JP2003266534A - フィルム - Google Patents

フィルム

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JP2003266534A
JP2003266534A JP2002077812A JP2002077812A JP2003266534A JP 2003266534 A JP2003266534 A JP 2003266534A JP 2002077812 A JP2002077812 A JP 2002077812A JP 2002077812 A JP2002077812 A JP 2002077812A JP 2003266534 A JP2003266534 A JP 2003266534A
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Japan
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bis
film
hydroxyphenyl
acid
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Application number
JP2002077812A
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English (en)
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Akimitsu Tsukuda
佃  明光
Mitsuhiro Horiuchi
光弘 堀内
Nobuaki Ito
伸明 伊藤
Keijiro Takanishi
慶次郎 高西
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】薄膜であるにも関わらず、加工時、使用時にお
いても寸法、形状安定性、光学特性安定性に優れた透明
なフィルムを提供することを目的とする。 【解決手段】厚みが10〜100μm、80℃で10分
加熱後の片伸び量が2%以下、かつ波長400〜700
nmにおける光線透過率が85%以上であるフィルムと
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜で、平面性に
優れた透明なフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】無色透明材料は光学レンズ、機能性光学
フィルム、ディスク基板などその多様な用途に応じて種
々の材料が適用されているが、ヘルスケアやエレクトロ
ニクスなどの急速な発展に伴い、材料自体に要求される
機能・性能もますます精密かつ優れたものとなってきて
いる。
【0003】特にフィルムにおいては、IT化の進展に
伴い、偏光板、位相差板などのディスプレー用部材、ま
た、ディスク保護フィルムとして、ポリカーボネート、
環状ポリオレフィン、セルロース系フィルム等が使用さ
れてきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、ポリカ
ーボネートのような無色透明の熱可塑性樹脂は、エレク
トロニクス用途として広く用いられており、位相差フィ
ルムなどの光学フィルムやディスク用基板等の用途が考
えられている。特に位相差フィルムは、反射型カラー液
晶ディスプレイのコントラストを決める重要な構成部材
のひとつであるが、現在用いられているポリカーボネー
トは、例えば、特開平4−204503号公報や特開平
9−304619号公報に記載されているが、これらは
十分な波長分散特性を有しているとはいえない。反射型
液晶ディスプレイの高コントラスト化のためには、位相
差フィルムとして用いるポリマーフィルムの波長分散特
性の向上がひとつの技術課題となっている。
【0005】また、リン系官能基を含有するポリマーは
種々知られている。特にホスホン酸エステル基を主鎖に
含むポリマーはポリホスホネートと呼ばれ(K. S. Kim,
J.Appl. Polym. Sci., 28, 1119 (1983); Y. Imai et
al, Makromol. Chem., Rapid Commun., 1, 419 (198
0); USP3719727)、難燃機能などを目指し精力的な研
究が行われている。これらポリホスホネート系ポリマー
の光学特性や力学特性などの諸物性については詳細な知
見がなかったため、本発明者らはそれらを合成し物性評
価を行った。結果として、それらポリホスホネート系ポ
リマーは、低分子量体ゆえに力学特性、光学特性が不十
分であったり、フィルム化が困難で、またフィルム化し
ても均質なフィルムを得ることが困難であった。
【0006】また、これらのフィルムは、製膜の困難さ
ゆえに、寸法、光学特性の斑が生じやすく、特に加工
時、使用時の環境変化により、寸法、光学特性が変化し
やすいものであった。
【0007】本発明は、上記した従来の問題点を解決
し、無色透明で、薄膜であるにも関わらず、加工時、使
用時においても寸法、形状安定性、光学特性安定性に優
れたフィルムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、厚みが10〜100μm、80℃で10分
加熱後の片伸び量が2%以下、かつ波長400〜700
nmにおける光線透過率が85%以上のフィルムである
ことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のフィルムは、厚みが10
〜100μmである。厚みが10μm未満であると、加
工時、使用時の加熱により平面性が悪化したり、必要と
なる位相差を得ることが困難となったり、位相差斑が大
きくなったりすることがある。また、近年、光学用部材
の軽量化の要求が益々強くなってきており、100μm
を超えるとその要求に適切に応えることが困難な場合が
あると同時に、例えば液晶ディスプレー用途に使用した
場合の視認性が低下することがある。厚みは、好ましく
は、15〜85μmであり、より好ましくは、20〜7
5μm、更に好ましくは25〜55μmである。
【0010】また、本発明のフィルムの80℃で10分
間加熱後の片伸び量は2%以下である。ここでいう片伸
び量とは、フィルムの長手方向に100mm、幅方向に
10mmの短冊状のサンプルを10本とり、熱風オーブ
ン中で実質的に張力をかけずに、80℃で10分間加熱
し、取り出して冷却したサンプルを平面上に密着させ、
上から観察したときのサンプルの湾曲内側の弦と弧の距
離の最大値を試長で除したものに100を乗じた値を出
し、この測定をそれぞれのサンプルについて行って平均
をとったものである。片伸び量が2%を超えると、加工
時、使用時の温度変動によりフィルムの平面性が悪化し
たりすることがある。この片伸びは、フィルム成形時の
不均一性により発生する歪みが加温時に解放されて発生
するものであるため、片伸び量が2%を超えると、位相
差斑が大きくなることがある。例えば、液晶ディスプレ
ー部材として使用する場合、他のフィルムと、加温して
圧着させることがあるが、この時にフィルムの変形が生
じて得られた部材が平面性を失ったり、歪みが解放され
ることで、位相差斑など光学特性が変化してしまうこと
がある。片伸び量は、好ましくは1%以下であり、より
好ましくは0.5%以下である。
【0011】本発明のフィルムは透明性に優れている。
透明性に優れることは、光学用途に適用する場合、必須
の特性であり、一般に目で見て着色がないものが選ばれ
るが、本発明においては、分光光度計を用いて測定した
光線透過率が、波長400〜700nmで85%以上で
ある特性を有している。勿論、光線透過率は厚みにより
変化するが、本発明においては、厚み10〜100μm
の範囲で、上記範囲を満たすものである。
【0012】本発明のフィルムに用いるポリマーは、上
記を達成しうれば特に限定されるものではない。例え
ば、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、酢酸トリ
アセテートなどを用いることが可能である。しかし、薄
膜で、平面性に優れ、かつ光学特性に優れるという本発
明の目的を好適に達成するためには、以下で詳述する構
成のポリマーを用いることが好ましい。
【0013】すなわち、5価のリン原子を有する構造、
中でも構造式(1)で表されるホスホン酸構造をポリマ
ー主鎖に有していることが好ましい。特に、ポリマーが
カーボネート残基を含んでいる場合は、上記ホスホン酸
残基のモル分率は0.5以上1未満であることが好まし
い。
【0014】
【化3】 1:有機基 X1:O、SまたはSe (ただし、R1またはX1の異なるホスホン酸残基をポリ
マー中に2種以上含んでいてもよい。) この、ホスホン酸残基のモル分率は、単位あたりに存在
するホスホン酸残基およびカーボネート残基の総モル数
に対するホスホン酸残基のモル数の割合により算出され
るもので、以下の式で表される値である。
【0015】 ホスホン酸残基のモル分率=a/(a+b) a:単位当たりに存在する、構造式(1)で表されるホ
スホン酸残基のモル数 b:単位当たりのカーボネート残基のモル数 上記モル分率の値は、ホスホン酸残基の共重合分率を表
しているともいえ、ポリマー合成時の反応が化学量論的
に進行する場合は、その原料仕込み比率によっても算出
できる。また、成形体においては、NMR(核磁気共鳴
法)を用いて、測定可能である。
【0016】構造式(1)で表されるホスホン酸残基の
モル分率が0.5未満である場合には、ポリマーの高屈
折性が発現しにくく、本発明の効果が得られ難い傾向が
ある。このモル分率は0.75以上1未満であるとより
好ましい。
【0017】上記構造式(1)で表される構造単位のリ
ン原子上の置換基R1は有機基であり、具体的には、フ
ェニル、ハロ置換フェニル、メトキシフェニル、エトキ
シフェニル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、
ビニル、アリル、ベンジル、アミノアルキル、ヒドロキ
シアルキル、ハロ置換アルキル、アルキルサルファイド
基等を用いることができる。また、このような置換基を
有するホスホン酸残基を構成するホスホン酸を具体的に
例示すると、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、n
−プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、n−
ブチルホスホン酸、イソブチルホスホン酸、t−ブチル
ホスホン酸、n−ペンチルホスホン酸、ネオペンチルホ
スホン酸、シクロヘキシルホスホン酸、ベンジルホスホ
ン酸、クロロメチルホスホン酸、ジクロロメチルホスホ
ン酸、ブロモメチルホスホン酸、ジブロモメチルホスホ
ン酸、2−クロロエチルホスホン酸、1,2−ジクロロ
エチルホスホン酸、2−ブロモエチルホスホン酸、1,
2−ジブロモエチルホスホン酸、3−クロロプロピルホ
スホン酸、2,3−ジクロロプロピルホスホン酸3−ブ
ロモプロピルホスホン酸、2,3−ジブロモプロピルホ
スホン酸、2−クロロー1−メチルエチルホスホン酸、
1,2−ジクロロー1−メチルエチルホスホン酸、2−
ブロモー1−メチルエチルホスホン酸、1,2−ジブロ
モー1−メチルエチルホスホン酸、4−クロロブチルホ
スホン酸、3,4−ジクロロブチルホスホン酸、4−ブ
ロモブチルホスホン酸、3,4−ジブロモブチルホスホ
ン酸、3−クロロー1−メチルプロピルホスホン酸、
2,3−ジクロロ−1−メチルプロピルホスホン酸、3
−ブロモ−1メチルプロピルホスホン酸、2,3−ジブ
ロモ−1−メチルホスホン酸、1−クロロメチルプロピ
ルホスホン酸、1−クロロー1−クロロメチルプロピル
ホスホン酸、1−ブロモメチルプロピルホスホン酸、1
−ブロモ−1−ブロモメチルプロピルホスホン酸、5−
クロロペンチルホスホン酸、4,5−ジクロロペンチル
ホスホン酸、5−ブロモペンチルホスホン酸、4,5−
ジブロモペンチルホスホン酸、1−ヒドロキシメチルホ
スホン酸、2−ヒドロキシエチルホスホン酸、3−ヒド
ロキシプロピルホスホン酸、4−ヒドロキシブチルホス
ホン酸、5−ヒドロキシペンチルホスホン酸、1−アミ
ノメチルホスホン酸、2−アミノエチルホスホン酸、3
−アミノプロピルホスホン酸、4−アミノブチルホスホ
ン酸、5−アミノペンチルホスホン酸、メチルチオメチ
ルホスホン酸、メチルチオエチルホスホン酸、メチルチ
オプロピルホスホン酸、メチルチオブチルホスホン酸、
エチルチオメチルホスホン酸、エチルチオエチルホスホ
ン酸、エチルチオプロピルホスホン酸、プロピルチオメ
チルホスホン酸、プロピルチオエチルホスホン酸、ブチ
ルチオメチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、4−ク
ロロフェニルホスホン酸、3,4−ジクロロフェニルホ
スホン酸、3,5−ジクロロフェニルホスホン酸、4−
ブロモフェニルホスホン酸、3,4−ブロモフェニルホ
スホン酸、3,5−ブロモフェニルホスホン酸、4−メ
トキシフェニルホスホン酸、3,4−ジメトキシフェニ
ルホスホン酸、1−ナフチルホスホン酸、2−ナフチル
ホスホン酸、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフ
チルホスホン酸、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−
ナフチルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、4−ブロモ
フェニルメチルホスホン酸、3,4−ジブロモフェニル
メチルホスホン酸、3,5−ジブロモフェニルメチルホ
スホン酸、2−フェニルエチルホスホン酸、2−(4−
ブロモフェニル)エチルホスホン酸、2−(3,4−ジ
ブロモフェニル)エチルホスホン酸、2−(3,5−ジ
ブロモフェニル)エチルホスホン酸、3−フェニルプロ
ピルホスホン酸、3−(4−ブロモフェニル)プロピル
ホスホン酸、3−(3,4−ジブロモフェニル)プロピ
ルホスホン酸、3−(3,5−ジブロモフェニル)プロ
ピルホスホン酸、4−フェニルブチルホスホン酸、4−
(4−ブロモフェニル)ブチルホスホン酸、4−(3,
4−ジブロモフェニル)ブチルホスホン酸、4−(3,
5−ジブロモフェニル)ブチルホスホン酸、2−ピリジ
ルホスホン酸、3−ピリジルホスホン酸、4−ピリジル
ホスホン酸、1−ピロリジノメチルホスホン酸、1−ピ
ロリジノエチルホスホン酸、1−ピロリジノプロピルホ
スホン酸、1−ピロリジノブチルホスホン酸、ピロール
−1−ホスホン酸、ピロール−2−ホスホン酸、ピロー
ル−3−ホスホン酸、チオフェン−2−ホスホン酸、チ
オフェン−3−ホスホン酸、ジチアン−2−ホスホン
酸、トリチアン−2−ホスホン酸、フラン−2−ホスホ
ン酸、フラン−3−ホスホン酸、ビニルホスホン酸、ア
リルホスホン酸などが挙げられる。また、X1に相当す
る、これらのリン原子に2重結合で結合している酸素原
子(O)が硫黄原子(S)に置換されたチオホスホン酸
も同様に挙げられる。さらに、X1がセレン原子(S
e)であってもよい。これらは1種類でも、複数種併用
することもできる。また、これらホスホン酸はその酸塩
化物、エステル、アミドなどのホスホン酸誘導体であっ
てもよい。
【0018】なお、ポリマー中にカーボネート残基を含
まない場合は、X1はSまたはSeが好ましい。
【0019】また、これらホスホン酸残基については、
それぞれ対応する3価のリン官能基であるホスホナイト
残基に一部置き換えてもよい。これによりポリマーの耐
酸化性を付与することができるが、光学特性等の特性安
定性を考慮すると、その置換比率は50%以下が好まし
く、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは10
%以下である。すなわち、ポリマーがホスホナイト残基
を含み、構造式(1)で表されるホスホン酸残基とホス
ホナイト残基とに対するホスホナイト残基のモル分率が
0.5以下であることが好ましく、より好ましくは0.
25以下、さらに好ましくは0.1以下である。
【0020】また、本発明におけるポリマーは以下の構
造式(2)で表される2価フェノール残基を構成単位と
して含んでいる。
【0021】
【化4】 2、R3:H、NO2、ハロゲン原子または炭素数1〜
20の脂肪族基もしくは芳香族基 p、q:整数であって0≦p+q≦8 Y1:O、S、アルキレン基、アルキリデン基、シクロ
アルキレン基、シクロアルキリデン基、ハロ置換アルキ
レン基、ハロ置換アルキリデン基、フェニルアルキリデ
ン基、カルボニル基、スルホン基、脂肪族ホスフィンオ
キシド基、芳香族ホスフィンオキシド基、アルキルシラ
ン基、ジアルキルシラン基またはフルオレン基(ただ
し、Y1は単なる単結合であってもよい。また、R2、R
3またはY1の異なる2価フェノール残基をポリマー中に
2種以上含んでいてもよい。) この2価フェノール残基を2価フェノールの形で具体的
に例示すると、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
エタン、1,1−ビス(4−メチル−2−ヒドロキシフ
ェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4
−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘプタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロオクタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデ
カン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロ
ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサ
ン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒド
ロキシフェニル)メタン、4,4’−ビフェノール、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロ
パン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−
フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)オクタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−ア
リル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビスフェ
ノールフローレン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒ
ドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチ
ルプロパン、4,4’−〔1,4−フェニレン−ビス
(2−プロピリデン)〕−ビス(2−メチルフェノー
ル)、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシフェ
ニルエーテル、1,1−ビス(2−ヒドロキシフェニ
ル)メタン、2,4’−メチレンビスフェノール、1,
1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−3−メチル−ブタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ
−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−
ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペ
ンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペン
タン、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)ペンタン、3,3−ビス(3,5−ジメチル−4
−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(2−
ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,
1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1
−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−
4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(2
−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェ
ニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ジフェニルメタン、テルペンジフェノール、1,1
−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−メチル−4−
ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メ
チルプロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,
5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メ
タン、1,1−ビス(3,5−ジsecブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−シクロ
ヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−
ブチルフェニル)エタン、1,1−ビス(3−ノニル−
4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,
5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジt
ert−ブチル−6−メチルフェニル)メタン、1,1
−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1
−フェニルエタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)ペンタン酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢
酸ブチルエステル、1,1−ビス(3−フルオロ−4−
ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒド
ロキシ−5−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス
(4ーヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3
−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−フルオ
ロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス
(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェ
ニルメタン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロ
キシフェニル)−1−(p−フルオロフェニル)メタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−
(p−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(3−
クロロ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5
−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2
−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、2,2−ビス(3−ニトロ−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、3,3’−ジメチル−4,4’−
ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−
4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラ
tert−ブチル−4,4’−ビフェノール、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)ケトン、3,3’−ジフルオロ
−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テト
ラフルオロ−4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4
−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジブ
ロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(3−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)チオエーテル、ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテ
ル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)チオエーテル、1,1−ビス(2,3,5−トリメ
チル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカ
ン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)ドデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−
ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,1−ビス(3−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェ
ニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジtert−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シク
ロヘキシルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−
ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチルフ
ェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン酸メチルエステル、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン酸エチルエステル、イサチ
ンビスフェノール、イサチンビスクレゾール、2,
2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−
ビフェノール、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、2,4’−メチレンビスフェノール、1,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−(4−ヒドロ
キシフェニル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、ビス(2−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)メ
タン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチ
ルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2
−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)エタ
ン、ビス(2−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)メ
タン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−tert−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2−メチ
ル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メ
タン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
デカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、1,2−
ビス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジt
ert−ブチルフェニル)メタン、2,2−ビス(3−
スチリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−ニトロ
フェニル)エタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジフルオロ
−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビ
ス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジ
フェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシ
フェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(3−クロ
ロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’,
5,5’−テトラtert−ブチル−2,2’−ビフェ
ノール、2,2’−ジアリル−4,4’−ビフェノー
ル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,
3,5−トリメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5,5−テトラ
メチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−3,3,4−トリメチル−シクロヘキサ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3
−ジメチル−5−エチル−シクロヘキサン、1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチ
ル−シクロペンタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル
−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル
−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフェニル
−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル
−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロ
ヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキ
シフェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサ
ン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ
フェニル)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサ
ン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレ
ン、9,9−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ
フェニル)フルオレン、1,1−ビス(3,5−ジブロ
モ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチ
ル−シクロヘキサン、α、α−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン等が挙げら
れる。これらは1種類でも、複数種併用することもでき
る。これら2価フェノールは得られるポリマーの性能に
応じて適宜選択し用いることができる。
【0022】R2の炭素数が20を超える場合、耐熱性
の低下、成形性の低下などが起こることがある。
【0023】また、ジヒドロキシベンゼンを本発明の効
果が損なわれない範囲で用い、ポリマー骨格に同構造を
導入することができる。これらジヒドロキシベンゼンと
しては、レゾルシノール、ハイドロキノン、1,2−ジ
ヒドロキシベンゼン等が挙げられ、これらは1種類で
も、複数種併用することもできる。
【0024】本発明で用いるポリマーは必ずしも直鎖状
である必要はなく、得られるポリマーの性能に応じて多
価フェノールを共重合することができる。このような多
価フェノールを具体的に例示すると、トリス(4−ヒド
ロキシフェニル)メタン、4,4’−〔1−〔4−〔1
−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フ
ェニル〕エチリデン〕ビスフェノール、2,3,4,
4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−〔ビス
(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシフ
ェノール、トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン、4−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)メチル〕−2−メトキシフェノール、4−
〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)
メチル〕−2−メトキシフェノール、1,1,1−トリ
ス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−ト
リス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキ
シフェニル)エタン、トリス(3−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)メタン、トリス(3,5−ジメチル−4
−ヒドロキシフェニル)メタン、2,6−ビス〔(2−
ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル〕−4−メチ
ルフェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベ
ンゼン、2−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−シクロヘキシルフェニル)メチル〕−フェノール、4
−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘ
キシルフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシベン
ゼン、4−メチルフェニル−1,2,3−トリヒドロキ
シベンゼン、4−〔(4−ヒドロキシフェニル)メチ
ル〕−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、4−〔1
−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−エチル〕
−1,3−ジヒドロキシベンゼン、4−〔(3,5−ジ
メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2,
3−トリヒドロキシベンゼン、1,4−ビス〔1−ビス
(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−メチル−エチ
ル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−ビス(2,3,4−
トリヒドロキシフェニル)−1−メチル−エチル〕ベン
ゼン、2,4−ビス〔(4−ヒドロキシフェニル)メチ
ル〕−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−〔ビス(3
−メチル−4−ヒドロキシフェイル)メチル〕フェノー
ル、4−〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェイ
ル)メチル〕フェノール、2−〔ビス(2−メチル−4
−ヒドロキシフェイル)メチル〕フェノール、4−〔ビ
ス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−
1,2−ジヒドロキシベンゼン、4−〔ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)メチル〕−2−エトキシフェノール、
2−〔ビス(2,3−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、3
−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)メチル〕フェノール、2−〔ビス(2−ヒドロキシ
−3,6−ジメチルフェニル)メチル〕フェノール、4
−〔ビス(2−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニ
ル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(3,5−ジメチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕−2−メトキシ
フェノール、3,6−〔ビス(3,5−ジメチル−4−
ヒドロキシフェニル)メチル〕−1,2−ジヒドロキシ
ベンゼン、4,6−〔ビス(3,5−ジメチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)メチル〕−1,2,3−トリヒドロ
キシベンゼン、2−〔ビス(2,3,6−トリメチル−
4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、2−
〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)メチル〕フェノール、3−〔ビス(2,3,5−
トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノ
ール、4−〔ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス
(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)
メチル〕−1,2−ジヒドロキシベンゼン、3−〔ビス
(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフ
ェニル)メチル〕フェノール、4−〔ビス(2−メチル
−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチ
ル〕フェノール、4−〔ビス(2−メチル−4−ヒドロ
キシ−5−シクロヘキシルフェニル)メチル〕−2−メ
トキシフェノール、2,4,6−〔トリス(4−ヒドロ
キシフェニルメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼ
ン、1,1,2,2−テトラ(3−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラ(3,
5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,
4−〔〔ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕〕ベ
ンゼン、1,4−ジ〔ビス(3−メチル−4−ヒドロキ
シフェニル)メチル〕ベンゼン、1,4−ジ〔ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチ
ル〕ベンゼン、4−〔1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)エチル〕アニリン、(2,4−ジヒドロキシフ
ェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、2−〔ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)メチル〕フェノール、
1,3,3−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ブタン等
が挙げられ、これらは1種類でも、複数種併用すること
もできる。
【0025】本発明のフィルムは、少なくとも片面の中
心線平均粗さが5nm以下であることが好ましい。中心
線平均粗さが5nmを超えると、フィルムに光を透過し
たときに曇り、像のゆがみなどが発生することがあり、
高性能の光学用フィルムとして機能しなくなることがあ
る。これらの曇りや像のゆがみは、表面の粗れ、斑など
により、光線が乱反射し易くなることにより発生する。
また、フィルム成形時に内部構造が不均一になることに
より生じる場合もあり、そのような場合においても中心
線平均粗さも5nmを超えやすい。従って、フィルム表
面の中心線平均粗さを指標として制御することにより、
表面、内部構造ともに高機能の光学フィルムを得やすく
なる。中心線平均粗さはより好ましくは3nm以下であ
り、更に好ましくは1nm以下である。中心線平均粗さ
の下限は特に限定されるものではないが、成形時、加工
時のハンドリング性の観点から、0.1nm以上である
ことが好ましい。また、中心線平均粗さは、フィルムの
両面において上記範囲を充たすことが、フィルムの曇
り、像のゆがみをより低減できることから、一層好まし
い。
【0026】なお、中心線平均粗さは以下の測定法によ
り得られる値をいう。
【0027】Digital Instruments社製原子間力顕微鏡N
ano Scope III ver.3.20を用いて、以下の条件で10ヶ
所測定し、平均値を求める。
【0028】 カンチレバ−:シリコン単結晶 走査モ−ド:タッピングモ−ド 走査範囲:5μm×5μm 走査速度:1.0Hz 走査線数:256本 測定環境:25℃、相対湿度65% また、本発明のフィルムに含まれるポリマーの数平均分
子量は、20,000以上500,000以下である
と、フィルムの靱性が向上し、更にフィルム化する際の
生産性を大幅に向上させることができる。すなわち、光
学用のフィルムを成形する場合は、一般にポリマーを溶
液に溶解させて支持体上にキャストして成形する溶液製
膜法が用いられるが、ポリマーの分子量が20,000
未満であるとフィルム構造に不均一性が発生しやすくな
り、それを回避しようとすると、溶媒を除去する工程が
極めて長時間となり、生産性が大幅に低下する傾向にあ
る。分子量は高い方が、上記知見からは有効であるが、
500,000を超えるとポリマーの重合が困難になっ
たり、重合生産性の低下、ポリマーの均一性の低下が発
生したり、また、フィルムとしての透明性が損なわれる
ことがある。数平均分子量は、より好ましくは30,0
00以上450,000以下であり、更に好ましくは4
0,000以上400,000以下である。
【0029】なお、数平均分子量は以下の測定法により
得られる値をいう。
【0030】フィルムサンプルを溶媒中に溶解する。次
いで、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)に、低角度レ
ーザー光散乱光度計(LALLS)および示差屈折率計
(RI)を組み入れ、GPC装置でサイズ分別された分
子鎖溶液の光散乱強度および屈折率差を溶出時間を追っ
て測定することにより、溶質の分子量とその含有率を順
次計算し、分子量分布を求める。測定条件を以下に記
す。
【0031】A.GPC 装置:244型ゲル浸透クロマトグラフ(WATERS
社製) カラム:TRC−GM(東レリサーチセンター社製) Shodex KD−802(昭和電工社製) 流速:0.6ml/分 B.LALLS 装置:CMX−100型低角度レーザー光散乱光度計
(Chromatix社製) 波長:633nm 本発明のフィルムの少なくとも一方向のヤング率は、
3.5〜8GPaであることが、加工時、使用時に負荷
される力に対して抵抗でき、平面性が一層良好となるた
め好ましい。全ての方向のヤング率が3.5GPa未満
であると、加工時に変形を起こすことがある。また、ヤ
ング率が8GPaを超えると、フィルムの靱性が低下
し、製膜、加工が困難になることがある。ヤング率は、
より好ましくは、4〜7.5GPaであり、更に好まし
くは、4.5〜7GPaである。
【0032】また、ヤング率の最大値(Em)とそれと
直交する方向のヤング率(Ep)の比、Em/Epが、
1.1〜3であると、加工時の裁断性が向上するため好
ましい。より好ましくは、1.2〜2.5であり、更に
好ましくは1.5〜2.5である。Em/Epが3を超
えると、却って、破断しやすくなることがある。
【0033】また、本発明のフィルムは、波長550n
mにおける位相差(以下、R(550)という)が、5
0〜650nmであることが、本発明の効果をより高め
ることができ好ましい。位相差がこの範囲であると、光
学用の位相差フィルム、特に、広域1/4波長位相差板
として使用される場合に、優れた色調再現性を発現する
ことが可能となる。R(550)は、好ましくは、10
0〜550nmであり、より好ましくは、130〜38
0nmである。
【0034】また、本発明のフィルムにおいて、位相差
分散性、すなわち位相差の波長依存性は下式を満たすこ
とが、1/4波長位相差板用途に用いる場合の好ましい
実施様態となる。
【0035】 R(450)/R(550)=1.03〜1.25 R(650)/R(550)=0.80〜0.95 ここで、Rは位相差(nm)であり、括弧内の数値は、
波長(nm)を表す。
【0036】1/4波長位相差板は、可視光波長域で、
位相差をそれぞれの波長の1/4にすることが求められ
る。そのためには、一般に位相差分散性の異なるフィル
ムを、その主軸が平行にならないように積層する方法が
用いられる。積層する対手には、環状ポリオレフィン
系、ポリカーボネート系、酢酸トリアセテート系、アク
リル系のフィルムが用いられ、特に環状ポリオレフィン
が好ましく用いられる。
【0037】本発明のフィルムにおいて、位相差分散性
が上記範囲であると、このようなポリマーフィルムと積
層したときに、従来用いられてきたポリカーボネート
や、酢酸トリアセテート系フィルムに較べて、1/4波
長位相差板として、一層良好な位相差分散性を発現する
ことが可能となる。
【0038】本発明のフィルムの位相差分散性は、より
好ましくは、 R(450)/R(550)=1.1〜1.22 R(650)/R(550)=0.82〜0.93 である。このためには、前述したリンを含有するポリマ
ーを用いたフィルムとすることが好ましい。
【0039】また、本発明のフィルムは、JIS−C2
318に準拠した測定において、少なくとも一方向の破
断伸度が、5%以上、より好ましくは10%以上である
と成形、加工時の破断が少なくなるため好ましい。破断
伸度の上限は特に限定されるものではないが、現実的に
は、250%程度である。
【0040】本発明のフィルムは、100℃で30分
間、実質的に張力を掛けない状態で熱処理したときの少
なくとも一方向の熱収縮率が、10%以下であると、加
工時の寸法変化、また位相差特性の変化を抑えることが
できるため好ましい。より好ましくは5%以下、更に好
ましくは2%以下である。ここで、熱収縮率とは、以下
の式で定義される。
【0041】熱収縮率(%)=((熱処理前の試長−熱
処理し冷却後の試長)/熱処理前の試長)×100 熱収縮率は低い方が好ましいが、現実的には下限は0.
1%程度である。
【0042】本発明のフィルムは、25℃/75RH%
での吸湿率が3%以下、より好ましくは2%以下、更に
好ましくは0.5%以下であると、使用時、加工時の湿
度変化による特性の変化が少なくなるため好ましい。こ
こで言う吸湿率は以下の方法で測定するものである。ま
ず、フィルムを約0.5gを、脱湿のため120℃で3
時間の加熱を行った後、吸湿しないようにして25℃ま
で降温後の重量を0.1mg単位まで正確に秤量する
(この時の重量をW0とする)。次いで、25℃で75
RH%の雰囲気下に48時間静置し、その後の重量を測
定し、W1として以下の式で吸湿率を求める。
【0043】 吸湿率(%)=((W1−W0)/W1)×100 吸湿率は低い方が好ましいが、現実的には下限は0.0
3%程度である。
【0044】本発明のフィルムは、透明性を求められる
分野では、どのような用途にも適用できるが、特に、偏
光板、位相差板、反射防止板、基板などのディスプレー
部材、光ディスクの基板、保護フィルムなどの光記録部
材などの各種フィルム部材の構成材としてのフィルムと
して用いると、加工時、使用時の寸法安定性、光学特性
安定性に優れるため、好適に用いることができる。
【0045】これらのフィルムは、用途により、実質的
に無配向フィルム(光学的に等方)が用いられたり、延
伸を施すことにより実現される配向フィルム(光学異方
性を有する)が用いられ、本発明のフィルムは何れにお
いても好適に使用できるが、特に、配向フィルムとして
使用することが一層好ましい。具体的には、偏光板、位
相差板、特に上述した1/4波長位相差板用途に適用し
た場合、本発明の効果を最も奏することができる。
【0046】本発明に記載のポリマーの製造方法として
は、酸ハライドと2価のフェノールを有機溶剤中で反応
させる溶液重合法(A. Conix, Ind. Eng. Chem., 51, 1
47 (1959)、特公昭37−5599号公報)、酸ハライ
ドと2価のフェノールを塩化マグネシウム等の触媒存在
下で加熱する溶融重合法、2価の酸と2価のフェノール
をジアリルカーボネートの存在下で加熱する溶融重合法
(特公昭38−26299号公報)、水と相溶しない有
機溶剤に溶解せしめた2価の酸ハライドとアルカリ水溶
液に溶解せしめた2価のフェノールとを混合する界面重
合法(W. M. Eareckson, J. Poly. Sci., XL 399 (195
9)、特公昭40−1959号公報)等が挙げられるが、
特に溶液重合法が好適に採用される。
【0047】溶液重合法について一例を説明すると、ホ
スホン酸残基の前駆体分子であるホスホン酸誘導体と、
2価フェノールをトリエチルアミンなどの塩基存在下混
合して反応させ、続いてカーボネート残基の前駆体分
子、たとえばトリホスゲンなどを添加して縮合重合する
ことによって本発明のポリマーを得ることができる。こ
のとき、ホスホン酸誘導体とトリホスゲンを同時に添加
し反応させることもできるが、より好ましくは、トリホ
スゲンをホスホン酸誘導体添加後に添加することによっ
て、より高分子量体を得ることができる。ホスホン酸誘
導体あるいはカーボネート誘導体としてはそれらのハロ
ゲン化物、酸無水物、エステル等が用いられるが特に限
定されない。また、溶媒としてはモノマー、ポリマーを
溶解するものであれば特に限定されず、複数の溶媒を混
合して用いていも差し支えないが、塩化メチレン等のハ
ロゲン系溶媒を好適に用いることができる。
【0048】また、高分子量の安定したポリマーを得る
ためには、これらの溶媒の水分量を200ppm(重量
基準)以下とすることが好ましく、150ppm以下と
することが更に好ましく、100ppm以下とすること
が最も好ましい。この水分量は、カールフィッシャー水
分計を用いる等の滴定法、分光法等の公知の方法で測定
することができる。
【0049】また、重合溶液は重合の進行に伴い粘度が
上昇していくため、分子量を所定の範囲に制御するため
には、効率的な剪断力を付与することが好ましい。剪断
力を与える手段としては、攪拌、捏和、混合などが挙げ
られ、バッチ式、連続式の何れであっても差し支えない
が、攪拌を用いてバッチ式で行うことが、より好まし
い。攪拌の場合、分子量を所定の範囲に制御するために
は、その翼の形状、大きさは極めて重要な因子である。
翼の形状としては、パドル型、アンカー型、ゲート型、
ダブルモーションパドル型などの楷型のものやヘリカル
リボン、ダブルヘリカルリボン、ヘリカルスクリュー型
などを挙げることができるが、ヘリカルリボン、ダブル
ヘリカルリボンが反応の均一性を向上させるために好ま
しい。また、翼径は、重合槽内径の90%以上100%
未満が好ましく、より好ましくは95%以上99%以下
である。更に、攪拌を効果的に行うため、攪拌回転数を
制御することも重要である。一般的に、回転数を上げる
と混合効率は良くなるが、一方で温度上昇によるポリマ
ーの分解や、共廻りによる効率の低下が発生することが
あるため、重合するポリマーの種類、重合装置により適
切な条件を選定する必要があるが、溶液重合の場合20
〜100rpmが好ましく、より好ましくは、30〜6
0rpmである。
【0050】また、フィルム成形時の分解を防止し、更
に分子量を安定させる目的で、重合時に一官能の物質を
添加し、分子末端を封止しても差し支えない。ここでい
う一官能物質としては、フェノール、クレゾール、p−
tert−ブチルフェノール等の一価フェノール類、安
息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェ
ニルクロロホルメート等の一価酸クロライド類が挙げら
れる。
【0051】本発明のポリマーには、その特性を損なわ
ない範囲で、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミ
ン系、チオエーテル系、燐系の各種抗酸化剤を添加する
ことができる。
【0052】また、本発明のフィルムの特性を損なわな
い範囲で、ポリマーに可塑性を持たせる目的で、また、
製膜支持体からの剥離性を向上させる目的で、無機物、
柔軟剤、異種ポリマーなどを、添加してもよい。こうし
た物質としては、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化
マグネシウム、硝酸リチウム、トリエタノールアミン、
リン酸トリフェニル、ポリエチレングリコール、ポリサ
ルフォン、ポリエーテルサルフォンなどが挙げられる。
【0053】このようにして得られたポリマーを次いで
フィルム化する。
【0054】上記で得られたポリマー溶液は、そのまま
で製膜原液として溶液製膜によりフィルム化しても構わ
ないが、貧溶媒中に投入するなどの方法で単離後、洗
浄、乾燥を経て粉末、ペレットとし、そのまま溶融製膜
あるいは溶媒に溶解させて溶液製膜によりフィルム化し
ても差し支えない。ただし、光学用フィルムとして品
位、均質性を高める上では、単離後のポリマーを洗浄、
乾燥後、溶媒に溶解させた製膜原液を用いて溶液製膜法
によりフィルム化することが好ましい。
【0055】以下、溶液製膜法により成形する方法につ
いて記す。
【0056】使用する溶媒としては、ポリマーを溶解す
るものであれば特に限定されない。このような溶媒とし
ては、塩化メチレン、クロロホルム、1,1,2,2−
テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、テトラ
ヒドロフラン、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレ
ン、γ−ブチロラクトン、ベンジルアルコール、イソホ
ロン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ヘキサフル
オロイソプロパノール、ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン(以下、
NMPとする)等が挙げられる。更に、光学用フィルム
として必要となる低欠点性を実現する目的で、溶液を濾
過することは好ましく行われる。濾過精度は、2,00
0nm以下が好ましく、1,000nm以下がより好ま
しく、600nm以下が更に好ましい。なお、ここでい
う濾過精度とは、フィルターを通過させた時に、90%
の確率でフィルター上に捕捉される濾過物の大きさとし
て定義され、例えば、ANSI B93、31−197
3に基づくシングルパスF−2試験法に準拠して測定す
ることができる。
【0057】上記のように調製された製膜原液は、乾式
法、乾湿式法、湿式法、半乾半湿式法等の溶液製膜法に
よりフィルム化が行なわれるが、フィルムの表面、内部
構造を均一にするためには、乾式法あるいは乾湿式法が
好ましく、以下、乾湿式法・乾式法を例にとって説明す
る。
【0058】上記の製膜原液を口金からドラム、エンド
レスベルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いで
かかる薄膜層から溶媒を飛散させ、薄膜を乾燥する。溶
媒としてNMPを用いる場合、乾燥温度は、70〜18
0℃が好ましく、100〜150℃がより好ましい。乾
燥温度が180℃を超えると、表面にスキン層が発生し
てフィルムの透明性が低下したり、ヤング率が低下する
ことがある。また、低すぎると生産性の大幅な低下を招
くことがある。こうして大部分の溶媒を除去されたフィ
ルムは、自己支持性を得、支持体から剥離される。フィ
ルムを支持体から剥離するときのポリマー濃度は30〜
90重量%であることが好ましく、60〜80重量%で
あることがより好ましい。ポリマー濃度が30重量%未
満の場合は、フィルムの自己支持性が不十分で破れやす
くなることがあり、90重量%以上の場合は、剥離が困
難となることがある。
【0059】次いでフィルムは、残余の溶媒を除去する
ために、湿式浴に導入される。湿式浴としては、一般に
水系浴が用いられるが、溶媒除去速度を上げる目的で、
エタノール、メタノール等の有機溶媒浴、またはこれら
有機溶媒と水との混合浴を用いていも、塩化カルシウ
ム、塩化リチウム等の無機塩を含んだ浴を用いても差し
支えない。尚、乾式法の場合、こうした湿式浴を経ず
に、オーブン、テンターでの加熱により残存溶媒を除去
しても構わない。
【0060】残存溶媒を除去したフィルムは、テンター
に導入され、熱処理が行われる。また、配向フィルムと
する場合は、テンター内で縦方向あるいは横方向に延伸
が行われる。熱処理温度は、フィルムの寸法安定性を向
上させる点から110〜200℃が好ましく、130〜
190℃がより好ましい。また、延伸を施す場合は、目
的に応じて、熱処理と同時に行ってもよく、また、熱処
理後に行われても差し支えないが、片伸び量を本発明の
範囲とするためには、熱処理前に行われることが好まし
い。延伸倍率、延伸温度は、用途により適切に設定され
るべきものであるが、ヤング率を向上させる点からは、
延伸倍率は、好ましくは1.01〜2.0倍、より好ま
しくは1.03〜1.6倍、延伸温度は、好ましくは9
0〜150℃、より好ましくは100〜140℃であ
る。
【0061】上記の熱処理について詳しく述べる。
【0062】熱処理の手段としては、空気、窒素等の気
体を加熱することにより行う方法、ラジエーションヒー
ターを使用する方法、両者を併用する方法などがあり、
特に限定されないが、片伸び量を本発明の範囲とするた
めには、熱処理手段の如何を問わず熱処理の温度分布を
規制することが必要である。具体的には、フィルムのの
幅をwとし、フィルム端部を起点として0〜1/6wか
ら0〜1/3wの範囲の温度を、残余の中央部分の温度
より+3〜+20℃、好ましくは+5〜+10℃に制御
して熱処理を行うものである。また、両端部内、および
中央部分内での温度むらは、10℃以下、より好ましく
は5℃以下、更に好ましくは3℃以下とすることが好ま
しい。片伸びは温度や張力の不均一性により発生する歪
みが固定されて発現するものであるので、熱処理温度の
むらを低減させることにより歪みの発生を未然に防ぐこ
とができる。また、端部は中央部に較べ与えられた熱が
逃げやすいため、端部を強く熱処理する必要がある。端
部を中央部と同一レベルで熱処理した場合、端部に歪み
が発生するだけでなく、中央部にも歪みが波及し、フィ
ルム全部分での片伸びが悪化することがある。
【0063】なお本発明のフィルムは、積層フィルムで
あってもよい。積層の方法としては、通常の方法、たと
えば、口金内での積層、複合管での積層や、一旦1層を
形成しておいてその上に他の層を形成する方法などを用
いればよい。
【0064】このようにして、本発明のフィルムを得る
ことができるが、これに限定されるものではない。
【0065】
【実施例】本発明における物性の測定方法、効果の評価
方法は次の方法に従って行った。
【0066】(1)片伸び量 フィルムの長手方向に100mm,幅方向に10mm
(フィルム幅が10mm未満のフィルムについて測定す
る場合は、そのフィルム幅のままで行う)の短冊状のサ
ンプルを任意の位置にて10本採取する。このサンプル
を80℃熱風オーブン中で外力がかからない状態で10
分間加熱しオーブンから取り出す。冷却後、透明塩ビシ
ートにサンプルを空気がかみこまないように密着させ、
上から観察し、湾曲内側の弧と弦の最大距離を試長で除
したものに100を乗ずる。この測定を採取サンプル1
0本について繰り返してその平均値を片伸び量とした。
【0067】(2)ヤング率 ロボットテンシロンRTA(オリエンテック社製)を用
いて、温度23℃、相対湿度65%において測定した。
試験片は10mm幅で50mm長さ、引張速度は300
mm/分である。但し、試験を開始してから荷重が1N
を通過した点を伸びの原点とした。
【0068】(3)フィルムの透明性(光線透過率) 下記装置を用いて測定し、透過率(%)の最低値を求め
た。
【0069】 装置:UV測定器U−3410(日立計測社製) 波長範囲:400nm〜700nm 測定速度:120nm/分 測定モード:透過 (4)位相差 下記測定器を用いて測定した。
【0070】装置:セルギャップ検査装置RETS−1
100(大塚電子社製) 測定径:φ5mm 測定波長:400〜800nm 上記測定で、波長450nm,550nm、650nm
の時の位相差をそれぞれR(450)、R(550)、
R(650)とした。
【0071】(5)フィルムの形状安定性(反り) フィルムを5×5cmに切り出し、圧力0.1MPa、
温度85℃で、1分間熱プレスを行い、その後フィルム
を取り出して、温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下
に1時間静置する。フィルムに凹凸が発生した場合は、
凹となるように平面におき、頂点の反りの高さを測定
し、4頂点の高さを平均して、以下の基準で評価した。
【0072】 ◎:平均反り高さが、0.2mm未満 ○:平均反り高さが、0.2mm以上1mm未満 △:平均反り高さが、1mm以上2mm未満 ×:平均反り高さが、2mm以上 (6)光学特性安定性 フィルムを5×5cmに切り出す。次いで、フィルムの
中央、および各頂点から縦1cm、横1cmの位置の計
5点について、(3)の方法により、R(550)を測
定し、その((最大値−最小値)/平均値)×100を
R1とする。このフィルムを(6)と同様の熱プレスを
行い、取り出したフィルムについて、加熱前と同様に位
相差を測定する。この測定で得られた((最大値−最小
値)/平均値)×100をR2とする。加熱前後の差
異:D=|R2−R1|を以下の基準で評価した。
【0073】 ◎:D≦1 ○:1<D≦3 △:3<D≦5 ×:D>5
【0074】
【実施例】本発明の具体的実施態様を以下に実施例をも
って述べるが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0075】(実施例1)ダブルヘリカルリボン翼を備
えた竪型重合槽に、窒素雰囲気下、1,2−ジクロロエ
タンを投入し、5℃に冷却した。次いで1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンを100モ
ル%、およびトリエチルアミン220モル%を混合し、
冷却下攪拌した。この溶液にフェニルホスホン酸ジクロ
ライド75モル%の1,2−ジクロロエタン溶液を60
分間かけて滴下し、滴下終了後120分間攪拌した。こ
の時の攪拌回転数は30rpmであった。その後、濃度
0.571mol/Lであるトリホスゲンの1,2−ジ
クロロエタン溶液を、トリホスゲンを8.3モル%とな
るよう30分かけて滴下し、滴下終了後120分間攪拌
した。この間、溶液温度は20〜30℃になるように制
御した。
【0076】得られた反応溶液をヘキサンに投入して再
沈し、ポリマーを濾取した後、(1)エタノール、
(2)水/エタノール=1/1混合溶液、(3)水の順
で生成したポリマーを洗浄、乾燥し、ポリマーを得た。
【0077】次いで、このポリマーを30℃で、NMP
に30wt%溶液となるように溶解させ、濾過精度0.
6μmのポリプロピレン不織布製のフィルターで濾過し
て、製膜原液とした。
【0078】この製膜原液を口金からエンドレスベルト
上に流延し、130℃の熱風で加熱して溶媒を蒸発さ
せ、自己支持性を得たフィルムをベルトから剥離した。
次に温度40℃の水槽を通過させて溶媒を更に抽出し
た。湿式浴から出たフィルムの両端をクリップで把持し
テンターに導入し、横方向に130℃で1.3倍延伸し
た。この時のフィルム幅は700mmであった。次いで
熱処理を行ったが、この時両端部から180mmの部分
は熱処理温度176℃、温度斑2℃、中央部分は熱処理
温度170℃、温度斑2℃であった。熱処理を経たフィ
ルムを30℃/秒で徐冷し、両端部30mmをカットし
て、幅640mm、厚さ40μmのフィルムを得た。
【0079】このフィルムは、片伸び量、透明性、ヤン
グ率に優れ、形状安定性、光学特性安定性にも極めて優
れるものであった。
【0080】製造条件およびこのフィルムの特性、評価
結果を表1、表2に示す。
【0081】(実施例2〜5)実施例1と同様のポリマ
ーを用いて表1に示す条件でフィルムを得た。製造条
件、フィルム特性、評価結果を表1、表2に示す。
【0082】(比較例1、2)実施例1と同様のポリマ
ーを用いて表1に示す条件でフィルムを得た。製造条
件、フィルム特性、評価結果を表1、表2に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【発明の効果】本発明のフィルムは、薄膜で、片伸び量
が極めて小さい透明フィルムであるため、加工時、使用
時の寸法、形状変化が小さく、更に光学特性も安定した
ものとなる。従って、光学用フィルムとして優れた性能
を発現するものである。本発明のフィルムは、ディスプ
レーなどの表示用部材、光記録部材など光学用フィルム
として好適に使用することができるが、特に、延伸によ
り優れた位相差特性を発現するため、位相差板、とりわ
け1/4波長位相差板用途に好適に用いることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 85:02 C08L 85:02 (72)発明者 高西 慶次郎 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 Fターム(参考) 4F071 AA68 AA81 AF20 AF30 AF35 AF61 AG28 AH14 AH19 BA02 BB02 BB07 BC01 BC10 4F205 AA49 AG01 AH73 GA07 GB02 GC07 GE21 4F210 AA28A AG01 AH73 QA02 QC03 QG01 QG18 QW05 4J030 CA01 CB34 CB35 CC25 CD11 CE02 CG06

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚みが10〜100μm、80℃で10
    分加熱後の片伸び量が2%以下、かつ波長400〜70
    0nmにおける光線透過率が85%以上であるフィル
    ム。
  2. 【請求項2】 少なくとも一方向のヤング率が3.5〜
    8GPaである、請求項1に記載のフィルム。
  3. 【請求項3】 分子中に構造式(1)で表されるホスホ
    ン酸残基および構造式(2)で表される2価フェノール
    残基を構成単位として含んでいるポリマーを含有する、
    請求項1または2に記載のフィルム。 【化1】 1:有機基 X1:O、SまたはSe (ただし、R1またはX1の異なるホスホン酸残基をポリ
    マー中に2種以上含んでいてもよい。) 【化2】 2、R3:H、NO2、ハロゲン原子または炭素数1〜
    20の脂肪族基もしくは芳香族基 p、q:整数であって0≦p+q≦8 Y1:O、S、アルキレン基、アルキリデン基、シクロ
    アルキレン基、シクロアルキリデン基、ハロ置換アルキ
    レン基、ハロ置換アルキリデン基、フェニルアルキリデ
    ン基、カルボニル基、スルホン基、脂肪族ホスフィンオ
    キシド基、芳香族ホスフィンオキシド基、アルキルシラ
    ン基、ジアルキルシラン基またはフルオレン基(ただ
    し、Y1は単なる単結合であってもよい。また、R2、R
    3またはY1の異なる2価フェノール残基をポリマー中に
    2種以上含んでいてもよい。)
  4. 【請求項4】 ポリマーがカーボネート残基を含み、ホ
    スホン酸残基とカーボネート残基との合計量に対するホ
    スホン酸残基のモル分率が0.5以上1未満である、請
    求項3に記載のフィルム。
  5. 【請求項5】 ポリマーがホスホナイト残基を含み、ホ
    スホン酸残基とホスホナイト残基との合計量に対するホ
    スホナイト残基のモル分率が0.5以下である請求項3
    または4に記載のフィルム。
  6. 【請求項6】 ポリマーの数平均分子量が20,000
    以上500,000以下である、請求項3〜5のいずれ
    かに記載のフィルム。
  7. 【請求項7】 波長550nmにおける位相差が50〜
    650nmである、請求項1〜6のいずれかに記載のフ
    ィルム。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載のフィル
    ムを構成材とするフィルム部材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008239921A (ja) * 2007-03-29 2008-10-09 Fujifilm Corp 有機無機複合組成物および光学部品
US8642165B2 (en) 2007-03-29 2014-02-04 Fujifilm Corporation Organic-inorganic hybrid composition

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JP2008239921A (ja) * 2007-03-29 2008-10-09 Fujifilm Corp 有機無機複合組成物および光学部品
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