JP2004189638A - 脱色剤組成物及び染毛剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】脱色剤組成物は、(a)アルカリ剤、(b)界面活性剤、(c)炭素数20以上かつ25以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコール、(d)炭素数10以上かつ19以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコール及び(e)水を含有する。この脱色剤組成物は酸化剤と混合して使用される。染毛剤組成物は、脱色剤組成物にさらに(e)染料が含有されている。脱色剤組成物及び染毛剤組成物は水中油滴型乳化物としてそれぞれ構成されるとともに、液晶構造をそれぞれ含有している。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、毛髪に施されたときに発生する刺激臭を低減することができる脱色剤組成物及びその脱色剤組成物に染料を配合してなる染毛剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の染毛剤組成物としては、酸化染料、アンモニア、非イオン性界面活性剤、炭素数20を超える脂肪アルコール(高級アルコール)等を含有する酸化染色組成物が知られている。(例えば、特許文献1参照)。この酸化染色組成物には、炭素数18〜24の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコールが含有され、この高級アルコールは、炭素数20以上かつ25以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコールと、炭素数10以上かつ19以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコールとの重量比が13.4である。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−206829号公報(第26頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の酸化染色組成物では、炭素数18〜24の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコールは刺激臭低減を目的に配合されておらず、炭素数20以上かつ25以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコールと、炭素数10以上かつ19以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコールとの重量比は過大である。従って、酸化染色組成物の刺激臭を十分に低減することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、刺激臭を低減させることができる脱色剤組成物及び染毛剤組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の脱色剤組成物は、酸化剤と混合して使用される脱色剤組成物であって、(a)アルカリ剤、(b)界面活性剤、(c)炭素数20以上かつ25以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコール、(d)炭素数10以上かつ19以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコール及び(e)水を含有するとともに、成分(c)と成分(d)の重量比(成分(c)の重量/成分(d)の重量)が0.3〜10であることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載の発明の染毛剤組成物は、酸化剤と混合して使用される染毛剤組成物であって、(a)アルカリ剤、(b)界面活性剤、(c)炭素数20以上かつ25以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコール、(d)炭素数10以上かつ19以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコール、(e)水及び(f)染料を含有するとともに、成分(c)と成分(d)の重量比(成分(c)の重量/成分(d)の重量)が0.3〜10であることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載の発明の染毛剤組成物は、請求項2に記載の発明において、成分(a)としてアンモニアを含有することを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載の発明の染毛剤組成物は、請求項2又は請求項3に記載の発明において、成分(b)は非イオン性界面活性剤のみ、又は、非イオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤とから構成される界面活性剤であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に記載の発明の染毛剤組成物は、請求項4に記載の発明において、液晶構造を含有してなることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
脱色剤組成物は、(a)アルカリ剤、(b)界面活性剤、(c)炭素数20以上かつ25以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコール、(d)炭素数10以上かつ19以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコール及び(e)水を含有するものである。この脱色剤組成物は、使用時には酸化剤と混合して使用される。一方、染毛剤組成物は脱色剤組成物にさらに(f)染料を含有するものである。そして、染毛剤組成物は、使用時に酸化剤と混合して使用される点は脱色剤組成物と同じである。
【0012】
(a)アルカリ剤は、酸化剤の作用を促進するために配合される。(a)成分の具体例としては、アンモニア、アルカノールアミン類、有機アミン類、無機アルカリ、塩基性アミノ酸、それらの塩類等が挙げられる。アルカノールアミン類としては、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。有機アミン類としては2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、グアニジン等が挙げられる。無機アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。塩基性アミノ酸としてはアルギニン、リジン等が挙げられる。これらの(a)成分は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。また、二種以上の(a)成分を適当に組み合わせて配合することによって第1剤に緩衝作用をもたせてもよい。これらの(a)成分の中でも、酸化剤の作用を促進させ易いことから、好ましくはアンモニアである。
【0013】
(a)アルカリ剤の含有量は脱色剤組成物又は染毛剤組成物のpHが8〜12の範囲となる量に設定することが好ましい。
特に、アルカリ剤としてアンモニアが配合されたときには、28重量%のアンモニア水としての含有量は、0.5〜12重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましく、2〜7重量%が最も好ましい。この含有量が0.5重量%未満の場合、酸化剤の作用を十分に促進することができない。一方、12重量%を越える場合、脱色剤組成物又は染毛剤組成物の刺激臭が増大する傾向となる。
【0014】
次に、脱色剤組成物又は染毛剤組成物の刺激臭を低減させるために、界面活性剤として(b)非イオン性界面活性剤が配合される。この非イオン性界面活性剤は、後述する成分(c)と(d)と、水とにより水中油滴型(O/W型)乳化物を構成する。さらに、後述する成分(c)と(d)と、水とにより液晶構造を形成して臭いの成分を液晶構造内に組み込むことによって脱色剤組成物又は染毛剤組成物の刺激臭をさらに低減するために配合される。このため実施形態の脱色剤組成物又は染毛剤組成物は、液晶構造を含有している。尚、液晶構造の確認は、偏光顕微鏡によって行うことができる。
【0015】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレン(以下、POEと言う)セチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル等のエーテル型非イオン性界面活性剤、モノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル等のエステル型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0016】
非イオン性界面活性剤の含有量は、1.0〜10.0重量%が好ましく、1.5〜7.0重量%がより好ましく、2.0〜4.0重量%が最も好ましい。この含有量が1.0重量%未満又は10.0重量%を越える場合、刺激臭を充分に低減させることができない。
【0017】
但し、毛髪の感触を良くするためにさらにカチオン性界面活性剤を配合してもよい。カチオン性界面活性剤の具体例としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。カチオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは2.0重量%以下、さらに好ましくは1.5重量%以下、最も好ましくは1.0重量%以下である。この配合量が2.0重量%を越える場合、脱色剤組成物又は染毛剤組成物の刺激臭を低減しにくくなる。
【0018】
次に、(c)炭素数20以上かつ25以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコールと、(d)炭素数10以上かつ19以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコールは、界面活性剤と、後述する水とにより水中油滴型乳化物を構成して脱色剤組成物又は染毛剤組成物の刺激臭をより低減させるとともに、脱色剤組成物又は染毛剤組成物の乳化安定性を向上させるために配合される。これらの(c)成分と(d)成分の両成分を併用すれば、両成分が相乗的に作用して刺激臭をより効果的に低減させることができる。
【0019】
(c)成分の具体例としては、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。これらの中でも、刺激臭の低減効果に加え、乳化安定性の向上効果に優れるアラキルアルコールが好ましい。
【0020】
(d)成分の具体例としては、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等が挙げられる。これらの中でも、刺激臭の低減効果が高いステアリルアルコールが好ましい。
【0021】
(c)成分と(d)成分を合わせた含有量は、1.0〜20重量%が好ましく、3.0〜15重量%がより好ましく、5.0〜12重量%が最も好ましい。この含有量が1.0重量%未満又は20.0重量%を越える場合、刺激臭を十分に低減させることができない。
【0022】
成分(c)と成分(d)の重量比(成分(c)の重量/成分(d)の重量)は、刺激臭を低減させるために好ましくは0.3〜10、より好ましくは0.5〜5、最も好ましくは0.8〜3に設定される。この重量比が0.3未満又は10を超える場合、刺激臭を十分に低減させることができない。
【0023】
(e)水は、脱色剤組成物又は染毛剤組成物を水中油滴型乳化物にするとともに、発生する刺激臭を低減するために配合される。水の含有量は好ましくは50〜90重量%、さらに好ましくは70〜80重量%である。なお、この水の含有量は、アルカリ剤が水溶液として配合されたときには、その水溶液中に含まれる水の重量割合を含んでいる。水の含有量が50重量%未満では水中油滴型乳化物を形成することが困難になり、脱色剤組成物又は染毛剤組成物の刺激臭を抑制しにくくなる。一方、90重量%を越えて配合すると、脱色剤組成物又は染毛剤組成物の乳化安定性を確保しにくくなる。
【0024】
次に、染毛剤組成物には、毛髪を染色するための(e)染料が配合される。染料の具体例としては、酸化染料中間体、レゾルシン等のカプラー、直接染料等が挙げられる。酸化染料中間体は、酸化剤により酸化されることによって毛髪を染色するようになっている。酸化染料中間体の具体例としては、フェニレンジアミン類、アミノフェノール類、トルイレンジアミン類、アミノニトロフェノール類、ジフェニルアミン類、ジアミノフェニルアミン類、N−フェニルフェニレンジアミン類、ジアミノピリジン類、及びそれらの塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の塩類等が挙げられる。これらの中でも、染毛力(染着力)が強いことから、パラフェニレンジアミン、パラトルイレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−パラフェニレンジアミン、N−フェニル−パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2−クロロパラフェニレンジアミン、N,N−ジメチルパラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、2,6−ジクロロパラフェニレンジアミン、パラアミノフェニルスルファミン酸及びそれらの塩類が好ましい。これらの酸化染料中間体は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0025】
染料の含有量は好ましくは0.01〜15重量%である。0.01重量%未満では十分な染毛力は得られにくい。一方、15重量%を越えて配合してもそれ以上の染毛力は得られにくい。
【0026】
また、染料として酸化染料中間体を配合したときには、酸化染料中間体の含有量は好ましくは0.01〜15重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。この配合量が0.01重量%未満では十分な染毛力が得られない。一方、15重量%を越えて配合してもそれ以上の染毛力は得られない。さらに、0.01〜10重量%の酸化染料中間体と0.001〜14.99重量%の直接染料とを配合することにより、染め上がり(染色後の色調)及び染色性(染色力)をより向上させることができる。
【0027】
脱色剤組成物又は染毛剤組成物の粘度は、10000〜50000ミリパスカル秒(mPa・s)が刺激臭を低減させる効果が高いことから好ましい。10000ミリパスカル秒よりも小さいと、刺激臭を低減させることができないとともに、混合粘度が小さくなって、脱色又は染毛操作を行うときに垂れ落ちや飛び散りが生じやすい。また、一方、50000ミリパスカル秒よりも大きいと、脱色剤組成物又は染毛剤組成物の混合性が低下したり、あるいは混合液の粘度が高くなりすぎて毛髪に均一に塗布するのが困難となり、毛髪を脱色又は染色するときにムラが生じやすい。
【0028】
脱色剤組成物又は染毛剤組成物には、その他の添加成分として、油性成分、ソルビトール、マルトース等の糖類、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、バチルアルコール、キミルアルコール等のアルキルグリセリルエーテル、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、セルロース誘導体、カチオン性高分子化合物、両性高分子化合物、パラベン等の防腐剤、EDTA−Na等のキレート剤、フェナセチン、スズ酸ナトリウム、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等の安定剤、リン酸、クエン酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸等のpH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤等、また「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を配合してもよい。その他の添加成分の配合量は、脱色剤組成物又は染毛剤組成物の常法に従って決定される。
【0029】
油性成分は毛髪の感触を良好にするために配合される。油性成分の具体例としては、アボカド油、ホホバ油、マカデミアンナッツ油、オリーブ油のグリセライド等の油脂類、ミツロウ、ラノリン等のロウ類、流動パラフィン、固形パラフィン、イソパラフィン、スクワラン等の炭化水素類、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のエステル類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、平均重合度が650〜10000の高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーン類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸等が挙げられる。これらの中でも、毛髪の感触を良好にする効果が高いことから、平均重合度が650〜10000の高重合シリコーンが好ましい。高重合シリコーンの平均重合度が650未満及び10000を超えると、毛髪の感触を十分に良好にすることができない。高重合シリコーンの具体例としては、平均重合度が650以上の高重合メチルポリシロキサン、平均重合度が7000の高重合メチルポリシロキサン等が挙げられる。これらの油性成分は単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0030】
油性成分の含有量は、1.0〜20.0重量%が好ましく、2.0〜12.0重量%がより好ましく、3.0〜8.0重量%が最も好ましい。この含有量が1.0重量%未満又は20.0重量%を越える場合、刺激臭を十分に低減させることができない。
【0031】
カチオン性高分子化合物及び両性高分子化合物は、ともに毛髪の感触を良くするために配合される。
【0032】
カチオン性高分子化合物の具体例としては、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド共重合体、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等のカチオン化セルロース、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体のカチオン化物等の四級化ポリビニルピロリドン誘導体、塩化ジメチルジアリルアンモニウムの単独重合体、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリルアミド共重合体及びカチオン化グアーガム等が挙げられる。
【0033】
両性高分子化合物の具体例としては、アクリル酸オクチルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキルエステル共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリル酸/アクリルアミド共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0034】
カチオン性高分子化合物と両性高分子化合物の含有量は、それぞれ好ましくは5.0重量%以下、さらに好ましくは3.0重量%以下、最も好ましくは1.0重量%以下である。5.0重量%を越えて配合すると、脱色剤組成物又は染毛剤組成物の刺激臭を低減しにくくなる。
【0035】
酸化剤は、脱色剤組成物の場合には毛髪に含まれるメラニンを脱色するために配合され、染毛剤組成物の場合にはメラニンを脱色するとともに、酸化染料中間体等の染料を酸化するために配合される。酸化剤の具体例としては、過酸化水素等が挙げられる。脱色剤組成物又は染毛剤組成物と酸化剤とを混合した混合液中における酸化剤の含有量は好ましくは0.1〜5.0重量%、さらに好ましくは1.0〜3.0重量%である。0.1重量%未満ではメラニンを十分に脱色することができず、染料を十分に酸化することもできない。一方、5.0重量%を越えて配合すると、毛髪に損傷等の不具合が発生しやすい。
【0036】
さて、脱色剤組成物は(a)アルカリ剤、(b)界面活性剤、(c)炭素数20以上かつ25以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコール、(d)炭素数10以上かつ19以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコール及び(e)水を配合することにより得られる。染毛剤組成物は、脱色剤組成物に加えて(f)染料を配合することによって得られる。
【0037】
次いで、脱色剤組成物又は染毛剤組成物を使用する場合には、酸化剤と混合した後、必要量をコーム(櫛)や刷毛につけて毛髪に適用される。このとき、アルカリ剤により脱色剤組成物又は染毛剤組成物の脱色又は染毛の機能を発揮させることができ、毛髪を脱色し、或いは染毛することができる。さらに、アンモニア等のアルカリ剤による刺激臭は、界面活性剤、炭素数20以上かつ25以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコール、炭素数10以上かつ19以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコール、さらには水によってマスキングされる。従って、アンモニア等の刺激臭を有する剤(アルカリ剤)の揮散が抑制される。
【0038】
以上の実施形態により発揮される効果を以下にまとめて記載する。
・ 実施形態で説明した脱色剤組成物又は染毛剤組成物においては、(a)アルカリ剤、(b)界面活性剤、(c)炭素数20以上かつ25以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコール、(d)炭素数10以上かつ19以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコール及び(e)水とを含有するとともに、成分(c)と成分(d)の重量比(成分(c)の重量/成分(d)の重量)が0.3〜10である。これにより、アンモニア等のアルカリ剤が揮発しにくくなるために、脱色剤組成物又は染毛剤組成物の刺激臭を低減することができる。
【0039】
・ 実施形態の脱色剤組成物又は染毛剤組成物においては、その粘度を10000〜50000ミリパスカル秒(mPa・s)の範囲に設定することにより、刺激臭を低減することができるとともに、脱色又は染毛操作を行うときに垂れ落ちや飛び散りが生じるのを防止することができる。さらに、脱色剤組成物又は染毛剤組成物に配合された成分の混合性が低下したり、あるいは混合液の粘度が高くなりすぎて毛髪に均一に塗布するのが困難となるのを防止することによって、毛髪を脱色又は染毛するときにムラが生じるのを防止することができる。
【0040】
・ 実施形態の脱色剤組成物又は染毛剤組成物においては、(c)炭素数20以上かつ25以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコールと、(d)炭素数10以上かつ19以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコールとを併用するとともに、成分(c)と成分(d)の重量比(成分(c)の重量/成分(d)の重量)が0.3〜10であることにより、相乗作用が得られ、刺激臭を一層低減させることができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。なお、各例における刺激臭、乳化安定性及び感触は、次のような評価方法によって評価した。また表1における数字は重量%を表す。
【0042】
(1)刺激臭
試料の臭いを嗅ぎ、比較例4を対照として次の4段階で官能評価した。
比較例4と比べ、刺激臭がない(◎)、比較例4と比べ、刺激臭がほとんどない(○)、比較例4と比べ、刺激臭がある(×)。
【0043】
(2)乳化安定性
50゜Cの恒温槽にて1ヶ月保存した試料の状態を目視にて観察し、よい、(◎)、ややよい(○)、やや悪い(△)、悪い(×)の4段階で判断した。
【0044】
(3)感触
染毛処理後の毛束を手で触れたときの感触を、優(5)、良(4)、可(3)やや不良(2)、不良(1)の5段階で官能評価した。
【0045】
(実施例1〜8及び比較例1〜5)
実施例1〜8では、表1に示す第2剤と1:1の重量比で混合して使用される第1剤よりなる染毛剤組成物を調製した。また、比較例1〜5では、表1に示す第2剤と1:1の重量比で混合して使用される第1剤よりなる染毛剤組成物を調製した。これらの染毛剤組成物を第2剤と混合し、コームを用いて毛束に適用した。そして、刺激臭、乳化安定性及び感触を評価した。それらの結果を表1に示した。
【0046】
【表1】
表1に示したように、実施例1〜8のいずれも刺激臭が比較例4と比較して低く、乳化安定性も良好な結果であった。
【0047】
これらに対して、比較例1では(c)成分が、比較例2では(d)成分が含まれていないため、刺激臭が比較例4より高い。また比較例3では(c)成分と(d)成分の重量比が、0.3〜10の範囲から比較例4よりも離れているため、刺激臭が比較例4より高い。さらに比較例5では(d)成分の代わりに炭素数16の分枝状のアルキル基を有する高級アルコールが配合されているために、刺激臭が比較例4より高い。
【0048】
さらに、実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
(1) さらに、油性成分を含有する請求項2から請求項5に記載の染毛剤組成物。このように構成した場合、請求項2から請求項5に記載の発明の効果に加え、毛髪に対する感触を良好にすることができる。
【0049】
(2) さらに、カチオン性高分子化合物と両性高分子化合物より選ばれる少なくとも一種を含有する請求項2〜5、上記(1)のいずれか一項に記載の染毛剤組成物。このように構成した場合、請求項2〜5、上記(1)のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、毛髪に対する感触を良好にすることができる。
【0050】
(3) 成分(a)としてアンモニアを含有することを特徴とする請求項1に記載の脱色剤組成物。このように構成した場合、請求項1に記載の発明の効果に加え、脱色力を向上させることができる。
【0051】
(4) 成分(b)は非イオン性界面活性剤のみ、又は、非イオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤とから構成される界面活性剤であることを特徴とする請求項1又は上記(3)に記載の脱色剤組成物。このように構成した場合、請求項1又は上記(3)に記載の発明の効果に加え、刺激臭をより低減することができる。
【0052】
(5) 液晶構造を含有してなることを特徴とする請求項1、上記(3)又は上記(4)に記載の脱色剤組成物。このように構成した場合、請求項1、上記(3)又は上記(4)に記載の発明の効果に加え、刺激臭をさらに低減することができる。
【0053】
(6) 成分(c)はアラキルアルコールであることを特徴とする請求項2から請求項5、上記(1)又は上記(2)に記載の染毛剤組成物。このように構成した場合、請求項2から請求項5、上記(1)又は上記(2)に記載の発明の効果に加え、乳化安定性を向上させることができる。
【0054】
(7) 前記染毛剤組成物の粘度は10000〜50000ミリパスカル秒(mPa・s)であることを特徴とする請求項2から請求項5、上記(1)、上記(2)又は上記(6)に記載の染毛剤組成物。このように構成した場合、請求項2から請求項5、上記(1)、上記(2)又は上記(6)に記載の発明の効果に加え、刺激臭をより低減することができるとともに、染毛操作を行うときに垂れ落ちや飛び散りが生じるのを防止することができる。
【0055】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明の脱色剤組成物及び請求項2に記載の発明の染毛剤組成物によれば、刺激臭を効果的に低減させることができる。
【0056】
請求項3に記載の発明の染毛剤組成物によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、染毛力を向上させることができる。
【0057】
請求項4に記載の発明の染毛剤組成物によれば、請求項2又は請求項3に記載の発明の効果に加え、刺激臭をより低減することができる。
【0058】
請求項5に記載の発明の染毛剤組成物によれば、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、刺激臭をさらに低減することができる。
Claims (5)
- 酸化剤と混合して使用される脱色剤組成物であって、(a)アルカリ剤、(b)界面活性剤、(c)炭素数20以上かつ25以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコール、(d)炭素数10以上かつ19以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコール及び(e)水を含有するとともに、成分(c)と成分(d)の重量比(成分(c)の重量/成分(d)の重量)が0.3〜10であることを特徴とする脱色剤組成物。
- 酸化剤と混合して使用される染毛剤組成物であって、(a)アルカリ剤、(b)界面活性剤、(c)炭素数20以上かつ25以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコール、(d)炭素数10以上かつ19以下の直鎖状のアルキル基を有する高級アルコール、(e)水及び(f)染料を含有するとともに、成分(c)と成分(d)の重量比(成分(c)の重量/成分(d)の重量)が0.3〜10であることを特徴とする染毛剤組成物。
- 成分(a)としてアンモニアを含有することを特徴とする請求項2に記載の染毛剤組成物。
- 成分(b)は非イオン性界面活性剤のみ、又は、非イオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤とから構成される界面活性剤であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の染毛剤組成物。
- 液晶構造を含有してなることを特徴とする請求項4に記載の染毛剤組成物。
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