JP2004202310A - 水性ガスシフト反応用触媒 - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒活性の高い水性ガスシフト反応用触媒を提供する。
【解決手段】水性ガスシフト反応用触媒を、Cu、Cu2O、CuOから選ばれる少なくとも一種と、ZnOと、Al2O3とを含んで構成する。また、水性ガスシフト反応用触媒において、Alに対する(Cu+Zn)のモル比は0.48≦(Cu+Zn)/Al≦0.65とする。(Cu+Zn)/Alの値を化学量論比近傍の値とすることで、触媒粒子の表面にCuを充分に析出させることができ、かつ、CuOやZnOの粒成長を抑制して、析出したCuの高分散化を達成することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】水性ガスシフト反応用触媒を、Cu、Cu2O、CuOから選ばれる少なくとも一種と、ZnOと、Al2O3とを含んで構成する。また、水性ガスシフト反応用触媒において、Alに対する(Cu+Zn)のモル比は0.48≦(Cu+Zn)/Al≦0.65とする。(Cu+Zn)/Alの値を化学量論比近傍の値とすることで、触媒粒子の表面にCuを充分に析出させることができ、かつ、CuOやZnOの粒成長を抑制して、析出したCuの高分散化を達成することができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性ガスシフト反応を進行させるために用いられる触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、一酸化炭素含有ガス中の一酸化炭素濃度の低下や、水素の製造、また、メタノールの合成原料や鋼材の浸炭処理雰囲気ガス等となる混合ガス中のH2/CO比の調整等を目的として、一酸化炭素に水蒸気を混合した混合ガスを触媒下で反応させる水性ガスシフト反応が用いられている。また、環境に優しく高効率であるとして期待される燃料電池においても、燃料改質ガス中に含まれる一酸化炭素は電極を被毒することから、その一酸化炭素の濃度を極力低減するため、水性ガスシフト反応の必要性は高い。水性ガスシフト反応は、COシフト反応またはCO変成反応ともいわれ、式CO+H2O→CO2+H2で表される反応である。上記水性ガスシフト反応を進行させるためには触媒が必要となる。現在、水性ガスシフト反応を進行させるための触媒として、Cu/ZnO系触媒等が多く使用されている。そして、その触媒の活性を向上させるために、種々の検討がなされている。例えば、CuおよびZnOにアルミナ(Al2O3)を加えたCu/ZnO−Al2O3触媒が開示されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−143209号公報
【非特許文献1】
Koshi Sekizawa、他3名、”Selective removal of CO in methanolreformed gas over Cu-supported mixed metal oxides”、「APPLIED CATALYSIS A:GENERAL」(刊行物名)、1998年、169号、p.291−297
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1および非特許文献1に記載された触媒では、その活性が充分とはいえない。後に詳しく説明するが、本発明者は、Cu/ZnO−Al2O3触媒における、Alに対する(Cu+Zn)のモル比、すなわち、(Cu+Zn)/Alの値に着目した。本発明者が上記両文献に記載のCu/ZnO−Al2O3触媒について、(Cu+Zn)/Alの値を計算したところ、いずれの触媒も、スピネル構造のアルミニウム複合酸化物[(Zn、Cu)Al2O4]の化学量論比から大きくずれた組成であることがわかった。
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、触媒活性のより高い水性ガスシフト反応用触媒を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の水性ガスシフト反応用触媒は、Cu、Cu2O、CuOから選ばれる少なくとも一種と、ZnOと、Al2O3とを含み、Alに対する(Cu+Zn)のモル比が0.48≦(Cu+Zn)/Al≦0.65であることを特徴とする。
【0007】
水性ガスシフト反応用触媒は、還元雰囲気にて使用される。そのため、Cu/ZnO−Al2O3触媒では、触媒粒子の表面に金属Cuが析出し、析出した金属Cuが触媒として作用すると考えられる。本発明者は、触媒作用を果たすCuの析出状態が、触媒活性に影響を与えると考えた。すなわち、触媒粒子の表面にCuが充分に析出し、かつ析出したCuが高分散化していることにより、触媒活性が向上すると考えた。
【0008】
スピネル構造のアルミニウム複合酸化物[(Zn、Cu)Al2O4]の場合、(Zn、Cu):Al=1:2、つまり(Cu+Zn)/Al=0.5が化学量論比となる。本発明者は、水性ガスシフト反応用触媒における、Alに対する(Cu+Zn)のモル比[(Cu+Zn)/Al]に着目し、鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得た。(Cu+Zn)/Alの値が化学量論比より小さくなると、結晶格子中に欠陥が生じる。その状態から、さらに、結晶格子中に固溶しているCu原子が抜けると、結晶構造を維持することが難しくなる。したがって、(Cu+Zn)/Alの値が化学量論比より小さすぎると、結晶構造の維持のため、Cu原子は表面に析出し難くなると考えられる。一方、(Cu+Zn)/Alの値が化学量論比より大きすぎると、結晶格子中に固溶しきれない過剰なCu、Znが触媒粒子の表面で凝集し、CuOやZnOの粒成長を引き起こす。その結果、触媒の活性点が減少し、触媒活性が低下すると考えられる。
【0009】
本発明の水性ガスシフト反応用触媒では、(Cu+Zn)/Alの値が0.48≦(Cu+Zn)/Al≦0.65、つまり、化学量論比近傍の値である。そのため、触媒粒子の表面にCuを充分に析出させることができ、かつ、CuOやZnOの粒成長を抑制して、析出したCuの高分散化を達成することができる。したがって、本発明の水性ガスシフト反応用触媒は、触媒活性が高い。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の水性ガスシフト反応用触媒について詳細に説明する。本発明の水性ガスシフト反応用触媒は、Cu、Cu2O、CuOから選ばれる少なくとも一種と、ZnOと、Al2O3とを含む。本発明の水性ガスシフト反応用触媒に含まれる銅は、還元されて金属の状態(Cu)になっていても、あるいは酸化されて酸化物の状態(Cu2O、CuO)になっていても構わない。つまり、本発明の水性ガスシフト反応用触媒は、Cu、Cu2O、CuOのいずれか一種、あるいはいずれか二種を含む態様であってもよく、Cu、Cu2O、CuOのすべてを含む態様であってもよい。例えば、触媒の製造時等では、銅は酸化されてCuOの状態となっていると考えられる。また、水性ガスシフト反応における還元雰囲気で使用される際には、銅は還元されてCu2O、Cuの状態となっていると考えられる。
【0011】
また、本発明の水性ガスシフト反応用触媒では、Alに対する(Cu+Zn)のモル比が0.48≦(Cu+Zn)/Al≦0.65である。上述したように、(Cu+Zn)/Alの値を、スピネル構造のアルミニウム複合酸化物の化学量論比(0.5)近傍の値とすることで、触媒活性を高くすることができる。具体的には、(Cu+Zn)/Alの値を0.48以上とする。(Cu+Zn)/Alの値が0.48未満の場合には、結晶格子中に溶解したCu原子が、触媒粒子表面に析出し難くなるからである。(Cu+Zn)/Alの値を0.5以上とするとより好適である。また、(Cu+Zn)/Alの値を0.65以下とする。(Cu+Zn)/Alの値が0.65を超える場合には、結晶格子中に固溶しきれない過剰なCu、Znが触媒粒子の表面で凝集し、CuOやZnOの粒成長を引き起こすおそれがあるからである。(Cu+Zn)/Alの値を0.6以下とするとより好適である。
【0012】
さらに、析出したCuの分散性をより良好な状態とするという観点から、(Cu+Zn)に対するCuのモル比が0.15<Cu/(Cu+Zn)<0.46であることが望ましい。Cu/(Cu+Zn)の値が0.15以下の場合には、触媒として作用するCuが少ないため、触媒の活性点が減少し触媒活性の低下を招くおそれがあるからである。また、Cu/(Cu+Zn)の値が0.46以上の場合には、Cuが多くなり、CuはZnよりも析出し易いと考えられるため、Cuの粒成長を引き起こし易いからである。
【0013】
通常、触媒の比表面積が大きいほど、触媒活性は向上する。本発明の水性ガスシフト反応用触媒の比表面積は、特に限定されるものではない。但し、触媒活性をより向上させるという観点から、比表面積を50m2/g以上とすることが望ましい。比表面積が50m2/g未満の場合には、上記好適な範囲のものと比較して、Cuの分散状態が良好ではないため、触媒の活性点が減少し、水性ガスシフト反応が進行し難くなる。比表面積は、触媒の製造時における諸条件を調整することで、適宜調整することができる。例えば、後に説明する製造方法では、用いる金属塩の種類、調製する溶液の濃度、焼成温度および焼成時間等を調整すればよい。なお、本明細書では、比表面積としてBET式吸着法により測定した値を採用する。具体的には、測定対象となる触媒をサンプル管に入れ、N2とHeとの混合ガスを流してN2を吸着させる。そして、触媒のN2吸着量を熱伝導度セルにより検出し、BET理論で仮定するような吸着等温線から触媒の比表面積を算出する。
【0014】
本発明の水性ガスシフト反応用触媒の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、共沈法、固相法、ゾルゲル法、噴霧火炎法、エマルジョン燃焼法、噴霧熱分解法等が挙げられる。特に、共沈法によれば、本発明の水性ガスシフト反応用触媒を簡便に製造することができる。以下、共沈法による本発明の水性ガスシフト反応用触媒の製造方法を説明する。
【0015】
まず、アルミニウムを陽イオンとする塩と、亜鉛を陽イオンとする塩と、銅を陽イオンとする塩とをイオン交換水に溶解させ、各々の塩の水溶液を調製する。ここで、アルミニウムを陽イオンとする塩、亜鉛を陽イオンとする塩、および銅を陽イオンとする塩は、それぞれ特に限定されるものではなく、各金属の硝酸塩、塩化物、硫酸塩、酢酸塩、アルコキシド、酸化物ゾル、酸化物粉末等の種々のものを使用することができる。特に、安価であり、分解時に塩素等の有害なガスが発生しないという理由から、硝酸塩を使用することが望ましい。次いで、各々金属塩の水溶液を、含まれる金属が所定のモル比となるように混合し、必要に応じて全金属塩濃度を調整して原料金属塩水溶液を調製する。原料金属塩水溶液の全金属塩濃度は、特に限定されるものではない。但し、全金属塩濃度が低すぎると製造効率が低下し、反対に、同濃度が高すぎると凝集し易くなる。このため、例えば、全金属塩濃度を0.1〜2mol/l程度とすることが望ましい。
【0016】
次に、原料金属塩水溶液と中和剤とを混合し、水酸化物の共沈殿を生成させる。中和剤は、水酸化物の沈殿物を生成させるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、尿素等の水溶液を用いることができる。なかでも、アンモニアは、焼成時に飛散し易いため好適である。中和剤の混合量は、原料金属塩水溶液の濃度や中和剤の濃度等を考慮して、適宜決定すればよい。例えば、原料金属塩水溶液中の硝酸イオン量に対して1〜5倍等量のアルカリ量となるように、中和剤を混合すればよい。また、原料金属塩水溶液と中和剤との混合は、攪拌しながら行うことが望ましい。例えば、プロペラシャフト、マグネティックスターラー、ホモミキサー等により攪拌しながら混合すればよい。攪拌条件は特に限定されないが、例えば、攪拌速度10〜10000rpm、攪拌時間1〜360分程度とすればよい。
【0017】
次いで、得られた沈殿物を濾過、洗浄して乾燥させる。この場合、例えば、100〜200℃程度の温度で、0.5〜10時間程度乾燥すればよい。なお、中和剤の種類、量等により、目的とする沈殿物が得られない場合には、原料金属塩水溶液と中和剤との混合溶液を、蒸発乾固させればよい。この場合、例えば、上記混合溶液を、100〜200℃程度の温度で、0.5〜10時間程度保持すればよい。最後に、得られた乾燥体を焼成する。焼成は、大気中で行えばよいが、それ以外に、酸素雰囲気、窒素等の不活性ガス雰囲気等で行っても構わない。また、焼成条件も、特に限定されるものではない。例えば、300〜600℃にて、0.5〜10時間程度焼成すればよい。焼成後、得られた塊状の水性ガスシフト反応用触媒を、粉砕して粉末状にすればよい。
【0018】
本発明の水性ガスシフト反応用触媒は、式CO+H2O→CO2+H2で表されるCOシフト反応が必要とされる用途に用いられる。例えば、水素の製造、燃料電池における燃料改質ガス中のCO濃度の低減、メタノールの合成原料中あるいは鋼材の浸炭処理雰囲気ガス中のH2/CO比の調整、人体に有害なCOの除去等を目的としたCOシフト反応における触媒として使用することができる。また、本発明の水性ガスシフト反応用触媒の使用形態は、特に限定されるものではない。例えば、粉末状にしたものを容器に充填して使用する他、ペレット状やモノリス状に成形して使用してもよい。また、ペレット状の基材やモノリス状の基材にコーティングして使用することもできる。
【0019】
以上、本発明の水性ガスシフト反応用触媒について説明したが、本発明の水性ガスシフト反応用触媒は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の水性ガスシフト反応用触媒は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
【0020】
【実施例】
上記実施の形態に基づいて、種々の水性ガスシフト反応用触媒を製造した。そして、製造した各触媒を用いて水性ガスシフト反応を行い、各々の触媒の活性を評価した。以下、水性ガスシフト反応用触媒の製造、水性ガスシフト反応用触媒の活性評価試験および評価について説明する。
【0021】
〈水性ガスシフト反応用触媒の製造〉
Cu、Zn、Alのモル比の異なる13種類の水性ガスシフト反応用触媒を製造した。まず、2mol/Lの硝酸アルミニウム水溶液と、2mol/Lの硝酸亜鉛水溶液と、1.5mol/Lの硝酸銅水溶液とを調製した。Cu、Zn、Alが下記表1に示すモル比となるように、上記各水溶液を混合し、さらに、全金属塩濃度が1.5mol/Lとなるようにイオン交換水で希釈して、種々の原料金属塩水溶液を調製した。
【0022】
次に、市販のアンモニア水(25〜28%)を、イオン交換水で2倍に希釈して中和剤とした。調製した各原料金属塩水溶液中の硝酸イオン量の2倍等量に相当する量の中和剤をガラスビーカーに入れ、プロペラシャフトで攪拌しながら(攪拌速度50rpm)原料金属塩水溶液を添加した。原料金属塩水溶液の添加した後、沈殿物熟成のため、さらに10分間攪拌を続けた。本条件では、中和剤としてのアンモニア量が多かったため、Cuイオンがアンモニア錯体を形成し、沈殿しなかった。そこで、原料金属塩水溶液と中和剤との混合溶液を、150℃の温度下で5時間保持することにより、蒸発乾固した。次いで、得られた乾燥体を大気中で焼成した。焼成は、温度400℃にて2〜10時間行った。
【0023】
得られた焼成体を粉砕し、粉末状とした。その粉末の結晶相を、粉末X線回折法により同定した。また、下記活性評価試験に供するため、粉末を加圧成形し、さらに粉砕、整粒して粒径0.5〜1mmのペレット状とした。製造した水性ガスシフト反応用触媒におけるCu、Zn、Alのモル比、(Cu+Zn)/Al、Cu/(Cu+Zn)の各値を、表1に示す。なお、表1におけるCO濃度(%)は、水性ガスシフト反応用触媒の活性評価試験の結果である。これについては、後に説明する。表1において、#2〜#6、#8〜#13の触媒が本発明の水性ガスシフト反応用触媒に相当する。#1および#7の触媒は、比較例となる。
【0024】
【表1】
【0025】
〈水性ガスシフト反応用触媒の活性評価試験および評価〉
(1)活性評価試験
製造した#1〜#13の各水性ガスシフト反応用触媒の活性を評価するため、常圧固定床流通式反応試験装置(株式会社ベスト測器製、CATA-5000-5)を用いて、水性ガスシフト反応試験を行った。#1〜#13の各水性ガスシフト反応用触媒の1.5gを、内径14mmの石英製反応管に充填した。そして、CO:8vol%、H2O:23vol%、CO2:9vol%、H2:29vol%、N2:31vol%からなる混合ガスを、流速1000ml/minで反応管の触媒床に供給した。混合ガスの入りガス温度は、400℃→375℃→350℃→325℃→300℃→275℃→250℃→225℃→200℃と変化させた(降温法)。入りガス温度が上記各所定値に到達してから8分後に、反応管からの出ガスに含まれるCOの濃度を、ガスクロマトグラフ法により分析した。
【0026】
(2)触媒活性の評価
上記水性ガスシフト反応試験の結果の一例として、入りガス温度250℃における出ガス中のCO濃度を、上記表1に示す。表1に示すように、本発明の水性ガスシフト反応用触媒である#2〜#6、#8〜#13の触媒では、いずれもCO濃度が4%未満と低い値となった。つまり、本発明の水性ガスシフト反応用触媒は、COの転化率が高く、触媒活性が高いことがわかる。一方、比較例となる#1および#7の触媒では、CO濃度が5.11%、4.29%と高い値となった。#1の触媒は、(Cu+Zn)/Alの値が小さすぎるため、Cuが充分に析出せず、触媒活性が低下したと考えられる。また、#7の触媒は、(Cu+Zn)/Alの値が大きすぎるため、過剰なCuが触媒粒子表面に凝集し、Cuの分散性が悪くなったため、触媒活性が低下したと考えられる。本発明の水性ガスシフト反応用触媒のなかでも、特に、Cu/(Cu+Zn)の値が0.15より大きく0.46未満である#2〜#5、#9、#10、#12、#13の触媒では、CO濃度が3.5%未満と低い値となった。つまり、0.15<Cu/(Cu+Zn)<0.46である場合には、触媒活性がより高いことがわかる。なお、これらの傾向は、他の入りガス温度における出ガス中のCO濃度の分析結果からも確認された。
【0027】
また、(Cu+Zn)/Alの値と、Cu/(Cu+Zn)の値とがともに大きい、換言すれば、Cuを過剰に含む#7の触媒のX線回折パターンでは、CuOのピークが明瞭に観察された。これは、過剰なCuが触媒粒子表面に凝集し、CuOが粒成長したことを示すものと考えられる。これに対して、#2〜#6、#8〜#13の触媒のX線回折パターンでは、触媒の製造上生じるCuO、ZnOの僅かなピークが観察されたものもあったが、粒成長を示すような明瞭なピークは観察されなかった。これより、#2〜#6、#8〜#13の触媒では、CuOやZnOの粒成長が抑制され、析出したCuの高分散化が達成されているといえる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の水性ガスシフト反応用触媒は、Cu、Cu2O、CuOから選ばれる少なくとも一種と、ZnOと、Al2Oxとを含み、Alに対する(Cu+Zn)のモル比が0.48≦(Cu+Zn)/Al≦0.65である。すなわち、本発明の水性ガスシフト反応用触媒では、(Cu+Zn)/Alの値が化学量論比近傍の値である。そのため、触媒粒子の表面にCuを充分に析出させることができ、かつ、CuOやZnOの粒成長を抑制して、析出したCuの高分散化を達成することができる。したがって、本発明の水性ガスシフト反応用触媒は、触媒活性が高い。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性ガスシフト反応を進行させるために用いられる触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、一酸化炭素含有ガス中の一酸化炭素濃度の低下や、水素の製造、また、メタノールの合成原料や鋼材の浸炭処理雰囲気ガス等となる混合ガス中のH2/CO比の調整等を目的として、一酸化炭素に水蒸気を混合した混合ガスを触媒下で反応させる水性ガスシフト反応が用いられている。また、環境に優しく高効率であるとして期待される燃料電池においても、燃料改質ガス中に含まれる一酸化炭素は電極を被毒することから、その一酸化炭素の濃度を極力低減するため、水性ガスシフト反応の必要性は高い。水性ガスシフト反応は、COシフト反応またはCO変成反応ともいわれ、式CO+H2O→CO2+H2で表される反応である。上記水性ガスシフト反応を進行させるためには触媒が必要となる。現在、水性ガスシフト反応を進行させるための触媒として、Cu/ZnO系触媒等が多く使用されている。そして、その触媒の活性を向上させるために、種々の検討がなされている。例えば、CuおよびZnOにアルミナ(Al2O3)を加えたCu/ZnO−Al2O3触媒が開示されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−143209号公報
【非特許文献1】
Koshi Sekizawa、他3名、”Selective removal of CO in methanolreformed gas over Cu-supported mixed metal oxides”、「APPLIED CATALYSIS A:GENERAL」(刊行物名)、1998年、169号、p.291−297
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1および非特許文献1に記載された触媒では、その活性が充分とはいえない。後に詳しく説明するが、本発明者は、Cu/ZnO−Al2O3触媒における、Alに対する(Cu+Zn)のモル比、すなわち、(Cu+Zn)/Alの値に着目した。本発明者が上記両文献に記載のCu/ZnO−Al2O3触媒について、(Cu+Zn)/Alの値を計算したところ、いずれの触媒も、スピネル構造のアルミニウム複合酸化物[(Zn、Cu)Al2O4]の化学量論比から大きくずれた組成であることがわかった。
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、触媒活性のより高い水性ガスシフト反応用触媒を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の水性ガスシフト反応用触媒は、Cu、Cu2O、CuOから選ばれる少なくとも一種と、ZnOと、Al2O3とを含み、Alに対する(Cu+Zn)のモル比が0.48≦(Cu+Zn)/Al≦0.65であることを特徴とする。
【0007】
水性ガスシフト反応用触媒は、還元雰囲気にて使用される。そのため、Cu/ZnO−Al2O3触媒では、触媒粒子の表面に金属Cuが析出し、析出した金属Cuが触媒として作用すると考えられる。本発明者は、触媒作用を果たすCuの析出状態が、触媒活性に影響を与えると考えた。すなわち、触媒粒子の表面にCuが充分に析出し、かつ析出したCuが高分散化していることにより、触媒活性が向上すると考えた。
【0008】
スピネル構造のアルミニウム複合酸化物[(Zn、Cu)Al2O4]の場合、(Zn、Cu):Al=1:2、つまり(Cu+Zn)/Al=0.5が化学量論比となる。本発明者は、水性ガスシフト反応用触媒における、Alに対する(Cu+Zn)のモル比[(Cu+Zn)/Al]に着目し、鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得た。(Cu+Zn)/Alの値が化学量論比より小さくなると、結晶格子中に欠陥が生じる。その状態から、さらに、結晶格子中に固溶しているCu原子が抜けると、結晶構造を維持することが難しくなる。したがって、(Cu+Zn)/Alの値が化学量論比より小さすぎると、結晶構造の維持のため、Cu原子は表面に析出し難くなると考えられる。一方、(Cu+Zn)/Alの値が化学量論比より大きすぎると、結晶格子中に固溶しきれない過剰なCu、Znが触媒粒子の表面で凝集し、CuOやZnOの粒成長を引き起こす。その結果、触媒の活性点が減少し、触媒活性が低下すると考えられる。
【0009】
本発明の水性ガスシフト反応用触媒では、(Cu+Zn)/Alの値が0.48≦(Cu+Zn)/Al≦0.65、つまり、化学量論比近傍の値である。そのため、触媒粒子の表面にCuを充分に析出させることができ、かつ、CuOやZnOの粒成長を抑制して、析出したCuの高分散化を達成することができる。したがって、本発明の水性ガスシフト反応用触媒は、触媒活性が高い。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の水性ガスシフト反応用触媒について詳細に説明する。本発明の水性ガスシフト反応用触媒は、Cu、Cu2O、CuOから選ばれる少なくとも一種と、ZnOと、Al2O3とを含む。本発明の水性ガスシフト反応用触媒に含まれる銅は、還元されて金属の状態(Cu)になっていても、あるいは酸化されて酸化物の状態(Cu2O、CuO)になっていても構わない。つまり、本発明の水性ガスシフト反応用触媒は、Cu、Cu2O、CuOのいずれか一種、あるいはいずれか二種を含む態様であってもよく、Cu、Cu2O、CuOのすべてを含む態様であってもよい。例えば、触媒の製造時等では、銅は酸化されてCuOの状態となっていると考えられる。また、水性ガスシフト反応における還元雰囲気で使用される際には、銅は還元されてCu2O、Cuの状態となっていると考えられる。
【0011】
また、本発明の水性ガスシフト反応用触媒では、Alに対する(Cu+Zn)のモル比が0.48≦(Cu+Zn)/Al≦0.65である。上述したように、(Cu+Zn)/Alの値を、スピネル構造のアルミニウム複合酸化物の化学量論比(0.5)近傍の値とすることで、触媒活性を高くすることができる。具体的には、(Cu+Zn)/Alの値を0.48以上とする。(Cu+Zn)/Alの値が0.48未満の場合には、結晶格子中に溶解したCu原子が、触媒粒子表面に析出し難くなるからである。(Cu+Zn)/Alの値を0.5以上とするとより好適である。また、(Cu+Zn)/Alの値を0.65以下とする。(Cu+Zn)/Alの値が0.65を超える場合には、結晶格子中に固溶しきれない過剰なCu、Znが触媒粒子の表面で凝集し、CuOやZnOの粒成長を引き起こすおそれがあるからである。(Cu+Zn)/Alの値を0.6以下とするとより好適である。
【0012】
さらに、析出したCuの分散性をより良好な状態とするという観点から、(Cu+Zn)に対するCuのモル比が0.15<Cu/(Cu+Zn)<0.46であることが望ましい。Cu/(Cu+Zn)の値が0.15以下の場合には、触媒として作用するCuが少ないため、触媒の活性点が減少し触媒活性の低下を招くおそれがあるからである。また、Cu/(Cu+Zn)の値が0.46以上の場合には、Cuが多くなり、CuはZnよりも析出し易いと考えられるため、Cuの粒成長を引き起こし易いからである。
【0013】
通常、触媒の比表面積が大きいほど、触媒活性は向上する。本発明の水性ガスシフト反応用触媒の比表面積は、特に限定されるものではない。但し、触媒活性をより向上させるという観点から、比表面積を50m2/g以上とすることが望ましい。比表面積が50m2/g未満の場合には、上記好適な範囲のものと比較して、Cuの分散状態が良好ではないため、触媒の活性点が減少し、水性ガスシフト反応が進行し難くなる。比表面積は、触媒の製造時における諸条件を調整することで、適宜調整することができる。例えば、後に説明する製造方法では、用いる金属塩の種類、調製する溶液の濃度、焼成温度および焼成時間等を調整すればよい。なお、本明細書では、比表面積としてBET式吸着法により測定した値を採用する。具体的には、測定対象となる触媒をサンプル管に入れ、N2とHeとの混合ガスを流してN2を吸着させる。そして、触媒のN2吸着量を熱伝導度セルにより検出し、BET理論で仮定するような吸着等温線から触媒の比表面積を算出する。
【0014】
本発明の水性ガスシフト反応用触媒の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、共沈法、固相法、ゾルゲル法、噴霧火炎法、エマルジョン燃焼法、噴霧熱分解法等が挙げられる。特に、共沈法によれば、本発明の水性ガスシフト反応用触媒を簡便に製造することができる。以下、共沈法による本発明の水性ガスシフト反応用触媒の製造方法を説明する。
【0015】
まず、アルミニウムを陽イオンとする塩と、亜鉛を陽イオンとする塩と、銅を陽イオンとする塩とをイオン交換水に溶解させ、各々の塩の水溶液を調製する。ここで、アルミニウムを陽イオンとする塩、亜鉛を陽イオンとする塩、および銅を陽イオンとする塩は、それぞれ特に限定されるものではなく、各金属の硝酸塩、塩化物、硫酸塩、酢酸塩、アルコキシド、酸化物ゾル、酸化物粉末等の種々のものを使用することができる。特に、安価であり、分解時に塩素等の有害なガスが発生しないという理由から、硝酸塩を使用することが望ましい。次いで、各々金属塩の水溶液を、含まれる金属が所定のモル比となるように混合し、必要に応じて全金属塩濃度を調整して原料金属塩水溶液を調製する。原料金属塩水溶液の全金属塩濃度は、特に限定されるものではない。但し、全金属塩濃度が低すぎると製造効率が低下し、反対に、同濃度が高すぎると凝集し易くなる。このため、例えば、全金属塩濃度を0.1〜2mol/l程度とすることが望ましい。
【0016】
次に、原料金属塩水溶液と中和剤とを混合し、水酸化物の共沈殿を生成させる。中和剤は、水酸化物の沈殿物を生成させるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、尿素等の水溶液を用いることができる。なかでも、アンモニアは、焼成時に飛散し易いため好適である。中和剤の混合量は、原料金属塩水溶液の濃度や中和剤の濃度等を考慮して、適宜決定すればよい。例えば、原料金属塩水溶液中の硝酸イオン量に対して1〜5倍等量のアルカリ量となるように、中和剤を混合すればよい。また、原料金属塩水溶液と中和剤との混合は、攪拌しながら行うことが望ましい。例えば、プロペラシャフト、マグネティックスターラー、ホモミキサー等により攪拌しながら混合すればよい。攪拌条件は特に限定されないが、例えば、攪拌速度10〜10000rpm、攪拌時間1〜360分程度とすればよい。
【0017】
次いで、得られた沈殿物を濾過、洗浄して乾燥させる。この場合、例えば、100〜200℃程度の温度で、0.5〜10時間程度乾燥すればよい。なお、中和剤の種類、量等により、目的とする沈殿物が得られない場合には、原料金属塩水溶液と中和剤との混合溶液を、蒸発乾固させればよい。この場合、例えば、上記混合溶液を、100〜200℃程度の温度で、0.5〜10時間程度保持すればよい。最後に、得られた乾燥体を焼成する。焼成は、大気中で行えばよいが、それ以外に、酸素雰囲気、窒素等の不活性ガス雰囲気等で行っても構わない。また、焼成条件も、特に限定されるものではない。例えば、300〜600℃にて、0.5〜10時間程度焼成すればよい。焼成後、得られた塊状の水性ガスシフト反応用触媒を、粉砕して粉末状にすればよい。
【0018】
本発明の水性ガスシフト反応用触媒は、式CO+H2O→CO2+H2で表されるCOシフト反応が必要とされる用途に用いられる。例えば、水素の製造、燃料電池における燃料改質ガス中のCO濃度の低減、メタノールの合成原料中あるいは鋼材の浸炭処理雰囲気ガス中のH2/CO比の調整、人体に有害なCOの除去等を目的としたCOシフト反応における触媒として使用することができる。また、本発明の水性ガスシフト反応用触媒の使用形態は、特に限定されるものではない。例えば、粉末状にしたものを容器に充填して使用する他、ペレット状やモノリス状に成形して使用してもよい。また、ペレット状の基材やモノリス状の基材にコーティングして使用することもできる。
【0019】
以上、本発明の水性ガスシフト反応用触媒について説明したが、本発明の水性ガスシフト反応用触媒は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の水性ガスシフト反応用触媒は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
【0020】
【実施例】
上記実施の形態に基づいて、種々の水性ガスシフト反応用触媒を製造した。そして、製造した各触媒を用いて水性ガスシフト反応を行い、各々の触媒の活性を評価した。以下、水性ガスシフト反応用触媒の製造、水性ガスシフト反応用触媒の活性評価試験および評価について説明する。
【0021】
〈水性ガスシフト反応用触媒の製造〉
Cu、Zn、Alのモル比の異なる13種類の水性ガスシフト反応用触媒を製造した。まず、2mol/Lの硝酸アルミニウム水溶液と、2mol/Lの硝酸亜鉛水溶液と、1.5mol/Lの硝酸銅水溶液とを調製した。Cu、Zn、Alが下記表1に示すモル比となるように、上記各水溶液を混合し、さらに、全金属塩濃度が1.5mol/Lとなるようにイオン交換水で希釈して、種々の原料金属塩水溶液を調製した。
【0022】
次に、市販のアンモニア水(25〜28%)を、イオン交換水で2倍に希釈して中和剤とした。調製した各原料金属塩水溶液中の硝酸イオン量の2倍等量に相当する量の中和剤をガラスビーカーに入れ、プロペラシャフトで攪拌しながら(攪拌速度50rpm)原料金属塩水溶液を添加した。原料金属塩水溶液の添加した後、沈殿物熟成のため、さらに10分間攪拌を続けた。本条件では、中和剤としてのアンモニア量が多かったため、Cuイオンがアンモニア錯体を形成し、沈殿しなかった。そこで、原料金属塩水溶液と中和剤との混合溶液を、150℃の温度下で5時間保持することにより、蒸発乾固した。次いで、得られた乾燥体を大気中で焼成した。焼成は、温度400℃にて2〜10時間行った。
【0023】
得られた焼成体を粉砕し、粉末状とした。その粉末の結晶相を、粉末X線回折法により同定した。また、下記活性評価試験に供するため、粉末を加圧成形し、さらに粉砕、整粒して粒径0.5〜1mmのペレット状とした。製造した水性ガスシフト反応用触媒におけるCu、Zn、Alのモル比、(Cu+Zn)/Al、Cu/(Cu+Zn)の各値を、表1に示す。なお、表1におけるCO濃度(%)は、水性ガスシフト反応用触媒の活性評価試験の結果である。これについては、後に説明する。表1において、#2〜#6、#8〜#13の触媒が本発明の水性ガスシフト反応用触媒に相当する。#1および#7の触媒は、比較例となる。
【0024】
【表1】
【0025】
〈水性ガスシフト反応用触媒の活性評価試験および評価〉
(1)活性評価試験
製造した#1〜#13の各水性ガスシフト反応用触媒の活性を評価するため、常圧固定床流通式反応試験装置(株式会社ベスト測器製、CATA-5000-5)を用いて、水性ガスシフト反応試験を行った。#1〜#13の各水性ガスシフト反応用触媒の1.5gを、内径14mmの石英製反応管に充填した。そして、CO:8vol%、H2O:23vol%、CO2:9vol%、H2:29vol%、N2:31vol%からなる混合ガスを、流速1000ml/minで反応管の触媒床に供給した。混合ガスの入りガス温度は、400℃→375℃→350℃→325℃→300℃→275℃→250℃→225℃→200℃と変化させた(降温法)。入りガス温度が上記各所定値に到達してから8分後に、反応管からの出ガスに含まれるCOの濃度を、ガスクロマトグラフ法により分析した。
【0026】
(2)触媒活性の評価
上記水性ガスシフト反応試験の結果の一例として、入りガス温度250℃における出ガス中のCO濃度を、上記表1に示す。表1に示すように、本発明の水性ガスシフト反応用触媒である#2〜#6、#8〜#13の触媒では、いずれもCO濃度が4%未満と低い値となった。つまり、本発明の水性ガスシフト反応用触媒は、COの転化率が高く、触媒活性が高いことがわかる。一方、比較例となる#1および#7の触媒では、CO濃度が5.11%、4.29%と高い値となった。#1の触媒は、(Cu+Zn)/Alの値が小さすぎるため、Cuが充分に析出せず、触媒活性が低下したと考えられる。また、#7の触媒は、(Cu+Zn)/Alの値が大きすぎるため、過剰なCuが触媒粒子表面に凝集し、Cuの分散性が悪くなったため、触媒活性が低下したと考えられる。本発明の水性ガスシフト反応用触媒のなかでも、特に、Cu/(Cu+Zn)の値が0.15より大きく0.46未満である#2〜#5、#9、#10、#12、#13の触媒では、CO濃度が3.5%未満と低い値となった。つまり、0.15<Cu/(Cu+Zn)<0.46である場合には、触媒活性がより高いことがわかる。なお、これらの傾向は、他の入りガス温度における出ガス中のCO濃度の分析結果からも確認された。
【0027】
また、(Cu+Zn)/Alの値と、Cu/(Cu+Zn)の値とがともに大きい、換言すれば、Cuを過剰に含む#7の触媒のX線回折パターンでは、CuOのピークが明瞭に観察された。これは、過剰なCuが触媒粒子表面に凝集し、CuOが粒成長したことを示すものと考えられる。これに対して、#2〜#6、#8〜#13の触媒のX線回折パターンでは、触媒の製造上生じるCuO、ZnOの僅かなピークが観察されたものもあったが、粒成長を示すような明瞭なピークは観察されなかった。これより、#2〜#6、#8〜#13の触媒では、CuOやZnOの粒成長が抑制され、析出したCuの高分散化が達成されているといえる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の水性ガスシフト反応用触媒は、Cu、Cu2O、CuOから選ばれる少なくとも一種と、ZnOと、Al2Oxとを含み、Alに対する(Cu+Zn)のモル比が0.48≦(Cu+Zn)/Al≦0.65である。すなわち、本発明の水性ガスシフト反応用触媒では、(Cu+Zn)/Alの値が化学量論比近傍の値である。そのため、触媒粒子の表面にCuを充分に析出させることができ、かつ、CuOやZnOの粒成長を抑制して、析出したCuの高分散化を達成することができる。したがって、本発明の水性ガスシフト反応用触媒は、触媒活性が高い。
Claims (2)
- Cu、Cu2O、CuOから選ばれる少なくとも一種と、ZnOと、Al2O3とを含み、Alに対する(Cu+Zn)のモル比が0.48≦(Cu+Zn)/Al≦0.65である水性ガスシフト反応用触媒。
- (Cu+Zn)に対するCuのモル比が0.15<Cu/(Cu+Zn)<0.46である請求項1に記載の水性ガスシフト反応用触媒。
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