JP2004194772A - 回転ダンパにおける自立機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造上の不具合や、ばねが外部に露出する形で組み付けられることにより生ずる問題を解消すると共に、低コスト化を図ることができる、回転ダンパにおける自立機構を提供する。
【解決手段】本発明の自立機構は、回転ダンパにおける自立機構であって、断面略円形の中空部10aを有し、ダンパ本体部に固定される外枠10と、該外枠10の中空部10a内周面から突出する突起部20と、外枠10の中空部10a内において、ダンパ本体部から突出する回転軸52に支持されるばね30と、該ばね30の弾性により、外枠10の中空部10a内周面に押し当てられ、回転軸52の回転に伴い外枠10の中空部10a内周面に沿って移動すると共に、突起部20に係合することにより、回転軸52に対して、所定以上の回転力が付与されない限り、該回転軸52を所定位置にて回転不能にする移動体40とを具備することを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、回転動作する制御対象物に対して、所定の制動力を与えて、その回転動作を緩慢なものとさせる回転ダンパに組み合わせて用いられ、制御対象物を所定位置にて自立させる自立機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、回転ダンパにおける自立機構として、例えば、下記特許文献1において開示されたものが知られている。すなわち、この自立機構は、図6乃至図8に示したように、ダンパ本体部(12)から突出する回転軸(14)に形成された溝(24)に嵌入される第1ニードル(26)と、回転軸(14)に対して所定間隔をもって嵌め込まれる円筒状の外枠(30)と、外枠(30)に形成されたスリット(32)に遊嵌される第2ニードル(34)と、内方向に弾性を有し、外枠(30)を包囲するように設けられるばね(40)とを有して構成される。
【0003】
なお、図6乃至図8は、下記特許文献1の図1乃至図3を引用したものであり、上記各構成部材に付した符号は引用した図面において用いられているものである。
【0004】
この自立機構によれば、蓋や扉などの回転動作する制御対象物に連結された回転軸(14)が、制御対象物の回動に伴い一方向へ回転すると、第1ニードル(26)が外枠(30)の内周面をガイドとして回転していき、図7に示したように、第2ニードル(34)と接触する。この状態で、回転軸(14)に対して所定の回転力が付与されると、回転軸(14)はさらに一方向へ回転し、第1ニードル(26)が、ばね(40)の内方向への弾性に抗して第2ニードル(34)を外方向へ押しやる。これにより、ばね(40)の左右片(46)は、図8に示したように、外側に拡がるように変形する。そして、さらに回転軸(14)が一方向へ回転することにより、第1ニードル(26)が第2ニードル(34)を乗り越える。これにより、第2ニードル(34)は、ばね(40)の弾性によって内方向へ押しやられる。この状態から回転軸(14)が逆方向へ回転しようとしても、第1ニードル(26)が第2ニードル(34)と係合した状態では、第2ニードル(34)が障害となるので、回転軸(14)に対して所定以上の回転力が付与されない限り、回転軸(14)は逆方向へ回転できなくなる。従って、回転軸(14)に連結された制御対象物をその位置にて自立させること、すなわち、制御対象物の回動を抑制して、制御対象物をその位置にて停止した状態にさせることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−182635号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した自立機構では、ばね(40)を外枠(30)に組み付けるときに、ばね(40)の左右片(46)を一旦外側に拡げなければならないため、その左右片(46)を外側に拡げ過ぎてばね(40)を破損させてしまったり、外枠(30)への装着時に、内側へ収縮するばね(40)の左右片(46)によって外枠(30)に傷を負わせたりする等の製造上の不具合があった。
【0007】
また、ばね(40)が外部に露出する形で組み付けられているため、第1ニードル(26)が第2ニードル(34)を乗り越えるときに、ばね(40)の左右片(46)が外側に拡がるように変形すると、その周囲に存する他の部品と干渉するおそれがある。また、そのばね(40)が何らかの影響を受けて外枠(30)から外れたときには、単に自立機構自体が機能しなくなるというだけでなく、その周辺にいる者にばね(40)が直撃する等といった事故につながる危険性もある。
【0008】
さらに、第2ニードル(34)が2つ設けられているにもかかわらず、ばね(40)が単体であるため、ばね(40)は2点において荷重を受けることとなり、その中央部に大きな応力が生じることになる。そのため、形状、板厚寸法等を含むばね(40)の品質管理が重要となり、コストが高くつくという問題があった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、製造上の不具合や、ばねが外部に露出する形で組み付けられることにより生ずる問題を解消すると共に、低コスト化を図ることができる、回転ダンパにおける自立機構を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明は、回転ダンパにおける自立機構であって、断面略円形の中空部を有し、ダンパ本体部に固定される外枠と、該外枠の中空部内周面から突出する突起部と、前記外枠の中空部内において、前記ダンパ本体部から突出する回転軸に支持されるばねと、該ばねの弾性により、前記外枠の中空部内周面に押し当てられ、前記回転軸の回転に伴い前記外枠の中空部内周面に沿って移動すると共に、前記突起部に係合することにより、前記回転軸に対して、所定以上の回転力が付与されない限り、該回転軸を所定位置にて回転不能にする移動体とを具備することを特徴とする自立機構を提供する。
請求項2に記載の本発明は、前記突起部が一定の間隔をおいて2以上設けられていると共に、各突起部に対応して、前記移動体及び前記ばねがそれぞれ配設されていることを特徴とする請求項1に記載の自立機構を提供する。
請求項3に記載の本発明は、前記突起部は、前記外枠の中空部内周面に形成された溝に嵌入される断面略円形の部材からなり、また、前記ばねは、両端部間に位置する部位が断面略円弧状に形成され、該部位により前記突起部を支持可能であると共に、該部位の略中央に前記移動体を支持可能な支持部が形成された板ばねからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の自立機構を提供する。
請求項4に記載の本発明は、前記移動体は、前記外枠の中空部内周面に沿って転動可能な形状に形成されたものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の自立機構を提供する。
請求項5に記載の本発明は、前記移動体が、前記突起部を乗り越えるときに、前記回転軸の軸心に向かって又はその逆方向に移動するように、該移動体を案内するガイド溝を前記回転軸に形成したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の自立機構を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいてさらに詳しく説明する。
図1は、本発明の一の実施の形態に係る自立機構を有して構成される回転ダンパの一例を示す図であり、図2は、図1のA−A部断面図であって、自立機構の内部構造を示す図である。これらの図に示したように、本実施形態に係る自立機構は、外枠10、突起部20、ばね30及び移動体40を有して構成される。
【0012】
外枠10は、断面略円形の中空部10aを有する形状に形成され、回転ダンパのダンパ本体部51に固定される。ここで、ダンパ本体部51の構成については、何等限定されるものではなく、油圧等を利用して回転軸の回転速度を減速せしめる構造を有するものであればよい。なお、図1に示した回転ダンパは、例えば、便器の便座、便蓋の開閉動作を制御するものとして好適な構造を有する。すなわち、ダンパ本体部51から突出する回転軸52は、軸心に沿って貫通する中空部52aを有し、この中空部52a内には、回転軸52の端部から突出する内軸53が挿通されている。回転軸52と内軸53は独立して回転可能であると共に、ダンパ本体部51は、回転軸52の回転速度と内軸53の回転速度とを個別に減速せしめる機構を備える。従って、例えば、回転軸52を制御対象物たる便蓋に連結し、内軸53を制御対象物たる便座に連結すると、便蓋と便座の各開閉動作をそれぞれ独立して制御することができる。
【0013】
突起部20は、外枠10の中空部10a内周面から突出するように設けられる。突起部20としては、外枠10と一体に成形されたものであっても良い。もっとも、この突起部20は、後述の移動体40と接触することにより生じる摩擦により摩耗する部分であるので、その摩耗を少なくして長期間にわたり安定した機能を発揮し得るように、外枠10の中空部10a内周面に形成された溝10bに嵌入される断面略円形の部材から構成されること、具体的には、例えば、断面略半円形の溝10bにその一部が嵌入される平行ピンなどから構成されることが好ましい。突起部20を上記した平行ピン等の断面略円形の部材から構成すれば、後述の移動体40との接触時に、該移動体40が内方向に突出する突起部20の外周面に沿って移動することになるので、摩擦を小さくでき、また、その際に、突起部20自体が回転することによりさらに摩擦を小さくすることが可能である。また、長期間の使用により突起部20が摩耗した場合でも、その突起部20を新たなものに交換するだけで、容易に機能の回復を図ることが可能となる。なお、本実施形態における突起部20は、一定の間隔を置いて、具体的には、周方向に180度離れた位置に相対向するように2つ設けられている。
【0014】
ばね30は、外枠10の中空部10a内において、ダンパ本体部51から突出する回転軸52に支持される。このばね30は、後述の移動体40が外枠10の中空部10a内周面に沿って移動し得るように、該移動体40に対して、常に外方向に発揮される弾発力を付与するものである。従って、ばね30としては、外方向に弾性を有するものであればよいが、特に、両端部30a,30a間に位置する部位30bが断面略円弧状に形成され、該部位(以下「湾曲部」という。)30bにより突起部20を支持可能であると共に、湾曲部30bの略中央に後述の移動体40を支持可能な支持部30cが形成された板ばねからなるもの(図2及び図4参照)であることが好ましい。
【0015】
かかるばね30によれば、回転軸52に組み付けるときに、ばね30を殆ど変形させる必要がないので、容易に組付けを行うことができるほか、組付け時にばね30を変形させることにより生ずるばね30の破損を防ぐことができ、また、ばね30の両端部30a,30aの収縮等により回転軸52を傷付けてしまうことも防ぐことができる。また、外枠10の中空部10a内周面との間に所定の間隔を有して配置される湾曲部30bにより突起部20を支持できるため、突起部20の溝10bからの脱落を防ぐことができる。また、断面略半円形の凹みからなる支持部30cが湾曲部30bの略中央に形成されることにより、支持部30cに設けられる後述の移動体40に対して適度な弾発力を付与することができる。また、外枠10の中空部10a内に設けられるため、万が一、回転軸52からばね30が外れた場合でも、単に自立機構自体が機能しなくなるだけで、その周辺にいる者にばね30が直撃する等といった事故につながる危険性はなく、また、ばね30が外部の部品と干渉する問題も生じ得ないという利点がある。
【0016】
移動体40は、ばね30の弾性により、外枠10の中空部10a内周面に押し当てられ、回転軸52の回転に伴い外枠10の中空部10a内周面に沿って移動すると共に、突起部20に係合することにより、回転軸52に対して、所定以上の回転力が付与されない限り、該回転軸52を所定位置にて回転不能にする働きをするものである。この移動体40としては、外枠10の中空部10a内周面に沿って転動可能な形状に形成されたものであることが好ましい。すなわち、移動体40は、外枠10の中空部10a内周面及び突起部20に接触して移動する部材であるため、移動体40が転動可能であることにより、移動体40自体及び相手の部材の摩耗をより少なくすることができると共に、回転軸52をより円滑に回転させることが可能となるからである。なお、本実施形態における移動体40は、断面略円形の平行ピンからなる。
【0017】
上記したばね30及び移動体40は、図2に示したように、突起部20が一定の間隔をおいて2以上設けられている場合には、各突起部20に対応して、それぞれ配設されていることが好ましい。すなわち、例えば、突起部20が2つ設けられている場合には、それに対応して、ばね30及び移動体40もそれぞれ2つずつ設けられていることが好ましい。かかる構成を採用することにより、従来の単体のばねと比較して、移動体40が突起部20を乗り越えるときに生ずるばね30の応力を分散することができるので、個々のばね30の板厚を薄くでき、製造コストを低く抑えることが可能となる。
【0018】
また、回転軸52には、移動体40が、突起部20を乗り越えるときに、回転軸52の軸心に向かって又はその逆方向に移動するように、該移動体40を案内するガイド溝52cが形成されていることが好ましい(図2及び図3参照)。本実施形態におけるガイド溝52cは、移動体40の直径よりもやや大きい幅と、移動体40が突起部20を乗り越えるときに回転軸52の軸心に向かって内方向に移動する距離以上の深さとを有し、回転軸52の外周に形成されており、移動体40のばね30に支持されていない部分を常時その内部に受け入れている。かかるガイド溝52cを形成することにより、移動体40が突起部20を乗り越えるときには、常にガイド溝52cに沿って、回転軸52の軸心に向かって又はその逆方向に移動することになるので、ばね30の変位を一定にすることが可能となる。
【0019】
上記のように構成される自立機構は、例えば、制御対象物としての便蓋(図示せず)に連結された回転軸52が、便蓋の開方向への回動に伴い、一方向(図2上、時計回り方向)にすると、移動体40が、ばね30の外方向に発揮される弾発力により外枠10の中空部10a内周面に押し当てられつつ、その内周面に沿って転動していき、図2に示したように、突起部20と接触する。この状態で、回転軸52に対して所定の回転力が付与されると、回転軸52はさらに一方向へ回転すると共に、移動体40は、ばね30の外方向に発揮される弾発力に抗して、回転軸52の軸心に向かって移動する。これにより、ばね30は、図5に示したように、支持部30cが内方向に沈み込むように変形するが、この際、移動体40は回転軸52に形成されたガイド溝52cに沿って移動するため、ばね30の変位は常に一定である。つまり、常に一定の大きさの外力にて突起部20を乗り越えさせることができる。なお、ばね30は外枠10の内部に配設されているため、従来の自立機構のように、移動体40が突起部20を乗り越えるときに、外部に張り出す部分はない。従って、外部の部品との干渉の問題は生じ得ない。
【0020】
そして、さらに回転軸52が一方向へ回転することにより、移動体40が突起部20を乗り越える。これにより、移動体40は、ばね30の弾性により、回転軸52の軸心に向かう方向とは逆方向に移動して、外枠10の中空部10a内周面に押し当てられ、突起部20と係合する。この状態から回転軸52が逆方向へ回転しようとしても、移動体40が突起部20と係合した状態では、突起部20が障害となるので、回転軸52に対して所定以上の回転力が付与されない限り、回転軸52は逆方向へ回転できなくなる。従って、回転軸52に連結された便蓋をその位置(起立姿勢)にて自立させること、すなわち、便蓋の閉方向への回動を抑制して、便蓋を起立姿勢にて停止した状態にさせることができる。なお、上記したように、ガイド溝52cによりばね30の変位を一定にできるため、移動体40と突起部20との係合状態を解除するための外力の大きさも常に一定のものとすることが可能である。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、製造上の不具合や、ばねが外部に露出する形で組み付けられることにより生ずる問題を解消すると共に、低コスト化を図ることができる、回転ダンパにおける自立機構を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一の実施の形態に係る自立機構を有して構成される回転ダンパの一例を示す図である。
【図2】図2は、図1のA−A部断面図であって、自立機構の内部構造を示す図である。
【図3】図3は、上記実施形態において採用した回転軸の要部を示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【図4】図4は、上記実施形態において採用したばねを示す斜視図である。
【図5】図5は、上記実施形態に係る自立機構の作用を説明するための図である。
【図6】図6は、従来の回転ダンパにおける自立機構を示す分解斜視図である。
【図7】図7は、従来の回転ダンパにおける自立機構の内部構造を示す図である。
【図8】図8は、従来の回転ダンパにおける自立機構の内部構造を示す図である。
【符号の説明】
10 外枠
20 突起部
30 ばね
40 移動体
51 ダンパ本体部
52 回転軸

Claims (5)

  1. 回転ダンパにおける自立機構であって、断面略円形の中空部を有し、ダンパ本体部に固定される外枠と、該外枠の中空部内周面から突出する突起部と、前記外枠の中空部内において、前記ダンパ本体部から突出する回転軸に支持されるばねと、該ばねの弾性により、前記外枠の中空部内周面に押し当てられ、前記回転軸の回転に伴い前記外枠の中空部内周面に沿って移動すると共に、前記突起部に係合することにより、前記回転軸に対して、所定以上の回転力が付与されない限り、該回転軸を所定位置にて回転不能にする移動体とを具備することを特徴とする自立機構。
  2. 前記突起部が一定の間隔をおいて2以上設けられていると共に、各突起部に対応して、前記移動体及び前記ばねがそれぞれ配設されていることを特徴とする請求項1に記載の自立機構。
  3. 前記突起部は、前記外枠の中空部内周面に形成された溝に嵌入される断面略円形の部材からなり、また、前記ばねは、両端部間に位置する部位が断面略円弧状に形成され、該部位により前記突起部を支持可能であると共に、該部位の略中央に前記移動体を支持可能な支持部が形成された板ばねからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の自立機構。
  4. 前記移動体は、前記外枠の中空部内周面に沿って転動可能な形状に形成されたものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の自立機構。
  5. 前記移動体が、前記突起部を乗り越えるときに、前記回転軸の軸心に向かって又はその逆方向に移動するように、該移動体を案内するガイド溝を前記回転軸に形成したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の自立機構。
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