JP2004199934A - コネクタ端子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決課題】この雌端子100は、アルミニウム電線160の導体162と接合される導体圧着部130と、端子嵌合部110内において雄端子と電気的に接続可能なインサート部材110bとを有し、導体圧着部130及びインサート部材110bがアルミニウムを用いて一体成形されるとともに、インサート部材110bが雄端子に接続される際に、この雄端子を端子嵌合部110内でインサート部材110bに向けて弾性付勢するばね接点部140がステンレス鋼を用いて成形されており、それぞれ成形されたインサート部材110bと、ばね接点部140とを一体化するように上記アルミニウムとステンレス鋼とが相互に連結されている。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車用ワイヤーハーネス等の電線としてアルミニウム電線が使用される場合において、当該ワイヤーハーネス等の接続コネクタに設けられるコネクタ端子及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車部品は小型・軽量化が求められており、そのために電線として従来の銅線に代えてアルミニウム系材料を導体とするアルミニウム電線を使用することがある。
【0003】
そして、アルミニウム電線に対応した端子としては、例えば図4に示すような周知のコネクタ端子100Aをベースとして、そのアルミニウム電線160の導体162の接合部分に高硬度かつ変形しやすい網状物180を介在させて、アルミニウム電線160の導体162が上記接合部分から抜け出しにくいようにしたものが公知である(例えば、特許文献1参照)。このコネクタ端子100Aでは、電線160の導体162を図中の矢印方向に挿入して上記網状物180ごと圧着するものである。
【0004】
【特許文献1】
実開昭56−38974号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、一般に、異種金属同士が接触する場合にはイオン化傾向の差により、その接触部分において電解液の介在下で電蝕が発生しやすくなる。このイオン化傾向は、K、Ca、Na、Mg、Al、Zn、Cr+3、Fe+2、Cd、Co+2、Ni、Sn+2、Pb、Fe+3、H、Cu+2、Hg+、Ag、Auの順に小さくなることが知られている。
【0006】
このように、アルミニウム(Al)のイオン化傾向は銅(Cu)と比べて非常に大きいので、アルミニウム電線に銅製のコネクタ端子を使用した場合には、このコネクタ端子とアルミニウム電線の導体との接触部分で電蝕が発生しやすい。
そして、電蝕が発生した場合には、上記接触部分での接触面積の確保が困難となってコネクタ端子の接続信頼性を損ない、はなはだしい場合にはアルミニウム電線の導体がコネクタ端子100から脱落してそのコネクタ端子の耐久性をも損なうおそれがあった。なお、従来より銅製のコネクタ端子の表面に、イオン化傾向がアルミニウムと銅との中間にある錫(Sn)をめっきする場合があるが、錫めっきは剥離やピンホールの発生によって銅表面が露出しやすいので、上記電蝕をなくす決め手にはならない。
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解消するためになされたもので、アルミニウム電線に使用した場合でも電蝕のおそれを少なくし、かつ、十分な材料強度、ばね性及び導電率を確保できるコネクタ端子及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
アルミニウム電線の導体とコネクタ端子との間の導電率を考慮すると、端子材料としてアルミニウム系材料を使用したいところであるが、アルミニウム(Al)は、材料強度、ばね性等の点で銅(Cu)に劣る。このため、端子板厚が薄いと、応力緩和によるばね部、圧着部の電気的特性が劣化しやすいと考えられる。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、具体的に、請求項1記載の発明は、アルミニウム電線の導体と接合される導体接合部と、相手方端子と電気的に接続可能な端子接続部とを有するコネクタ端子において、上記導体接合部及び上記端子接続部がアルミニウム系材料を用いて一体成形されるとともに、上記端子接続部が相手方端子に接続される際に、この相手方端子を端子接続部に向けて弾性付勢する弾性付勢部が鉄系金属材料を用いて成形されており、それぞれ成形された端子接続部と弾性付勢部とを一体化するように上記アルミニウム系材料と鉄系金属材料とが相互に連結されていることを特徴とするものである。
【0010】
この構成によれば、上記導体接合部及び上記端子接続部がアルミニウム系材料を用いて一体成形されるとともに、上記端子接続部が相手方端子に接続される際に、この相手方端子を端子接続部に向けて弾性付勢する弾性付勢部が鉄系金属材料を用いて成形されており、それぞれ成形された端子接続部と弾性付勢部とを一体化するように上記アルミニウム系材料と鉄系金属材料とが相互に連結されているので、アルミニウム電線の導体と導体接合部との接触部分にはアルミニウム系材料同士が使用され、両者間での電蝕のおそれが少なくなるとともに、両者間での導電性を確保することができる。
【0011】
また、弾性付勢部には、鉄系金属材料が使用され、アルミニウム系材料単体の場合に問題となる材料強度、ばね性等の点で銅材料に勝るとも劣ることはない優れた性質が得られるので、この鉄系金属材料の優れた性質を生かして、接触圧が確保され、この点からも接触抵抗を下げることが期待できる。
【0012】
なお、端子接続部と弾性付勢部とを一体化するように上記アルミニウム系材料と鉄系金属材料とが相互に連結されるが、アルミニウム系材料のベースとなるアルミニウムのイオン化傾向は、鉄系金属材料のベースとなる鉄(Fe)と比べて大きいものの、これらアルミニウムと鉄とのイオン化傾向の差は、アルミニウムと銅とのイオン化傾向の差に比べると小さいので、従来の銅製端子を使用した場合に比べると、電蝕が発生するおそれは少ない。また、上記鉄系金属材料は例えばステンレス鋼であり、上記アルミニウム系材料は純アルミニウムのみならず、その合金をも含むものである。
【0013】
ところで、本コネクタ端子のような導体接合部を有するいわゆる圧着端子では、アルミニウム電線の導体に対する抵抗値を小さくして導電率を確保する手段として、導体接合部の組立て後の高さであるクリンプハイトを小さくすることが考えられるが、このクリンプハイトを小さくとり過ぎると、アルミニウム電線が断線しやすくなる。しかし、請求項2記載の発明のように、上記導体接合部は、互いに対向配置された左右一対の圧着壁を有し、各圧着壁の先端は、前後方向に相互に食い違った状態でアルミニウム電線の導体に食い込み可能な凹凸状(図2,図3の実施形態では「ぎざぎざ」状となっている。)に成形されていることとすれば、この食い込みにより、アルミニウム電線を断線させる程、クリンプハイトを小さくしなくても、アルミニウム電線の導体表面の酸化皮膜が破壊される。このぎざぎざ刃間の端子板厚に相当する大きなセレーション効果と電線に食いつく効果とにより、アルミニウム電線の導体と端子との間の導電率がさらに向上される。
【0014】
請求項3記載の発明のように、相手方端子を前後方向に嵌脱可能な筒状の嵌合部が鉄系金属材料で構成されるように成形されており、上記端子接続部は、この嵌合部内の特定の面を内側から覆うように成形されるとともに、上記弾性付勢部は、基端部が上記嵌合部と一体成形され、かつ、先端部付近が上記特定の面上の端子接続部に向けて相手方端子を弾性付勢するばね片を構成するように成形されていることとすれば、アルミニウム系材料製の端子接続部をその背後から鉄系金属材料製の嵌合部によって十分な強度で支持しつつ、この端子接続部に対して相手方端子を上記ばね片の弾発力により十分な接触圧で接触させることができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、アルミニウム電線の導体と接合される導体接合部と、相手方端子と電気的に接続可能な端子接続部とを有するコネクタ端子の製造方法において、上記導体接合部及び上記端子接続部をアルミニウム系材料を用いて一体成形するとともに、上記端子接続部が相手方端子に接続される際に、この相手方端子を端子接続部に向けて弾性付勢する弾性付勢部を鉄系金属材料を用いて成形し、それぞれ成形された端子接続部と弾性付勢部とを一体化するように上記アルミニウム系材料と鉄系金属材料とが相互に連結されることを特徴とするものである。
【0016】
この構成によれば、上記導体接合部及び上記端子接続部がアルミニウム系材料を用いて一体成形されるとともに、上記端子接続部が相手方端子に接続される際に、この相手方端子を端子接続部に向けて弾性付勢する弾性付勢部が鉄系金属材料を用いて成形され、それぞれ成形された端子接続部と弾性付勢部とが一体化されるように上記アルミニウム系材料と鉄系金属材料とが相互に連結されるので、製造されたコネクタ端子のアルミニウム電線の導体と導体接合部との接触部分にはアルミニウム系材料同士が使用され、両者間での電蝕のおそれが少なくなるとともに、両者間での導電性を確保することができる。
【0017】
また、弾性付勢部には、鉄系金属材料が使用され、アルミニウム系材料単体の場合に問題となる材料強度、ばね性等の点で銅材料に勝るとも劣ることはない優れた性質が得られるので、この鉄系金属材料の優れた性質を生かして、接触圧が確保され、この点からも接触抵抗を下げることが期待できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は端子対を構成する雄端子と雌端子との概略構成を示す図であって、(a)は雄端子を雌端子に嵌合する前の状態を示す一部断面を含む正面図、(b)は雄端子を雌端子に嵌合した時の状態を示す一部断面を含む正面図である。また、図2は本発明の一実施形態に係る雌端子の詳細構成を示す斜視図、図3はその分解斜視図である。なお、図2は雌端子にアルミニウム電線を上方からいれて両者を接続する様子を示している。
【0019】
図1(a)に示すように、本実施形態に係る雌端子(コネクタ端子に相当する。)100は、例えば自動車用ワイヤーハーネス等の接続コネクタに設けられる端子対の一方をなすものであって、図2のアルミニウム電線160の導体162と接合される導体接合部としての導体圧着部130と、上記端子対の他方をなす雄端子(相手方端子に相当する。)200を前後方向に嵌脱可能な嵌合部としての筒状の端子嵌合部110とを有している。そして、この端子嵌合部110内に、雄端子200のタブ端子部210と電気的に接続される端子接続部としてのインサート部材110bが配置されるとともに、図1(b)に示すように、このインサート部材110bがタブ端子部210に接続される際に、同端子嵌合部110内に、タブ端子部210をインサート部材110bに向けて弾性付勢する弾性付勢部のばね片としてのばね接点部140が内包されている。これらのうち導体圧着部130及びインサート部材110bは、アルミニウム系材料からなるアルミニウム系成形体Aに含まれており、端子嵌合部110及びばね接点部140は、鉄系金属材料からなる鉄系成形体Bに含まれている。なお、アルミニウム電線160の導体162はアルミニウム系材料からなる素線を複数本撚りあわせた撚線であってもよいし、アルミニウム系材料からなる単芯線であってもよい。
【0020】
この雌端子100では、図2,図3に示すように、導体圧着部130とインサート部材110bとが、純アルミニウム又はその合金(アルミニウム系材料に相当する。以下では、アルミニウムと総称する。)を用いて一体成形されるとともに、端子嵌合部110とばね接点部140とがステンレス鋼等の鉄系金属材料を用いて成形され、かつ、この成形されたインサート部材110bと、ばね接点部140をもつ端子嵌合部110とを一体化するように、上記アルミニウム系成形体Aと鉄系成形体Bとが相互に連結されている。
【0021】
このようなアルミニウム製のインサート部材110bと接続される雄端子200については、その全体をアルミニウムで形成するか、少なくとも上記接触部分については、上記アルミニウムと同じ材料で形成することが、より好ましい。なお、上記各素材をプレス等で打ち抜いて雌端子100の原板となる端子部分(図示省略)を構成する場合、各素材の板厚は端子サイズにもよるが、加工性等を考慮すればステンレス鋼部分とアルミニウム部分との厚みはいずれも100〜500μm程度のものとされるのが望ましい。
【0022】
また、この実施形態における雌端子100は、上記アルミニウム電線の細線化に対応した構造となっている。すなわち、雌端子100は、その組立て後において一側の端子嵌合部110と、他側のインシュレーションバレル120と、それらの間の導体圧着部130とを備え、これらが底壁150(151,152,153)によって連設されている。雌端子100は、その組立て前に、端子嵌合部110及びばね接点部140となるステンレス製の原板と、インサート部材110b及び導体圧着部130となるアルミニウム製の原板とを、それぞれ折り曲げることによって、成形されるものである。
【0023】
成形後の端子嵌合部110は、前後方向が開口された四角筒形状となっており、先端側の開口部から雄端子200のタブ端子部210が挿入されることによって、このタブ端子部210が、端子嵌合部110内に組み込まれたインサート部材110bと接触し、これにより雌端子100と雄端子200とが導通状態となる。この端子嵌合部110では、例えば図1(a),(b)に示したように、ステンレス鋼製の原板の一側の底壁150(図3の151)になる部分の先端が先方に延長され、この延長部分が約180°折り返されることによって、端子嵌合部110の内側に舌片状のばね接点部140が形成されている。ばね接点部140の中央部は図示はしていないがその先端付近で上側に凸状となっており、この凸部が雄端子200のタブ端子部210との接触点をなすようになっている。
【0024】
そして、図3に示すように、このばね接点部140を取り巻くように、底壁151が、同一の向きで約90°づつ折り曲げられて、左右両側壁111,112が形成され、天井壁113,114が形成される。この天井壁113,114をオーバーラップして、端子嵌合部110の変形を防止するようになっているが、天井壁113の一部が後方に突出され、弾性を有する係合板115が形成される。この係合板115の後端側には角穴状の係合部172aが設けられる。また、底壁151の後寄り左右両側が一部起立されて逆U字状の係合部172b,172cがそれぞれ形成される。なお、係合部172cの形状は係合部172bと左右対称になっている。
【0025】
一方、インサート部材110bは、アルミニウム製であって、同材質の導体圧着部130と一体成形されるのであるが、その天井壁116の前側が一部内側に凹んで、その凹部117,118が雄端子200のタブ端子部210との接触点をなすようになっており、同天井壁116の後側の上面に前下がりの傾斜面をなす係止部171aが形成される。なお、このインサート部材110bが、雌端子10の組立て時に、端子嵌合部110内に組み込まれてその天井面113を下側から覆うようになり、底壁151から延びるばね接点部140と対向配置されることとなる。また、端子嵌合部110の底壁151の後寄り左右両側の一部が起立されて逆L字状の係止部171b,171cがそれぞれ形成される。なお、係止合部171cの形状は係止部171bと左右対称になっている。
【0026】
インシュレーションバレル120は、導体圧着部130の後方の底壁152を起立するように折り曲げることによってリップ状に形成されている。このインシュレーションバレル120は、雌端子100の組立て後に、図2に示すように、被覆状態のままのアルミニウム電線160が差し込まれ、両側から加締めることによって、このアルミニウム電線160の絶縁性の被覆161を挟み込んで固定するようになっている。
【0027】
導体圧着部130は、アルミニウム製の原板に対して所定の折り曲げを行って圧着部分を形成し、その後、底壁153の両端部を上方に折り曲げて、側壁131,132を形成することによって形成される。この折り曲げを良好に行うため、原板は、上述した程度の厚みを持つ薄板状に加工されるとともに、底壁153には、複数のインデント133,133,・・・が打ち出しによって形成されている。
【0028】
ところで、導体圧着部130を有するいわゆる圧着端子では、その導体圧着部130におけるアルミニウム電線160の導体162に対する抵抗値を小さくしてその導電率を確保するために導体圧着部130の組立て後の高さであるクリンプハイトを小さくとることがある。しかし、このクリンプハイトを小さくとり過ぎると、アルミニウム電線160が断線しやすくなる。
【0029】
そこで、ここでは導体圧着部130の両側壁131,132の先端131a,132aが、前後方向に相互に食い違った状態で電線160の導体162に食い込み可能な凹凸(図2,図3中では「ぎざぎざ」で表示している。)状に成形することとした。これにより、クリンプハイトを小さくし過ぎることなく、アルミニウム電線160の導体162に対する導電率が確保される。
【0030】
また、この導体圧着部130では、アルミニウム電線160の被覆161(図2参照。)をはがした導体162が差し込まれ、両側から加締めることによって、アルミニウム同士が接触するとともに、さらにアルミニウム電線160の導体162に食い込んでこの導体162表面の酸化皮膜を破ってその内部と接触する。このぎざぎざ刃間の端子板厚に相当する大きなセレーション効果と電線に食いつく効果とにより、アルミニウム電線160の導体162と雌端子100とが導通し、この雌端子100と端子嵌合部110側の雄端子200とが電気的に接続されるので、アルミニウム電線160の導体162と雌端子100との間の導電率がさらに向上される。
【0031】
そして、端子嵌合部110に対し、インサート部材110bが略平行となるように保持されつつ、端子嵌合部110の係合部172a,172b,172cに、インサート部材110bの係止部171a,171b,171cをそれぞれ係合させることにより、図2に示したような連結状態が得られる。すなわち、本実施形態では、端子嵌合部110とインサート部材110bとのそれぞれ3箇所に分散配置された係合部172a,172b,172cと、係合可能な係止部171a,171b,171cとを備えているので、雌端子100のあらゆる方向にかかる力やモーメントに対して十分な強度が確保されるので、さらに良好な連結状態が得られる。
【0032】
このような端子において、端子嵌合部110内に相手方の雄端子200のタブ端子部210が挿入されると、このタブ端子部210は、ばね接点部140の弾発力によって、上側のインサート部材110bに押付けられ、十分な接触圧でもって、上記インサート部材110bと接触する(すなわち、電気的に接続される)こととなる。このインサート部材110bは、導体圧着部130とともにアルミニウム系材料で一体成形されているので、雄端子200は、確実にアルミニウム電線160に接続される。
【0033】
この実施形態によれば、導体圧着部130及びインサート部材110bがアルミニウムを用いて一体成形されるとともに、インサート部材110bが雄端子200に接続される際に、この雄端子200をインサート部材110bに向けて弾性付勢するばね接点部140がステンレス鋼を用いて成形されており、それぞれ成形されたインサート部材110bとばね接点部140とを一体化するように上記アルミニウムとステンレス鋼とが相互に連結されているので、アルミニウム電線160の導体162と導体圧着部130との接触部分にはアルミニウム同士が使用され、両者間での電蝕のおそれを少なくすることができるとともに、両者間での導電性を確保することができる。
【0034】
また、ばね接点部140には、ステンレス鋼が使用され、アルミニウム単体の場合に問題となる材料強度、ばね性等の点で銅材料に勝るとも劣ることはない優れた性質が得られるので、このステンレス鋼の優れた性質を生かして、接触圧を確保でき、この点からも接触抵抗を下げることが期待できる。
【0035】
なお、インサート部材110bとばね接点部140とを一体化するように上記アルミニウムとステンレス鋼とが相互に連結されるが、アルミニウムのイオン化傾向は、ステンレス鋼のベースとなる鉄(Fe)と比べて大きいものの、アルミニウムと銅とのイオン化傾向の差に比べると小さいので、従来の銅製端子を使用した場合に比べると、電蝕が発生するおそれは少ない。
【0036】
その結果、コネクタ端子の接続信頼性を向上させるとともに、コネクタ端子の耐久性をも向上させることができる。
【0037】
なお、上記実施形態では、ステンレス鋼やアルミニウムの表面に錫めっきをしない場合を説明しているが、本発明はこの錫めっきを施工した場合に適用してもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、自動車用ワイヤーハーネス等の接続コネクタに設けられるコネクタ端子について説明したが、本発明の適用範囲はこれに限られず、その他一般的なコネクタ端子に適用してもよいのはもちろんである。
【0039】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、導体接合部及び端子接続部がアルミニウム系材料を用いて一体成形されるとともに、上記端子接続部が相手方端子に接続される際に、この相手方端子を端子接続部に向けて弾性付勢する弾性付勢部が鉄系金属材料を用いて成形されており、それぞれ成形された端子接続部と弾性付勢部とを一体化するように上記アルミニウム系材料と鉄系金属材料とが相互に連結されているので、アルミニウム電線の導体と導体接合部との接触部分にはアルミニウム系材料同士が使用され、両者間での電蝕のおそれを少なくすることができるとともに、両者間での導電性を確保することができる。
【0040】
また、弾性付勢部には、鉄系金属材料が使用され、アルミニウム系材料単体の場合に問題となる材料強度、ばね性等の点で銅材料に勝るとも劣ることはない優れた性質が得られるので、この鉄系金属材料の優れた性質を生かして、接触圧を確保でき、この点からも接触抵抗を下げることが期待できる。
【0041】
その結果、コネクタ端子の接続信頼性を向上させるとともに、コネクタ端子の耐久性をも向上させることができる。
【0042】
請求項2記載の発明によれば、導体接合部を構成する左右両圧着壁の先端(ぎざぎざ刃)がアルミニウム電線の導体に食い込むことにより、アルミニウム電線を断線させる程、クリンプハイトを小さくしなくても、アルミニウム電線の導体表面の酸化皮膜が破壊される。このぎざぎざ刃間の端子板厚に相当する大きなセレーション効果と電線に食いつく効果とにより、アルミニウム電線の導体と端子との間の導電率をさらに向上させることができる。
【0043】
請求項3記載の発明によれば、アルミニウム系材料製の端子接続部をその背後から鉄系金属材料製の嵌合部によって十分な強度で支持しつつ、この端子接続部に対して相手方端子を上記ばね片の弾発力により十分な接触圧で接触させることができる。
【0044】
請求項4記載の発明によれば、導体接合部及び端子接続部がアルミニウム系材料を用いて一体成形されるとともに、上記端子接続部が相手方端子に接続される際に、この相手方端子を端子接続部に向けて弾性付勢する弾性付勢部が鉄系金属材料を用いて成形され、それぞれ成形された端子接続部と弾性付勢部とが一体化されるように上記アルミニウム系材料と鉄系金属材料とが相互に連結されるので、製造されたコネクタ端子のアルミニウム電線の導体と導体接合部との接触部分にはアルミニウム系材料同士が使用され、両者間での電蝕のおそれを少なくすることができるとともに、両者間での導電性を確保することができる。
【0045】
また、弾性付勢部には、鉄系金属材料が使用され、アルミニウム系材料単体の場合に問題となる材料強度、ばね性等の点で銅材料に勝るとも劣ることはない優れた性質が得られるので、この鉄系金属材料の優れた性質を生かして、接触圧を確保でき、この点からも接触抵抗を下げることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】端子対を構成する雄端子と雌端子との概略構成を示す図であって、(a)は雄端子を雌端子に嵌合する前の状態を示す一部断面を含む正面図、(b)は雄端子を雌端子に嵌合した時の状態を示す一部断面を含む正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る雌端子の詳細構造を示す図である。
【図3】雌端子の組立て前の様子を示す分解斜視図である。
【図4】従来のコネクタ端子の一例における概略構成を示す図である。
【符号の説明】
100 雌端子(コネクタ端子に相当する。)
110 端子嵌合部(嵌合部に相当する。)
110b インサート部材(端子接続部に相当する。)
120 インシュレーションバレル
130 導体圧着部(導体接合部に相当する。)
140 ばね接点部(弾性付勢部に相当する。)
160 アルミニウム電線
162 導体
171a〜c 係止部
172a〜c 係合部
200 雄端子(相手方端子に相当する。)
A アルミニウム系成形体
B 鉄系成形体
Claims (4)
- アルミニウム電線の導体と接合される導体接合部と、相手方端子と電気的に接続可能な端子接続部とを有するコネクタ端子において、
上記導体接合部及び上記端子接続部がアルミニウム系材料を用いて一体成形されるとともに、
上記端子接続部が相手方端子に接続される際に、この相手方端子を端子接続部に向けて弾性付勢する弾性付勢部が鉄系金属材料を用いて成形されており、
それぞれ成形された端子接続部と弾性付勢部とを一体化するように上記アルミニウム系材料と鉄系金属材料とが相互に連結されていることを特徴とするコネクタ端子。 - 上記導体接合部は、互いに対向配置された左右一対の圧着壁を有し、各圧着壁の先端は、前後方向に相互に食い違った状態でアルミニウム電線の導体に食い込み可能な凹凸状に成形されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ端子。
- 相手方端子を前後方向に嵌脱可能な筒状の嵌合部が鉄系金属材料で構成されるように成形されており、上記端子接続部は、この嵌合部内の特定の面を内側から覆うように成形されるとともに、上記弾性付勢部は、基端部が上記嵌合部と一体成形され、かつ、先端部付近が上記特定の面上の端子接続部に向けて相手方端子を弾性付勢するばね片を構成するように成形されていることを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ端子。
- アルミニウム電線の導体と接合される導体接合部と、相手方端子と電気的に接続可能な端子接続部とを有するコネクタ端子の製造方法において、
上記導体接合部及び上記端子接続部をアルミニウム系材料を用いて一体成形するとともに、
上記端子接続部が相手方端子に接続される際に、この相手方端子を端子接続部に向けて弾性付勢する弾性付勢部を鉄系金属材料を用いて成形し、
それぞれ成形された端子接続部と弾性付勢部とを一体化するように上記アルミニウム系材料と鉄系金属材料とが相互に連結されることを特徴とするコネクタ端子の製造方法。
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