JP2004198561A - レジスト樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】伸び、耐屈曲性が良好で、耐冷熱衝撃性、耐マイグレーション性等に優れたレジスト樹脂組成物を得る。
【解決手段】多官能性シアン酸エステル化合物を分子内に反応で取り込んだ不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いて得られた不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂を用い、添加剤として、1官能エポキシ樹脂、エチレン性不飽和モノマー、光重合開始剤を必須成分として配合し、更には中に弾性を有すする樹脂の最外層がガラス質又は無機質層を有する多重構造の球状粉体、加えてウレタン変性アクリレートてレジスト樹脂組成物とする。
【効果】低弾性率で、伸びが大きく、耐屈曲性、耐冷熱衝撃性、耐マイグレーション性等に優れたレジスト樹脂組成物が得られた。

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明のレジスト樹脂組成物は、導体回路を形成したプリント配線板等の表面に塗布し、必要により加熱して溶剤を除去した後、光硬化するか、或いは光で選択的に露光して硬化させ、未硬化部分を現像除去した後、熱で後硬化して得られるもので、CSP(チップスケールパッケージ)、P-BGA、ポリイミドフィルム等のプリント配線板用永久保護皮膜、カバーレイ等として使用する。
【0002】
【従来の技術】
従来、低弾性率、高伸びとする手法は、ウレタンアクリレートやゴム等の低弾性の樹脂を配合し、全体の弾性率を下げる方法(例えば、特許文献1参照。)、不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂の分子内に低弾性率を有する樹脂を反応で取り込み、低弾性率としたもの(例えば、特許文献2参照。)が殆どであった。これらを用いて得られたレジストは、液状の樹脂を多く使うために溶剤を乾燥除去した場合にも表面のタック性が大きく、露光用フィルムが樹脂面に付着して不良の原因になる等の作業性が悪く、又、硬化物は耐熱性、弾性率、屈曲性も今一歩であり、更には耐冷熱衝撃性等に劣るものであった。
【0003】
加えて、UV選択熱硬化型レジストの場合には、現像性が劣る等の欠点を生じ、問題のあるものであり、従来のレジスト樹脂組成物で、伸び、弾性率、屈曲性に優れ、且つ耐熱性、耐冷熱衝撃性等に優れたレジスト樹脂組成物は見られなかった。
【0004】
【特許文献1】特開平8−41167号公報
【特許文献2】特開2000−171973号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の問題点を解決した、低弾性率、高伸びを有し、耐冷熱衝撃性、耐熱性、屈曲性にも優れたレジスト樹脂組成物を提供する。
【0006】
【発明が課題を解決するための手段】
本発明は、レジスト樹脂組成物成分として、
(a)エポキシアクリレート100重量部と多官能性シアン酸エステル化合物5〜40重量部との反応生成物に、多塩基酸無水物10〜90重量部を反応させた、酸価40〜200mgKOH/g の不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂及び、
(b)式(1)で示されるエポキシ樹脂
【化3】
Figure 2004198561
(式中、Rは-CH2-、又は-C(CH3)2- を示し、Zは水素原子、又は
【化4】
Figure 2004198561
を示し、nは1〜10の数である。但し、nが1の場合はZは水素原子を示す。nが2以上の場合はZは少なくとも1個は水素原子を示す)
を用いて得られるエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂、
(c)1官能以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、
(d)エチレン性不飽和モノマー、
(e)光重合開始剤
を必須成分として含有するレジスト樹脂組成物を用いる。更に、該レジスト樹脂組成物に、(f)内側の層にゴム弾性を有する樹脂層が存在し、最外層をガラス質樹脂層又は無機質層で被覆された多重構造の球状粉体を配合することにより、伸び、耐冷熱衝撃性等を大きく改善する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のレジスト樹脂組成物成分として使用されるもので、アルカリ性溶液で現像できる成分(a)として、エポキシアクリレート100重量部に多官能性シアン酸エステル化合物5〜40重量部反応させた樹脂に多塩基酸無水物10〜90重量部反応させた、酸価40〜200mgKOH/g、好適には酸価50〜160mgKOH/gの不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂が使用される。高密度のプリント配線板の永久保護皮膜としては、耐熱性、耐マイグレーション性等が問題となるため、多官能性シアン酸エステル化合物を分子内に取り込んだ不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂が好適に使用される。
【0008】
本発明の好適な樹脂成分である多官能性シアン酸エステル化合物とは、分子内に2個以上のシアナト基を有する化合物である。具体的に例示すると、1,3-又は1,4-ジシアナトベンゼン、1,3,5-トリシアナトベンゼン、1,3-、1,4-、1,6-、1,8-、2,6-又は2,7-ジシアナトナフタレン、1,3,6-トリシアナトナフタレン、4,4-ジシアナトビフェニル、ビス(4-ジシアナトフェニル)メタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモー4-シアナトフェニル)プロパン、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、ビス(4-シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアナトフェニル)スルホン、トリス(4-シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4-シアナトフェニル)ホスフェート、およびノボラックとハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類などである。
【0009】
これらのほかに特公昭41-1928、同43-18468、同44-4791、同45-11712、同46-41112、同47-26853及び特開昭51-63149等に記載の多官能性シアン酸エステル化合物類、シアナト化ポリフェニレンエーテル樹脂等も用いられ得る。更には分子内に臭素、リンを含有する公知のシアン酸エステル樹脂も使用できる。又、1官能のシアン酸エステル化合物も併用できる。これら多官能性シアン酸エステル化合物のシアナト基の三量化によって形成されるトリアジン環を有する分子量400〜6,000 のモノマーとプレポリマーの混合物が使用される。このプレポリマーは、上記の多官能性シアン酸エステルモノマーを、例えば鉱酸、ルイス酸等の酸類;ナトリウムアルコラート等、第三級アミン類等の塩基;炭酸ナトリウム等の塩類等を触媒として重合させることにより得られる。このプレポリマー中には一部未反応のモノマーも含まれており、モノマーとプレポリマーとの混合物の形態をしており、このような原料は本発明の用途に好適に使用される。一般には可溶な有機溶剤に溶解させて使用する。
【0010】
本発明の多官能性シアン酸エステル化合物を分子内に取り込んだ不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(a)において、原料として使用するエポキシアクリレートは、エポキシ樹脂とアクリル酸との反応物である。例えば、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ビスフェノールF型エポキシアクリレート、ビフェノール・エポキシアクリレート、テトラメチルビフェノール・エポキシアクリレート、ヘキサメチルビフェノール・エポキシアクリレート、キシレンノボラック・エポキシアクリレート等であり、これらは1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。
【0011】
本発明の(a)成分の酸変性の反応に使用する多塩基酸無水物としては、1分子内に2個以上の無水カルボン酸を有する一般に公知の酸無水物が使用され得る。具体的には、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ナフタレンー1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、その他無水酸を分子内に有するもの、これらの1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。
【0012】
本発明のエポキシアクリレートと多官能性シアン酸エステル化合物を反応する条件は特に限定しないが、一般的には、エポキシアクリレート100重量部に対し、多官能性シアン酸エステル化合物を5〜40重量部、好ましくは10〜30重量部用いて変性させる。反応温度は、50〜100℃、反応時間5〜100時間である。反応時の粘度調整のために溶剤を使用することができる。使用する溶剤は特に限定はしないが、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアセテート類;ソルベントナフサ、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が、単独或いは2種以上組み合わせて使用され得る。
【0013】
次に、この樹脂を多塩基酸無水物でカルボン酸変性を行う。変性量は、前述のエポキシアクリレーと100重量部に多官能性シアン酸エステル化合物5〜40重量部反応させて変性したものに、多塩基酸無水物を10〜90重量部反応させて変性を行う。変性後に、得られた樹脂は、酸価が40〜200mgKOH/g 、好ましくは50〜160mgKOH/g とする。この場合も、粘度調整のために溶剤を使用することが可能である。具体的には、上記溶剤、更にはプロピレングリコールものメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエステル類が使用される。光選択熱硬化型レジストとする場合、使用量は樹脂組成物中20〜90重量%、好ましくは25〜80重量%とする。
【0014】
本発明では、更に柔軟性を有するエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂を併用する。即ち式(1)で示されるエポキシ樹脂を用いて得られるエポキシ基含有ポリカルボン酸を用いる。
【化5】
Figure 2004198561
(式中、Rは-CH2-、又は-C(CH3)2- を示し、Zは水素原子、又は
【化6】
Figure 2004198561
を示し、nは1〜10の数である。但し、nが1の場合はZは水素原子を示す。nが2以上の場合はZは少なくとも1個は水素原子を示す)
【0015】
本発明の(b)成分のエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂は、好適には、式(1)で示されるエポキシ樹脂の水酸基に(f)多塩基酸無水物を反応して得られたエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂を用いる。本発明の式(1)のエポキシ樹脂と反応させる(f)多塩基酸無水物は、上記のものが使用される。
【0016】
式(1)と多塩基酸無水物との反応は、前記式(1)のエポキシ樹脂の水酸基1当量に対して多塩基酸無水物を0.3〜1.0当量反応させるのが好ましい。反応時に希釈溶剤として、例えばメチルエチルケトン、トルエン、キシレン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル等の溶剤を使用するのが好ましい。反応温度は、好適には60〜150℃であり、時間は1〜10時間が好ましい。
【0017】
本発明で使用される上記エポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂の酸価は、好ましくは、酸価30〜130mgKOH/g、更に好ましくは酸価40〜110mgKOH/gである。使用量は、好適には樹脂中15〜90重量%、更に好ましくは20〜70重量%である。
【0018】
本発明の(c)1官能以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂は、公知のものが使用できる。1官能エポキシ樹脂とは、分子内に1官能のエポキシ基を有するエポキシ化合物であり、具体的には、日本化薬(株)製の商品名BROC-C、BROC-Y、BR-250H、ダイセル化学工業(株)製の商品名AOE、β-メチルエピクロルヒドリン、α-ピネンオキサイド、STO、サイクロマーA200(脂環式エポキシ基含有アクリル酸エステル、CHXO(シクロヘキセンオキサイド)、セロキサイド2000(ビニル基を有する脂環式モノエポキサイド)、ナガセ化成のデナコールEX121、デナコールEX192(アルキルモノグリシジルエーテル)、デナコールEX141(フェニルグリシジルエーテル)、デナコールEX145(エチレングリコールモノグリシジルエーテル)、デナコールEX146(p-tert-ブチルフェノールグリシジルエーテル)、デナコールEX111(アリルグリシジルエーテル)、デナコールEX731(N-グリシジルフタルイミド)、ジャパンエポキシレジンのBGE, YDE111,ヘロキシ8,ヘロキシ9、ヘロキシ116(アルキルモノグリシジルエーテル)、YDE122(0-sec-ブチルフェノールグリシジルエーテル、カージュラE10(第3級脂肪族モノグリシジルエステル)、ヘロキシ62(0-クレゾールグリシジルエーテル)、東都化成のネオトートE(第3級脂肪族モノグリシジルエステル),PP101(p-sec-ブチルグリシジルエーテル)等が挙げられる。1官能エポキシ樹脂はこれらに限定されるものではない。使用量は上記ポリカルボン酸樹脂(a+b)100重量部に対し0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部である。
【0019】
これらの他にエポキシ基を2個以上有する公知のエポキシ樹脂が使用される。具体的には、室温で固形或いは液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、ゴム変性エポキシ樹脂等が挙げられ、1種又は2種以上が組み合わせて使用される。又、これらの公知の臭素、リン含有エポキシ樹脂が適宜配合される。配合量は種類、目的とする特性、用途によって異なるが、一般に樹脂組成物中に、好ましくは0〜40重量%、更に好ましくは2〜35重量%配合して使用する。
【0020】
本発明の(d)エチレン性不飽和モノマーとは、分子内にエチレン性不飽和二重結合を有する光重合性化合物であり、これを添加して、光硬化速度、架橋密度等を向上することが好ましい。具体的には2価以上のアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。この2価以上のアルコール類としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10-デカンジオール、シクロヘプタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のポリエチレングリコール類;ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール類;キシレンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ビフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリットール、ジペンタエリスリットール、トリペンタエリスリットール、ソルビトール、グルコース、ブタントリオール、1,2,6-トリヒドロキシヘキサン、1,2,4-ベンゼントリオール、ゴム変性アクリレート等が挙げられる。これらは不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(a+b)100重量部に対し、好ましくは1〜40重量部、更に好ましくは3〜30重量部使用する。これらは目的とする特性等で適宜、1種或いは2種以上が配合される。
【0021】
また、アリル化合物、例えばアジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等のポリアリルエステル類、ポリスルホン酸のポリアリルエステル類、ジアリルエーテル、トリアリルイソシアヌレート等も用いられる。更に、例えばジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、ジビニルフタレート、ジビニルテレフタレート等のポリビニル化合物も併用できる。これらの2重結合を有する化合物は、1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。
【0022】
本発明の(gの多重構造を有する球状粉体とは、中央部にゴム質の層を有する球状の樹脂を使用し、最外層にガラス質の樹脂或いは無機の層が被服されて多重になっているものを言う。弾性を有する樹脂は、中に少なくとも1層以上存在し、最外層はガラス質の樹脂或いは無機質の層で被服された、全体として球状の粉体である。樹脂組成物全体の弾性率を下げ、伸びを大きくするためには、例えば中央の球状の樹脂をゴム弾性のあるアクリルゴム、ポリブタジエンゴム等を使用し、その外の層である最外層をガラス質の樹脂或いは無機質で被覆した2重以上の構造となったものが使用される。もちろん、中心部が球状のガラス状樹脂、その外側がゴム状樹脂層、最外層がガラス質樹脂或いは無機質層という構造のものも使用できる。
【0023】
ゴム状の樹脂は、特に限定しないが、好適にはアクリルゴム、その共重合体、ポリブタジエンゴム、その共重合体等が使用される。また外層部の無機質も特に限定はなく、シリカ、アルミナ、タルク等で被服された粉体が使用される。外層のガラス質樹脂とは、一般に公知の硬質の樹脂が挙げられる。例えば、エポキシ樹脂、多官能性シアン酸エステル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシアクリレート樹脂等、一般に公知のものが使用できる。更にこの樹脂は、分子内にカルボキシル基を持つもの、エポキシ基を持つもの等を好適に使用することにより、配合樹脂との結合が得られ、耐薬品性等に優れたものが得られる。。
【0024】
無機質層を被覆した粉体は、これを配合すると、粉体を多量に配合した場合でも大きく硬度を落とさない塗膜が形成できる。
【0025】
多重構造にしてあることにより、配合した樹脂と多重構造の最外層の無機質はカップリング剤の官能基と反応し、引っ張り等の機械的強度にも優れ、弾性率が低く、伸びにも優れた樹脂組成物が得られる。又、一般のゴム弾性を有するゴム粉体は、溶剤中に分散した場合、溶剤に溶解するか膨潤してブロッキングを起こし、均一に分散するのが非常に困難である。本発明で使用する、最外層に無機質或いはガラス質樹脂の層を有する多重構造の粉体は、溶剤に対して耐性が良好で、配合分散時にブロッキングがしにくく、均一に分散でき、特性のばらつきが極めて少ないものが得られる。平均粒子径は、特に限定はないが、均一分散、現像性等の点から、本発明では平均粒子径が0.1〜20μmのものが好ましい。
【0026】
中心部の球状の樹脂は、一般に公知の重合法で得られる。例えば、乳化重合、懸濁重合、溶液重合等で所定の大きさの球状の樹脂を作る。この外側に、目的とするガラス質樹脂層或いは無機質層を被覆する。被服する方法は一般に公知の方法が使用できる。例えば、ゾルゲル法などの比較的樹脂が変質しない環境下での被服等が使用できる。本発明の多重構造の球状粉体は、添加量は特に限定はないが、本来の樹脂組成物の特性を大きく変えない量が好ましい。使用量は、不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂100重量部に対し、1〜80重量部、好適には5〜70重量部を使用する。
【0027】
本発明の(h)成分である、ウレタン変性(メタ)アクリレートは公知のものが使用される。具体的にはU200AX(新中村化学)等が挙げられる。使用量は、不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂100重量部に対して、好適には1〜20重量部、更に好適には2〜15重量部である。
【0028】
本発明の(e)成分である、光重合開始剤は一般に公知のものが使用できる。具体的には2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4'-ジクロロベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類;ベンジイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-メチル-1-〔4−(メチルチオ)フェニル〕- 2-モルフォリノ- プロパン-1-オン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;等が挙げられ、1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。
【0029】
更に上記光重合開始剤にN,N-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ベンチル4-ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の代3級アミン類のような光増感剤を1種或いは2種以上組み合わせ配合して用いることができる。光重合開始剤の使用量は、ポリカルボン酸100重量部に対し、好ましくは0.5〜30重量部、更に好ましくは1〜20重量部である。二重結合を有する成分を添加した場合には、これを反応させるための光重合開始剤を更に添加し得る。
【0030】
又、エポキシ基を反応させるには、カチオン系光重合開始剤を加える。例えば芳香族スルホニウム塩、η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)[(1,2,3,4,5,6-η)-(1-メチルエチル)ベンゼン]-アイアン(1+)-ヘキサフルオロフォスフェート(1-)等の鉄の錯体等、一般に公知の光重合開始剤の1種或いは2種以上が、ポリカルボン酸樹脂100重量部に対し0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部である。又、エポキシ化合物を配合した場合には、必要により更に光重合開始剤を添加し得る。
【0031】
本発明のレジスト組成物は、それ自体は現像後に加熱により硬化するが、硬化速度が遅く、作業性、経済性等に劣るため使用した熱硬化性樹脂に対して公知の硬化剤を用い得る。エポキシ樹脂を添加した場合は、例えば、2MZ、2E4MZ、2PHZ、2PZ、C11Z、C17Z、2E4MZ-CN、2PZ-CNS、MA-OK、2P4MHZ等のイミダゾール類;ベンゾグアナミン等のグアナミン類;ジシアンジアミド、メラミンなそのポリアミン類;トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N-ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、ヘキサ(N-メチル)メラミン、テトラメチルグアニジン、m-アミノフェノール等の第3級アミン類;ポリビニルフェノール等のノボラック類;トリブトルホスフィン、トリフェニルホスフィン、等の有機ホスフィン類;アミンアダクト型硬化剤等のアダクト類等を1種或いは2種以上配合する。使用量は、樹脂100重量部に対し、好適には0.01〜5重量部、更に好ましくは0.015〜3重量部である。
【0032】
本発明でのレジスト組成物は、各成分を組み合わせ、均質の無溶剤タイプとするか、固形分を主とする樹脂組成物を溶剤に溶解或いは懸濁させて配合した溶液て使用される。
【0033】
本発明の樹脂組成物はそれぞれ溶解する溶剤に予め溶解させて配合するのが好ましい。使用する溶剤は、樹脂が溶解するものであれば特に制限はなく、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸-n-ブチル、エチレングリコールモノアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等が1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。好適には、使用時に溶剤が飛散して溶液の粘度が上昇するのを抑えるために、比較的沸点が高く、室温で飛散しにくいものが使用される。
【0034】
また、成分(a)、(b)のポリカルボン酸樹脂も上記の溶解する溶剤が使用可能である。それ以外の溶剤としては。例えばエチレングリコールアルキルエーテル類;ジエチレングリコールアルキルエーテル類;プロピレングリコールアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールアルキルエーテル類等が挙げられる。これらは1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。
【0035】
多重構造粉体を添加する方法は、特に限定はないが、無溶剤樹脂に少しずつ加え、均一分散する方法、溶剤の入った溶液中に少しずつ加えながらホモミクサー等で拡販して分散する方法、3本ロールで混練する方法等が使用される。
【0036】
本発明のレジスト組成物には、組成物本来の特性が損なわれない範囲で、所望により種々の添加物を配合することができる。これらの添加物としては、前記エポキシ樹脂、多官能性マレイミド類、多官能性シアン酸エステル類、不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブタジエン、マレイン化ブタジエン、エポキシ化ブタジエン、ブタジエンーアクリロニトリル共重合体、ブタジエンースチレン共重合体、アクリルゴム、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリウレタン変性アクリレート、ブタジエン変性アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の公知のモノマー或いはオリゴマー等が挙げられる。また、その他、公知の有機の充填剤、無機の充填剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光増感剤、チキソ性付与剤等の各種添加剤が、所望に応じて適宜組み合わせて使用される。耐燃性を更に向上させるために、その他の難燃剤を添加することが可能である。更に、必要により、反応基を有する化合物は、その硬化剤、触媒が適宜使用される。
【0037】
また、レジスト樹脂組成物には一般に色を付けるために、一般に公知の着色顔料を添加する。例えばフタロシアニンブルー(化学名:C.I. Pigment Blue 15)、イソインドリンイエロー(C.I.Pigment Yellow 185)等の一般に公知のものが使用され得る。もちろん、これらは2種以上が組み合わせて使用できる。例えば、黄色と青色の顔料を組み合わせて配合し、ハロゲンの極めて少ない緑の顔料とする。
【0038】
本発明のレジスト樹脂組成物は、光選択熱硬化型レジスト、或いは光硬化型レジストのそれぞれの硬化形態により、硬化させる。例えば、光選択熱硬化型レジストは、これを回路板等の被覆物の上に塗布し、前乾燥を行なって溶剤を除去してから紫外線等の活性エネルギー線を照射して必要部分を選択的に光硬化させてから、未硬化部分を希アルカリ水溶液等で現像除去し、その後熱を加えて後硬化を行う。その後、必要により電解、無電解のニッケルメッキ、金メッキを行い、半導体チップ搭載用等のプリント配線板として使用する。又、光硬化型レジストは、被服物の上に塗布し、必要により乾燥して溶剤を除去した後、光で硬化させる。
【0039】
本発明のレジスト組成物の回路板への塗布方法としては、スクリーン印刷法、ロールコーター法、或いはカーテンコーター法等の一般に公知の方法で行うことができる。
【0040】
塗布後、必要により加熱して前乾燥を行って溶剤を除去する。乾燥には熱風乾燥炉等の一般に公知の装置が使用できる。例えば、光選択熱硬化型レジストの場合、乾燥温度は 30〜100℃、好ましくは50〜80℃である。温度が低いと乾燥時間が長くなりすぎ作業効率が悪い。また温度が高いと樹脂同士が反応して現像液に溶解しにくくなる。時間は10分〜2時間、好ましくは15〜60分である。
【0041】
本発明に使用するプリント配線板は、光硬化型レジスト或いは光選択熱硬化型レジストを塗布する前に、パターン化された銅導体表面を研磨するだけでも使用可能であるが、好適には予め銅キレート剤等が配合された防錆処理で処理を行う。処理を行うことにより、銅導体と樹脂との密着性を向上させることができ、プレッシャークッカー処理後の絶縁性劣化が少なくなる、剥離がなくなる等の改善を大幅に行うことができる。
【0042】
防錆処理剤としては一般に公知のものが使用できる。銅キレート剤も一般に公知のものが使用され得る。これらは例えばポリベンズイミダゾール処理等が挙げられ、1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。例えば(株)メック社製のCZ5480、CL8300といった防錆溶液が好適に使用される。
【0043】
回路板の上に塗布された皮膜は、無溶剤の場合、その上にフィルムを配置し、平行光で光を照射して露光する。また溶剤型の場合、溶剤を除去した後、フィルムをその上に配置し、活性エネルギー線を照射して必要な部分を光硬化させる。光の照射されない部分は現像液で溶解除去し、その後熱で後硬化してから銅導体表面に付着した防錆処理、キレート剤等を公知の方法で除去し、ニッケルメッキ、金メッキを施してプリント配線板とする。
【0044】
本発明の光硬化型レジスト、光選択熱硬化型レジストを光硬化するための活性エネルギー線の照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ或いはメタルハライドランプ等が用いられる。露光量は特に制限はないが、一般には100〜3,000mJ/cm2、好ましくは300〜2,000mJ/cm2である。その他、電子線、レーザー等も使用できる。
【0045】
本発明の塗膜の現像は、スプレー現像法、現像液にプリント配線板を浸漬して振動させるディップ現像法等、一般に公知の方法で実施する。現像液の温度は5〜50℃、好ましくは25〜40℃である。温度が低いと現像時間がかかる、現像性が悪い等の問題が生じる。温度が高いと光照射した硬化部分が溶解してしまう。現像液としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム或いはアンモニウムハイドロオキサイドの水溶液等、一般に公知の希アルカリ水溶液が使用できる。また、水に水溶性有機溶剤を添加した水溶液、水に水溶性有機溶剤とアルカリ剤とを加えた水溶液も使用できる。水溶液中のアルカリ剤の量は0.1〜5重量%が好適である。
【0046】
水溶性有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、ジエチレングリコール、メタノール、エタノール、プロパノール、γ-ブチロラクトン、メチルセロソルブ等、一般に公知のものが使用できる。これらの溶剤は水溶液全体の10〜80重量%、好ましくは15〜50重量%の範囲で使用される。更に、現像性を高めるために水酸化ナトリウム、珪酸ナトリウム、モノメタノールアミン等のアルカリ剤を添加することもできる。
【0047】
本発明の光選択熱硬化型レジストは、現像後に加熱硬化させる。硬化温度は100〜250℃、好ましくは120〜180℃である。その後、ニッケルメッキ、金メッキを行う。
【0048】
本発明のレジスト樹脂組成物は、プリント配線板上に塗布して、必要により露光後に現像、熱後硬化して永久保護皮膜として好適に使用されるが、これ以外に絶縁塗料、接着剤、印刷インキ、コーティング剤等として使用される。
【0049】
【実施例】
以下に実施例、比較例で本発明を具体的に説明する。尚、特に断らない限り、『部』は重量部を表す。
(合成例1)
2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン1,000部を、150℃に熔融させ、撹拌しながら4時間反応させ、重量平均分子量1,900、融点66℃のモノマーとプレポリマーの混合物(X-1))を得た。これをメチルエチルケトンに溶解し、溶液とした。
【0050】
<成分(b):不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂の合成>
(合成例2)
フラスコに温度計、攪拌機、環流冷却器、滴下ロート及び窒素吹込管を取りつけ、これにビスフェノールA型エポキシアクリレート(商品名:SP1509、昭和高分子<株>製)1,000部、合成例1の多官能性シアン酸エステル反応物X-1を50部、溶剤としてジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/ソルベントナフサ(50/50重量比)を1,050部仕込み、固形分50重量%とした後、70℃に加熱して攪拌混合しながら反応させ、赤外吸収スペクトルによりシアナト基のピーク(2300cm-1付近)の変化を追跡した。5.5時間後にシアナト基のピークが消滅した時点で反応を終了した。この反応液に無水ピロメリット酸を218部、及び上記混合溶剤を218部加え、温度70℃にて攪拌混合しながら反応を行い、赤外吸収スペクトルにより無水カルボン酸のピーク(1,850cm-1付近)を追跡し、6時間後にピークが消滅した時点で反応を終了した。この樹脂(固形成分をa-1とする)の酸価は90mgKOH/g であった。
【0051】
(合成例3)
合成例2において、多官能性シアン酸エステルプレポリマー成分X-1を300部とし、酸無水物としてテトラヒドロフタル酸無水物を521部加えた以外は合成例2と同様にして樹脂(固形成分a-2とする)を作成した。この樹脂の酸価は100mgKOH/g であった。
【0052】
(合成例4)
式(1)において、Rがプロパン、Zが水素原子のエポキシ樹脂で、nの平均値が3.3、エポキシ当量650、軟化点81.1℃、溶融粘度(150℃)12.5ポイズのビスフェノールA型エポキシ樹脂371部をエピクロルヒドリン925部とをジメチルスルホキシド462、5部を溶解させた後、攪拌しながら70℃で98.5%の水酸化ナトリウムを13.3部100分かけて添加した。添加後、更に70℃で3時間反応させた。その後、過剰の未反応エピクロルヒドリン及びジメチルスルホキシドの大半を減圧下に留去し、副生塩とジメチルスルホキシドを含む反応生成物をメチルイソブチルケトン750部に溶解させ、更に30%の水酸化ナトリウム10部を70℃で1時間かけて反応させた。
【0053】
反応終了後、水200部で2回水洗し、油水分離後に油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量444,加水分解性塩素含有量0.05%、軟化点79.5℃、溶融粘度(150℃)11.5ポイスのエポキシ樹脂(B-1)を350部得た。このエポキシ樹脂B-1は、アルコール性水酸基3.3個の約1.0個がエポキシ化されている。このエポキシ樹脂B-1を1332部を使用し、これに無水コハク酸230部、カルビトールアセテート468部及びソルベントフサ201部を仕込み、95℃に加熱して攪拌しながら10時間反応し、冷却して、固形分のエポキシ当量520で、酸価が82.6mgKOH/gのエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂 b-1を得た。
【0054】
(合成例5)
式(1)において、Rがメタン、Zが水素原子のエポキシ樹脂で、nの平均値が5.8、エポキシ当量800、軟化点79℃のビスフェノールF型エポキシ樹脂 400部をエピクロルヒドリン925部とジメチルスルホキシド462、5部に溶解させた後、攪拌しながら70℃で98.5%の水酸化ナトリウムを20.3部を100分かけて添加した。添加後、更に70℃で3時間反応させた。その後、過剰の未反応エピクロルヒドリン及びジメチルスルホキシドの大半を減圧下に留去し、副生塩とジメチルスルホキシドを含む反応生成物をメチルイソブチルケトン750部に溶解させ、更に30%の水酸化ナトリウム10部を70℃で1時間かけて反応させた。
【0055】
反応終了後、水200部で2回水洗し、油水分離後に油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量566、軟化点78℃のエポキシ樹脂(B-2)を365部得た。このエポキシ樹脂B-2は、アルコール性水酸基5.8個の約1.3個がエポキシ化されている。このエポキシ樹脂B-2を1869部使用し、これにテトラヒドロ無水フタル酸684部、カルビトールアセテート765。8部及びソルベントフサ328.2部を仕込み、95℃に加熱して攪拌しながら10時間反応し、固形分のエポキシ当量774で、酸価が98.8mgKOH/gのエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂 b-2を得た。
【0056】
(実施例1〜2、比較例1〜3)
合成例1、2の多官能性シアン酸エステル化合物を反応で分子内に取り込んだ不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂a-1、a-2、エポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂b-1、b-2 、多重構造粉体として内層がアクリルゴム粒子、最外層がカルボキシル基含有ガラス質樹脂(商品名:スタフィロイドAC3832、ガンツ化成<株>製、平均粒径0.3μm、成分g-1)、内層がアクリルゴム粉体、その外側にエポキシ樹脂を被覆し、その外側にシリカで無機質層を被覆した多重構造粉体(商品名:スタフィロイド、ガンツ化成<株>製、平均粒径8.1μm、成分g-2)、1官能のエポキシ樹脂を、商品名:YDE122(ジャパンエポキシレジン<株>製、成分c-1)及び商品名:デナコールEX731(ナガセ化成<株>製、成分c-2)、ウレタン変性アクリレート(商品名:U-200AX、新中村化学(株)製、成分h-1)、これ以外に各種添加剤を表1に示す配合組成で配合し、3本ロールで混練し、調整した。これを100メッシュのスクリーンを用いてドライ樹脂層厚さ20〜30μmとなるように、回路が形成した厚さ25μmの銅張ポリイミドフィルム(銅箔厚さ:12μm)の上に塗布し、80℃で30分乾燥し、この上にネガフィルムを配置して、UV光を500mJ/cm2照射し、次いで1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.5kgf/cm2のスプレー圧にて現像して未露光部を溶解除去した。その後、150℃の熱風乾燥機で40分間加熱硬化を行い、更にUV照射を2000mJ/cm2行い、得られた硬化膜について評価した。評価結果を表1に示す。
【0057】
Figure 2004198561
Figure 2004198561
【0058】
・SP−170:旭電化工業(株)製、光カチオン重合開始剤、プロピレンカーボネート40%希釈品
・イルガキュア907:チバ・ガイギー社製、光重合開始剤、2-メチル- [4 -(メチルチオ)フェニル]- 2 - モルフォリノ - 1 -プロパノン
・KAYARAD DPHA:日本化薬(株)製、ジペンタリスリトールーペンタ及びヘキサアクリレートの混合物
・2P4MHZ:四国化成(株)、イミダゾール系硬化剤
・EXA-4800:大日本インキ化学工業(株)製、ビスフェノールS型エポキシ樹脂
・アエロジル#200:日本アエロジル(株)製、無水シリカ
・フタロシアニングリーン:緑色顔料
・M325:東亜合成化学工業(株)製、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート
【0059】
塗膜とした樹脂組成物の特性を以下の方法により評価した。
<判定>
○ :異常なし
△ :やや問題あり
X :大きく問題あり
鉛筆硬度: JIS K 5400 に準じて評価を行った。
密着性 : JIS K 5400 に準じて、試験片に1mmの碁盤目を100個作成し、セロファンテープにて引き剥がし試験を行い、碁盤目の剥離状態を見た。表中の分母は試験碁盤目数、分子は残存数である。
半田耐熱性: 260℃の半田槽に30秒間浸漬後、レジストの異常の有無を目視観察した。
耐薬品性: 試験片をイソプロピルアルコールに25℃で30分間浸漬し、外観に異常が無いか確認後、セロファンテープによるテープピーリングを行い、異常の有無を見た。
現像性及び耐酸性: 現像後、150℃で40分熱硬化してから、現像面を目視で観察するとともに、無電解ニッケルメッキ(PH 4.5、浸漬 90℃・20分)を施し、ニッケルメッキの付着状態を観察して現像性を判定した。同時にレジスト面の薬品に侵される状態も観察した。
耐屈曲性: 銅箔で回路を片面に形成した厚さ25μmのポリイミドフィルム上に塗料を膜厚20〜30μmとなるように塗り、UV300mJ/cm2照射、更に重ね塗りを行い、最後に150℃で40分熱硬化した厚さ約150μmの試験片を用い、これを手で180°方向に曲げて強く折り、クラックの発生の有無を見た。
伸び: 耐屈曲性で使用した試験片を引っ張り試験器でJISに準じて引っ張り、伸びを測定した。
板クラック試験: 銅張積層板(商品名:CCL-HL830HS 0.1mm 18μm 両面銅箔、三菱ガス化学<株>製 )に回路を形成し、その上に塗膜厚が40μmとなるように全面に塗布し、80℃・25分乾燥して、UV照射を500mJ/cm2行い、更に裏面にも同様に塗布、乾燥、UV照射を行ってから、150℃で30分熱硬化した後、中央の回路の上に400μmの半導体チップを、ダイヤタッチ(商品名:BT-S657D、三菱ガス化学<株>製)で貼り付け、110℃・2時間+160℃・2時間硬化させて、その上にポッティング樹脂(商品名:BT-S657、三菱ガス化学<株>製)で被覆し、110℃・2時間+160℃・3時間硬化させて試験片を作成した。これを-55℃/5分←→+150℃/5分 の液槽での冷熱衝撃試験を400サイクル実施後、レジストのクラック及びプリント配線板の回路切断について100枚試験を行った。表1には分母に試験数、分子にクラック又は回路切断数を記した。
耐マイグレーション性: 銅張積層板(商品名:CCL-HL830HS 0.4mm 18μm 両面銅箔、三菱ガス化学<株>製 )にライン/スペース=50/50μmの櫛形回路を形成し、その上に塗膜厚が40μmとなるように塗布し、80℃・25分乾燥して、UV照射を500mJ/cm2行い、次に150℃で50分熱硬化した後、85℃・85%RHで所定時間処理し、その絶縁抵抗を測定した。
【0060】
以上の結果から、本発明の多官能性シアン酸エステル化合物を分子内に反応で取り込んだ不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いて作製したエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂をカルボン酸樹脂として用い、これに多重構造のゴム弾性を有する球状粉体、1官能のエポキシ樹脂、ウレタン変性アクリレートを配合することにより、伸び、耐屈曲性、耐衝撃性等に優れた、更には耐ミグレーション性に優れた皮膜が得られ、CSP等の薄いプリント配線板の耐クラック性等に対する信頼性に非常に優れたものが得られることが明らかである。
【0061】
【発明の効果】
本発明になるポリカルボン酸樹脂、多重構造を有する球状粉体、モノ官能エポキシ樹脂、ウレタン変性アクリレートを配合したレジスト樹脂組成物は、低弾性率で、伸び等が良好で、屈曲性に優れ、耐冷熱衝撃性、耐マイグレーション性等に優れた特性を有し、フレキシブルプリント配線板、CSP等の薄型のプリント配線板用永久保護皮膜として非常に有効なことが明らかである。

Claims (5)

  1. レジスト樹脂組成物において、
    (a)エポキシアクリレート100重量部と多官能性シアン酸エステル化合物5〜40重量部との反応生成物に、多塩基酸無水物10〜90重量部を反応させた、酸価40〜200mgKOH/g の不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂、
    (b)式(1)で示されるエポキシ樹脂
    Figure 2004198561
    (式中、Rは-CH2-、又は-C(CH3)2- を示し、Zは水素原子、又は
    Figure 2004198561
    を示し、nは1〜10の数である。但し、nが1の場合はZは水素原子を示す。nが2以上の場合はZは少なくとも1個は水素原子を示す)
    を用いて得られるエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂、
    (c)1官能以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、
    (d)エチレン性不飽和モノマー、
    (e)光重合開始剤
    を必須成分として含有することを特徴とするレジスト樹脂組成物。
  2. 該エポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂が、式(1)で示されるエポキシ樹脂と(f)多塩基酸無水物を反応して得られたエポキシ基含有ポリカルボン酸樹脂である請求項1記載のレジスト樹脂組成物。
  3. 該レジスト樹脂組成物に、(g)内側の層にゴム弾性を有する樹脂層が存在し、最外層をガラス質樹脂層又は無機質層で被覆された多重構造の球状粉体を配合して成ることを特徴とする請求項1又は2記載のレジスト樹脂組成物。
  4. 該ゴム弾性樹脂層を内側に有する多重構造の球状粉体が、ゴム弾性を有するアクリルゴムの表面にガラス質樹脂又は無機質の層を形成して得られる粉体である請求項2又は3記載のレジスト樹脂組成物。
  5. 該レジスト樹脂組成物に(h)ウレタン変性(メタ)アクリレートを配合してなる請求項1、2、3又は4記載のレジスト樹脂組成物。
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