JP2004193219A - 熱処理装置およびそれに用いられる温度制御方法 - Google Patents

熱処理装置およびそれに用いられる温度制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】制御パラメータの設定および変更が容易な熱処理装置および温度制御方法を提供する。
【解決手段】PID制御部21は、補正目標温度Sv’および測定温度MTC_TOPの偏差を0にするPID演算を行い操作量Mvを出力するマスタコントローラ216と、操作量Mvおよび測定温度PTC_TOPの偏差を0にするPID演算を行うスレイブコントローラ218と、ランピング中に所定の補正演算により補正目標温度Sv’を出力するSv補正部211と、ランピング開始時に所定の積分演算用パラメータ値を含む信号をマスタコントローラ216の積分器へ入力するリセット発生部212と、ボートイン開始から終了まで所定のファジィ推論により得られる微分時間Tdをマスタコントローラ216の微分器へ入力するファジィコントローラ214とを含む。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部に導入されたウェーハなどの対象物に対して、酸化、拡散、アニール等の熱処理を行う熱処理装置およびそれに用いられる温度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウェーハを熱処理するための熱処理装置においては、炉内の温度がほぼ一定に保たれた状態で炉内にウェーハが導入される。導入される多くのウェーハおよびそれらのウェーハを搭載するボートは常温であり比較的大きな熱容量を有する。そのため、これらが炉内に導入されると炉内の温度は急激に低下する。ここで、炉内の温度低下が検出されるのを待ってから炉内の温度を上昇させる制御が行われるとすると、炉の時定数が大きいため炉内の温度が目標値を大きくオーバーシュートする。その結果、炉内の温度の整定(目標温度に対し微少な温度差内で安定させること)が困難となり、半導体ウェーハの処理に要する時間が長くなってスループットが低下する。さらに、炉内の温度が整定された後に炉内の温度を所定の温度まで上昇させる処理(ランピング処理と呼ばれる)が行われる場合も、炉の時定数が大きいためその終了時に炉内の温度が所定の温度をオーバーシュートしやすく、温度の整定が困難となることがある。
【0003】
このような温度整定の困難を回避するためには、温度制御を行うための1組のPID制御用パラメータ(比例ゲイン、積分時間、微分時間など)を適切な値にチューニングする方法が考えられる。しかし、これら1組のPID制御用パラメータをどのような値に設定しても、上記全ての場合に温度整定を速やかに行うことはできない。そこで、内部にウェーハを導入する際に生じる炉内の温度の急激な低下およびその後の大きなオーバーシュートとランピング処理の終了時におけるオーバーシュートとに基づく温度整定の遅れが生じない熱処理装置およびそれに用いられる温度制御方法が求められている。
【0004】
このような要求に応えるために、例えば特開2000−181549号公報では、内部にウェーハを導入する際には通常のPID制御に代えて予め定められた固定された制御パターンに基づく温度制御を行う縦型熱処理装置の構成が開示されている。以下この構成を第1の従来例と称する。この構成により、炉内へのウェーハ導入の際に生じる温度低下が速やかに回復されるため温度整定時間が短縮される。また、例えば特開平5−152311号公報では、炉内温度に基づくファジー推論制御を行う温度制御装置の構成が開示されている。以下この構成を第2の従来例と称する。この構成により、炉内の温度が常に安定に保たれる。さらに、ウェーハを導入する時点からランピング処理開始時点までの期間、ランピング処理開始時点からランピング処理終了時点までの期間、およびランピング処理終了時点以降の期間(以下、これらの各期間を「制御区間」という)に対応する適切な制御パラメータ(比例ゲイン、積分時間、微分時間など)がそれぞれ予め設定され、それぞれの制御区間毎に対応する制御パラメータに基づきPID制御が行われる熱処理装置の構成がある。以下この構成を第3の従来例と称する。この構成では上記各制御区間に応じて適切な値にチューニングされた制御パラメータに基づくPID制御が行われるため、上記制御区間全てにわたり予め設定された1つの制御パラメータに基づき通常のPID制御が行われる構成に比べて整定時間が短縮される。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−181549号公報
【特許文献2】
特開平5−152311号公報
【特許文献3】
特開2001−265448号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記第1の従来例の熱処理装置では、適切な温度制御を行うための制御パターンが予め精密に設計される。また、上記第2の従来例の温度制御装置でも、同様に適切な全ての温度制御を行うためのファジールールが予め精密に設計される。そのため、上記制御パターンまたは上記ファジールールの作成は容易ではない。上記第3の従来例の熱処理装置は、上記各制御区間に対応する制御パラメータが個別に設定される必要があるため、これら複数の制御パラメータの作成は容易ではない。
【0007】
また、例えば或る加熱用ヒータが経時変化により劣化した場合には適切な制御を行うための操作量が変化する。このような場合には上記制御パターンまたは上記ファジールールは、例えば装置の利用者により適切なものに変更されることが好ましい。しかし、上述のように上記制御パターンまたは上記ファジールールは精密に作成されるため、利用者によるこれらの変更は容易ではない。同様に上記第3の従来例の熱処理装置では、上記各制御区間に対応する制御パラメータ全てを変更する必要があるため、利用者によるこれらの変更は容易ではない。
【0008】
さらに、上記第1または第3の従来例の熱処理装置は、導入すべきウェーハの大きさ・数量・配置位置、または各種処理用ガスの導入流量等の変化(以下「運転条件の変化」という)がある場合にも、固定された制御パターンまたは制御パラメータに基づく温度制御が行われる。よって、これらの装置は上記運転条件に変化がある場合、その変化に対応する温度制御を行うことができず、運転条件に変化がある毎に上記制御パターンまたは制御パラメータが適切なものとなるようにチューニングし直さなければならない。これに対し、上記第2の従来例の温度制御装置は、上記運転条件の変化に対応する温度制御を行うことが理論的には可能である。しかし、このような温度制御を含む全ての温度制御を精度よくファジー推論により実現するためには膨大なファジールールが必要とされるため、この構成を実現することはきわめて困難である。
【0009】
そこで、本発明の目的は、適切な温度制御を行うための制御パラメータの設定および変更が容易なようにこの制御パラメータの初期値を1組のみとしながら、ウェーハを導入する際に生じる炉内の温度の急激な低下とランピング処理終了時のオーバーシュートとに基づく温度整定の遅れを生じることがない熱処理装置およびそれに用いられる温度制御方法を提供することである。また、本発明のさらなる目的は、上記運転条件に変化がある場合にもウェーハを導入する際に生じる炉内の温度の急激な低下とランピング処理終了時のオーバーシュートとに基づく温度整定の遅れを生じることがない熱処理装置およびそれに用いられる温度制御方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
第1の発明は、内部に導入される対象物に加熱処理を行う熱処理装置であって、
前記対象物を加熱する加熱手段と、
前記対象物近傍の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段により検出される温度と所定の目標温度との偏差に基づく比例・積分・微分演算すなわちPID演算を行うことにより、前記加熱手段の発熱量を制御するための出力操作量を算出する温度制御手段と
を備え、
前記加熱手段は、前記出力操作量に応じた発熱量で前記対象物を加熱し、
前記温度制御手段は、前記対象物が導入される時点近傍からその後の所定の時点までの期間中、温度整定のために予め定められたファジィルールによるファジィ推論に基づき前記微分演算のためのパラメータを変更するファジィコントローラを含むことを特徴とする。
【0011】
このような第1の発明によれば、炉内に対象物を導入する時点からファジィコントローラにより適切な微分時間等の微分演算のためのパラメータが算出され初期値から変更される構成である。この構成により、PID制御のための制御パラメータを初期値の1組のみとすることでこの制御パラメータを容易に設定することができ、かつ炉内にウェーハを導入する際に生じる炉内の温度下降を小さくすることができるので炉内温度の整定を短時間で行うことができる。また、この構成により、固定された制御パラメータのみを用いてPID制御を行う従来の構成では対応できない場合、すなわち運転条件に変化がある場合にも炉内の温度変化を小さくすることができ、炉内温度の整定を短時間で行うことができる。さらに、この構成により、例えばヒータが経年変化に基づく劣化により所定の制御信号に応じて加熱すべき発熱量を発生させることができなくなった場合においても、適切な制御を行うための制御パラメータの変更を容易に行うことができる。なお、上記ヒータの劣化以外の様々な環境要因が変化した場合であっても、上記変更を行うことにより容易に対応することができる。
【0012】
第2の発明は、内部に導入される対象物に加熱処理を行う熱処理装置であって、
前記対象物を加熱する加熱手段と、
前記対象物近傍の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段により検出される温度が所定の指令値に合致するように、前記加熱手段の発熱量を制御するための出力操作量を算出する温度制御手段と
を備え、
前記加熱手段は、前記出力操作量に応じた発熱量で前記対象物を加熱し、
前記温度制御手段は、ランピング動作開始時点近傍から順次に受け取られる所定の目標温度群を所定の遅延時間だけ遅延させて得られる補正目標温度を前記指令値とするとともに、前記補正目標温度と順次に受け取られる前記目標温度群との差分値が所定のオーバーシュート量に基づく所定量と等しくなる時点から所定時間が経過するまで当該時点での補正目標温度を前記指令値とすることを特徴とする。
【0013】
このような第2の発明によれば、目標温度を遅延させた補正目標温度が作成され、定値運転動作時の一定値である目標温度からオーバーシュート量に基づく所定量を差し引かれた補正目標温度が所定期間維持される構成である。この構成により、定値運転動作開始時の肩部分における大きなオーバーシュートの発生を防止することができる。
【0014】
第3の発明は、第2の発明において、
前記温度制御手段は、前記所定時間経過後に、順次に受け取られる目標温度へ近づくほど単位時間あたりの増加量が減少するように前記補正目標温度を増加させ、当該補正目標温度を前記指令値とすることを特徴とする。
【0015】
このような第3の発明によれば、目標温度に補正目標温度が近づくほど増加量が減少される構成により、不自然なこぶ状のオーバーシュートを抑制することができる。
【0016】
第4の発明は、第3の発明において、
前記温度制御手段は、前記温度検出手段により検出される温度のオーバーシュートを抑制するために予め定められたファジィルールによるファジィ推論に基づき前記補正目標温度を前記所定時間経過後に増加させることを特徴とする。
【0017】
このような第4の発明によれば、所定のファジィルールによるファジィ推論に基づき増加量が減少される構成により、運転条件に変化がある場合であっても、不自然なこぶ状のオーバーシュートを抑制することができる。
【0018】
第5の発明は、内部に導入される対象物に加熱処理を行う熱処理装置であって、
前記対象物を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段および前記対象物近傍の温度を検出する温度検出手段と、
前記対象物近傍の温度と所定の目標温度との偏差に基づく比例・積分・微分演算すなわちPID演算を行うことにより、前記加熱手段の発熱量を制御するために前記加熱手段が目標とする温度を第1の操作量として算出する第1の温度制御手段と
前記加熱手段の温度と前記第1の温度制御手段により算出された第1の操作量との偏差に基づく演算を行うことにより、前記加熱手段の発熱量を制御するための第2の操作量を算出する第2の温度制御手段と
を備え、
前記加熱手段は、前記第2の操作量に応じた発熱量で前記対象物を加熱し、
前記第1の温度制御手段は、ランピング動作開始時点近傍で前記積分演算による積分量を前記目標温度に強制的に略一致させることを特徴とする。
【0019】
このような第5の発明によれば、ランピング動作開始時点で積分量を目標温度と強制的に等しくする構成である。この構成により、PID制御のための制御パラメータの初期値を1組のみとすることでこの制御パラメータを容易に設定または変更することができ、かつランピング動作開始時点で、各ゾーン間での温度のばらつきが生じることなくランピング動作を行うことができる。
【0020】
第6の発明は、内部に導入される対象物に加熱処理を行う熱処理装置の温度制御方法であって、
前記対象物近傍の温度と所定の目標温度との偏差に基づく比例・積分・微分演算すなわちPID演算を行うことにより、前記対象物を加熱するための出力操作量を算出する操作量出力ステップと
前記対象物が導入される時点近傍からその後の所定の時点までの期間中、温度整定のために予め定められたファジィルールによるファジィ推論に基づき前記微分演算のためのパラメータを変更するファジィ推論ステップと
を含むことを特徴とする。
【0021】
第7の発明は、内部に導入される対象物に加熱処理を行う熱処理装置の温度制御方法であって、
前記対象物近傍の温度が所定の指令値に合致するように、前記対象物を加熱するための出力操作量を算出する操作量出力ステップと、
ランピング動作開始時点近傍から順次に受け取られる目標温度群に対して所定の遅延時間だけ遅延させて得られる補正目標温度を前記指令値とする遅延ステップと、
前記補正目標温度と順次に受け取られる前記目標温度群との差分値が所定のオーバーシュート量に基づく所定量と等しくなる時点から所定時間が経過するまで当該時点での補正目標温度を前記指令値とする定値出力ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0022】
第8の発明は、内部に導入される対象物に対して所定の加熱手段により加熱処理を行う熱処理装置の温度制御方法であって、
前記対象物近傍の温度と所定の目標温度との偏差に基づく比例・積分・微分演算すなわちPID演算を行うことにより、前記加熱手段が目標とする温度を第1の操作量として算出する第1の操作量出力ステップと
前記加熱手段の温度と前記第1の操作量との偏差に基づく演算を行うことにより、前記加熱手段の発熱量を制御するための第2の操作量を算出する第2の操作量出力ステップと、
を含み、
前記第1の操作量出力ステップは、ランピング動作開始時点近傍で前記積分演算の積分量を前記目標温度に強制的に略一致させるステップを含むことを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
<1.熱処理装置全体の構成および動作>
まず、本発明に係る熱処理装置の一例としての縦型熱処理装置について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る縦型熱処理装置の構成を示す模式図である。この縦型熱処理装置は、熱処理を行う炉1と、その内部の温度を制御する温度制御部20とを備える。炉1は、温度制御のために定められた3層の領域を有しており、これらの領域を上層からトップ(TOP)ゾーン101、センタ(CNT)ゾーン102、ボトム(BTM)ゾーン103と称する。なお、このように鉛直方向に温度制御のための層構造を有する複数の加熱ゾーンが設けられる縦型熱処理装置は従来より提案されている。この装置においては、上記複数の加熱ゾーン毎に温度が検出され、それぞれの加熱ゾーンに加えられるべき熱量(すなわち発熱量)に対応する電力が調整されることで温度制御が行われる。この構成により、炉内の温度が高精度に制御される。
【0024】
上記炉1は、石英または炭化珪素から成る反応管4と、反応管4の内部へ各種処理に用いられるガス(例えば窒素ガス)を導入するガス導入口5と、反応管4の内部からガスを排出するガス排出口6と、反応管4内の半導体ウェーハ3周囲の温度を検出するための例えば熱電対で構成されるTOPプロファイル71,CNTプロファイル72,およびBTMプロファイル73と、反応管4外の各ヒータ近傍の温度を検出するTOPスパイク81,CNTスパイク82,およびBTMスパイク83と、後述する出力調整器95〜97により供給されるべき電力が調整されることにより対応する領域を加熱するTOPヒータ91,CNTヒータ92,およびBTMヒータ93と、開閉自在のシャッタ(図示せず)とを含む。
【0025】
なお、反応管4の内部には熱処理の対象物である複数の半導体ウェーハ3と、ウェーハ3を搭載するボート2とが格納されている。これらのウェーハ3およびボート2は、閉じられていたシャッタが開けられる動作(以下「ボートイン開始動作」と称する)が完了した後、炉1の下方から反応管4の内部に導入され格納される(以下「ボートイン終了動作」と称する)。このようにボートイン動作が完了することにより、ウェーハ3およびボート2は、反応管4の内部に密閉された状態で格納される。さらに炉内の温度が整定された後に、炉内の温度を所定の温度まで上昇させる動作(以下「ランピング処理動作」という。なお、ランピング処理の動作期間についての正確な定義は後述する)が行われる。ランピング処理終了後、反応管4内部には処理用ガスが導入され、上記所定の温度を所定期間だけ維持する運転動作(以下「定値運転動作」という)が行われる。さらに定値運転動作終了後、排気しつつ所定の温度まで炉内の温度を下降させる動作(以下「降温動作」という)が行われる。
【0026】
TOPヒータ91は、トップゾーン101に設けられており、トップゾーン101の雰囲気を加熱することにより、対応する位置に格納されるウェーハ3に対して熱処理を行う。また、出力調整器95は、後述する温度制御部20からの制御信号Stが与えられ、当該制御信号Stが示すヒータの発熱体へ供給すべき電力を調整する。この動作により、ウェーハ3に対する加熱量(すなわち、TOPヒータ91の発熱量)が制御される。TOPスパイク81は、このTOPヒータ91近傍の空間に設置されており、TOPヒータ91近傍の温度を測定して測定温度PTC_TOPを示す信号を温度制御部20に与える。TOPプロファイル71は、トップゾーン101の領域内のウェーハ3近傍に設置されており、その近傍の温度を測定して測定温度MTC_TOPを示す信号を温度制御部20に与える。
【0027】
同様に、CNTヒータ92は、センタゾーン102に設けられており、温度制御部20からの制御信号Scを受け取る出力調整器96により発熱量に対応する電力が制御される。CNTスパイク82は、このCNTヒータ92近傍の空間に設置されており、CNTヒータ92近傍の温度を測定して測定温度PTC_CNTを示す信号を温度制御部20に与える。CNTプロファイル72は、センタゾーン102の領域内のウェーハ3近傍に設置されており、その近傍の温度を測定して測定温度MTC_CNTを示す信号を温度制御部20に与える。また、BTMヒータ93は、ボトムゾーン103に設けられて、温度制御部20からの制御信号Sbを受け取る出力調整器97により発熱量に対応する電力が制御される。BTMスパイク83は、このBTMヒータ93近傍の空間に設置されており、BTMヒータ93近傍の温度を測定して測定温度PTC_BTMを示す信号を温度制御部20に与える。BTMプロファイル73は、ボトムゾーン103の領域内のウェーハ3近傍に設置されており、その近傍の温度を測定して測定温度MTC_BTMを示す信号を温度制御部20に与える。
【0028】
<2.温度制御部の構成および動作>
次に、温度制御部20の詳細な構成およびその温度制御動作について説明する。図2は、温度制御部20の詳細な構成を示すブロック図である。この温度制御部20は、トップゾーン101における温度制御を行うトップゾーン用PID制御部21と、センタゾーン102における温度制御を行うセンタゾーン用PID制御部22と、ボトムゾーン103における温度制御を行うボトムゾーン用PID制御部23とを含む。これらのPID制御部21〜23には、後述するシーケンス制御部30から出力される制御信号Sscおよび目標温度Svを示す目標温度信号Ssvが与えられる。
【0029】
トップゾーン用PID制御部21は、トップゾーン101における上記測定温度PTC_TOPおよびMTC_TOPが入力されて、測定温度と設定された目標温度との偏差に対して比例・積分・微分演算(PID演算)を行い、測定温度MTC_TOPが目標温度で安定するように、TOPヒータ91の発熱量に対応する電力を示す制御信号Stを出力する。
【0030】
同様に、センタゾーン用PID制御部22は、センタゾーン102における上記測定温度PTC_CNTおよびMTC_CNTが入力されて、測定温度と設定された目標温度との偏差に基づいてPID演算を行い、測定温度MTC_CNTが目標温度で安定するように、CNTヒータ92の発熱量に対応する電力を示す制御信号Scを出力する。
【0031】
またボトムゾーン用PID制御部23は、ボトムゾーン103における上記測定温度PTC_BTMおよびMTC_BTMが入力されて、測定温度と設定された目標温度との偏差に基づいてPID演算を行い、測定温度MTC_BTMが目標温度で安定するように、BTMヒータ93の発熱量に対応する電力を示す制御信号Sbを出力する。
【0032】
このように各ゾーン用PID制御部21〜23は、熱処理装置の動作中に実行される各種処理に応じて設定される温度を目標値として各ゾーンの温度を制御するが、この制御は熱処理装置が動作期間中、停止されることなく継続的に行われる。この動作期間とは、典型的にはボートイン開始動作からボートイン終了動作およびランピング処理動作を経て、定値運転動作が終了するまでの期間をいう。もちろん、この動作期間には、ボートイン開始動作前までに室温からボートイン開始動作時の所定の温度まで炉内の温度を上昇させる動作またはボートイン間のインターバルで炉内の温度を所定の温度に維持する動作(以下「スタンバイ動作」という)に対応する期間と、降温動作に対応する期間とが含まれていてもよい。
【0033】
本熱処理装置はこれらの動作を含む各種処理が所定の手順で行われるように制御するシーケンス制御部30を備えており、このシーケンス制御部30は上記制御を行うための制御信号Sscと、PID制御部21〜23に与えられるべき目標温度Svを示す目標温度信号Ssvとを出力する。制御信号Sscは、上記ボートイン開始動作に対応してシャッタが開けられたことを示す信号であるボートイン開始信号と、上記ボートイン終了動作に対応してシャッタが閉められたことを示す信号であるボートイン終了信号と、ランピング動作が開始されたことを示す信号であるランピング開始信号とを含む。目標温度信号Ssvは、上記各動作に対応する所定の目標温度Svを順次に示すパルス列からなる時系列信号である。なお、目標温度信号Ssvは、例えばランピング動作中のように目標温度Svが順次に変化する場合には変化する目標温度Svを順次に示し、定値運転動作中のように目標温度Svが変化しない場合には出力されないように構成されていてもよい。ここで、本明細書中のランピング動作時とは、炉内にウェーハが導入された後、目標温度Svの上昇が開始された時点を始点とし、目標温度Svが予め定められた一定の温度となる時点(すなわち定値運転動作が開始された時点)を終点とする期間をさすものとする。
【0034】
<3.トップゾーン用PID制御部の構成および動作>
次に、各ゾーン用PID制御部21〜23は、対応するゾーン毎に同様の温度制御を行うため同様の構成となる。そこで、以下ではトップゾーン用PID制御部21の構成および動作を例示して説明し、センタゾーン用PID制御部22およびボトムゾーン用PID制御部23に関する説明は省略する。
【0035】
図3は、トップゾーン用PID制御部21の詳細な構成を示すブロック図である。トップゾーン用PID制御部21は、Sv補正部211と、リセット発生部212と、ロジックコントロール部213と、ファジィコントローラ214と、加算器215,217と、マスタコントローラ216と、スレイブコントローラ218とを含む。なお、これらの機能の一部または全ては、コンピュータソフトウェアにより実現されてもよい。
【0036】
図3に示すように、マスタコントローラ216とスレイブコントローラ218とによりカスケード制御が行われる構成であって、TOPヒータ91の発熱体へ供給すべき電力が調整されることにより、ウェーハ3に対する加熱温度が制御される。このような制御系は図4のように示される。図4は、この制御系の構成を示すブロック線図である。ここで、マスタコントローラ216の伝達関数はCm(s)であり、スレイブコントローラ218の伝達関数はCs(s)であり、制御対象であるTOPヒータ91に対応する伝達関数はPs(s)であり、制御対象であるTOPヒータ91からウェーハ3への熱伝達に対応する伝達関数はPm(s)であり、目標値はSv’(s)であり、TOPヒータ91の測定温度はθptcであり、ウェーハ3の測定温度はθmtcであるものとする。この制御系全体の伝達関数G(s)は次式(1)のように示される。
G(s)=Cm(s)・Cs(s)・Ps(s)・Pm(s)/(1+Cs(s)・Ps(s)+Cm(s)・Cs(s)・Ps(s)・Pm(s))…(1)
【0037】
ロジックコントロール部213は、シーケンス制御部30からの制御信号Sscに基づいて、リセット発生部212を動作させるためのリセット動作信号Slrと、Sv補正部211に所定の補正演算を開始させるためのSv補正信号Slsと、ファジィコントローラ214を動作させるためのファジィ動作信号Slfとを所定の時点または期間中出力する。すなわち、リセット動作信号Slrは、制御信号Sscに含まれるランピング開始信号に基づきランピング開始時に出力される。Sv補正信号Slsは、制御信号Sscに含まれるランピング開始信号に基づきランピング動作開始時に出力される。ファジィ動作信号Slfは、制御信号Sscに含まれるボートイン開始信号およびボートイン終了信号に基づき、ボートイン動作の開始から終了までの期間中出力される。なお、上記各信号が出力される時点または期間は、上記時点または期間に限定されるわけではなく、その近傍の時点または期間であってもよい。
【0038】
Sv補正部211は、Sv補正信号Slsと目標温度信号Ssvが示す目標温度Svとに基づき、ランピング動作の開始時点からランピング終了時点以降の所定の時点までは所定の補正演算により得られる補正目標温度Sv’を出力し、ランピング動作の開始時点より前の期間および上記所定の時点より後の期間では目標温度Svを補正目標温度Sv’として出力する。このように、Sv補正部211は所定の期間所定の補正演算を行うことに特徴を有するが、その詳細な構成および動作については後述する。
【0039】
加算器215は、Sv補正部211からの補正目標温度Sv’と、符号が反転されたTOPプロファイル71からの測定温度MTC_TOPとを加算し、偏差eとして出力する。すなわち、e=Sv’−MTC_TOPとなる。
【0040】
マスタコントローラ216は、この偏差eを0に近づけるようにPID演算を行い、操作量Mvを出力する。このマスタコントローラ216の伝達関数Cm(s)は、比例ゲインをKp、積分時間をTi、微分時間をTd、ラプラス変換に基づく変数であって微分演算子に相当するものをsとするとき次式(2)のように示される。なお、上記制御パラメータはそれぞれ適切な初期値が予め1つだけ与えらる。
Cm(s)=(1+(1/(Ti・s))+(Td・s))・Kp …(2)
【0041】
図5は、この制御系を示すブロック線図であり、図6は、図5に示すブロック線図に対応する、マスタコントローラ216の詳細な構成を示すブロック図である。ここで、図6に示す積分器2161は上式(2)の(1/(Ti・s))に対応する積分演算を行い、微分器2162は上式(2)の(Td・s)に対応する微分演算を行い、比例器2164はKpを乗じる比例演算を行う。なお、リセット発生部212からリセット信号Srmが入力される場合に行われる積分器2161の特有の動作については、リセット発生部212の詳細な動作に関する説明と併せて後述する。また、ファジィコントローラ214から微分時間Tdが入力される場合に行われる微分器2162の特有の動作については、ファジィコントローラ214の詳細な動作に関する説明と併せて後述する。
【0042】
加算器217は、マスタコントローラ216からの操作量Mvと、符号が反転されたTOPスパイク81からの測定温度PTC_TOPとを加算し、偏差e’として出力する。すなわち、e’=Mv−PTC_TOPとなる。
【0043】
スレイブコントローラ218は、この偏差e’を0に近づけるようにPID演算を行い、制御信号Stを出力する。このスレイブコントローラ218の伝達関数Cs(s)も上式(2)に示すマスタコントローラ216の伝達関数Cm(s)と同様であるためその説明を省略する。
【0044】
リセット発生部212は、リセット動作信号Slrと目標温度信号Ssvが示す目標温度Svとに基づき、ランピング動作の開始時点において所定の条件が満たされる場合には、目標温度Svおよび積分項(Kp/(Ti・s))に対応する積分量に基づき算出された所定の積分演算用パラメータ値を含むMv0リセット信号Srmをマスタコントローラ216の積分器2161へ入力する。このリセット発生部212の詳細な構成および動作については後述する。
【0045】
ファジィコントローラ214は、ファジィ動作信号Slfと測定温度PTC_TOPおよび偏差eとに基づき、ボートイン動作の開始時点から終了時点まで所定のファジィ推論により得られる微分時間Tdを出力し、予め定められたマスタコントローラ216に含まれる微分器2162の微分時間Tdを再設定する。以下、このファジィコントローラ214の詳細な構成および動作について説明する。
【0046】
<4.ファジィコントローラの構成および動作>
図7は、ファジィコントローラ214の詳細な構成を示すブロック図である。このファジィコントローラ214は、入力処理部2141と、ファジィ推論部2142と、微分時間算出部2143とを含む。
【0047】
入力処理部2141は、ファジィ動作信号Slfが入力されることにより動作を開始し、測定温度MTC_TOPおよび偏差eに基づいて、正規化された測定温度Pvと正規化された偏差Eと正規化された測定温度Pvの時間微分値dPv/dtとを出力する。ここで、正規化された測定温度Pvは、ボートイン動作時における測定温度MTC_TOPの最低値および最高値をスケーリングファクタとし、−1から1までの値をとるように無次元化される。正規化された偏差Eおよび正規化された微分値dPv/dtも同様に、所定の最小値および最大値をスケーリングファクタとして無次元化される。なお、以下では正規化された測定温度Pvおよび正規化された偏差Eは、単に測定温度Pvおよび偏差Eと略称する。
【0048】
ファジィ推論部2142は、入力処理部2141からの測定温度Pvと偏差Eと時間微分値dPv/dtとに基づいて所定のファジィ推論を行うことによりファジィ推論値Gを出力する。以下、このファジィ推論について説明する。
【0049】
図8は、測定温度PvがPBに含まれる値をとる場合のファジィルールを表として示す図であり、図9は、その前件部および後件部のファジィ集合を示す図である。なお、図9の縦軸はメンバーシップ値であり、横軸は正規化された上記各値である。ここで、NBはNegativeBig(負大)、NMはNegativeMedium(負中)、NSはNegativeSmall(負小)、ZEはZeroEquivalent(ほぼゼロ)、PSはPositiveSmall(正小)、PMはPositiveMedium(正中)、PBはPositiveBig(正大)の略称であり、対応するファジィ集合を定性的に表現する名称である。また、図8に示す表は、偏差EがPBからNBまでの各集合に含まれる値をとる場合および微分値dPv/dtがNBからPBまでの各集合に含まれる値をとる場合のそれぞれに対応するファジィ推論値Gがとるべき値を含む集合を示す。なお、表中の空白部分は非制御状態としてG=0であることを示す。
【0050】
例えば、この表の1列1行目は、偏差EがPBに含まれる値をとる場合であってかつ微分値dPv/dtがNBに含まれる値をとる場合には、ファジィ推論値GがPBに含まれる値をとるべきことを示す。これを条件式により表現すると次式(3)のように示される。
IF E=PB AND dPv/dt=NB THEN G=PB …(3)
ここで、隣り合うファジィ集合は互いに重なり合うため、図8に示す条件はほとんどが複数成立する。そのため、例えば公知のMin−Max法や代数積−加算重心法などに基づいて非ファジィ化を行うことによりファジィ推論値Gが求められる。これらの方法は公知であるため、ここでは説明を省略する。
【0051】
また、図8は測定温度PvがPBに含まれる値をとる場合のファジィルールを示すが、測定温度PvがZEに含まれる値をとる場合には、例えば図9を用いて表現すると、ファジィ推論値Gを示す全てのファジィ集合が左隣へ1つシフトされ(すなわち1グレード落とされ)、測定温度PvがNBに含まれる値をとる場合には、全てのファジィ集合が左へ3つシフトされて(すなわち3グレード落とされて)、上記ファジィ推論が行われる。例えば、測定温度PvがZEに含まれる値をとる場合において、偏差EがPBに含まれる値をとりかつ微分値dPv/dtがNBに含まれる値をとる場合、ファジィ推論値Gは、PBから1グレード落とされたPMに含まれる値をとることになる。なお、図8のファジィルールおよびファジィ推論は例示であって、他のルールや他の方法に基づく推論が行われてもよい。
【0052】
微分時間算出部2143は、以上のようにしてファジィ推論により得られたファジィ推論値Gを次式(4)に代入し、微分時間Tdを出力する。
Td = Td0+(1+G)ΔTd …(4)
ここで、Td0はPIDパラメータの適切なチューニングに基づき予め定められた初期値の微分時間であり、ΔTdは予め定められた微分時間の変動幅である。また、ファジィ推論値Gのとりうる値の範囲は、上記ファジィ集合により規定されるため−1≦G≦1となる。
【0053】
なお、微分時間算出部2143は、微分演算のためのパラメータとしての上記微分時間Tdを出力する構成であるが、微分器2162の微分演算に用いられるパラメータであれば微分時間Td以外の他のパラメータ(例えば微分ゲインなど)を出力する構成であってもよい。
【0054】
このように、ボートイン動作の開始時点から終了時点まで、ファジィコントローラ214の上記ファジィ推論により得られる微分時間Tdに基づき、予め定められたマスタコントローラ216に含まれる微分器2162の微分時間Tdが再設定される構成により、ボートイン動作時における炉内温度の急激な低下およびその後のオーバーシュートを比較的短い時間で抑制する作用を有しつつ、制御パラメータの設定および変更が容易な熱処理装置が実現される。以下、前述した第3の従来例の熱処理装置と本発明の一実施形態に係る熱処理装置との動作を比較することにより、ファジィコントローラ214の動作が行われる場合の上記温度低下およびオーバーシュートの抑制について図10および図11を参照して説明する。
【0055】
図10は、前述した第3の従来例の熱処理装置におけるウェーハを導入してから温度が整定されるまでの炉内の温度変化を示す図である。この従来の熱処理装置は、温度制御部20の動作が異なる点を除き、本発明の実施形態に係る熱処理装置と同様の構成である。すなわち、この従来の熱処理装置では、ウェーハを導入する時点からランピング処理終了時点以降までの前述した各制御区間毎に対応する適切な制御パラメータ(比例ゲイン、積分時間、微分時間など)が予め設定されており、それぞれの制御区間毎に対応する適切な制御パラメータに基づきPID制御が行われる点が、本発明の実施形態に係る熱処理装置とは異なる。また、図11は、本発明の一実施形態に係る熱処理装置におけるウェーハを導入してから温度が整定されるまでの炉内の温度変化を示す図である。なお、これらの熱処理装置は、以下の点では同一の運転条件で動作している。すなわち、ボート2は搭載可能である最大数(60枚)のウェーハ3を搭載しており(以下この状態を「フルチャージ状態」という)、処理用の窒素ガスの流量は25SLM(StandardLiter/Min)である点で同一である。
【0056】
まず、図10を参照すると、ウェーハ3近傍に設置される各プロファイル71〜73の測定温度MTC_TOP,MTC_CNT,MTC_BTMは、ボートイン開始動作時点から約5分以降に少し上昇したあと急激に最大約25度低下する。それは常温で熱容量の大きいボート2およびウェーハ3が炉内に導入されたことによる。数分後、測定温度MTC_TOP,MTC_CNT,MTC_BTMが上昇に転じると、各ヒータ91〜93の発熱量は減少するように制御される。ここで、もし各制御区間に対応する適切な制御パラメータに基づきPID制御が行われなければ、炉の時定数が大きいことにより測定温度MTC_TOP,MTC_CNT,MTC_BTMは目標温度を大きくオーバーシュートすることになる。これに対し、この従来例の熱処理装置はボートイン動作開始から終了までの温度整定に適した制御パラメータに基づきPID制御が行われるためオーバーシュートは小さく抑えられている。しかし、ボートイン動作開始後の急激な温度低下を抑えることはできない。その結果、時定数の大きな炉の温度上昇に時間がかかるため、ボートイン開始動作時点から50〜55分が経過した時点でようやく測定温度MTC_TOP,MTC_CNT,MTC_BTMは目標温度である400度付近でほぼ安定した値をとる。このように、ボートイン動作に応じて適切にチューニングされた固定値の制御パラメータが用いられるPID制御による温度制御を行う方法では、炉内の温度が急激に大きく下降するため炉内温度の整定が困難になり、処理時間が長くかかることになる。
【0057】
次に、図11を参照すると、測定温度MTC_TOP,MTC_CNT,MTC_BTMは、ボートイン開始動作時点から約300秒後に上昇または下降し始め、測定温度MTC_TOPは最大約13度上昇する。しかし、温度の下降は図10に示す場合よりも小さく、測定温度MTC_BTMが約5度程度下降するにとどまっている。その後、若干の温度変動が見られるものの、ボートイン開始動作時点から35〜40分が経過した時点で、測定温度MTC_TOP,MTC_CNT,MTC_BTMは目標温度500度付近で安定した値をとる。このように、本温度制御部20では、炉内の温度が大きく下降する前に微分要素が適切な値に変更されるような上記ファジィ推論に基づくPID制御による温度制御が行われるため炉内の温度上昇に時間がかかることがなく、結果として炉内温度の整定が速やかになされるため処理時間が短くなる。
【0058】
さらに、上記ファジィ推論について説明する。図8に示すように、時間微分値dPv/dtが同じである場合には、偏差Eが大きくなるほど(すなわちZEに含まれる値からPBに含まれる値に近づくほど)ファジィ推論値Gは大きくなる。また、偏差Eが同じである場合には、時間微分値dPv/dtの絶対値が大きくなるほど(すなわちZEに含まれる値からPBまたはNBに含まれる値に近づくほど)ファジィ推論値Gは大きくなる。したがって、偏差Eまたは時間微分値dPv/dtの絶対値が大きくなるほど微分時間Tdが大きくなる。そのため、炉内の温度が急激に大きく下降しようとする際、微分時間Tdが大きくなることにより速やかに温度が整定される。
【0059】
<5.リセット発生部の構成および動作>
図12は、リセット発生部212の詳細な構成を示すブロック図である。リセット発生部212は、リセット決定部2121と、パラメータ算出部2122とを含む。リセット決定部2121は、リセット動作信号Slrが入力された時点におけるマスタコントローラ216の積分項(Kp/(Ti・s))に対応する積分量Um_iと目標温度Svとが次式(5)の条件関係を満たすか否かを判断する。
Sv/Smax−Um_i/Umax≧C …(5)
ここで、Cは定数(=0.1)であり、Svをその最大値Smaxにより除算することにより得られる値は正規化(無次元化)されており、Um_iをその最大値Umaxにより除算することにより得られる値も同様に正規化されている。ここで例えば、上記最大値Smaxは、炉内の最高温度である800(度)である。
【0060】
なお、上記積分項に対応する積分量が目標温度Svから所定値以上大きく下回っている場合には、マスタコントローラ216から出力される操作量Mvが目標温度Svから所定値以上大きく下回っているため、上式(5)に代えて、例えばSv−Mv≧C’(ここでC’は定数)のような条件式が用いられてもよい。
【0061】
上式(5)を満たす場合、すなわち積分項に対応する積分量が目標温度Svから所定値以上大きく下回っている場合、リセット決定部2121は、パラメータ算出部2122を動作させるための信号Srpを出力する。この信号Srpが入力されることにより動作状態となったパラメータ算出部2122は、積分項(Kp/(Ti・s))に対応する積分量を目標温度Svに等しくするために必要な値を算出し、当該算出値を含むMv0リセット信号Srmをマスタコントローラ216の積分器2161へ入力する。
【0062】
積分器2161は、Mv0リセット信号Srmが入力される場合、積分演算用パラメータをリセットして、Mv0リセット信号Srmに含まれる上記算出値を初期値として代入する。この動作により、Mv0リセット信号Srmが入力される前の積分項に対応する積分量にかかわらず、積分量は目標温度Svと強制的に等しくさせられる。その後、積分器2161は上記算出値を初期値として積分演算を継続する。
【0063】
このような構成によれば、積分項に対応する積分量が目標温度Svより大きく下回っている場合であっても、積分器2161にMv0リセット信号Srmが入力されることにより、瞬時にマスタコントローラ216から出力される操作量Mvの値が目標温度Svにほぼ等しくなる。ここで、操作量Mvの値が目標温度Svと完全に等しくならないのは操作量Mvの値に微分項に対応する微分量と比例項に対応する比例量とが加算されているためであるが、微分項および比例項に対応する微分量および比例量はほとんど0であり問題とはならない。なぜなら、通常、ランピング動作開始時には見かけ上ほぼ温度が整定されていることから、測定温度MTC_TOPと目標温度Svとの偏差eはほぼ0であるため比例項に対応する比例量は0に近く、また温度変化もほとんど無いため微分項に対応する微分量も0に近いからである。したがって、この構成により、ランピング開始時における積分項に対応する積分量の大きな低下による悪影響が排除される作用が実現される。なお、上記作用が実現されるためには、積分器2161にMv0リセット信号Srmが入力される時点がランピング動作開始時点と完全に一致する必要はなく、また積分器2161へ入力される積分量は必ずしも目標温度Svと完全に一致しなくてもよい。次に、リセット発生部212および積分器2161が動作しない場合と動作する場合とを比較することにより、ランピング動作開始時に上記動作が行われる場合の温度整定作用について図13および図14を参照して説明する。
【0064】
図13は、本熱処理装置に含まれるリセット発生部212が動作しない場合のランピング処理開始時点近傍の炉内の温度変化と、マスタコントローラ216の出力操作量Mvおよび積分項(Kp/(Ti・s))に対応する積分量の変化とを示す図である。図14は、上記リセット発生部212が動作する場合のランピング処理開始時点近傍の炉内の温度変化と、マスタコントローラ216の出力操作量Mvおよび積分項に対応する積分量の変化とを示す図である。
【0065】
まず、図13を参照すると、ボートイン動作開始時から約5分が経過した時点以降、トップゾーン用PID制御部21に含まれるマスタコントローラ216の操作量Mvの値が減少しているにもかかわらず、測定温度MTC_TOPは上昇している。これは、測定温度MTC_CNT,MTC_BTMの下降を防ぐためにセンタゾーン102およびボトムゾーン103に対して与えられた熱量の影響を受け、トップゾーン101の温度が上昇する(あおられる)ためである。その結果、測定温度MTC_TOPはオーバーシュートを生じるため、マスタコントローラ216の積分項(Kp/(Ti・s))に対応する積分量は大きく減少し、マスタコントローラ216の出力操作量Mvは目標温度Svおよび測定温度MTC_TOPを大きく下回る。その後、ランピング動作が開始されることにより目標温度Svは所定の増加率で上昇するが、上記積分量はそれまでに大きく落ち込んでいるため或る程度の値に回復するまでには時間がかかる。したがって、マスタコントローラ216の出力操作量Mvが測定温度MTC_TOPを超えるまではトップゾーン用PID制御部21は制御状態(ここでの制御状態とはTOPヒータ91を加熱する制御状態をいう)に入ることがなく、その結果、ランピング動作中に測定温度MTC_TOPが目標温度Svより大きく下回ることになり、各ゾーン間での温度のばらつきが生じる。このような温度のばらつきは、ウェーハ3の品質にばらつきを生じさせる要因となり、また炉全体の温度整定にも困難を生じさせるため、好ましくない。
【0066】
次に、図14を参照すると、ランピング動作が開始されるまでは図13と同じ運転条件であるため同様の変化を生じる。すなわち、測定温度MTC_TOPがオーバーシュートを生じるため、マスタコントローラ216の積分項(Kp/(Ti・s))に対応する積分量は大きく減少し、マスタコントローラ216の出力操作量Mvは目標温度Svおよび測定温度MTC_TOPを大きく下回る。なお、図13に示す場合と図14に示す場合とで各値がやや異なるのは、ボートイン開始時の各ゾーンの温度にそれぞれ微妙な差があり、それぞれの場合において完全に同一の条件とはならないためである。ランピング動作開始時点では、上述のようにマスタコントローラ216の積分項(Kp/(Ti・s))に対応する積分量Um_iと目標温度Svとが式(5)の条件関係を満たすか否かが判断される。図14に示す積分量は目標温度Svから大きく下回っているため式(5)の条件が満たされ、積分量は目標温度Svと強制的に等しくさせられる。ここでは、トップゾーン用PID制御部21に含まれる積分器2161の他、センタゾーン用PID制御部22およびボトムゾーン用PID制御部23に含まれる積分器の積分量も目標温度Svと強制的に等しくさせられる。したがって、ランピング動作開始時点では、各PID制御部21〜23が各ヒータを加熱する制御状態に入るため、各ゾーン間での温度のばらつきがほとんど生じることなくランピング動作が行われる。なお、上記場合ではトップゾーン用PID制御部21に含まれる積分器2161のみの積分量が目標温度Svと強制的に等しくさせられる構成であってもほぼ同様の結果が得られる。
【0067】
<6.Sv補正部の構成および動作>
図15は、Sv補正部211の詳細な構成を示すブロック図である。このSv補正部211は、所定の場合に目標温度信号Ssvを遅延させる遅延部2111と、所定の場合に所定の一定値を出力するピーク解消部2112と、所定の場合に補正目標温度Sv’を目標温度Svへ復帰させる定値復帰部2113と、これらを制御する補正制御部2114とを含む。
【0068】
遅延部2111は、目標温度信号Ssvが入力され、補正制御部2114からの制御信号Sc1に基づく動作期間中は当該目標温度信号Ssvを予め定められた遅延時間Taだけ遅延させて得られる第1の中間目標温度Sv’aを出力し、それ以外の期間は目標温度信号Ssvが示す目標温度Svをそのまま第1の中間目標温度Sv’aとして出力する。なお、上記制御信号Sc1が与えられてから上記遅延時間Ta経過時点までの間、遅延部2111は、上記制御信号Sc1が与えられた時点の目標温度Svをそのまま第1の中間目標温度Sv’aとして出力する。
【0069】
ピーク解消部2112は、遅延部2111からの第1の中間目標温度Sv’aを受け取り、補正制御部2114からの制御信号Sc2に基づく動作期間中は所定の一定値を第2の中間目標温度Sv’bとして出力し、それ以外の期間は第1の中間目標温度Sv’aをそのまま第2の中間目標温度Sv’bとして出力する。典型的には、ピーク解消部2112は、補正制御部2114からの制御信号Sc2が入力された時点での第1の中間目標温度Sv’aの値をラッチすることにより当該値を第2の中間目標温度Sv’bとして出力する。
【0070】
定値復帰部2113は、ピーク解消部2112からの第2の中間目標温度Sv’bを受け取り、補正制御部2114からの制御信号Sc3に基づく動作期間中は所定のパターンで目標温度Svまで変化する温度を補正目標温度Sv’として順次に出力し、それ以外の場合には第2の中間目標温度Sv’bをそのまま補正目標温度Sv’として出力する。例えば、定値復帰部2113は、補正制御部2114からの制御信号Sc3が入力された時点での第2の中間目標温度Sv’bの値を起点として、所定の増加率で目標温度Svまで変化する温度を補正目標温度Sv’として順次に出力するように構成される。また、別例として、定値復帰部2113は、補正制御部2114からの制御信号Sc3が入力された時点での第2の中間目標温度Sv’bの値を起点として、当該値に対して所定のファジィ推論により得られるべき上昇温度が加算された補正目標温度Sv’を順次に出力するように構成される。この別例の構成および動作については、変形例として後述する。
【0071】
補正制御部2114は、図示されないタイマを含み、所定の場合に上記制御信号Sc1〜Sc3を出力することにより、遅延部2111、ピーク解消部2112、および定値復帰部2113の動作を制御する。図16は、この補正制御部2114の処理手順を示すフローチャートである。なお、当初より遅延部2111、ピーク解消部2112、および定値復帰部2113の動作は停止しているものとする。
【0072】
補正制御部2114は、ロジックコントロール部213からのSv補正信号Slsが入力されたか否かを判断し(ステップS10)、入力されない場合(Noの場合)には当該ステップS10の判断が繰り返される。Sv補正信号Slsが入力された場合(Yesの場合)には遅延部2111を動作させるように制御信号Sc1を出力する(ステップS12)。
【0073】
ステップS14において、補正制御部2114は、定値復帰部2113からの補正目標温度Sv’と予め定められたオーバーシュート量V(典型的にはSv補正部211が動作しない場合に発生すべきオーバーシュート量であるが、その近傍値であってもよい)との合算値が目標温度信号Ssvに示される目標温度Sv以上であるか否かを判断し、目標温度Sv未満である場合(Noの場合)には上記合算値が目標温度Sv以上になるまでステップS14の判断が繰り返される。上記合算値が目標温度Sv以上となった場合(Yesの場合)には、上記タイマから出力される経過時間を示すタイマー値Txをリセットし(ステップS16)、ピーク解消部2112を動作させるように制御信号Sc2を出力する(ステップS18)。
【0074】
ステップS20において、上記タイマー値Txが予め定められた定値時間Tb(典型的には目標温度に対する応答遅延時間を2〜4倍した値であって、この遅延時間が大きいほど小さくなるように定められる値であるが、その近傍値であってもよい)以上であるか否かを判断し、定値時間Tb未満である場合(Noの場合)には上記タイマー値Txが定値時間Tb以上になるまでステップS20の判断が繰り返される。上記タイマー値Txが定値時間Tb以上となった場合(Yesの場合)には、定値復帰部2113を動作させるように制御信号Sc3を出力する(ステップS22)。定値復帰部2113は、この制御信号Sc3を受け取ることにより、この時点における一定値となった目標値Svからオーバーシュート量Vが差し引かれた値を開始値とし、予め定められたピーク時間Tp(典型的にはランピング動作終了時点からオーバーシュートのピーク時点までの時間であるが、その近傍値であってもよい)が経過した時点での目標値Svを終了値とするように、所定の増加率で増加する補正目標値Sv’を順次出力する。
【0075】
ステップS24において、上記タイマー値Txが定値時間Tbに予め定められたピーク時間Tpを加えた時間以上であるか否かを判断し、当該時間(Tb+Tp)未満である場合(Noの場合)には上記タイマー値Txが当該時間(Tb+Tp)以上になるまでステップS24の判断が繰り返される。上記タイマー値Txが時間(Tb+Tp)以上となった場合(Yesの場合)には、遅延部2111、ピーク解消部2112、および定値復帰部2113の動作を停止させるように、制御信号Sc1〜Sc3を出力し、処理を終了する(ステップS26)。なお、上記時間(Tb+Tp)に代えて、オーバーシュート時間Tov(典型的にはSv補正部211が動作しない場合に発生すべきオーバーシュートの発生時間であるが、その近傍値であってもよい)が用いられてもよい。なお、オーバーシュート量V、定値時間Tb、ピーク時間Tp、およびオーバーシュート時間Tovは必ずしも上記値に限定されない。
【0076】
図17(a)は、Sv補正部211が動作しない場合の目標温度Svと測定温度MTC_TOPとの時間変化を示す図であり、図17(b)は、Sv補正部211が動作する場合の目標温度Svと補正目標温度Sv’と測定温度MTC_TOPとの時間変化を示す図である。1点鎖線は目標温度Svの時間変化を示し、実線は補正目標温度Sv’の時間変化を示し、点線は測定温度MTC_BTMの時間変化を示す。図17(a)に示されるように、Sv補正部211が動作しない場合、時刻t1にランピング処理が開始されると、時刻t1から本制御系における目標温度に対する応答遅延時間Trだけ遅れて測定温度MTC_TOPが上昇を開始する。その後ランピング処理が終了しても、測定温度MTC_TOPは時刻t7で目標温度Svに合致した後もさらに上昇し続け、時刻t7からピーク時間Tpが経過した時刻t8の時点でオーバーシュートのピーク値となった後、時刻t7からオーバーシュート時間Tovが経過した時刻t9の時点で目標温度Svに合致し整定される。なお、応答遅延時間Trは、正確にはランピング処理終了時点から測定温度MTC_TOPが目標温度Svに達する時点までの時間であるものとする。次に、Sv補正部211の動作について、図17(b)を参照して説明する。
【0077】
時刻t1において、ランピング処理が開始されることにより、補正制御部2114は、遅延部2111へ制御信号Sc1を出力する(S10,S12)。この制御信号Sc1が入力されたことにより動作状態となった遅延部2111により、補正目標温度Sv’は時刻t1から遅延時間Taだけ遅れた時刻t2まで一定値を維持された後、目標温度Svと同じ増加率で遅延時間Taだけ遅れてランピングされる。時刻t3において、定値運転動作が開始され、一定値となった目標温度Svと未だ上昇中である補正目標温度Sv’との差は時刻t3から徐々に小さくなり、時刻t4において、補正目標温度Sv’とオーバーシュート量Vとの合算値が目標温度Svに達する。補正目標温度Sv’が目標温度Svに対して遅延されるように構成されるのは、この状態を生じさせるためである。この時点で、ピーク解消部2112は補正制御部2114からの制御信号Sc2が入力されることにより動作状態となり、定値時間Tbが経過して時刻t5になるまで、所定の値である目標温度Svと逆符号のオーバーシュート量Vとの合算値を補正目標温度Sv’として出力する(S14,S16,S18,S20)。このように補正目標温度Sv’が上昇状態から一定値に転ずる時点からその近傍の所定時点までの期間(以下「肩部分」という)の補正目標温度Sv’を目標温度Svより低くすることにより、発生すべきオーバーシュートのピーク付近に対応する期間の温度を下げ、結果的にオーバーシュートを解消または抑制する。また、当該期間中の温度変化(温度の微分値)が0となることにより、マスタコントローラ216の微分器2162による補正目標温度Sv’の上昇が防止される。
【0078】
時刻t5において、定値復帰部2113は補正制御部2114からの制御信号Sc3が入力されることにより動作状態となり、時刻t5からピーク時間Tpが経過して時刻t6になるまで、時刻t6において目標温度Svと一致するように予め設定された増加率で変化する補正目標温度Sv’を連続して出力する(S22,S24)。時刻t6において、補正目標温度Sv’が目標温度Svと等しくなると、遅延部2111、ピーク解消部2112、および定値復帰部2113の動作が停止され、Sv補正部211による補正演算が終了する(S26)。
【0079】
このように、温度制御部20に対して予め全動作期間に対応する目標温度Svが与えられることなく、パルス列からなる時系列信号である目標温度信号Ssvにより目標温度Svが逐次与えられる構成であっても、遅延させた補正目標温度Sv’が作成され、目標温度Svが定値運転動作時の一定値に達する前にオーバーシュート量Vを差し引かれた補正目標温度Sv’が所定期間維持される構成では、定値運転動作開始時の肩部分における大きなオーバーシュートの発生が防止される作用がある。以下、前述した第3の従来例の熱処理装置と本発明の一実施形態に係る熱処理装置とを比較することにより、Sv補正部211の動作が行われる場合の上記オーバーシュートの抑制について図18および図19を参照して説明する。
【0080】
図18は、第3の従来例の熱処理装置における、ウェーハを導入してからランピング動作を経て定値運転動作時の上記肩部分までの炉内の温度変化を示す図である。図19は、本発明に係る一実施形態の熱処理装置における、ウェーハを導入してからランピング動作を経て肩部分近傍までの炉内の温度変化を示す図である。なお、上記従来の熱処理装置は、図10に示す場合と同様に、前述した各制御区間毎に対応する適切な制御パラメータが予め設定されており、それぞれの制御区間毎に対応する適切な制御パラメータに基づきPID制御が行われるが、図10に示す場合よりも炉の時定数が小さく運転条件もやや異なる。しかし、図18に示す温度変化は、同一の炉および運転条件で得られるべき温度変化と大きく変わらないことから、ここでは図18を参照して説明する。
【0081】
まず、図18を参照すると、ウェーハを導入してからランピング動作開始までの温度変化は、図10に示す温度変化とほぼ同様であり、ランピング動作開始時点近傍の温度変化は、図13に示す温度変化とほぼ同様であるため、説明は省略する。その後、定値運転動作開始直前までにゾーン間の温度のばらつきはほぼ解消されるが、肩部分では最大4.7度のオーバーシュートが生じている。このオーバーシュートは、目標温度がPID制御部に順次に与えられるため定値運転動作に移行したときに直ちに追従することができないことにより生じる。よって、このオーバーシュートはPID制御のための制御パラメータの調整によっては十分に解消することができない。
【0082】
次に、図19を参照すると、ウェーハを導入してからランピング動作開始までの温度変化は、図11に示す温度変化と類似して大きな温度の下降は見られず、最大の温度低下は測定温度MTC_CNTの4.5度低下にとどまる。これは上述したファジィコントローラ214の作用による。ランピング動作開始時点近傍の温度変化は、図14に示す温度変化とほぼ同様であるため、説明は省略する。なお、ランピング動作中の中間時点でのゾーン間の最大温度がが0.8度にとどまり、ランピング動作終了直前時点でのゾーン間の最大温度差が0.5度にとどまっているのは、上述したリセット発生部212の作用による。その後、定値運転動作開始後の肩部分のオーバーシュートは、Sv補正部211の作用により小さくなる。すなわち、測定温度MTC_TOPの目標温度Svからの上昇温度は、最大で2.4度にとどまり、測定温度MTC_CNTの上昇温度は最大で3.5度にとどまり、測定温度MTC_BTMの上昇温度は最大で1.6度にとどまる。このように、パルス列からなる時系列信号により目標温度Svが逐次与えられる構成であっても、Sv補正部211の上記構成では、定値運転動作開始時の肩部分における大きなオーバーシュートの発生を防止する作用がある。
【0083】
なお、図20は、本発明に係る一実施形態の熱処理装置における、ウェーハを導入してからランピング動作を経て定値運転動作に移るまでの炉内の温度変化の別例を示す図である。図19に示す場合と異なり、図20では炉内温度が500度でボートイン動作を行い、750度までランピングして定値運転動作を行う場合の温度変化の例が示されている。図20に示すように、定値運転動作開始後の肩部分のオーバーシュートは、Sv補正部211の作用により小さくなっている。すなわち、測定温度MTC_TOPの目標温度Svからの上昇温度は、最大で2度にとどまり、測定温度MTC_CNTの上昇温度も最大で2度にとどまり、測定温度MTC_BTMの上昇温度は最大で2.4度にとどまっている。このように、ウェーハ導入時および定値運転動作時の目標温度Svが異なる場合であっても、Sv補正部211の上記構成では、定値運転動作開始時の肩部分における大きなオーバーシュートの発生を防止する作用がある。
【0084】
<7.一実施形態の効果>
以上のように上記一実施形態では、炉内にウェーハを導入する時点からファジィコントローラ214により適切な微分時間Tdを演算し、当該演算値により予め定められたマスタコントローラ216に含まれる微分器2162の微分時間Tdが初期値から変更される構成である。この構成により、PID制御のための制御パラメータを初期値を1組のみとすることでこの制御パラメータを容易に設定することができ、かつ炉内にウェーハを導入する際に生じる炉内の温度下降を小さくすることができるので炉内温度の整定を短時間で行うことができる。
【0085】
また、上記一実施形態では、ランピング動作開始時点で、トップゾーン用PID制御部21に含まれる積分器2161と、センタゾーン用PID制御部22およびボトムゾーン用PID制御部23に含まれる積分器とにおける各積分項に対応する積分量をリセット発生部212により目標温度Svと強制的に等しくする構成である。この構成により、PID制御のための制御パラメータの初期値を1組のみとすることでこの制御パラメータを容易に設定することができ、かつランピング動作開始時点で、各ゾーン間での温度のばらつきが生じることなくランピング動作を行うことができる。
【0086】
さらに、上記一実施形態では、Sv補正部211によりパルス列からなる時系列信号である目標温度信号Ssvに含まれる目標温度Svから遅延させた補正目標温度Sv’が作成され、定値運転動作時の一定値である目標温度Svからオーバーシュート量Vを差し引かれた補正目標温度Sv’が所定期間維持される構成である。この構成により、定値運転動作開始時の肩部分における大きなオーバーシュートの発生を防止することができる。
【0087】
さらにまた、上記一実施形態では、予め定められた1組のPID制御のための制御パラメータが適宜適切な値に変更される構成である。この構成により、固定された制御パラメータのみを用いてPID制御を行う従来の構成では対応できない場合、すなわち導入すべきウェーハの数量や処理ガスの流量等の運転条件に変化がある場合にも各ゾーン用PID制御部201〜203により適切な温度制御が行われる。そのため、運転条件に変化がある場合にも、炉内にウェーハを導入する際に生じる炉内の温度変化を小さくすることができ、またその定値運転動作開始後の肩部分のオーバーシュートを小さくして炉内温度の整定を短時間で行うことができる。以下、図21および図22を参照して、上記効果について説明する。
【0088】
図21は、図19に示す場合よりも処理ガスの流量を増加した場合の本熱処理装置における炉内の温度変化を示す図である。ここでの処理ガスの流量は50SLMであり、図19に示す場合の5倍である。そのほかの条件は同一である。図21に示すように、ボートイン動作時の温度低下の最大値は測定温度MTC_BTMの4.5度であり、ランピング動作中の中間時点でのゾーン間の最大温度差は0.4度であり、肩部分のオーバーシュートの最大値は測定温度MTC_TOPの3.2度であるから、図19に示す場合とほとんど効果に差がないといえる。なお、図21に示すように、ボートイン動作中に測定温度MTC_TOPだけでなく、測定温度MTC_CNTもまた設定温度を下回っているため、リセット発生部によりトップゾーン用PID制御部21に含まれる積分器2161の他、センタゾーン用PID制御部22に含まれる積分器の積分量も目標温度Svと強制的に等しくさせられる構成により、各ゾーン間での温度のばらつきが生じることなくランピング動作を行うことができる。
【0089】
次に、図22は、図19に示す場合よりもボート2に搭載するウェーハ3の量を減少させた場合の本熱処理装置における炉内の温度変化を示す図である。ここでのウェーハの数は図19に示すフルチャージ状態の半数(ハーフチャージ状態)である。そのほかの条件は同一である。図22に示すように、ボートイン動作時の温度低下の最大値は測定温度MTC_BTMの4.5度であり、肩部分のオーバーシュートの最大値は測定温度MTC_CNTの3度であるから、図19に示す場合とほとんど効果に差がないといえる。ただし、ランピング動作開始直後近傍の時点でのゾーン間の温度には図19に示す場合よりもややばらつきが見られるが、ランピング動作中の中間時点でのゾーン間の最大温度差は1度であるため、短時間で温度のばらつきは解消されている。以上より、本熱処理装置は運転条件に変化がある場合にも、炉内温度の整定を短時間で行うことができるといえる。また同時に、ボートイン完了時にゾーン間に温度差があっても、ランピング動作開始後すみやかに炉内温度を揃えることが可能であるため、いかなる状態からでもランピング動作を開始することが可能となり、スループットの向上に寄与するといえる。
【0090】
さらにまた、上記一実施形態によれば、上記各制御区間毎にPID制御用の制御パラメータが用意されているわけではなく、初期値として与えられる1組の制御パラメータのみが予め用意される構成である。この構成により、例えば各ヒータ91〜93が経年変化に基づく劣化により所定の制御信号に応じて加熱すべき発熱量を発生させることができなくなった場合においても、適切な制御を行うための制御パラメータの変更を容易に行うことができる。このような変更は、例えば熱処理装置を使用する者に十分な専門知識がない場合であっても簡単に行うことができる。なお、上記ヒータの劣化以外の様々な環境要因が変化した場合であっても、上記変更を行うことにより容易に対応することができる。
【0091】
<8.変形例>
上記実施形態では、ファジィコントローラ214、リセット発生部212、およびSv補正部211を全て含む構成であるが、これらのうちの任意の1つまたは2つが省略される構成であってもよい。すなわち、ファジィコントローラ214により適切な微分時間Tdを演算して微分器の微分時間を再設定する構成のみを有する熱処理装置であっても、炉内にウェーハを導入する際に生じる炉内の温度下降を小さくする作用を有する。また、ランピング動作開始時点で積分器の積分量をリセット発生部212により目標温度Svと強制的に等しくする構成のみを有する熱処理装置であっても、ランピング動作中に各ゾーン間での温度のばらつきが生じることを抑制する作用を有する。さらに、Sv補正部211により目標温度Svから遅延させた補正目標温度Sv’が与えられ、目標温度Svが定値運転動作時の一定値に達する前にオーバーシュート量Vを差し引かれた補正目標温度Sv’が所定期間維持される構成のみを有する熱処理装置であっても、定値運転動作開始時の肩部分における大きなオーバーシュートの発生を防止する作用を有する。なお、この場合、マスタコントローラ216に対してSv補正部211により補正された補正目標温度Sv’が順次に与えられ、目標温度Svに一致するように炉内の温度を制御する制御方式であれば、ここでのマスタコントローラ216は必ずしもPID制御を行う必要はなく、ファジィ制御、ニューロ制御、遺伝子アルゴリズムに基づく制御、または現代制御理論に基づく制御などを行うものであってもよい。
【0092】
次に上記実施形態では、Sv補正部211に含まれる定値復帰部2113が所定の増加率で目標温度Svまで変化する温度を補正目標温度Sv’として順次に出力する構成を例示した。しかし、この構成によれば、所定の傾きで上昇する補正目標温度Sv’が一定値である目標温度Svに達した瞬間に急激に傾きが0となるため、炉内の温度が不自然なこぶ状に若干オーバーシュートすることがある。したがって、増加する補正目標温度Sv’が一定値である目標温度Svに近づくほどその増加率を徐々に小さくするように構成すれば、傾きが急減に変化することがないためオーバーシュートの発生を防止することができる。この構成例としては、徐々に上記増加率(傾き)が小さくなる曲線を予め定値復帰部2113に記憶させておく構成などが考えられるが、この構成では運転条件の変化には必ずしも柔軟に対応することができない。そこで、増加する補正目標温度Sv’が目標温度Svに近づくほどその増加率を徐々に小さくする構成をファジィ推論により実現する変形例としての構成および動作について以下に説明する。
【0093】
定値復帰部2113は、ファジィコントローラ214に含まれる入力処理部2141に対して、オーバーシュート量Vと、測定温度MTC_TOPと、偏差eとを与える。なお、ここでのファジィコントローラ214(およびそれに含まれる入力処理部2141およびファジィ推論部2142)は、前述したファジィコントローラ214とは異なる後述の入力動作および出力動作が行われるが、説明の便宜のためにこれらの動作が前述の動作に併せて行われるものとする。入力処理部2141は、測定温度MTC_TOPおよび偏差eに基づいて、オーバーシュート量Vにより正規化された変数Sおよび変化量ΔUを出力する。ここで、変数Sは次式(6)のように示される。
S=e/V …(6)
また、変化量ΔUは次式(7)のように示される。
ΔU=(V−U)/V …(7)
ここで増分値Uは、ピーク解消部2112の出力値である一定値すなわち定値復帰部2113の初期入力値から補正目標温度Sv’がどれだけ増加したかを示す値である。よって、補正目標温度Sv’が定値運転動作時の一定値に達すれば、増分値Uはオーバーシュート量Vと等しくなる。この増分値Uは、次式(8)のように与えられる。
U=Σ(1+G)・(V/Tp) …(8)
ここで、Gは後述のファジィ推論値(−1≦G≦1)、Tpはピーク時間である。また、Σの記号は定値復帰部2113の動作開始時から現在時点まで積算する演算を示すものとする。したがって、ファジィ推論値Gが常に0であるならば、定値復帰部2113の動作終了時点ではU=Vとなる。
【0094】
ファジィ推論部2142は、入力処理部2141からの変数Sと変化量ΔUとに基づいて所定のファジィ推論を行うことによりファジィ推論値Gを出力する。図23はファジィルールを表として示す図である。各ファジィ集合については前述と同様であり説明を省略する。もっとも、変数Sに対応するファジィ集合は、NB、NS、ZE、PS、PBの5つ(5グレード)である点は異なる。また、この表では変化量ΔUに対応する7つのファジィ集合のうち、NS、NM、NBが省略されているが、増分値Uがオーバーシュート量Vを超えないことからΔU≧0となるため、これらの集合を省略して非制御状態(G=0)としてよい。この表に示されるように、ΔUが小さくなるほどGが小さくなるため、補正目標温度Sv’が目標温度Svに近づくほど補正目標温度Sv’の増加率が小さくなることがわかる。ファジィ推論部2142は、この表に示される条件に適合するように非ファジィ化を行うことによりファジィ推論値Gを出力する。出力されたファジィ推論値Gは、微分時間算出部2143ではなく、定値復帰部2113に入力されるものとする。なお、図23のファジィルールは例示であって、他のルールによるファジィ推論が行われてもよい。
【0095】
定値復帰部2113は、以上のようにしてファジィ推論により得られたファジィ推論値Gを式(8)に代入して増分値Uを算出し、目標温度Sv(ここでは第2の中間目標温度Sv’b)に増分値Uを加えた値を補正目標温度Sv’として出力する。なお、この変形例では、上記ステップS24において増分値Uがオーバーシュート量V以上であるか否かが判断されるものとする。すなわち、増分値Uがオーバーシュート量V以上になるまでステップS24の判断が繰り返され、増分値Uがオーバーシュート量V以上となった場合にはステップS26の処理が行われ処理が終了する。さらに、タイマー時間Txがオーバーシュート時間Tov以上となった場合には、上記条件判断処理にかかわらずステップS26の処理が行われ処理が終了するように構成されてもよい。
【0096】
このように、ファジィコントローラ214の上記ファジィ推論により得られるファジィ推論値Gに基づき、一定値となった目標温度Svに補正目標温度Sv’が近づくほど増分値Uを小さくする構成により、制御パラメータを容易に設定または変更することができ、かつ不自然なこぶ状のオーバーシュートを抑制することができる。
【0097】
次に、上記実施形態では、Sv補正部211の詳細な構成を図15に例示したが、この構成例に限定されるわけではなく、定値運転動作開始時の肩部分における大きなオーバーシュートの発生を防止する作用を実現するために、遅延させた補正目標温度Sv’が与えられ、目標温度Svが定値運転動作時の一定値に達する前にオーバーシュート量Vを差し引かれた補正目標温度Sv’が所定期間一定値に維持され、その後当該補正目標温度Sv’が目標温度Svに一致する構成であればよい。
【0098】
図24は、Sv補正部211の変形例であるSv補正部311の詳細な構成例を示すブロック図である。このSv補正部311は、目標温度信号Ssvを所定の遅延時間だけ遅延させる遅延部3111と、所定の条件に基づいてこの遅延部3111へ上記遅延時間を与える遅延制御部3112とを含む。
【0099】
遅延部3111は、目標温度信号Ssvが入力され、遅延制御部3112からの遅延制御信号Scdに示される所定の遅延時間だけ遅延させて得られる補正目標温度Sv’を出力する。なお遅延部3111は、遅延時間が0の場合には、目標温度信号Ssvが示す目標温度Svをそのまま補正目標温度Sv’として出力し、所定の遅延時間に達するまでの間は、上記制御信号Scdが与えられた時点の目標温度Svをそのまま補正目標温度Sv’として出力する。
【0100】
遅延制御部3112は、所定の場合に所定の遅延時間を示す上記遅延制御信号Scdを出力することにより、遅延部3111の動作を制御する。図25は、この遅延制御部3112の動作手順を示すフローチャートである。なお、初期状態では、遅延制御部3112は遅延部3111へ遅延時間として0を与えるものとする。
【0101】
遅延制御部3112は、ロジックコントロール部213からのSv補正信号Slsが入力されたか否かを判断し(ステップS50)、入力されない場合(Noの場合)には当該ステップS50の判断が繰り返される。Sv補正信号Slsが入力された場合(Yesの場合)、遅延制御部3112は、遅延部3111に対して所定の遅延時間Taを与えることにより、目標温度信号Ssvを遅延時間Taだけ遅延させて得られる補正目標温度Sv’を出力させるように遅延部3111を制御する(ステップS52)。
【0102】
ステップS54において、遅延制御部3112は、遅延部3111から出力される補正目標温度Sv’と予め定められたオーバーシュート量Vとの合算値が目標温度信号Ssvに示される目標温度Sv以上であるか否かを判断し、目標温度Sv未満である場合(Noの場合)には上記合算値が目標温度Sv以上になるまでステップS54の判断が繰り返される。上記合算値が目標温度Sv以上となった場合(Yesの場合)には、経過時間を示すタイマー値Txをリセットし(ステップS56)、遅延時間Taに対してさらに定値時間Tbを加えた遅延時間(Ta+Tb)を遅延部3111に与える(ステップS58)。その結果、補正目標温度Sv’は定値時間Tbの間一定値となる。
【0103】
ステップS60において、上記タイマー値Txが定値時間Tb以上であるか否かを判断し、定値時間Tb未満である場合(Noの場合)には上記タイマー値Txが定値時間Tb以上になるまでステップS60の判断が繰り返される。上記タイマー値Txが定値時間Tb以上となった場合(Yesの場合)には、遅延時間Taに対して所定の制御周期毎に増加する増加遅延時間Tcを加算して得られる値を遅延時間として遅延部3111に与える定値復帰処理が行われる(ステップS62)。この増加遅延時間Tcは制御周期毎に所定の変化率で定値時間Tbからオーバーシュート時間Tovまで変化するものとする。なお、上記変化率は必ずしも一定である必要はなく、徐々に大きくなるように変化することが好ましい。そうすれば、増加する補正目標温度Sv’が一定値である目標温度Svに近づくほどその増加率が徐々に小さくなるため、小さなこぶ状の上記オーバーシュートの発生を防止することができる。さらに、増加遅延時間Tcは上述のファジィ推論により算出されてもよい。
【0104】
ステップS64において、上記タイマー値Txが定値時間Tbにピーク時間Tpを加えた時間以上であるか否かを判断し、当該時間(Tb+Tp)未満である場合(Noの場合)には、上記タイマー値Txが時間(Tb+Tp)以上になるまで制御周期毎にステップS62の処理が繰り返される。上記タイマー値Txが時間(Tb+Tp)以上となった場合(Yesの場合)には、遅延部3111へ遅延時間として0を与え、処理を終了する(ステップS66)。
【0105】
以上の変形例のように遅延させた補正目標温度Sv’が与えられ、目標温度Svが定値運転動作時の一定値に達する前にオーバーシュート量Vを差し引かれた補正目標温度Sv’が所定期間維持される構成により、定値運転動作開始時の肩部分における大きなオーバーシュートの発生を防止する作用が実現される。
【0106】
次に、上記一実施形態では、3つのゾーン(トップゾーン101、センタゾーン102、およびボトムゾーン103)における温度制御を行う構成であるが、ゾーンの数は2つであってもよいし、4つであっても、それ以上であってもよい。また、上記一実施形態では、各ゾーンにおける温度制御は別個に行われるように構成されるが、各ゾーン間の熱干渉を考慮して一体的に行われるように構成されてもよい。さらに、上記一実施形態では、温度制御部20が各出力調整器95〜97に対して制御信号St,Sc,Sbを与えて各ヒータ91〜93の発熱体に供給すべき電力を制御する構成であるが、温度制御部20が各ヒータ91〜93に対して制御信号St,Sc,Sbを与えてヒータの発熱体に供給すべき電力を制御してもよいし、温度制御部20が発熱体に供給すべき電力を各ヒータ91〜93に対して直接与えるように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る縦型熱処理装置の構成を示す模式図である。
【図2】上記一実施形態に係る温度制御部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】上記一実施形態に係るトップゾーン用PID制御部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】上記一実施形態に係る制御系の構成を示すブロック線図である。
【図5】上記一実施形態に係るマスタコントローラの制御系を示すブロック線図である。
【図6】上記一実施形態に係るマスタコントローラの詳細な構成を示すブロック図である。
【図7】上記一実施形態に係るファジィコントローラの詳細な構成を示すブロック図である。
【図8】測定温度PvがPBに含まれる値をとる場合のファジィルールを表として示す図である。
【図9】図8のファジィルールの前件部および後件部のファジィ集合を示す図である。
【図10】上記一実施形態と比較するための第3の従来例の熱処理装置におけるウェーハを導入してから温度が整定されるまでの炉内の温度変化を示す図である。
【図11】上記一実施形態に係る熱処理装置におけるウェーハを導入してから温度が整定されるまでの炉内の温度変化を示す図である。
【図12】上記一実施形態に係るリセット発生部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図13】上記一実施形態に係るリセット発生部が動作しない場合のランピング処理開始時点近傍の炉内の温度変化と、マスタコントローラの出力操作量Mvおよび積分項に対応する積分量の変化とを示す図である。
【図14】上記一実施形態に係るリセット発生部が動作する場合のランピング処理開始時点近傍の炉内の温度変化と、マスタコントローラの出力操作量Mvおよび積分項に対応する積分量の変化とを示す図である。
【図15】上記一実施形態に係るSv補正部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図16】上記一実施形態に係る補正制御部の動作手順を示すフローチャートである。
【図17】目標温度Svと補正目標温度Sv’と測定温度MTC_TOPとの時間変化を示す図である。
【図18】上記一実施形態と比較するための第3の従来例の熱処理装置におけるウェーハを導入してからランピング動作を経て定値運転動作時の上記肩部分までの炉内の温度変化を示す図である。
【図19】上記一実施形態に係る熱処理装置における、ウェーハを導入してからランピング動作を経て肩部分近傍までの炉内の温度変化を示す図である。
【図20】上記一実施形態に係る熱処理装置における、ウェーハを導入してからランピング動作を経て定値運転動作に移るまでの炉内の温度変化の別例を示す図である。
【図21】上記一実施形態に係る熱処理装置において、処理ガスの流量を増加した場合の炉内の温度変化を示す図である。
【図22】上記一実施形態に係る熱処理装置において、ボートに搭載するウェーハの量を減少させた場合の炉内の温度変化を示す図である。
【図23】上記一実施形態の変形例に係るファジィルールを表として示す図である。
【図24】上記一実施形態の変形例に係るSv補正部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図25】上記一実施形態の変形例に係る遅延制御部の動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 …炉
2 …ボート
3 …ウェーハ
20 …温度制御部
21〜23 …PID制御部
30 …シーケンス制御部
71〜73 …プロファイル
81〜83 …スパイク
91〜93 …ヒータ
95〜97 …出力調整器
101 …トップ(TOP)ゾーン
102 …センタ(CNT)ゾーン
103 …ボトム(BTM)ゾーン
211,311 …Sv補正部
212 …リセット発生部
213 …ロジックコントロール部
214 …ファジィコントローラ
215,217 …加算器
216 …マスタコントローラ
218 …スレイブコントローラ
2111 …遅延部
2112 …ピーク解消部
2113 …定値復帰部
2114 …補正制御部
2121 …リセット決定部
2122 …パラメータ算出部
2141 …入力処理部
2142 …ファジィ推論部
2143 …微分時間算出部
2161 …積分器
2162 …微分器
2164 …比例器
3111 …遅延部
3112 …遅延制御部
PTC_TOP,PTC_CNT,PTC_BTM,
MTC_TOP,MTC_CNT,MTC_BTM …測定温度
Sv …目標温度
Sv’…補正目標温度
Mv …操作量
V …オーバーシュート量
Tov …オーバーシュート時間
Tp …ピーク時間
Tb …定値時間

Claims (8)

  1. 内部に導入される対象物に加熱処理を行う熱処理装置であって、
    前記対象物を加熱する加熱手段と、
    前記対象物近傍の温度を検出する温度検出手段と、
    前記温度検出手段により検出される温度と所定の目標温度との偏差に基づく比例・積分・微分演算すなわちPID演算を行うことにより、前記加熱手段の発熱量を制御するための出力操作量を算出する温度制御手段と
    を備え、
    前記加熱手段は、前記出力操作量に応じた発熱量で前記対象物を加熱し、
    前記温度制御手段は、前記対象物が導入される時点近傍からその後の所定の時点までの期間中、温度整定のために予め定められたファジィルールによるファジィ推論に基づき前記微分演算のためのパラメータを変更するファジィコントローラを含むことを特徴とする、熱処理装置。
  2. 内部に導入される対象物に加熱処理を行う熱処理装置であって、
    前記対象物を加熱する加熱手段と、
    前記対象物近傍の温度を検出する温度検出手段と、
    前記温度検出手段により検出される温度が所定の指令値に合致するように、前記加熱手段の発熱量を制御するための出力操作量を算出する温度制御手段と
    を備え、
    前記加熱手段は、前記出力操作量に応じた発熱量で前記対象物を加熱し、
    前記温度制御手段は、ランピング動作開始時点近傍から順次に受け取られる所定の目標温度群を所定の遅延時間だけ遅延させて得られる補正目標温度を前記指令値とするとともに、前記補正目標温度と順次に受け取られる前記目標温度群との差分値が所定のオーバーシュート量に基づく所定量と等しくなる時点から所定時間が経過するまで当該時点での補正目標温度を前記指令値とすることを特徴とする、熱処理装置。
  3. 前記温度制御手段は、前記所定時間経過後に、順次に受け取られる目標温度へ近づくほど単位時間あたりの増加量が減少するように前記補正目標温度を増加させ、当該補正目標温度を前記指令値とすることを特徴とする、請求項2に記載の熱処理装置。
  4. 前記温度制御手段は、前記温度検出手段により検出される温度のオーバーシュートを抑制するために予め定められたファジィルールによるファジィ推論に基づき前記補正目標温度を前記所定時間経過後に増加させることを特徴とする、請求項3に記載の熱処理装置。
  5. 内部に導入される対象物に加熱処理を行う熱処理装置であって、
    前記対象物を加熱する加熱手段と、
    前記加熱手段および前記対象物近傍の温度を検出する温度検出手段と、
    前記対象物近傍の温度と所定の目標温度との偏差に基づく比例・積分・微分演算すなわちPID演算を行うことにより、前記加熱手段の発熱量を制御するために前記加熱手段が目標とする温度を第1の操作量として算出する第1の温度制御手段と
    前記加熱手段の温度と前記第1の温度制御手段により算出された第1の操作量との偏差に基づく演算を行うことにより、前記加熱手段の発熱量を制御するための第2の操作量を算出する第2の温度制御手段と
    を備え、
    前記加熱手段は、前記第2の操作量に応じた発熱量で前記対象物を加熱し、
    前記第1の温度制御手段は、ランピング動作開始時点近傍で前記積分演算による積分量を前記目標温度に強制的に略一致させることを特徴とする、熱処理装置。
  6. 内部に導入される対象物に加熱処理を行う熱処理装置の温度制御方法であって、
    前記対象物近傍の温度と所定の目標温度との偏差に基づく比例・積分・微分演算すなわちPID演算を行うことにより、前記対象物を加熱するための出力操作量を算出する操作量出力ステップと
    前記対象物が導入される時点近傍からその後の所定の時点までの期間中、温度整定のために予め定められたファジィルールによるファジィ推論に基づき前記微分演算のためのパラメータを変更するファジィ推論ステップと
    を含むことを特徴とする、温度制御方法。
  7. 内部に導入される対象物に加熱処理を行う熱処理装置の温度制御方法であって、
    前記対象物近傍の温度が所定の指令値に合致するように、前記対象物を加熱するための出力操作量を算出する操作量出力ステップと、
    ランピング動作開始時点近傍から順次に受け取られる目標温度群に対して所定の遅延時間だけ遅延させて得られる補正目標温度を前記指令値とする遅延ステップと、
    前記補正目標温度と順次に受け取られる前記目標温度群との差分値が所定のオーバーシュート量に基づく所定量と等しくなる時点から所定時間が経過するまで当該時点での補正目標温度を前記指令値とする定値出力ステップと、
    を含むことを特徴とする、温度制御方法。
  8. 内部に導入される対象物に対して所定の加熱手段により加熱処理を行う熱処理装置の温度制御方法であって、
    前記対象物近傍の温度と所定の目標温度との偏差に基づく比例・積分・微分演算すなわちPID演算を行うことにより、前記加熱手段が目標とする温度を第1の操作量として算出する第1の操作量出力ステップと
    前記加熱手段の温度と前記第1の操作量との偏差に基づく演算を行うことにより、前記加熱手段の発熱量を制御するための第2の操作量を算出する第2の操作量出力ステップと、
    を含み、
    前記第1の操作量出力ステップは、ランピング動作開始時点近傍で前記積分演算の積分量を前記目標温度に強制的に略一致させるステップを含むことを特徴とする、温度制御方法。
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