JP2004190630A - 内燃機関におけるシリンダブロック - Google Patents

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Ryohei Kusunoki
亮平 楠
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Abstract

【課題】冷却水ジャケット3にて囲われたシリンダボア2の複数個を備え、各シリンダボアの間の部位にヘッドボルト用のタップ孔6を、このヘッドボルト用タップ孔の外側の部分に、オイル落とし通路9を各々設ける一方、前記冷却水ジャケットの深さを前記シリンダボアにおける軸線方向の長さよりも小さくしたシリンダブロック1において、その鋳造又はダイキャストに際し、鋳物の巣が発生することを、前記オイル落とし通路を阻害することなく、確実に回避する。
【解決手段】前記シリンダブロックのうち少なくとも前記ヘッドボルト用タップ孔6の下部の部分に、前記ヘッドボルト用タップ孔が連通する鋳抜きによる空洞部10を、当該空洞部が前記オイル落とし通路9を横断してシリンダブロックの側面1bに開口するように設け、この空洞部の側面への開口部を栓体11に塞ぐ。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関において、冷却水ジャケットにて囲った複数個のシリンダボアを一列に備えた軽合金によるダイキャスト鋳造製のシリンダブロックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
先行技術としての特許文献1は、シリンダブロックにおける上面のうち一列状に並ぶ各シリンダボア間の部位に、このシリンダブロックに対してシリンダヘッドを締結するためのヘッドボルト用のタップ孔を配設し、このヘッドボルト用タップ孔より外側の部位に、前記シリンダヘッドからシリンダブロック下部におけるクランクケース内へのオイル落とし通路をシリンダボアの軸線方向に延びるように配設して成るシリンダブロックを提案している。
【0003】
また、この特許文献1におけるシリンダブロックは、前記各シリンダボアの外側を囲う冷却水ジャケットを、当該冷却水ジャケットにおけるシリンダブロックの上面からの深さを前記シリンダボアにおける軸線方向の長さよりも小さくしたいわゆるハーフジャケットに構成にしている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−6462号公報(図10及び図12)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような先行技術の構成では、シリンダブロックのうち前記シリンダボアと前記オイル落とし通路よりも内側で、且つ、ヘッドボルト用タップ孔より下部の部分が可成り肉厚状になることを避けることができないばかりか、これに加えて、前記ハーフジャケットの前記冷却水ジャケットより下部の部分も可成り肉厚状になることを避けることができないから、シリンダブロックを軽合金にてダイキャスト鋳造するときにおいて、前記した肉厚の部分に、鋳物の巣ができて、冷却水の漏れとか潤滑油の漏れが発生することの原因になるばかりか、シリンダブロックにおける強度の低下及び重量のアップを招来するという問題があった。
【0006】
本発明は、この問題を解消したシリンダブロックを提供することを技術的課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するための本発明の請求項1は、
「冷却水ジャケットにて囲われたシリンダボアの複数個を列状に備え、各シリンダボアの間の部位にヘッドボルト用のタップ孔を、このヘッドボルト用タップ孔の外側の部分に、シリンダボアの軸線方向に延びるオイル落とし通路を各々設ける一方、前記冷却水ジャケットにおけるシリンダブロックの上面からの深さを前記シリンダボアにおける軸線方向の長さよりも小さくして成るシリンダブロックにおいて、
前記シリンダブロックのうち少なくとも前記ヘッドボルト用タップ孔の下部の部分に、鋳抜きによる空洞部を、当該空洞部が前記オイル落とし通路を横断してシリンダブロックの側面に開口するように設け、この空洞部に、前記ヘッドボルト用タップ孔を連通し、且つ、この空洞部の側面への開口部に、これを塞ぐ栓体を装着する。」
ことを特徴としている。
【0008】
また、本発明の請求項2は、
「前記請求項1の記載において、前記空洞部を、前記冷却水ジャケットの下部の部分まで延長する。」
ことを特徴としている。
【0009】
【発明の作用・効果】
このように構成することにより、シリンダブロックをダイキャスト鋳造するとき、当該シリンダブロックのうち少なくともヘッドボルト用タップ孔より下部の部分に鋳物の巣が発生することを、オイル落とし通路内における潤滑油の流れを阻害したり、潤滑油が漏れたりすることなく、前記鋳抜きによる空洞部にて確実に回避できるから、前記部分における鋳物の巣が原因となって冷却水及び/又は潤滑油の漏れが発生することを大幅に低減できるとともに、シリンダブロックの強度の低下を回避でき、且つ、シリンダブロックを軽量化できるのである。
【0010】
しかも、ヘッドボルト用タップ孔が前記鋳抜きによる空洞部に連通していることにより、前記ヘッドボルト用タップ孔を機械加工するときに発生する金属の切削屑を、前記空洞部内に逐次円滑に排出できるから、前記ヘッドボルト用タップ孔の加工が、至極容易に、且つ、迅速にできるのである。
【0011】
特に、請求項2に記載したように、前記空洞部を、冷却水ジャケットの下部の部分まで延長することにより、シリンダブロックのうち前記冷却水ジャケットの下部の部分に鋳物の巣が発生することを確実に防止できるから前記した効果を助長できる利点がある。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図3の図面について説明する。
【0013】
この図において、符号1は、アルミ合金等の軽合金のダイキャスト鋳造によるシリンダブロックを示し、このシリンダブロック1には、その上部に、冷却水ジャケット3にて囲われた複数個のシリンダボア2をクランク軸線4に沿って一列状に備える一方、その下部に、クランクケース5を一体に備えている。
【0014】
この場合において、前記各シリンダボア2の周囲を囲う前記冷却水ジャケット3は、当該冷却水ジャケット3におけるシリンダブロック1の上面1aからの深さH1を前記シリンダボアにおける軸線方向の長さHの略半分にする等小さくしたいわゆるハーフジャケットに構成されている。
【0015】
前記シリンダブロック1における上面1aのうち前記各シリンダボア2間の部分に、タップ孔6を、シリンダボア2の軸線方向に延びるように穿設して、このタップ孔6に螺合するヘッドボルト7にて、前記シリンダブロック1の上面1aにシリンダヘッド8を締結するように構成されている。
【0016】
また、前記シリンダブロック1のうち前記ヘッドボルト用タップ孔6の外側の部位には、前記シリンダヘッド8から排出される潤滑油を前記クランクケース5に導くためのオイル落とし通路9がシリンダボア2の軸線方向に延びるように、中子型を使用した鋳抜きによって形成されている。
【0017】
そして、前記シリンダブロック1のうち少なくとも前記ヘッドボルト用タップ孔6の下部の部分に、中子型を使用した鋳抜きによる空洞部10を、当該空洞部10が前記オイル落とし通路9を横断してシリンダブロック1における側面1bに開口するように設ける。
【0018】
また、前記ヘッドボルト用タップ孔6を、この空洞部10内に連通するように構成する一方、この空洞部10におけるシリンダブロック1の側面1bへの開口部を、当該開口部に装着した栓体11にて塞ぐように構成する。
【0019】
前記シリンダブロック1のうち少なくとも前記ヘッドボルト用タップ孔6の下部の部分には、中子型を使用した鋳抜きによる空洞部10が設けられることにより、シリンダブロック1の鋳造又はダイキャストに際して、前記した部分に鋳物の巣が発生することを確実に回避することができる。
【0020】
また、前記鋳抜きによる空洞部10は、前記ベッドボルト用タップ孔6よりも外側に位置するオイル落とし通路9を横断するようにして形成されるものの、この空洞部10におけるシリンダブロック1の側面1bに対する開口部は、栓体11にて塞がれていることにより、オイル落とし通路9内における潤滑油の流れを阻害したり、潤滑油が漏れたりすることを確実に回避できる。
【0021】
更にまた、前記ヘッドボルト用アップ孔6は、前記鋳抜きによる空洞部10に連通していることにより、ヘッドボルト用タップ孔6を加工することきに発生する金属の切削屑を、前記空洞部10内に逐次円滑に排出できる。
【0022】
前記した実施の形態において、前記鋳抜きによる空洞部10は、前記冷却水ジャケット3の下部の部分まで奥深く延長した形態を示しており、この構成によると、シリンダブロック1のうち前記ヘッドボルト用アップ孔6の下部の部分に加えて、前記冷却水ジャケット3の下部の部分に鋳物の巣が発生することを確実に回避することができる。
【0023】
そして、前記鋳抜きによる空洞部10を、図3に二点鎖線で示すように、少なくとも前記ヘッドボルト用タップ孔6の下部の部分までにして、前記冷却水ジャケット3の下部の部分まで奥深く延長しないように構成にする一方、前記冷却水ジャケット3におけるシリンダブロック1の上面1aからの深さを、前記空洞部10の部分において深くするように構成することができ、このように構成することにより、前記冷却水ジャケット3における冷却性を向上できるととも、シリンダブロック1のうち前記空洞部10より奥部分に鋳物の巣が発生することを回避できるほか、この構成によると、冷却水ジャケットがハーフジャケットでない場合に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリンダブロックの平面図である。
【図2】図1のII−II視断面図である。
【図3】図1のIII −III 視断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダブロック
2 シリンダボア
3 冷却水ジャケット
4 クランク軸線
5 クランクケース
6 ヘッドボルト用タップ孔
7 ヘッドボルト
8 シリンダヘッド
9 オイル落とし通路
10 空洞部
11 栓体

Claims (2)

  1. 冷却水ジャケットにて囲われたシリンダボアの複数個を列状に備え、各シリンダボアの間の部位にヘッドボルト用のタップ孔を、このヘッドボルト用タップ孔の外側の部分に、シリンダボアの軸線方向に延びるオイル落とし通路を各々設ける一方、前記冷却水ジャケットにおけるシリンダブロックの上面からの深さを前記シリンダボアにおける軸線方向の長さよりも小さくして成るシリンダブロックにおいて、
    前記シリンダブロックのうち少なくとも前記ヘッドボルト用タップ孔の下部の部分に、鋳抜きによる空洞部を、当該空洞部が前記オイル落とし通路を横断してシリンダブロックの側面に開口するように設け、この空洞部に、前記ヘッドボルト用タップ孔を連通し、且つ、この空洞部の側面への開口部に、これを塞ぐ栓体を装着することを特徴とする内燃機関におけるシリンダブロック。
  2. 前記請求項1の記載において、前記空洞部を、前記冷却水ジャケットの下部の部分まで延長することを特徴とする内燃機関におけるシリンダブロック。
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