JP2004286818A - 耐熱性に優れた難燃レジスト組成物 - Google Patents
耐熱性に優れた難燃レジスト組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】難燃性、耐熱性に優れ、且つ特性に優れたレジスト組成物を得る。
【解決手段】難燃剤として、(a)水酸化アルミニウム、(b)ベーマイト、(c)モリブデン化合物を必須成分とし、更には(d)亜鉛スズ酸塩系化合物を添加したレジスト組成物は、ハロゲン、リン、アンチモンを含まず、自己消火性を有し、且つ耐熱性に優れたレジスト組成物とする。
【効果】安全性に優れた自己消火性のレジスト組成物を得ることができ、特性として耐熱性、耐マイグレーション性等に優れたものが得られた。
【解決手段】難燃剤として、(a)水酸化アルミニウム、(b)ベーマイト、(c)モリブデン化合物を必須成分とし、更には(d)亜鉛スズ酸塩系化合物を添加したレジスト組成物は、ハロゲン、リン、アンチモンを含まず、自己消火性を有し、且つ耐熱性に優れたレジスト組成物とする。
【効果】安全性に優れた自己消火性のレジスト組成物を得ることができ、特性として耐熱性、耐マイグレーション性等に優れたものが得られた。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、プリント配線板の表面に塗布し、必要により加熱して溶剤を除去した後、熱硬化するか、光硬化するか、或いは光で選択的に硬化させ、未硬化部分を現像除去した後、必要に応じ熱で硬化して得られる永久保護皮膜付きプリント配線板として使用する。本発明の組成物は、特に、レジスト樹脂組成物内に、ハロゲン、リン、アンチモンを殆ど含まない、環境に影響の少ない永久保護皮膜に関するものである。これを塗布、乾燥、硬化して得られたプリント配線板は主として高密度の小型プリント配線板として、半導体プラスチックパッケージ用、マザーボード用等に使用される。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線板の永久保護皮膜として使用される熱硬化型レジスト、光選択熱硬化型レジスト、及び光硬化型レジストは、それ自体は自己消火性のない樹脂組成物であり、これを臭素が入った積層板の上に塗布、乾燥、硬化したものは、着火した場合に、表層の永久保護皮膜は、積層板中からの燃焼分解して発生する臭素ガスにより燃焼を妨げられるために全体は自己消火性を達成できていた。しかしながら、ノンハロゲン積層板を用いた回路板の上に塗布、乾燥、硬化したものは、表層の永久保護皮膜が可燃性をの場合に、自己消火性(耐燃性)UL94規格のV−1以上、特にV−0の耐燃性を示す永久保護皮膜付きプリント配線板は作製できなかった。
【0003】
耐燃性を付加する目的で水酸化アルミニウムを添加することが知られているが(例えば、特許文献1参照。)、樹脂100部に対し水酸化アルミニウムを150部以上添加する場合、耐熱性が減少し、280℃の半田槽で1分間の浸漬を行うことにより塗膜の異常が見られ、問題のあるものが多かった。更に、レジストには一般に着色顔料が添加されており、この顔料は殆どが緑色である。この緑色の顔料ではフタロシアニングリーンが一般的であるが、この分子内には塩素が大量に含まれており、有害物質が発生する恐れがあることが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。耐燃性を付加する目的で、リン酸エステル化合物、アンチモンを添加することがあるが、リン酸エステル化合物は燃焼時にホスフィン等の有害物質が発生する恐れがあり、問題のあるものが多かった。また、ハロゲンに代わる難燃剤として使用されているリン酸エステル系化合物の危険性も指摘されている(例えば、非特許文献2参照。)。また、アンチモンも毒性が強く、有害性の点から好ましいものではない。
【0004】
また、有機溶剤を添加した水溶液、或いは希アルカリ性水溶液による現像タイプの液状光選択熱硬化塗料は、カルボキシル基含有アクリル系樹脂にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させて得られる不飽和樹脂に芳香族エポキシ化合物を配合して得られる樹脂組成物(例えば、特許文献2参照。)、ノボラック型エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との反応物に飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる化合物に希釈剤を添加したもの(例えば、特許文献3参照。)、(メタ)アクリル酸とラクトン変性ヒドロキシル(メタ)アクリレートを必須成分とするビニル共重合体のカルボキシル基の一部に、脂環式エポキシ基含有(メタ)アクリレートを反応して得られる樹脂にクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を配合したもの(例えば、特許文献4参照。)等が知られている。
【0005】
しかしながら、これらを用いて配合したレジストは、それ自体が自己消火性(耐燃性)が付与されたものではなく、ハロゲンフリーでリン、アンチモンを含まない積層板を用いた回路板上に塗布するレジストとして耐燃性を実現できないものであった。また、近年ますます高密度化するプリント配線板の表層の永久保護皮膜は、耐熱性、耐マイグレーション性、吸湿処理後の耐熱性等が今一歩であり、信頼性の点からも従来のレジストは問題のあるものであった。その中でも現像性の劣るレジストは現像後に銅表面に残存し、その後のニッケルメッキ、金メッキ不良が発生していた。
【0006】
一方、多官能性シアン酸エステル類と光重合性もしくは光架橋性の単量体或いはプレポリマーとの混合物または予備反応物を主成分とするものが出願されている(例えば、特許文献5参照。)が、これは希アルカリ水溶液或いは水に水溶性有機溶剤を添加した水溶液では現像が不可能であり、溶剤で現像すると光硬化した箇所も一部溶解する等のために光選択熱硬化型レジストとしては使用困難であった。更には、多官能性シアン酸エステル化合物は銅との密着性が良好であり、銅と直接接触する場合、有機溶剤でも除去不可能なため、その後のニッケルメッキ、金メッキの付着不良が発生していた。
【0007】
【特許文献1】特開2002−148799号公報
【特許文献2】特開平1−139619号公報
【特許文献3】特開昭61−243869号公報
【特許文献4】特開平8−41150号公報
【特許文献5】特開昭56−141321号公報
【非特許文献1】B.G.Soni, ”Do flame retardants threaten ocean life?” ,Nature,394,28(1998)
【非特許文献2】「難燃性高分子材料の高性能化技術」、シーエムシー社発行、2002年6月、P361−367
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の問題点を解決した、ハロゲンフリーでリン、アンチモンを含まず、自己消火性を有し、ノンハロゲンプリント配線板上に塗布して全体的に自己消火性(耐燃性)を有する永久保護皮膜用レジスト組成物を提供する。
【0009】
【発明が課題を解決するための手段】
本発明は、それ自体が自己消火性を有するハロゲンフリーで、リン、アンチモンを含まない保護皮膜用レジスト組成物に関するものである。永久保護皮膜用レジストにおいて、樹脂成分100重量部に対し、難燃剤として、(a)水酸化アルミニウム100〜150重量部、(b)ベーマイト10〜100重量部(c)モリブデン化合物0.1〜20重量部を必須成分とし、更に好ましくは(d)亜鉛スズ酸系化合物0.01〜10重量部を必須成分として配合することにより、それ自体自己消火性を有するレジスト組成物となる。また、本発明の光選択熱硬化型レジストとして、(e)エポキシ樹脂5〜35重量%、(f)エポキシアクリレート100重量部に多官能性シアン酸エステル化合物5〜40重量部を反応させた反応生成物に多塩基酸無水物10〜90重量部反応させた、酸価40〜200mgKOH/gの不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂を20〜90重量%、 (g)エチレン性不飽和モノマー 1〜30重量%、(h)光重合開始剤 0.1〜20重量%を必須成分として配合してなる光選択熱硬化型レジストを、銅導体からなるハロゲン、リン、アンチモンフリープリント配線板の上に塗布、加熱乾燥して溶剤を飛ばした後、光を照射して光硬化成分を選択的に硬化させ、光の照射していない未硬化成分をアルカリ性の現像液にて溶解除去し、次いで加熱して熱硬化成分を熱硬化させて得られるプリント配線板とすることにより、耐熱性、耐マイグレーション性、耐燃性等に優れたものを得ることができた。もちろんこのレジスト組成物は、臭素含有或いはリン含有プリント配線板の上に塗布して使用することも可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の永久保護皮膜用レジスト組成物としては、熱硬化型レジスト、光選択熱硬化型レジスト、光硬化型レジストとして使用することができる。しかしながら、耐熱性、耐マイグレーション性等の点からは、多官能性シアン酸エステル化合物を配合するか、分子内に反応して取り込んだレジストが好適に使用される。
【0011】
本発明の好適な樹脂成分である多官能性シアン酸エステル化合物とは、分子内に2個以上のシアナト基を有する化合物である。具体的に例示すると、1,3−又は1,4−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、1,3−、1,4−、1,6−、1,8−、2,6−又は2,7−ジシアナトナフタレン、1,3,6−トリシアナトナフタレン、4,4−ジシアナトビフェニル、ビス(4−ジシアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモー4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、トリス(4−シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4−シアナトフェニル)ホスフェート、シアネート化ポリフェニレンエーテル、およびノボラックとハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類などである。これに1官能のシアネート化合物も添加できる。
【0012】
これらのほかに特公昭41−1928、同43−18468、同44−4791、同45−11712、同46−41112、同47−26853及び特開昭51−63149等に記載の多官能性シアン酸エステル化合物類も用いら得る。また、これら多官能性シアン酸エステル化合物のシアナト基の三量化によって形成されるトリアジン環を有する分子量400〜6,000 のプレポリマーが使用される。このプレポリマーは、上記の多官能性シアン酸エステルモノマーを、例えば鉱酸、ルイス酸等の酸類;ナトリウムアルコラート等、第三級アミン類等の塩基;炭酸ナトリウム等の塩類等を触媒として重合させることにより得られる。このプレポリマー中には一部未反応のモノマーも含まれており、モノマーとプレポリマーとの混合物の形態をしており、このような原料は本発明の用途に好適に使用される。一般には可溶な有機溶剤に溶解させて使用する。
【0013】
また、熱硬化成分として使用されるものでは、エポキシ樹脂が大半である。(e)エポキシ樹脂としては、一般に公知のものが使用できる。具体的には、液状或いは固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂;ブタジエン、ペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、ジシクロペンチルエーテル等の二重結合をエポキシ化したポリエポキシ化合物類;ポリオール、水酸基含有シリコン樹脂類とエポハロヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジル化合物類、エポキシ化ポリブタジエン樹脂、エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂中には必然的に塩素が含まれており、塩素の少ないものを使用するのが好ましい。これらは1種或いは2種類以上が組み合わせて使用され得る。日本プリント回路工業会(JPCA)規格、JPCA−ES−01−1999で定めた銅張積層板のノンハロゲン材料の定義であるハロゲン含有量0.09%以下の数値を、ノンハロゲンソルダーレジストの定義として採用した。
【0014】
本発明の光選択熱硬化型レジストに使用される(i)成分の不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂は、分子内にカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基などの不飽和基を有する樹脂であり、一般に公知のものが使用される。 例えば、特開平1−139619に示される、カルボキシル基有アクリル樹脂とグリシジル(メタ)アクリレートとを反応して得られる不飽和基含有樹脂、特開平8−41150に記載の(メタ)アクリル酸とラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを必須成分とするビニル共重合体のカルボキシル基の一部に、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物を反応させた不飽和基含有樹脂、特開昭61−243869に記載のノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸との反応物に飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる樹脂など,一般に公知のものが挙げられる。
【0015】
本発明で使用される(i)成分である不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂の中で好ましいものは、酸価10〜200mgKOH/g、樹脂1kg当たりの二重結合が1.0〜3.5モル、数平均分子量1,000〜50,000の(メタ)アクリル酸とラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを必須成分とするカルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂と脂環式エポキシ基含有不飽和化合物を反応させた不飽和基含有樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型或いはそれらのハロゲン化エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸とを、酸当量/エポキシ当量の比か0.2〜1.0の範囲で反応させ、得られた反応物の水酸基に飽和或いは不飽和多塩基酸無水物を酸当量/水酸基当量の比が0.2以上で反応させた反応物であり、その酸価が40〜160mgKOH/gの不飽和含有ポリカルボン酸樹脂などが挙げられる。
【0016】
しかしながら、高密度のプリント配線板の永久保護皮膜としては、耐熱性、耐マイグレーション性などが問題となるため、多官能性シアン酸エステル化合物を分子内に取り込んだ不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂が好適に使用される。好ましい樹脂としては、エポキシアクリレート100重量部に多官能性シアン酸エステル化合物5〜40重量部反応させた樹脂に多塩基酸無水物10〜90重量部反応させた、酸価40〜200mgKOH/gの不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂が使用される。使用量は20〜90重量%、好ましくは25〜70重量%である。
【0017】
本発明の(i)成分である多官能性シアン酸エステル化合物を分子内に取り込んだ不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂において、原料として使用するエポキシアクリレートは、エポキシ樹脂とアクリル酸との反応物である。例えば、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ビスフェノールF型エポキシアクリレート、ビフェノール・エポキシアクリレート、テトラメチルビフェノール・エポキシアクリレート、ヘキサメチルビフェノール・エポキシアクリレート、キシレンノボラック・エポキシアクリレート等であり、これらは1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。
【0018】
本発明の(i)成分の酸変性の反応に使用する多塩基酸無水物としては、1分子内に2個以上の無水カルボン酸を有する一般に公知の酸無水物が使用され得る。具体的には、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ナフタレンー1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、その他無水酸を分子内に有するもの、これらの1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。
【0019】
本発明のエポキシアクリレートと多官能性シアン酸エステル化合物を反応する条件は特に限定しないが、一般的には、エポキシアクリレート100重量部に対し、多官能性シアン酸エステル化合物を5〜40重量部、好ましくは10〜30重量部用いて変性させる。反応温度は、50〜100℃、反応時間5〜100時間である。反応時の粘度調整のために溶剤を使用することができる。使用する溶剤は特に限定はしないが、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアセテート類;ソルベントナフサ、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が、単独或いは2種以上組み合わせて使用され得る。
【0020】
次に、エポキシアクリレートと多官能性シアン酸エステル化合物の反応物を多塩基酸無水物でカルボン酸変性を行い、(i)不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂を得る。変性量は、前述のエポキシアクリレート100重量部に多官能性シアン酸エステル化合物5〜40重量部反応させて変性したものに、多塩基酸無水物を10〜90重量部反応させて変性を行う。変性後に、得られた樹脂は、酸価が40〜200mgKOH/g 、好ましくは50〜160mgKOH/g とする。この場合も、粘度調整のために溶剤を使用することが可能である。具体的には、上記溶剤、更にはプロピレングリコールものメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエステル類が使用される。光選択熱硬化型レジストとする場合、(i)不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂の使用量は樹脂組成物中20〜90重量%、好ましくは25〜80重量%が使用される。
【0021】
次に本発明のレジスト組成物を光硬化型レジスト、或いは光選択熱硬化型レジストに使用する場合、使用される(g)成分のエチレン性不飽和二重結合を有する光重合性化合物としては、まず、2価以上のアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。このアルコール類としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10−デカンジオール、シクロヘプタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のポリエチレングリコール類;ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール類;キシレンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ビフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリットール、ジペンタエリスリットール、トリペンタエリスリットール、ソルビトール、グルコース、ブタントリオール、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、1,2,4−ベンゼントリオール等が挙げられる。更には(メタ)アクリレート化ポリフェニレンエーテル樹脂が挙げられる。
【0022】
また、アリル化合物、例えばアジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等のポリアリルエステル類、ポリスルホン酸のポリアリルエステル類、ジアリルエーテル、トリアリルイソシアヌレート等も用いられる。更に、例えばジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、ジビニルフタレート、ジビニルテレフタレート等のポリビニル化合物も使用される。その他、公知の化合物、樹脂類などが使用できる。これらの化合物は、1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。使用量は、1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%である。
【0023】
本発明のレジスト組成物を光硬化型レジスト、或いは光選択熱硬化型レジストとして使用する場合、光で重合させるための光重合開始剤(成分h)が使用される。例えばベンジル、ジアセチル等のα−ジケトン類;ベンゾイル等のアシロイン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のアシロインエーテル類;チオキサントン、1,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン類;ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、1,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン等のアセトフェノン類;アントラキノン、1,4−ナフトキノン等のキノン類;ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物等が1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。使用量は、0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜10重量%である。
【0024】
また、エポキシ化合物を配合した場合には、カチオン系光重合開始剤を加えることが好ましい。例えば芳香族スルホニウム塩、η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン]−アイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェート(1−)等の鉄の錯体等、一般に公知の重合開始剤の1種或いは2種以上が、エポキシ化合物100重量部に対し 0.1〜10重量部、好適には0.2〜5重量部使用される。
【0025】
本発明のレジスト組成物を熱硬化型レジストとして使用する場合、それ自体は加熱により硬化するが硬化速度が遅く、作業性、経済性等に劣る。その為、使用した熱硬化性樹脂に対して公知の熱硬化触媒を用い得る。使用量は、0.01〜5重量%、好ましくは0.015〜3重量%である。
【0026】
本発明でのレジスト組成物は、各成分を組み合わせ、均質の無溶剤タイプとするか、固形分を主とする樹脂組成物を溶剤に溶解或いは懸濁させて配合した状態で使用される。本発明のレジスト組成物はそれぞれ溶解する溶剤に予め溶解させて配合するのが好ましい。多官能性シアン酸エステル化合物を溶解する溶剤は、特に制限はなく、例示すれば、酢酸エチルジューキゾール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸−n−ブチル、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。好適には、使用時に溶剤が飛散して溶液の粘度が上昇するのを抑えるために、比較的沸点が高く、室温で飛散しにくいものが使用される。
【0027】
また、(i)成分の不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂も上記の溶解する溶剤が使用可能である。それ以外の溶剤としては。例示すれば、エチレングリコールアルキルエーテル類;ジエチレングリコールアルキルエーテル類;プロピレングリコールアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールアルキルエーテル類等が挙げられる。これらは1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。
【0028】
これらのレジスト組成物を難燃化する方法として、本発明では、樹脂成分100重量部に対し、難燃剤として、(a)水酸化アルミニウム100〜150重量部、(b)ベーマイト10〜150重量部、(c)モリブデン化合物0.1〜20重量部、更に好適には(d)亜鉛スズ酸系化合物0.01〜10重量部を配合することにより、自己消火性(耐燃性)を達成した。
【0029】
本発明の(a)成分である水酸化アルミニウムは、公知の方法で製造されたものが使用でき、特に限定はないが、平均粒子径は、10μm以下、好適には2μm以下が好適に使用される。これは3結晶水が含まれている。加熱して結晶水を平均値で2〜2.5程度にして使用することができる。余り加熱して結晶水を減らすと耐燃効果が減少するため、好ましくない。
【0030】
本発明の(b)成分のベーマイトとは、水酸化アルミニウムをと金属化合物、水を混合、水圧合成、ろ過、水洗、乾燥により合成されたものが使用でき、特に限定はしないものの、ソルダーレジストとしてベーマイトを使用する場合、表面平滑性の理由から針状結晶のものが好適に使用される。
【0031】
他の難燃剤成分である(c)モリブデン化合物は、モリブデン原子を含む化合物であり、一般に公知のものが使用できる。具体的には、酸化モリブデン、硼化モリブデン、珪化モリブデン、硫化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸アンモニウム等が例示される。これらはそのまま粉体でレジスト組成物中に分散することも可能であるが、好適にはモリブデン化合物を、無機充填剤、例えばタルク、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等の平均粒子径5μm以下のものに担持したものが使用される。無機充填剤に担持する製造方法は、例えば米国特許第3,969,127号に記載されている方法等が使用される。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。使用量は樹脂成分100重量部に対し、水酸化アルミニウム、ベーマイトを併用して、モリブデン化合物として0.1〜20重量部、好適には0.5〜15重量部使用する。
【0032】
更に他の難燃成分である(d)亜鉛スズ酸塩系化合物を0〜10重量部配合することによって、より耐燃性のレベルは向上する。本発明の亜鉛スズ酸塩系化合物は、具体的には亜鉛ヒドロキシスズ酸塩、亜鉛スズ酸塩等が挙げられる。これらは1種或いは2種以上が組み合わせて使用できる。
【0033】
本発明のレジスト組成物には、組成物本来の特性が損なわれない範囲で、所望により種々の添加物を配合することができる。これらの添加物としては、1官能性以上のマレイミド類、ポリブタジエン、マレイン化ブタジエン、ブタジエンーアクリロニトリル共重合体、ブタジエンースチレン共重合体、アクリルゴム、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、不飽和基含有PPE樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリスチレン、ポリウレタン等が挙げられる。また、その他、公知の有機の充填剤、無機の充填剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光増感剤、チキソ性付与剤等の各種添加剤が、所望に応じて適宜組み合わせて使用される。必要により、反応基を有する化合物は、その硬化剤、触媒が適宜使用される。
【0034】
また、着色の為に使用される顔料としては、特に制限は無く、公知の顔料が使用できる。着色を緑色とする場合、特にハロゲンの量を低減させる目的としては、公知の青色顔料と公知の黄色顔料を併用することが好ましい。青色顔料としては、銅フタロシアニンブルー(C.I.Pigment Blue 15)、ニッケルフタロシアニンブルー、鉄フタロシアニンブルー、アルカリブルー(C.I.Pigment Blue1,2,3,10,14,18,19,24,56,57,61)が挙げられる。更に、黄色顔料としては、ベンズイミドロンイエロー(C.I.Pigment 120,151,175,180,181,194)アントラキノンイエロー(C.I.Pigment Yellow 123,147)イソインドリンイエロー(C.I.Pigment Yellow 139,185)等が挙げられる。
【0035】
本発明のレジスト組成物は、それぞれの硬化形態により、硬化させる。例えば、熱硬化型レジストは、プリント配線板の上にスクリーン印刷等で塗布し、必要により加熱乾燥して溶剤を除去した後、加熱して硬化させる。また、光選択熱硬化型レジストは、これをプリント配線板等の被覆物の上に塗布し、前乾燥を行なって溶剤を除去してから紫外線等の活性エネルギー線を照射して必要部分を選択的に光硬化させてから、未硬化部分を希アルカリ水溶液等で現像除去してから、その後熱を加えて後硬化を行う。その後、必要により電解、無電解のニッケルメッキ、金メッキを行い、半導体チップ搭載用等のプリント配線板として使用する。更に、光硬化型レジストは、被覆物の上に塗布し、必要により乾燥して溶剤を除去した後、光で硬化させる。
【0036】
本発明のレジスト組成物のプリント配線板への塗布方法としては、スクリーン印刷法、ロールコーター法、或いはカーテンコーター法等の一般に公知の方法で行うことができる。また、これらをフィルム状のレジスト組成物シートとして被覆物の上に配置し、加熱、加圧下に接着させ、必要により選択的に光硬化させて、希アルカリ水溶液で現像、熱硬化させて使用することも可能である。
【0037】
塗布後、必要により加熱して前乾燥を行って溶剤を除去する。乾燥には熱風乾燥炉等の一般に公知の装置が使用できる。乾燥温度は 30〜100℃、好ましくは50〜80℃である。温度が低いと乾燥時間が長くなりすぎ作業効率が悪い。また温度が高いと樹脂同士が反応して、光選択熱硬化型レジストの場合、現像液に溶解しにくくなる。溶剤を除去する前処理の際に必要な時間は10分〜2時間、好ましくは15〜60分である。
【0038】
本発明に使用するプリント配線板は、光選択熱硬化型レジストを塗布する前に、パターン化された銅導体表面は必要に応じ処理を行う。銅導体表面の処理は研磨等が知られているが、好適には予め銅キレート剤等が配合された防錆溶液で処理を行うことにより、銅導体と樹脂との密着性を向上させることができ、プレッシャークッカー処理後の絶縁性劣化が少なくなる、剥離がなくなる等の改善を大幅に行うことができる。
【0039】
防錆処理剤としては一般に公知のものが使用できる。銅キレート剤も一般に公知のものが使用され得る。これらは例えばポリベンズイミダゾール、クロメート処理等が挙げられ、1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。例えば(株)メック社製のSL8300Eといった防錆溶液が好適に使用される。
【0040】
プリント配線板の上に塗布された皮膜は、無溶剤の場合、その上にフィルムを配置し、平行光で光を照射して露光する。また溶剤型の場合、溶剤を除去した後、フィルムをその上に配置し、活性エネルギー線を照射して必要な部分を光硬化させる。光の照射されない部分は現像液で溶解除去し、その後熱で後硬化してから銅導体表面に付着した防錆処理、キレート剤等を公知の方法で除去し、必要に応じ、ニッケルメッならびに金メッキを施してプリント配線板とする。
【0041】
本発明のレジスト組成物を光硬化レジスト、光選択熱硬化型レジストとして使用する場合、レジストを光硬化するための活性エネルギー線の照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ或いはメタルハライドランプ等が用いられる。露光量は特に制限はないが、一般には100〜3,000mJ/cm2、好ましくは300〜2,000mJ/cm2 である。その他、電子線、レーザー等も使用できる。
【0042】
本発明のレジスト組成物を光硬化レジスト、光選択熱硬化型レジストとして使用する場合、本発明の塗膜の現像は、スプレー現像法、現像液にプリント配線板を浸せきして振動させるディップ現像法等、一般に公知の方法で実施する。現像液の温度は5〜50℃、好ましくは25〜40℃である。温度が低いと現像時間がかかる、現像性が悪い等の問題が生じる。温度が高いと光照射した硬化部分が溶解してしまう。現像液としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム或いはアンモニウムハイドロオキサイドの水溶液等、一般に公知の希アルカリ水溶液が使用できる。また、水に水溶性有機溶剤を添加した水溶液が使用できる。また、水に水溶性有機溶剤を添加した水溶液、水に水溶性有機溶剤とアルカリ剤とを加えた水溶液も使用できる。水溶液中のアルカリ剤の量は0.1〜5重量%が好適である。
【0043】
現像液に使用される 水溶性有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、ジエチレングリコール、メタノール、エタノール、プロパノール、γ−ブチロラクトン、メチルセロソルブ等、一般に公知のものが使用できる。これらの溶剤は水溶液全体の10〜80重量%、好ましくは15〜50重量%の範囲で使用される。更に、現像性を高めるために水酸化ナトリウム、珪酸ナトリウム、モノメタノールアミン等のアルカリ剤を添加することもできる。
【0044】
本発明のレジスト組成物を光選択熱硬化型レジストとして使用する場合、現像後に加熱硬化させる。硬化温度は100〜250℃、好ましくは120〜180℃である。その後、ニッケルメッキ、金メッキを行う。
【0045】
【実施例】
以下に実施例、比較例で本発明を具体的に説明する。尚、特に断らない限り、『部』は重量部を表す。
<多官能性シアン酸エステルプレポリマーの合成>
(合成例1)
2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン1,000部を、150℃に溶融させ、撹拌しながら4時間反応させ、重量平均分子量1,900、融点66℃のプレポリマー(X−1)を得た。これをメチルエチルケトンに溶解し、溶液とした。
<成分(f):不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂の合成>
(合成例2)
フラスコに温度計、攪拌機、環流冷却器、滴下ロート及び窒素吹込管を取りつけ、これにジプロピレングリコールモノメチルエーテル1,000部を仕込み、100℃に加熱した中に、ベンゾイルパーオキサイド14部、メチルメタクリレート420部、ヒドロキシエチルメタクリレート70部、メタクリル酸210部の混合物を2時間かけて滴下し、8時間保持した。得られたアクリル樹脂は、酸価200mgKOH/gであった。次いで、この樹脂にグリシジルメタクリレート210部、トリエチルアミン3.5部、ハイドロキノン0.07部を加え、100℃で5時間反応させ、メタクリロイル基1.7モル/kg、酸価89mgKOH/g の不飽和基含有樹脂(固形成分:F−1)溶液を得た。
【0046】
(合成例3)
ビスフェノールA型エポキシアクリレート(商品名:SP1509、昭和高分子<株>製)1,000部、合成例1の多官能性シアン酸エステルプレポリマー成分を50部、溶剤としてジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/ソルベントナフサ(50/50重量比)を1,050部加え、固形分50重量%とした後、70℃に加熱して攪拌混合しながら反応させ、赤外吸収スペクトルによりシアナト基のピーク(2300cm−1付近)の変化を追跡した。5.5時間後にシアナト基のピークが消滅した時点で反応を終了した。この反応液に無水ピロメリット酸を218部、及び上記混合溶剤を218部加え、温度70℃にて攪拌混合しながら反応を行い、赤外吸収スペクトルにより無水カルボン酸のピーク(1,850cm−1付近)を追跡し、6時間後にピークが消滅した時点で反応を終了した。この樹脂(固形成分をF−2とする)の酸価は90mgKOH/g であった。
(合成例4)
合成例3において、多官能性シアン酸エステルプレポリマー成分を300部、テトラヒドロフタル酸無水物を521部加えた以外は合成例2と同様にして樹脂(固形成分:F−3とする)を作成した。この樹脂の酸価は100mgKOH/g であった。
(合成例5)
合成例3で、ビスフェノールA型シアン酸エステル化合物100部、無水ピロメリット酸を174部加えた以外は合成例2と同様にして樹脂(固形成分:F−4とする)を作成した。この樹脂の酸価は75mgKOH/g であった。
【0047】
<難燃剤>
成分aとして、水酸化アルミニウム(A−1とする、平均粒子径2μm)、b成分としてベーマイト(B−1とする、平均粒子径2.8μm)、c成分として、タルク(平均粒子径4.1μm)にモリブデン酸亜鉛を担時した、モリブデン酸亜鉛含有率19wt%の粉体(商品名:KEMGARD911C、シャーウイン・ウイリアムズ<株>製、成分C−1とする)、d成分として、亜鉛ヒドロキシスズ酸塩,(商品名:ZHS,JOSEPH STOREY & CO LTD製、成分D−1とする)を使用した。
【0048】
<エポキシ樹脂>
成分eとして、変性キシレン樹脂エポキシ化物(商品名:デナカルT、ナガセ化成工業<株>製、成分E−1とする)、脂環式エポキシ樹脂(商品名:セロキサイド2021、成分E−2とする、商品名:EHPE3150、成分E−3とする、ダイセル化学工業<株>製)を使用した。
<エチレン性不飽和モノマー>
成分gとして、テトラエチレングリコールジアクリレート(成分G−1とする)を使用した。
<光重合開始剤>
h成分として、(商品名:イルガキュア907、チバガイギー<株>製、成分H−1とする)を使用した。
<顔料>
顔料としては緑色顔料、青色顔料と黄色顔料の併用系とを用いた。具体的には、青色顔料(商品名:フタロシアニンブルー山陽色素<株>、成分I−1とする)を使用した。また、黄色顔料としては、イソインドリンイエロー(商品名:C.I.Pigment Yellow 139山陽色素<株>、成分I−2とする)を使用した。青色顔料、黄色顔料の併用に関しては、分子内に塩素は含有されていない。緑色顔料はハロゲンを分子内に含有されているものを用いた(商品名:フタロシアニングリーン山陽色素<株>、成分I−3。
<添加剤>
レベリング剤として、(商品名:BYK055、ビックケミー・ジャパン<株>製、成分J−1とする)、脱泡剤として(商品名:フローレンAC300、共栄社化学<株>製、成分J−2とする)、カップリング剤としてA−187(日本ユニカ<株>製、成分J−3とする)を使用した。
【0049】
(実施例1〜6,比較例1〜6)
水酸化アルミニウム(成分A−1)、ベーマイト(成分B−1) 、モリブデン化合物(成分C−1)、 亜鉛スズ酸塩系化合物(成分D−1) 、エポキシ樹脂(成分E−1〜3) 、不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(成分F−1〜4)、 エチレン性不飽和モノマー(成分G−1) 光重合開始剤(成分H−1) 、顔料(成分D−1〜3) 、レベリング剤(成分J−1) 、脱泡剤(成分J−2)、カップリング剤(成分J−3)を表1のように配合して光選択熱硬化型レジスト組成物とした。これを、厚さ30〜40μmとなるようにパターンを作成した板及び銅箔をエッチング除去した積層板の両面に塗布し、80℃で20分乾燥して溶剤を飛ばし、その上にフィルムを配置して、紫外線を1,000mJ/cm2 照射した後、1wt%の炭酸ナトリウム水溶液で現像した。その後150℃で1時間熱硬化した。特性評価結果を表2に示した。また、耐燃性(UL94)を見るために、ハロゲン、リン、アンチモンフリー銅張積層板(商品名:CCL−HL832NB、三菱ガス化学<株>製)の銅箔をエッチング除去した、厚さ0.2mmの積層板の両側に、塗布し、乾燥して、レジスト厚みが40μmの試験片(サイズ:12.7x127mm)を作成した。これを用いてUL94の耐燃性試験を行った。結果を表2に示す。
【0050】
得られた塗料を、櫛形パターンを50個形成した(使用銅張積層板商品名:CCC−HL830、三菱ガス化学<株>製、ライン/パターン=60/60μm)基板上にスクリーン印刷法にて乾燥後の厚みが30〜40μmとなるように塗布し、80℃の熱風乾燥機で乾燥した。その後、ネガフィルムを密着させ、1,000mJ/cm2の紫外線を照射してから1wt%炭酸ナトリウム水溶液で現像し、更に150℃にて1時間熱硬化させ、表面の絶縁皮膜を得た。これを用いて85℃,85%RH,50VDC条件下でマイグレーションを測定した。測定結果を表2に示す。
【0051】
塗膜とした樹脂組成物の特性を以下の方法により評価した。
鉛筆硬度: JIS K 5400 に準じて評価を行った。
密着性 : JIS K 5400 に準じて、試験片に1mmの碁盤目を100個作成し、セロファンテープにて引き剥がし試験を行い、碁盤目の剥離状態を見た。表中の分母は試験碁盤目数、分子は残存数である。
半田耐熱性:280℃の半田槽に1分間浸漬後、布膜の異常の有無を目視観察した。ガラス転移温度:厚さ40μmの塗膜を作成し、TMA法(JIS C6481)にて測定した。現像性及び耐酸性:現像後、現像面を目視で観察するとともに、無電解ニッケルメッキ(pH 4.5、浸漬 90℃・20分)を施し、ニッケルメッキの付着状態を観察して現像性を判定した。同時にレジスト面の薬品に侵される状態も観察した。
耐マイグレーション性:85℃,85%RH,50VDCにて所定の時間処理後、絶縁抵抗を測定した。
耐燃性:UL94に準じて測定した。
耐燃性−1:内層板としてハロゲン、リン、アンチモンフリー銅張積層板(商品名:CCL−HL832NB 三菱ガス化学<株>製0.2mm)の銅箔をエッチング除去して、この両面にレジスト組成物を実施例、比較例に示す厚さとなるように塗布し、UV硬化及び /又は熱硬化させてから、UL94の測定法に準じて耐燃性を測定した。
耐燃性−2:レジスト組成物を重ね塗り、硬化し、厚さ200〜300μmとしたもの単独を、UL94の測定法に準じて耐燃性を測定した。
全塩素、全臭素:JPCA規格(JPCA−ES−01−1999)に準じて測定した。ハロゲンフリーとなる規格は900ppm以下。
リン、アンチモン:ICP(誘導結合プラズマ法)で測定した。
【0052】
【0053】
【0054】
(実施例7〜8,比較例7〜8)
合成例1で作製した多官能性シアン酸エステルプレポリマー(成分X−1)、実施例1〜6で使用したエポキシ樹脂、これに触媒としてアセチルアセトン鉄(成分J−1)を表3のように配合して熱硬化性樹脂組成物ワニスとした。これに添加剤、難燃剤を加えて熱硬化型レジスト組成物とした。これを、実施例1〜6と同様にして、厚さ30〜40μmとなるようにパターンを作成した板及び銅箔をエッチング除去した積層板の両面に塗布し、150℃で90分加熱して硬化させた。この特性を表4に示した。
【0055】
【0056】
【0057】
<測定方法>
実施例1〜6に示した測定方法に従う。但し、耐マイグレーション性の試験片作製において、乾燥時間は、レジスト組成物塗布後、150℃で90分加熱硬化したものを使用した。
【0058】
(実施例9,比較例9)
実施例、比較例のエポキシ樹脂(成分E−2,E−3)、エチレン性不飽和モノマー(成分F−2)、光重合開始剤(成分G−1)及びカチオン重合開始剤(商品名:イルガキュア261、チバガイギー<株>製、成分K−1とする)、重合補助剤としてクメンハイドロパーオキサイド(成分L−1とする)を表5に示すように配合し、光硬化性樹脂ワニスとした。これに添加剤、難燃剤を加えて熱硬化型レジスト組成物とした。これを実施例1〜6と同様に、厚さ30〜40μmとなるように銅箔をエッチング除去した板の上に塗布、乾燥し、UVを1000mJ/cm2 照射して光で硬化させた。この特性を表6に示す。
【0059】
【0060】
【0061】
以上の結果から、本発明の難燃剤を使用することにより、ハロゲン(塩素)はJPCA規格で定めた900ppm以下であり、リン、アンチモンも極めて少ないもので、自己消火性(耐燃性)を達成することができた。この難燃剤を配合したものはそれ自体単独で自己消火性(UL94でV−0)となり、さらにプリント配線板の表面に塗布して硬化したものも自己消火性(V−0)を示し、非常に有用である。また、これらの難燃剤を添加しても多官能性シアン酸エステル化合物を配合したもの、或いは反応して分子内に取り込んだものは耐マイグレーション性にすぐれたものが得られた。また、難燃剤としてベーマイトを使用することにより、難燃性を付与し、耐熱性に優れるものが得られた。
【0062】
【発明の効果】
本発明になる難燃剤を配合したレジスト組成物は、ハロゲン、リン、アンチモンを含まず、安全性に優れ、それ自体が自己消火性(UL94 V−1以上)を有するものが得られ、これをハロゲン、リン、アンチモンを含まないプリント配線板に塗布、硬化させて得られたものも自己消火性(V−1以上)を有するものが得られ、また、同時に耐熱性に優れたものが得られた。これは、それ自体が自己消火性を有しない(UL94 HB)レジスト組成物をハロゲン、リン、アンチモンを含まないプリント配線板の表面に塗布、硬化させても、全体はUL94 V−1以上、ひいてはV−0を示さず、耐燃性に難点が生じる。また、着色顔料のみにハロゲンを含まないものを使用したレジストがあるが、これはレジスト自体が自己消火性を示さず、ノンハロゲン、ノンリン、ノンアンチモンのプリント配線板の上に塗布、硬化してもHB〜V−2しか達成できないものであったが、本発明の難燃性レジスト組成物は優れた自己消火性を示し、かつ耐熱性に優れることから、電子機器用途に非常に有効なことが明らかである。また、分子内に多官能性シアン酸エステル化合物を取り込むことにより、今後益々高密度化するプリント配線板の信頼性に必要な、耐マイグレーション性などに優れ、また耐熱性も優れたプリント配線板用永久保護皮膜として好適なものが得られた。
【産業上の利用分野】
本発明は、プリント配線板の表面に塗布し、必要により加熱して溶剤を除去した後、熱硬化するか、光硬化するか、或いは光で選択的に硬化させ、未硬化部分を現像除去した後、必要に応じ熱で硬化して得られる永久保護皮膜付きプリント配線板として使用する。本発明の組成物は、特に、レジスト樹脂組成物内に、ハロゲン、リン、アンチモンを殆ど含まない、環境に影響の少ない永久保護皮膜に関するものである。これを塗布、乾燥、硬化して得られたプリント配線板は主として高密度の小型プリント配線板として、半導体プラスチックパッケージ用、マザーボード用等に使用される。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線板の永久保護皮膜として使用される熱硬化型レジスト、光選択熱硬化型レジスト、及び光硬化型レジストは、それ自体は自己消火性のない樹脂組成物であり、これを臭素が入った積層板の上に塗布、乾燥、硬化したものは、着火した場合に、表層の永久保護皮膜は、積層板中からの燃焼分解して発生する臭素ガスにより燃焼を妨げられるために全体は自己消火性を達成できていた。しかしながら、ノンハロゲン積層板を用いた回路板の上に塗布、乾燥、硬化したものは、表層の永久保護皮膜が可燃性をの場合に、自己消火性(耐燃性)UL94規格のV−1以上、特にV−0の耐燃性を示す永久保護皮膜付きプリント配線板は作製できなかった。
【0003】
耐燃性を付加する目的で水酸化アルミニウムを添加することが知られているが(例えば、特許文献1参照。)、樹脂100部に対し水酸化アルミニウムを150部以上添加する場合、耐熱性が減少し、280℃の半田槽で1分間の浸漬を行うことにより塗膜の異常が見られ、問題のあるものが多かった。更に、レジストには一般に着色顔料が添加されており、この顔料は殆どが緑色である。この緑色の顔料ではフタロシアニングリーンが一般的であるが、この分子内には塩素が大量に含まれており、有害物質が発生する恐れがあることが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。耐燃性を付加する目的で、リン酸エステル化合物、アンチモンを添加することがあるが、リン酸エステル化合物は燃焼時にホスフィン等の有害物質が発生する恐れがあり、問題のあるものが多かった。また、ハロゲンに代わる難燃剤として使用されているリン酸エステル系化合物の危険性も指摘されている(例えば、非特許文献2参照。)。また、アンチモンも毒性が強く、有害性の点から好ましいものではない。
【0004】
また、有機溶剤を添加した水溶液、或いは希アルカリ性水溶液による現像タイプの液状光選択熱硬化塗料は、カルボキシル基含有アクリル系樹脂にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させて得られる不飽和樹脂に芳香族エポキシ化合物を配合して得られる樹脂組成物(例えば、特許文献2参照。)、ノボラック型エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との反応物に飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる化合物に希釈剤を添加したもの(例えば、特許文献3参照。)、(メタ)アクリル酸とラクトン変性ヒドロキシル(メタ)アクリレートを必須成分とするビニル共重合体のカルボキシル基の一部に、脂環式エポキシ基含有(メタ)アクリレートを反応して得られる樹脂にクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を配合したもの(例えば、特許文献4参照。)等が知られている。
【0005】
しかしながら、これらを用いて配合したレジストは、それ自体が自己消火性(耐燃性)が付与されたものではなく、ハロゲンフリーでリン、アンチモンを含まない積層板を用いた回路板上に塗布するレジストとして耐燃性を実現できないものであった。また、近年ますます高密度化するプリント配線板の表層の永久保護皮膜は、耐熱性、耐マイグレーション性、吸湿処理後の耐熱性等が今一歩であり、信頼性の点からも従来のレジストは問題のあるものであった。その中でも現像性の劣るレジストは現像後に銅表面に残存し、その後のニッケルメッキ、金メッキ不良が発生していた。
【0006】
一方、多官能性シアン酸エステル類と光重合性もしくは光架橋性の単量体或いはプレポリマーとの混合物または予備反応物を主成分とするものが出願されている(例えば、特許文献5参照。)が、これは希アルカリ水溶液或いは水に水溶性有機溶剤を添加した水溶液では現像が不可能であり、溶剤で現像すると光硬化した箇所も一部溶解する等のために光選択熱硬化型レジストとしては使用困難であった。更には、多官能性シアン酸エステル化合物は銅との密着性が良好であり、銅と直接接触する場合、有機溶剤でも除去不可能なため、その後のニッケルメッキ、金メッキの付着不良が発生していた。
【0007】
【特許文献1】特開2002−148799号公報
【特許文献2】特開平1−139619号公報
【特許文献3】特開昭61−243869号公報
【特許文献4】特開平8−41150号公報
【特許文献5】特開昭56−141321号公報
【非特許文献1】B.G.Soni, ”Do flame retardants threaten ocean life?” ,Nature,394,28(1998)
【非特許文献2】「難燃性高分子材料の高性能化技術」、シーエムシー社発行、2002年6月、P361−367
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の問題点を解決した、ハロゲンフリーでリン、アンチモンを含まず、自己消火性を有し、ノンハロゲンプリント配線板上に塗布して全体的に自己消火性(耐燃性)を有する永久保護皮膜用レジスト組成物を提供する。
【0009】
【発明が課題を解決するための手段】
本発明は、それ自体が自己消火性を有するハロゲンフリーで、リン、アンチモンを含まない保護皮膜用レジスト組成物に関するものである。永久保護皮膜用レジストにおいて、樹脂成分100重量部に対し、難燃剤として、(a)水酸化アルミニウム100〜150重量部、(b)ベーマイト10〜100重量部(c)モリブデン化合物0.1〜20重量部を必須成分とし、更に好ましくは(d)亜鉛スズ酸系化合物0.01〜10重量部を必須成分として配合することにより、それ自体自己消火性を有するレジスト組成物となる。また、本発明の光選択熱硬化型レジストとして、(e)エポキシ樹脂5〜35重量%、(f)エポキシアクリレート100重量部に多官能性シアン酸エステル化合物5〜40重量部を反応させた反応生成物に多塩基酸無水物10〜90重量部反応させた、酸価40〜200mgKOH/gの不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂を20〜90重量%、 (g)エチレン性不飽和モノマー 1〜30重量%、(h)光重合開始剤 0.1〜20重量%を必須成分として配合してなる光選択熱硬化型レジストを、銅導体からなるハロゲン、リン、アンチモンフリープリント配線板の上に塗布、加熱乾燥して溶剤を飛ばした後、光を照射して光硬化成分を選択的に硬化させ、光の照射していない未硬化成分をアルカリ性の現像液にて溶解除去し、次いで加熱して熱硬化成分を熱硬化させて得られるプリント配線板とすることにより、耐熱性、耐マイグレーション性、耐燃性等に優れたものを得ることができた。もちろんこのレジスト組成物は、臭素含有或いはリン含有プリント配線板の上に塗布して使用することも可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の永久保護皮膜用レジスト組成物としては、熱硬化型レジスト、光選択熱硬化型レジスト、光硬化型レジストとして使用することができる。しかしながら、耐熱性、耐マイグレーション性等の点からは、多官能性シアン酸エステル化合物を配合するか、分子内に反応して取り込んだレジストが好適に使用される。
【0011】
本発明の好適な樹脂成分である多官能性シアン酸エステル化合物とは、分子内に2個以上のシアナト基を有する化合物である。具体的に例示すると、1,3−又は1,4−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、1,3−、1,4−、1,6−、1,8−、2,6−又は2,7−ジシアナトナフタレン、1,3,6−トリシアナトナフタレン、4,4−ジシアナトビフェニル、ビス(4−ジシアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモー4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、トリス(4−シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4−シアナトフェニル)ホスフェート、シアネート化ポリフェニレンエーテル、およびノボラックとハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類などである。これに1官能のシアネート化合物も添加できる。
【0012】
これらのほかに特公昭41−1928、同43−18468、同44−4791、同45−11712、同46−41112、同47−26853及び特開昭51−63149等に記載の多官能性シアン酸エステル化合物類も用いら得る。また、これら多官能性シアン酸エステル化合物のシアナト基の三量化によって形成されるトリアジン環を有する分子量400〜6,000 のプレポリマーが使用される。このプレポリマーは、上記の多官能性シアン酸エステルモノマーを、例えば鉱酸、ルイス酸等の酸類;ナトリウムアルコラート等、第三級アミン類等の塩基;炭酸ナトリウム等の塩類等を触媒として重合させることにより得られる。このプレポリマー中には一部未反応のモノマーも含まれており、モノマーとプレポリマーとの混合物の形態をしており、このような原料は本発明の用途に好適に使用される。一般には可溶な有機溶剤に溶解させて使用する。
【0013】
また、熱硬化成分として使用されるものでは、エポキシ樹脂が大半である。(e)エポキシ樹脂としては、一般に公知のものが使用できる。具体的には、液状或いは固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂;ブタジエン、ペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、ジシクロペンチルエーテル等の二重結合をエポキシ化したポリエポキシ化合物類;ポリオール、水酸基含有シリコン樹脂類とエポハロヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジル化合物類、エポキシ化ポリブタジエン樹脂、エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂中には必然的に塩素が含まれており、塩素の少ないものを使用するのが好ましい。これらは1種或いは2種類以上が組み合わせて使用され得る。日本プリント回路工業会(JPCA)規格、JPCA−ES−01−1999で定めた銅張積層板のノンハロゲン材料の定義であるハロゲン含有量0.09%以下の数値を、ノンハロゲンソルダーレジストの定義として採用した。
【0014】
本発明の光選択熱硬化型レジストに使用される(i)成分の不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂は、分子内にカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基などの不飽和基を有する樹脂であり、一般に公知のものが使用される。 例えば、特開平1−139619に示される、カルボキシル基有アクリル樹脂とグリシジル(メタ)アクリレートとを反応して得られる不飽和基含有樹脂、特開平8−41150に記載の(メタ)アクリル酸とラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを必須成分とするビニル共重合体のカルボキシル基の一部に、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物を反応させた不飽和基含有樹脂、特開昭61−243869に記載のノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸との反応物に飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる樹脂など,一般に公知のものが挙げられる。
【0015】
本発明で使用される(i)成分である不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂の中で好ましいものは、酸価10〜200mgKOH/g、樹脂1kg当たりの二重結合が1.0〜3.5モル、数平均分子量1,000〜50,000の(メタ)アクリル酸とラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを必須成分とするカルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂と脂環式エポキシ基含有不飽和化合物を反応させた不飽和基含有樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型或いはそれらのハロゲン化エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸とを、酸当量/エポキシ当量の比か0.2〜1.0の範囲で反応させ、得られた反応物の水酸基に飽和或いは不飽和多塩基酸無水物を酸当量/水酸基当量の比が0.2以上で反応させた反応物であり、その酸価が40〜160mgKOH/gの不飽和含有ポリカルボン酸樹脂などが挙げられる。
【0016】
しかしながら、高密度のプリント配線板の永久保護皮膜としては、耐熱性、耐マイグレーション性などが問題となるため、多官能性シアン酸エステル化合物を分子内に取り込んだ不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂が好適に使用される。好ましい樹脂としては、エポキシアクリレート100重量部に多官能性シアン酸エステル化合物5〜40重量部反応させた樹脂に多塩基酸無水物10〜90重量部反応させた、酸価40〜200mgKOH/gの不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂が使用される。使用量は20〜90重量%、好ましくは25〜70重量%である。
【0017】
本発明の(i)成分である多官能性シアン酸エステル化合物を分子内に取り込んだ不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂において、原料として使用するエポキシアクリレートは、エポキシ樹脂とアクリル酸との反応物である。例えば、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ビスフェノールF型エポキシアクリレート、ビフェノール・エポキシアクリレート、テトラメチルビフェノール・エポキシアクリレート、ヘキサメチルビフェノール・エポキシアクリレート、キシレンノボラック・エポキシアクリレート等であり、これらは1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。
【0018】
本発明の(i)成分の酸変性の反応に使用する多塩基酸無水物としては、1分子内に2個以上の無水カルボン酸を有する一般に公知の酸無水物が使用され得る。具体的には、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ナフタレンー1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、その他無水酸を分子内に有するもの、これらの1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。
【0019】
本発明のエポキシアクリレートと多官能性シアン酸エステル化合物を反応する条件は特に限定しないが、一般的には、エポキシアクリレート100重量部に対し、多官能性シアン酸エステル化合物を5〜40重量部、好ましくは10〜30重量部用いて変性させる。反応温度は、50〜100℃、反応時間5〜100時間である。反応時の粘度調整のために溶剤を使用することができる。使用する溶剤は特に限定はしないが、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアセテート類;ソルベントナフサ、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が、単独或いは2種以上組み合わせて使用され得る。
【0020】
次に、エポキシアクリレートと多官能性シアン酸エステル化合物の反応物を多塩基酸無水物でカルボン酸変性を行い、(i)不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂を得る。変性量は、前述のエポキシアクリレート100重量部に多官能性シアン酸エステル化合物5〜40重量部反応させて変性したものに、多塩基酸無水物を10〜90重量部反応させて変性を行う。変性後に、得られた樹脂は、酸価が40〜200mgKOH/g 、好ましくは50〜160mgKOH/g とする。この場合も、粘度調整のために溶剤を使用することが可能である。具体的には、上記溶剤、更にはプロピレングリコールものメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエステル類が使用される。光選択熱硬化型レジストとする場合、(i)不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂の使用量は樹脂組成物中20〜90重量%、好ましくは25〜80重量%が使用される。
【0021】
次に本発明のレジスト組成物を光硬化型レジスト、或いは光選択熱硬化型レジストに使用する場合、使用される(g)成分のエチレン性不飽和二重結合を有する光重合性化合物としては、まず、2価以上のアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。このアルコール類としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10−デカンジオール、シクロヘプタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のポリエチレングリコール類;ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール類;キシレンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ビフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリットール、ジペンタエリスリットール、トリペンタエリスリットール、ソルビトール、グルコース、ブタントリオール、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、1,2,4−ベンゼントリオール等が挙げられる。更には(メタ)アクリレート化ポリフェニレンエーテル樹脂が挙げられる。
【0022】
また、アリル化合物、例えばアジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等のポリアリルエステル類、ポリスルホン酸のポリアリルエステル類、ジアリルエーテル、トリアリルイソシアヌレート等も用いられる。更に、例えばジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、ジビニルフタレート、ジビニルテレフタレート等のポリビニル化合物も使用される。その他、公知の化合物、樹脂類などが使用できる。これらの化合物は、1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。使用量は、1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%である。
【0023】
本発明のレジスト組成物を光硬化型レジスト、或いは光選択熱硬化型レジストとして使用する場合、光で重合させるための光重合開始剤(成分h)が使用される。例えばベンジル、ジアセチル等のα−ジケトン類;ベンゾイル等のアシロイン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のアシロインエーテル類;チオキサントン、1,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン類;ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、1,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン等のアセトフェノン類;アントラキノン、1,4−ナフトキノン等のキノン類;ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物等が1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。使用量は、0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜10重量%である。
【0024】
また、エポキシ化合物を配合した場合には、カチオン系光重合開始剤を加えることが好ましい。例えば芳香族スルホニウム塩、η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン]−アイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェート(1−)等の鉄の錯体等、一般に公知の重合開始剤の1種或いは2種以上が、エポキシ化合物100重量部に対し 0.1〜10重量部、好適には0.2〜5重量部使用される。
【0025】
本発明のレジスト組成物を熱硬化型レジストとして使用する場合、それ自体は加熱により硬化するが硬化速度が遅く、作業性、経済性等に劣る。その為、使用した熱硬化性樹脂に対して公知の熱硬化触媒を用い得る。使用量は、0.01〜5重量%、好ましくは0.015〜3重量%である。
【0026】
本発明でのレジスト組成物は、各成分を組み合わせ、均質の無溶剤タイプとするか、固形分を主とする樹脂組成物を溶剤に溶解或いは懸濁させて配合した状態で使用される。本発明のレジスト組成物はそれぞれ溶解する溶剤に予め溶解させて配合するのが好ましい。多官能性シアン酸エステル化合物を溶解する溶剤は、特に制限はなく、例示すれば、酢酸エチルジューキゾール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸−n−ブチル、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。好適には、使用時に溶剤が飛散して溶液の粘度が上昇するのを抑えるために、比較的沸点が高く、室温で飛散しにくいものが使用される。
【0027】
また、(i)成分の不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂も上記の溶解する溶剤が使用可能である。それ以外の溶剤としては。例示すれば、エチレングリコールアルキルエーテル類;ジエチレングリコールアルキルエーテル類;プロピレングリコールアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールアルキルエーテル類等が挙げられる。これらは1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。
【0028】
これらのレジスト組成物を難燃化する方法として、本発明では、樹脂成分100重量部に対し、難燃剤として、(a)水酸化アルミニウム100〜150重量部、(b)ベーマイト10〜150重量部、(c)モリブデン化合物0.1〜20重量部、更に好適には(d)亜鉛スズ酸系化合物0.01〜10重量部を配合することにより、自己消火性(耐燃性)を達成した。
【0029】
本発明の(a)成分である水酸化アルミニウムは、公知の方法で製造されたものが使用でき、特に限定はないが、平均粒子径は、10μm以下、好適には2μm以下が好適に使用される。これは3結晶水が含まれている。加熱して結晶水を平均値で2〜2.5程度にして使用することができる。余り加熱して結晶水を減らすと耐燃効果が減少するため、好ましくない。
【0030】
本発明の(b)成分のベーマイトとは、水酸化アルミニウムをと金属化合物、水を混合、水圧合成、ろ過、水洗、乾燥により合成されたものが使用でき、特に限定はしないものの、ソルダーレジストとしてベーマイトを使用する場合、表面平滑性の理由から針状結晶のものが好適に使用される。
【0031】
他の難燃剤成分である(c)モリブデン化合物は、モリブデン原子を含む化合物であり、一般に公知のものが使用できる。具体的には、酸化モリブデン、硼化モリブデン、珪化モリブデン、硫化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸アンモニウム等が例示される。これらはそのまま粉体でレジスト組成物中に分散することも可能であるが、好適にはモリブデン化合物を、無機充填剤、例えばタルク、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等の平均粒子径5μm以下のものに担持したものが使用される。無機充填剤に担持する製造方法は、例えば米国特許第3,969,127号に記載されている方法等が使用される。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。使用量は樹脂成分100重量部に対し、水酸化アルミニウム、ベーマイトを併用して、モリブデン化合物として0.1〜20重量部、好適には0.5〜15重量部使用する。
【0032】
更に他の難燃成分である(d)亜鉛スズ酸塩系化合物を0〜10重量部配合することによって、より耐燃性のレベルは向上する。本発明の亜鉛スズ酸塩系化合物は、具体的には亜鉛ヒドロキシスズ酸塩、亜鉛スズ酸塩等が挙げられる。これらは1種或いは2種以上が組み合わせて使用できる。
【0033】
本発明のレジスト組成物には、組成物本来の特性が損なわれない範囲で、所望により種々の添加物を配合することができる。これらの添加物としては、1官能性以上のマレイミド類、ポリブタジエン、マレイン化ブタジエン、ブタジエンーアクリロニトリル共重合体、ブタジエンースチレン共重合体、アクリルゴム、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、不飽和基含有PPE樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリスチレン、ポリウレタン等が挙げられる。また、その他、公知の有機の充填剤、無機の充填剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光増感剤、チキソ性付与剤等の各種添加剤が、所望に応じて適宜組み合わせて使用される。必要により、反応基を有する化合物は、その硬化剤、触媒が適宜使用される。
【0034】
また、着色の為に使用される顔料としては、特に制限は無く、公知の顔料が使用できる。着色を緑色とする場合、特にハロゲンの量を低減させる目的としては、公知の青色顔料と公知の黄色顔料を併用することが好ましい。青色顔料としては、銅フタロシアニンブルー(C.I.Pigment Blue 15)、ニッケルフタロシアニンブルー、鉄フタロシアニンブルー、アルカリブルー(C.I.Pigment Blue1,2,3,10,14,18,19,24,56,57,61)が挙げられる。更に、黄色顔料としては、ベンズイミドロンイエロー(C.I.Pigment 120,151,175,180,181,194)アントラキノンイエロー(C.I.Pigment Yellow 123,147)イソインドリンイエロー(C.I.Pigment Yellow 139,185)等が挙げられる。
【0035】
本発明のレジスト組成物は、それぞれの硬化形態により、硬化させる。例えば、熱硬化型レジストは、プリント配線板の上にスクリーン印刷等で塗布し、必要により加熱乾燥して溶剤を除去した後、加熱して硬化させる。また、光選択熱硬化型レジストは、これをプリント配線板等の被覆物の上に塗布し、前乾燥を行なって溶剤を除去してから紫外線等の活性エネルギー線を照射して必要部分を選択的に光硬化させてから、未硬化部分を希アルカリ水溶液等で現像除去してから、その後熱を加えて後硬化を行う。その後、必要により電解、無電解のニッケルメッキ、金メッキを行い、半導体チップ搭載用等のプリント配線板として使用する。更に、光硬化型レジストは、被覆物の上に塗布し、必要により乾燥して溶剤を除去した後、光で硬化させる。
【0036】
本発明のレジスト組成物のプリント配線板への塗布方法としては、スクリーン印刷法、ロールコーター法、或いはカーテンコーター法等の一般に公知の方法で行うことができる。また、これらをフィルム状のレジスト組成物シートとして被覆物の上に配置し、加熱、加圧下に接着させ、必要により選択的に光硬化させて、希アルカリ水溶液で現像、熱硬化させて使用することも可能である。
【0037】
塗布後、必要により加熱して前乾燥を行って溶剤を除去する。乾燥には熱風乾燥炉等の一般に公知の装置が使用できる。乾燥温度は 30〜100℃、好ましくは50〜80℃である。温度が低いと乾燥時間が長くなりすぎ作業効率が悪い。また温度が高いと樹脂同士が反応して、光選択熱硬化型レジストの場合、現像液に溶解しにくくなる。溶剤を除去する前処理の際に必要な時間は10分〜2時間、好ましくは15〜60分である。
【0038】
本発明に使用するプリント配線板は、光選択熱硬化型レジストを塗布する前に、パターン化された銅導体表面は必要に応じ処理を行う。銅導体表面の処理は研磨等が知られているが、好適には予め銅キレート剤等が配合された防錆溶液で処理を行うことにより、銅導体と樹脂との密着性を向上させることができ、プレッシャークッカー処理後の絶縁性劣化が少なくなる、剥離がなくなる等の改善を大幅に行うことができる。
【0039】
防錆処理剤としては一般に公知のものが使用できる。銅キレート剤も一般に公知のものが使用され得る。これらは例えばポリベンズイミダゾール、クロメート処理等が挙げられ、1種或いは2種以上が組み合わせて使用される。例えば(株)メック社製のSL8300Eといった防錆溶液が好適に使用される。
【0040】
プリント配線板の上に塗布された皮膜は、無溶剤の場合、その上にフィルムを配置し、平行光で光を照射して露光する。また溶剤型の場合、溶剤を除去した後、フィルムをその上に配置し、活性エネルギー線を照射して必要な部分を光硬化させる。光の照射されない部分は現像液で溶解除去し、その後熱で後硬化してから銅導体表面に付着した防錆処理、キレート剤等を公知の方法で除去し、必要に応じ、ニッケルメッならびに金メッキを施してプリント配線板とする。
【0041】
本発明のレジスト組成物を光硬化レジスト、光選択熱硬化型レジストとして使用する場合、レジストを光硬化するための活性エネルギー線の照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ或いはメタルハライドランプ等が用いられる。露光量は特に制限はないが、一般には100〜3,000mJ/cm2、好ましくは300〜2,000mJ/cm2 である。その他、電子線、レーザー等も使用できる。
【0042】
本発明のレジスト組成物を光硬化レジスト、光選択熱硬化型レジストとして使用する場合、本発明の塗膜の現像は、スプレー現像法、現像液にプリント配線板を浸せきして振動させるディップ現像法等、一般に公知の方法で実施する。現像液の温度は5〜50℃、好ましくは25〜40℃である。温度が低いと現像時間がかかる、現像性が悪い等の問題が生じる。温度が高いと光照射した硬化部分が溶解してしまう。現像液としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム或いはアンモニウムハイドロオキサイドの水溶液等、一般に公知の希アルカリ水溶液が使用できる。また、水に水溶性有機溶剤を添加した水溶液が使用できる。また、水に水溶性有機溶剤を添加した水溶液、水に水溶性有機溶剤とアルカリ剤とを加えた水溶液も使用できる。水溶液中のアルカリ剤の量は0.1〜5重量%が好適である。
【0043】
現像液に使用される 水溶性有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、ジエチレングリコール、メタノール、エタノール、プロパノール、γ−ブチロラクトン、メチルセロソルブ等、一般に公知のものが使用できる。これらの溶剤は水溶液全体の10〜80重量%、好ましくは15〜50重量%の範囲で使用される。更に、現像性を高めるために水酸化ナトリウム、珪酸ナトリウム、モノメタノールアミン等のアルカリ剤を添加することもできる。
【0044】
本発明のレジスト組成物を光選択熱硬化型レジストとして使用する場合、現像後に加熱硬化させる。硬化温度は100〜250℃、好ましくは120〜180℃である。その後、ニッケルメッキ、金メッキを行う。
【0045】
【実施例】
以下に実施例、比較例で本発明を具体的に説明する。尚、特に断らない限り、『部』は重量部を表す。
<多官能性シアン酸エステルプレポリマーの合成>
(合成例1)
2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン1,000部を、150℃に溶融させ、撹拌しながら4時間反応させ、重量平均分子量1,900、融点66℃のプレポリマー(X−1)を得た。これをメチルエチルケトンに溶解し、溶液とした。
<成分(f):不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂の合成>
(合成例2)
フラスコに温度計、攪拌機、環流冷却器、滴下ロート及び窒素吹込管を取りつけ、これにジプロピレングリコールモノメチルエーテル1,000部を仕込み、100℃に加熱した中に、ベンゾイルパーオキサイド14部、メチルメタクリレート420部、ヒドロキシエチルメタクリレート70部、メタクリル酸210部の混合物を2時間かけて滴下し、8時間保持した。得られたアクリル樹脂は、酸価200mgKOH/gであった。次いで、この樹脂にグリシジルメタクリレート210部、トリエチルアミン3.5部、ハイドロキノン0.07部を加え、100℃で5時間反応させ、メタクリロイル基1.7モル/kg、酸価89mgKOH/g の不飽和基含有樹脂(固形成分:F−1)溶液を得た。
【0046】
(合成例3)
ビスフェノールA型エポキシアクリレート(商品名:SP1509、昭和高分子<株>製)1,000部、合成例1の多官能性シアン酸エステルプレポリマー成分を50部、溶剤としてジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/ソルベントナフサ(50/50重量比)を1,050部加え、固形分50重量%とした後、70℃に加熱して攪拌混合しながら反応させ、赤外吸収スペクトルによりシアナト基のピーク(2300cm−1付近)の変化を追跡した。5.5時間後にシアナト基のピークが消滅した時点で反応を終了した。この反応液に無水ピロメリット酸を218部、及び上記混合溶剤を218部加え、温度70℃にて攪拌混合しながら反応を行い、赤外吸収スペクトルにより無水カルボン酸のピーク(1,850cm−1付近)を追跡し、6時間後にピークが消滅した時点で反応を終了した。この樹脂(固形成分をF−2とする)の酸価は90mgKOH/g であった。
(合成例4)
合成例3において、多官能性シアン酸エステルプレポリマー成分を300部、テトラヒドロフタル酸無水物を521部加えた以外は合成例2と同様にして樹脂(固形成分:F−3とする)を作成した。この樹脂の酸価は100mgKOH/g であった。
(合成例5)
合成例3で、ビスフェノールA型シアン酸エステル化合物100部、無水ピロメリット酸を174部加えた以外は合成例2と同様にして樹脂(固形成分:F−4とする)を作成した。この樹脂の酸価は75mgKOH/g であった。
【0047】
<難燃剤>
成分aとして、水酸化アルミニウム(A−1とする、平均粒子径2μm)、b成分としてベーマイト(B−1とする、平均粒子径2.8μm)、c成分として、タルク(平均粒子径4.1μm)にモリブデン酸亜鉛を担時した、モリブデン酸亜鉛含有率19wt%の粉体(商品名:KEMGARD911C、シャーウイン・ウイリアムズ<株>製、成分C−1とする)、d成分として、亜鉛ヒドロキシスズ酸塩,(商品名:ZHS,JOSEPH STOREY & CO LTD製、成分D−1とする)を使用した。
【0048】
<エポキシ樹脂>
成分eとして、変性キシレン樹脂エポキシ化物(商品名:デナカルT、ナガセ化成工業<株>製、成分E−1とする)、脂環式エポキシ樹脂(商品名:セロキサイド2021、成分E−2とする、商品名:EHPE3150、成分E−3とする、ダイセル化学工業<株>製)を使用した。
<エチレン性不飽和モノマー>
成分gとして、テトラエチレングリコールジアクリレート(成分G−1とする)を使用した。
<光重合開始剤>
h成分として、(商品名:イルガキュア907、チバガイギー<株>製、成分H−1とする)を使用した。
<顔料>
顔料としては緑色顔料、青色顔料と黄色顔料の併用系とを用いた。具体的には、青色顔料(商品名:フタロシアニンブルー山陽色素<株>、成分I−1とする)を使用した。また、黄色顔料としては、イソインドリンイエロー(商品名:C.I.Pigment Yellow 139山陽色素<株>、成分I−2とする)を使用した。青色顔料、黄色顔料の併用に関しては、分子内に塩素は含有されていない。緑色顔料はハロゲンを分子内に含有されているものを用いた(商品名:フタロシアニングリーン山陽色素<株>、成分I−3。
<添加剤>
レベリング剤として、(商品名:BYK055、ビックケミー・ジャパン<株>製、成分J−1とする)、脱泡剤として(商品名:フローレンAC300、共栄社化学<株>製、成分J−2とする)、カップリング剤としてA−187(日本ユニカ<株>製、成分J−3とする)を使用した。
【0049】
(実施例1〜6,比較例1〜6)
水酸化アルミニウム(成分A−1)、ベーマイト(成分B−1) 、モリブデン化合物(成分C−1)、 亜鉛スズ酸塩系化合物(成分D−1) 、エポキシ樹脂(成分E−1〜3) 、不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂(成分F−1〜4)、 エチレン性不飽和モノマー(成分G−1) 光重合開始剤(成分H−1) 、顔料(成分D−1〜3) 、レベリング剤(成分J−1) 、脱泡剤(成分J−2)、カップリング剤(成分J−3)を表1のように配合して光選択熱硬化型レジスト組成物とした。これを、厚さ30〜40μmとなるようにパターンを作成した板及び銅箔をエッチング除去した積層板の両面に塗布し、80℃で20分乾燥して溶剤を飛ばし、その上にフィルムを配置して、紫外線を1,000mJ/cm2 照射した後、1wt%の炭酸ナトリウム水溶液で現像した。その後150℃で1時間熱硬化した。特性評価結果を表2に示した。また、耐燃性(UL94)を見るために、ハロゲン、リン、アンチモンフリー銅張積層板(商品名:CCL−HL832NB、三菱ガス化学<株>製)の銅箔をエッチング除去した、厚さ0.2mmの積層板の両側に、塗布し、乾燥して、レジスト厚みが40μmの試験片(サイズ:12.7x127mm)を作成した。これを用いてUL94の耐燃性試験を行った。結果を表2に示す。
【0050】
得られた塗料を、櫛形パターンを50個形成した(使用銅張積層板商品名:CCC−HL830、三菱ガス化学<株>製、ライン/パターン=60/60μm)基板上にスクリーン印刷法にて乾燥後の厚みが30〜40μmとなるように塗布し、80℃の熱風乾燥機で乾燥した。その後、ネガフィルムを密着させ、1,000mJ/cm2の紫外線を照射してから1wt%炭酸ナトリウム水溶液で現像し、更に150℃にて1時間熱硬化させ、表面の絶縁皮膜を得た。これを用いて85℃,85%RH,50VDC条件下でマイグレーションを測定した。測定結果を表2に示す。
【0051】
塗膜とした樹脂組成物の特性を以下の方法により評価した。
鉛筆硬度: JIS K 5400 に準じて評価を行った。
密着性 : JIS K 5400 に準じて、試験片に1mmの碁盤目を100個作成し、セロファンテープにて引き剥がし試験を行い、碁盤目の剥離状態を見た。表中の分母は試験碁盤目数、分子は残存数である。
半田耐熱性:280℃の半田槽に1分間浸漬後、布膜の異常の有無を目視観察した。ガラス転移温度:厚さ40μmの塗膜を作成し、TMA法(JIS C6481)にて測定した。現像性及び耐酸性:現像後、現像面を目視で観察するとともに、無電解ニッケルメッキ(pH 4.5、浸漬 90℃・20分)を施し、ニッケルメッキの付着状態を観察して現像性を判定した。同時にレジスト面の薬品に侵される状態も観察した。
耐マイグレーション性:85℃,85%RH,50VDCにて所定の時間処理後、絶縁抵抗を測定した。
耐燃性:UL94に準じて測定した。
耐燃性−1:内層板としてハロゲン、リン、アンチモンフリー銅張積層板(商品名:CCL−HL832NB 三菱ガス化学<株>製0.2mm)の銅箔をエッチング除去して、この両面にレジスト組成物を実施例、比較例に示す厚さとなるように塗布し、UV硬化及び /又は熱硬化させてから、UL94の測定法に準じて耐燃性を測定した。
耐燃性−2:レジスト組成物を重ね塗り、硬化し、厚さ200〜300μmとしたもの単独を、UL94の測定法に準じて耐燃性を測定した。
全塩素、全臭素:JPCA規格(JPCA−ES−01−1999)に準じて測定した。ハロゲンフリーとなる規格は900ppm以下。
リン、アンチモン:ICP(誘導結合プラズマ法)で測定した。
【0052】
【0053】
【0054】
(実施例7〜8,比較例7〜8)
合成例1で作製した多官能性シアン酸エステルプレポリマー(成分X−1)、実施例1〜6で使用したエポキシ樹脂、これに触媒としてアセチルアセトン鉄(成分J−1)を表3のように配合して熱硬化性樹脂組成物ワニスとした。これに添加剤、難燃剤を加えて熱硬化型レジスト組成物とした。これを、実施例1〜6と同様にして、厚さ30〜40μmとなるようにパターンを作成した板及び銅箔をエッチング除去した積層板の両面に塗布し、150℃で90分加熱して硬化させた。この特性を表4に示した。
【0055】
【0056】
【0057】
<測定方法>
実施例1〜6に示した測定方法に従う。但し、耐マイグレーション性の試験片作製において、乾燥時間は、レジスト組成物塗布後、150℃で90分加熱硬化したものを使用した。
【0058】
(実施例9,比較例9)
実施例、比較例のエポキシ樹脂(成分E−2,E−3)、エチレン性不飽和モノマー(成分F−2)、光重合開始剤(成分G−1)及びカチオン重合開始剤(商品名:イルガキュア261、チバガイギー<株>製、成分K−1とする)、重合補助剤としてクメンハイドロパーオキサイド(成分L−1とする)を表5に示すように配合し、光硬化性樹脂ワニスとした。これに添加剤、難燃剤を加えて熱硬化型レジスト組成物とした。これを実施例1〜6と同様に、厚さ30〜40μmとなるように銅箔をエッチング除去した板の上に塗布、乾燥し、UVを1000mJ/cm2 照射して光で硬化させた。この特性を表6に示す。
【0059】
【0060】
【0061】
以上の結果から、本発明の難燃剤を使用することにより、ハロゲン(塩素)はJPCA規格で定めた900ppm以下であり、リン、アンチモンも極めて少ないもので、自己消火性(耐燃性)を達成することができた。この難燃剤を配合したものはそれ自体単独で自己消火性(UL94でV−0)となり、さらにプリント配線板の表面に塗布して硬化したものも自己消火性(V−0)を示し、非常に有用である。また、これらの難燃剤を添加しても多官能性シアン酸エステル化合物を配合したもの、或いは反応して分子内に取り込んだものは耐マイグレーション性にすぐれたものが得られた。また、難燃剤としてベーマイトを使用することにより、難燃性を付与し、耐熱性に優れるものが得られた。
【0062】
【発明の効果】
本発明になる難燃剤を配合したレジスト組成物は、ハロゲン、リン、アンチモンを含まず、安全性に優れ、それ自体が自己消火性(UL94 V−1以上)を有するものが得られ、これをハロゲン、リン、アンチモンを含まないプリント配線板に塗布、硬化させて得られたものも自己消火性(V−1以上)を有するものが得られ、また、同時に耐熱性に優れたものが得られた。これは、それ自体が自己消火性を有しない(UL94 HB)レジスト組成物をハロゲン、リン、アンチモンを含まないプリント配線板の表面に塗布、硬化させても、全体はUL94 V−1以上、ひいてはV−0を示さず、耐燃性に難点が生じる。また、着色顔料のみにハロゲンを含まないものを使用したレジストがあるが、これはレジスト自体が自己消火性を示さず、ノンハロゲン、ノンリン、ノンアンチモンのプリント配線板の上に塗布、硬化してもHB〜V−2しか達成できないものであったが、本発明の難燃性レジスト組成物は優れた自己消火性を示し、かつ耐熱性に優れることから、電子機器用途に非常に有効なことが明らかである。また、分子内に多官能性シアン酸エステル化合物を取り込むことにより、今後益々高密度化するプリント配線板の信頼性に必要な、耐マイグレーション性などに優れ、また耐熱性も優れたプリント配線板用永久保護皮膜として好適なものが得られた。
Claims (6)
- 永久保護皮膜用レジストにおいて、樹脂成分に難燃剤として(a)水酸化アルミニウム (b)ベーマイト(c)モリブデン化合物を必須成分とするレジスト組成物。
- 該レジスト組成物に(d)亜鉛スズ酸塩系化合物を配合してなる請求項1記載のレジスト組成物。
- 該樹脂成分100重量部に対し、難燃剤成分(a)を100〜150重量部、(b)を10〜100重量部、(c)を0.1〜20重量部、(d)を0.01〜10重量部配合してなる請求項1又は2記載のレジスト組成物。
- 該レジスト組成物に、少なくとも(e)エポキシ樹脂5〜35重量%、(f)エポキシアクリレート100重量部と多官能性シアン酸エステル化合物5〜40重量部との反応生成物に、多塩基酸無水物10〜90重量部を反応させた、酸価40〜200mgKOH/g の不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂20〜90重量%、(g)エチレン性不飽和モノマー 1〜30重量%、(h)光重合開始剤 0.1〜20重量%を必須成分として配合してなることを特徴とする請求項1、2又は3記載の耐燃性に優れた光選択熱硬化型レジスト組成物。
- 該レジスト組成物の着色顔料として、ハロゲン含有量は5重量%以下である顔料を用いることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の耐燃性に優れたレジスト組成物。
- 該光選択熱硬化型レジストの現像液が、希アルカリ水溶液、水に水溶性有機溶剤を添加した水溶液、または水に水溶性有機溶剤とアルカリ剤を加えた水溶液であることを特徴とする請求項1、2、3、4、又5記載の光選択熱硬化型レジスト組成物。
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