の形態の例を示す透視斜視図である。
【図2】NRDガイドの基本構成を示し、内部を一部透視したものの斜視図である。
【図3】サーキュレータの基本構成を示す斜視図である。
【図4】本発明のサーキュレータについて実施の形態の例を示すの断面図である。
【図5】(a),(b)は本発明のサーキュレータの実施の形態の2例を示す透視平面図である。
【図6】本発明のミリ波送受信器としてのミリ波レーダモジュールについて実施の形態の例を示す平面図である。
【図7】本発明のミリ波送受信器としてのミリ波レーダモジュールについて実施の形態の他の例を示す平面図である。
【図8】本発明のミリ波レーダモジュールにおける電圧制御型のミリ波信号発振部の斜視図である。
【図9】図8のミリ波信号発振部用のバラクタダイオードを設けた配線基板の斜視図である。
【符号の説明】
1a〜1e:モードサプレッサ
2a,2b:フェライト円板
3:磁石
4a〜4e:誘電体線路
5a,5b:接続用誘電体線路
Claims (5)
- 高周波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置された平行平板導体間に、該平行平板導体のそれぞれの内面に互いに対向させて設置された2枚のフェライト板の周縁に放射状に複数配置された、LSMモードの電磁波を伝送するとともにLSEモードの電磁波を遮断するモードサプレッサが設けられた誘電体線路を有しているサーキュレータにおいて、前記平行平板導体は、それぞれ外面に平面視で前記フェライト板を覆う凹部が形成されており、該凹部に前記磁石が嵌着されているとともに前記凹部の開口側の内周面に前記磁石の側面が接着されていることを特徴とする非放射性誘電体線路用のサーキュレータ。
- 前記サーキュレータは、接続用誘電体線路を介して3つが連続して接続されており、前記平行平板導体は、それぞれ外面に平面視で全ての前記サーキュレータの前記フェライト板を覆う凹部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の非放射性誘電体線路用のサーキュレータ。
- 前記接続用誘電体線路は、全体がモードサプレッサとされていることを特徴とする請求項2記載の非放射性誘電体線路用のサーキュレータ。
- 送信用のミリ波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体間に、
高周波発生素子から出力され周波数変調されたミリ波信号を伝搬させる第1の誘電体線路と、
該第1の誘電体線路に付設され、前記高周波発生素子から出力された高周波信号を周期的に周波数変調して送信用のミリ波信号として出力し前記第1の誘電体線路中を伝搬させるミリ波信号発振部と、
前記第1の誘電体線路に一端側が電磁結合するように近接配置されるかまたは前記第1の誘電体線路に一端が接合されて、前記ミリ波信号の一部をミキサー側へ伝搬させる第2の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第1の接続部,第2の接続部および第3の接続部を有する第1のサーキュレータであって、前記第1の誘電体線路の前記ミリ波信号の出力端に前記第1の接続部が接続される第1のサーキュレータと、
該第1のサーキュレータの前記第2の接続部に一端が接続され、前記ミリ波信号を振幅変調するショットキーバリアダイオードが他端に接続された第3の誘電体線路と、
前記第1のサーキュレータの前記第3の接続部に一端が接続された第4の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第4の接続部,第5の接続部および第6の接続部を有する第2のサーキュレータであって、前記第4の接続部に前記第4の誘電体線路の他端が接続された第2のサーキュレータと、
前記第2のサーキュレータの前記第5の接続部に一端が接続され、前記ミリ波信号を振幅変調するショットキーバリアダイオードが他端に接続された第5の誘電体線路と、
前記第2のサーキュレータの前記第6の接続部に一端が接続された第6の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第7の接続部,第8の接続部および第9の接続部を有する第3のサーキュレータであって、前記第7の接続部に前記第6の誘電体線路の他端が接続された第3のサーキュレータと、
該第3のサーキュレータの前記第8の接続部に一端が接続され、ミリ波信号を伝搬させるとともに先端部に送受信アンテナを有する第7の誘電体線路と、
前記送受信アンテナで受信され前記第7の誘電体線路を伝搬して前記第3のサーキュレータの前記第9の接続部より出力した受信波をミキサー側へ伝搬させる第8の誘電体線路と、
前記第2の誘電体線路の中途と前記第8の誘電体線路の中途を近接させて電磁結合させるかまたは接合させて成り、前記ミリ波信号の一部と受信波とを混合させて中間周波信号を発生させるミキサーとを具備しており、
前記第1〜3のサーキュレータが請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のサーキュレータであることを特徴とするミリ波送受信器。 - 送信用のミリ波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体間に、
高周波発生素子から出力され周波数変調されたミリ波信号を伝搬させる第1の誘電体線路と、
該第1の誘電体線路に付設され、前記高周波発生素子から出力された高周波信号を周期的に周波数変調して送信用のミリ波信号として出力し前記第1の誘電体線路中を伝搬させるミリ波信号発振部と、
前記第1の誘電体線路に一端側が電磁結合するように近接配置されるかまたは前記第1の誘電体線路に一端が接合されて、前記ミリ波信号の一部をミキサー側へ伝搬させる第2の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第1の接続部,第2の接続部および第3の接続部を有する第1のサーキュレータであって、前記第1の誘電体線路の前記ミリ波信号の出力端に前記第1の接続部が接続される第1のサーキュレータと、
該第1のサーキュレータの前記第2の接続部に一端が接続され、前記ミリ波信号を振幅変調するショットキーバリアダイオードが他端に接続された第3の誘電体線路と、
前記第1のサーキュレータの前記第3の接続部に一端が接続された第4の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第4の接続部,第5の接続部および第6の接続部を有する第2のサーキュレータであって、前記第4の接続部に前記第4の誘電体線路の他端が接続された第2のサーキュレータと、
前記第2のサーキュレータの前記第5の接続部に一端が接続され、前記ミリ波信号を振幅変調するショットキーバリアダイオードが他端に接続された第5の誘電体線路と、
前記第2のサーキュレータの前記第6の接続部に一端が接続された第6の誘電体線路と、
前記平行平板導体に平行に対向配置された2枚のフェライト板の周縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされた第7の接続部,第8の接続部および第9の接続部を有する第3のサーキュレータであって、前記第7の接続部に前記第6の誘電体線路の他端が接続された第3のサーキュレータと、
該第3のサーキュレータの前記第8の接続部に一端が接続され、ミリ波信号を伝搬させるとともに先端部に送信アンテナを有する第7の誘電体線路と、
前記第3のサーキュレータの前記第9の接続部に接続され、前記送信アンテナで受信混入した受信波を伝搬させるとともに先端部に設けられた無反射終端部で前記受信波を減衰させる第8の誘電体線路と、
先端部に受信アンテナ、他端部にミキサーが各々設けられた第9の誘電体線路と、
前記第2の誘電体線路の中途と前記第9の誘電体線路の中途を近接させて電磁結合させるかまたは接合させて成り、前記ミリ波信号の一部と受信波とを混合させて中間周波信号を発生させるミキサーとを具備しており、
前記第1〜3のサーキュレータが請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のサーキュレータであることを特徴とするミリ波送受信器。
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