JP2004196578A - マグネシア−カーボンれんが - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マグネシア-カーボンれんがに、カーボンファイバーを0.05〜5重量%、比表面積10〜200m2/gの炭素材料を0.1〜10重量%含む炭素質原料を1〜70重量%含有させる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は主として底吹き転炉の羽口れんがやノズルなどに使用されるマグネシア-カーボンれんがに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マグネシア-カーボンれんがは、高融点のマグネシアとスラグに対して濡れにくい性質をもつ炭素とにより構成されているため、耐食性に優れているとともに、炭素の高熱伝導性により耐スポーリング性にも優れており、転炉、電気炉等の様々な製鋼の精錬設備において広く使用されている。
【0003】
しかし、底吹き転炉の羽口れんがやノズルなど、加熱と冷却の繰り返しの激しい部位においては、このような炭素含有耐火物においてもスポーリングによる損傷が大きく、これが炉寿命の決定要因となっているのが現状である。
【0004】
また、マグネシア-カーボンれんがの耐酸化性や耐食性を向上するために、Al、SiやAlMg合金等の金属を添加する場合がある。しかし、こうした耐火物を内張りした溶融金属容器を繰り返し使用すると、れんがの稼動面側の表層部に迫り合い応力が発生し、稼動面表層の剥離が生じるスポーリング損傷によりれんがの損耗が大きくなる。
【0005】
耐スポーリング性を向上させる方法として、膨張黒鉛を使用する方法が提案されている(例えば、特許文献1など。)。しかし、膨張黒鉛の使用により耐火物の強度が小さくなり、構造物としての強度不足による耐火物の破壊が生じ、損耗が大きくなる場合がある。
【0006】
また、従来より、鋼ファイバーを添加して強度を向上させることが行われている(例えば、特許文献2など。)。しかし、鋼ファイバーの比重は、れんがよりも3倍程度大きいため、少量の添加ではれんが内に一様に分散せず、強度向上の効果を得るためには添加量を多くする必要がある。しかも、主成分が鉄であるので、添加量が多くなるとマグネシア-カーボンれんがの耐食性低下が著しい。
【0007】
この解決策として、アルミニウムファイバーやアルミニウム合金ファイバーや炭素ファイバーの添加が提案されている(例えば、特許文献3、4、5、6など。)。
【0008】
【特許文献1】
特開平5-301772
【特許文献2】
特開昭54-130608
【特許文献3】
特開昭61-136966
【特許文献4】
特開平8-239258
【特許文献5】
特開昭59-207871
【特許文献6】
特開平1-305849
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、アルミニウムファイバーやアルミニウム合金ファイバーは、アルミニウムがカーボンと反応して、800℃程度から炭化物(炭化アルミニウム等)が形成される。従って、金属アルミニウム添加と同様に耐スポーリング性が低下し、実用上、ファイバー添加の効果が現れない場合がある。
【0010】
また、炭素ファイバーの添加が特開昭59-207871及び特開平1-305849等に示されているが、れんが成形時に、絡まりあった炭素ファイバーが、弾性回復力によって元の形状に戻ろうとするスプリングバック現象により、れんが組織が劣化するため、れんがの物性低下が著しく、耐食性の低下が著しい。
【0011】
さらに、特開平8-239258等に示されているアルミニウムファイバーやアルミニウム合金ファイバーと炭素ファイバーの併用も、炭素ファイバーによるスプリングバック現象を完全には抑制できず、やはり組織劣化によるれんがの物性低下が著しい。
【0012】
本発明は以上のような問題点に鑑みてなされたものであって、耐スポーリング性に優れたマグネシア-カーボンれんがを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、カーボンファイバーと比表面積10〜200m2/gの炭素材料を併用する構成としている。すなわち、本発明はマグネシア-カーボンれんがに、カーボンファイバーを0.05〜5重量%、比表面積10〜200m2/gの炭素材料を0.1〜10重量%含む炭素質原料を1〜70重量%含有させるものである。
【0014】
上記比表面積10〜200m2/gの炭素材料は、カーボンブラック、黒鉛の微粒子、膨張黒鉛の微粒子のいずれか1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0015】
これにより、組織劣化が少なく、耐スポーリング性に優れたマグネシア-カーボンれんがを提供できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、実施例を参照しながら説明する。
【0017】
本発明は、マグネシア-カーボンれんがに、カーボンファイバーを0.05〜5重量%、比表面積10〜200m2/gの炭素材料を0.1〜10重量%含む炭素質原料を1〜70重量%含有させることにより、破壊抵抗性及び耐スポーリング性の向上を図るものである。
【0018】
本発明のマグネシア-カーボンれんがに使用するカーボンファイバーは、長さが1〜100mm、好ましくは5〜50mmのもので、断面形状を問わないが、繊維直径が1〜100μm、好ましくは4〜20μmのものを使用する。長さが1mm未満ではファイバーの引き抜き抵抗による破壊抵抗の向上効果が無く、100mmを超えると、耐火物原料の混練中にファイバーが絡まり、ファイバーとしての効果が発現し難いので好ましくない。当該カーボンファイバーは、繊維直径が1μm未満であると繊維が絡まり易くなり、100μm以上であると繊維の柔軟性が失われ、引き抜き抵抗による破壊抵抗の向上効果が低下するので好ましくない。
【0019】
上記カーボンファイバーの使用量は、0.05〜5重量%であり、さらに好ましくは、0.1〜1重量%である。カーボンファイバーの使用量が0.05重量%未満であると引き抜き抵抗の向上効果が無く、5重量%を超えるとれんが組織が粗雑になり、耐食性が著しく低下する。
【0020】
なお、上記カーボンファイバーは、一般に使用されているカーボンファイバーが使用でき、熱処理によってカーボン化する樹脂ファイバーやピッチファイバーも同様に使用できる。
【0021】
一方、本発明のマグネシア-カーボンれんがでは、上記カーボンファイバーとともに比表面積10〜200m2/gの炭素材料を使用する。当該比表面積は、10m2/g未満では耐スポーリング性が十分ではなく、200m2/gを超えるとれんがのかさ比重が小さくなり、酸化損耗が大きくなるとともにれんが強度が低下する。
【0022】
上記比表面積10〜200m2/gの炭素材料の使用量は、0.1〜10重量%であり、さらに好ましくは、0.5〜5重量%である。比表面積10〜200m2/gの炭素材料の使用量が、0.1重量%未満では耐スポーリング性の向上効果がなく、10重量%を超えると酸化損耗が大きくなるとともにれんが強度が低下する。
【0023】
上記比表面積10〜200m2/gの炭素材料を使用することによって、カーボンファイバーと炭素材料との接触点が増し、れんがのマトリックス部とカーボンファイバーの結合力が増加する。すなわち、カーボンファイバーの引き抜き抵抗が増大する。このため、組織劣化が少なく耐スポーリング性に優れたマグネシア-カーボンれんがを得ることができる。
【0024】
なお、上記比表面積10〜200m2/gの炭素材料は、市販のカーボンブラック、黒鉛の微粒子、膨張黒鉛の微粒子等の炭素材料のいずれか1種あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0025】
残部の炭素材料は特に限定されないが、鱗状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛等の黒鉛やその紛砕物、カーボンブラック、粉末ピッチ、メソフェーズピッチなどの炭素質原料が使用できる。
【0026】
上記カーボンファイバー及び上記比表面積10〜200m2/gの炭素材料を含む炭素質原料の使用量は1〜70重量%が好ましく、さらに好ましくは3〜30重量%である。当該炭素質原料の使用量が、1重量%未満ではスラグが浸透し易くなるとともに耐スポーリング性が低下する。逆に70重量%を超えると酸化損耗が大きくなるとともにれんが強度が低下する。
【0027】
マグネシア質原料には、電融マグネシア、焼結マグネシア、天然マグネサイト、オリビン、ドロマイト、スピネル等のマグネシアを主成分とする材料をいずれか1種または2種以上を組み合わせて使用できる。また、これらのマグネシア骨材の他に10重量%以下の範囲内で少量の酸化物耐火原料、非酸化物耐火原料等を添加することができる。本発明における炭素質原料を除くマグネシア骨材とその他の耐火原料の使用量は30〜99重量%である。
【0028】
なお、本発明のマグネシア-カーボンれんがには酸化防止の目的で一般的に使用されている、Al、Si、Mg、AlMg合金、AlSi合金、などの金属や、B4C、AlB2、CaB6、MgB2などのほう素化合物などの酸化防止剤を必要に応じて添加することができる。
【0029】
本発明のマグネシア-カーボンれんがの製造方法は従来の製造方法と同じでよい。すなわち、マグネシア骨材に炭素質原料を加え、必要に応じて金属粉末やその他既知の添加物を添加し、フェノール樹脂、ピッチ、タール等の炭素結合を形成する結合材を1〜15重量%好ましくは3〜8重量%加えて混練する。そして、これを成形後100〜500℃好ましくは150〜400℃の熱処理をして不焼成れんがとする。あるいは、成形後、500〜1500℃好ましくは800〜1300℃の還元雰囲気下で焼成した焼成れんがとすることもできる。また、不焼成れんがおよび焼成れんがにピッチを含浸することもできる。
【0030】
以下、本発明のマグネシア‐カーボンれんがについて行った試験の結果を、実施例として示す。以下の実施例では、比表面積10〜200m2/gの炭素材料として、比表面積58.3m2/gのカーボンブラックを使用している。
【0031】
【実施例】
表1に示す粒度構成の電融マグネシアと炭素質原料にフェノール樹脂及び一部には金属Alを加えて混練し、100Mpaの圧力でプレス成形後200℃で10時間熱処理してマグネシア-カーボンれんがを製造した。また、その物性とスポーリング損傷指数及びスラグ侵食指数も表1に示した。
【0032】
上記スポーリング損傷指数は、高周波誘導炉で溶融した1500℃の溶鉄に40 mm×40 mm×230mmの試片を長辺方向に100mmまで100秒浸漬し、直後に20秒水冷するサイクルを5回繰り返した後、長辺方向の超音波伝搬時間の変化率を測定し、比較例1の変化率を100として指数表示したものである。数値の大きいほどスポーリングによる劣化が大きいことを示している。
【0033】
また、上記スラグ侵食指数は転炉スラグ(スラグの塩基度はCaO/SiO2=3)を用いて回転式スラグ侵食試験機によって1750℃で3時間処理した後の侵食量を、比較例1の侵食量を100として指数表示したものである。数値の大きいほど侵食量が大きいことを示している。
【0034】
【表1】
表1の結果から、本発明のカーボンファイバーと比表面積58.3m2/gのカーボンブラックを併用したマグネシア-カーボンれんが実施例1〜6は、比較例1〜5よりも、スポーリング損傷指数が小さく、耐スポーリング性が向上している。
【0035】
さらに、本発明品の実施例1と従来品の比較例1とを転炉の底吹き羽口れんがに使用し、使用後の損耗速度を測定した。ここで損耗速度とは、1回の操業(charge)によるれんがの損耗量を表し、単位はch(=charge)である。測定の結果、比較例1は1.0mm/chであったのに対し、本発明品実施例1は0.5mm/chと耐用性が約50%向上した。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のカーボンファイバーと比表面積10〜200m2/gの炭素材料を併用することを特徴としたマグネシア-カーボンれんがは、優れた耐スポーリング性を示す。底吹き転炉の羽口れんがやノズルなどに本発明品を使用することにより炉寿命が向上し、その工業的価値は大きい。
Claims (2)
- カーボンファイバーを0.05〜5重量%、比表面積10〜200m2/gの炭素材料を0.1〜10重量%含む炭素質原料を1〜70重量%含有することを特徴とするマグネシア-カーボンれんが。
- 比表面積10〜200m2/gの炭素材料が、カーボンブラック、黒鉛の微粒子、膨張黒鉛の微粒子のいずれか1種あるいは2種以上を組み合わせた炭素材料である請求項1に記載のマグネシア-カーボンれんが。
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JP2015160749A (ja) * | 2014-02-26 | 2015-09-07 | Jfeスチール株式会社 | マグネシアカーボンれんがの製造方法およびマグネシアカーボンれんが |
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