JP2003007205A - 電子源の製造装置及び製造方法 - Google Patents

電子源の製造装置及び製造方法

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JP2003007205A
JP2003007205A JP2001184533A JP2001184533A JP2003007205A JP 2003007205 A JP2003007205 A JP 2003007205A JP 2001184533 A JP2001184533 A JP 2001184533A JP 2001184533 A JP2001184533 A JP 2001184533A JP 2003007205 A JP2003007205 A JP 2003007205A
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electron source
substrate
electron
gas
magnetic
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Shigeto Kamata
重人 鎌田
Kazuhiro Oki
一弘 大木
Akihiro Kimura
明弘 木村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子源基板から発生する熱を支持体が効率よ
く回収し、電子放出特性の優れた電子源を製造可能にす
る。 【解決手段】 電子源基板10と、電子源基板10の上
に形成された配線、絶縁体、及び電子放出素子と、電子
源基板10の一部を覆う真空容器202と、電子源基板
10を載置する支持体207と、支持体207に備えら
れ該支持体に電子源基板10を押し付け保持させる磁気
チャック208とを有し、電子源基板10の裏面に膜状
またはシート状の磁性体が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子源の製造装置
及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子源を構成する電子放出素子と
しては、大別して熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子
との2種類のものが知られている。冷陰極電子放出素子
には、電界放出型、金属/絶縁層/金属型や表面伝導型
電子放出素子等がある。
【0003】表面伝導型電子放出素子は基板上に形成さ
れた小面積の薄膜に、膜面に並行に電流を流すことによ
り、電子放出が生ずる現象を利用するものである。その
基本的な構成、製造方法などは、例えば特開平7−23
5255号公報、特開平8−171849号公報などに
開示されている。
【0004】表面伝導型電子放出素子は、基板上に、対
向する一対の素子電極と、該一対の素子電極に接続され
その一部に電子放出部を有する導電性膜とを有してなる
ことを特徴とするものである。また、上記導電性膜には
一部亀裂が形成されている。
【0005】また、上記亀裂の端部には、炭素または炭
素化合物の少なくとも一方を主成分とする堆積膜が形成
されている。
【0006】このような電子放出素子を基板上に複数個
配置し、各電子放出素子を配線で結ぶことにより、複数
個の表面伝導型電子放出素子を備える電子源を作成する
ことができる。
【0007】また、上記電子源と蛍光体とを組み合わせ
ることにより、画像形成装置の表示パネルを形成するこ
とができる。
【0008】従来、このような電子源のパネルの製造は
以下のように行われていた。即ち、第1の製造方法とし
ては、まず、基板上に、導電性膜及び該導電性膜に接続
された一対の素子電極からなる複数の素子と、該複数の
素子を接続した配線とが形成された電子源基板を作成す
る。次に、作成した電子源基板全体を真空チャンバ内に
設置する。次に、真空チャンバ内を排気した後、外部端
子を通じて上記各素子に電圧を印加して各素子の導電性
膜に亀裂を形成する。更に、該真空チャンバ内に有機物
質を含む気体を導入し、有機物質の存在する雰囲気下で
前記各素子に再び外部端子を通じて電圧を印加し、該亀
裂近傍に炭素あるいは炭素化合物を堆積させる。
【0009】また、第2の製造方法としては、まず、基
板上に、導電性膜及び該導電性膜に接続された一対の素
子電極からなる複数の素子と、該複数の素子を接続した
配線とが形成された電子源基板を作成する。次に、作成
した電子源基板と蛍光体が配置された基板とを支持枠を
挟んで接合して画像形成装置のパネルを作成する。その
後、該パネル内をパネルの排気管を通じて排気し、パネ
ルの外部端子を通じて上記各素子に電圧を印加し各素子
の導電性膜に亀裂を形成する。更に、該パネル内に該排
気管を通じて有機物質を含む気体を導入し、有機物質の
存在する雰囲気下で前記各素子に再び外部端子を通じて
電圧を印加し、該亀裂近傍に炭素あるいは炭素化合物を
堆積させる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上の製造方法が採ら
れていたが、第1の製造方法は、とりわけ、電子源基板
が大きくなるに従い、より大型の真空チャンバ及び高真
空対応の排気装置が必要になる。また、第2の製造方法
は、画像形成装置のパネル内空間からの排気及び該パネ
ル内空間への有機物質を含む気体の導入に長時間を要す
る。また、上記いずれの製造方法も、電子源基板から発
生する熱を支持体が効率よく回収せず、優れた電子放出
特性が得られ難いという問題があった。
【0011】本発明は、小型化と操作性の簡易化が可能
な電子源の製造装置を提供することを目的とする。ま
た、本発明は、製造スピードが向上し量産性に適した電
子源の製造装置及び製造方法を提供することを目的とす
る。また、本発明は、電子源基板から発生する熱を支持
体が効率よく回収し、電子放出特性の優れた電子源を製
造し得る電子源の製造装置及び製造方法を提供すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、電子源基板と、前記電子源基板の上に形
成された配線、絶縁体、及び電子放出素子と、前記電子
源基板の一部を覆う真空容器とを有する電子源の製造装
置において、前記電子源基板を載置する支持体と、前記
支持体に備えられ該支持体に前記電子源基板を保持する
ための磁気チャックとを有することを特徴とする。
【0013】本発明に係る電子源の製造装置は、導電体
が形成された基板を支持する支持体と、気体の導入口及
び気体の排気口を有し、前記基板面の一部の領域を覆う
容器と、前記気体の導入口に接続された、前記容器内に
気体を導入する手段と、前記気体の排気口に接続され
た、前記容器内を排気する手段と、前記導電体に電圧を
印加する手段と、を備えることを特徴としてもよい。こ
の電子源の製造装置も、前記支持体に磁気チャックを備
えていることが望ましい。
【0014】また、本発明に係る電子源の製造装置は、
上記の電子源の製造装置において、導電体が形成された
基板の裏面に磁性体が形成されていることが望ましく、
該磁性体が膜状、もしくはシート状に形成されているこ
とが好ましい。
【0015】また、本発明に係る電子源の製造装置は、
上記の電子源の製造装置において、前記基板に形成され
た配線、絶縁体、及び電子放出素子の電極のうち、少な
くとも一つに磁性材料が混入されていてもよい。
【0016】また、本発明に係る電子源の製造装置は、
上記の電子源の製造装置において、前記基板の表面に磁
性体プレートを配し、前記磁気チャックが前記磁性体プ
レートを引くようにしてもよい。
【0017】本発明について以下に更に詳述する。本発
明に係る製造装置は、まず、予め導電体が形成された基
板を支持するための支持体と、該支持体にて支持された
該基板上を覆う容器とを具備する。ここで、該容器は、
該基板表面の一部の領域を覆うものであり、これにより
該基板上の導電体に接続され該基板上に形成されている
配線の一部分が該容器外に露出された状態で該基板上に
気密な空間を形成し得る。また、該容器には、気体の導
入口と気体の排気口が設けられており、これら導入口及
び排気口にはそれぞれ該容器内に気体を導入するための
手段及び該容器内の気体を排出するための手段が接続さ
れている。これにより該容器内を所望の雰囲気に設定す
ることができる。また、前記導電体が予め形成された基
板とは、電気的処理を施すことで該導電体に電子放出部
を形成し電子源となす基板である。よって、本発明に係
る製造装置は、更に、電気的処理を施すための手段、例
えば、該導電体に電圧を印加する手段を具備してもよ
い。
【0018】以上の製造装置にあっては、小型化が達成
され、上記電気的処理における電源との電気的接続など
の操作性の簡易化が達成される他、上記容器の大きさや
形状などの設計の自由度が増し、容器内への気体の導
入、容器外への気体の排出を短時間で行うことが可能と
なる。
【0019】また、本発明に係る電子源の製造方法は、
まず、導電体と該導電体に接続された配線とが予め形成
された基板を支持体上に配置し、前記配線の一部分を除
き前記基板上の導電体を容器で覆う。これにより、該基
板上に形成されている配線の一部分が該容器外に露出さ
れた状態で、前記導電体は、該基板上に形成された気密
な空間内に配置されることとなる。次に、前記容器内を
所望の雰囲気とし、前記容器外に露出された一部分の配
線を通じて前記導電体に電気的処理、例えば、前記導電
体への電圧の印加がなされる。ここで、前記所望の雰囲
気とは、例えば、減圧された雰囲気、あるいは、特定の
気体が存在する雰囲気である。また、前記電気的処理
は、前記導電体に電子放出部を形成し電子源となす処理
である。また、上記電気的処理は、異なる雰囲気下にて
複数回なされる場合もある。例えば、前記配線の一部分
を除き前記基板上の導電体を容器で覆い、まず、前記容
器内を第1の雰囲気として上記電気的処理を行う工程
と、次に、前記容器内を第2の雰囲気として上記電気的
処理を行う工程とがなされ、以上により前記導電体に良
好な電子放出部が形成され電子源が製造される。ここ
で、上記第1及び第2の雰囲気は、好ましくは、後述す
る通り、第1の雰囲気が減圧された雰囲気であり、第2
の雰囲気が炭素化合物などの特定の気体が存在する雰囲
気である。
【0020】以上の製造方法にあっては、上記電気的処
理における電源との電気的接続などは容易に行うことが
可能となる。また、上記容器の大きさや形状などの設計
の自由度が増すので容器内への気体の導入、容器外への
気体の排出を短時間で行うことができ、製造スピードが
向上する他、製造される電子源の電子放出特性の再現
性、とりわけ複数の電子放出部を有する電子源における
電子放出特性の均一性が向上する。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明の好ましい第1の実
施の形態を示す。図1、図2及び図3は、本実施形態に
係る電子源の製造装置を示しており、図1及び図3はい
ずれも断面図と配管等の接続図、図2は図1における電
子源基板の周辺部分を示す斜視図である。図1、図2及
び図3において、6は電子放出素子となる導電体、7は
X方向配線、8はY方向配線、10は電子源基板、11
は支持体、12は真空容器、15は気体の導入口、16
は排気口、18はシール部材、19は拡散板、20はヒ
ータ、21は容器に入っている水素または有機物質ガ
ス、22は容器に入っているキャリヤガス、23は水分
除去フィルタ、24はガス流量制御装置、25a〜25
fはバルブ、26は真空ポンプ、27は真空計、28は
配管、30は取り出し配線、32(32a,32b)は
電源及び電流制御系からなる駆動ドライバである。31
(31a,31b)は電子源基板10の取り出し配線3
0と駆動ドライバ32とを接続する配線、33は拡散板
19の開口部、41は熱伝導部材、46は昇降軸、47
は支持体11を昇降させる昇降駆動ユニット、48は支
持体11の昇降を制御する昇降制御装置である。
【0022】支持体11は、電子源基板10を所定位置
に保持して固定するものであって、真空チャッキング機
構、静電チャッキング機構、磁気チャッキング若しくは
固定冶具などにより、機械的に電子源基板10を固定す
る機構を有する。支持体11の内部には、ヒータ20が
設けられ、必要に応じて電子源基板10を熱伝導部材4
1を介して加熱することができる。
【0023】熱伝導部材41は、支持体11上に設置さ
れ、電子源基板10を保持して固定する機構の障害にな
らないように、支持体11と電子源基板10の間で挟持
されるか、あるいは、支持体11に埋め込まれるように
設置されていてもよい。
【0024】熱伝導部材41は、電子源基板10の反
り、うねりを吸収し、電子源基板10への電気的処理工
程における発熱を、確実に支持体11へ伝え、放熱する
ことができ、電子源基板10のクラック、破損の発生を
防ぐことができ、歩留まりの向上に寄与できる。
【0025】また、この電子源の製造装置では、電気的
処理工程における発熱を素早く、確実に放熱することに
よって、温度分布による導入ガスの濃度分布の低減、基
板熱分布が影響する電子放出素子の不均一性の低減に寄
与でき、均一性に優れた電子源の製造が可能となる。
【0026】熱伝導部材41としては、シリコングリス
や、シリコンオイル、ジェル状物質等の粘性液状物質を
使用することができる。粘性液状物質である熱伝導部材
41が支持体11上を移動する弊害がある場合は、支持
体11に、粘性液状物質が所定の位置及び領域、すなわ
ち、少なくとも電子源基板10の導電体6を形成する領
域下で滞留するように、その領域に合わせて、支持体1
1に滞留機構を設置してあってもよい。これは、例え
ば、O−リングや、あるいは、耐熱性の袋に粘性液状物
質を入れ、密閉した熱伝導部材とした構成とすることが
できる。
【0027】Oリングなどを設置して粘性液状物質を滞
留させる場合において、電子源基板10と支持体11の
間に空気層ができて正しく接しない場合は、空気抜けの
通孔や、電子源基板10を設置した後に、粘性液状物質
を基板10と支持体11の間に注入する方法も採ること
ができる。図3は、粘性液状物質が所定の領域で滞留す
るように、O−リングと粘性液状物質導入口に連通する
導入管45とを設けた装置の概略断面図である。
【0028】この粘性液状物質を支持体11及び電子源
基板10間で挟持し、かつ温度制御を行いながら循環さ
せる機構が付与されれば、これは、ヒータ20に替わ
り、電子源基板10の加熱手段、あるいは、冷却手段と
なる。また、目的温度に対する温度調節が行える、例え
ば、循環型温度調節装置と液状媒体などからなる機構を
付与することができる。
【0029】熱伝導部材41は、弾性部材であってもよ
い。弾性部材の材料としては、テフロン樹脂などの合成
樹脂材料、シリコンゴム等のゴム材料、アルミナなどの
セラミック材料、銅やアルミニウムの金属材料等を使用
することができる。これらは、シート状、あるいは、分
割されたシート状で使用されていてもよい。あるいは、
円柱状、角柱状等の柱状、電子源基板の配線に合わせた
X方向、あるいは、Y方向に伸びた線状、円錐状などの
突起状、球体や、ラグビーボール状(楕円球状体)など
の球状体、あるいは、球状体表面に突起が形成されてい
る形状の球状体などが支持体上に設置されていてもよ
い。
【0030】真空容器12は、ガラスやステンレス鋼製
の容器であり、容器からの放出ガスの少ない材料からな
るものが好ましい。真空容器12は、電子源基板10の
取り出し配線部を除き、導電体6が形成された領域を覆
い、かつ、少なくとも、1.33×10-1Pa(1×1
-3Torr)から大気圧までの圧力範囲に耐えられる
構造のものである。
【0031】シール部材18は、電子源基板10と真空
容器12との気密性を保持するためのものであり、Oリ
ングやゴム性シートなどが用いられる。
【0032】有機物質ガス21には、後述する電子放出
素子の活性化に用いられる有機物質、または、有機物質
を窒素、ヘリウム、アルゴンなどで希釈した混合気体が
用いられる。また、後述するフォーミングの通電処理を
行う際には、導電性膜への亀裂形成を促進するための気
体、例えば、還元性を有する水素ガス等を真空容器12
内に導入することもある。このように他の工程で気体を
導入する際には、導入配管、バルブ25eを用いて、真
空容器12を配管28に接続すれば、使用することがで
きる。
【0033】上記電子放出素子の活性化に用いられる有
機物質としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪
族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アル
デヒド類、ケトン類、アミン類、ニトリル類、フェノー
ル、カルボン、スルホン酸等の有機酸類などを挙げるこ
とができる。より具体的には、メタン、エタン、プロパ
ンなどのCn2n+2で表される飽和炭化水素、エチレ
ン、プロピレンなどのC n2n等の組成式で表される不
飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタ
ノール、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルアミン、エチルアミン、フェノール、ベン
ゾニトリル、アセトニトリル等が使用できる。
【0034】有機物質ガス21は、有機物質が常温で気
体である場合にはそのまま使用でき、有機物質が常温で
液体、または、固体の場合は、容器内で蒸発または昇華
させて用いるか、或いは更にこれを希釈ガスと混合する
などの方法で用いることができる。キャリヤガス22に
は、窒素またはアルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスが
用いられる。
【0035】有機物質ガス21と、キャリヤガス22
は、一定の割合で混合されて、真空容器12内に導入さ
れる。両者の流量及び、混合比は、ガス流量制御装置2
4によって制御される。ガス流量制御装置24は、マス
フローコントローラ及び電磁弁等から構成される。これ
らの混合ガスは、必要に応じて配管28の周囲に設けら
れた図示しないヒータによって適当な温度に加熱された
後、導入口15より、真空容器12内に導入される。混
合ガスの加熱温度は、電子源基板10の温度と同等にす
ることが好ましい。
【0036】なお、配管28の途中に、水分除去フィル
タ23を設けて、導入ガス中の水分を除去することがよ
り好ましい。水分除去フィルタ23には、シリカゲル、
モレキュラーシーブ、水酸化マグネシウム等の吸湿材を
用いることができる。
【0037】真空容器12に導入された混合ガスは、排
気口16を通じて、真空ポンプ26により一定の排気速
度で排気され、真空容器12内の混合ガスの圧力は一定
に保持される。本実施形態で用いられる真空ポンプ26
は、ドライポンプ、ダイヤフラムポンプ、スクロールポ
ンプ等、低真空用ポンプであり、オイルフリーポンプが
好ましく用いられる。
【0038】活性化に用いる有機物質の種類にもよる
が、本実施形態において、上記混合気体の圧力は、混合
気体を構成する気体分子の平均自由行程λが真空容器1
2の内側のサイズに比べて十分小さくなる程度の圧力以
上であることが、活性化工程の時間の短縮や均一性の向
上の点で好ましい。これは、いわゆる粘性流領域であ
り、数百Pa(数Torr)から大気圧までの圧力範囲
である。
【0039】また、真空容器12の気体導入口15と電
子源基板10との間に拡散板19を設けると、混合気体
の流れが制御され、基板10の全面に均一に有機物質が
供給されるため、電子放出素子の均一性が向上し好まし
い。
【0040】電子源基板10の取り出し配線30は、真
空容器12の外部にあり、TAB配線やプローブなどを
用いて配線31と接続し、駆動ドライバ32に接続す
る。
【0041】本実施形態、さらには後述する実施形態に
おいても同様であるが、真空容器12は、電子源基板1
0上の導電体6のみを覆えばよいため、装置の小型化が
可能である。また、電子源基板10の配線部が真空容器
12外に有るため、電子源基板10と電気的処理を行う
ための電源装置(駆動ドライバ32)との電気的接続を
容易に行うことができる。
【0042】以上のようにして真空容器12内に有機物
質を含む混合ガスを流した状態で、駆動ドライバ32を
用い、配線31を通じて基板10上の各電子放出素子に
パルス電圧を印加することにより、電子放出素子の活性
化を行うことができる。
【0043】以上述べた製造装置を用いての電子源の製
造方法の具体例に関しては、以下の実施例にて詳述す
る。上記電子源と画像形成部材とを組み合わせることに
より、図5に示すような画像形成装置68を形成するこ
とができる。図5は画像形成装置の概略図である。図5
において、6は電子放出素子、10は電子源基板、62
は支持枠である。66は、ガラス基板63、蛍光体64
及びメタルバック65からなるフェースプレートであ
り、67は高圧端子、68は画像形成装置である。
【0044】画像形成装置68は、各電子放出素子6
に、容器外端子Dx1乃至Dxm、及び容器外端子Dy1乃至
Dynを通じて、走査信号及び変調信号を図示しない信号
発生手段によってそれぞれ印加することにより、電子を
放出させ、高圧端子67を通じて、メタルバック65、
あるいは、図示しない透明電極に5kVの高圧を印加
し、電子ビームを加速し、蛍光体膜64に衝突させて励
起し、発光させることで画像を表示する。
【0045】本発明は、以上述べた実施の形態におい
て、特に支持体11の部分に関するものである。特に本
実施形態は、電子源基板10から発生する熱を支持体1
1が効率よく回収できるよう電子源基板10を支持体1
1に押し付けるという課題を解決するものである。特
に、本実施形態ではそのために、支持体11に磁気チャ
ックを備えることを特徴とする。また、電子源基板10
の裏面もしくは表面に磁性体を存在させることを特徴と
するものである。
【0046】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳し
く説明するが、本発明はこれら実施例によって限定され
るものではなく、本発明の目的が達成される範囲内での
各要素の置換や設計変更がなされたものをも包含する。
【0047】[実施例1]以下に本実施例について説明
する。まず、磁性体である厚さ30μmのスチールシー
トもしくはスチールテープを、ガラス基板裏面に貼り付
けた。前記スチールテープは、電子源の製造時に磁気チ
ャックの磁気回路として用いるものであり、スチール程
度の透磁率であれば、その材質は制限されず、半導体、
金属、樹脂等が使用できる。前記ガラス基板表面に、図
8に示されるような複数の行方向配線7、複数の列方向
配線8、及び、これら配線によりマトリクス配線され
た、素子電極2,3及びPdOからなる導電性膜4を形
成し、電子源基板としての素子形成基板10を作製し
た。次に、図4に示す製造装置を用いて以後の工程を行
った。
【0048】図4において、202は真空容器、203
はO−リング等のシール部材、204は活性化ガスであ
るベンゾニトリル、205は真空計である電離真空計、
206は真空容器202用の真空排気系、207は基板
支持体、208は基板支持体207に上面を合わせて設
置された磁気チャック、212は電気ヒータ、213は
冷却ユニット、214は真空排気系、215は素子形成
基板10上の配線の一部に電気的に接触可能なプローブ
ユニット、216はプローブユニット215に接続した
パルス発生器、218はガス供給系、V1はバルブであ
る。同図において、磁気チャック208に磁気を帯びさ
せる磁気回路は図示していない。
【0049】電子源基板としての素子形成基板10は、
基板支持体207に載せ、磁気チャック208で磁気吸
着した。次に、素子形成基板10と基板支持体207と
の間に、ガス供給系218からHeガスを導入し、50
0Paに維持した。ガス供給系218から供給されるH
eガスは、素子形成基板10と磁気チャック208の間
の熱伝導を向上させる作用がある。尚、Heガスが最も
好適であるが、N2 、Ar等のガスも使うことができ、
所望の熱伝導が得られればそのガス種は制限されない。
次に、真空容器202をO−リング等のシール部材20
3を介して素子形成基板10上に、上記配線端部が真空
容器202の外に出るようにして載せ、真空容器202
内に真空気密な空間を作り、同空間を真空排気系206
により圧力が1×10-5Pa以下になるまで、真空排気
した。水温15℃の冷却水を冷却ユニット213に流
し、更に、温度制御機能を有する電源(不図示)より、
電気ヒータ212に電力を供給し、素子形成基板10を
一定温度に維持した。
【0050】次に、プローブユニット215を、上記真
空容器202の外に露出した、素子形成基板10上の配
線端部に電気的に接触させ、プローブユニット215に
接続したパルス発生器216より、三角パルスを印加
し、フォーミング処理工程を実施した。フォーミング処
理時に流れる電流によって発生する熱は、効率よく磁気
チャック208に吸収され、素子形成基板10は一定温
度に保たれ、良好なフォーミング処理を実施でき、ま
た、熱応力による破損も防ぐことができた。以上のフォ
ーミング処理により、図7に示す間隙Gが導電性膜4に
形成された。
【0051】次に、電気ヒータ212に流れる電流を調
整し、素子形成基板10を60℃の一定温度に維持し
た。バルブV1を開け真空容器202内に電離真空計2
05で圧力を測定しながら、活性化ガス204としての
ベンゾニトリルを導入した。パルス発生器216より、
プローブユニット215を通して三角パルスを印加して
活性化処理を行った。フォーミング処理工程と同様に、
活性化処理時に流れる電流によって発生する熱は、効率
よく磁気チャック208に吸収され、素子形成基板10
は一定温度に保たれ、良好に活性化を実施することがで
き、また、熱応力による破損も防ぐことができた。
【0052】以上の活性化処理により、図6及び図7に
示すように、間隙5を隔てて炭素膜29が形成された。
【0053】以上の工程を終了した素子形成基板10
は、ガラス基板63及び蛍光体64等を配置したフェー
スプレート66と位置合わせを行い、低融点ガラスを用
いて封着し、真空外囲器を作製した。更に、前記外囲器
内に真空排気、ベーキング、封止工程等の工程を施し、
図5に示すパネル状の画像形成装置68を作製した。
【0054】本実施例では、フォーミング処理、活性化
処理工程時に磁気チャック208及びHeガスを用いた
ため、特性の揃った良好な表面伝導型電子放出素子6を
形成することができ、均一性が向上した画像性能を有す
るパネル状の画像形成装置68を作製することができ、
また、熱応力による破損を防ぎ、歩留まりの向上を図る
ことができた。
【0055】[実施例2]図9は、本発明に係る製造装
置の実施形態を詳しく説明するための断面図であり、図
4における基板支持体207、及び磁気チャック208
の部分を抜き出した断面図である。同図において、22
1はヨーク、222はコイル、223は電子源基板10
の裏面に設けた磁性体シート、224は電子源基板10
の表面に設けた配線である。コイル222に電流を流す
とヨーク221と磁性体シート223とにより構成され
た磁路に磁界が発生する。このとき、磁気チャック20
8と磁性体シート223とは互いに引き合うので、磁性
体シート223を設けた電子源基板10は基板支持体2
07に押しつけられる。電子源基板10と基板支持体2
07の熱伝達がよくなるので、電子源基板10で発熱し
た熱を基板支持体207が効率よく回収できた。
【0056】電子源基板10と基板支持体207との間
には、Heガスなどの熱良導体が存在するようにしても
よい。このとき、磁気チャック208が組み込まれた基
板支持体207が電子源基板10を引き付けているの
で、熱良導体の圧力などにより電子源基板10が基板支
持体207から離れることはない。
【0057】なお、コイル222に流す電流を調整し、
発生した磁界の磁束密度を0もしくは小さくすることに
より基板を取り外すことも可能である。以上のように、
電子源基板10より発生する熱は、効率よく磁気チャッ
ク208、基板支持体207に吸収され、また、熱応力
による電子源基板10の破損も防ぐことができた。電子
源基板10の裏面に磁性体シート223を設ける代わり
に磁性体膜を形成してもよい。
【0058】また、電子源基板10の裏面に磁性体シー
ト223を設ける代わりに、電子源基板10の表面に形
成された配線224、図8の絶縁層9、及び素子電極
2,3などに磁性材料を混入し、配線224、絶縁層
9、及び電子放出素子6などを磁気チャック208によ
り吸引させても、電子源基板10を基板支持体11に押
し付けることができ、同様の効果が得られた。
【0059】[実施例3]さらに、図10は本発明に係
る製造装置の別の実施形態を説明するための図であり、
225は磁性体プレートである。この磁性体プレート2
25は、電子源基板10の表面側に備えられている。フ
ォーミングもしくは活性化で用いられるガスなどが電子
源基板10の表面の素子に到達するように、磁性体プレ
ート225の面内には開口部が形成されており、磁性体
プレート225の表裏をガスが行き来できるような構造
になっている。コイル222に電流を流すと、ヨーク2
21と磁性体プレート225とにより構成された磁路に
磁界が発生する。このとき、磁気チャック208と磁性
体プレート225とは互いに引き合うので、磁性体プレ
ート225と基板支持体207に挟まれた電子源基板1
0は基板支持体207に押し付けられる。電子源基板1
0と基板支持体207の熱伝達がよくなるので、電子源
基板10で発熱した熱を基板支持体207が効率よく回
収できた。以上のように、本実施例においても、実施例
2と同様の効果が得られた。
【0060】以上のように、電子源基板の裏面もしくは
表面に磁性体を設け、磁気チャックで磁性体を吸引する
ことにより、電子源基板と支持体との密着度が高まり、
電子源基板から発生する熱を効率よく回収することがで
きた。
【0061】本実施例においても、実施例1と同様に、
フォーミング処理、活性化処理工程時に磁気チャック2
08及びHeガスを用いたため、特性の揃った良好な表
面伝導型電子放出素子を形成することができ、均一性が
向上した画像性能を有するパネル状の画像形成装置を作
製することができ、また、熱応力による破損を防ぎ、歩
留まりを向上することができた。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、小型化と操作性の簡易
化が可能な電子源の製造装置を提供することができる。
また、本発明によれば、製造スピードが向上し量産性に
適した電子源の製造装置及び製造方法を提供することが
できる。更に、本発明によれば、電子源基板から発生す
る熱を支持体が効率よく回収し、電子放出特性の優れた
電子源を製造し得る電子源の製造装置及び製造方法を提
供することができる。更に、本発明によれば、画像品位
の優れた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電子源の製造装置の構成を示す
断面図と配管等の接続図である。
【図2】 図1及び図3における電子源基板の周辺部分
を一部を破断して示す斜視図である。
【図3】 本発明に係る電子源の製造装置の構成の他の
形態を示す断面図と配管等の接続図である。
【図4】 本発明に係る製造装置の他の例を示す断面図
である。
【図5】 本発明に係る画像形成装置の構成を一部を破
断して示す斜視図である。
【図6】 本発明に係る電子放出素子の構成を示す平面
図である。
【図7】 本発明に係る電子放出素子の構成を示す図6
のB−B断面図である。
【図8】 本発明に係る電子源を示す平面図である。
【図9】 本発明の実施例に係る電子源の製造装置の磁
気チャック及び電子源基板を示す断面図である。
【図10】 本発明の他の実施例に係る電子源の製造装
置の磁気チャック及び電子源基板を示す断面図である。
【符号の説明】
2,3:素子電極、4:導電性薄膜、5:電子放出部、
6:電子放出素子、7:X方向配線、8:Y方向配線、
9:絶縁層、10:電子源基板(素子形成基板)、1
1:支持体、12:真空容器、18:シール部材、2
0:ヒータ、21:有機物質ガス、22:キャリヤガ
ス、24:ガス流量制御装置、25:バルブ、26:真
空ポンプ、27:真空計、29:炭素膜、41:熱伝導
部材、62:支持枠、63:ガラス基板、64:蛍光
体、65:メタルバック、66:フェースプレート、6
7:高圧端子、68:画像形成装置、202:真空容
器、203:シール部材、204:活性化ガス、20
5:真空計、206:真空容器用の真空排気系、20
7:基板支持体、208:磁気チャック、212:電気
ヒータ、213:冷却ユニット、214:真空排気系、
215:プローブユニット、216:パルス発生器、2
18:ガス供給系、221:ヨーク、222:コイル、
223:磁性体シートもしくは磁性体膜、224:配
線、225:磁性体プレート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 明弘 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子源基板と、前記電子源基板の上に形
    成された配線、絶縁体、及び電子放出素子と、前記電子
    源基板の一部を覆う真空容器とを有する電子源の製造装
    置において、 前記電子源基板を載置する支持体と、前記支持体に備え
    られ該支持体に前記電子源基板を保持するための磁気チ
    ャックとを有することを特徴とする電子源の製造装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電子源の製造装置にお
    いて、 前記電子源基板の裏面に磁性体が形成されていることを
    特徴とする電子源の製造装置。
  3. 【請求項3】 前記磁性体が膜状及びシート状のいずれ
    かに形成されていることを特徴とする請求項2に記載の
    電子源の製造装置。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の電子源の製造装置にお
    いて、 前記配線、絶縁体、及び電子放出素子の電極のうち、少
    なくとも一つに磁性材料が混入されていることを特徴と
    する電子源の製造装置。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の電子源の製造装置にお
    いて、 前記電子源基板の表面側に磁性体プレートを配し、前記
    磁気チャックが前記磁性体プレートを引くことを特徴と
    する電子源の製造装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の電子源
    の製造装置を用いて製造することを特徴とする電子源の
    製造方法。
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