JP2004207125A - 基板処理方法 - Google Patents

基板処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004207125A
JP2004207125A JP2002376882A JP2002376882A JP2004207125A JP 2004207125 A JP2004207125 A JP 2004207125A JP 2002376882 A JP2002376882 A JP 2002376882A JP 2002376882 A JP2002376882 A JP 2002376882A JP 2004207125 A JP2004207125 A JP 2004207125A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
electron source
gas
electron
source substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002376882A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukinori Kataoka
幸徳 片岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2002376882A priority Critical patent/JP2004207125A/ja
Publication of JP2004207125A publication Critical patent/JP2004207125A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】基板と当該基板を覆う容器とで気密雰囲気を形成し、当該気密雰囲気下にて基板に所定の処理を施す基板処理方法において、容器を開放したときの大気からの汚染を低減し、真空排気の時間の短縮を図り、もって電子源等の製造時間を短縮する。
【解決手段】基板4と容器6とが離間される際、この離間された領域に気体の吹出し治具30より不活性ガスまたはドライエアーを吹き出して、エアーカーテンを形成することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気密雰囲気下にて基板に所定の処理を施す基板処理方法に関し、例えば基板上に配設された導電体に通電処理を施すことにより、該導電体に電子放出機能を付与する電子源の製造方法、及びこれを用いた表示装置等の画像形成装置の製造方法、さらには製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自発光型画像表示装置として、プラズマディスプレイ、EL表示装置、電子線を用いた画像表示装置等が知られている。近時においては画像表示装置の大画面化、高精細化の要求が増大し、ますます自発光型画像表示装置のニーズが高まりつつある。
【0003】
例えば、電子線を用いた自発光型画像表示装置として、フェースプレートとリアプレート、及び外枠に挟まれた真空維持が可能な外囲器内に電子ビームを発生する電子源を用いた画像表示装置であって、電子源として表面伝導型電子放出素子をマトリクス上に配設し、この電子源から放射される電子ビームを加速して、フェースプレートに設けられた蛍光体に照射して発光させることにより画像を表示させる薄型の画像表示装置が本出願人より出願されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
表面伝導型電子放出素子は、基板上に、対向する一対の素子電極と、該一対の素子電極に接続されその一部に電子放出部を有する導電性膜とを有してなることを特徴とするものである。また上記導電性膜に一部亀裂が形成され亀裂の端部には、炭素または炭素化合物の少なくとも一方を主成分とする堆積膜が形成されている。
【0005】
このような電子放出素子を基板上に複数個配置し、各電子放出素子を配線で結ぶことにより、複数個の表面伝導型電子放出素子を備える電子源を作成することができる。
【0006】
また、上記電子源と蛍光体とを組み合わせることにより、画像形成装置の表示パネルを形成することができる。
【0007】
従来、このような電子源のパネルの製造は以下のように行われていた。
まず、基板上に、導電性膜及び該導電性膜に接続された一対の素子電極からなる素子を複数と、該複数の素子を接続した配線とが形成された電子源基板を作成する。次に、作成した電子源基板全体を真空チャンバー内に設置する。次に、真空チャンバー内を排気した後、外部端子を通じて上記各素子に電圧を印加し各素子の導電性膜に亀裂を形成(以下:フォーミング)する。更に、該真空チャンバー内に有機物質を含む気体を導入し、有機物質の存在する雰囲気下で前記各素子に再び外部端子を通じて電圧を印加し、該亀裂近傍に炭素あるいは炭素化合物を堆積させる(以下:活性化)。
【0008】
また、特許文献2には、図17に示すとおり、基板とこれを覆う容器とで気密雰囲気を形成し、基板表面に配置された導電性膜に通電(フォーミング、活性化)処理を行うことが記載されている。
【0009】
図17において、1010は基板、1011は支持体、1012は真空容器、1015は気体の導入口、1016は排気口、1018はシール部材、1019は拡散板、1020はヒーター、1021は水素または有機物質ガス、1022はキャリアガス、1023は水分除去フィルター、1024はガス流量制御装置、1025a〜1025fはバルブ、1026は真空ポンプ、1027は真空計、1028は配管、1032は電源及び電流制御系からなる駆動ドライバー、1031は基板の取り出し配線と駆動ドライバーとを接続する配線、1033は拡散板1019の開口部、1041は熱伝導部材である。
【0010】
支持体1011は、基板1010を保持して固定するもので、真空チャッキング機構、静電チャッキング機構若しくは固定冶具などにより、機械的に基板1010を固定する機構を有する。
【0011】
真空容器1012には、容器内部を排気するための真空ポンプ1026と有機物質をガスとして容器内部に導入するためのガス導入装置が接続されている。
【0012】
支持体1011上に基板1010を配置し、基板上に形成された複数の素子を含む一部の領域を排気するための真空容器1012で基板面上を覆う。これにより、基板上に形成された複数の素子を有する領域面を真空に排気したり、有機物質が、所望の圧力、分圧となる雰囲気に暴露させることができる。さらに、基板上に形成された複数の素子に接続されるように形成された夫々の配線の一部が露出されるため、駆動ドライバー1032から所望の電気信号(電位)を、各素子を構成する一対の電極にプローブユニット(不図示)を介して供給することができる。
【0013】
活性化工程終了後、基板面から容器1012を取り除き、さらに支持体1011上から剥離して得られた基板1010は電子源基板となる。
【0014】
次に、図示しない蛍光体を内側に有するフェースプレートと、ガラス管からなる排気管及びBaを主成分とするゲッタを備えた支持枠を、フリットガラスを挟み、相対向して仮固定し、不活性ガス雰囲気の加熱炉内で焼成し、気密容器である外囲器を作製する。
【0015】
次に、外囲器の排気管に真空排気装置を接続し、外囲器内部を真空排気する。
その後、排気管をバーナ等でチップオフし、更に、高周波加熱によってゲッタをフラッシュさせ、Ba膜を形成し、チップオフ後の外囲器内の真空を維持する。この様にして、外囲器からなる画像表示装置を作製する。
【0016】
【特許文献1】
特開平7−235255号公報
【特許文献2】
特開2000−311594号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
以上の製造方法が採られていたが、処理される基板自体をチャンバー内に配置して処理を行う場合、新たな基板をチャンバー内に導入する毎にチャンバー内には大気からの汚染物質が侵入する。従って、その都度、排気を行う必要があり、とりわけ、電子源基板が大きくなるに従い、排気には多大な時間を要すると共に、より高真空対応の排気装置が必要になる。
【0018】
本発明は、真空チャンバーを開放したときの大気からの汚染を低減し、高真空排気の時間の短縮及び、更なる排気装置の小型化が可能な電子源基板等の基板の処理方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、大気からの汚染を低減することにより、素子寿命への影響も最小限にすることで、電子放出特性に優れた電子源を製造し得る電子源の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、画像品位の優れた平面型の画像形成装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく成された本発明の構成は、以下の通りである。
【0020】
すなわち本発明は、基板と当該基板を覆う容器とで気密雰囲気を形成し、当該気密雰囲気下にて前記基板に所定の処理を施す基板処理方法であって、
前記基板と容器とが離間される、当該気密雰囲気の開放時には、前記離間された領域にエアーカーテンを形成することを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明は、基板上に配置された導電体に、気密雰囲気下で通電を行い、当該導電体の一部に電子放出機能を付与する電子源の製造方法において、
前記基板と当該基板を覆う容器とで前記気密雰囲気を形成する工程を有し、前記基板と容器とが離間される、当該気密雰囲気の開放時には、前記離間された領域にエアーカーテンを形成することを特徴とするものである。
また、前記気密雰囲気を形成する工程は、前記容器内を排気する工程を含むことを特徴とする。
また、前記気密雰囲気を形成する工程は、前記容器内に気体を導入する工程を含むことを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、電子源と、画像形成部材が配置された基板とを、接合せしめる接合工程を有する画像形成装置の製造方法において、前記電子源を、上記本発明の電子源の製造方法で製造することを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明の電子源の製造装置は、導電体が形成された基板を支持する支持体と、気体の導入口と排気口を有し、前記基板の一部の領域を覆う容器と、前記容器周辺にエアーカーテンを形成する手段と、前記容器内に気体を導入、及び排気する手段と、前記導電体に電圧を印加する手段とを有することを特徴とするものである。
【0024】
上記本発明の電子源の製造装置は、好ましい実施形態として、
「前記エアーカーテンを形成する手段は、前記容器周辺に気体の吹出し治具を有し、前記基板を支持する支持体の方向に気体を吹出す手段であること」、
「前記容器周辺に吹出される気体は、ドライエアーもしくは不活性ガスであること」、
「前記導電体は、導電性膜及び該導電性膜に接続された一対の素子電極からなる素子を複数と、該複数の素子を接続した配線とからなること」、
「前記支持体は、前記基板と当該支持体とを真空吸着させる手段を備えていること」、
「前記支持体は、前記基板と当該支持体とを静電吸着させる手段を備えていること」、
「前記支持体は、熱伝導部材を備えていること」、
「前記支持体は、前記基板の導電体からの発熱を、放熱する手段を備えていること」、
「前記支持体は、前記基板の導電体を加熱する手段を備えていること」、
「前記支持体は、前記基板の導電体を冷却する手段を備えていること」、
「前記支持体は、前記基板の導電体を均熱温度制御する手段を備えていること」、
「前記容器は、当該容器内を所望の圧力に真空排気する手段を備えていること」、
「前記容器は、当該容器内に所望の圧力及び流量の気体を導入する手段を備えていること」、
「前記容器は、当該容器内に導入された気体を拡散させる手段を備えていること」、
を含むものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の基板処理方法は、基板と当該基板を覆う容器とで気密雰囲気を形成し、当該気密雰囲気下にて基板に所定の処理を施す基板処理方法に関するものであり、気密雰囲気を必要とする基板処理に適用される。具体的には、例えば、真空蒸着などの成膜や表面伝導型電子放出素子製造プロセスにおけるフォーミング、活性化などの通電処理などであり、基板上に形成された導電体に通電処理を施すことにより、この導電体に電子放出機能を付与し表面伝導型電子放出素子とする電子源の製造方法などに好適に用いることができる。以下ではこの電子源の製造を例に挙げて本発明の実施の形態を具体的に説明する。
【0026】
図1、図2は、本発明の好ましい第1の実施の形態に係る電子源の製造装置を示しており、図1は全体構成を示す模式図、図2は図1における電子源基板の周辺部分を示す斜視図である。
【0027】
図1、図2において、1は電子放出素子となる導電体、2はX方向配線、3はY方向配線、4は電子源基板、5は支持体、6は容器(真空容器)、7は気体の導入口、8は排気口、9はシール部材、10は拡散板、11はヒーター、12は水素または有機物質ガス、13はキャリアガス、14は水分除去フィルター、15はガス流量制御装置、16a〜16fはバルブ、17は真空ポンプ、18は真空計、19は配管、20は取り出し配線、21は電源及び電流制御系からなる駆動ドライバー、22は電子源基板の取り出し配線20と駆動ドライバーとを接続する配線、23は拡散板10の開口部、24a,24bは熱伝導部材、30は気体の吹出し治具、32は不活性ガスまたはドライエアー、33は流量調整器である。
【0028】
支持体5は、電子源基板4を保持して固定するもので、真空チャッキング機構、静電チャッキング機構若しくは固定冶具などにより、機械的に電子源基板4を固定する機構を有する。支持体5の内部には、ヒーター11が設けられ、必要に応じて電子源基板4を熱伝導部材24を介して加熱することができる。
【0029】
熱伝導部材24は、支持体5上に設置され、電子源基板4を保持して固定する機構の障害にならないように、支持体5と電子源基板4の間で挟持されるか、あるいは、支持体5に埋め込まれるように設置されていてもよい。
【0030】
熱伝導部材24は電子源基板4の反り、うねりを吸収し、電子源基板4への電気的処理工程における発熱を、確実に支持体5、あるいは、後述する副真空容器へ伝え、放熱することができるように構成することにより、電子源基板4のクラック、破損の発生を防ぐことができ、歩留まりの向上に寄与できる。また、電気的処理工程における発熱を素早く、確実に放熱することにより、温度分布による導入ガスの濃度分布の低減、基板熱分布が影響する素子の不均一性の低減に寄与でき、均一性に優れた電子源の製造が可能となる。更に、電気的処理工程における前記複数の素子及び前記複数の素子を接続する配線からの発熱を、それぞれの発熱量に合せて温度調節することにより、電子源基板内の温度分布による応力を低減することで、電子源基板のクラック、破損の発生を防ぐことができ、歩留まりの向上に寄与できる。
【0031】
ヒータ11は、密閉された管状であり、この中に温調媒体が封入される。なお、図示しないが、粘性液状物質を支持体5及び電子源基板4間で挟持し、かつ温度制御を行いながら循環させる機構が付与されれば、ヒーター11に替わり、電子源基板4の加熱手段、あるいは、冷却手段となる。また、目的温度に対する温度調節が行える、例えば、循環型温度調節装置と液状媒体などからなる機構を付与することができる。
【0032】
熱伝導部材24は、弾性部材であってもよい。弾性部材の材料としては、テフロン(登録商標)樹脂などの合成樹脂材料、シリコンゴム等のゴム材料、アルミナなどのセラミック材料、銅やアルミの金属材料等を使用することができる。これらは、シート状、あるいは、分割されたシート状で使用されていてもよい。あるいは、図5及び図6に示すように、円柱状、角柱状等の柱状、電子源基板の配線に合わせたX方向、あるいは、Y方向に伸びた線状、円錐状などの突起状、球体や、ラグビーボール状(楕円球状体)などの球状体、あるいは、球状体表面に突起が形成されている形状の球状体などが支持体上に設置されていてもよい。
【0033】
図7は、複数の弾性部材を使用した球状の熱伝導部材の構成概略図である。
ここでは、ゴム材料の部材等の変形し易い微少球状物と、この微少球状物の直径よりも直径が小さな球状物(ゴム材料の部材よりも変形し難い球状物質)とを電子源基板4と支持体5との間に散布し、挟持することで、熱伝導部材24を構成している。
【0034】
図8は、複合材料的な熱伝導部材の構成概略図である。セラミック部材、金属部材等の硬質部材で中心部材を構成し、この熱伝導部材の球状物表面をゴム部材で被覆したものを用いることで熱伝導部材24を構成している。支持体5上を移動し易い球状物質などを使用する際には、支持体5上に滞留機構がある構成が望ましい。
【0035】
真空容器6は、ガラスやステンレス製の容器であり、容器からの放出ガスの少ない材料からなるものが好ましい。真空容器6は、電子源基板4の取り出し配線部を除き、導電体1が形成された領域を覆い、かつ、少なくとも、1.33×10-5Pa(1×10-7Torr)から大気圧の圧力範囲に耐えられる構造のものである。
【0036】
気体の吹出し治具30は、電子源基板4の入替え工程において、真空容器6の内部に大気が進入するのを防止するためのもので、下方面に図示しないスリット状の気体吹出し口があり、ボンベ32から配管31を通じて電子源基板4の方向に気体を吹き付け、気体によるエアーカーテンを均一に作り出すことができる構造が望ましい。
【0037】
気体の吹出し手法としては、第一に、真空容器6と支持体5に支持された電子源基板4とを少しだけ隙間を開けて真空容器6の内部から気体を大量に吹出し、隙間から気体を吹出すことで大気の進入を防ぐ手法と、第二に、真空容器6の周辺に気体の吹出し治具30を装備し、電子源基板4との間に、気体によるエアーカーテンを均一に作り出す手法がある。但し第一の手法は隙間の距離が広くなると、大量の気体が必要となり、気体の種類として不活性ガスの使用は安全性が損なわれるため、ドライエアーに限定される。第二の手法のように気体の吹出し治具30を装備して図示しない細いスリット状の気体の吹出し口から気体を吹出すことで、気体の吹出し量は少量で、不活性ガスやドライエアーの使用が可能となり、コストも安価にできる。
【0038】
支持体5に支持された電子源基板4を取り外す工程において、電子源基板4と真空容器6を引き離す前から、気体の吹出し治具30より気体を均一に吹出し、更には別の電子源基板4を支持体5に取り付け、真空容器6に押し当てて密閉された空間を作るまで、真空容器6の周辺に気体によるエアーカーテンを作り出すことで、真空容器6が大気に汚染されることがなく、真空容器6の排気時間をより短縮することができる。
【0039】
気体の吹出し流速は、0.25m/sec程度で効果が現れるが、エアーカーテンの安定制御が困難なため、0.5m/sec以上で使用するのが好ましい。
【0040】
気体吹出し治具30のスリット状の気体吹出し口の幅は、真空容器6と支持体5に支持された電子源基板4との隙間の距離によって異なるが、気体の使用量を考慮して2mm以下程度が好ましい。但し、この範囲に限定されるものではない。
【0041】
ボンベ32の気体は、N2などの不活性ガス用いることができるが、安全性を考慮し、水分を除去したドライエアーを使用するのが好ましい。ドライエアーは、露点−60℃以下ではほとんど効果が見られないため、露点−60℃以上を使用するのが好ましい。
【0042】
流量調整器33は、ボンベ32からの気体の流量を流量計と圧力計の両方で調整できる構造のものが好ましく、吹出し治具30からの気体の吹出し量、流速、及び全体のバランスを調整することができる構造のものである。
【0043】
シール部材9は、電子源基板4と真空容器6との気密性を保持するためのものであり、Oリングやゴム性シートなどが用いられる。
【0044】
有機物質ガス12には、後述する電子放出素子の活性化に用いられる有機物質、または、有機物質を窒素、ヘリウム、アルゴンなどで希釈した混合気体が用いられる。また、後述するフォーミングの通電処理を行う際には、導電性膜への亀裂形成を促進するための気体、例えば、還元性を有する水素ガス等を真空容器6内に導入することもある。このように他の工程で気体を導入する際には、バルブ部材16e等を用いて所望の系統を真空容器6への導入配管28に接続すれば、使用することができる。
【0045】
上記電子放出素子の活性化に用いられる有機物質としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、ニトリル類、フェノール、カルボン、スルホン酸等の有機酸類などを挙げることができる。より具体的には、メタン、エタン、プロパンなどのCn2n+2で表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレンなどのCn2n等の組成式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノール、ベンゾニトリル、トルニトリル、アセトニトリル等が使用できる。
【0046】
有機ガス12は、有機物質が常温で気体である場合にはそのまま使用でき、有機物質が常温で液体、または、固体の場合は、容器内で蒸発または昇華させて用いる、或いは更にこれを希釈ガスと混合するなどの方法で用いることができる。
キャリアガス13には、窒素またはアルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスが用いられる。
【0047】
有機物質ガス12と、キャリアガス13は、一定の割合で混合されて、真空容器6内に導入される。両者の流量及び、混合比は、ガス流量制御装置15によって制御される。ガス流量制御装置15は、マスフローコントローラ及び電磁弁等から構成される。これらの混合ガスは、必要に応じて配管19の周囲に設けられた図示しないヒータによって適当な温度に加熱された後、導入口7より、真空容器6内に導入される。混合ガスの加熱温度は、電子源基板4の温度と同等にすることが好ましい。
【0048】
なお、配管19の途中に、水分除去フィルター14を設けて、導入ガス中の水分を除去するとより好ましい。水分除去フィルター14には、シリカゲル、モレキュラーシーブ、水酸化マグネシウム等の吸湿材を用いることができる。
【0049】
真空容器6に導入された混合ガスは、排気口8を通じて、真空ポンプ17により一定の排気速度で排気され、真空容器6内の混合ガスの圧力は一定に保持される。真空ポンプ17は、ドライポンプ、ダイヤフラムポンプ、スクロールポンプ等の、低真空用ポンプと、ターボポンプ、イオンポンプ等の、高真空用ポンプがあり、オイルフリーポンプが好ましく用いられる。
【0050】
また、真空容器6の気体導入口7と電子源基板4との間に拡散板10を設けると、混合気体の流れが制御され、基板全面に均一に有機物質が供給されるため、電子放出素子の均一性が向上し好ましい。拡散板10としては、図1に示したように、開口部23を有する金属板などが用いられる。拡散板10の開口部23の形成方法は、図9及び図10に示すように、導入口近傍と、導入口から遠い領域での開口部の面積を変えるか、あるいは、開口部の数を変えて形成することが好ましい。
【0051】
拡散板10において、図10に示すように、導入口から遠いほど、開口部の面積が大きいか、あるいは、図示してはいないが、開口部の数が多い、あるいは、開口部の面積が大きく、その数が多いように形成すると、真空容器6内を流れる混合気体の流速が略々一定となり、均一性向上の点でより好ましい。ただし、拡散板10は、この明細書中で述べる形状に限定されるものではない。
【0052】
例えば、開口部23を、同心円状に等間隔でかつ円周方向に等角度間隔で形成し、かつ、該開口部の開口面積を下式の関係を満たすように設定するとよい。ここでは、基体の導入口からの距離に比例して開口面積が大きくなるように設定している。これにより、電子源基板表面により均一性良く導入物質を供給することができ、電子放出素子の活性化を均一性よく行うことができる。
d=S0×[1+(d/L)21/2
但し、
d:気体の導入口の中心部からの延長線と拡散板との交点からの距離
L:気体の導入口の中心部から、気体の導入口の中心部からの延長線と拡散板との交点までの距離
d:気体の導入口の中心部からの延長線と拡散板との交点からの距離dにおける開口面積
0:気体の導入口の中心部からの延長線と拡散板との交点における開口面積
【0053】
気体の導入口7と排気口8の位置は、本実施の形態に限定されず、種々の態様を取ることができるが、真空容器6内に有機物質を均一に供給するためには、気体の導入口7と排気口8の位置は、真空容器6において、図1に示すように、上下に、もしくは、図示しないが、左右の異なる位置にあることが好ましく、かつ、略々対称の位置にあることがより好ましい。
【0054】
電子源基板4の取り出し電極20は、真空容器6の外部にあり、TAB配線やプローブなどを用いて配線22と接続し、駆動ドライバー21に接続する。
【0055】
本実施形態、さらには後述する実施形態においても同様であるが、真空容器6は、電子源基板上の導電体1のみを覆えばよいため、装置の小型化が可能である。また、電子源基板の配線部が真空容器外にあるため、電子源基板と電気的処理を行うための電源装置(駆動ドライバー21)との電気的接続を容易に行うことができる。
【0056】
以上のようにして真空容器6内に有機物質を含む混合ガスを流した状態で、駆動ドライバー21を用い、配線22を通じて電子源基板4上の各導電体1にパルス電圧を印加することにより、素子の活性化を行うことができる。
【0057】
次に、本発明の好ましい第2の実施の形態について述べる。
本実施形態は、主として上記第1の実施の形態における電子源基板4の支持方法を変えたものであり、その他の構成は第1の実施の形態と同様にすることができる。
【0058】
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る電子源の製造装置を示したものである。図3において、29は副真空容器、29’は副真空容器29の排気口である。
【0059】
第1の実施の形態では、電子源基板4のサイズが大きい場合においては、電子源基板4の表面側と裏面側とでの圧力差、すなわち、真空容器6内の圧力と大気圧との圧力差による該電子源基板4の破損を防ぐために、電子源基板4の厚みを圧力差に耐えられる厚みにするか、あるいは、電子源基板4の真空チャッキング方法を併用することで圧力差を緩和できるようにしている。
【0060】
第2の実施の形態は、電子源基板4を挟んでの圧力差を無くすか、問題にならないほど小さくすることを念頭に置いた実施の形態であり、この実施の形態においては、電子源基板4の厚みを薄くでき、この電子源基板4を画像形成装置に適用した場合、該画像形成装置の軽量化を図ることができる。この実施の形態は、真空容器6と副真空容器29との間に電子源基板4を挟んで保持するものであり、副真空容器29内の圧力を真空容器6の圧力と略々等しく保つことにより、電子源基板4を水平に保つものである。
【0061】
真空容器6内及び副真空容器29内の圧力は、それぞれ真空計18a、18bにより設定され、副真空容器29の排気口29’のバルブ16gの開閉度を調節することにより、両真空容器6,29内の圧力を略々等しくすることができる。
【0062】
本実施形態では、熱伝導部材として、シール材9と同じ材質で作成されたシート状の第1の熱伝導部材24aと、電子源基板4からの発熱をより効率よく副真空容器29を介して外部へ放熱できるように、熱伝導率の大きな金属製の第2の熱伝導部材24bとが設置されている。なお、図3においては、装置の概略をより理解し易いように、副真空容器29の厚みを実際よりも大きく記載している。
【0063】
第2の熱伝導部材24bには、電子源基板4を加熱できるように、内部にヒーター11が埋め込まれており、図示しない制御機構により外部より温度制御を行うことができる。
【0064】
また、電子源基板4上の各素子にパルス電圧を印加することにより素子の活性化を行う工程において、図4に図示する電子放出素子部Hsからの発熱がある。
更に、電子源基板の取り出し電極20にも同様のパルス電圧が印加されることで、取り出し電極が持つ抵抗の大きさによって、配線からの発熱がある。この双方の発熱量は同じではなく、発熱領域も異なるので、電子源基板内に温度のばらつきがおきて、熱応力が発生する。
【0065】
この熱応力による電子源基板の破損を防止するため、電子源基板4を吸着し、第1の熱伝導部材24aと密着させることで、確実に放熱する。さらに第2の熱伝導部材24bの内部に、流体を保持、あるいは、循環できるような管状の密閉容器を内蔵し、外部よりこの流体の温度を制御することにより、電子源基板4を、第1の熱伝導部材24aを介して冷却し、更に、第2の熱伝導部材24bの内部に埋め込まれたヒーター11を、電子放出素子部と、電子源基板の取り出し電極部とで分割し、それぞれの発熱量に合せて制御することで、電子源基板4の温度ばらつきを小さくし、温度分布による熱応力を最小限にすることで、電子源基板4の破損をより確実に防止できる。
【0066】
本実施の形態では、2種類の熱伝導部材24a,24bを用いているが、熱伝導部材は、1種類の熱伝導部材、あるいは、3種類以上の熱伝導部材によって構成されていてもよく、本実施の形態に限定されるものではない。
【0067】
本実施の形態においても、上述の第1の実施の形態と同様に、真空容器6内に気体を導入する工程を有する場合、第1の実施の形態で述べた拡散板10を、該第1の実施の形態と同様の形態で用いることが好ましい。
【0068】
また、本実施の形態においても、上述の第1の実施の形態と同様に、フォーミング処理工程や、真空容器6内に有機物質を含む混合ガスを流した状態で、駆動ドライバー21を用い、配線22を通じて電子源基板4上の各電子放出素子にパルス電圧を印加することにより、電子放出素子の活性化を行うことができる。
【0069】
次に、本発明の第3の実施形態を図11を参照して説明する。図11は、本実施形態に係る電子源の製造装置の模式図である。
【0070】
図11において、4は電子源基板、202は真空チャンバー、203はO−リング、204は活性化ガスであるベンゾニトリル、205は電離真空計、206は真空排気系、207は基板ホルダー、208は基板ホルダー207に設置された静電チャック、209は静電チャック208に埋め込まれた電極、210は電極209に直流高電圧を印加するための高圧電源、211は静電チャック208の表面に刻まれた溝、212は電気ヒーター、213は冷却ユニット、214は真空排気系、215は基板4上の配線の一部に電気的に接触可能なプローブユニット、216はプローブユニット215に接続したパルス発生器、V1〜V3はバルブ、30は気体の吹出し治具、32は気体の吹出し治具30から吹出される気体のボンベ、33は流量調整器である。
【0071】
本実施形態では、前述した、基板の表裏の圧力差による基板の変形や破損を防ぐために、基板ホルダー207に静電チャック208を具備するものである。静電チャックによる基板の固定は、該静電チャックの中に置かれた電極209と基板4との間に電圧を印加して静電力により基板4を基板ホルダー208に吸引するものである。基板4に所定の電位を所定の値に保持するため、基板の裏面にはIT0膜などの導電性膜を形成する。なお、静電チャック方式による基板の吸着のためには、電極209と基板の距離が短くなっている必要があり、いったん別の方法で基板4を静電チャック208に押し付けることが望ましい。
【0072】
図11に示す装置では、静電チャック208の表面に形成された溝211の内部を排気して基板4を大気圧により静電チャックに押し付け、高圧電源210により電極209に高電圧を印加することにより、基板を十分に吸着する。この後真空チャンバー202の内部を排気しても基板にかかる圧力差は静電チャックによる静電力によりキャンセルされて、基板が変形したり、破損することが防止できる。
【0073】
更に、該静電チャック208と基板4の間の熱伝導を大きくするために、上述の様にいったん排気した溝211内に熱交換のための気体を導入することが望ましい。気体としては、Heが好ましいが、他の気体でも効果がある。熱交換用の気体を導入することで、溝211のある部分での基板4と静電チャック208の間の熱伝導が可能となるのみならず、溝のない部分でも単に機械的接触により基板4と静電チャック208が熱的に接触している場合に比べ、熱伝導が大きくなるため、全体としての熱伝導は大きく改善される。これにより、フォーミングや活性化などの処理の際、基板4で発生した熱が容易に静電チャック208を介して基板ホルダー207に移動して、基板4の温度上昇や局所的な熱の発生による温度分布の発生が抑えられるほか、基板ホルダーにヒーター212や冷却ユニット213などの温度制御手段を設けることにより、基板の温度をより精度良く制御できる。
【0074】
更に、前記第2の実施形態で述べたように、電子放出素子部からの発熱量と、電子源基板の取り出し電極配線からの発熱量の差により、温度のばらつきがおきて、熱応力が発生する。この電子源基板の熱応力を最小限にするために、ヒーター212を分割し、それぞれの発熱量に合せて制御することで、電子源基板の熱応力による破損を防止し、さらに基板の温度をより精度良く制御できる。
【0075】
以上述べたような製造装置を用いることにより、基板4上に形成された導電体1の電気的処理における電源との電気的接続を容易に行うことが可能となる。更に、基板4を支持体(支持体5もしくは副真空容器29もしくは基板ホルダー207)に支持する、又は基板4を前記支持体から取り外す工程において、容器(真空容器6もしくは真空チャンバー202)周辺に気体を吹出しエアーカーテンを形成することで、大気が前記容器内に進入することを低減させ、前記容器内面への大気の付着(水分など)を減少し真空排気時間を短縮することができる。また、上記容器の大きさや形状などの設計の自由度が増すので容器内への気体の導入、容器外への気体の排出を短時間で行うことができ、製造時間を短縮できる他、製造される電子源の電子放出特性の再現性、とりわけ複数の電子放出部を有する電子源における電子放出特性の均一性が向上する。さらに大気からの汚染を低減することにより、素子寿命への影響も最小限にすることで、電子放出特性の優れた電子源を製造し得る電子源の製造装置を提供することができる。尚、電子源の製造方法の具体例に関しては、以下の実施例にて詳述する。
【0076】
上記電子源と画像形成部材とを組み合わせることにより、図12に示すような画像形成装置を形成することができる。図12は画像形成装置の概略図である。
図12において、69は電子放出素子、61は電子源基板4を固定したリアプレート、62は支持枠、66はガラス基板63、メタルバック64及び蛍光体65からなるフェースプレート、67は高圧端子、68は画像形成装置である。
【0077】
本画像形成装置において、各電子放出素子には、容器外端子Dx1乃至Dxm、Dy1乃至Dynを通じ、走査信号及び変調信号を図示しない信号発生手段によりそれぞれ印加することにより、電子を放出させ、高圧端子67を通じ、メタルバック65、あるいは、図示しない透明電極に例えば5kVの高圧を印加し、電子ビームを加速し、蛍光体膜64に衝突させ励起、発光させることで画像を表示する。
【0078】
なお、電子源基板4自体がリヤプレートを兼ねて、1枚基板で構成される場合もある。また、走査信号配線は、例えば、Dx1の容器外端子に近い電子放出素子と遠い電子放出素子との間で印加電圧降下の影響の無い素子数であれば、図12で示すような、片側走査配線で構わないが、素子数が多く、電圧降下の影響がある場合には、配線幅を広くするか、配線厚を厚くするか、あるいは、両側から電圧を印加する手法等を採ることができる。
【0079】
【実施例】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される範囲内での各要素の置換や設計変更がなされたものをも包含する。
【0080】
本実施例は、図13、図14に示される表面伝導型電子放出素子を複数備える図15に示される電子源を製造するものである。図13乃至図15において4は基板、102、103は素子電極、104は導電性膜、129は炭素膜、105は炭素膜129の間隙、Gは導電性膜104の間隙である。
【0081】
まず、ガラス基板(サイズ350×300mm、厚さ3mm)の裏面に、ITO膜をスパッタ法により100nm形成した。前記ITO膜は、電子源の製造時に静電チャックの電極として用いるもので、その抵抗率が109Ωcm以下であれば、その材質には制限されず、半導体、金属等が使用できる。
【0082】
次に、上記ガラス基板の表面にSiO2層を形成し、さらにオフセット印刷法によりPtペーストを印刷し、加熱焼成して、図16に示される厚み50nmの素子電極102、103を形成した。また、スクリーン印刷法により、Agペーストを印刷し、加熱焼成することにより、図16に示されるX方向配線2(240本)及びY方向配線3(720本)を形成し、X方向配線2とY方向配線3の交差部には、スクリーン印刷法により、絶縁性ペーストを印刷し、加熱焼成して絶縁層109を形成した。
【0083】
次に、素子電極102、103間にバブルジェット(登録商標)方式の噴射装置を用いて、パラジウム錯体溶液を滴下し、350℃で30分間加熱して酸化パラジウム(PdO)の微粒子からなる図16に示される導電性膜104を形成した。導電性膜104の膜厚は、20nmであった。以上のようにして、一対の素子電極102、103及び導電性膜104からなる導電体の複数がX方向配線2及びY方向配線3にてマトリクス配線された電子源基板4を作成した。
【0084】
基板の反り、うねりに付いて観察したところ、基板そのものが持っていた反り、うねり及び上記までの加熱工程によって生じたと思われる基板の反り、うねりによって、基板中央部に対して、0.5mmほど周辺が反った状態であった。
【0085】
次に、図11に示した製造装置を用いて以後の工程を行った。
既に後述の電気的処理を施した基板ホルダー207上の電子源基板(「電子源基板4’」と記す。)、新たに作られた上述の電子源基板4とを入替える工程において、まず真空チャンバー202内を大気圧までN2リークし、露点−70℃のドライエアーを圧縮したボンベ32から流量計33であらかじめ調整された気体を流し、気体の吹出し治具30から電子源基板4’に向かって均一に気体を吹出し、真空チャンバー202の周辺にエアーカーテンを作り出した。
【0086】
エアーカーテンを作り出したことによる真空排気速度の効果を確認したところ、ドライエアーの吹付けを行わないときと比較して約20%の真空排気時間の短縮が確認された。尚、より露点温度の低いドライエアー、高純度の不活性ガスを使用すれば、より真空排気時間の短縮が可能である。
【0087】
電子源基板4’と真空チャンバー202に取り付けられたO−リング203を引き離し、電子源基板4’裏面の静電吸着、真空吸着を解除し、大気圧までリークして電子源基板4’を基板ホルダー207から取り外す。
【0088】
次に、新たに作られた上述の電子源基板4を基板ホルダー207に載せ、バルブV2を空け、溝211内を100Pa以下に真空排気し、静電チャック208に真空吸着した。この時、電子源基板4の裏面ITO膜は、接触ピン(不図示)により、高圧電源210の負極側と同電位に接地した。更に、電極209に2kVの直流電圧を高圧電源210(負極側を接地)より供給し、電子源基板4を静電チャック208に静電吸着させた。
【0089】
次に、バルブV2を閉じ、バルブV3を開け、Heガスを溝211に導入し、500Paに維持した。Heガスは、電子源基板4と静電チャック208の間の熱伝導を向上させる作用がある。尚、Heガスが最も好適であるが、N2、Ar等のガスも使うことができ、所望の熱伝導が得られればそのガス種には制限されない。
【0090】
次に、真空チャンバー202をO−リング203を介して電子源基板4上に、上記配線端部が真空チャンバー202の外に出るようにして載せ、真空チャンバー202内に真空気密な空間を作り、同空間を真空排気系206により圧力が1×10-5Pa以下になるまで真空排気し、ドライエアーを圧縮したボンベ32のバルブを閉めて、吹出し治具30からの吹き付けを止めた。また、水温15℃の冷却水を冷却ユニット213に流し、更に、温度制御機能を有する電源(不図示)より、電気ヒーター212に電力を供給し、電子源基板4を50℃の一定温度に維持した。
【0091】
次に、プローブユニット215を、上記真空チャンバー202の外に露出した電子源基板4上の配線端部に電気的に接触させ、プローブユニット215に接続したパルス発生器216より、底辺1msec、周期10msec、波高値10Vの三角パルスを120sec間印加し、フォーミング処理工程を実施した。
【0092】
フォーミング処理時に流れる電流によって発生する熱は、図4に図示する電子放出素子部からの発熱があり、更に、電子源基板の取り出し電極20にも同様のパルス電圧が印加されることで、取り出し電極が持つ抵抗の大きさによって、配線からの発熱がある。この双方の発熱量は同じではなく、発熱領域も異なるので、電子源基板内に温度のばらつきがおきて、熱応力が発生する。この熱応力による電子源基板の破損を防止するために、下記に示すように発熱領域(HpおよびHs)よりも吸着領域(Hs)を広くした。
Hv≧Hp>Hs
Hv:支持体に電子源基板を吸着する領域
Hp:取り出し電極配線(X,Y方向配線を含む)の発熱領域
Hs:電子放出素子からの発熱領域
【0093】
フォーミング処理時に流れる電流によって発生する熱は、上記のような吸着領域にすることで、効率よく静電チャック208に吸収され、さらに電子放出素子部からの発熱量と電子源基板の取り出し電極配線からの発熱量の差による電子源基板の熱応力を最小限にするために、ヒーター212を分割し、それぞれの発熱量に合せて制御することで、電子源基板4は一定温度50℃に保たれ、良好なフォーミング処理を実施でき、また、熱応力による破損も防ぐことができた。
【0094】
以上のフォーミング処理により、図14に示す間隙Gが導電性膜104に形成された。
【0095】
次に、電気ヒーター212に流れる電流を調整し、電子源基板4を60℃の一定温度に維持した。そして、バルブV1を開け真空チャンバー202内に電離真空計205で圧力を測定しながら、圧力が2×10-4Paのベンゾニトリルを導入した後、パルス発生器216より、プローブユニット215を通して、底辺1msec、周期10msec、波高値15Vの三角パルスを60分間印加して活性化処理を行った。
【0096】
フォーミング処理工程と同様に、活性化処理時に流れる電流によって発生する熱は、図4に図示する電子放出素子部からの発熱があり、更に、電子源基板の取り出し電極20にも同様のパルス電圧が印加されるることで、取り出し電極が持つ抵抗の大きさによって、配線からの発熱がある。この双方の発熱量は同じではなく、発熱領域も異なるので、電子源基板内に温度のばらつきがおきて、熱応力が発生する。この熱応力による電子源基板の破損を防止するために、下記に示すように発熱領域(HpおよびHs)よりも吸着領域(Hs)を広くした。
Hv≧Hp>Hs
Hv:支持体に電子源基板を吸着する領域
Hp:取り出し電極配線(X,Y方向配線を含む)の発熱領域
Hs:電子放出素子からの発熱領域
【0097】
活性化処理時に流れる電流によって発生する熱は、上記のような吸着領域にすることで、効率よく静電チャック208に吸収され、さらに電子放出素子部からの発熱量と電子源基板の取り出し電極配線からの発熱量の差による電子源基板の熱応力を最小限にするために、ヒーター212を分割し、それぞれの発熱量に合せて制御することで、電子源基板4は一定温度60℃に保たれ、良好に活性化を実施することができ、また、熱応力による破損も防ぐことができた。
【0098】
以上の活性化処理により、図13、図14に示すように、間隙105を隔てて炭素膜129が形成された。
【0099】
以上の工程を終了した電子源基板4は、ガラス枠及び蛍光体を配置したフェースプレートと位置合わせを行い、低融点ガラスを用いて封着し、外囲器を作製した。更に、この外囲器に対して真空排気、ベーキング、封止工程等の工程を施し、図12に示す画像形成パネルを作製した。
【0100】
本実施例では、電気的処理が終了した電子源基板4’と、新たに作られた電子源基板4とを入替える工程において、真空チャンバー202が開放されているときに気体の吹出し治具30から電子源基板に向かってエアーカーテンを形成することにより、真空チャンバー内面に大気からの付着物(水分など)を減少させることができ、真空チャンバーの真空排気時間が大幅に短縮され、電子源の製造時間を大幅に短縮することができた。また、ヒーター212を分割し、電子源基板の各領域における発熱量に合せて温度制御することで、熱応力による電子源基板の破損を防止し、歩留まりを向上することができた。さらに、特性の揃った良好な表面伝導型電子放出素子を形成でき、均一性が向上した画像性能を有する画像形成パネルを作製できた。
【0101】
【発明の効果】
本発明によれば、基板とこれを覆う容器とで気密雰囲気を形成すること、更に、気密雰囲気の開放時には、開放された領域にエアーカーテンを形成することで、容器の小型化がなされ、気密雰囲気に侵入する汚染物質は導入される基板の処理表面を媒介とするものに極力抑えることができるので、排気時間を短縮することができる。
このため、例えば電子源の製造において、製造時間を短縮できる他、製造される電子源の電子放出特性の再現性、とりわけ複数の電子放出部を有する電子源における電子放出特性の均一性を向上せしめることができる。さらに大気からの汚染を低減することにより、素子寿命への影響も最小限にすることで、電子放出特性の優れた電子源を提供することができると共に、画像品位の優れた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子源の製造装置の一構成例を模式的に示す断面図である。
【図2】図1における電子源基板の周辺部分を一部を破断して示す斜視図である。
【図3】本発明に係る電子源の製造装置の別の構成例を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明に係る電子源の製造装置の発熱領域を示す平面図である。
【図5】本発明に係る電子源の製造装置において使用される熱伝導部材の形状を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る電子源の製造装置において使用される熱伝導部材の形状の他の形態を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る電子源の製造装置において使用されるゴム材料の球状物質を用いた熱伝導部材の形態を示す断面図である。
【図8】本発明に係る電子源の製造装置において使用されるゴム材料の球状物質を用いた熱伝導部材の他の形態を示す断面図である。
【図9】本発明に係る電子源の製造装置において使用される拡散板の形状を示す断面図である。
【図10】本発明に係る電子源の製造装置において使用される拡散板の形状を示す平面図である。
【図11】本発明に係る電子源の製造装置の別の構成例を模式的に示す断面図である。
【図12】画像形成装置の構成を一部を破断して示す斜視図である。
【図13】本発明に係る電子放出素子の構成を示す平面図である
【図14】本発明に係る電子放出素子の構成を示す断面図である。
【図15】本発明に係る電子源を示す平面図である。
【図16】本発明に係る電子源の製造方法を説明するための平面図である。
【図17】従来の電子源の製造装置を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 電子放出素子となる導電体
2 X方向配線
3 Y方向配線
4 電子源基板
5 支持体
6 真空容器
7 気体の導入口
8 排気口
9 シール部材
10 拡散板
11 ヒーター
12 水素または有機物質ガス
13 キャリアガス
14 水分除去フィルター
15 ガス流量制御装置
16a〜16f バルブ
17a、17b 真空ポンプ
18a、18b 真空計
19 配管
20 取り出し配線
21 電源及び電流制御系からなる駆動ドライバー
22 電子源基板の取り出し配線と駆動ドライバーとを接続する配線
23 拡散板の開口部
24、24a、24b 熱伝導部材
29 副真空容器
29’ 副真空容器の排気口
30 気体の吹出し治具
31 配管
32 不活性ガス又はドライエアー
33 流量調整器
61 リアプレート
62 支持枠
63 ガラス基板
64 メタルバック
65 蛍光体
66 フェースプレート
67 高圧端子
68 画像形成装置
69 電子放出素子
102、103 素子電極
104 導電性膜
105 炭素膜の間隙
109 絶縁層
129 炭素膜
202 真空チャンバー
203 O−リング
204 活性化ガスであるベンゾニトリル
205 電離真空計
206 真空排気系
207 基板ホルダー
208 静電チャック
209 電極
210 高圧電源
211 溝
212 電気ヒーター
213 冷却ユニット
214 真空排気系
215 プローブユニット
216 パルス発生器
1010 基板
1011 支持体
1012 真空容器
1015 気体の導入口
1016 排気口
1018 シール部材
1019 拡散板
1020 ヒーター
1021 水素または有機物質ガス
1022 キャリアガス
1023 水分除去フィルター
1024 ガス流量制御装置
1025a〜1025f バルブ
1026 真空ポンプ
1027 真空計
1028 配管
1031 配線
1032 駆動ドライバー
1033 拡散板の開口部
1041 熱伝導部材

Claims (1)

  1. 基板と当該基板を覆う容器とで気密雰囲気を形成し、当該気密雰囲気下にて前記基板に所定の処理を施す基板処理方法であって、
    前記基板と容器とが離間される、当該気密雰囲気の開放時には、前記離間された領域にエアーカーテンを形成することを特徴とする基板処理方法。
JP2002376882A 2002-12-26 2002-12-26 基板処理方法 Withdrawn JP2004207125A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002376882A JP2004207125A (ja) 2002-12-26 2002-12-26 基板処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002376882A JP2004207125A (ja) 2002-12-26 2002-12-26 基板処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004207125A true JP2004207125A (ja) 2004-07-22

Family

ID=32814214

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002376882A Withdrawn JP2004207125A (ja) 2002-12-26 2002-12-26 基板処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004207125A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3320387B2 (ja) 電子源の製造装置及び製造方法
US6848961B2 (en) Method and apparatus for manufacturing image displaying apparatus
JP4551586B2 (ja) 電圧印加プローブ、電子源の製造装置及び製造方法
JP3492325B2 (ja) 画像表示装置の製造方法
US6780074B2 (en) Method for manufacturing an image display device
JP3890258B2 (ja) 電子源の製造方法、および、電子源の製造装置
US6962516B2 (en) Voltage applying apparatus, and apparatus and method for manufacturing electron source
JP2004207125A (ja) 基板処理方法
JP3728213B2 (ja) 画像表示装置の製造法及び製造装置
JP2004227821A (ja) 通電処理装置および電子源の製造装置
JP2003092060A (ja) 電子源の製造装置及び製造方法
JP2002110031A (ja) 電子源の製造装置
JP2002358875A (ja) 電子源の製造装置
US20020137423A1 (en) Method of fabricating electron source substrate and image forming apparatus
JP2004152601A (ja) 電子源の製造装置
JP2002245929A (ja) 電子源の製造装置及びその製造方法、並びに画像表示装置の製造方法
JP2002352701A (ja) 電子源の製造装置及び製造方法
JP2003086102A (ja) 電子源の製造装置及び製造方法
JP2003007205A (ja) 電子源の製造装置及び製造方法
JP2003086086A (ja) 電子源の製造装置及び製造方法
JP2003007203A (ja) 電子源の製造装置及び製造方法
JP2004146152A (ja) 電圧印加装置
JP2004165041A (ja) 電子源の製造装置
JP2002367506A (ja) 電圧印加装置、電子源の製造装置及び製造方法
JP2004241299A (ja) 電子源の製造装置および製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060307