JP2004189827A - フィルム - Google Patents

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JP2004189827A
JP2004189827A JP2002357922A JP2002357922A JP2004189827A JP 2004189827 A JP2004189827 A JP 2004189827A JP 2002357922 A JP2002357922 A JP 2002357922A JP 2002357922 A JP2002357922 A JP 2002357922A JP 2004189827 A JP2004189827 A JP 2004189827A
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acid
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JP2002357922A
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Takuya Kuman
琢也 久万
Masanori Sueoka
雅則 末岡
Nobuaki Ito
伸明 伊藤
Keijiro Takanishi
慶次郎 高西
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】透明であり、位相差分散性に優れ、かつ均一延伸に有利な光学用途に適したフィルムを提供する。
【解決手段】分子中にカルボン酸残基、構造式(2)で表されるホスホン酸残基、および2価フェノール残基を構成単位として含んでいるポリマーを含有するフィルムとする。
【化8】
Figure 2004189827

:有機基
:O、SまたはSe
(ただし、RまたはXの異なるホスホン酸残基をポリマー中に2種以上含んでいてもよい。)
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明で、位相差分散性に優れ、更に均一延伸に有利な光学用途に適したフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無色透明材料は光学レンズ、機能光学性フィルムディスク基板などその多様な用途に応じて種々の材料が用いられているが、ヘルスケアやエレクトロニクスなどの急速な発展に伴い、材料自体に要求される機能・性能もますます精密かつ高度なものとなってきている。
【0003】
特にフィルムにおいては、IT化の進展に伴い、偏光板、位相差板などのディスプレー用部材、また、ディスク保護フィルムとして、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、セルロース系フィルム等が使用されている。
【0004】
上記のように、ポリカーボネートのような無色透明の熱可塑性樹脂は、エレクトロニクス用途として広く用いられており、位相差フィルムは、反射板カラー液晶ディスプレーのコントラストを決める重要な構成部材のひとつである。例えば、現在用いられているポリカーボネートについては、特許文献1や特許文献2に開示されているが、これらは十分な波長分散性を有しているとは言えない。
【0005】
このような問題を解決する方法として、ポリホスホネート系ポリマーの重合、フィルム化に関する方法が、特許文献3に開示されている。該ポリマーに限らず、一般に光学用ポリマーから1/4波長位相差フィルムのような光学異方性を有するフィルムを得る際には、製膜後のフィルムを延伸して分子を配向させることにより、フィルムに光学異方性を付与させる方法がとられている。この延伸工程で延伸ムラが発生すると、これに伴いフィルムの厚みムラや配向度のムラが生じ、結果として色調再現性を悪化させる原因となる。従って、上記ポリマーの光学特性を十分に活かし、より優れた位相差分散性を有するフィルムを得るには、より均一な延伸を行う必要があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−204503号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平9−304619号公報
【0008】
【特許文献3】
特開2002−167440号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来の問題を解決し、透明性、位相差分散性に優れ、かつ均一延伸に有利な光学用途に適したフィルムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的は、分子中に特定構造を有するホスホン酸残基、2価フェノール残基およびカルボン酸残基を構成単位として含んでいるポリマーを含有するフィルムによって達成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のフィルムに含まれるポリマーは、構造式(1)で示される、カルボン酸構造をポリマー主鎖に有していることが特徴である。カルボン酸残基をポリマー主鎖中に導入することにより、位相差分散性など光学用フィルムとしての特性を変化させることなく、延伸特性のみを向上させることが可能になる。本発明の目的を達成するためには、上記カルボン酸構造はパラ配向性であることが好ましい。ここでいうパラ配向性とは、例えば、芳香環上主鎖を構成する2価の結合手が互いに同軸または平行にある状態をいう。
【0012】
【化4】
Figure 2004189827
【0013】
ここで、Arは有機基を表し、たとえば、
【0014】
【化5】
Figure 2004189827
【0015】
で表される構造単位を用いることができる。X、Yの基は、たとえば、−O−、−CH−、−CO−、−CO−、−S−、−SO−、−C(CH−、等から選ばれる。更に、これらの芳香環上の水素原子の一部が、フッ素や臭素、塩素等のハロゲン基、ニトロ基、メチルやエチル、プロピル等のアルキル基、メトキシやエトキシ、プロポキシ等のアルコキシ基等の置換基で置換されていてもよい。
【0016】
カルボン酸残基のモル分率は、単位あたりに存在する、構造式(1)で表されるカルボン酸残基、及び構造式(2)で表されるホスホン酸残基、及びカーボネート残基の総モル数に対するカルボン酸残基のモル数の割合により算出されるもので、以下の式で表される値である。
【0017】
カルボン酸残基のモル分率=a/(a+b+c)
a:単位当たりに存在する、構造式(1)で表されるカルボン酸残基のモル数
b:単位当たりに存在する、構造式(2)で表されるホスホン酸残基のモル数
c:単位当たりのカーボネート残基のモル数
上記モル分率の値は、カルボン酸残基の共重合分率を表しているともいえ、ポリマー合成時の反応が化学量論的に進行する場合は、その原料仕込み比率によっても算出できる。また、成形体においては、NMR(核磁気共鳴法)を用いて、測定可能である。
【0018】
上記のカルボン酸残基のモル分率は0.05以上0.8未満であることが好ましい。この値が0.05未満である場合には、フィルムの均一延伸性が発現しにくく、本発明の効果が得られ難い傾向がある。モル分率が0.8以上の場合には、ポリマーの溶媒に対する溶解性が悪くなり、重合が困難になったり、フィルムにしたとき表面平滑性が悪くなることがある。このモル分率は0.1以上0.7未満であるとより好ましく、0.2以上0.6未満であると、フィルムの透明性、表面平滑性が向上するため更に好ましい。
【0019】
また、本発明におけるポリマーは、5価のリン原子を有する構造、中でも構造式(2)で表されるホスホン酸構造をポリマー主鎖に含んでいる。特に、ポリマーがカーボネート残基を含んでいる場合は、上記ホスホン酸残基のモル分率は0.2以上0.95未満であることが好ましい。
【0020】
【化6】
Figure 2004189827
【0021】
:有機基
:O、SまたはSe
(ただし、RまたはXの異なるホスホン酸残基をポリマー中に2種以上含んでいてもよい。)
この、ホスホン酸残基のモル分率は、単位あたりに存在する構造式(1)で表されるカルボン酸残基、及び構造式(2)で表されるホスホン酸残基、及びカーボネート残基の総モル数に対するホスホン酸残基のモル数の割合により算出されるもので、以下の式で表される値である。
【0022】
ホスホン酸残基のモル分率=b/(a+b+c)
上記のホスホン酸残基のモル分率が0.2未満である場合には、ポリマーの優れた位相差分散性が発現しにくくなる傾向がある。なお、本発明のフィルムは、上記したようにカルボン酸残基のモル分率が0.05以上とすることが好ましいため、このホスホン酸残基のモル分率は0.95を上限とすることが好ましい。
【0023】
上記構造式(2)で表される構造単位のリン原子上の置換基Rは有機基であり、具体的には、フェニル、ハロ置換フェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、ビニル、アリル、ベンジル、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロ置換アルキル、アルキルサルファイド基等を用いることができる。また、このような置換基を有するホスホン酸残基を構成するホスホン酸を具体的に例示すると、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、n−プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、n−ブチルホスホン酸、イソブチルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、n−ペンチルホスホン酸、ネオペンチルホスホン酸、シクロヘキシルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、クロロメチルホスホン酸、ジクロロメチルホスホン酸、ブロモメチルホスホン酸、ジブロモメチルホスホン酸、2−クロロエチルホスホン酸、1,2−ジクロロエチルホスホン酸、2−ブロモエチルホスホン酸、1,2−ジブロモエチルホスホン酸、3−クロロプロピルホスホン酸、2,3−ジクロロプロピルホスホン酸3−ブロモプロピルホスホン酸、2,3−ジブロモプロピルホスホン酸、2−クロロー1−メチルエチルホスホン酸、1,2−ジクロロー1−メチルエチルホスホン酸、2−ブロモー1−メチルエチルホスホン酸、1,2−ジブロモー1−メチルエチルホスホン酸、4−クロロブチルホスホン酸、3,4−ジクロロブチルホスホン酸、4−ブロモブチルホスホン酸、3,4−ジブロモブチルホスホン酸、3−クロロー1−メチルプロピルホスホン酸、2,3−ジクロロ−1−メチルプロピルホスホン酸、3−ブロモ−1メチルプロピルホスホン酸、2,3−ジブロモ−1−メチルホスホン酸、1−クロロメチルプロピルホスホン酸、1−クロロー1−クロロメチルプロピルホスホン酸、1−ブロモメチルプロピルホスホン酸、1−ブロモ−1−ブロモメチルプロピルホスホン酸、5−クロロペンチルホスホン酸、4,5−ジクロロペンチルホスホン酸、5−ブロモペンチルホスホン酸、4,5−ジブロモペンチルホスホン酸、1−ヒドロキシメチルホスホン酸、2−ヒドロキシエチルホスホン酸、3−ヒドロキシプロピルホスホン酸、4−ヒドロキシブチルホスホン酸、5−ヒドロキシペンチルホスホン酸、1−アミノメチルホスホン酸、2−アミノエチルホスホン酸、3−アミノプロピルホスホン酸、4−アミノブチルホスホン酸、5−アミノペンチルホスホン酸、メチルチオメチルホスホン酸、メチルチオエチルホスホン酸、メチルチオプロピルホスホン酸、メチルチオブチルホスホン酸、エチルチオメチルホスホン酸、エチルチオエチルホスホン酸、エチルチオプロピルホスホン酸、プロピルチオメチルホスホン酸、プロピルチオエチルホスホン酸、ブチルチオメチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、4−クロロフェニルホスホン酸、3,4−ジクロロフェニルホスホン酸、3,5−ジクロロフェニルホスホン酸、4−ブロモフェニルホスホン酸、3,4−ブロモフェニルホスホン酸、3,5−ブロモフェニルホスホン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸、3,4−ジメトキシフェニルホスホン酸、1−ナフチルホスホン酸、2−ナフチルホスホン酸、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチルホスホン酸、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、4−ブロモフェニルメチルホスホン酸、3,4−ジブロモフェニルメチルホスホン酸、3,5−ジブロモフェニルメチルホスホン酸、2−フェニルエチルホスホン酸、2−(4−ブロモフェニル)エチルホスホン酸、2−(3,4−ジブロモフェニル)エチルホスホン酸、2−(3,5−ジブロモフェニル)エチルホスホン酸、3−フェニルプロピルホスホン酸、3−(4−ブロモフェニル)プロピルホスホン酸、3−(3,4−ジブロモフェニル)プロピルホスホン酸、3−(3,5−ジブロモフェニル)プロピルホスホン酸、4−フェニルブチルホスホン酸、4−(4−ブロモフェニル)ブチルホスホン酸、4−(3,4−ジブロモフェニル)ブチルホスホン酸、4−(3,5−ジブロモフェニル)ブチルホスホン酸、2−ピリジルホスホン酸、3−ピリジルホスホン酸、4−ピリジルホスホン酸、1−ピロリジノメチルホスホン酸、1−ピロリジノエチルホスホン酸、1−ピロリジノプロピルホスホン酸、1−ピロリジノブチルホスホン酸、ピロール−1−ホスホン酸、ピロール−2−ホスホン酸、ピロール−3−ホスホン酸、チオフェン−2−ホスホン酸、チオフェン−3−ホスホン酸、ジチアン−2−ホスホン酸、トリチアン−2−ホスホン酸、フラン−2−ホスホン酸、フラン−3−ホスホン酸、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸などが挙げられる。また、Xに相当する、これらのリン原子に2重結合で結合している酸素原子(O)が硫黄原子(S)に置換されたチオホスホン酸も同様に挙げられる。さらに、Xがセレン原子(Se)であってもよい。これらは1種類でも、複数種併用することもできる。また、これらホスホン酸はその酸塩化物、エステル、アミドなどのホスホン酸誘導体であってもよい。
【0024】
なお、ポリマー中にカーボネート残基を含まない場合は、XはSまたはSeが好ましい。
【0025】
また、これらホスホン酸残基については、それぞれ対応する3価のリン官能基であるホスホナイト残基に一部置き換えてもよい。これによりポリマーの耐酸化性を付与することができるが、光学特性等の特性安定性を考慮すると、その置換比率は50%以下が好ましく、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは10%以下である。すなわち、ポリマーがホスホナイト残基を含み、構造式(2)で表されるホスホン酸残基とホスホナイト残基とに対するホスホナイト残基のモル分率が0.5以下であることが好ましく、より好ましくは0.25以下、さらに好ましくは0.1以下である。
【0026】
また、本発明におけるポリマーは以下の構造式(3)で表される2価フェノール残基を構成単位として含んでいる。
【0027】
【化7】
Figure 2004189827
【0028】
、R:H、NO、ハロゲン原子または炭素数1〜20の脂肪族基もしくは芳香族基
p、q:0≦p+q≦8を満たす整数
:O、S、アルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基、シクロアルキリデン基、ハロ置換アルキレン基、ハロ置換アルキリデン基、フェニルアルキリデン基、カルボニル基、スルホン基、脂肪族ホスフィンオキシド基、芳香族ホスフィンオキシド基、アルキルシラン基、ジアルキルシラン基またはフルオレン基
(ただし、Yは単なる単結合であってもよい。また、R、RまたはYの異なる2価フェノール残基をポリマー中に2種以上含んでいてもよい。)
この2価フェノール残基を2価フェノールの形で具体的に例示すると、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−メチル−2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−secブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビスフェノールフローレン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、4,4’−〔1,4−フェニレン−ビス(2−プロピリデン)〕−ビス(2−メチルフェノール)、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、1,1−ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2,4’−メチレンビスフェノール、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−ブタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、テルペンジフェノール、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジsecブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチルフェニル)エタン、1,1−ビス(3−ノニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチルエステル、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(4ーヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−フルオロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ニトロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラtert−ブチル−4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラフルオロ−4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)チオエーテル、1,1−ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン酸メチルエステル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン酸エチルエステル、イサチンビスフェノール、イサチンビスクレゾール、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノール、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2,4’−メチレンビスフェノール、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、1,2−ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチルフェニル)メタン、2,2−ビス(3−スチリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−ニトロフェニル)エタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’,5,5’−テトラtert−ブチル−2,2’−ビフェノール、2,2’−ジアリル−4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5,5−テトラメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,4−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−エチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロペンタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、α、α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。これらは1種類でも、複数種併用することもできる。これら2価フェノールは得られるポリマーの性能に応じて適宜選択し用いることができる。
【0029】
の炭素数が20を超える場合、耐熱性の低下、成形性の低下などが起こることがある。
【0030】
また、ジヒドロキシベンゼンを本発明の効果が損なわれない範囲で用い、ポリマー骨格に同構造を導入することができる。これらジヒドロキシベンゼンとしては、レゾルシノール、ハイドロキノン、1,2−ジヒドロキシベンゼン等が挙げられ、これらは1種類でも、複数種併用することもできる。
【0031】
本発明で用いるポリマーは必ずしも直鎖状である必要はなく、得られるポリマーの性能に応じて多価フェノールを共重合することができる。このような多価フェノールを具体的に例示すると、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−〔1−〔4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノール、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、4−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,6−ビス〔(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル〕−4−メチルフェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、2−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕−フェノール、4−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4−メチルフェニル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、4−〔(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−エチル〕−1,3−ジヒドロキシベンゼン、4−〔(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、1,4−ビス〔1−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−メチル−エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−1−メチル−エチル〕ベンゼン、2,4−ビス〔(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェイル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェイル)メチル〕フェノール、2−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェイル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−エトキシフェノール、2−〔ビス(2,3−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、3−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、2−〔ビス(2−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、3,6−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、4,6−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、2−〔ビス(2,3,6−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、2−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、3−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、3−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、2,4,6−〔トリス(4−ヒドロキシフェニルメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,1,2,2−テトラ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,4−〔〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕〕ベンゼン、1,4−ジ〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕ベンゼン、1,4−ジ〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕ベンゼン、4−〔1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕アニリン、(2,4−ジヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、2−〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、1,3,3−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ブタン等が挙げられ、これらは1種類でも、複数種併用することもできる。
【0032】
本発明のフィルムに含まれるポリマーの数平均分子量は、20,000以上500,000以下であると、フィルムの靱性が向上し、更にフィルム化する際の生産性を大幅に向上させることができる。すなわち、光学用のフィルムを成形する場合は、一般にポリマーを溶液に溶解させて支持体上にキャストして成形する溶液製膜法が用いられるが、ポリマーの分子量が20,000未満であるとフィルム構造に不均一性が発生し、均一に延伸されなかったり、フィルムの表面平滑性が悪化することがある。分子量は高い方が、上記知見からは有効であるが、500,000を超えるとポリマーの重合が困難になったり、重合生産性の低下が発生したり、ポリマーの均一性の低下が発生し、フィルムとしての表面平滑性、透明性が損なわれることがある。数平均分子量は、より好ましくは30,000以上450,000以下であり、更に好ましくは40,000以上400,000以下である。
【0033】
本発明のフィルムは、少なくとも片面の中心線平均粗さ(以下,Ra)が5nm以下であることが好ましい。Raが5nmを超えると、フィルムに光を透過したときに曇り、像のゆがみなどが発生することがあり、高性能の光学用フィルムとして機能しなくなることがある。これらの曇りや像のゆがみは、表面の粗れ、斑などにより、光線が乱反射し易くなることにより発生する。また、フィルム成形時に内部構造が不均一になることにより生じる場合もあり、そのような場合においてもRaは5nmを超えやすい。従って、フィルム表面のRaを指標として制御することにより、表面、内部構造ともに高機能の光学フィルムを得やすくなる。本発明のフィルムにおいてRaを5nm以下とするためには、上述したようにカルボン酸残基のモル分率を、カルボン酸残基とホスホン酸残基とカーボネート残基の合計量に対して0.05以上0.8未満とし、また、ポリマーの数平均分子量を500,000以下とすることが有効である。Raは好ましくは3nm以下であり、より好ましくは2nm以下、更に好ましくは1nm以下である。中心線平均粗さの下限は特に限定されるものではないが、成形時、加工時のハンドリング性の観点から、0.1nm以上であることが好ましい。また、中心線平均粗さは、フィルムの両面において上記範囲を充たすことが、フィルムの曇り、像のゆがみをより低減できることから、一層好ましい。
【0034】
本発明のフィルムの厚みは10〜100μmであることが、光学用部材として薄膜、軽量化が図れるために好ましい。偏光板、位相差板などの光学用部材としては、近年、軽量化の要求が益々強くなってきており、100μmを超えるとその要求に適切に応えることが困難な場合があると同時に、例えば液晶ディスプレー用途に使用した場合の視認性が低下することがある。一方、厚みが10μm未満であると、加工時にしわが発生したり、他の部材との接着が不均一になったりすることがある。厚みは、好ましくは、15〜85μmであり、より好ましくは、20〜75μm、更に好ましくは25〜55μmである。
【0035】
また、本発明のフィルムは、波長550nmの光における位相差(以下、R(550)という)が、100〜650nmであることが、本発明の効果をより高めることができ好ましい。位相差がこの範囲であると、光学用の位相差フィルム、特に、広域1/4波長位相差板として使用される場合に、優れた色調再現性を発現することが可能となる。R(550)は、好ましくは、120〜550nmであり、より好ましくは、130〜380nmである。
【0036】
また、本発明のフィルムにおいて、位相差分散性、すなわち位相差の波長依存性は下式を満たすことが、1/4波長位相差板用途に用いる場合の好ましい実施様態となる。
【0037】
R(450)/R(550)=1.03〜1.25
R(650)/R(550)=0.80〜0.95
ここで、Rは位相差(nm)であり、括弧内の数値は、波長(nm)を表す。
【0038】
1/4波長位相差板は、可視光波長域で、位相差をそれぞれの波長の1/4にすることが求められる。そのためには、一般に位相差分散性の異なるフィルムを、その主軸が平行にならないように積層する方法が用いられる。積層する対手には、環状ポリオレフィン系、ポリカーボネート系、酢酸トリアセテート系、アクリル系のフィルムが用いられ、特に環状ポリオレフィンが好ましく用いられる。
【0039】
本発明のフィルムにおいて、位相差分散性が上記範囲であると、このようなポリマーフィルムと積層したときに、従来用いられてきたポリカーボネートや、酢酸トリアセテート系フィルムに較べて、1/4波長位相差板として、一層良好な位相差分散性を発現することが可能となる。
【0040】
本発明のフィルムの位相差分散性は、より好ましくは、
R(450)/R(550)=1.1〜1.22
R(650)/R(550)=0.82〜0.93
である。
【0041】
本発明のフィルムは、JIS−C2318に準拠した測定法で得られる引張ヤング率が、少なくとも一方向で3GPa以上であると、薄膜化したときのハンドリング性が向上するため好ましい。より好ましくは、4GPa以上である。ヤング率を上記範囲にするためには、本発明で規定するポリマーは、従来用いられてきたポリカーボネート等に比し、剛直であるため好ましい。また、フィルム成形において、延伸を施すことにより、ヤング率を上記範囲とすることもできるが、延伸を強くしすぎると、靱性が低下したり、位相差が実用的な範囲を超えてしまうことがあるため、ヤング率の上限としては、8GPa程度である。
【0042】
また、本発明のフィルムは、少なくとも一方向の破断伸度が、5%以上、より好ましくは10%以上であると成形、加工時の破断が少なくなるため好ましい。破断伸度の上限は特に限定されるものではないが、現実的には、250%程度である。
【0043】
本発明のフィルムは、100℃で30分間、実質的に張力を掛けない状態で熱処理したときの少なくとも一方向の熱収縮率が、10%以下であると、加工時の寸法変化、また位相差特性の変化を抑えることができるため好ましい。より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。ここで、熱収縮率とは、以下の式で定義される。
【0044】
熱収縮率(%)=((熱処理前の試長−熱処理し冷却後の試長)/熱処理前の試長)×100
熱収縮率は低い方が好ましいが、現実的には下限は0.1%程度である。
【0045】
本発明のフィルムは、25℃/75RH%での吸湿率が3%以下、より好ましくは2%以下、更に好ましくは0.5%以下であると、使用時、加工時の湿度変化による特性の変化が少なくなるため好ましい。ここでいう吸湿率は以下の方法で測定するものである。まず、フィルムを約0.5gを、脱湿のため120℃で3時間の加熱を行った後、吸湿しないようにして25℃まで降温後の重量を0.1mg単位まで正確に秤量する(この時の重量をW0とする)。次いで、25℃で75RH%の雰囲気下に48時間静置し、その後の重量を測定し、W1として以下の式で吸湿率を求める。
【0046】
吸湿率(%)=((W1−W0)/W0)×100
吸湿率は低い方が好ましいが、現実的には下限は0.03%程度である。
【0047】
本発明のフィルムは、表面、内部構造の均一性が高いため、透明性を求められる分野では、どのような用途にも適用できるが、特に、偏光板、位相差板、反射防止板などの光学用ディスプレー部材の構成材として特に好適に用いることができる。また、光ディスクなどの光記録媒体の基板や保護フィルムなどにも用いることができる。
【0048】
これらのフィルムは、用途により、実質的に無配向フィルム(光学的に等方)が用いられたり、延伸を施すことにより実現される配向フィルム(光学異方性を有する)が用いられ、本発明のフィルムは何れにおいても好適に使用できるが、特に、本発明に記載のポリマーを用いた場合は、ポリマー自身の分極率が高いことから、配向フィルムとして使用することが一層好ましい。具体的には、偏光板、位相差板、特に上述した1/4波長位相差板用途に適用した場合、本発明の効果を最も奏することができる。
【0049】
本発明のポリマーの重合法について一例を説明すると、ホスホン酸残基の前駆体分子であるホスホン酸誘導体と、2価フェノール及びカルボン酸誘導体をトリエチルアミンなどの塩基存在下混合して反応させ、続いてカーボネート残基の前駆体分子、たとえばトリホスゲンなどを添加して縮合重合することによって本発明のポリマーを得ることができる。このとき、ホスホン酸誘導体とトリホスゲンを同時に添加し反応させることもできるが、より好ましくは、トリホスゲンをホスホン酸誘導体添加後に添加することによって、より高分子量体を得ることができる。ホスホン酸誘導体あるいはカーボネート誘導体としてはそれらのハロゲン化物、酸無水物、エステル等が用いられるが特に限定されない。また、溶媒としてはモノマー、ポリマーを溶解するものであれば特に限定されず、複数の溶媒を混合して用いていも差し支えないが、塩化メチレン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。但し、本発明の目的に適うためには、これらの溶媒の水分量を200ppm(重量基準)以下とすることが好ましく、150ppm以下とすることが更に好ましく、100ppm以下とすることが最も好ましい。この水分量は、カールフィッシャー水分計を用いる等の滴定法、分光法等の方法で測定することができる。
【0050】
また、重合溶液は重合の進行に伴い粘度が上昇していくため、分子量を所定の範囲に制御するためには、効率的な剪断力を付与することが好ましい。剪断力を与える手段としては、攪拌、捏和、混合などが挙げられ、バッチ式、連続式の何れであっても差し支えないが、攪拌を用いてバッチ式で行うことが、より好ましい。攪拌の場合、分子量を所定の範囲に制御するためには、その翼の形状、大きさは極めて重要な因子である。翼の形状としては、パドル型、アンカー型、ゲート型、ダブルモーションパドル型などの楷型のものやヘリカルリボン、ダブルヘリカルリボン、ヘリカルスクリュー型などを挙げることができるが、ヘリカルリボン、ダブルヘリカルリボンが反応の均一性を向上させるために好ましい。また、翼径は、重合槽内径の90%以上100%未満が好ましく、より好ましくは95%以上99%以下である。更に、攪拌を効果的に行うため、攪拌回転数を制御することも重要である。一般的に、回転数を上げると混合効率は良くなるが、一方で温度上昇によるポリマーの分解や、共廻りによる効率の低下が発生することがあるため、重合するポリマーの種類、重合装置により適切な条件を選定する必要がある。具体的な好適範囲は、例えば、溶液重合の場合20〜100rpmが好ましく、より好ましくは、30〜60rpmである。
【0051】
また、フィルム成形時の分解を防止し、更に分子量を安定させる目的で、重合時に一官能の物質を添加し、分子末端を封止しても差し支えない。ここでいう一官能物質としては、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール等の一価フェノール類、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメート等の一価酸クロライド類が挙げられる。
【0052】
本発明のポリマーには、その特性を損なわない範囲で、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、チオエーテル系、燐系の各種抗酸化剤を添加することができる。
【0053】
また、本発明のフィルムの特性を損なわない範囲で、ポリマーに可塑性を持たせる目的で、また、製膜支持体からの剥離性を向上させる目的で、無機物、柔軟剤、異種ポリマーなどを、添加してもよい。こうした物質としては、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、硝酸リチウム、トリエタノールアミン、リン酸トリフェニル、ポリエチレングリコール、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォンなどが挙げられる。
【0054】
このようにして得られたポリマーを次いでフィルム化する。
【0055】
上記で得られたポリマー溶液は、そのままで製膜原液として溶液製膜によりフィルム化しても構わないが、貧溶媒中に投入するなどの方法で単離後、洗浄、乾燥を経て粉末、ペレットとし、そのまま溶融製膜あるいは溶媒に溶解させて溶液製膜によりフィルム化しても差し支えない。ただし、光学用フィルムとして品位、均質性を高める上では、単離後のポリマーを洗浄、乾燥後、溶媒に溶解させた製膜原液を用いて溶液製膜法によりフィルム化することが好ましい。
【0056】
以下、溶液製膜法により成形する方法について説明する。
【0057】
使用する溶媒としては、ポリマーを溶解するものであれば特に限定されない。このような溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレン、γ−ブチロラクトン、ベンジルアルコール、イソホロン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ヘキサフルオロイソプロパノール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPとする)等が挙げられる。更に、光学用フィルムとして必要となる低欠点性を実現する目的で、溶液を濾過することは好ましく行われる。濾過精度は、2,000nm以下が好ましく、1,000nm以下がより好ましく、600nm以下が更に好ましい。なお、ここでいう濾過精度とは、フィルターを通過させた時に、90%の確率でフィルター上に捕捉される濾過物の大きさとして定義され、例えば、ANSI B93、31−1973に基づくシングルパスF−2試験法に準拠して測定することができる。
【0058】
上記のように調製された製膜原液は、乾式法、乾湿式法、湿式法、半乾半湿式法等の溶液製膜法によりフィルム化が行なわれるが、フィルムの表面、内部構造を均一にするためには、乾式法あるいは乾湿式法が好ましく、以下、乾湿式法・乾式法を例にとって説明する。
【0059】
上記の原液を口金からドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ、薄膜を乾燥する。本発明のフィルムを得るためには、支持体上にキャスト後、実質的に溶媒が蒸発しない状態で、0.1〜5秒間、好ましくは0.2〜1秒間保持し、その後乾燥炉へ導入することが有効である。フィルムの生産性を考慮すると、キャスト直後に乾燥を開始することが好ましいが、その場合、キャスト斑、口金形状斑がそのまま固定され、Raが5nmを超える場合がある。実質的に溶媒が蒸発しない状態で保持するための条件については、使用する溶媒、キャストの速度などを勘案した上で、最適の条件を見出す必要があるが、温度0〜30℃の乾燥空気をキャストフィルム上に0.1〜5秒間当て、冷却することは有効な手段である。
【0060】
溶媒乾燥においては、溶媒としてNMPを用いる場合、乾燥温度は、70〜190℃が好ましく、100〜150℃がより好ましい。乾燥温度が高すぎると、表面の粗れや不均一構造が発生しやすくRaが5nm以上となることがある。また、低すぎると生産性の大幅な低下を招くことがある。こうして大部分の溶媒を除去されたフィルムは、自己支持性を得、支持体から剥離される。フィルムを支持体から剥離するときのポリマー濃度は30〜98重量%であることが好ましく、60〜95重量%であることがより好ましい。ポリマー濃度が30重量%未満の場合は、フィルムの自己支持性が不十分で破れやすくなることがあり、98重量%を超える場合は、剥離が困難となることがある。
【0061】
次いでフィルムは、残余の溶媒を除去するために、湿式浴に導入される。湿式浴としては、一般に水系浴が用いられるが、溶媒除去速度を上げる目的で、エタノール、メタノール等の有機溶媒浴、またはこれら有機溶媒と水との混合浴を用いていも、塩化カルシウム、塩化リチウム等の無機塩を含んだ浴を用いても差し支えない。尚、乾式法の場合、こうした湿式浴を経ずに、オーブン、テンターでの加熱により残存溶媒を除去しても構わない。
【0062】
残存溶媒を除去したフィルムは、テンターに導入され、熱処理及び延伸が行われる。この時の延伸温度は、フィルムを構成するポリマーの構造が異なる場合、ポリマーのガラス転移温度や光弾性係数に合わせて適宜設定されるが、一般的にはガラス転移温度±30℃以内が好ましく、±20℃以内がより好ましい。延伸温度が高すぎると、フィルムが軟化し平面性が悪化したり、また、延伸しても必要となる位相差を得られないことがある。延伸温度を低くすると位相差が得やすくなるが、延伸温度が低すぎると、均一延伸が困難になったり、フィルム破れが発生しやすくなる。延伸倍率は、用途により適切に設定されるべきものであるが、好ましくは1.01〜2倍、より好ましくは1.03〜1.6倍である。
【0063】
なお本発明のフィルムは、積層フィルムであってもよい。積層の方法としては、通常の方法、たとえば、口金内での積層、複合管での積層や、一旦1層を形成しておいてその上に他の層を形成する方法などを用いればよい。
【0064】
このようにして、本発明のフィルムを得ることができるが、これに限定されるものではない。
【0065】
【実施例】
本発明における物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
【0066】
(1)中心線平均粗さ(Ra)
Digital Instruments社製原子間力顕微鏡Nano Scope III ver.3.20を用いて、以下の条件でフィルムの支持体非接触面を10ヶ所測定し、平均値を求め、以下の基準で評価した。
【0067】
カンチレバー:シリコン単結晶
走査モ−ド:タッピングモ−ド
走査範囲:5μm×5μm
走査速度:1.0Hz
走査線数:256本
測定環境:25℃、相対湿度65%
○:Ra ≦ 2nm
△:2nm < Ra ≦ 5nm
×:5nm < Ra
(2)数平均分子量
フィルムサンプルを溶媒中に溶解する。次いで、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)に、低角度レーザー光散乱光度計(LALLS)および示差屈折率計(RI)を組み入れ、GPC装置でサイズ分別された分子鎖溶液の光散乱強度および屈折率差を溶出時間を追って測定することにより、溶質の分子量とその含有率を順次計算し、分子量分布を求めた。測定条件を以下に記す。
【0068】
Figure 2004189827
(3)フィルム厚み
マイクロ厚み計(アンリツ社製)を用いて測定した。
【0069】
(4)位相差
下記測定器を用いて測定した。
【0070】
装置:セルギャップ検査装置RETS−1100(大塚電子社製)
測定径:φ5mm
測定波長:400〜800nm
上記測定で、波長450nm,550nm、650nmの時の位相差をそれぞれR(450)、R(550)、R(650)とした。
【0071】
(5)均一延伸性
未延伸フィルムを延伸前の初期長さが100mmとなるように延伸機にセットした。延伸方向、中央70mm部分に1cm間隔で印を付け、フィルムの全長が140mmになるまで1軸延伸した。この時の延伸温度は、フィルムを構成するポリマーのガラス転移温度+10℃とした。各区間の延伸倍率を測定し、以下の基準で評価した。だたし、SMAX,SMINは、それぞれ各区間の延伸倍率のうち最大値,最小値を示す。
【0072】
○:SMAX/SMIN < 1.1
△:1.1 ≦ SMAX/SMIN < 1.5
×:1.5 ≦ SMAX/SMIN
(6)ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC2)を用いて測定した。ポリマー10mgを窒素気流下で10℃/分の速度で20℃から280℃まで昇温する過程で、ガラス状態からゴム状態への転移に基づく比熱変化を読みとり、この温度をガラス転移温度(Tg)とした。
【0073】
本発明の具体的実施態様を以下に実施例をもって述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0074】
(実施例1)
ダブルヘリカルリボン翼を備えた竪型重合槽に、窒素雰囲気下、1,2−ジクロロエタンを投入し、5℃に冷却した。次いで4,4’−(1−α−メチルベンジリデン)ビスフェノール(以下、MBBP)を100モル%、およびトリエチルアミン220モル%を混合し、冷却下攪拌した。この溶液にテレフタル酸ジクロライド(以下、TPC)を40モル%添加した後、フェニルホスホン酸ジクロライド(以下、PPC)40モル%の1,2−ジクロロエタン溶液を60分間かけて滴下し、滴下終了後120分間攪拌した。この時の攪拌回転数は30rpmであった。その後、濃度0.571mol/Lであるトリホスゲン(以下、TPG)の1,2−ジクロロエタン溶液を、カーボネート残基が19.5モル%となるよう30分かけて滴下し、滴下終了後120分間攪拌した。この間、溶液温度は20〜30℃になるように制御した。
【0075】
尚、使用した1,2−ジクロロエタン中の水分含有率は120ppmであった。
【0076】
得られた反応溶液をヘキサンに投入して再沈し、ポリマーを濾取した後、(1)エタノール、(2)水/エタノール=1/1混合溶液、(3)水の順で生成したポリマーを洗浄、乾燥し、ポリマーを得た。
【0077】
このポリマーの数平均分子量(以下、Mn)は100,000であった。また、ガラス転移温度(以下、Tg)は190℃であった。
【0078】
次いで、このポリマーを30℃で、NMPに30wt%溶液となるように溶解させ、濾過精度0.5μmのフィルター(日本ポール社製、MCY1001Y005H4)で濾過して、製膜原液とした。
【0079】
この製膜原液を厚さ1mmのSUS316板上に流延し、30℃の乾燥空気流中を1秒間通過させた後、熱風吹き出しノズルを有する乾燥機で、120℃、10分間乾燥した。乾燥後のフィルムをSUS板から剥離して、40℃の流水浴を通過させ、その後、定長下で、180℃、10分間の熱処理を行い、厚さ80μmのフィルムを得た。
【0080】
フィルムを初期長さが100mmとなるように延伸機にセットした。延伸方向、中央70mm部分に1cm間隔で印を付け、フィルムの全長が140mmになるまで200℃で1軸延伸した。このフィルムの支持体非接触面(以下、A面)のRaは、1.5nmであった。また、R(550)=400nmであり、均一延伸性評価は○であった。フィルムの製造条件と評価結果を表1に示す。
【0081】
(実施例2)
PPC、TPG、TPCの割合をそれぞれ77、19.5、3モル%とし、これ以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。このポリマーのMnは100,000であり、Tgは150℃であった。次いでこのポリマーを用いて、延伸温度を160℃とする以外は実施例1と同様の方法で製膜、延伸を行った。フィルムの製造条件と評価結果を表1に示す。
【0082】
(実施例3)
PPC、TPG、TPCの割合をそれぞれ8、1.5、90モル%とし、これ以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。このポリマーのMnは100,000であり、Tgは220℃であった。次いでこのポリマーを用いて、延伸温度を230℃とする以外は実施例1と同様の方法で製膜、延伸を行った。フィルムの表面平滑性が若干悪く、フィルムA面のRaは3.8nmであった。フィルムの製造条件と評価結果を表1に示す。
【0083】
(実施例4)
使用する1,2−ジクロロエタンの水分率を180ppmとし、これ以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。このポリマーのMnは18,000であり、Tgは185℃であった。次いでこのポリマーを用いて、延伸温度を195℃とする以外は実施例1と同様の方法で製膜、延伸を行った。フィルムの製造条件と評価結果を表1に示す。
【0084】
(実施例5)
TPGの割合を19.9モル%とし、使用する1,2−ジクロロエタンの水分率を70ppmとし、これ以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。但し、反応途中で重合度の上昇に伴い、溶液粘度が大きく上昇したため、撹拌回転数を15rpmまで低下させ、トリホスゲン滴下後の撹拌時間を540分とした。このポリマーのMnは520,000であり、Tgは200℃であった。次いでこのポリマーを用いて、延伸温度を210℃とする以外は実施例1と同様の方法で製膜、延伸を行った。フィルムの表面平滑性が若干悪く、フィルムA面のRaは4.2nmであった。フィルムの製造条件と評価結果を表1に示す。
【0085】
(実施例6)
PPC、TPG、TPCの割合をそれぞれ70、19.5、10モル%とし、これ以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。このポリマーのMnは100,000であり、Tgは170℃であった。次いでこのポリマーを用いて、延伸温度を180℃とする以外は実施例1と同様の方法で製膜、延伸を行った。フィルムの製造条件と評価結果を表1に示す。
【0086】
(実施例7)
PPC、TPG、TPCの割合をそれぞれ20、9.5、70モル%とし、これ以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。このポリマーのMnは100,000であり、Tgは205℃であった。次いでこのポリマーを用いて、延伸温度を215℃とする以外は実施例1と同様の方法で製膜、延伸を行った。フィルムの表面平滑性が若干悪く、フィルムA面のRaは3.0nmであった。フィルムの製造条件と評価結果を表1に示す。
【0087】
(実施例8)
使用する1,2−ジクロロエタンの水分率を160ppmとし、これ以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。このポリマーのMnは30,000であり、Tgは187℃であった。次いでこのポリマーを用いて、延伸温度を197℃とする以外は実施例1と同様の方法で製膜、延伸を行った。フィルムの製造条件と評価結果を表1に示す。
【0088】
(実施例9)
TPGの割合を19.7モル%とし、使用する1,2−ジクロロエタンの水分率を70ppmとし、これ以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。但し、反応途中で重合度の上昇に伴い、溶液粘度が大きく上昇したため、撹拌回転数を15rpmまで低下させ、トリホスゲン滴下後の撹拌時間を540分とした。このポリマーのMnは450,000であり、Tgは195℃であった。次いでこのポリマーを用いて、延伸温度を205℃とする以外は実施例1と同様の方法で製膜、延伸を行った。フィルムの表面平滑性が若干悪く、フィルムA面のRaは3.9nmであった。フィルムの製造条件と評価結果を表1に示す。
【0089】
(比較例1)
PPC、TPG、TPCの割合をそれぞれ60、39.5、0モル%とし、これ以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。このポリマーのMnは100,000であり、Tgは140℃であった。次いでこのポリマーを用いて、延伸温度を150℃とする以外は実施例1と同様の方法で製膜、延伸を行ったが、均一に延伸されず、また、位相差の小さいフィルムとなった。フィルムの製造条件と評価結果を表1に示す。
【0090】
(比較例2)
PPC、TPG、TPCの割合をそれぞれ60、39.5、0モル%とし、使用する1,2−ジクロロエタンの水分率を180ppmとし、これ以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。このポリマーのMnは18,000であり、Tgは135℃であった。次いでこのポリマーを用いて、延伸温度を145℃とする以外は実施例1と同様の方法で製膜、延伸を行ったが、均一に延伸されず、また、位相差の小さいフィルムとなった。また、フィルムの表面平滑性が若干悪く、フィルムA面のRaは2.2nmであった。フィルムの製造条件と評価結果を表1に示す。
【0091】
(比較例3)
PPC、TPG、TPCの割合をそれぞれ60、39.9、0モル%とし、使用する1,2−ジクロロエタンの水分率を70ppmとし、これ以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。但し、反応途中で重合度の上昇に伴い、溶液粘度が大きく上昇したため、撹拌回転数を15rpmまで低下させ、トリホスゲン滴下後の撹拌時間を540分とした。このポリマーのMnは520,000であり、Tgは150℃であった。次いでこのポリマーを用いて、延伸温度を160℃とする以外は実施例1と同様の方法で製膜、延伸を行ったが、均一に延伸されなかった。また、フィルムの表面平滑性が悪く、フィルムA面のRaは5.4nmであった。フィルムの製造条件と評価結果を表1に示す。
【0092】
【表1】
Figure 2004189827
【0093】
【発明の効果】
本発明のフィルムは、透明で、位相差分散性に優れ、更に均一延伸に有利な光学用途に適したものであるため、光学用フィルムとして優れた性能を発現するものである。本発明のフィルムは、ディスプレーなどの表示用部材、光記録部材など光学用フィルムとして好適に使用することができるが、特に、延伸により優れた位相差特性を発現するため、位相差板、とりわけ1/4波長位相差板用途に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 分子中に構造式(1)で表されるカルボン酸残基、構造式(2)で表されるホスホン酸残基、および構造式(3)で表される2価フェノール残基を構成単位として含んでいるポリマーを含有するフィルム。
    Figure 2004189827
    Ar:有機基
    Figure 2004189827
    :有機基
    :O、SまたはSe
    (ただし、RまたはXの異なるホスホン酸残基をポリマー中に2種以上含んでいてもよい。)
    Figure 2004189827
    、R:H、NO、ハロゲン原子または炭素数1〜20の脂肪族基もしくは芳香族基
    p、q:0≦p+q≦8を満たす整数
    :O、S、アルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基、シクロアルキリデン基、ハロ置換アルキレン基、ハロ置換アルキリデン基、フェニルアルキリデン基、カルボニル基、スルホン基、脂肪族ホスフィンオキシド基、芳香族ホスフィンオキシド基、アルキルシラン基、ジアルキルシラン基またはフルオレン基
    (ただし、Yは単なる単結合であってもよい。また、R、RまたはYの異なる2価フェノール残基をポリマー中に2種以上含んでいてもよい。)
  2. ポリマーがカーボネート残基を含み、かつ、構造式(1)で表されるカルボン酸残基、及び構造式(2)で表されるホスホン酸残基、及びカーボネート残基の合計量に対するカルボン酸残基のモル分率が0.05以上0.8未満である、請求項1に記載のフィルム。
  3. ポリマーの数平均分子量が20,000以上500,000以下である、請求項1または2に記載のフィルム。
  4. 波長550nmの光における位相差が100〜650nmである、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のフィルムを構成材とする光学用ディスプレー部材。
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