JP2004198579A - 光導波路アレイおよび光素子表面実装装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光導波路アレイ9は、隣接する光導波路90間で光入出射部90aの位置が延伸方向にずれて形成されており、当該各光導波路90の光入出射部90aに対応して光電変換素子71が配置される。従って、並列に配置された各光導波路90間の間隔を短くしても、隣接する光導波路90間で光入出射部90aの位置が延伸方向にずれていることから、このずれにより光電変換素子71の配置間隔が確保される。
【選択図】図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光導波路アレイおよび光素子表面実装装置に関し、特に表面実装方式を用いた光導波路アレイおよび光素子表面実装装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、LSI(大規模集積回路)等の半導体チップ間の信号伝播は、全て基板配線を介した電気信号によりなされている。
しかしながら、昨今のMPU高機能化に伴い、チップ間にて必要とされるデータ授受量は著しく増大し、結果として様々な高周波問題が浮上している。それらの代表的なものとして、RC信号遅延、インピーダンスマッチ、EMC/EMI、クロストーク等が挙げられる。
上記の問題を解決するため、配線配置の最適化や新素材開発などの様々な手法が開発されてきた。
【0003】
しかし、上記の配線配置の最適化や新素材開発等の効果も物理的限界に阻まれており、さらなるシステムの高機能化を実現するためには単純な半導体チップの実装を前提とした実装ボードの構成そのものを見直す必要が生じてきている。
例えば、マルチチップモジュール化による微細配線結合、各種半導体チップのポリイミド樹脂などを用いた二次元的な封止、一体化による電気配線結合、基板貼り合わせによる半導体チップの三次元結合等の開発がなされている。
【0004】
さらに、上記のように信号授受の高速化および大容量化を実現するために、光配線による光伝送結合技術が開発されている(例えば、非特許文献1参照)。この技術は、電気信号を光変調し、チップ間の伝送速度そのものを大幅に向上させるものである。光は電磁波に関する対策を全く必要とせず、比較的自由な配線設計が可能となる。
【0005】
上記のチップ間に対応する光配線技術には様々な方式のものがあり、例えばアクティブインターポーザ方式(A−SET,非特許文献1のp.125、図7参照)、自由空間伝送方式(非特許文献1のp.123、図5参照)、光コネクタ接続方式(非特許文献1のp.122、図4参照)、光導波路埋め込み方式(非特許文献1のp.124、図6参照)、表面実装方式(非特許文献2参照)等がある。
【0006】
上記の5つの方式のうち、以下の5つの理由から、表面実装方式による方法がチップ間光伝送に関して最も適当な構造であると考えられる。
【0007】
第1に、既存のボードシステムをそのまま利用できる構造であること。すなわち、これまで培われてきたボード構造に変更を加えると、性能、信頼性、高周波性能の確認等に膨大な労力を要するためである。よって埋め込み型導波路等、既存のボードを流用できない構造は望ましくないからである。
【0008】
第2に、既存の実装プロセスをそのまま利用できる構造であること。すなわち、はんだリフロー、アンダーフィル樹脂封止等、光素子実装後の高温プロセスを考慮した材料や部品を採用すべきだからである。
【0009】
第3に、大掛かりな構造物を極力排除した構造であること。ボード剛性が低い為、大掛かりな部品による光路構造は、外部応力により光軸ずれを引き起しやすいからである。従って、A−SETのようなポスト構造は避けるべきである。
【0010】
第4に、高密度化が可能である光配線構造であること。すなわち、ボード上のチップ間光配線に特化すると、高密度化が不可能である光ファイバは採用すべきではないと考えられる。光ファイバを用いた光コネクタ接続方式は、ボード間通信に向けたシステムとして考えるべきだからである。
【0011】
第5に、LSIチップ−光素子間の配線長を短くできる構造であること。すなわち、LSI−光素子間の電気配線長を短くできない構造では、高周波信号が光素子に到達する前に劣化し、光変換の効果が無くなるためである。従って、この距離を短くできる構造を構築する必要がある。
【0012】
【非特許文献1】
日経エレクトロニクス、”光配線との遭遇” 2001年12月3 日
【非特許文献2】
安藤泰博、”光インタコネクション技術の動向と次世代装置実装技術”、NTT R&D, vol.48, no.3, pp.271-280(1999)
【非特許文献3】
電子情報通信学会論文誌 C,Vol.J84-C,No.9,pp.745-755,2001年9 月
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際にはこの表面実装方式による高密度アレイ化(100μmピッチ以下)は技術的に困難である。それは、以下のような理由に基づく。
【0014】
光導波路アレイの形成後、45°ミラー面は、円盤ブレードソー等による機械的加工により形成される(非特許文献3参照)。よって、光入出射部となる45°ミラーは連続した直線状の一体面となる。なお、等方エッチング等によるミラー面の選択形成法も検討されているが、精度、安定性等が不十分であり、現時点では量産化不可能とみなされている。
【0015】
上記の製法により、導波路アレイにおける各々の光入出射部は、導波路が延伸する方向である光伝播方向に対し垂直方向の直線配列となる。同様にして、光入出射部に対応する発光素子や受光素子の配列も直線配列になる。
【0016】
この結果、発光素子や受光素子は、隣接する素子との光干渉、素子発熱によるクロストークの悪影響を避けるため、高密度アレイ化が不可能となってしまう。ここで、光干渉とは光が10°程度の広がりをもちつつ進むため、隣接経路に信号干渉することであり、また、素子発熱によるクロストークとは、素子発熱に起因して隣接素子の特性を変化させることをいう。
【0017】
上記の理由により、従来の光配線用導波路は100μmピッチ以下の高密度に集積させることは困難である。
【0018】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、光導波路の高密度化を図ることができる光導波路アレイを提供することにある。
本発明の他の目的は、光干渉や素子発熱によるクロストークを抑えて、光導波路の高密度化を図ることができる光素子表面実装装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の光導波路アレイは、一定方向に延び光入出射部をもつ複数の光導波路が並列に配置されており、各光導波路の前記光入出射部に対応して光電変換素子が配置される光導波路アレイであって、隣接する前記光導波路間で前記光入出射部の位置が延伸方向にずれて形成されている。
【0020】
各光導波路は、隣接する他の前記光導波路に対し逆方向に光を導波する。
【0021】
上記の本発明の光導波路アレイでは、隣接する光導波路間で光入出射部の位置が延伸方向にずれて形成されており、当該各光導波路の光入出射部に対応して光電変換素子が配置される。
従って、並列に配置された各光導波路間の間隔を短くしても、隣接する光導波路間で光入出射部の位置が延伸方向にずれていることから、このずれにより光電変換素子の配置間隔が確保される。
【0022】
さらに、上記の目的を達成するため、本発明の光素子表面実装装置は、基板上に実装された複数の電子素子と、前記基板上に実装され、一定方向に延び光入出射部をもつ複数の光導波路が並列に配置された光導波路アレイと、各光導波路の前記光入出射部に対応して配置された複数の光電変換素子とを有し、前記光導波路アレイは、隣接する前記光導波路間で前記光入出射部の位置が延伸方向にずれて形成され、前記光電変換素子は、各光導波路の前記光入出射部に対応して前記延伸方向にずれて配置されている。
【0023】
前記光電変換素子は、受光素子あるいは発光素子により構成され、並列に配置された各光導波路の一方側の前記光入出射部に対し、前記受光素子および発光素子が交互に配置されている。
【0024】
上記の本発明の光素子表面実装装置では、基板に実装される光導波路アレイにおいて、隣接する光導波路間で光入出射部の位置が延伸方向にずれて形成されており、当該各光導波路の光入出射部に対応して光電変換素子が配置される。
従って、並列に配置された各光導波路間の間隔を短くしても、隣接する光導波路間で光入出射部の位置が延伸方向にずれていることから、このずれにより光電変換素子の配置間隔が確保される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の光導波路アレイおよび光素子表面実装装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
第1実施形態
図1は、本実施形態に係る光素子表面実装装置の概略構成図である。
図1に示す光素子表面実装装置1では、例えばプリント配線板等からなる基板2の表面に複数の半導体チップ(電子素子)3が実装されている。なお、図中、図面の簡略化のため一つの半導体チップ3が実装されている様子を示している。
【0027】
半導体チップ3は、電子回路形成面を基板2に向けて実装されており、半導体チップ3のパッドに接続する導電層4が基板2のパッドに対して、はんだ等からなるバンプ5を介して電気的に接続されている。半導体チップ3の回路形成面と基板2との間は、樹脂6により封止されている。
【0028】
半導体チップ3の回路形成面には、半導体チップ3の回路に接続する発光素子アレイ7および受光素子アレイ8が固着されている。基板2上には、さらに光導波路アレイ9が実装されている。光導波路アレイ9は、発光素子アレイ7および受光素子アレイ8の直下から、図示しない他の半導体チップ3に固着された受光素子アレイ8および発光素子アレイ7の直下にまで延びて配置されている。
【0029】
上記の光素子表面実装装置1は、上述した表面実装方式を採用したものであり、発光素子アレイ7および受光素子アレイ8を半導体チップ3の回路形成面に直接張り付けて機能させている。また、光導波路アレイ9は、基板2上に直接実装されている。このように、既存のボード構造をそのまま維持しつつ、光配線の併設が可能となるものである。本願明細書において、発光素子および受光素子を区別しない場合には、これらを光素子(光電変換素子)と称し、発光素子アレイおよび受光素子アレイを区別しない場合には、これらを光素子アレイと称する。
【0030】
図2(a)は、基板2側から見た発光素子アレイ7および光導波路アレイ9の構成を示す図であり、図2(b)は図2(a)においてX方向から見た側面図である。なお、図2(a)は発光素子アレイ7の構成を一例として示しているが、受光素子アレイ8においても同様であり、また、図2(b)では、上下を反転させて示している。
【0031】
図2(a)に示すように、光導波路アレイ9は、一定方向に延びる光導波路90が並列に複数配置されている。各光導波路90の端部は、図2(b)に示すように45°ミラー面からなる光入出射部90aとなる。本実施形態に係る光導波路アレイ9では、各光導波路90の光入出射部90aが、隣接する他の光導波路90の光入出射部90aに対して延伸方向にずれて形成されている。
【0032】
図2(a)および図2(b)に示すように、発光素子アレイ7は、各光導波路90の光入出射部90aに対応する位置に配置された複数の発光素子71を備える。各発光素子71の間隙には、発光素子71と半導体チップ3との間の電気的接続を行う貫通電極72が配置されている。
【0033】
上記の光導波路アレイの動作について、図3を参照して説明する。
図3(a)は、基板2側から見た発光素子アレイ7、受光素子アレイ8および光導波路アレイ9の概略構成を示す図であり、図3(b)は図3(a)においてX方向から見た側面図であり、図3(c)は図3(a)においてY方向から見た側面図である。
【0034】
一方の半導体チップ3から発信される電気信号が発光素子アレイ7の各発光素子71に入力されると、当該電気信号が光信号に変換されて各発光素子71から光信号として出射される。
出射された光信号は、光導波路アレイ9の対応する一つの光導波路90の光入射部90aに入射し、45°ミラー面から構成される光入出射部90aにおいて反射し、光導波路90が延伸する導波方向に導波され、他方の45°ミラー面からなる光入出射部90aにおいて再び反射して光導波路90の光入出射部90aから出射する。
光導波路90から出射された光信号は、受光素子アレイ8の対応する受光素子81に受光されて電気信号に変換され、他方の半導体チップ3に電気信号として伝送される。
【0035】
次に、上記の本実施形態に係る光導波路アレイおよび当該光導波路アレイを備えた光素子表面実装装置の効果について、図4に示す比較例を参照して説明する。
【0036】
図4(a)は、比較例における基板2側から見た発光素子アレイ7a、受光素子アレイ8aおよび光導波路アレイ9aの配置を示す図であり、図4(b)は図4(a)においてX方向から見た側面図であり、図4(c)は図4(a)においてY方向から見た側面図である。
【0037】
図4に示す比較例の光導波路アレイ9aは、一定方向に延び光入出射部90aをもつ複数の光導波路90が並列に配置されており、各光導波路90の光入出射部90aの位置が延伸方向において揃っている。従来の光導波路アレイの製造方法において、円板ブレードソーなどによる機械的加工により45°ミラー面を形成する場合、図4に示す比較例のように、光導波路アレイ9aにおける各光導波路90の光入出射部90aは直線配列となり、これに対応して発光・受光素子の配列も直線配列となる。
【0038】
すなわち、図4に示す光導波路アレイ9aでは、光導波路90aの並ぶ配列ピッチと同じピッチで、発光素子アレイ7aの発光素子71や受光素子アレイ8aの受光素子81が配列することとなる。
【0039】
この結果、光素子71,81は、隣接する光素子71,81との光干渉、素子発熱によるクロストークの悪影響を避けるため、高密度アレイ化が不可能となってしまう。ここで、光干渉とは光が10°程度の広がりをもちつつ進むため、隣接経路に信号干渉することであり、また、素子発熱によるクロストークとは、素子発熱に起因して隣接素子の特性を変化させることをいう。
上記の理由により、従来の光配線用導波路は100μmピッチ以下の高密度に配列させることは困難となる。
【0040】
これに対して、本実施形態に係る光導波路アレイ9では、図2に示すように、各光導波路90の光入出射部90aが、隣接する他の光導波路90の光入出射部90aに対して延伸方向にずれて形成されている。図2に示す例では、5本の光導波路90を一単位として、繰り返し配列している。
【0041】
すなわち、図2に示す本実施形態に係る光導波路アレイ9では、光導波路90の延伸方向において配列する発光素子71同士のピッチd1は、上記の延伸方向のずれ量だけの大きさとなる。例えば、隣接する光導波路90の光入出射部90aを延伸方向において100μmだけずらした場合には、ピッチd1は100μmとなる。これは、受光素子81においても同様である。
【0042】
また、光導波路90の配列方向に並ぶ発光素子71のピッチd2は、5本の光導波路90の配列ピッチの合計分だけの大きさとなる。例えば、各光導波路90が20μmの配列ピッチで配列している場合には、ピッチd2は、100μmとなる。
【0043】
このように、各光導波路90の光入出射部90aが、隣接する他の光導波路90の光入出射部90aに対して延伸方向にずれて形成されていることにより、当該光入出射部90aに対応して配置される光素子71,81を二次的に配置することができ、光素子71,81を100μmピッチ程度で配置しながら、光導波路90を20μmピッチにまで集積することが可能となっている。
【0044】
以上のように、本実施形態に係る光導波路アレイおよび光素子表面実装装置によれば、光素子71,81の距離を光干渉や素子発熱によるクロストークの影響を避けるためのピッチで配列させつつ、光導波路90の集積度を向上させることが可能となる。
【0045】
また、光導波路90を高集積化させつつ、光素子71,81を二次元的に配列することにより、無駄なスペースが無くなり、一素子当たりの基板専有面積を削減することができる。このため、コストダウンを図ることができる。
【0046】
さらに、光素子71,81と貫通電極72を交互に配置することが可能になり、熱伝達率の大きい貫通電極72の存在により隣接する光素子との素子発熱によるクロストークの影響を低減することが可能となる。
【0047】
次に、上記の光導波路アレイの製造方法について、図5〜図8を参照して説明する。図5〜図8は、図3(a)のA−A’線の位置に相当する断面図である。
【0048】
最初に、以下のようにして、光導波路アレイ9を製造するための金型を製造する。
まず、図5(a)に示すように、基板10上に感光性樹脂層11を形成する。感光性樹脂層11を構成する感光性樹脂としては、例えばPMMA(ポリメチルメタクリレート)を用いることができる。感光性樹脂層11の膜厚は、形成する光導波路の高さに相当し、例えば10μm程度とする。
【0049】
次に、図5(b)に示すように、感光性樹脂層11の近傍に、各光導波路のパターンで開口するマスクMを設置する。
【0050】
次に、図5(c)に示すように、マスクMを用いて、感光性樹脂層11の表面に対して垂直にシンクロトロン放射光SRを入射させて感光性樹脂層11を露光する。これにより、感光性樹脂層11に露光領域11aと未露光領域11bが形成される。
【0051】
次に、図6(d)に示すように、形成する光導波路の一方の導波方向側にシンクロトロン放射光SRの入射角θを倒し、マスクMを用いて、感光性樹脂層11の表面に対して約45°の角度でシンクロトロン放射光SRを入射させて感光性樹脂層11を露光する。実際には、シンクロトロン放射光SRに対して基板10側を調整して行う。
光導波路の一方の端部に相当する位置におけるマスクMの下部にまでシンクロトロン放射光が回り込み、この部分での露光領域11aと未露光領域11bの境界は、感光性樹脂層11の表面に対して斜めに45°傾けられて明瞭に形成される。
【0052】
次に、図6(e)に示すように、図6(d)に示す工程と同様にして、形成する光導波路の他方の導波方向側にシンクロトロン放射光SRの入射角θを倒し、マスクMを用いて、感光性樹脂層11の表面に対して約45°の角度でシンクロトロン放射光SRを入射させて感光性樹脂層11を露光する。
光導波路の他方の端部に相当する位置におけるマスクMの下部にまでシンクロトロン放射光が回り込み、この部分での露光領域11aと未露光領域11bの境界は、感光性樹脂層11の表面に対して先とは逆の方向に斜めに45°傾けられて明瞭に形成される。
【0053】
次に、図6(f)に示すように、所定の現像液による現像処理を行い、感光性樹脂層11の感光した部分(露光領域11a)を除去する。この結果、未露光領域11bのみが残され、露光領域11aにおける感光性樹脂層が除去された部分に開口部が形成される。
【0054】
次に、図7(g)に示すように、例えばニッケル電鋳メッキ処理などにより、感光性樹脂層11が除去されて形成された開口部内にニッケルなどの金属を堆積させ、金属層12を堆積させる。
【0055】
次に、図7(h)に示すように、感光性樹脂層11の感光していない部分(未露光領域11b)を除去する。この結果、基板10上に光導波路と同一の形状の金属層12が複数形成された光導波路アレイを製造するための金型MM(マスタスタンパ)が得られる。
金型MMにおいて、各光導波路の45°ミラー面となる面は、シンクロトロン放射光SRを斜めに45°傾けて露光したときに形成された面が転写されて形成された面である。
【0056】
次に、以下のようにして、金型MM(マスタスタンパ)から光導波路アレイを製造する。
まず、図7(i)に示すように、例えばニッケル電鋳メッキ処理などにより、基板10および金属層12上にマザースタンパ13を形成する。マザースタンパ13の表面には、金属層12による凸部が転写されて凹部が形成される。
【0057】
次に、図8(j)に示すように、基板10および金属層12からなる金型MM(マスタスタンパ)からマザースタンパ13を離型する。
金属層12とマザースタンパ13の界面に予め酸化被膜などを形成しておくことで、両者の界面での剥離をしやすくすることができる。
【0058】
次に、図8(k)に示すように、上記で得られたマザースタンパ13を射出成形キャビティ内に固定し、このキャビティ内に、例えば溶融状態のPMMAなどの有機材料を射出して、マザースタンパ13の凹部が転写された光導波路を複数有する光導波路アレイ9を形成する。
【0059】
次に、図8(l)に示すように、マザースタンパ13から光導波路アレイ9を離型する。光導波路アレイ9は、図3(a)〜(c)に示す構成であり、複数の光導波路90が形成され、各光導波路90の両端に45°ミラー面からなる光入出射部90aが設けられた構成となっている。
各光導波路90において、45°ミラー面からなる光入出射部90aは、シンクロトロン放射光SRを斜めに45°傾けて露光したときに形成された面が転写されて形成された面である。
【0060】
上記の本実施形態に係る光導波路アレイの製造方法において用いているシンクロトロン放射光は、光速に近いスピードで運動する電子の軌道が磁場により曲げられたときに放射される、赤外から紫外、X線に広い波長分布を持った電磁波である。
上記のシンクロトロン放射光の光源としては、軌道の直径が数kmの大型の装置から数mの小型の装置まで用いることができる。
【0061】
シンクロトロン放射光は、例えばレーザ光と比較して強度が低いがエネルギーの高い光となっており、厚さが10μm程度の感光性樹脂層11を基板10に達する位置まで完全に露光することができ、基板に対して逆テーパ状の開口部を高精度に形成することができる。
シンクロトロン放射光ではなく、半導体レーザやその他の通常の光源を用いて露光すると、10μm程度の厚さのために、感光性樹脂層11を基板10に達する位置まで完全に露光することはできない。
【0062】
以上のように、本実施形態に係る光導波路アレイの製造方法によれば、従来のような円板ブレードソーなどによる機械的加工により45°ミラー面を形成する方法では困難であった、延伸方向に光入出射部90aをずらしたような微細で複雑な光導波路アレイ9を容易に形成することが可能である。この結果、上述したように、光導波路90の高密度集積化に寄与することができ、これを備えた光素子表面実装装置による大容量の光伝送の実現に寄与することができる。
【0063】
また、本実施形態に係る光導波路アレイの製造方法では、高価な円板ブレードソーなどによる機械的加工工程は不要であり、製造コストを低下させることができる。
【0064】
第2実施形態
本実施形態に係る光導波路アレイおよび光素子表面実装装置について、図9を参照して説明する。本実施形態に係る光素子表面実装装置の概略構成については、図1に示す第1実施形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0065】
図9(a)は、基板2側から見た発光素子アレイ、受光素子アレイおよび光導波路アレイの概略構成を示す図であり、図9(b)は図9(a)においてX方向から見た側面図であり、図9(c)は図9(a)においてY方向から見た側面図である。
【0066】
本実施形態に光導波路アレイ9では、図9に示すように、各光導波路90−1,90−2の光入出射部90aが、隣接する他の光導波路90−2,90−1の光入出射部90aに対して延伸方向にずれて形成されている。本実施形態では、光入出射部90aの位置がずれた2つの第1の光導波路90−1および第2の光導波路90−2を一単位として、繰り返し配列されている。
【0067】
各光導波路の延伸方向の一方側において、第1の光導波路90−1の光入出射部90aに対応して配置された発光素子71を複数有する発光素子アレイ7−1と、第2の光導波路90−2の光入出射部90aに対応して配置された受光素子81を複数有する受光素子アレイ8−2が配置されている。
【0068】
各光導波路の延伸方向の他方側において、第1の光導波路90−1の光入出射部90aに対応して配置された受光素子81を複数有する受光素子アレイ8−1と、第2の光導波路90−2の光入出射部90aに対応して配置された発光素子71を複数有する発光素子アレイ7−2が配置されている。
【0069】
すなわち、本実施形態に係る光導波路アレイ9では、並列に配置された各光導波路90−1,90−2に対し、発光素子71および受光素子81が交互に配置されている。そのため、各光導波路90−1,90−2は、互いに隣接する他の光導波路90−2,90−1に対し逆方向に光を導波する。
【0070】
次に、上記の本実施形態に係る光導波路アレイおよび当該光導波路アレイを備えた光素子表面実装装置の効果について、図10に示す比較例を参照して説明する。
【0071】
図10(a)は、比較例における基板2側から見た発光素子アレイ、受光素子アレイおよび光導波路アレイの配置を示す図であり、図10(b)は図10(a)においてX方向から見た側面図であり、図10(c)は図10(a)においてY方向から見た側面図である。
【0072】
図10に示す比較例の光導波路アレイ9aは、一定方向に延び光入出射部90aをもつ複数の光導波路90−1,90−2が並列に配置されており、各光導波路90の光入出射部90aの位置が延伸方向において揃っている。
【0073】
図中上から6つの第1の光導波路90−1の延伸方向における一方側には、光入出射部90aに対応して配置された発光素子71を複数有する発光素子アレイ7−1aが配置されており、他方側には、光入出射部90aに対応して配置された受光素子81を複数有する受光素子アレイ8−1aが配置されている。すなわち、第1の光導波路90−1は、図中左から右へ光を導波する。
【0074】
図中下から6つの第2の光導波路90−2の延伸方向における一方側には、光入出射部90aに対応して配置された受光素子81を複数有する受光素子アレイ8−2aが配置されており、他方側には、光入出射部90aに対応して配置された発光素子71を複数有する受光素子アレイ7−2aが配置されている。すなわち、第2の光導波路90−2は、図中右から左へ光を導波する。
【0075】
図10に示す比較例のように、発光素子アレイ7−1a,7−2aおよび受光素子アレイ8−1a,8−2aを配置した場合には、以下の問題がある。
すなわち、上記の発光素子アレイ7−1aおよび受光素子アレイ8−2aがペアとなって一方の半導体チップに貼り付けられ、発光素子アレイ7−2aおよび受光素子アレイ8−1aがペアとなって他方の半導体チップに貼り付けられることとなる。
【0076】
半導体チップの特定の回路の入力パッドに接続されるのが例えば図10のC部の光入出力部90aに対応して配置された受光素子81であるとすると、出力パッドに接続されるのが例えば図10のD部の光入出力部90aに対応して配置された発光素子となる。
【0077】
半導体チップの特定の回路に接続する入出力パッドは近接配置されている場合が多いことから、一つの回路の入出力パッドに対応する発光素子71および受光素子81の位置が離れていると、半導体チップの入出力パッドと発光素子あるいは受光素子を接続するための電気結線距離が長くなってしまい、高周波対策が困難になるという問題がある。
【0078】
これに対して、本実施形態では、並列に配置された各光導波路90−1,90−2に対し、発光素子71および受光素子81が交互に配置されていることから、例えば、半導体チップの特定の回路に接続する入出力パッドに対応する発光素子71および受光素子81の位置は、図9のB部に示すように近接配置されていることから、電気配線の長さを短くすることができ、高周波対策が容易になるという効果がある。その他、第1実施形態と同様の効果も有する。
【0079】
第3実施形態
本実施形態に係る光導波路アレイおよび光素子表面実装装置について、図11を参照して説明する。本実施形態に係る光素子表面実装装置の概略構成については、図1に示す第1実施形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0080】
図11(a)は、基板2側から見た発光素子アレイ、受光素子アレイおよび光導波路アレイの概略構成を示す図であり、図11(b)は図11(a)においてX方向から見た側面図であり、図11(c)は図11(a)においてY方向から見た側面図であり、図11(d)は受光素子アレイにおける受光素子の配置および発光素子アレイにおける発光素子の配置を示す図である。
【0081】
本実施形態では、第1実施形態と第2実施形態との構成を複合した構成となっている。
すなわち、第2実施形態と同様に、本実施形態に係る光導波路アレイ9では、並列に配置された各光導波路90に対し、発光素子71および受光素子81が交互に配置されている。そのため、各光導波路90は、互いに隣接する他の光導波路に対し逆方向に光を導波する。
【0082】
さらに、第1実施形態と同様に、各光素子アレイ7−1,7−2,8−1,8−2における光素子71,81は、図11(d)に示すように、隣り合う他の光素子71,81に対し、光導波路90の延伸方向にずれて配置されている。
【0083】
上記の本実施形態に係る光導波路アレイおよび光素子表面実装装置によれば、図9に示すように各光素子アレイにおいて光素子が直線的に配列している場合に比べて、光素子間のピッチを大きくとることができることから、上述した第2実施形態の効果を維持しつつ、光素子間の距離を光干渉や素子発熱によるクロストークの影響を避けるためのピッチで配列させることができることから、光導波路90の集積度を向上させることが可能となる。
その他、第1実施形態の効果を奏することができる。
【0084】
本発明は、上記の実施形態の説明に限定されない。
例えば、光導波路アレイの形状や構成等は、光導波路の入出力部が延伸方向にずれている限りにおいて、その他種々の形態を採用することができる。また、光導波路アレイを構成する光学材料は例示したもの以外のものを用いることができる。
さらに、上述した光導波路アレイの製造方法は、上記構成の光導波路アレイを製造するための一例であり、これに限定されるものではない。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0085】
【発明の効果】
本発明の光導波路アレイによれば、光導波路の高密度化を図ることができる。また、本発明の光素子表面実装装置によれば、光干渉や素子発熱によるクロストークを抑えて、光導波路の高密度化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る光素子表面実装装置の概略構成図である。
【図2】図2(a)は、第1実施形態における基板側から見た発光素子アレイおよび光導波路アレイの構成を示す図であり、図2(b)は図2(a)においてX方向から見た側面図である。
【図3】図3(a)は、第1実施形態における基板側から見た発光素子アレイ、受光素子アレイおよび光導波路アレイの概略構成を示す図であり、図3(b)は図3(a)においてX方向から見た側面図であり、図3(c)は図3(a)においてY方向から見た側面図である。
【図4】図4(a)は、比較例における基板側から見た発光素子アレイ、受光素子アレイおよび光導波路アレイの配置を示す図であり、図4(b)は図4(a)においてX方向から見た側面図であり、図4(c)は図4(a)においてY方向から見た側面図である。
【図5】本実施形態に係る光導波路アレイを製造するための金型の製造方法を示す工程断面図である。
【図6】本実施形態に係る光導波路アレイを製造するための金型の製造方法を示す工程断面図である。
【図7】本実施形態に係る光導波路アレイを製造するための金型の製造方法を示す工程断面図である。
【図8】本実施形態に係る光導波路アレイを製造のための工程断面図である。
【図9】図9(a)は、第2実施形態における基板側から見た発光素子アレイ、受光素子アレイおよび光導波路アレイの概略構成を示す図であり、図9(b)は図9(a)においてX方向から見た側面図であり、図9(c)は図9(a)においてY方向から見た側面図である。
【図10】図10(a)は、比較例における基板側から見た発光素子アレイ、受光素子アレイおよび光導波路アレイの配置を示す図であり、図10(b)は図10(a)においてX方向から見た側面図であり、図10(c)は図10(a)においてY方向から見た側面図である。
【図11】図11(a)は、第3実施形態における基板側から見た発光素子アレイ、受光素子アレイおよび光導波路アレイの概略構成を示す図であり、図11(b)は図11(a)においてX方向から見た側面図であり、図11(c)は図11(a)においてY方向から見た側面図であり、図11(d)は受光素子アレイにおける受光素子の配置および発光素子アレイにおける発光素子の配置を示す図である。
【符号の説明】
1…光素子表面実装装置、2…基板、3…半導体チップ、4…導電層、5…バンプ、6…樹脂、7,7−1,7−2…発光素子アレイ、8,8−1,8−2…受光素子アレイ、9…光導波路アレイ、10…基板、11…感光性樹脂、11a…露光領域、11b…未露光領域、12…金属層、13…マザースタンパ、71…発光素子、72…貫通電極、81…受光素子、90,90−1,90−2…光導波路、90a…光入出射部、M…マスク、SR…シンクロトロン放射光、d1,d2…ピッチ。
Claims (4)
- 一定方向に延び光入出射部をもつ複数の光導波路が並列に配置されており、各光導波路の前記光入出射部に対応して光電変換素子が配置される光導波路アレイであって、
隣接する前記光導波路間で前記光入出射部の位置が延伸方向にずれて形成されている
光導波路アレイ。 - 各光導波路は、隣接する他の前記光導波路に対し逆方向に光を導波する
請求項1記載の光導波路アレイ。 - 基板上に実装された複数の電子素子と、
前記基板上に実装され、一定方向に延び光入出射部をもつ複数の光導波路が並列に配置された光導波路アレイと、
各光導波路の前記光入出射部に対応して配置された複数の光電変換素子とを有し、
前記光導波路アレイは、隣接する前記光導波路間で前記光入出射部の位置が延伸方向にずれて形成され、
前記光電変換素子は、各光導波路の前記光入出射部に対応して前記延伸方向にずれて配置されている
光素子表面実装装置。 - 前記光電変換素子は、受光素子あるいは発光素子により構成され、
並列に配置された各光導波路の一方側の前記光入出射部に対し、前記受光素子および発光素子が交互に配置されている
請求項3記載の光素子表面実装装置。
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