JP2004198593A - 中間転写体の評価方法、中間転写体、及び画像形成装置 - Google Patents

中間転写体の評価方法、中間転写体、及び画像形成装置 Download PDF

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利幸 加幡
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美知夫 木村
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剛 深尾
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Abstract

【課題】転写材に添加されている添加剤が中間転写体表面に固定されにくいか否かを評価する評価方法、添加剤が固定されにくい中間転写体、及び像担持体表面のキズに起因する異常画像の発生を防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】中間転写ベルト表面の粗さをサーフコム1400A(登録商標)によりベルト表面移動方向に2500/8192[μm](Δtとする)の間隔で8192箇所(Nとする)について行う。これらのデータ群に対して既に課題を解決するための手段で記載した数11に従い離散的なフーリエ変換を行う。更に同じく既に記載した数12及び数13によりI(S)を導出する。そして、I(S)が5×10−3以上35×10−3以下の範囲である中間転写ベルトを「良」とし、その範囲から外れている中間転写ベルトを「不良」とする。そして、「良」と判断された中間転写ベルトを実際の画像形成装置に用いる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置に用いる中間転写体の評価方法、その評価方法を用いて評価した中間転写体、及び、その中間転写体を用いた画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、像担持体上に形成した画像を中間転写体上に一次転写し、中間転写体上の画像を転写材上に二次転写する中間転写方式の画像形成装置が知られている。この種の画像形成装置としては、1つの像担持体に対して複数の現像装置を有する1ドラム型のカラー画像形成装置(特許文献1参照)や、複数の像担持体にそれぞれ現像装置を有するタンデム型のカラー画像形成装置(特許文献2参照)などが知られている。これら中間転写方式のカラー画像形成装置は、像担持体上に形成した単色の画像を中間転写体上に順次一次転写して重ね合わせ、これによって中間転写体上にカラー画像を形成した後、転写材上に一括して二次転写するものである。このような中間転写方式の画像形成装置は、中間調をうまく表現することも可能であり、近年要求が高まっている写真に近い高画質な画像を形成することも可能であることから、その有用性が注目されつつある。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−39646号公報
【特許文献2】
特開平13−042654号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
中間転写方式の画像形成装置は、上記のように高画質化が可能となるため有用性の高いものであるが、次のような不具合が発生し易いことがわかった。それは、画像に点状の異常画像及び、微細な点状の異常画像が連なったスジ状の異常画像が発生することである。この異常画像の直接的な原因は像担持体表面にに生じた微細なキズであり、このキズが画像上で、点状の異常画像及び、微細な点状の異常画像が連なったスジ状の異常画像を発生させるのである。
【0005】
上記不具合は、中間転写方式の画像形成装置の方が中間転写体を有しない画像形成装置に比して発生しやすい。この原因について、本発明者らが調べたところ、次のことが分かった。
二次転写ニップ部において、中間転写体と転写材としての転写紙が所定の圧力で接触する。転写紙には従来より、強度・表面平滑性・色などを所望の状態にするために、シリカ・アルミナ・その他種々の添加剤が添加されている。このような転写紙に添加された添加剤の多くは数十[μm]以下という微細粒子からなっている。そして、二次転写ニップ部において部分的に圧力をかけられながら中間転写体上に接触する転写紙から添加剤が離脱し、中間転写体表面に転移し保持される。中間転写体表面に保持された添加剤は、各種ニップを通過する際に中間転写体表面に押圧されることによって中間転写体表面に喰いこみ、固定される。一旦中間転写体表面に固定された添加剤は、多少の力では容易に離脱することはない。そして、中間転写体表面に固定された添加剤は、像担持体とのニップ部である一次転写ニップ部を通過する度に像担持体表面にキズをつけてしまうため、像担持体表面には次第にキズが増加していくのである。このような理由によって、中間転写方式の画像形成装置の方が中間転写体を有しない画像形成装置に比して像担持体への微細なキズが生じやすく、画像上で点状の異常画像を生じやすくなるのである。
また、中間転写体表面に固定された微細粒子は、同一円周上で画像形成の度に接する。通常、中間転写体と像担持体の周長は略同じであることが多いが、完全に同じにすることは難しく、多少の差又は誤差がある。このため、同じ微細粒子が像担持体表面につけるキズは像担持体表面に僅かな間隔をもってずれ、次第に連なってしまうことが多い。これが、スジ状の異常画像を生やすくするのである。
本発明者らが、像担持体に微細なキズが多数発生している画像形成装置に設けられている中間転写体の表面を詳細に観察したところ、0.5〜20[μm]程度の微細粒子が多数固定されていた。この中間転写体表面に固定されている微細粒子は容易に中間転写体表面から離脱しなかった。また、これら微細粒子は、分析の結果転写紙の添加剤とほぼ同じ形状、成分であることも分った。更に、一次転写を行う際、像担持体と接する度に中間転写体表面の微細粒子が像担持体表面にキズをつけ、キズが像担持体表面で増加していく様子も観察された。
【0006】
更に、カラー画像形成装置においては、多色のカラー画像を1つ形成するために、カラーの数だけ像担持体上に画像を形成し中間転写体上に一次転写することで重ね合わせ画像を形成する。このため、1つの画像を形成する際に点状の異常画像の発生原因となるキズを有する像担持体の述べ数はカラーの種類数分となる。よって、カラー画像形成装置においては画像を重ね合わせずに形成するモノクロ画像よりも点状の異常画像が発生しやすくなり、問題になりやすい。
【0007】
本発明者らは、上記像担持体表面に生じたキズに起因する異常画像を防止するための1つの対策として、磨耗速度の速い像担持体を用いればよいことを見出した。なぜなら、像担持体表面の磨耗速度を速くすることにより、例え像担持体表面に微細なキズが発生したとしても、像担持体表面が磨耗することでキズが消去され、結果として像担持体表面にキズは残存しないからである。
しかしながら、像担持体の寿命は画像形成に伴う像担持体表面の磨耗速度により決まるため、像担持体表面の磨耗速度を速くすると、像担持体の寿命が短くなってしまう。これは、ランニングコストの削減、廃棄物の低減の面から好ましくない。よって、像担持体表面の磨耗速度を速めることなく、像担持体表面に生じたキズに起因する異常画像を防止できるようにすることが求められる。この要求を満たすためには、中間転写体表面に転写紙の添加剤が固定されにくくすることが考えられる。
【0008】
尚、特許文献1及び2には、後述する課題を解決するための手段における中間転写ベルトの表面粗さとは実質的に異なるパラメータの表面粗さを規定することが提案されている。このうち、特許文献1には、中間転写ベルト表面の表面粗さRaを2[μm]以下とする画像形成装置が開示されている。また、特許文献2には、中間転写ベルトの表面粗さRzを0.08〜1.30[μm]とした中間転写ベルトが開示されている。しかし、これら2つの文献において、中間転写ベルトの表面粗さを規定したのは、中間転写ベルト上に転写紙の添加剤を固定されにくくするためではない。また、これら2つの公報における表面粗さRa,Rzのパラメータでは、中間転写ベルト上に転写紙の添加剤を固定されにくくすることはできない。
本発明者らは像担持体のキズを防止することのできる中間転写体の表面粗さを規定するため、鋭意検討を重ねた。そして、中間転写体をその表面の法線方向に切断したとき断面に現れる中間転写体表面の曲線(以下、断面曲線という)は、フーリエ変換によって表現可能な種々の周波数の正弦波が、適当な位相と振幅で合成されたもと分かった。そして、この断面曲線を構成する多種多様な波のうち、波長が150[μm]を越える波は振幅が大きく上記RaやRz等に大きく反映するものの、像担持体のキズを防止するためにはほとんど効果がないことを見出した。
【0009】
本発明は以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは次のものである。第一に、画像形成装置に用いようとしている中間転写体について、その表面が、異常画像の原因となる転写材の添加剤が固定されにくいか否かを判定するために用いる中間転写体の評価方法を提供することである。第二に、画像形成装置に用いた場合に、異常画像の原因となる転写材の添加剤がその表面に固定されにくい中間転写体を提供することである。第三に、異常画像の原因となる転写材の添加剤が表面に固定されにくい中間転写体を用いることによって、像担持体表面のキズに起因して生じる異常画像を防止することができる画像形成装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記第一の目的を達成するために、請求項1の発明は、中間転写体を表面の法線方向の断面における断面曲線の高さx(t)[μm]を測定する断面曲線測定手段によって、該中間転写体表面をΔt[μm]の間隔でサンプリングしたN個の断面についてそれぞれ断面曲線の高さx(t)[μm]を測定し、該N個の断面曲線の高さx(t)[μm]のデータ群に対して下式数7に従い離散的なフーリエ変換を行い、更に下式数8及び数9によりI(S)を導出し、該I(S)を所定の閾値に対比させることにより該中間転写体の評価を行う中間転写体の評価方法。
【数7】
Figure 2004198593
(ここで、n,mは整数、N=2、pは整数である)
【数8】
Figure 2004198593
【数9】
Figure 2004198593
(ここでaはN・Δt/a≧150を満たす最大の整数)
また、請求項2の発明は、請求項1の中間転写体の評価方法において、上記I(S)が5×10−3以上35×10−3以下の範囲内であるとき、該中間転写体を良とすることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の中間転写体の評価方法において、上記中間転写体の切断方向を、該中間転写体を画像形成装置の中間転写体として用いたとき該表面の移動方向に直交する方向としたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2、又は3の中間転写体の評価方法において、上記Δtが0.01[μm]以上50.00[μm]以下、上記Nが2048以上であることをことを特徴とするものである。
また、上記第二の目的を達成するために、請求項5の発明は、像担持体と、該像担持体上にトナー像を形成する現像装置と、該像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写する一次転写手段と、該中間転写体上に一次転写されたトナー像を転写材上に二次転写する二次転写手段とを有する中間転写方式の画像形成装置における中間転写体であって、該中間転写体表面においてΔt[μm]の間隔でサンプリングしたN個の該表面法線方向の断面を、それぞれ測定して得た断面曲線の高さx(t)[μm]のデータ群について、下式数10に従い離散的なフーリエ変換を行い、更に下式数11及び数12により導出したI(S)が、5×10−3以上35×10−3以下の範囲内であることを特徴とするものである。
【数10】
Figure 2004198593
(ここで、n,mは整数、N=2、pは整数である)
【数11】
Figure 2004198593
【数12】
Figure 2004198593
(ここでaはN・Δt/a≧150を満たす最大の整数)
また、請求項6の発明は、請求項5の中間転写体において、上記中間転写体の断面の切断方向が、該中間転写体を画像形成装置の中間転写体として用いたときに該表面が移動する方向に直交した方向であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項5又は6の中間転写体において上記Δtが0.01[μm]以上50.00[μm]以下、上記Nが2048以上であることをことを特徴とするものである。
また、上記第三の目的を達成するために、請求項8の発明は、像担持体と、該像担持体上にトナー像を形成する現像装置と、該像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写する一次転写手段と、該中間転写体上に一次転写されたトナー像を転写材上に二次転写する二次転写手段とを有する中間転写方式の画像形成装置において、上記中間転写体として請求項5、6、又は7の中間転写体を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像形成装置において、上記像担持体上にそれぞれ異なる色の複数のトナー像を形成する現像装置と、該像担持体上のそれぞれ異なる色の複数トナー像を中間転写体上に一次転写する一次転写手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項8又は9の画像形成装置において、上記転写材が、粒径が0.1[μm]以上15[μm]以下の無機系粒子が添加剤として添加されてなる転写紙であることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項8、9、又は10の画像形成装置において、上記像担持体が表面に感光層を有する感光体であり、該感光体上へのトナー像の形成と該トナー像の中間転写体上への一次転写とからなる手順を一万回行った後の該感光層の膜厚減少量が0.5[μm]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項11の画像形成装置において、上記感光体が、表面に無機粒子が露出してなるものであることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項11又は12の画像形成装置において、上記感光体上に該感光体表面の潤滑性を向上させるための物質である潤滑剤を付与する潤滑剤付与手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項13の画像形成装置において、上記潤滑剤が、ステアリン酸亜鉛であることを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項8、9、10、11、12、13、又は14の画像形成装置において、上記像担持体上に形成する画像の解像度が600[dpi]以上であることを特徴とするものである。
請求項1乃至4の中間転写体の評価方法においては、画像形成装置に用いようとしている中間転写体が、その表面に転写材に添加されている添加剤が固定されにくいものであるか否かを次のようにして判定する。数十[μm]以下の微細粒子である転写材の添加剤は、中間転写体表面に凹凸がなく平滑であればニップ部で押圧されたとき添加剤の逃げ場がないため、中間転写体表面に食い込みやすく、固定されやすい。一方、ニップ部で押圧されたときに中間転写体表面に添加剤の逃げ場となる凹部があれば、添加剤が中間転写体表面に食い込まずに済む場合もある。中間転写体表面に食い込まない状態で担持されている添加剤は、何れは中間転写体表面から除去される可能性も有する。本発明者らは、添加剤の逃げ場となる凹部があり添加剤が固定されにくい中間転写体の表面粗さを規定するためには、波長が150[μm]以下の波のみに注目することが有効であると考えた。そして、種々の波長が混在している中間転写体表面の断面曲線から波長が150[μm]以下の波を抽出し、この波長が150[μm]以下の波のパワーを一定の範囲にすれば良いことを見出した。本発明の中間転写体の評価方法においては、以上のことを元にして、次のように中間転写体を評価する。
先ず、中間転写体表面をΔt[μm]の間隔でサンプリングしたN個の断面についてのN個の断面曲線の高さx(t)[μm]のデータ群に対して数1に従い離散的なフーリエ変換を行う。この断面曲線の高さx(t)[μm]は、不規則変動量であるが、どのような不規則変動も種々の周波数の正弦波的変動を適当な位相と振幅で合成して得られる。つまり、これはフーリエ変換により表現できる。
【数13】
Figure 2004198593
【数14】
Figure 2004198593
ここで、上記数13及び数14の式中、kは波数[μm-1;1μmの長さ当たりの波の数]。フーリエ成分X(k)は、不規則変動量である断面曲線の高さx(t)に含まれる、波数k(波長で言うとλ=1/k[μm])の波の振幅を表している。|X(k)|2は、波数kの成分波のエネルギーを表している。
次に、波数kとその成分波のエネルギー|X(k)|2の分布関係(スペクトル)の考察を行う。
【数15】
Figure 2004198593
上記数15の式中、S(k)は、単位区間1[μm]当たりの断面曲線の波数kの成分波の平均エネルギーであり、S(k)をパワースペクトルと定義する。
ここで、断面曲線の高さx(t)は、断面曲線内の一部分−T/2≦t≦T/2でその定義を行う。Tは測定区間の長さを示す。即ち、T→∞の極限をとるのではなく、波長1/kに対して巨視的物理量としての平均が意味を持つ程度に十分大きい値にTを設定する。このようにTを定義することによって、断面曲線の高さx(t)を−∞<t<∞の範囲で定義できないまでも、数16を計算することにより、実質的にはT→∞の極限をとつたものと一致させることができる。
【数16】
Figure 2004198593
フーリエ変換も、離散的なフーリエ変換を用いるために以下の数17に示すような変換を行う。
【数17】
Figure 2004198593
ここで、n,mは整数、ただし、Nは、表面粗さのサンプリング点数で、N=2、pは整数の形で表される必要がある。Δt[μm]は、断面曲線の高さx(t)を測定した位置のサンプリング間隔であり、T/Δt=Nの関係がある。即ち、断面曲線の高さx(t)の具体的データは、x(0×Δt),x(1×Δt),x(2×Δt),・・・,x((N-2)×Δt),x((N-1)×Δt)である。また、測定区間Tは短すぎると変換に係る波の数が少なくなるため誤差が大きくなる。よって、適宜選択される必要がある。
離散的なフーリエ変換での具体的なパワースペクトル導出には、以下の数18の式に従う計算を行う。
【数18】
Figure 2004198593
さらに、以下に示す数19の式によりI(S)を算出する。
【数19】
Figure 2004198593
(ここでaはN・Δt/a≧150を満たす最大の整数である。)
数19の式において、パワースペクトルの積算値である以下の数20は、測定された範囲での断面曲線の中で、150[μm]以下の波長の波のパワーを示している。
【数20】
Figure 2004198593
パワースペクトルの積算値は、測定条件により変化してしまうため、測定点数Nで規格化することにより、150[μm]以下の波長の波のパワー示す普遍的なパラメーターとすることができる。このI(S)は、中間転写体表面の状態を150[μm]以下の波のパワーを表す新たなパラメータである。波長が150[μm]以下の波によって形成される凹部があると、その表面に数十[μm]以下の微細粒子である添加剤が付着した状態で押圧されたとき、添加剤が平坦な表面から凹部に逃げるようにして中間転写体表面に食い込まずに済む。従って、波長が150[μm]以下の波のパワーが所定の値以上あることが望ましい。但し、この波長の波のパワーが大きすぎると、凹部が深くなりすぎ、クリーニング不良によるスジ状の異常画像が生じやすくなるため中間転写体として好ましくない。上記のように、このパラメータの結果によって、像担持体表面に微細なキズをつける原因となる転写材の添加剤が、中間転写体表面に担持されても固定されないような逃げ場となる凹部がどの程度あるかを判定することが可能となる。そして、このパラメータI(S)の範囲を予め設定し、評価の対象となる中間転写体表面のパラメータI(S)がその範囲内にあるものを「良」、そうでないものを「不良」と判定すれば、その表面に添加剤が固定されにくいか否かを判定することが可能となる。
【0011】
請求項5乃至7の中間転写体は、上記パラメータI(S)が5×10−3以上35×10−3以下の範囲内である。パラメータI(S)は、像担持体表面に微細なキズをつける原因となる転写材の添加剤が中間転写体表面に担持されても固定されないような逃げ場となる凹部がどの程度あるかを判定するものである。このパラメータI(S)が5×10−3以上35×10−3以下の範囲内であれば、添加剤の逃げ場となる凹部が中間転写体表面に適度に存在し、その表面に添加剤が固定されにくい。よって、この中間転写体は、転写材に添加されており画像形成装置に用いた場合に異常画像の原因となる添加剤がその表面に固定されにくい。
【0012】
請求項10乃至15の画像形成装置は、中間転写体として、その表面に異常画像の原因となる添加剤が固定されにくいものを用いている。これによって、転写材に添加されており異常画像の原因となる添加剤を中間転写体表面に固定されにくくし、像担持体表面に添加剤に起因するキズを生じにくくする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を画像形成装置に適用した実施形態について以下に説明する。
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1にかかる画像形成装置としてのカラー画像形成装置(以下、単に画像形成装置という)の概略構成図である。本実施形態の画像形成装置は、像担持体としての無端状のベルトからなる感光体ベルト1を有している。この感光体ベルト1は鉛直方向に対向して位置する2つの支持ローラ2、3およびこれら支持ローラ2、3の中間の位置に設けられた1次転写対向ローラ4間に張設されている。これにより、感光体ベルト1は支持ローラ2、3間で鉛直なベルト部分と、支持ローラ2、3間で一次転写対向ローラ4に支持されることにより「く」の字状に屈曲したベルト部分とを有している。
この感光体ベルト1に対向する位置に中間転写体としての無端状のベルトからなる中間転写ベルト5が設けられている。この中間転写ベルト5は鉛直方向に対向して位置する2つの支持ローラ6、7及びこれら支持ローラ6、7の中間の位置に設けられた2次転写対向ローラ8間に張設されている。これにより、中間転写ベルト5は支持ローラ6、7間で鉛直なベルト部分と、支持ローラ6、7間で2次転写対向ローラ8に支持されることにより「く」の字状に屈曲したベルト部分とを有している。
【0014】
一次転写手段としての1次転写ローラ4は中間転写ベルト5のベルト部分のうち、支持ローラ6、7間で鉛直方向に沿って支持されているベルト部分に対向していて感光体ベルト1を中間転写ベルト5に接触させるようにして支持している。このように、感光体ベルト1が中間転写ベルト5に接触させられていて感光体ベルト1に形成したトナー像が中間転写ベルト5に転写されるプロセスが実行されるニップ部をを1次転写ニップと称する。
さらに、感光体ベルト1については、支持ローラ3と1次転写対向ローラ8との間の位置にクリーニングブレード9aと対向して対向ローラ10が設けられている。また、中間転写ベルト5については、支持ローラ6と2次転写対向ローラ8との間の位置にテンションローラ11が設けられている。
支持ローラ3及び支持ローラ7はそれぞれ図示しない駆動系により駆動される駆動ローラである。これらの駆動ローラにより図1において、感光体ベルト1は矢印で示す反時計まわりの向きに回転駆動させられ、中間転写ベルト5はこの感光体ベルト1と同じ線速度で矢印で示す時計まわりの向きに回転駆動されるようになっている。
感光体ベルト1のベルト部分のうち、鉛直方向に沿って張設されたベルト部分に対向して、矢印で示す回転方向順に、上流側からイエローの現像装置12Y、マゼンタの現像装置12M、シアンの現像装置12C、ブラックの現像装置12BKが並んでいる。これらの現像装置はそれぞれ、感光体ベルト1と対向する位置に現像ローラ14Y、14M、14C、14BKを具備している。
また、これらの現像装置はそれぞれ、図示しない案内手段に案内されて感光体ベルト1に近づく向きに前進し、また、遠ざかる向きに後退できるようになっている。そして、各現像装置の後端部が、カム13Y、13M、13C、13BKに当接するように図示しない付勢手段により付勢されている。図示した状態では各現像ローラ14Y、14M、14C、14BKは感光体ベルト1から離間しているので現像することができない。適切なタイミングでこれらのカム13Y、13M、13C、13BKの何れかを回転することにより、回転したカムに対応する現像装置は前進し、その現像装置の現像ローラは感光体ベルト1に接近して現像可能な状態となる。
下側の支持ローラ3の右下方には書き込み装置15が設けられている。この書き込み装置15は支持ローラ3に支持された感光体ベルト1の部位に向けて露光光Lbを照射する。
書き込み装置15に設けられた回転多面鏡15aから出射された露光光Lbは結像光学系15b、ミラー15cを経て感光体ベルト1を照射するようになっている。書き込み装置15は、露光のタイミングに応じて、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した4種の露光光Lbを適宜出射させることができる。
感光体ベルト1上、書き込み装置15による露光光Lbの照射位置を露光部と称するとすると、この露光部よりも該感光体ベルト1の回転方向上、上流の部位には帯電器16が設けられており、この帯電器16よりもさらに上流の部位にはクリーニングブレード9aを具備したクリーニング装置9が設けられている。
一方、中間転写ベルト5まわりについては、上側の支持ローラ6の上部にはクリーニング装置17が設けられ、支持ローラ6に支持された中間転写ベルト5に接触するようにしてクリーニングブラシ17aが設けられている。また、2次転写対向ローラ8と対向接触して対向ローラ18が設けられている。これら対向ローラ8と、中間転写ベルト5を介しての2次転写対向ローラ8との接触部は2次転写ニップ19であり、この2次転写ニップ19を間にして上方向、下方向の各位置にはそれぞれ対向するガイド板に沿って破線で示したような転写材の搬送経路が形成されている。
この搬送経路は、転写材である転写紙Sを収容したトレイ20を起点として排紙台26に至る経路であり、この経路上には上流から下流に向けて、給紙コロ21→一対の搬送ローラ22→一対のレジストローラ23→2次転写ニップ19→定着装置24→一対の排紙コロ25などが位置している。なお、転写紙Sは手差し用の給紙台27を案内として給紙コロ28より送り出すことができるようにもなっており、レジストローラ23の上流位置で破線で示すように、搬送経路が合流するようになっている。
【0015】
このようなカラー画像形成装置において、画像形成は次のようにして行われる。感光体ベルト1が回転している間に暗中にて帯電器16によって潜像形成に必要な所定の電位に帯電された感光体ベルト1に書き込み装置8により予め定められた所定の色、例えばイエローに係る潜像パターンが形成される。潜像の色に対応する所定の色の現像装置つまり、現像装置12Yのに付帯しているカム13Yを駆動することにより現像装置12Yを移動して現像ローラ14Yを感光体ベルト1に近接させることによりイエロートナーを感光体ベルト1上に付着させて現像し、イエローの可視像を得る。
こうして可視化された感光体ベルト1上のトナー像は感光体ベルト1と共に回動して1次転写ニップ29に至り、1次転写対向ローラ4により与えられる転写電界によって中間転写ベルト5へ転写される。これと同様の動作が他のマゼンタ、シアン、ブラックの3色についても順次行なわれ、最終的に中間転写ベルト5上に4色の色重ねフルカラートナー像が形成される。
一方、適時のタイミングで転写紙Sがトレイ20から給紙コロ21により送り出される。そして、搬送ローラ22を経てレジストローラ23の位置で一旦停止し、中間転写ベルト5上のフルカラートナー像と2次転写ニップ19で合致するように送り出しのタイミングを待つ。このタイミングが到来するとレジストローラ23の部位に停止していた転写紙Sがレジストローラ23から送り出され、2次転写ニップ19において該転写紙S上に転写される。
こうしてフルカラートナー像が転写された転写紙Sは定着装置24を通過する間に定着され、排紙コロ25を経て排紙台26に排出される。一方、中間転写ベルト5上に残った残留トナーはクリーニング装置17で清掃される。
【0016】
以上本実施形態1のプリンタは、に感光体ベルト1及び中間転写ベルト5を共に無端状のベルトで構成し、かつ、これらの各ベルトの張設の長手方向が感光体ベルト1と中間転写ベルト5とで略平行となる配置構成としている。これによって、長手方向に略扁平な形状の2つのベルトがそれぞれ縦長に設けられ横に並べて配置されている。このため、感光体や中間転写体などを円筒形状に構成した従来技術におけるカラー画像形成装置に比べて大きなスペースを必要とせず、よって、カラー画像形成装置を小型化することができる。
【0017】
ここで、中間転写ベルトについての詳細を説明する。本発明の画像形成装置に用いる中間転写ベルトは少なくとも2層以上からなることが好ましい。中間転写ベルトの基体材料としては、例えば、ポリエチレン,ポリスチレン,ポリ塩化ビニル,ポリエステル,ナイロン,ポリカーボネート,ポリアクリロニトリル,ポリフッ化ビニリデン,エチレンテトラフルオロエチレン共重合体等の熱可塑性樹脂の1種以上に、ポリエチレンオキサイド,ポリエーテルアミド,ポリエステルエーテルアミド,導電性ポリアニリン,アルカンスルホン酸金属塩,カーボン,酸化錫,酸化亜鉛,金属粉末等の有機系、無機系の抵抗制御用材料の少なくとも1種以上を、混合して用いることができる。また、熱可塑性樹脂及び有機系抵抗制御材料との共重合体を用いても良い。また、表面層用塗料には、前述の抵抗制御用材料を、フェノール樹脂,尿素樹脂,メラミン樹脂,アルキド樹脂等の熱硬化性樹脂と共に、溶剤中に溶解または分散し、用いることができる。
近年ベルトの全層や,ベルトの一部を弾性部材にした弾性ベルトが使用されてきている。樹脂ベルトを用いたカラー画像の転写は以下の課題がある。1枚のカラー画像には1層から4層までのトナー層が形成されている。トナー層は1次転写ニップや2次転写ニップを通過することで圧力を受け、トナー同士の凝集力が高くなる。トナー同士の凝集力が高くなると文字の中抜けやベタ部画像のエッジ抜けの現象が発生しやすくなる。
樹脂ベルトは硬度が高くトナー層に応じて変形しないため、トナー層を圧縮させやすく文字の中抜け現象が発生しやすくなる。
また、最近はフルカラー画像を様々な用紙,例えば和紙や意図的に凹凸を付けや用紙に画像を形成したいという要求が高くなってきている。しかし、平滑性の悪い用紙は転写時にトナーと空隙が発生しやすく、転写抜けが発生しやすくなる。密着性を高めるために二次転写ニップでの転写圧を高めると、トナー層の凝縮力を高めることになり、上述したような文字の中抜けを発生させることになる。
【0018】
弾性ベルトは次の狙いで使用される。弾性ベルトは樹脂ベルトより硬度が低いため、転写部でトナー層、平滑性の悪い用紙に対応して変形する。つまり、局部的な凹凸に追従して弾性ベルトは変形するため、過度にトナー層に対して転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られるため文字の中抜けが生じにくく、平面性の悪い用紙に対しても均一性の優れた転写画像を得ることが出来る。
特に、中間転写ベルト上に形成されるトナー像の最大厚みが30[μm]を越えるような場合では、従来の弾性のない中間転写ベルトでは画像の中抜けの問題が生じやすかった。弾性ベルトを用いた中間転写ベルトでは、そのような問題はほとんど発生することなく、高画質の画像形成が可能となる。
【0019】
弾性ベルトの樹脂はポリカーボネート,フッ素系樹脂(ETFE,PVDF)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂,塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
また、弾性ベルトに使用される弾性材ゴム、エラストマーとしては、ブチルゴム,フッ素系ゴム,アクリルゴム,EPDM,NBR,アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、リコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
【0020】
必要に応じて中間転写ベルトに添加される抵抗値調節用導電剤に特に制限はないが、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物がある。導電性金属酸化物は、硫酸バリウム,ケイ酸マグネシウム,炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。上記導電剤に限定されるものではないことは当然である。
中間転写ベルトの表層材料に制限はないが、転写ベルト表面へのトナーの付着力を小さくして二次転写性を高めるものが要求される。たとえばポリウレタン,ポリエステル,エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上を使用し表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料,たとえばフッ素樹脂,フッ素化合物,フッ化炭素,2酸化チタン,シリコンカーバイト等の粉体,粒子を1種類あるいは2種類以上または粒径を異ならしたものを分散させ使用することができる。またフッ素系ゴム材料のように熱処理を行うことで表面にフッ素リッチな層を形成させ表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
【0021】
ベルトの製造方法は限定されるものではない。回転する円筒形の型に材料を流し込みベルトを形成する遠心成型法、表層の薄い膜を形成させるスプレー塗工法、円筒形の型を材料の溶液の中に浸けて引き上げるディッピング法、内型,外型の中に注入する注型法、円筒形の型にコンパウンドを巻き付け,加硫研磨を行う方法がある。だが、これに限定されるものではなく、複数の製法を組み合わせてベルトを製造することができるのは当然である。
【0022】
弾性ベルトトして伸びを防止する方法として,伸びの少ない芯体樹脂層にゴム層を形成する方法,芯体層に伸びを防止する材料を入れる方法等があるが,特に製法に関わるものではない。
伸びを防止する芯体層を構成する材料は、例えば,綿、絹、などの天然繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維,ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維などの合成繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維などの無機繊維、鉄繊維、銅繊維などの金属繊維からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上を用い織布状あるいは糸状のものができる。もちろん上記材料に限定されるものではない。
糸は1本または複数のフィラメントを撚ったもの、片撚糸、諸撚糸、双糸等、どのような撚り方であってもよい。また、例えば上記材料群から選択された材質の繊維を混紡してもよい。もちろん糸に適当な導電処理を施して使用することもできる。
一方織布は、メリヤス織り等どのような織り方の織布でも使用可能であり、もちろん交織した織布も使用可能であり当然導電処理を施すこともできる。
【0023】
芯体層を設ける製造方法は特に限定されるものではない、例えば筒状に織った織布を金型等に被せ、その上に被覆層を設ける方法、筒状に織った織布を液状ゴム等に浸漬して芯体層の片面あるいは両面に被覆層を設ける方法、糸を金型等に任意のピッチで螺旋状に巻き付け、その上に被覆層を設ける方法等を挙げることができる。
【0024】
弾性層の厚さは、弾性層の硬度にもよるが、厚すぎると表面の伸縮が大きくなり表層に亀裂の発生しやすくなる。又,伸縮量が大きくなることから画像に伸びちじみが大きくなること等から厚すぎることは好ましくない(およそ1[mm]以上)。
弾性層の硬度の適正範囲は10≦HS≦65゜(JIS-A)である。ベルトの層厚によって最適硬度の調整は必要となる。 硬度10゜(JIS-A)より下のものは寸法精度良く成形する事が非常に困難である。これは成型時に収縮・膨張を受け易い事に起因する。また柔らかくする場合には基材へオイル成分を含有させる事が一般的な方法であるが、加圧状態で連続作動させるとオイル成分が滲みだして来るという欠点を有している。これにより中間転写体表面に接触する感光体を汚染し横帯状ムラを発生させる事が分かった。一般的に離型性向上のために表層を設けているが,完全に浸みだし防止効果を与えるためには表層は耐久品質等要求品質の高いものになり,材料の選定,特性等の確保が困難になってくる。これに対して硬度65゜(JIS-A)を超えるものは硬度が上がった分精度良く成形できるのと、オイル含有量を含まない,または少なく抑えることが可能となるので、感光体に対する汚染性は低減可能であるが、文字の中抜け等転写性改善の効果が得られなくなり、ローラへの張架が困難となる。
【0025】
次に本実施形態の特徴について説明する。本実施形態においては、中間転写ベルトに、転写紙に用いられている添加剤が固定されにくいものを用いている。そこで、先ず中間転写ベルトの表面に添加剤が固定されにくいか否かを判定するための評価方法について実験例1及び2によって説明する。
【0026】
[実験例1]
先ず、評価を行った中間転写ベルトの製造方法について説明する。
Poly(VdF−TFE)100部をアセトンに溶解した後、3部を添加し、ボールミルで攪拌、分散し、中間転写ベルト用第一液を調整した。
ポリアミド樹脂100部を、水およびメタノールの混合溶媒(水/メタノール=1/4)に溶解した後、c−SiO(導電性酸化スズT−1、三菱マテリアル社製)60部を添加し、ボールミルで攪拌、分散することにより、中間転写ベルト用第二液を調整した。
Poly(VdF−TFE)100部をアセトンに溶解した後、c−TiO(チタンブラック13M、三菱マテリアル社製)30部を添加し、サンドミルで攪拌、分散して、中間転写ベルト用第三液を調整した。
フッ素変性アクリル樹脂(アクリル酸の部分フッ素化アルキルエステルとメチルメタクリレートとを主成分とする共重合体、両者の含有割合は共重合体全体中の72[重量%])100部とアセトン400部とを混合攪拌することにより、中間転写ベルト用第四液を調整した。
以上のようにして調整した第一乃至第四液を次のように用いた。アルミニウム製の円筒形の型を中間転写ベルト用第一中に浸漬し、等速で型を引き上げることで第一層を形成した。この上に、同様に中間転写ベルト用第二液、中間転写ベルト用第三液、中間転写ベルト用第四液による層を順次積層して形成した後、加熱処理(60〜140[℃]、60分)を行い各層を形成した。
次に、フッ素変性アクリル樹脂(アクリル酸の部分フッ素化アルキルエステルとメチルメタクリレートとを主成分とする共重合体、両者の含有割合は共重合体全体中の72[重量%])100部とアセトン700部とを混合攪拌することにより、中間転写ベルト用第5液を調整した。スプレー塗工法により上記中間転写ベルト用第四液までを積層したアルミニウム製の円筒形の型上に中間転写ベルト用第5液を塗布し、加熱処理(110[℃]、30分)を行った。上記型から積層物を抜き取ることで中間転写ベルトを作成した。このようにして得られた中間転写ベルトを実施例1とする。
【0027】
上記実施例1の中間転写ベルト製造方法と中間転写ベルト用第四液の積層までを同じく行い、中間転写ベルト用第五液の塗工を行わずに作成した中間転写ベルトを比較例1とする。また、実施例1の中間転写ベルト製造方法と中間転写ベルト用第四液の積層までを同じく行い、中間転写ベルト用第五液のスプレー塗工条件を変化させて5種類の中間転写ベルトを作成した。これらの中間転写ベルトを実施例2乃至5、比較例2とする。
【0028】
以上のようにして製造した実施例1乃至5、比較例1,2の7つの中間転写ベルトについて、次のようにしてパラメータI(S)を求めた。
中間転写ベルト表面の粗さを、サーフコム1400A(登録商標)により測定する。測定は、図2に示すように中間転写ベルト5をプリンタに装着して駆動したときその表面移動方向に直交する方向で行う。また、中間転写ベルト表面移動方向に2500/8192[μm]の間隔で8192箇所についてサンプリングを行った。ここで、2500/8192[μm]をサンプリングの間隔Δt、8192をサンプリング個数Nとする。これによって、8192個の断面曲線の高さx(t)[μm]のデータ群を得る。これらのデータ群に対して既に課題を解決するための手段で記載した数17に従い離散的なフーリエ変換を行う。更に同じく既に記載した数18及び数19によりI(S)を導出する。
【0029】
ここで、中間転写ベルト5の断面曲線の測定方法としては、光学的方法、電気的方法、電気化学的方法、物理的方法等、再現性が良く、測定精度の高く、簡便な方法であればどのような方法であっても良い。だが、光学的方法、物理的方法が簡便さの点で好ましく、中でも物理的方法で触芯式による測定方法が、再現性、測定精度の点で最も好ましい。断面曲線の測定方向としては、任意の方向であっても良いが、一般に、中間転写体は円筒状あるいはベルト状であり、中間転写体と紙が接する二次転写ニップは中間転写体の表面移動方向に直行する方向のライン状である。よって、断面曲線の測定方向も中間転写体の表面移動方向に直交する方向即ち、中間転写ベルト幅方向であることが好ましい。
【0030】
また、これら実施例1乃至5、比較例1,2の7つの中間転写ベルトをそれぞれ用いて、画像形成を10000枚行い、得られた画像の状態と感光体の磨耗量を調べた。その後、更に50000枚画像形成を行い、得られた画像の状態と感光体ベルト1の磨耗量を調べた。実際に用いたプリンタはIPSIO Color6500(商品名)で、感光体ベルト1上に潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛を塗布しながら画像形成を行った。
また、使用した転写紙Sは、添加剤として平均粒子径11[μm]のタルクと平均粒径が1.8[μm]の炭酸カルシウムを合わせて16[重量%]含有した厚さ0.1[mm]の紙である。画像形成は5%濃度のテスト画像を2枚連続出力、15秒休止を繰り返す方法で行った。
【0031】
実施例1の中間転写ベルトは、I(S)を測定した結果17.3×10−3であった。また、全面均一のハーフトーン画像を出力したところ、正常な画像が得られ、感光体ベルト1にも微細なキズは発生していなかった。なお、1000枚画像形成を行った後の感光体の感光層の磨耗量は約0・3[μm]であった。さらに50000枚画像形成を行った後全面均一のハーフトーン画像を出力したところ、正常な画像が得られ、感光体ベルト1にも微細なキズは発生していなかった。
【0032】
比較例1の中間転写ベルトは、I(S)が3.8×10−3であった。実施例1と同様に10000枚画像形成を行った後、全面均一のハーフトーン画像を出力したところ、微細なスジが画像全面に認められた。感光体ベルト1表面を観察したところ、無数の微細なキズが感光体ベルト1全面に発生していた。中間転写ベルト5表面を観察したところ、中間転写ベルト表面には10〜15[μm]程度の粒子が多数固定されている様子が観察された。
【0033】
図3は、上記実施例1及び比較例1を含め7種類の中間転写ベルトにおける画像形成の結果を示した表である。図3の結果より、I(S)が5×10−3以上35×10−3以下の範囲である実施例1乃至5の中間転写ベルトでは、10000枚の画像形成後において正常な画像が得られ、感光体にも微細なキズは発生していなかった。また、述べ60000枚の画像形成後においても、同様の結果が得られた。これに対し、I(S)が5×10−3以上35×10−3以下の範囲の上限を超えた38.6×10−3であった比較例2においては、10000枚の画像形成後に画像にスジが発生した。よって、I(S)が5×10−3以上35×10−3以下の範囲である中間転写ベルトを「良」とし、その範囲から外れている中間転写ベルトを「不良」とする。そして、本実施形態においては、中間転写ベルトとして「良」のものを用いることとする。
【0034】
尚、上記特許文献1には中間転写ベルト表面の表面粗さRaを2[μm]以下とする画像形成装置が開示されているが。しかし、この文献1で提案されている中間転写ベルト表面の表面粗さRaは、中間転写ベルト上に転写紙の添加剤が固定されることを防止しようという発想はない。また、中間転写ベルト表面の断面曲線は、種々の波長、種々の振幅の波が合成されているが、この表面粗さRaのパラメーターには振幅の大きな波のみが反映され、波長が短く、振幅の小さな波は相殺されてしまい反映され難い。本発明で問題にしている添加剤の多くが数十[μm]以下であることを考慮すると、波長が短い波であっても、中間転写ベルト上に紙の添加剤が保持されることの防止に効果が期待できる。このため、Raを規定することによって感光体表面にキズが発生することを防止することはできなかった。また、上記特許文献2に記載されているRzは、上位5点の山の高さの平均と、下位5点の谷の平均の差である。そして、中間転写ベルト表面に微細な波が多数存在するとRzは大き目の値になってしまう。即ち、波の数によってRzの値は上下するため、微細な波が多数存在する表面の表面粗さのパラメーターとしては適していない。
【0035】
中間転写ベルト表面をパラメータI(S)が上記範囲となるようにする方法としては種々の方法がある。例えば、中間転写ベルトの最表面形成時に湿度等の環境を調整する方法、研磨剤、研磨機による機械的研摩、化学的、電気化学的に最表面を溶解させる方法、最表面の形成時に一定の凹凸を有する型に押し付けて凹凸を転写する方法、最表面形成後に一定の凹凸を有する加熱した型に中間転写ベルトを押し付けて凹凸を転写する方法、中間転写ベルトに、最表面層を蒸着、溶射あるいはスプレー法により縞状に形成する方法等が例示できる。中でもスプレー法により最表面層を縞状に形成することが量産性、再現性が高く好ましい。
【0036】
また、中間転写ベルトの評価を行うためのサンプリングをとる間隔Δtを2500/8192[μm]で約0.3[μm]、サンプリング個数Nを8192個として上記測定を行った。
Δtは0.01〜50.0[μm]、好ましくは0.05〜25.00[μm]、より好ましくは0.10〜15.00[μm]である。Δtが0.01[μm]以下では測定範囲Tを十分な大きさにするためには膨大な数のサンプリングが必要となり計算に負担がかかるので、結果的に測定範囲Tを小さくすることになり、誤差が大きくなりやすい。Δtが50.00[μm]以上では、波長の小さな波を抽出することができなくなり、やはり誤差が大きくなりやすい。また、サンプリング個数Nは計算の負担を考慮しなければ大きいほど良が、実用的には、2078以上、好ましくは4096以上、さらに好ましくは8192以上であることが誤差を小さくする上で好ましい。
【0037】
また、本実施形態のプリンタはカラー画像形成装置である。カラー画像形成装置においては、多色のカラー画像を1つ形成するために、カラーの数だけ感光体上に画像を形成し中間転写ベルト上に一次転写することで重ね合わせ画像を形成する。このため、1つの画像を形成する際に点状の異常画像の発生原因となるキズを有する感光体の述べ数はカラーの種類数分で4つとなる。よって、カラー画像形成装置においては画像を重ね合わせずに形成するモノクロ画像よりも点状の異常画像が発生しやすくなり、問題になりやすい。このような異常画像が発生し易いカラー画像形成装置に本発明を適用しているので、モノクロ画像形成装置に適用するのに比して有用性が高い。
【0038】
また、上記実施形態に用いた転写紙Sは、粒径が0.1[μm]以上15[μm]以下の無機系粒子が添加剤として添加されてなる転写紙である。この添加剤としてはタルク、カオリンクレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ等の無機系粒子が用いられ、その粒子径の上限は15[μm]以下で、好ましくは14[μm]以下、さらに好ましくは13.5[μm]以下である。添加剤の粒子径が15[μm]以上では、紙の強度、平滑度に劣るため、形成される画像品質には限界がある。
添加剤の粒子径の下限は特に制限はないが、紙の平滑度あるいは不透明度を向上させるためには0.05[μm]以上、好ましくは0.1[μm]以上、さらに好ましくは0.2[μm]以上である。
添加剤の添加量としては平滑度、不透明度、紙の強度の面から3〜30[重量%]、好ましくは5〜25[重量%]である。添加剤の添加量が30[重量%]以上では、破断強さ等の紙の強度が著しく低下するため好ましくない。添加剤の添加量が3[重量%]以下では、平滑度、不透明度が劣り、特に不透明度が悪いため、厚い紙でないと実用性はないので好ましくない。
【0039】
また、感光体は10000枚画像形成した後の感光層の膜厚減少が0.5[μm]以下、好ましくは0.4[μm]以下である。10000枚画像形成した後の感光層の膜厚減少が0.5[μm]を越えると感光体表面の微細なキズは感光層の磨耗に伴い蓄積されることがないため、本発明のプリンタの構成をそもそもとる必要がない。しかし、感光体の交換を頻繁に行う必要があるため、画像形成の信頼性が低下し、ランニングコストが高くなり好ましいものではない。よって、本実施形態のように、10000枚画像形成した後の感光層の膜厚減少が0.5[μm]以下であることが望ましい。
【0040】
次に、本実施形態のプリンタに用いる感光体について以下に詳細を説明する。
本発明のプリンタに用いる感光体は、導電性支持体の上に感光層が設けられている。感光層の構成は電荷発生材と電荷輸送材を混在させた単層型、あるいは電荷発生層の上に電荷輸送層を設けた順層型、あるいは電荷輸送層の上に電荷発生層を設けた逆層型がある。また、感光層の上に保護層を設けることもできる。感光層と導電性支持体の間には下引き層が設けられていてもよい。感光体の感度ムラを発生させる原因としては、感光体の各層の表面状態、各層の膜厚が不均一な場合に発生する。
導電性支持体としては、体積抵抗10-10[Ωcm]以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、導電性支持体として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITO などの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N −ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、導電性支持体として良好に用いることができる。
【0041】
次に感光層について説明する。感光層は少なくとも電荷発生層と電荷輸送層から構成され、それぞれの層が一体となった単層についても用いることができる。
電荷発生層は、種々の電荷発生材料が使用可能である。その代表として、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、種々のフタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等が挙げられ用いられる。電荷発生層は、電荷発生材を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
必要に応じて電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N −ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。中でも、ポリビニルブチラールに代表されるポリビニルアセタールは良好に使用される。結着樹脂の量は、電荷発生物質100 重量部に対し0 〜500 重量部、好ましくは10 〜300 重量部が適当である。
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
電荷発生層の膜厚は、0.01〜5[μm]程度が適当であり、好ましくは0.1〜2[μm]である。
【0042】
電荷輸送層は、電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電荷輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2 ,4 ,7 −トリニトロ−9 −フルオレノン、2 ,4 ,5 ,7−テトラニトロ−9 −フルオレノン、2 ,4 ,5,7 −テトラニトロキサントン、2 ,4 ,8 −トリニトロチオキサントン、2 ,6 ,8 −トリニトロ−4H −インデノ〔1 ,2 −b 〕チオフェン−4 −オン、1 ,3 ,7 −トリニトロジベンゾチオフェン−5 ,5 −ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
正孔輸送物質としては、ポリ−N −ビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9 −スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、又は2 種以上混合して用いられる。
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N −ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0043】
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は5〜100[μm]程度とすることが好ましく、特に5〜15[μm]、特に好ましくは5〜13[μm]とすることで高解像度の画像形成が可能となる。5〜15[μm]の感光体は高解像度の画像形成が可能である反面、感光体自身が有する感度分布に従い、濃淡ムラの異常画像を発生しやすいため、感光体が感度分布を記憶していることは高画質の画像形成を行う上では非常に重要になる。
【0044】
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。
【0045】
上記感光体の電荷輸送層中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30[重量%]程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1[重量%]が適当である。
【0046】
上記感光体においては、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は前述の感光層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、下引き層には、Al23 を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物や、SiO2、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5[μm]が適当である。
【0047】
次に、本発明者らが行った実験例2について説明する。
[実験例2]
実験例2においては、上記実験例1の際にプリンタに用いた感光体に替えて、感光体表面に無機粒子としての酸化アルミ粒子を含有した表面層を有する感光体を用いた。使用した転写紙Sは、添加剤として平均粒子径11[μm]のタルクと平均粒径が1.8[μm]の炭酸カルシウムを合わせて20[重量%]含有した厚さ0.1[mm]の紙である。画像形成は5%濃度のテスト画像を2枚連続出力、15秒休止を繰り返す方法で10000枚行った。これ以外は上記実験例1と同様の方法で実験を行った。
用いた中間転写ベルトは実験例1の際に実施例1として用いた中間転写ベルトと同じものでありこれを実施例6とする。
また、上記実施例6の中間転写ベルト製造方法と中間転写ベルト用第四液の積層までを同じく行い、中間転写ベルト用第五液の塗工を行わずに作成した中間転写ベルトを比較例3とする。
【0048】
以上のようにして製造した実施例6と比較例3の2つの中間転写ベルトについて、上記実験例1と同様にしてパラメータI(S)を求めた。また、画像形成を10000枚行い、得られた画像の状態と感光体表面の磨耗量を調べた。実施例6の中間転写ベルトにおいては、更に90000枚画像形成を行い、得られた画像の状態と感光体の磨耗量を調べた。
【0049】
実施例6の中間転写ベルトのI(S)は16.9×10−3である。また、全面均一のハーフトーン画像を出力したところ、正常な画像が得られ、感光体ベルト1にも微細なキズは発生していなかった。なお、1000枚画像形成を行った後の感光体の感光層の磨耗量は約0・2[μm]であった。さらに90000枚画像形成を行った後全面均一のハーフトーン画像を出力したところ、正常な画像が得られ、感光体にも微細なキズは発生していなかった。
【0050】
比較例3の中間転写ベルトは、I(S)が2.0×10−3であった。実施例6と同様に10000枚画像形成を行った後、全面均一のハーフトーン画像を出力したところ、微細なスジが画像全面に認められた。感光体ベルト1表面を観察したところ、無数の微細なキズが感光体ベルト1全面に発生していた。中間転写ベルト表面を観察したところ、中間転写ベルト表面には10〜15[μm]程度の粒子が多数固定されている様子が観察された。
【0051】
実験例2においては、感光体に感光層保護の目的で、酸化アルミ粒子を含有した表面層からなる保護層を感光層の上に設けている。保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
保護層には、耐摩耗性を向上する目的で耐摩耗性粒子が含有され、一部は感光体表面に露出している。耐摩耗性粒子としてはポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂あるいは酸化チタン、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、チタン酸カリウム等の無機材料を分散したもの等を添加することができる。特に、金属酸化物が耐磨耗性の観点から好ましい。また、白スジ、フィルミングによる異常画像に関係する5〜50[μm]の大きさの傷の発生を防止するために、粒子径が0.2〜0.8[μm]、好ましくは0.3〜0.7[μm]、特に好ましくは0.3〜0.6[μm]の金属酸化物の使用が大変好ましい。また、金属酸化物の中でも、酸化アルミニウムが画像形成に伴い発生する各種不純物との反応、蓄積による画像品質の低下を起こさせることもない。さらに、酸化アルミニウムの中でも、真空プロセスにより作製したものは、粒子径がほぼ一定で、純度も高く、大変好ましい。
また保護層に電荷移動性をもたせるため、通常電荷輸送層に含まれる電荷輸送材を含有させることで、残留電位の低下を図ることができ、好ましい。また、保護層としてポリマー成分に電荷輸送能を有する置換基を結合させた所謂ポリマードナー等も好適に用いることができる。
上記実施例6においては、実施例1に比して、1000枚画像形成を行った後の感光体の感光層の磨耗量を抑えることができた。また、90000枚画像形成を行った後のハーフトーン画像も正常な画像が得られた。このことから、感光体表面に酸化アルミ粒子が露出した保護層を設けることによって、感光体表面の耐磨耗性を向上させることができるということが分かった。
【0052】
なお保護層の厚さは0.1〜10[μm] 程度が適当である。感光層と保護層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく通常の塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2[μm] 程度が適当である。
【0053】
本発明の感光体の各層を積層する方法としては、浸漬塗工法、リング塗工法、スプレー塗工法、ロールコート法、ブレード塗工法等、いずれの方法も用いることができる。従来より、感光体の塗工方法では、浸漬塗工法が主に用いられてきた。浸漬塗工法は量産性に優れ、滑らかな表面形状の感光体を得ることができる。しかし、大量の塗工液を必要とするため、数ヶ月以上の塗工液の長期安定性が求められる。また、浸漬塗工法では、塗膜が重力によりずり落ちることは原理的にさけられないため、上下方向にロングレンジの膜厚傾斜を持ちやすく、特に塗工開始側には比較的大きな膜厚傾斜を持ちやすい。前述のように多くの感光体では複数の層を積層して製造されるが、浸漬塗工法では、下層が上層の塗工液に接触する時間が長いため、下層が上層の塗工液に溶解する場合には、上層を塗工することができなかった。
一方、スプレー塗工法は、量産性にやや劣るものの、塗工液の安定性が悪い場合においても、塗膜形成が可能である。また、上層の塗工液が下層に接触する時間が短いため、上層の塗工液が下層を溶解する場合においても、塗膜形成が可能である。
【0054】
また、本実施形態1のプリンタにおいては、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を感光体に塗布しながら画像形成を行っている。10000枚画像形成した後の感光層の膜厚減少が0・5[μm]以下とする方法として潤滑性物質を感光体表面に塗布しながら画像形成を行うことは有効である。
潤滑性物質を感光体表面に塗布しながら画像形成を行う方法における潤滑性物質としては、書き込み光の吸収が少なく、画像形成に支障のないよう微粉末になりやすい物質が適している。例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッカビニリデン等のフッ素樹脂粉末、高級脂肪酸のアルカリ金属以外の、亜鉛やアルミニウムなどの金属塩からなる金属石鹸を例示することができる。特に金属石鹸が感光体の表面状態を維持する上で好ましく、中でもステアリン酸亜鉛は感光体表面に膜状に塗布することが比較的容易なため、感光体の表面状態を維持することが容易で最も好ましい。
【0055】
図4は、潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛を感光体表面に塗布する潤滑剤塗布手段の構成例を示した図である。図4に示すように、本例の潤滑剤塗布手段は、感光体1表面に当接するクリーニングブラシ41と、クリーニングブラシ41にに当接配置された塗布ローラ44、塗布ローラ44周面に当接する固形潤滑剤42を有している。固形潤滑剤42には、ステアリン酸亜鉛を主成分とする材料を溶融し、冷却固化させたものを用いている。
上記構成によって、潤滑剤が感光体に塗布される工程を説明する。この固形潤滑剤42は、塗布ローラ44を介して、クリーニングブラシ41に供給される。このとき、クリーニングブラシ41のブラシ繊維によって約1[μm]程度のステアリン酸亜鉛の微粒子として削り取られる。そして、クリーニングブラシ41のブラシ繊維から感光体表面に塗布される。その後、固形潤滑剤42の微粒子は、クリーニングブレードの感光体1への当接圧力によって感光体表面に比較的強固に付着する。
尚、現像効率を考慮すると、感光体上のステアリン酸亜鉛の塗布量は必要最小限にすることが望ましい。そこで、この画像形成装置では、ソレノイドなどを用いた接離機構(図示せず)によって、上記クリーニングブラシ41に対して固形潤滑剤を接離可能に構成した。また、ブラシローラとしては、炭素含有アクリル繊維による360デニール/24フィラメント、5万本/inch2、毛足長さ5ミリ程度の直毛ブラシを用いた。このクリーニングブラシ41として、ブラシ繊維がループ状に形成されたループブラシを用いると、該ブラシ繊維による上記固形潤滑剤の削り量が多くなり、感光体表面へのステアリン酸亜鉛の塗布量が過多になってしまうためあまり好ましくない。また、直毛ブラシからなるクリーニングブラシ41の植毛密度や繊維の太さなどは、感光体の線速、径、材質、および上記固形潤滑剤の材料などにより、感光体へのステアリン酸亜鉛の供給量が最適となるように決定される。
【0056】
更に、本実施形態のプリンタは、感光体への書き込み画像の解像度を600[dpi]以上としている。尚、解像度は好ましくは1000[dpi]以上、さらに好ましくは1200[dpi]以上である。このように高解像度にすることによって、高品質の画像を形成することができる。本発明のプリンタは、感光体に微細なキズが生じにくいので、通常、解像度を高めると感光体のキズが異常画像として認識されやすくなるという不具合も防止できる。よって、異常画像の発生を防止しつつ、解像度の高い高品質な画像を得ることができる。
また、書き込み光の波長には特に制限はないが、700[nm]以下、好ましくは675[nm]以下、特に好ましくは350〜600[nm]以下である。これによって高解像の書き込み画像を実現することができる。その反面、感光体の微細なキズが白スジの異常画像となりやすいため、本発明の構成をとることが非常に重要となる。
【0057】
〔実施形態2〕
次に、本発明が適用できる他の実施形態として実施形態2について説明する。
図5は、実施形態2にかかるカラー画像形成装置の概略構成図、図6は感光体・中間転写ベルト回りの拡大図である。カラー画像読み取り装置(以下、カラースキャナーという)101は、原稿103の画像を照明ランプ104、ミラー群105、及びレンズ106を介してカラーセンサー107に結像して、原稿のカラー画像情報を、例えばブルー(Blue、以下Bという)、グリーン(Green、以下Gという)、レッド(Red、以下Rという)の色分解光毎に読み取り、電気的な画像信号に変換する。そして、このカラースキャナー101で得たB、G、Rの色分解画像信号強度レベルをもとにして、画像処理部(図示なし)で色変換処理を行ない、ブラック(以下、Bkという)、シアン( Cyan、以下Cという)、マゼンタ( Magenta、以下Mという)、イエロー( Yellow、以下Yという)のカラー画像データを得る。これを、次に述べるカラー画像記録装置(以下、カラープリンターという)102によって、Bk、C、M、Yの顕像化を行ない、これにより得られたトナー像を重ね合わして4色フルカラー画像を形成する。
【0058】
カラープリンター102の書き込み光学ユニット108は、カラースキャナー101からのカラー画像データを光信号に変換して、原稿画像に対応した光書き込みを行ない、感光体109に静電潜像を形成する。像担持体としての感光体109は、矢印の如く反時計方向に回転し、その回りには、感光体クリーニングユニット(クリーニング前除電器を含む)110、除電ランプ111、帯電器112、電位センサ113、Bk現像ユニット114、C現像ユニット115、M現像ユニット116、Y現像ユニット117、現像濃度パターン検出用の光学センサ118、中間転写ベルト119などが配置されている。
【0059】
各現像ユニットは、静電潜像を現像するために現像剤の穂を感光体109の表面に接触させて回転する現像スリーブ(114a、115a、116a、117a)と、現像剤を汲み上げ・撹拌するために回転する現像パドル(114b、115b、116b、117b)、及び現像剤のトナー濃度センサー(114c、115c、116c、117c)などで構成されている。
【0060】
以下、現像動作の順序(カラー画像形成順序)が、Bk、C、M、Yの例でコピー動作の概略を説明する(ただし、画像形成順序はこれに限定されるものではない)。コピー動作が開始されると、カラースキャナー101で所定のタイミングからBk画像データの読み取りがスタートし、この画像データに基づきレーザー光による光書き込み、潜像形成が始まる(以下、Bk画像データによる静電潜像をBk潜像という。C、M、Yについて、それぞれC潜像、M潜像、Y潜像という)。このBk潜像の先端部から現像可能とすべくBk現像ユニット114の現像位置に潜像先端部が到達する前に、現像スリーブ114aを回転開始して、Bk潜像をBkトナーで現像する。そして以後、Bk潜像領域の現像動作を続け、潜像後端部がBk現像位置を通過した時点で、現像不作動状態にする。これは少なくとも、次のC画像データによるC潜像先端部が到達する前に完了させる。
【0061】
感光体9に形成したBkトナー像は、感光体と等速駆動されている中間転写体としての中間転写ベルト119の表面に転写する(以下、感光体から中間転写ベルトへのトナー像転写をベルト転写という)。ベルト転写は、感光体9と中間転写ベルト119が接触状態において、転写バイアスローラ120aに所定のバイアス電圧を印加することで行う。なお、中間転写ベルト119には、感光体9に順次形成するBk、C、M、Yのトナー像を、同ー面に順次位置合せして、4色重ねのベルト転写画像を形成し、その後、転写紙にー括転写を行う。この中間転写ベルトユニットについては後述する。
【0062】
光体9側ではBk工程の次にC工程に進むが、所定のタイミングからカラースキャナー1によるC画像データ読み取りが始まり、その画像データによるレーザー光書き込みで、C潜像形成を行う。C現像ユニット115はその現像位置に対して、先のBk潜像後端部が通過した後で、かつC潜像の先端が到達する前に現像スリーブ115aを回転開始して、C潜像をCトナーで現像する。以後、C潜像領域の現像を続け、潜像後端部が通過した時点で、先のBk現像ユニットの場合と同様に現像不作動状態にする。これもやはり次のM潜像先端部が到達する前に完了させる。なお、M及びYの各工程についても、それぞれの画像データ読み取り、潜像形成及び現像の動作が上述のBk、Cの工程と同様に行なわれる。
【0063】
次に、中間転写ベルトユニットについて説明する。中間転写ベルト119は、駆動ローラ121、転写バイアスローラ120a、アースローラ120b、及び従動ローラ群に張架されており、図示していない駆動モータにより後述する如く駆動制御される。ベルトクリーニングユニット122は、ブラシローラ122a、ゴムブレード122b、及びベルトからの接離機構122cなどで構成されており、1色目のBk画像をベルト転写した後の、2、3、4色目をベルト転写している間は、接離機構122cによってベルト面から離間させておく。
【0064】
紙転写ユニット123は、紙転写バイアスローラー123a、ローラークリーニングブレード123b、及びベルトからの接離機構123cなどで構成されている。該バイアスローラー123aは、通常はベルト119面から離間しているが、中間転写ベルト119面に形成された4色の重ね画像を、転写紙にー括転写する時にタイミングを取って接離機構123cで押圧され、該ローラー123aに所定のバイアス電圧を印加して紙への転写を行う。なお、転写紙124は、給紙ローラー125、レジストローラ126によって、中間転写ベルト面の4色重ね画像の先端部が、紙転写位置に到達するタイミングに合わせて給紙される。
【0065】
ここで中間転写ベルト119の駆動制御について説明する。中間転写ベルト119の駆動の仕方としては、1色目のBkトナー像のベルト転写が端部まで終了した後の動作方式として次の3方式が考えられ、このなかの1方式で、又はコピー速度の面からコピーサイズに応じてこのなかの複数の方式を効率的に組み合わせて、中間転写ベルト119を駆動する。
(1)まず第1の方式として一定速往動方式について説明する。
Bkトナー像のベルト転写後も、そのまま一定速度で往動を続ける。そしてベルト119面上のBk画像先端位置が、再び感光体109との接触部のベルト転写位置に到達したとき、感光体109側は次のCトナー像の先端部が丁度その位置にくるように、タイミングを取って画像形成されている。その結果、C画像はBk画像に正確に位置合わせして中間転写ベルト119上に重ねてベルト転写される。
その後も同様の動作によってM,Y画像工程に進み、4色重ねのベルト転写画像を得る。
4色目のYトナー像ベルト転写工程に引き続きそのまま往動しながらベルト面上の4色重ねトナー像を、上記のように転写紙24に一括転写する。
(2)次に第2の方式としてスキップ往動方式について説明する。
Bkトナー像のベルト転写が終了したら、感光体9面からベルト119を離間させ、そのままの往動方向に高速スキップさせて所定量を移動したら当初の往動速度に戻す。また、その後再び感光体9にベルト119を接触させる。
そしてベルト119面上のBk画像先端位置が再びベルト転写位置に到達したとき、感光体109側は次のCトナー像の先端頤部が丁度その位置にくるようにタイミングを取って画像形成されている。その結果、Cが像はBk画像に正確に位置合わせして重ねてベルト転写される。
その後も同様の動作によってM,Y画像工程に進み4色重ねのベルト転写画像を得る。
4色目のYトナー像ベルト転写工程に引き続きそのままの往動速度で、ベルト119面上の4色重ねトナー像を転写紙124に一括転写する。
(3)次に、第3の方式として往復動(クイックリターン)方式について説明する。
Bkトナー像のベルト転写が終了したら、感光体109面からベルト119を離間させ、そして往動を停止させると同時に逆方向に高速リターンさせる。リターンは、ベルト119面上のBk画像先端位置がベルト転写相当位置を逆方向に通過し、更に予め設定された距離分を移動した後に停止させて待機状態にする。
次に感光体109側のCトナー像の先端部がベルト転写位置より手前の所定位置に到達した時点に、中間転写ベルト119を再び往動方向にスタートさせる。またベルト119を感光体9面に再び接触させる。この場合も、C画像がベルト119面上でBk画像に正確に重なるような条件に制御されてベルト転写される。
その後も同様の動作によってY,M画像工程に進み4色重ねのベルト転写画像を得る。4色目のYトナー像のベルト転写工程に引き続き、リターンせずにそのままの速度で往動して、ベルト119面上の4色重ねトナー像を転写紙124に一括転写する。
【0066】
以上のようにして、中間転写ベルト面から4色重ねトナー像をー括転写された転写紙124は、紙搬送ユニット127で定着器128に搬送され、所定温度にコントロールされた定着ローラ128aと加圧ローラー128bでトナー像を溶融定着してコピートレイ129に搬出されフルカラーコピーを得る。
【0067】
なお、ベルト転写後の感光体109は、感光体クリーニングユニット110(クリーニング前除電器110a、ブラシローラ110b、ゴムブレード110c)で表面をクリーニングされ、また、除電ランプ111で均一に除電される。また、転写紙124にトナー像を転写した後の中間転写ベルト119は、クリーニングユニット122を再び接離機構122cで押圧して表面をクリーニングされる。
【0068】
リピートコピーの時は、カラースキャナ101の動作及び感光体109への画像形成は、1枚目のY(4色目)画像工程に引き続き、所定のタイミングで2枚目のBk(1色目)画像工程に進む。また、中間転写ベルト119の方は、1枚目の4色重ね画像の転写紙へのー括転写工程に引き続き、表面をクリーニングユニット22でクリーニングされた領域に、2枚目のBkトナー像がベルト転写されるようにする。その後は、1枚目と同様の動作になる。なお、転写紙カセット130、131、132、133は、各種サイズの転写紙が収納されており、操作パネル(図示なし)で指定されたサイズ紙の収納カセットから、タイミングを取ってレジストローラ126方向に給紙、搬送される。134は、OHP用紙や厚紙などの手差し給紙トレイである。
【0069】
以上は、4色フルカラーを得るコピーモードの説明であったが、3色コピーモード、2色コピーモードの場合は、指定された色と回数の分について、上記と同様の動作を行うことになる。また、単色コピーモードの場合は、所定枚数が終了するまでの間、その色の現像ユニットのみを現像作動(剤穂立て)状態にして、中間転写ベルト119は、感光体9面に接触したまま往動方向にー定速駆動し、さらに、ベルトクリーナー122もベルト119に接触したままの状態で、コピー動作を行う。
【0070】
〔実施形態3〕
次に、本発明が適用できる他の実施形態としてタンデム型のカラー画像形成装置である実施形態3について説明する。
図7は、本実施形態3に係るカラー画像形成装置の概略構成図である。この画像形成装置は、画像形成装置部200と、この画像形成部を載置する給紙テーブル300と、その画像形成部上に取り付けるスキャナ400と、このスキャナの上部に取り付けられる原稿自動搬送装置(ADF)500とから構成されている。
【0071】
図8は、画像形成部200の構成を示す拡大図である。画像形成部200には、無端移動部材としての無端ベルト状部材である中間転写ベルト210が設けられている。この中間転写ベルト210は、3つの支持ローラ214,215,16に張架された状態で、図8中時計回り方向に回転駆動される。支持ローラのうちの第1支持ローラ214と第2支持ローラ215との間のベルト張架部分には、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成ユニット218Y,218C,218M,218BKが並んで配置されている。これらの画像形成ユニット218Y,218C,218M,218BKの上方には、図7に示すように、露光装置221が設けられている。この露光装置221は、スキャナ400で読み取った原稿の画像情報に基づいて、各画像形成ユニットに設けられる像担持体としての感光体ドラム220Y,220C,220M,220BK上に静電潜像を形成するためのものである。また、支持ローラのうちの第3支持ローラ216に対向する位置には、2次転写装置222が設けられている。この2次転写装置222は、2つのローラ223a,223b間に無端ベルト状の2次転写ベルト224が張架した構成を有する。そして、中間転写ベルト210上のトナー像を転写紙上に2次転写する際には、2次転写ベルト224を第3支持ローラ216に巻回された中間転写ベルト210部分に押し当てて2次転写を行う。なお、2次転写装置222は、2次転写ベルト224を用いた構成でなくても、例えば転写ローラや非接触の転写チャージャを用いた構成としてもよい。
また、2次転写装置222の2次転写ベルト224による転写紙搬送方向下流側には、転写紙上に転写されたトナー像を定着させるための熱定着手段としての定着装置225が設けられている。この定着装置225は、加熱ローラ226に加圧ローラ227を押し当てた構成となっている。
【0072】
また、中間転写ベルト210の支持ローラのうちの第2支持ローラ215に対向する位置には、ベルトクリーニング装置217が設けられている。このベルトクリーニング装置217は、記録材としての転写紙に中間転写ベルト210上のトナー像を転写した後に中間転写ベルト210上に残留する残留トナーを除去するためのものである。
【0073】
ベルトクリーニング装置217によるクリーニングによって、中間転写ベルト210上に残留したトナーのほとんどが除去されるが、僅かながら中間転写ベルト210上にトナーが残留する。しかし、これらのトナーは、ファーブラシにより正極性に帯電するので、次の画像形成プロセスにおける1次転写電界により感光体ドラム220側に転移することになる。よって、最終的には、感光体クリーニング装置263に回収されることになる。
【0074】
次に、画像形成ユニット218Y,218C,218M,218BKの構成について説明する。以下の説明では、黒色のトナー像を形成する画像形成ユニット218BKを例に挙げて説明するが、他の画像形成ユニット218Y,218C,218Mも同様の構成を有する。なお、画像形成ユニット218Y,218C,218M,218BKは、少なくとも感光体ドラム220と、画像形成ユニットを構成する構成部品や構成装置の全部又は一部とを備えたプロセスカートリッジとして構成することができる。この場合、画像形成ユニット218Y,218C,218M,218BKを画像形成部200に対して着脱自在に構成できるので、メンテナンス性が向上する。
【0075】
図8は、隣り合う2つの画像形成ユニット218M,218BKの構成を示す拡大図である。なお、図中の符号では、色の区別を示す「M」及び「BK」の記号を省略しており、以下の説明でも記号は適宜省略する。
画像形成ユニット218には、感光体ドラム220の周囲に、帯電装置260、現像装置261、感光体クリーニング装置263及び除電装置264が設けられている。また、感光体ドラム220に対して中間転写ベルト210を介して対向する位置には、1次転写装置262が設けられている。
【0076】
上記帯電装置260は、帯電ローラを採用した接触帯電方式のものであり、感光体ドラム220に接触して電圧を印加することにより感光体ドラム220の表面を一様に帯電する。この帯電装置260には、非接触のスコロトロンチャージャなどを採用した非接触帯電方式のものも採用できる。
【0077】
また、上記現像装置261は、一成分現像剤を使用してもよいが、本実施形態では、磁性キャリアと非磁性トナーからなる二成分現像剤を使用している。この現像装置261は、攪拌部266と現像部267に大別できる。攪拌部266では、二成分現像剤(以下、単に「現像剤」という。)が攪拌されながら搬送されて現像剤担持体としての現像スリーブ265上に供給される。この攪拌部266は、平行な2本のスクリュ268が設けられており、2本のスクリュ268の間には、両端部で互いが連通するように仕切るための仕切り板が設けられている。また、現像ケース270には現像装置内の現像剤のトナー濃度を検知するためのトナー濃度センサ271が取り付けられている。一方、現像部267では、現像スリーブ265に付着した現像剤のうちのトナーが感光体ドラム220に転移される。この現像部267には、現像ケース270の開口を通して感光体ドラム220と対向する現像スリーブ265が設けられており、その現像スリーブ65内には図示しないマグネットが固定配置されている。また、現像スリーブ265に先端が接近するようにドクタブレード273が設けられている。なお、本実施形態では、直径が18[mm]である現像スリーブ265を用いている。また、この現像スリーブ265は、その表面をサンドブラスト又は1[mm]〜数[mm]の深さを有する複数の溝を形成する処理を行い、表面粗さがRzで10〜30[μm]の範囲となるように形成されている。
【0078】
この現像装置261では、現像剤を2本のスクリュ268で攪拌しながら搬送循環し、現像スリーブ265に供給する。現像スリーブ265に供給された現像剤は、マグネットにより汲み上げて保持される。現像スリーブ265に汲み上げられた現像剤は、現像スリーブ265の回転に伴って搬送され、ドクタブレード273により適正な量に規制される。なお、規制された現像剤は攪拌部266に戻される。このようにして感光体ドラム220と対向する現像領域まで搬送された現像剤は、マグネットにより穂立ち状態となり、磁気ブラシを形成する。現像領域では、現像スリーブ265に印加されている現像バイアスにより、現像剤中のトナーを感光体ドラム220上の静電潜像部分に移動させる現像電界が形成される。これにより、現像剤中のトナーは、感光体ドラム220上の静電潜像部分に転移し、感光体ドラム220上の静電潜像は可視像化され、トナー像が形成される。現像領域を通過した現像剤は、マグネットの磁力が弱い部分まで搬送されることで現像スリーブ265から離れ、攪拌部66に戻される。
このような動作の繰り返しにより、攪拌部266内のトナー濃度が薄くなると、それをトナー濃度センサ271が検出し、その検出結果に基づいて攪拌部266にトナーが補給される。
【0079】
また、上記1次転写装置262は、1次転写ローラを採用しており、中間転写ベルト210を挟んで感光体ドラム220に押し当てるようにして設置されている。1次転写装置262は、ローラ形状のものでなくても、導電性のブラシ形状のものや、非接触のコロナチャージャなどを採用してもよい。また、各1次転写装置262の間には、中間転写ベルト210の裏面すなわち内周面側に接触する導電性ローラ274が設けられている。この導電性ローラ274は、1次転写時に各1次転写装置262により印加するバイアスが、中間転写ベルト210の内周面側の層を通じて隣接する画像形成ユニットに流れ込むことを阻止するものである。
【0080】
また、上記感光体クリーニング装置263は、先端を感光体ドラム220に押し当てられるように配置される、例えばポリウレタンゴム製のクリーニングブレード275を備えている。また、本実施形態では、クリーニング性能を高めるために感光体ドラム20に接触する導電性のファーブラシ276を併用している。このファーブラシ276には、金属製の電界ローラ277からバイアスが印加されており、その電界ローラ277にはスクレーパ278の先端が押し当てられている。そして、クリーニングブレード275やファーブラシ276により感光体ドラム220から除去されたトナーは、感光体クリーニング装置263の内部に収容される。その後、回収スクリュ279により感光体クリーニング装置263の片側に寄せられ、後述するトナーリサイクル装置280を通じて現像装置261へと戻され、再利用する。
【0081】
また、除電装置264は、除電ランプで構成されており、光を照射して感光体ドラム220の表面電位を初期化する。
【0082】
以上の構成をもつ画像形成ユニット218では、感光体ドラム220の回転とともに、まず帯電装置260で感光体ドラム220の表面を一様に帯電する。次いでスキャナ400により読み取った画像情報に基づいて露光装置221からレーザやLED等による書込光Lを照射し、感光体ドラム220上に静電潜像を形成する。その後、現像装置261により静電潜像が可視像化されてトナー像が形成される。このトナー像は、1次転写装置262により中間転写ベルト210上に1次転写される。1次転写後に感光体ドラム220の表面に残留した転写残トナーは、感光体クリーニング装置263により除去され、その後、感光体ドラム220の表面は、除電装置264により除電されて、次の画像形成に供される。
【0083】
次に、本実施形態3における画像形成装置の動作について説明する。
上記構成をもつ画像形成装置を用いて原稿のコピーをとる場合、まず、原稿自動搬送装置500の原稿台530に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置500を開いてスキャナ400のコンタクトガラス432上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置500を閉じてそれで押さえる。その後、ユーザーが図示しないスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置500に原稿をセットしたときには、原稿がコンタクトガラス432上に搬送される。そして、スキャナ400が駆動して第1走行体433および第2走行体434が走行を開始する。これにより、第1走行体433からの光がコンタクトガラス432上の原稿で反射し、その反射光が第2走行体434のミラーで反射されて、結像レンズ435を通じて読取センサ436に案内される。このようにしいて原稿の画像情報を読み取る。
【0084】
また、ユーザーによりスタートスイッチが押されると、図示しない駆動モータが駆動し、支持ローラ214,215,216のうちの1つが回転駆動して中間転写ベルト210が回転駆動する。また、これと同時に、各画像形成ユニッ218Y,218C,218M,218BKの感光体ドラム220Y,220C,220M,220BKも回転駆動する。その後、スキャナ400の読取センサ436で読み取った画像情報に基づいて、露光装置221から、各画像形成ユニット218Y,218C,218M,218BKの感光体ドラム220Y,220C,220M,220BK上に書込光Lがそれぞれ照射される。これにより、各感光体ドラム220Y,220C,220M,220BKには、それぞれ静電潜像が形成され、現像装置261Y,261C,261M,261BKにより可視像化される。そして、各感光体ドラム220Y,220C,220M,220BK上には、それぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのトナー像が形成される。このようにして形成された各色トナー像は、各1次転写装置262Y,262C,262M,262BKにより、順次中間転写ベルト210上に重なり合うようにそれぞれ1次転写される。これにより、中間転写ベルト210上には、各色トナー像が重なり合った合成トナー像が形成される。なお、2次転写後の中間転写ベルト210上に残留した転写残トナーは、ベルトクリーニング装置217により除去される。
【0085】
本実施形態3のプリンタにおいては、複数の感光体に、それぞれ異なる色のトナー画像を形成し、弾性を有する中間転写ベルトに各色のトナー画像を順次積層した後、出力媒体へ積層されたトナーを二次転写している。このようなタンデム型間接転写方式を用いることによって、高品質の画像形成を行うことができるようになる。
【0086】
上記実施形態2及び3の画像形成装置についても、実施形態1における中間転写ベルト等の特徴を有するように構成すれば、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0087】
尚、本発明を適用できる中間転写体は、ドラム状、ベルト状、板状等、どのような形状であっても良い。だが、ベルト状の中間転写体(中間転写ベルト)はベルト内部に駆動ローラーを複数挿入することで、形状を自在に変形させることができる。このため、プリンタ内の配置の自由度が増し、画像形成装置の小型化に貢献できる。また、中間転写ベルトは柔軟性を有するため、一次転写、二次転写の際の転写性がドラム状の中間転写体に比べ優れ好ましい。
【0088】
上記実施形態1乃至3の画像形成装置によれば、次のような効果を得ることができる。
中間転写ベルト表面の粗さとして本発明で提案したパラメータI(S)を5×10−3以上35×10−3以下の範囲にしている。このような評価方法によれば、中間転写ベルトに転写紙の添加剤が固定されて生じる感光体ベルト表面のキズの発生を防止できる中間転写ベルトを正しく評価することができる。よって、感光体のキズによって生じる異常画像を防止できる中間転写ベルトを正しく評価できる。
また、パラメータI(S)が5×10−3以上35×10−3以下の中間転写ベルトを用いている。この中間転写ベルトによれば、転写紙の添加剤が固定されて生じる感光体ベルト表面のキズの発生を防止できる。よって、感光体のキズによって生じる異常画像も防止できる。
また、上記中間転写ベルトの評価を行うためのサンプリングを行う中間転写ベルト上の位置は、図2に示すように、中間転写ベルト表面移動方向に直交する方向としている。このように中間転写ベルト表面移動方向に対して垂直な方向で中間転写ベルト表面の粗さを測定することによって、中間転写ベルトと転写紙Sとが接する二次転写ニップと同じ方向における中間転写ベルト表面の状態を知ることができる。よって、測定結果から、転写紙の添加剤が中間転写ベルト表面に固着するか否かをより正確に判定することができる。
また、本実施形態の中間転写ベルトは、その断面曲線を、図2に示す中間転写ベルト表面移動方向に直交する方向で得たものである。これによって、転写紙の添加剤が固定されて生じる感光体ベルト表面のキズの発生を、より確実に防止できる中間転写ベルトとなる。よって、感光体のキズによって生じる異常画像もより確実に防止できる。
また、サンプリングをとる間隔Δtを0.01[μm]以上50.00[μm]以下、サンプリング個数Nを2048以上としている。これによって、中間転写ベルトの評価における誤差を小さくすることができる。
また、本実施形態の中間転写ベルトは、パラメータI(S)を得るためのサンプリングをとる間隔Δtを0.01[μm]以上50.00[μm]以下、サンプリング個数Nを2048以上としたものである。この中間転写ベルトは、感光体のキズによって生じる異常画像をより確実に防止できる。
上記実施形態は何れも、異常画像が発生し易いカラー画像形成装置に本発明を適用している。よって、モノクロ画像形成装置に適用するのに比して有用性が高い。
また、転写紙Sは、粒径が0.1[μm]以上15[μm]以下の無機系粒子が添加剤として添加されてなるものである。これによって、転写紙の強度、平滑度、不透明度を向上させることができ、高画質化に有効である。
また、10000枚画像形成した後の感光層の膜厚減少を0.5[μm]以下としている。これによって、画像形成の信頼性を維持でき、かつランニングコストが高くなることを回避することができる。また、本実施形態においては、このような感光体を用いても、感光体にキズがつきにくいため画質低下を防止することができる。
また、感光体は、その表面に無機粒子である酸化アルミ粒子が露出した保護層を有している。これによって、感光体表面の耐磨耗性を向上させることができる。
また、潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛を感光体に塗布しながら画像形成を行っている。これによって、感光体表面の耐磨耗性を向上させることができる。
感光体への書き込み画像の解像度が600[dpi]以上のプリンタに本発明を適用している。これによって、異常画像の発生を防止しつつ、解像度の高い高品質な画像を得ることができる。
【0089】
【発明の効果】
請求項1乃至4の中間転写体の評価方法によれば、パラメータI(S)の範囲を予め設定し、評価の対象となる中間転写体表面のパラメータI(S)がその範囲内にあるか否かを判定することにより、その表面に添加剤が固定されにくいか否かを判定することができる。よって、画像形成装置に用いようとしている中間転写体が、その表面に転写材に添加されており異常画像の原因となる添加剤が固定されにくいものであるか否かを判定することができるという優れた効果がある。
請求項5乃至7の中間転写体によれば、画像形成装置に用いた場合に、転写材に添加されており異常画像の原因となる添加剤がその表面に固定されにくい中間転写体を提供することができるという優れた効果がある。
請求項8乃至15の画像形成装置によれば、像担持体表面に添加剤に起因するキズを生じにくくすることができるため、像担持体表面のキズに起因して生じる異常画像を防止することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1にかかる画像形成装置の概略構成図。
【図2】中間転写ベルト表面の粗さを測定する方法の説明図。
【図3】7種類の中間転写ベルトにおける画像形成の結果を示した表。
【図4】潤滑剤塗布手段の構成例を示した図。
【図5】実施形態2にかかるカラー画像形成装置の概略構成図。
【図6】実施形態2の画像形成装置における感光体・中間転写ベルト回りの拡大図。
【図7】実施形態3にかかるカラー画像形成装置の概略構成図。
【図8】実施形態3の画像形成装置における画像形成部の構成を示す拡大図。
【符号の説明】
1 感光体ベルト
4 1次転写対向ローラ
5、119、210 中間転写ベルト
8 2次転写対向ローラ
12 現像装置
15 書き込み装置
24 定着装置
41 クリーニングブラシ
42 固形潤滑剤
44 塗布ローラ
109 感光体
114,115,116,117 現像ユニット
120a 転写バイアスローラ
123 紙転写ユニット
218Y,218C,218M,218BK 画像形成ユニット
220Y,220C,220M,220BK 感光体ドラム
222 2次転写装置
224 2次転写ベルト
225 定着装置
S 転写紙

Claims (15)

  1. 中間転写体を表面の法線方向の断面における断面曲線の高さx(t)[μm]を測定する断面曲線測定手段によって、該中間転写体表面をΔt[μm]の間隔でサンプリングしたN個の断面についてそれぞれ断面曲線の高さx(t)[μm]を測定し、
    該N個の断面曲線の高さx(t)[μm]のデータ群に対して下式数1に従い離散的なフーリエ変換を行い、更に下式数2及び数3によりI(S)を導出し、該I(S)を所定の閾値に対比させることにより該中間転写体の評価を行う中間転写体の評価方法。
    Figure 2004198593
    (ここで、n,mは整数、N=2、pは整数である)
    Figure 2004198593
    Figure 2004198593
    (ここでaはN・Δt/a≧150を満たす最大の整数)
  2. 請求項1の中間転写体の評価方法において、
    上記I(S)が5×10−3以上35×10−3以下の範囲内であるとき、該中間転写体を良とすることを特徴とする中間転写体の評価方法。
  3. 請求項1又は2の中間転写体の評価方法において、
    上記中間転写体の切断方向を、該中間転写体を画像形成装置の中間転写体として用いたとき該表面の移動方向に直交する方向としたことを特徴とする中間転写体の評価方法。
  4. 請求項1、2、又は3の中間転写体の評価方法において、
    上記Δtが0.01[μm]以上50.00[μm]以下、上記Nが2048以上であることをことを特徴とする中間転写体の評価方法。
  5. 像担持体と、該像担持体上にトナー像を形成する現像装置と、該像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写する一次転写手段と、該中間転写体上に一次転写されたトナー像を転写材上に二次転写する二次転写手段とを有する中間転写方式の画像形成装置における中間転写体であって、
    該中間転写体表面においてΔt[μm]の間隔でサンプリングしたN個の該表面法線方向の断面を、それぞれ測定して得た断面曲線の高さx(t)[μm]のデータ群について、
    下式数4に従い離散的なフーリエ変換を行い、更に下式数5及び数6により導出したI(S)が、5×10−3以上35×10−3以下の範囲内であることを特徴とする中間転写体。
    Figure 2004198593
    (ここで、n,mは整数、N=2、pは整数である)
    Figure 2004198593
    Figure 2004198593
    (ここで、aはN・Δt/a≧150を満たす最大の整数)
  6. 請求項5の中間転写体において、
    上記中間転写体の断面の切断方向が、該中間転写体を画像形成装置の中間転写体として用いたときに該表面が移動する方向に直交した方向であることを特徴とする中間転写体。
  7. 請求項5又は6の中間転写体において
    上記Δtが0.01[μm]以上50.00[μm]以下、上記Nが2048以上であることをことを特徴とする中間転写体。
  8. 像担持体と、該像担持体上にトナー像を形成する現像装置と、該像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写する一次転写手段と、該中間転写体上に一次転写されたトナー像を転写材上に二次転写する二次転写手段とを有する中間転写方式の画像形成装置において、
    上記中間転写体として請求項5、6、又は7の中間転写体を用いたことを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項8の画像形成装置において、
    上記像担持体上にそれぞれ異なる色の複数のトナー像を形成する現像装置と、該像担持体上のそれぞれ異なる色の複数トナー像を中間転写体上に一次転写する一次転写手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項8又は9の画像形成装置において、
    上記転写材が、粒径が0.1[μm]以上15[μm]以下の無機系粒子が添加剤として添加されてなる転写紙であることを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項8、9、又は10の画像形成装置において、
    上記像担持体が表面に感光層を有する感光体であり、該感光体上へのトナー像の形成と該トナー像の中間転写体上への一次転写とからなる手順を一万回行った後の該感光層の膜厚減少量が0.5[μm]以下であることを特徴とする画像形成装置。
  12. 請求項11の画像形成装置において、
    上記感光体が、表面に無機粒子が露出してなるものであることを特徴とする画像形成装置。
  13. 請求項11又は12の画像形成装置において、
    上記感光体上に該感光体表面の潤滑性を向上させるための物質である潤滑剤を付与する潤滑剤付与手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  14. 請求項13の画像形成装置において、
    上記潤滑剤が、ステアリン酸亜鉛であることを特徴とする画像形成装置。
  15. 請求項8、9、10、11、12、13、又は14の画像形成装置において、
    上記像担持体上に形成する画像の解像度が600[dpi]以上であることを特徴とする画像形成装置。
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