JP2004196222A - 雪上車の懸架装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】乗り心地の向上を図りながら底付きを回避でき雪上車の懸架装置を提供する。
【解決手段】車体フレーム2の下方にトラックベルトを路面に押圧しつつ案内するスライドレール15を配置し、該スライドレールを前,後アーム部材30,31により車体に上下揺動可能に支持するとともに、該スライドレール15と車体フレーム2との間に前,後緩衝器32,33を介在させた雪上車の懸架装置において、上記前緩衝器にスライドレール15に軸支された第1リンク45の一端を連結し、上記前アーム部材のスライドレール側軸支点に第2リンクの一端部を固定し、上記第1,第2リンク45,46を上記第3リンク47を介して連結し、該第3リンク47の一端に上記後緩衝器を連結した。
【選択図】 図7
【解決手段】車体フレーム2の下方にトラックベルトを路面に押圧しつつ案内するスライドレール15を配置し、該スライドレールを前,後アーム部材30,31により車体に上下揺動可能に支持するとともに、該スライドレール15と車体フレーム2との間に前,後緩衝器32,33を介在させた雪上車の懸架装置において、上記前緩衝器にスライドレール15に軸支された第1リンク45の一端を連結し、上記前アーム部材のスライドレール側軸支点に第2リンクの一端部を固定し、上記第1,第2リンク45,46を上記第3リンク47を介して連結し、該第3リンク47の一端に上記後緩衝器を連結した。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラックベルトを路面に押圧しつつ案内するスライドレールを前,後アーム部材を介して車体フレームにより上下揺動可能に支持した雪上車の懸架装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
雪上車(一般にスノーモビルと称せられる)は、起伏のある雪面を自在に走行するような用途に供せられるのを前提としていることから、雪面の起伏による衝撃を吸収して乗り心地を高めるために懸架装置を備えている。
【0003】
この種の懸架装置として、従来、車体フレームとスライドレールとを前,後サスペンションアームで連結し、前サスペンションアームの車体側連結点とスライドレールとの間に前緩衝器を介在させ、後サスペンションアームの車体側連結点に後緩衝器の一端を連結し、該後緩衝器の他端にリンク部材を連結し、該リンク部材の端部を上記前アーム部材のレール側連結点に連結したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第2298749
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記公報記載の懸架装置は、スライドレールの単位ストロークに対する緩衝器ストロークを表すショックレシオ(レバーレシオともいう)の設定において選択幅が狭く、例えばレールストロークの増加につれて緩衝器ストロークの増加率が低下するいわゆるデグレッシブ特性が見られ、底付きし易いといった問題がある。また前,後緩衝器のレールストロークに対するショックレシオの選択幅が狭く、例えば柔らかく動作させたいストローク領域とエネルギを吸収させたいストローク領域とが両立しにくいといった問題がある。
【0006】
本発明は、上記従来の状況に鑑みてなされたもので、乗り心地の向上を図りながら底付きを回避でき雪上車の懸架装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、車体フレームの下方にトラックベルトを路面に押圧しつつ案内するスライドレールを配置し、該スライドレールを前,後アーム部材により車体に上下揺動可能に支持するとともに、該スライドレールと車体フレームとの間に前,後緩衝器を介在させた雪上車の懸架装置において、上記前緩衝器にスライドレールに軸支された第1リンクの一端を連結し、上記前アーム部材のスライドレール側軸支点に第2リンクの一端部を固定し、上記第1,第2リンクを上記第3リンクを介して連結し、該第3リンクの一端に上記後緩衝器を連結したことを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の同様の雪上車の懸架装置において、上記前緩衝器にスライドレールに軸支された第1リンクの一端を連結し、上記前アーム部材のスライドレール側軸支点に第2リンクの一端部を固定し、上記第1,第2リンクを上記第3リンクを介して連結したことを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、上記第2リンクの前アーム部材との連結点をa、第2,第3リンクの連結点をb、第1,第3リンクの連結点をc、第1リンクのスライドレール側連結点をd、第1リンクと前緩衝器との連結点をfとするとき、これらの連結点a,b,dの位置関係は、スライドレールの上昇ストロークSに対して連結点b,dを結ぶ連結点間距離Lc が所望の変化状態となるよう設定されていることを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3において、上記連結点a,b,dの位置関係を、ad(Ld=定数)を半径とする円弧とbd(Lc=変数)を半径とする円弧とが、スライドレールの上昇ストロークSの増加に伴って交差するように設定されていること特徴としている。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1又は2において、上記第2リンクの前アーム部材との連結点をa、第2,第3リンクの連結点をb、第1,第3リンクの連結点をc、第1リンクのスライドレール側連結点をd、第1リンクと前緩衝器との連結点をfとするとき、上記各連結点b,c,dを結ぶことにより形成された三角形の各頂点の角度と各辺の長さは、前,後緩衝器のそれぞれのストロークとその動く方向が所望の変化状態となるよう設定されていることを特徴としている。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5において、上記三角形bcdの頂角b,dが常に鋭角となるように設定されていることを特徴としている。
【0013】
【発明の作用効果】
請求項1,2の発明に係る懸架装置によれば、前緩衝器にスライドレールに軸支された第1アームの一端を連結し、前アーム部材のスライドレール側軸支点に第2アームの一端部を固定し、後緩衝器に第3アームの一端を連結し、上記第1,第2アームを上記第3アームを介して連結したので、上記第1〜第3アームの各連結点の位置関係を、例えば請求項3〜6に示すように適宜設定することにより、スライドレールのストローク領域に応じたショックレシオを実現でき、ソフト感と耐底付き性の両立したいわゆるプログレッシブ特性を実現できる。
【0014】
請求項3の発明では、第2リンクの前アーム部材との連結点a、第2,第3リンクの連結点b、第1リンクのスライドレール側連結点をdの位置関係を、スライドレールの上昇ストロークSに対して連結点b,dを結ぶ連結点間距離Lc が所望の変化状態となるよう設定したので、より具体的には例えば請求項4の発明のように、ad(Ld=定数)を半径とする円弧とbd(Lc=変数)を半径とする円弧とが、スライドレールの上昇ストロークSの増加に伴って交差するように設定したので、スライドレールの上昇に対し、ストローク域序盤ではLcは短くなり、ストローク域後半に向けて長くなる。即ち、ストローク域序盤ではLcが短くなるので、前後緩衝器の作用率、つまりスライドレールの単位ストローク当たりの緩衝器の収縮ストロークは小さく、そのためばね反力が小さく、乗り心地が良いストロークフィーリングが得られる。またストローク域後半では上記Lcが大きくなるので、前後緩衝器の上記作用率は大きく、そのためばね反力が大きいといったいわゆるプログレッシブ効果が得られる。
【0015】
請求項5の発明では、第2リンクの前アーム部材との連結点a、第1,第3リンクの連結点をc、第1リンクのスライドレール側連結点d、を結ぶことにより形成された三角形の各頂点の角度と各辺の長さを、前,後緩衝器のそれぞれのストロークとその動く方向が所望の変化状態となるよう設定したので、具体的には例えば請求項6の発明に示すように、上記三角形bcdの頂角b,dが常に鋭角となるように設定したので、前,後緩衝器32,33の作用率は、bd間寸法Lcの長さの変化に対し共に同じ傾向を示すこととなる。例えば上記Lcが短くなる方向に変化する場合には、前,後緩衝器ともにその作用率が小さくなり、長くなると前後共に大きくなるというように同様な傾向を示し、従って前,後のばね反力特性が同様の傾向を示し、走行中の車体の安定性を向上できるといった効果が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1ないし図8は、本発明の第1実施形態による雪上車の懸架装置を説明するための図であり、図1は雪上車の側面図、図2は雪上車の駆動トラック及び懸架装置の側面図、図3,図4は懸架装置の側面図,平面図、図5は後スライディングアームの断面側面図、図6,図7は前,後緩衝器連結用リンク機構の斜視図,側面図、図8はばね部材支持部の断面正面図である。
【0018】
図1において、1は雪上車(スノーモビル)を示している。この雪上車1は、車体フレーム2の前部にエンジンユニット3を搭載し、後部上側に鞍乗型のシート4を配設するとともに、該シート4の前側に燃料タンク5,操舵ハンドル6を配設した概略構造のものであり、上記車体フレーム2のシート4下方の左,右側部には乗員の足を支持する足乗部2aが形成されている。また上記車体フレーム2の前部はフロントカバー7により、シート4下方はサイドカバー8により囲まれており、上記操舵ハンドル6の前方には走行風を遮蔽するウインドシールド9が配設されている。
【0019】
上記車体フレーム2の左,右前端部にはそれぞれ操舵スキー10,10が配設されている。各操舵スキー10はフロント懸架装置11により上下揺動可能に、かつ上記操舵ハンドル6により左右操向可能に支持されている。
【0020】
上記車体フレーム2の後半部には駆動トラック13が配設されている。この駆動トラック13は、幅広のトラックベルト16を、駆動ホイール14,スライドレール15,下ガイドホイール18,及び上ガイドホイール17を囲むように巻回し、全体として側面視で概ね平行四辺形状をなすように保持した構造となっている。
【0021】
上記雪上車1は、上記エンジンユニット3により上記駆動ホイール14の駆動軸19を回転駆動することにより駆動トラック13のトラックベルト16を回転させて走行し、上記操舵ハンドル6により操舵スキー10を左右に回動させることによりその走行方向を自由に制御できるようになっている。
【0022】
上記スライドレール15は、トラックベルト16を雪面に押圧しつつ案内するものであり、車両前後方向に延びる左右一対のサイドレール15a,15aを車幅方向に延びる前,中,後クロス軸15b,15c,15d及び上アーム軸30b,ホイール軸26により概ね梯子状に結合した構造となっている。また上記スライドレール15にはトラックベルト16の下側部分を案内支持する左右一対のガイドプーリ20,21,22がそれぞれ軸支されている。
【0023】
上記左右の上ガイドホイール17は車体フレーム2に固定されたホイール軸25により軸支されており、また上記左右の下ガイドホイール18は左右サイドレール15aの後端部に前後方向位置調整可能に配設されたホイール軸26により軸支されている。
【0024】
上記車体フレーム2とスライドレール15との間には懸架装置が配設されている。この懸架装置は、スライドレール15を上下揺動可能に支持する前サスペンションアーム30と、後スライディングアーム31と、雪面からの衝撃力を緩和するとともに上下振動を吸収する前,後緩衝器32,33と、該前,後緩衝器32,33同士を連結するリンク機構34と、左,右一対のトーションばね50とを備えており、具体的には以下の構成となっている。
【0025】
上記前サスペンションアーム30は、車両前側から後方かつ下方に傾斜させて配設されており、左,右のアーム部30a,30aの上,下端に車幅方向に延びる上,下アーム軸30b,30cを溶接接合してなり、概ね台形状をなしている。上記前サスペンションアーム30の上アーム軸30bは車体フレーム2に軸支され、下アーム軸30cはスライドレール15に軸支されている。
【0026】
上記前緩衝器32は、前サスペンションアーム30の前側に位置し、かつ車両前側から後方かつ下方に傾斜させて配設されており、作動油が封入されたシリンダ32a内に不図示の減衰機構を介在させてピストンロッド32bを進退自在に挿入するとともに、該ピストンロッド32bとシリンダ32aとの間にコイルスプリング32cを配設した構造のものである。上記ピストンロッド32bの上端部はブラケット35の先端部に回動可能に連結され、該ブラケット35は上アーム軸30bに固着され、上記先端部は車両後方に位置している。
【0027】
上記後緩衝器33は、前緩衝器32と概ね対称をなすよう車両後方かつ上方に傾斜させて配設されており、作動油が封入されたシリンダ33a内に不図示の減衰機構を介在させてピストンロッド33bを進退自在に挿入した構造のものである。上記ピストンロッド33bの上端部は上記後スライディングアーム31に固定された支持ブラケット36の上端部に回動可能に連結されており、該上端部は後スライディングアーム31の車体側連結点の上方に位置している。
【0028】
上記後スライディングアーム31は、左右に2本並列配置され、前サスペンションアーム30と概ね平行となるように配置されている。この左,右の後スライディングアーム31同士は上記支持ブラケット36を介して結合されており、これにより軸線回りのねじり剛性を高めている。
【0029】
上記各後スライディングアーム31は、図5に示すように、円筒部材38内に円筒状の摺動軸39を軸方向に相対移動可能に挿入して構成されており、これによりスライドレール15の上下揺動ストロークに応じてアーム長Lbが変化するようになっている。
【0030】
上記円筒部材38の上端部に固着されたパイプ25aは車体フレーム2に固定された上記ホイール軸25に回動可能に連結されており、摺動軸39の下端部はスライドレール15に固定された後クロスパイプ15dに回動可能に連結されている。また上記円筒部材38の内周面にはブッシング42が固定され、該ブッシング42の内周面には上記摺動軸39の外周面に摺接する前後一対のブッシュ41,41が固定されてる。
【0031】
上記摺動軸39の上端縁には円筒部材38の内周面に摺接する複数のシム40が装着されている。このシム40を増減させることによりスライディングアーム31の長さLbの最大値が調整可能となっている。また上記摺動軸39の下端部には調整ナット43a,ロックナット43bが螺装されており、該ナット43a,43bを回転させることにより該スライディングーム31の長さLbの最小値が調整可能となっている。
【0032】
上記リンク機構34は、図6,図7に示すように、上記前緩衝器32の下端部が回動可能に連結された第1リンク45と、上記前サスペンションアーム30の下アーム部30cに固着された第2リンク46とを第3リンク47により回動可能に連結するとともに、該第3リンク47に後緩衝器33を回動可能に連結した構成となっている。
【0033】
上記第1リンク45は、側面視で略円弧状をなす左右一対のプレートからなり、上記中クロス軸15cによりひいてはスライドレール15により回動可能に支持されている。上記第1リンク45の下端部45aに上記前緩衝器32のシリンダ32aが回動可能に連結されている。
【0034】
上記第3リンク47は、側面視で概ね三角形状をなしており、底辺47aの一端部47bに上記第1リンク45の上端部45bが回動可能に連結されており、他端部47cに上記後緩衝器33のシリンダ33aが回動可能に連結されている。また上記第3リンク47の上記三角形でいう頂角部47dに上記第2リンク46の前端部が回動可能に連結されている。
【0035】
ここで上記第2リンク46の前サスペンションアーム30との連結点a、第2,第3リンク46,47の連結点b、第1,第3リンク45,47の連結点c、第1リンク45の連結点d、第1リンク45と前緩衝器32との連結点f、第3リンク47と後緩衝器33との連結点eの位置関係は以下の(1)〜(3)のように設定される。
【0036】
(1)上記各連結点a,b,dの位置関係を適宜設定することによってスライドレール15の上昇ストロークSに対しての連結点b,dを結ぶ連結点間距離Lc の長さの変化状態を自由に設定することができる。
【0037】
例えば本実施形態では、上記連結点a,b,dの位置関係を、ad(Ld=定数)を半径とする円弧とbd(Lc=変数)を半径とする円弧とが、スライドレールの上昇ストロークSの増加に伴って交差するように設定している。この場合、スライドレール15の上昇に対し、ストローク域序盤ではLcは短くなり、変化点Pを越えるとストローク域後半に向けて長くなることを意味している。
【0038】
即ち、ストローク域序盤ではLcが短くなるので、前後緩衝器32,33の作用率、つまりスライドレールの単位ストローク当たりの緩衝器の収縮ストロークは小さく、そのためばね反力が小さく、乗り心地が良いストロークフィーリングが得られる。またストローク域後半では上記Lcが大きくなるので、前後緩衝器32,33の上記作用率は大きく、そのためばね反力が大きいといったいわゆるプログレッシブ効果が得られる。
【0039】
(2)また上記各連結点b,c,dを結ぶことにより形成された三角形の各頂点の角度と各辺の長さを適宜設定するとにより、つまり連結点cの位置を適宜設定することにより、前,後緩衝器32,33のそれぞれのストロークとその動く方向を変化させることができる。
【0040】
例えば本実施形態では、図7に示すように、三角形bcdの頂角b,dが常に鋭角となるように設定している。そのため前,後緩衝器32,33の作用率は、Lcの長さが短くなると前後共に小さくなり、長くなると前後共に大きくなるというように同様な傾向を示すといった効果が得られる。
【0041】
(3)上記各連結点cd間長さとdf間長さの比R1、bc間長さとbe間長さの比R2を適宜設定することにより前,後緩衝器32,33の作動量を変化させることができる。
【0042】
上記トーションばね50は、上記車体フレーム2と左右のサイドレール15aとのそれぞれとの間に配設されており、スライドレール15を車体フレーム2から離れる方向に付勢している。このトーションばね50は、棒状のばね体の途中をコイル状に巻回することにより形成されたものであり、巻回部50aと、該巻回部50aから前方に延びる長辺部50bと、後方に延びる短辺部50cとを有している。
【0043】
上記トーションばね50の巻回部50aは上述のパイプ25aの外周を囲むようよ巻回されており、短辺部50cは後スライディングアーム31の下面に固着されたブラケット51により下側から支持されている。
【0044】
また上記長辺部50bの延長端部50dはスライドレール15のサイドレール15aに装着されたばね受けブラケット52により支持されている。このばね受けブラケット52は長軸を縦方向に向けた長円状の支持孔52aを有し、その下部52bがガイドホイール20の支持軸20aに固定支持されている。この支持軸20aは、ボルト20bにより上記サイドレール15aに固定され、軸受20cを介して上記ガイドホイール20を回転自在に支持している。上記トーションばね50の長辺部50bの延長端部50dは上記長円状の支持孔52の底面で支持され、かつ該支持孔52の範囲内で上下移動可能となっている。
【0045】
図3に示すように、上記左右のサイドレール15aには3つのばね受け孔15eが前後方向に所定間隔をあけて、かつ前側のものほど高所に位置するように形成されている。前後方向中央に位置するばね受け孔15eには、丸棒の両端にフランジを設けてなるいわゆるボビン状のばね受け部材55が着脱可能に取付けられている。このばね受け部材55は、図9に示すように、雪面の突部を乗り越える際にスライドレール15が上方に所定値以上ストロークすると長辺部50bの長手方向途中部分50eに当接することにより、それ以降のばね反力を階段状に変化させるようになっている。
【0046】
ここで、ユーザの好みに応じてばね受け部材55を前,後何れかのばね受け孔15eに取付けることも可能である。ばね受け部材55を前側に配置した場合は、ばね反力の変化量が小さくなり、後側に取付け場合にはばね反力の変化量が大きくなる。またばね受け部材55を前側に取り付けた場合には中央に取り付けた場合より少し上側に位置し、スライドレール15のストロークが上記所定値より小さい段階で上記長手方向途中部分50eに当接し、後側に取り付けた場合のその逆となる。
【0047】
次に本実施形態の作用効果について説明する。
【0048】
雪上車1が凹凸のある雪面を走行すると、スライドレール15が、前サスペンションアーム30,後スライディングアーム31の車体連結点30b,25を中心に上方又は下方にストロークし、これに伴い前,後緩衝器32,33が伸長又は収縮し、この際に発生するばね反力及び減衰力でもって衝撃力が緩和されるとともに振動が吸収される。
【0049】
本実施形態では、前スライディングアーム30と前,後緩衝器32,33とをリンク機構34により連結し、該リンク機構34を、上記前緩衝器32が連結されかつスライドレール15に軸支された第1リンク45と、上記前スライディングアーム30のスライドレール側軸支点に固着された第2リンク46とを第3リンク47により連結し、該第3リンク47に上記後緩衝器33を連結した構成としたので、スライドレールストロークに対する緩衝器ストロークの比であるショックレシオ又はレバーレシオをスライドレール15のストローク領域に応じた特性とすることができ、ストロークフィーリングのソフト感を得ながら底付きを防止できる。
【0050】
即ち、例えば、図16及び図17に示すように、スライドレール15の前部への入力によりスライドレール15の前部が大きくストロークした場合には、前緩衝器32におけるショックレシオ(スライドレール前部の単位ストローク当たりの前緩衝器のストローク)はスライドレール前部のストロークが大きくなるほど大きくなっており、いわゆるプログレッシブ特性が得られることが判る。
【0051】
また、図18及び図19に示すように、スライドレール15全体への入力によりスライドレール15全体が平行にストロークした場合には、前,後緩衝器32,33はショックレシオは何れも線形特性、即ちスライドレールのストロークの増加に伴って緩衝器のストロークの増加率がほとんど変化しない特性となり柔らかいストロークフィーリングが得られることが判る。
【0052】
さらに図20及び図21に示すように、スライドレール15の後部への入力によりスライドレール15の後部が大きくストロークした場合には、改善前は後緩衝器のショックレシオが極端に小さくなって底付きし易い問題があったが、本実施形態では後緩衝器33のショックレシオのお落ち込みが改善され、底付きが防止できることが判る。また前緩衝器32についてはショックレシオの変動幅が改善前よりも小さくなっている。
【0053】
また、本実施形態では、後スライディングアーム31を円筒部材38内に摺動軸39を軸方向に相対移動可能に挿入し、これによりスライドレール15のストロークに応じてアーム長Lbを変化させるように構成したので、より具体的には、スライドレール15のストロークが大きくなるほど上記後スライディングアーム31が収縮して有効アーム長Lbが短くなるようにしたので、図15に示すように、スライドレール15のストローク前半では柔らかいストロークフィーリングが得られ、一方ストローク後半ではストロークが大きくなるほどばね反力の増加率が大きくなっており、その結果乗り心地を確保しながら底付きを防止できる。
【0054】
図14は、それぞれスライドレールのフルリバウンド状態からストロークする場合の各部の動作を模式的に示すイメージ図である。
【0055】
図14(a)は、スライドレール15の後部が大きくストロークし、後スライディングアーム31がLmaxからLminにストロークした場合を示す。同図からスライドレール15の後部のストロークが大きくなるにつれて後緩衝器33のストロークも増加しており、後緩衝器33のばね反力特性は、概ね線形特性を示すことが判る。
【0056】
図14(b)は、スライドレール15の後部が大きくストロークし、後スライディングアーム31がLmin一定の場合を示す。同図からスライドレール15のストロークが大きくなるにつれて後緩衝器33のストロークは図14(a)の場合よりさらに大きくなっており、緩衝器33のばね反力特性はアグレッシブ特性を示すことが判る。
【0057】
また本実施形態では、上記スライドレール15の上方ストロークに伴ってトーションばね50が捩じれるように弾性変形して衝撃力を吸収する。この場合、図9(a)〜(c)及び図10に示すように、上記スライドレール15の上昇ストロークがS1以下の通常域では長辺部50bの延長端部50dがばね受けブラケット52を支持点にしつつ弾性変形することとなり、ばね反力特性は長辺部50bの長いアーム長Laに応じた特性Aとなる。即ちスライドレール15の上昇ストロークの増加に伴ってばね反力が緩やかに増加する柔らかいストロークフィーリングを示し、乗り心地を向上できる。
【0058】
一方、スライドレール15の上昇ストロークが上記所定値S1に達すると上記ばね受け部55が長辺部50bの途中部分50eに当接し、ばね反力が特性Bに示すように階段状に急激に増加する。スライドレール15の上昇ストロークが上記S1を越えて増加すると、ばね部材50の長辺部50bはばね受け部55を支持点として弾性変形することとなり、車体側支持点からばね受け部55までの短いばね長La′に応じたばね反力特性、即ちストロークの増加に伴ってばね反力がより大きく増加する特性Cとなる。これによりストローク後半部では腰の強いストークフィーリングが得られ、その結果、底付きを防止できる。
【0059】
ここで、図11に示すように、トッションばねの長辺部のアーム長をL1,短辺部のアーム長をL2とし、後スライディングアームのアーム長をL3とすると、反力Fは
F=FF cos β+FR cos γ
=k(θ−θ0)〔cos β/L1 +L2 ′/L3 L2(cos α・cos γ) 〕
なお、FF は長辺部50bが支持点に加える力、βは長辺部50bが水平線となす角度、FR は短辺部50cが支持点に加える力、γは短辺部50cが水平線となす角度、k は定数、θは長辺部50bと短辺部50cとのなす角度、L1,L2は長辺部50b,短辺部50cのアーム長さ、である。
【0060】
上記式から、上述の長辺部50bのアーム長さL1が短くなるほどばね反力Fは大きくなることがわかる。
【0061】
このように本実施形態の懸架装置によれば、トーションばね50の短辺部50cを後スライディングアーム31により支持するとともに、長辺部50bの延長端部50dをばね受けブラケット52により支持し、スライドレール15のストローク(上昇)に伴って上記長辺部50bに当接してトーションばね50の反力特性を変化させるばね受け部55を設けたので、ストロークがS1以下の通常域では長辺部50bの長いアーム長Laに応じた柔らかいストロークフィーリングが得られる。この状態からスライドレール15がさらに上昇すると長辺部50bがばね受け部材55に当接し、該ばね受け部材55を支持点とした短いアーム長La′に応じた反力特性となり、スライドレール15の底付きを防止できる。
【0062】
また本実施形態では、スライドレール15にばね受け孔15eを前後方向に所定間隔をあけて形成し、ばね受け部材55を何れかのばね受け孔15eに着脱可能に取付けるようにしたので、ユーザの好みに応じたばね反力特性に設定することができる。
【0063】
なお、上記実施形態では、1つのばね受け部材55の取付け位置を変えることにより反力特性を変化させるようにしたが、本発明では予め複数個のばね受け部材を配置してもよい。この場合には、ばね反力の変化が複数段階において行なわれることとなり、ばね反力特性の選択幅を広げることができる。
【0064】
また、本発明におけるばね受け部材55の配置位置については、上述の実施形態等に限定されるものではなく、ユーザの好みに応じて配置位置を選択することができる。即ち、図12及び図13に示すように、ばね受け部材55の配置位置を上下方向H,前後方向Lの一方又両方において連続的に又は段階的に変化させるようにしても良い。このようにした場合には以下の作用効果が得られる。
【0065】
即ち、ばね受け部材55の配置位置を上下方向Hに変化させた場合には、ばね反力特性が変化するストロークを変えることができ、またばね受け部材55の配置位置を前後方向Lに変化させた場合には、ばね反力の変化量を変えることができる。図13はばね受け部材55の配置位置とばね特性との関係を説明するためのイメージ図であり、ばね受け部材55を前方かつ上方に配置するほどばね反力特性の立ち上がりが緩やかになり、その逆に配置するほどばね反力特性の立ち上がりが急になり、いわゆるプログレッシブ効果が高くなる。
【0066】
また図22〜図25は、第2実施形態を説明するための図であり、本第2実施形態は、一名乗車に対応したばね反力特性と、二名乗車に対応したばね反力特性とを工具を使用することなく手動で簡単に切り換えることができるようにした例である。なお、図中、図1〜図21と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0067】
本第2実施形態では、上記トーションばね50の長辺部50bの途中部分50eを支持するばね受け部64の上記スライドレール15に対する取付角度を縦位置と横位置とに可変となっている。
【0068】
上記ばね受け部64は、例えばアルミニューム合金等で形成された側面視で概ね長方形板状をなすばね受けブロック65を有し、該ばね受けブロック65には、上記長方形の1つの長辺に沿って長ばね受け溝65aが形成され、1つの短辺に沿って短ばね受け溝65bが長ばね受け溝65aに続いて形成されている。
【0069】
上記ばね受けブロック65は、上記ばね受け溝65a,65bの形成されていない残りの長辺と短辺とのコーナ部がサイドレール15aに回動可能に支持されている。具体的には、上記ばね受けブロック65の上記コーナ部はカラー66により回動可能に支持され、該カラー66はボルト67a,ナット67bにより上記サイドレール15aに固定されている。
【0070】
また上記ばね受けブロック65にはロック孔65cが形成され、該ロック孔65cにはロッピン68が挿入されており、該ロックピン68の先端部68aはばね受けブロック65から出没し、上記サイドレール15aの係止孔15a′に係脱可能となっている。
【0071】
また上記ばね受けブロック65の外側面にはガイドプレート69が配置され、上記ボルト67aで固定されている。上記ロックピン68の基端部側は上記ガイドプレート69に円弧状に形成されたガイドスリット69から外方に突出し、該突出部には把持部68bが円弧状に屈曲形成されている。さらにまた上記ロックピン68は付勢ばね70で上記先端部68aが係止孔15a′に係止する方向に付勢されている。
【0072】
本実施形態では、ばね受けブロック65を、二名乗車時には図22に実線で示す縦位置に位置させ、一名乗車時には同図に破線で示す横位置に回動させる。この回動操作は、ロックピン68の把持部68bを手でもって付勢ばね70の不整力に抗して手前に引っ張り、該ロックピン68のサイドレール15a側との係止を外し、縦位置あるいは横位置となるように回動させる。所定の位置に回動するとロックピン68が付勢ばね70の付勢力によりサイドレール15a側の係止孔15a′に係止し、該位置に固定される。
【0073】
このように工具を使用することなく簡単な操作でばね受けブロック65を縦位置と横位置とに回動させることができる。なお、本実施形態のばね受けブロック65を上記縦,横の間の複数段階で固定するようにしても勿論良い。
【0074】
二名乗車時には、上記ばね受けブロック65を縦位置に位置させる。するとスライドレール15のストロークがわずかの時点、例えば誰も乗車していない無荷重状態(1Gと記す)で、ばね受けブロック65がトーションばね50の途中部分50eに当接し、ばね反力特性は、図23に一点鎖線で示す如き特性となる。これにより1G時のばね反力が増大し、またサスペンションシステムのばね定数が増大し、二名乗車時の大きな荷重に対応できる。また荷重バランスについてもリヤ側を大きくするよう変更できる。
【0075】
一方、一名乗車時には、上記ばね受けブロック65を横位置に位置させる。するとスライドレール15のストロークが例えば最大値近傍に達した時点で、ばね受けブロック65がトーションばね50の途中部分50eに当接する。これによりばね反力特性は、図23に実線で示す如き特性となる。即ち、スライドレール15のストロークの大部分の領域でばね反力の小さい柔らかいストローク特性となり、乗り心地を良好にでき、かつストローク最大領域付近でばね反力が急激に大きくなり、耐底付き性を改善できる。
【0076】
なお、上記第1実施形態では、前,後緩衝器32,33の両方をリンク機構34に連結した場合を説明したが、本発明におけるリンク機構34では、図22に示すように、前緩衝器32のみを該リンク機構34に連結することも可能である。
【0077】
同図の例では、前緩衝器32に連結された第1リンク45と、前サスペンションアーム30に固定された第2リンク46とを帯板状の第3リンク47′で連結しており、該第3リンク47′には後緩衝器33は連結されていない。なお、後緩衝器33はサイドレール15aに連結される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による懸架装置が配設された雪上車の側面図である。
【図2】上記雪上車の懸架装置の側面図である。
【図3】上記懸架装置の側面図である。
【図4】上記懸架装置の平面図である。
【図5】上記懸架装置の後スライディングアームの断面側面図である。
【図6】上記懸架装置のリンク機構の斜視図である。
【図7】上記リンク機構の動作を説明するための側面図である。
【図8】ばね受けブラケットの断面正面図である。
【図9】上記懸架装置のトーションばねの動作を説明するための図である。
【図10】上記スライドレールのストロークとばね反力との関係を示す特性図である。
【図11】上記トーションばねの反力を説明するための模式図である。
【図12】上記トーションばねのばね受け部の位置の変化を示す図である。
【図13】上記ばね受け部の位置を変化させた場合のスライドレールストロークとばね反力との関係を示す特性図である。
【図14】上記後スライディングアームの動作を示す模式図である。
【図15】上記後スライディングアームを設けた場合のスライドレールストロークとばね反力との関係を示す特性図である。
【図16】上記リンク機構の動作を示す模式図である。
【図17】スライドレールストロークとショックレシオとの関係を示す特性図である。
【図18】上記リンク機構の動作を示す模式図である。
【図19】スライドレールストロークとショックレシオとの関係を示す特性図である。
【図20】上記リンク機構の動作を示す模式図である。
【図21】スライドレールストロークとショックレシオとの関係を示す特性図である。
【図22】本発明の第2実施形態を説明するための模式図である。
【図23】上記第2実施形態におけるスライドレールストロークとばね反力との関係を示す特性図である。
【図24】上記第2実施形態におけるばね受け部の断面正面図である。
【図25】上記第2実施形態におけるばね受け部の斜視図である。
【符号の説明】
1 雪上車
2 車体フレーム
15 スライドレール
16 トラックベルト
30,31 前,後アーム部材
32,33 前,後緩衝器
45 第1リンク
46 第2リンク
47 第3リンク
a 第2リンクの前アーム部材との連結点
b 第2,第3リンクの連結点
c 第1,第3リンクの連結点
d 第1リンクのスライドレール側連結点
e 第3リンクと後緩衝器との連結点
f 第1リンクと前緩衝器との連結点
S スライドレールの上昇ストローク
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラックベルトを路面に押圧しつつ案内するスライドレールを前,後アーム部材を介して車体フレームにより上下揺動可能に支持した雪上車の懸架装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
雪上車(一般にスノーモビルと称せられる)は、起伏のある雪面を自在に走行するような用途に供せられるのを前提としていることから、雪面の起伏による衝撃を吸収して乗り心地を高めるために懸架装置を備えている。
【0003】
この種の懸架装置として、従来、車体フレームとスライドレールとを前,後サスペンションアームで連結し、前サスペンションアームの車体側連結点とスライドレールとの間に前緩衝器を介在させ、後サスペンションアームの車体側連結点に後緩衝器の一端を連結し、該後緩衝器の他端にリンク部材を連結し、該リンク部材の端部を上記前アーム部材のレール側連結点に連結したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第2298749
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記公報記載の懸架装置は、スライドレールの単位ストロークに対する緩衝器ストロークを表すショックレシオ(レバーレシオともいう)の設定において選択幅が狭く、例えばレールストロークの増加につれて緩衝器ストロークの増加率が低下するいわゆるデグレッシブ特性が見られ、底付きし易いといった問題がある。また前,後緩衝器のレールストロークに対するショックレシオの選択幅が狭く、例えば柔らかく動作させたいストローク領域とエネルギを吸収させたいストローク領域とが両立しにくいといった問題がある。
【0006】
本発明は、上記従来の状況に鑑みてなされたもので、乗り心地の向上を図りながら底付きを回避でき雪上車の懸架装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、車体フレームの下方にトラックベルトを路面に押圧しつつ案内するスライドレールを配置し、該スライドレールを前,後アーム部材により車体に上下揺動可能に支持するとともに、該スライドレールと車体フレームとの間に前,後緩衝器を介在させた雪上車の懸架装置において、上記前緩衝器にスライドレールに軸支された第1リンクの一端を連結し、上記前アーム部材のスライドレール側軸支点に第2リンクの一端部を固定し、上記第1,第2リンクを上記第3リンクを介して連結し、該第3リンクの一端に上記後緩衝器を連結したことを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の同様の雪上車の懸架装置において、上記前緩衝器にスライドレールに軸支された第1リンクの一端を連結し、上記前アーム部材のスライドレール側軸支点に第2リンクの一端部を固定し、上記第1,第2リンクを上記第3リンクを介して連結したことを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、上記第2リンクの前アーム部材との連結点をa、第2,第3リンクの連結点をb、第1,第3リンクの連結点をc、第1リンクのスライドレール側連結点をd、第1リンクと前緩衝器との連結点をfとするとき、これらの連結点a,b,dの位置関係は、スライドレールの上昇ストロークSに対して連結点b,dを結ぶ連結点間距離Lc が所望の変化状態となるよう設定されていることを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3において、上記連結点a,b,dの位置関係を、ad(Ld=定数)を半径とする円弧とbd(Lc=変数)を半径とする円弧とが、スライドレールの上昇ストロークSの増加に伴って交差するように設定されていること特徴としている。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1又は2において、上記第2リンクの前アーム部材との連結点をa、第2,第3リンクの連結点をb、第1,第3リンクの連結点をc、第1リンクのスライドレール側連結点をd、第1リンクと前緩衝器との連結点をfとするとき、上記各連結点b,c,dを結ぶことにより形成された三角形の各頂点の角度と各辺の長さは、前,後緩衝器のそれぞれのストロークとその動く方向が所望の変化状態となるよう設定されていることを特徴としている。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5において、上記三角形bcdの頂角b,dが常に鋭角となるように設定されていることを特徴としている。
【0013】
【発明の作用効果】
請求項1,2の発明に係る懸架装置によれば、前緩衝器にスライドレールに軸支された第1アームの一端を連結し、前アーム部材のスライドレール側軸支点に第2アームの一端部を固定し、後緩衝器に第3アームの一端を連結し、上記第1,第2アームを上記第3アームを介して連結したので、上記第1〜第3アームの各連結点の位置関係を、例えば請求項3〜6に示すように適宜設定することにより、スライドレールのストローク領域に応じたショックレシオを実現でき、ソフト感と耐底付き性の両立したいわゆるプログレッシブ特性を実現できる。
【0014】
請求項3の発明では、第2リンクの前アーム部材との連結点a、第2,第3リンクの連結点b、第1リンクのスライドレール側連結点をdの位置関係を、スライドレールの上昇ストロークSに対して連結点b,dを結ぶ連結点間距離Lc が所望の変化状態となるよう設定したので、より具体的には例えば請求項4の発明のように、ad(Ld=定数)を半径とする円弧とbd(Lc=変数)を半径とする円弧とが、スライドレールの上昇ストロークSの増加に伴って交差するように設定したので、スライドレールの上昇に対し、ストローク域序盤ではLcは短くなり、ストローク域後半に向けて長くなる。即ち、ストローク域序盤ではLcが短くなるので、前後緩衝器の作用率、つまりスライドレールの単位ストローク当たりの緩衝器の収縮ストロークは小さく、そのためばね反力が小さく、乗り心地が良いストロークフィーリングが得られる。またストローク域後半では上記Lcが大きくなるので、前後緩衝器の上記作用率は大きく、そのためばね反力が大きいといったいわゆるプログレッシブ効果が得られる。
【0015】
請求項5の発明では、第2リンクの前アーム部材との連結点a、第1,第3リンクの連結点をc、第1リンクのスライドレール側連結点d、を結ぶことにより形成された三角形の各頂点の角度と各辺の長さを、前,後緩衝器のそれぞれのストロークとその動く方向が所望の変化状態となるよう設定したので、具体的には例えば請求項6の発明に示すように、上記三角形bcdの頂角b,dが常に鋭角となるように設定したので、前,後緩衝器32,33の作用率は、bd間寸法Lcの長さの変化に対し共に同じ傾向を示すこととなる。例えば上記Lcが短くなる方向に変化する場合には、前,後緩衝器ともにその作用率が小さくなり、長くなると前後共に大きくなるというように同様な傾向を示し、従って前,後のばね反力特性が同様の傾向を示し、走行中の車体の安定性を向上できるといった効果が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1ないし図8は、本発明の第1実施形態による雪上車の懸架装置を説明するための図であり、図1は雪上車の側面図、図2は雪上車の駆動トラック及び懸架装置の側面図、図3,図4は懸架装置の側面図,平面図、図5は後スライディングアームの断面側面図、図6,図7は前,後緩衝器連結用リンク機構の斜視図,側面図、図8はばね部材支持部の断面正面図である。
【0018】
図1において、1は雪上車(スノーモビル)を示している。この雪上車1は、車体フレーム2の前部にエンジンユニット3を搭載し、後部上側に鞍乗型のシート4を配設するとともに、該シート4の前側に燃料タンク5,操舵ハンドル6を配設した概略構造のものであり、上記車体フレーム2のシート4下方の左,右側部には乗員の足を支持する足乗部2aが形成されている。また上記車体フレーム2の前部はフロントカバー7により、シート4下方はサイドカバー8により囲まれており、上記操舵ハンドル6の前方には走行風を遮蔽するウインドシールド9が配設されている。
【0019】
上記車体フレーム2の左,右前端部にはそれぞれ操舵スキー10,10が配設されている。各操舵スキー10はフロント懸架装置11により上下揺動可能に、かつ上記操舵ハンドル6により左右操向可能に支持されている。
【0020】
上記車体フレーム2の後半部には駆動トラック13が配設されている。この駆動トラック13は、幅広のトラックベルト16を、駆動ホイール14,スライドレール15,下ガイドホイール18,及び上ガイドホイール17を囲むように巻回し、全体として側面視で概ね平行四辺形状をなすように保持した構造となっている。
【0021】
上記雪上車1は、上記エンジンユニット3により上記駆動ホイール14の駆動軸19を回転駆動することにより駆動トラック13のトラックベルト16を回転させて走行し、上記操舵ハンドル6により操舵スキー10を左右に回動させることによりその走行方向を自由に制御できるようになっている。
【0022】
上記スライドレール15は、トラックベルト16を雪面に押圧しつつ案内するものであり、車両前後方向に延びる左右一対のサイドレール15a,15aを車幅方向に延びる前,中,後クロス軸15b,15c,15d及び上アーム軸30b,ホイール軸26により概ね梯子状に結合した構造となっている。また上記スライドレール15にはトラックベルト16の下側部分を案内支持する左右一対のガイドプーリ20,21,22がそれぞれ軸支されている。
【0023】
上記左右の上ガイドホイール17は車体フレーム2に固定されたホイール軸25により軸支されており、また上記左右の下ガイドホイール18は左右サイドレール15aの後端部に前後方向位置調整可能に配設されたホイール軸26により軸支されている。
【0024】
上記車体フレーム2とスライドレール15との間には懸架装置が配設されている。この懸架装置は、スライドレール15を上下揺動可能に支持する前サスペンションアーム30と、後スライディングアーム31と、雪面からの衝撃力を緩和するとともに上下振動を吸収する前,後緩衝器32,33と、該前,後緩衝器32,33同士を連結するリンク機構34と、左,右一対のトーションばね50とを備えており、具体的には以下の構成となっている。
【0025】
上記前サスペンションアーム30は、車両前側から後方かつ下方に傾斜させて配設されており、左,右のアーム部30a,30aの上,下端に車幅方向に延びる上,下アーム軸30b,30cを溶接接合してなり、概ね台形状をなしている。上記前サスペンションアーム30の上アーム軸30bは車体フレーム2に軸支され、下アーム軸30cはスライドレール15に軸支されている。
【0026】
上記前緩衝器32は、前サスペンションアーム30の前側に位置し、かつ車両前側から後方かつ下方に傾斜させて配設されており、作動油が封入されたシリンダ32a内に不図示の減衰機構を介在させてピストンロッド32bを進退自在に挿入するとともに、該ピストンロッド32bとシリンダ32aとの間にコイルスプリング32cを配設した構造のものである。上記ピストンロッド32bの上端部はブラケット35の先端部に回動可能に連結され、該ブラケット35は上アーム軸30bに固着され、上記先端部は車両後方に位置している。
【0027】
上記後緩衝器33は、前緩衝器32と概ね対称をなすよう車両後方かつ上方に傾斜させて配設されており、作動油が封入されたシリンダ33a内に不図示の減衰機構を介在させてピストンロッド33bを進退自在に挿入した構造のものである。上記ピストンロッド33bの上端部は上記後スライディングアーム31に固定された支持ブラケット36の上端部に回動可能に連結されており、該上端部は後スライディングアーム31の車体側連結点の上方に位置している。
【0028】
上記後スライディングアーム31は、左右に2本並列配置され、前サスペンションアーム30と概ね平行となるように配置されている。この左,右の後スライディングアーム31同士は上記支持ブラケット36を介して結合されており、これにより軸線回りのねじり剛性を高めている。
【0029】
上記各後スライディングアーム31は、図5に示すように、円筒部材38内に円筒状の摺動軸39を軸方向に相対移動可能に挿入して構成されており、これによりスライドレール15の上下揺動ストロークに応じてアーム長Lbが変化するようになっている。
【0030】
上記円筒部材38の上端部に固着されたパイプ25aは車体フレーム2に固定された上記ホイール軸25に回動可能に連結されており、摺動軸39の下端部はスライドレール15に固定された後クロスパイプ15dに回動可能に連結されている。また上記円筒部材38の内周面にはブッシング42が固定され、該ブッシング42の内周面には上記摺動軸39の外周面に摺接する前後一対のブッシュ41,41が固定されてる。
【0031】
上記摺動軸39の上端縁には円筒部材38の内周面に摺接する複数のシム40が装着されている。このシム40を増減させることによりスライディングアーム31の長さLbの最大値が調整可能となっている。また上記摺動軸39の下端部には調整ナット43a,ロックナット43bが螺装されており、該ナット43a,43bを回転させることにより該スライディングーム31の長さLbの最小値が調整可能となっている。
【0032】
上記リンク機構34は、図6,図7に示すように、上記前緩衝器32の下端部が回動可能に連結された第1リンク45と、上記前サスペンションアーム30の下アーム部30cに固着された第2リンク46とを第3リンク47により回動可能に連結するとともに、該第3リンク47に後緩衝器33を回動可能に連結した構成となっている。
【0033】
上記第1リンク45は、側面視で略円弧状をなす左右一対のプレートからなり、上記中クロス軸15cによりひいてはスライドレール15により回動可能に支持されている。上記第1リンク45の下端部45aに上記前緩衝器32のシリンダ32aが回動可能に連結されている。
【0034】
上記第3リンク47は、側面視で概ね三角形状をなしており、底辺47aの一端部47bに上記第1リンク45の上端部45bが回動可能に連結されており、他端部47cに上記後緩衝器33のシリンダ33aが回動可能に連結されている。また上記第3リンク47の上記三角形でいう頂角部47dに上記第2リンク46の前端部が回動可能に連結されている。
【0035】
ここで上記第2リンク46の前サスペンションアーム30との連結点a、第2,第3リンク46,47の連結点b、第1,第3リンク45,47の連結点c、第1リンク45の連結点d、第1リンク45と前緩衝器32との連結点f、第3リンク47と後緩衝器33との連結点eの位置関係は以下の(1)〜(3)のように設定される。
【0036】
(1)上記各連結点a,b,dの位置関係を適宜設定することによってスライドレール15の上昇ストロークSに対しての連結点b,dを結ぶ連結点間距離Lc の長さの変化状態を自由に設定することができる。
【0037】
例えば本実施形態では、上記連結点a,b,dの位置関係を、ad(Ld=定数)を半径とする円弧とbd(Lc=変数)を半径とする円弧とが、スライドレールの上昇ストロークSの増加に伴って交差するように設定している。この場合、スライドレール15の上昇に対し、ストローク域序盤ではLcは短くなり、変化点Pを越えるとストローク域後半に向けて長くなることを意味している。
【0038】
即ち、ストローク域序盤ではLcが短くなるので、前後緩衝器32,33の作用率、つまりスライドレールの単位ストローク当たりの緩衝器の収縮ストロークは小さく、そのためばね反力が小さく、乗り心地が良いストロークフィーリングが得られる。またストローク域後半では上記Lcが大きくなるので、前後緩衝器32,33の上記作用率は大きく、そのためばね反力が大きいといったいわゆるプログレッシブ効果が得られる。
【0039】
(2)また上記各連結点b,c,dを結ぶことにより形成された三角形の各頂点の角度と各辺の長さを適宜設定するとにより、つまり連結点cの位置を適宜設定することにより、前,後緩衝器32,33のそれぞれのストロークとその動く方向を変化させることができる。
【0040】
例えば本実施形態では、図7に示すように、三角形bcdの頂角b,dが常に鋭角となるように設定している。そのため前,後緩衝器32,33の作用率は、Lcの長さが短くなると前後共に小さくなり、長くなると前後共に大きくなるというように同様な傾向を示すといった効果が得られる。
【0041】
(3)上記各連結点cd間長さとdf間長さの比R1、bc間長さとbe間長さの比R2を適宜設定することにより前,後緩衝器32,33の作動量を変化させることができる。
【0042】
上記トーションばね50は、上記車体フレーム2と左右のサイドレール15aとのそれぞれとの間に配設されており、スライドレール15を車体フレーム2から離れる方向に付勢している。このトーションばね50は、棒状のばね体の途中をコイル状に巻回することにより形成されたものであり、巻回部50aと、該巻回部50aから前方に延びる長辺部50bと、後方に延びる短辺部50cとを有している。
【0043】
上記トーションばね50の巻回部50aは上述のパイプ25aの外周を囲むようよ巻回されており、短辺部50cは後スライディングアーム31の下面に固着されたブラケット51により下側から支持されている。
【0044】
また上記長辺部50bの延長端部50dはスライドレール15のサイドレール15aに装着されたばね受けブラケット52により支持されている。このばね受けブラケット52は長軸を縦方向に向けた長円状の支持孔52aを有し、その下部52bがガイドホイール20の支持軸20aに固定支持されている。この支持軸20aは、ボルト20bにより上記サイドレール15aに固定され、軸受20cを介して上記ガイドホイール20を回転自在に支持している。上記トーションばね50の長辺部50bの延長端部50dは上記長円状の支持孔52の底面で支持され、かつ該支持孔52の範囲内で上下移動可能となっている。
【0045】
図3に示すように、上記左右のサイドレール15aには3つのばね受け孔15eが前後方向に所定間隔をあけて、かつ前側のものほど高所に位置するように形成されている。前後方向中央に位置するばね受け孔15eには、丸棒の両端にフランジを設けてなるいわゆるボビン状のばね受け部材55が着脱可能に取付けられている。このばね受け部材55は、図9に示すように、雪面の突部を乗り越える際にスライドレール15が上方に所定値以上ストロークすると長辺部50bの長手方向途中部分50eに当接することにより、それ以降のばね反力を階段状に変化させるようになっている。
【0046】
ここで、ユーザの好みに応じてばね受け部材55を前,後何れかのばね受け孔15eに取付けることも可能である。ばね受け部材55を前側に配置した場合は、ばね反力の変化量が小さくなり、後側に取付け場合にはばね反力の変化量が大きくなる。またばね受け部材55を前側に取り付けた場合には中央に取り付けた場合より少し上側に位置し、スライドレール15のストロークが上記所定値より小さい段階で上記長手方向途中部分50eに当接し、後側に取り付けた場合のその逆となる。
【0047】
次に本実施形態の作用効果について説明する。
【0048】
雪上車1が凹凸のある雪面を走行すると、スライドレール15が、前サスペンションアーム30,後スライディングアーム31の車体連結点30b,25を中心に上方又は下方にストロークし、これに伴い前,後緩衝器32,33が伸長又は収縮し、この際に発生するばね反力及び減衰力でもって衝撃力が緩和されるとともに振動が吸収される。
【0049】
本実施形態では、前スライディングアーム30と前,後緩衝器32,33とをリンク機構34により連結し、該リンク機構34を、上記前緩衝器32が連結されかつスライドレール15に軸支された第1リンク45と、上記前スライディングアーム30のスライドレール側軸支点に固着された第2リンク46とを第3リンク47により連結し、該第3リンク47に上記後緩衝器33を連結した構成としたので、スライドレールストロークに対する緩衝器ストロークの比であるショックレシオ又はレバーレシオをスライドレール15のストローク領域に応じた特性とすることができ、ストロークフィーリングのソフト感を得ながら底付きを防止できる。
【0050】
即ち、例えば、図16及び図17に示すように、スライドレール15の前部への入力によりスライドレール15の前部が大きくストロークした場合には、前緩衝器32におけるショックレシオ(スライドレール前部の単位ストローク当たりの前緩衝器のストローク)はスライドレール前部のストロークが大きくなるほど大きくなっており、いわゆるプログレッシブ特性が得られることが判る。
【0051】
また、図18及び図19に示すように、スライドレール15全体への入力によりスライドレール15全体が平行にストロークした場合には、前,後緩衝器32,33はショックレシオは何れも線形特性、即ちスライドレールのストロークの増加に伴って緩衝器のストロークの増加率がほとんど変化しない特性となり柔らかいストロークフィーリングが得られることが判る。
【0052】
さらに図20及び図21に示すように、スライドレール15の後部への入力によりスライドレール15の後部が大きくストロークした場合には、改善前は後緩衝器のショックレシオが極端に小さくなって底付きし易い問題があったが、本実施形態では後緩衝器33のショックレシオのお落ち込みが改善され、底付きが防止できることが判る。また前緩衝器32についてはショックレシオの変動幅が改善前よりも小さくなっている。
【0053】
また、本実施形態では、後スライディングアーム31を円筒部材38内に摺動軸39を軸方向に相対移動可能に挿入し、これによりスライドレール15のストロークに応じてアーム長Lbを変化させるように構成したので、より具体的には、スライドレール15のストロークが大きくなるほど上記後スライディングアーム31が収縮して有効アーム長Lbが短くなるようにしたので、図15に示すように、スライドレール15のストローク前半では柔らかいストロークフィーリングが得られ、一方ストローク後半ではストロークが大きくなるほどばね反力の増加率が大きくなっており、その結果乗り心地を確保しながら底付きを防止できる。
【0054】
図14は、それぞれスライドレールのフルリバウンド状態からストロークする場合の各部の動作を模式的に示すイメージ図である。
【0055】
図14(a)は、スライドレール15の後部が大きくストロークし、後スライディングアーム31がLmaxからLminにストロークした場合を示す。同図からスライドレール15の後部のストロークが大きくなるにつれて後緩衝器33のストロークも増加しており、後緩衝器33のばね反力特性は、概ね線形特性を示すことが判る。
【0056】
図14(b)は、スライドレール15の後部が大きくストロークし、後スライディングアーム31がLmin一定の場合を示す。同図からスライドレール15のストロークが大きくなるにつれて後緩衝器33のストロークは図14(a)の場合よりさらに大きくなっており、緩衝器33のばね反力特性はアグレッシブ特性を示すことが判る。
【0057】
また本実施形態では、上記スライドレール15の上方ストロークに伴ってトーションばね50が捩じれるように弾性変形して衝撃力を吸収する。この場合、図9(a)〜(c)及び図10に示すように、上記スライドレール15の上昇ストロークがS1以下の通常域では長辺部50bの延長端部50dがばね受けブラケット52を支持点にしつつ弾性変形することとなり、ばね反力特性は長辺部50bの長いアーム長Laに応じた特性Aとなる。即ちスライドレール15の上昇ストロークの増加に伴ってばね反力が緩やかに増加する柔らかいストロークフィーリングを示し、乗り心地を向上できる。
【0058】
一方、スライドレール15の上昇ストロークが上記所定値S1に達すると上記ばね受け部55が長辺部50bの途中部分50eに当接し、ばね反力が特性Bに示すように階段状に急激に増加する。スライドレール15の上昇ストロークが上記S1を越えて増加すると、ばね部材50の長辺部50bはばね受け部55を支持点として弾性変形することとなり、車体側支持点からばね受け部55までの短いばね長La′に応じたばね反力特性、即ちストロークの増加に伴ってばね反力がより大きく増加する特性Cとなる。これによりストローク後半部では腰の強いストークフィーリングが得られ、その結果、底付きを防止できる。
【0059】
ここで、図11に示すように、トッションばねの長辺部のアーム長をL1,短辺部のアーム長をL2とし、後スライディングアームのアーム長をL3とすると、反力Fは
F=FF cos β+FR cos γ
=k(θ−θ0)〔cos β/L1 +L2 ′/L3 L2(cos α・cos γ) 〕
なお、FF は長辺部50bが支持点に加える力、βは長辺部50bが水平線となす角度、FR は短辺部50cが支持点に加える力、γは短辺部50cが水平線となす角度、k は定数、θは長辺部50bと短辺部50cとのなす角度、L1,L2は長辺部50b,短辺部50cのアーム長さ、である。
【0060】
上記式から、上述の長辺部50bのアーム長さL1が短くなるほどばね反力Fは大きくなることがわかる。
【0061】
このように本実施形態の懸架装置によれば、トーションばね50の短辺部50cを後スライディングアーム31により支持するとともに、長辺部50bの延長端部50dをばね受けブラケット52により支持し、スライドレール15のストローク(上昇)に伴って上記長辺部50bに当接してトーションばね50の反力特性を変化させるばね受け部55を設けたので、ストロークがS1以下の通常域では長辺部50bの長いアーム長Laに応じた柔らかいストロークフィーリングが得られる。この状態からスライドレール15がさらに上昇すると長辺部50bがばね受け部材55に当接し、該ばね受け部材55を支持点とした短いアーム長La′に応じた反力特性となり、スライドレール15の底付きを防止できる。
【0062】
また本実施形態では、スライドレール15にばね受け孔15eを前後方向に所定間隔をあけて形成し、ばね受け部材55を何れかのばね受け孔15eに着脱可能に取付けるようにしたので、ユーザの好みに応じたばね反力特性に設定することができる。
【0063】
なお、上記実施形態では、1つのばね受け部材55の取付け位置を変えることにより反力特性を変化させるようにしたが、本発明では予め複数個のばね受け部材を配置してもよい。この場合には、ばね反力の変化が複数段階において行なわれることとなり、ばね反力特性の選択幅を広げることができる。
【0064】
また、本発明におけるばね受け部材55の配置位置については、上述の実施形態等に限定されるものではなく、ユーザの好みに応じて配置位置を選択することができる。即ち、図12及び図13に示すように、ばね受け部材55の配置位置を上下方向H,前後方向Lの一方又両方において連続的に又は段階的に変化させるようにしても良い。このようにした場合には以下の作用効果が得られる。
【0065】
即ち、ばね受け部材55の配置位置を上下方向Hに変化させた場合には、ばね反力特性が変化するストロークを変えることができ、またばね受け部材55の配置位置を前後方向Lに変化させた場合には、ばね反力の変化量を変えることができる。図13はばね受け部材55の配置位置とばね特性との関係を説明するためのイメージ図であり、ばね受け部材55を前方かつ上方に配置するほどばね反力特性の立ち上がりが緩やかになり、その逆に配置するほどばね反力特性の立ち上がりが急になり、いわゆるプログレッシブ効果が高くなる。
【0066】
また図22〜図25は、第2実施形態を説明するための図であり、本第2実施形態は、一名乗車に対応したばね反力特性と、二名乗車に対応したばね反力特性とを工具を使用することなく手動で簡単に切り換えることができるようにした例である。なお、図中、図1〜図21と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0067】
本第2実施形態では、上記トーションばね50の長辺部50bの途中部分50eを支持するばね受け部64の上記スライドレール15に対する取付角度を縦位置と横位置とに可変となっている。
【0068】
上記ばね受け部64は、例えばアルミニューム合金等で形成された側面視で概ね長方形板状をなすばね受けブロック65を有し、該ばね受けブロック65には、上記長方形の1つの長辺に沿って長ばね受け溝65aが形成され、1つの短辺に沿って短ばね受け溝65bが長ばね受け溝65aに続いて形成されている。
【0069】
上記ばね受けブロック65は、上記ばね受け溝65a,65bの形成されていない残りの長辺と短辺とのコーナ部がサイドレール15aに回動可能に支持されている。具体的には、上記ばね受けブロック65の上記コーナ部はカラー66により回動可能に支持され、該カラー66はボルト67a,ナット67bにより上記サイドレール15aに固定されている。
【0070】
また上記ばね受けブロック65にはロック孔65cが形成され、該ロック孔65cにはロッピン68が挿入されており、該ロックピン68の先端部68aはばね受けブロック65から出没し、上記サイドレール15aの係止孔15a′に係脱可能となっている。
【0071】
また上記ばね受けブロック65の外側面にはガイドプレート69が配置され、上記ボルト67aで固定されている。上記ロックピン68の基端部側は上記ガイドプレート69に円弧状に形成されたガイドスリット69から外方に突出し、該突出部には把持部68bが円弧状に屈曲形成されている。さらにまた上記ロックピン68は付勢ばね70で上記先端部68aが係止孔15a′に係止する方向に付勢されている。
【0072】
本実施形態では、ばね受けブロック65を、二名乗車時には図22に実線で示す縦位置に位置させ、一名乗車時には同図に破線で示す横位置に回動させる。この回動操作は、ロックピン68の把持部68bを手でもって付勢ばね70の不整力に抗して手前に引っ張り、該ロックピン68のサイドレール15a側との係止を外し、縦位置あるいは横位置となるように回動させる。所定の位置に回動するとロックピン68が付勢ばね70の付勢力によりサイドレール15a側の係止孔15a′に係止し、該位置に固定される。
【0073】
このように工具を使用することなく簡単な操作でばね受けブロック65を縦位置と横位置とに回動させることができる。なお、本実施形態のばね受けブロック65を上記縦,横の間の複数段階で固定するようにしても勿論良い。
【0074】
二名乗車時には、上記ばね受けブロック65を縦位置に位置させる。するとスライドレール15のストロークがわずかの時点、例えば誰も乗車していない無荷重状態(1Gと記す)で、ばね受けブロック65がトーションばね50の途中部分50eに当接し、ばね反力特性は、図23に一点鎖線で示す如き特性となる。これにより1G時のばね反力が増大し、またサスペンションシステムのばね定数が増大し、二名乗車時の大きな荷重に対応できる。また荷重バランスについてもリヤ側を大きくするよう変更できる。
【0075】
一方、一名乗車時には、上記ばね受けブロック65を横位置に位置させる。するとスライドレール15のストロークが例えば最大値近傍に達した時点で、ばね受けブロック65がトーションばね50の途中部分50eに当接する。これによりばね反力特性は、図23に実線で示す如き特性となる。即ち、スライドレール15のストロークの大部分の領域でばね反力の小さい柔らかいストローク特性となり、乗り心地を良好にでき、かつストローク最大領域付近でばね反力が急激に大きくなり、耐底付き性を改善できる。
【0076】
なお、上記第1実施形態では、前,後緩衝器32,33の両方をリンク機構34に連結した場合を説明したが、本発明におけるリンク機構34では、図22に示すように、前緩衝器32のみを該リンク機構34に連結することも可能である。
【0077】
同図の例では、前緩衝器32に連結された第1リンク45と、前サスペンションアーム30に固定された第2リンク46とを帯板状の第3リンク47′で連結しており、該第3リンク47′には後緩衝器33は連結されていない。なお、後緩衝器33はサイドレール15aに連結される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による懸架装置が配設された雪上車の側面図である。
【図2】上記雪上車の懸架装置の側面図である。
【図3】上記懸架装置の側面図である。
【図4】上記懸架装置の平面図である。
【図5】上記懸架装置の後スライディングアームの断面側面図である。
【図6】上記懸架装置のリンク機構の斜視図である。
【図7】上記リンク機構の動作を説明するための側面図である。
【図8】ばね受けブラケットの断面正面図である。
【図9】上記懸架装置のトーションばねの動作を説明するための図である。
【図10】上記スライドレールのストロークとばね反力との関係を示す特性図である。
【図11】上記トーションばねの反力を説明するための模式図である。
【図12】上記トーションばねのばね受け部の位置の変化を示す図である。
【図13】上記ばね受け部の位置を変化させた場合のスライドレールストロークとばね反力との関係を示す特性図である。
【図14】上記後スライディングアームの動作を示す模式図である。
【図15】上記後スライディングアームを設けた場合のスライドレールストロークとばね反力との関係を示す特性図である。
【図16】上記リンク機構の動作を示す模式図である。
【図17】スライドレールストロークとショックレシオとの関係を示す特性図である。
【図18】上記リンク機構の動作を示す模式図である。
【図19】スライドレールストロークとショックレシオとの関係を示す特性図である。
【図20】上記リンク機構の動作を示す模式図である。
【図21】スライドレールストロークとショックレシオとの関係を示す特性図である。
【図22】本発明の第2実施形態を説明するための模式図である。
【図23】上記第2実施形態におけるスライドレールストロークとばね反力との関係を示す特性図である。
【図24】上記第2実施形態におけるばね受け部の断面正面図である。
【図25】上記第2実施形態におけるばね受け部の斜視図である。
【符号の説明】
1 雪上車
2 車体フレーム
15 スライドレール
16 トラックベルト
30,31 前,後アーム部材
32,33 前,後緩衝器
45 第1リンク
46 第2リンク
47 第3リンク
a 第2リンクの前アーム部材との連結点
b 第2,第3リンクの連結点
c 第1,第3リンクの連結点
d 第1リンクのスライドレール側連結点
e 第3リンクと後緩衝器との連結点
f 第1リンクと前緩衝器との連結点
S スライドレールの上昇ストローク
Claims (6)
- 車体フレームの下方にトラックベルトを路面に押圧しつつ案内するスライドレールを配置し、該スライドレールを前,後アーム部材により車体に上下揺動可能に支持するとともに、該スライドレールと車体フレームとの間に前,後緩衝器を介在させた雪上車の懸架装置において、上記前緩衝器にスライドレールに軸支された第1リンクの一端を連結し、上記前アーム部材のスライドレール側軸支点に第2リンクの一端部を固定し、上記第1,第2リンクを上記第3リンクを介して連結し、該第3リンクの一端に上記後緩衝器を連結したことを特徴とする雪上車の懸架装置。
- 車体フレームの下方にトラックベルトを路面に押圧しつつ案内するスライドレールを配置し、該スライドレールを前,後アーム部材により車体に上下揺動可能に支持するとともに、該スライドレールと車体フレームとの間に前,後緩衝器を介在させた雪上車の懸架装置において、上記前緩衝器にスライドレールに軸支された第1リンクの一端を連結し、上記前アーム部材のスライドレール側軸支点に第2リンクの一端部を固定し、上記第1,第2リンクを上記第3リンクを介して連結したことを特徴とする雪上車の懸架装置。
- 請求項1又は2において、上記第2リンクの前アーム部材との連結点をa、第2,第3リンクの連結点をb、第1,第3リンクの連結点をc、第1リンクのスライドレール側連結点をd、第1リンクと前緩衝器との連結点をfとするとき、これらの連結点a,b,dの位置関係は、スライドレールの上昇ストロークSに対して連結点b,dを結ぶ連結点間距離Lc が所望の変化状態となるよう設定されていることを特徴とする雪上車の懸架装置。
- 請求項3において、上記連結点a,b,dの位置関係を、ad(Ld=定数)を半径とする円弧とbd(Lc=変数)を半径とする円弧とが、スライドレールの上昇ストロークSの増加に伴って交差するように設定されていること特徴とする雪上車の懸架装置。
- 請求項1又は2において、上記第2リンクの前アーム部材との連結点をa、第2,第3リンクの連結点をb、第1,第3リンクの連結点をc、第1リンクのスライドレール側連結点をd、第1リンクと前緩衝器との連結点をfとするとき、上記各連結点b,c,dを結ぶことにより形成された三角形の各頂点の角度と各辺の長さは、前,後緩衝器のそれぞれのストロークとその動く方向が所望の変化状態となるよう設定されていることを特徴とする雪上車の懸架装置。
- 請求項5において、上記三角形bcdの頂角b,dが常に鋭角となるように設定されていることを特徴とする雪上車の懸架装置。
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