JP2004189122A - 水噴射推進式船艇の制動、後進装置 - Google Patents
水噴射推進式船艇の制動、後進装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】船艇1が、船尾11に支持され、後方に向って噴射水12を噴射可能とさせる推進用ノズル13と、船尾11に支持されて推進用ノズル13の後方位置に配置され、噴射水12が船尾11の左右外側方かつ前方に向うよう噴射水12を案内する案内手段23とを備える。この案内手段23が後方位置からこの後方位置の外側方、もしくは上方に向って往、復移動B,C可能となるよう船尾11に支持される。船艇1の前方への推進状態で、船尾11の下方域を通りこの船尾11に対し相対的に後方に流れてきた水2を上方に案内するよう案内手段23が成形される。
【選択図】 図1
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、船尾から後方に向って噴射水を噴射させ、この噴射の反力により船艇を推進させるようにした船艇に関し、より詳しくは、この船艇の前方への推進を制動可能とし、また、船艇を後進可能にする制動、後進装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
【特許文献1】特開平6‐191486号公報
【0004】
上記水噴射推進式船艇の制動、後進装置には、従来、上記特許文献1で示されるものがある。これによれば、船艇は、船尾に支持され後方に向って噴射水を噴射可能とさせる推進用ノズルと、この推進用ノズルの後側に配置されてこの推進用ノズルに連通させられ、後部側が左右に回動するよう上記船尾に枢支される操舵用ノズルと、上記船尾に支持されて上記操舵用ノズルの後方位置(この項において、以下、これを“後方位置”で示す)に配置され、上記推進用ノズルから上記操舵用ノズルを通り噴射された噴射水を所定方向に案内する案内手段とを備えている。この案内手段の左右各側部は、上記推進用ノズルから上記操舵用ノズルを通り真直ぐ後方に噴射される噴射水を左右に分流させると共に、これら各分流水を上記船尾の左右外側方かつ前方に向わせるよう成形されている。また、上記案内手段は上記後方位置からこの後方位置の上方に向って往、復移動可能となるよう上記船尾に支持されている。
【0005】
上記案内手段を上記“後方位置”から上方に向って往移動させ、上記推進用ノズルから操舵用ノズルを通し上記噴射水を後方に向って噴射させると、この後方への噴射の反力で上記船艇は前方への推進状態とされる。
【0006】
上記船艇の前方への推進状態で、上記操舵用ノズルの後端部を左方(もしくは右方)に回動させると、上記操舵用ノズルを通過する噴射水が左方(もしくは右方)に案内され、噴射される。すると、この噴射の反力で、上記船尾が右方(もしくは左方)に移動させられ、つまり、船艇は、前方への推進状態で、左方(もしくは右方)に操舵させられる。
【0007】
一方、上記船艇の前方への推進状態で、上記案内手段を上記“後方位置”に復移動させると、上記噴射水は上記案内手段によって、船尾の左右外側方かつ前方に向うよう案内され、噴射される。すると、この噴射の反力により、上記船艇の前方への推進が制動され、つまり、船艇が制動状態とされて、所望の低速にまで減速可能とされる。
【0008】
上記船艇の制動状態で、上記操舵用ノズルの後端部を左方(もしくは右方)に回動させると、この後端部の開口が上記案内手段の左側部(もしくは右側部)に対向し、この左側部(もしくは右側部)により、上記操舵用ノズルからの噴射水が上記船尾の左外側方(もしくは右外側方)かつ前方に案内され、噴射される。すると、この噴射の反力で、上記船尾が右方(もしくは左方)に移動させられ、つまり、船艇は制動状態で左方(もしくは右方)に操舵される。
【0009】
上記船艇の制動状態によりその速度が0になった後、更に、上記噴射水を案内手段により前方へ案内して噴射させ続けると、上記船艇は後方への推進状態とされる。
【0010】
上記船艇の後方への推進状態で、上記操舵用ノズルの後端部を左方(もしくは右方)に回動させると、前記したのと同様に、上記操舵用ノズルからの噴射水が上記案内手段の左側部(もしくは右側部)により、上記船尾の左外側方(もしくは右外側方)かつ前方に案内され、噴射される。すると、この噴射の反力で、上記船尾が右方(もしくは左方)かつ、後方に移動させられ、つまり、船艇は後方への推進状態で、後方に向って左方(もしくは右方)に操舵される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の技術では、次のような問題点がある。
【0012】
第1に、船艇の前方への推進状態において、この船艇を制動状態にさせようとして、上記“後方位置”に上記案内手段を配置させた場合において、例えば、船艇の前方への推進が減速されている場合で、上記噴射水の噴射の勢いが小さくなっている場合には、上記案内手段による前方への上記噴射水の噴射の勢いも小さくなる。そして、このように勢いが小さい噴射水の噴射では、船艇を迅速に制動させることは困難である。
【0013】
第2に、船艇の前方への推進状態において、この船艇を制動状態にさせる場合、もしくは、船艇を制動状態にさせると共に、その後に、後方への推進状態にさせようとする場合には、上記案内手段を操舵用ノズルの“後方位置”の上方からこの“後方位置”に復移動させる。
【0014】
ここで、上記従来の技術では、上記案内手段の復移動の途中において、この案内手段は上記推進用ノズルからの噴射水を上記船尾の左右外側方かつ前下方に向うよう案内して噴射させるようになっている。このため、上記案内手段の復移動の途中では、上記した前下方に向う噴射水の噴射の反力により上記案内手段が上昇させられ、この案内手段により船尾が押し上げられて船首が沈み込む状態となる。そして、この状態になると、船体の下面が前上がりの状態から水平に近づく。このため、水から船体に与えられる抵抗が少なくなって前方への推進状態における船艇の制動を迅速にさせることは困難になる。また、このように制動が迅速にできないことに伴い、船艇の後方への推進も迅速にさせることは困難である。
【0015】
第3に、上記船艇の制動状態、もしくは後方への推進状態で、船艇を操舵させようとするときには、前記したように、操舵用ノズルの後方位置に上記案内手段を配置し、上記操舵用ノズルの後端部を回動させて、この後端部の開口を上記案内手段の左右側部のうち、いずれか一方の側部に対向させる。すると、上記操舵用ノズルからの噴射水が上記一方の側部により案内されて、操舵が可能となる。
【0016】
しかし、上記操舵用ノズルからの噴射水の一部は、上記案内手段の他方の側部に流入するおそれがある。これが生じた場合には、一方の側部による操舵が他方の側部によって邪魔されることとなり、この結果、上記船艇の操舵が迅速にはできないという問題点がある。
【0017】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、船尾から後方に向って噴射水を噴射させ、この噴射の反力で船艇を推進させるようにした船艇において、この船艇の前方への推進状態における制動、後方への推進、および操舵が迅速にできるようにすることを課題とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の水噴射推進式船艇の制動、後進装置は、次の如くである。なお、この項において各用語に付記した符号は、本発明の技術的範囲を後述の「発明の実施の形態」の項の内容に限定解釈するものではない。
【0019】
請求項1の発明は、全図に例示するように、船尾11に支持され、後方に向って噴射水12を噴射可能とさせる推進用ノズル13と、上記船尾11に支持されて上記推進用ノズル13の後方位置に配置され、上記噴射水12が上記船尾11の左右外側方かつ前方に向うよう上記噴射水12を案内する案内手段23とを備え、この案内手段23が上記後方位置からこの後方位置の外側方、もしくは上方に向って往、復移動B,C可能となるよう上記船尾11に支持された水噴射推進式船艇の制動、後進装置において、
【0020】
上記船艇1の前方への推進状態で、上記船尾11の下方域を通りこの船尾11に対し相対的に後方に流れてきた水2を上方に案内するよう上記案内手段23が成形されたものである。
【0021】
請求項2の発明は、図6−9に例示するように、請求項1の発明に加えて、上記案内手段23が上記後方位置の上方から復移動する途中において、上記噴射水12から与えられた外力に基づき、上記案内手段23を下降させる下降促進手段44を備えたものである。
【0022】
請求項3の発明は、図6,7に例示するように、請求項2の発明に加えて、上記下降促進手段44が、船艇1の側面視で、下方への反りを有する翼型断面となるよう成形されたものである。
【0023】
請求項4の発明は、図8,9に例示するように、請求項2の発明に加えて、上記下降促進手段44が、上記噴射水12を上方に案内するよう成形されたものである。
【0024】
請求項5の発明は、図10,13,14に例示するように、請求項1の発明に加えて、上記案内手段23が、上記噴射水12を斜め上方に案内するよう成形されたものである。
【0025】
請求項6の発明は、図10に例示するように、船尾11に支持され、後方に向って噴射水12を噴射可能とさせる推進用ノズル13と、上記船尾11に支持されて上記推進用ノズル13の後方位置に配置され、上記噴射水12が上記船尾11の左右外側方かつ前方に向うよう上記噴射水12を案内する案内手段23とを備え、この案内手段23が上記後方位置からこの後方位置の外側方、もしくは上方に向って往、復移動B,C可能となるよう上記船尾11に支持された水噴射推進式船艇の制動、後進装置において、
【0026】
上記案内手段23が、上記噴射水12を斜め上方に案内するよう成形されたものである。
【0027】
請求項7の発明は、図11に例示するように、船尾11に支持され、後方に向って噴射水12を噴射可能とさせる推進用ノズル13と、この推進用ノズル13の後側に配置されてこの推進用ノズル13に連通させられ、後部側が左右に回動するよう上記船尾11に枢支される操舵用ノズル22と、上記船尾11に支持されて上記操舵用ノズル22の後方位置に配置され、上記推進用ノズル13から上記操舵用ノズル22を通り噴射された噴射水12を案内する案内手段23とを備え、この案内手段23の左右各側部27,27が、上記推進用ノズル13から上記操舵用ノズル22を通り真直ぐ後方に噴射される噴射水12を左右に分流させると共に、これら各分流水28,28を上記船尾11の左右外側方かつ前方に向わせるよう成形され、上記案内手段23が上記後方位置からこの後方位置の外側方、もしくは上方に向って往、復移動B,C可能となるよう上記船尾11に支持された水噴射推進式船艇の制動、後進装置において、
【0028】
上記操舵用ノズル22の後端部の回動により、この後端部の開口40が上記案内手段23の左右側部27,27のうち、いずれか一方の側部27に対向したとき、上記操舵用ノズル22の開口40から上記案内手段23の他方の側部27に向う噴射水12の通路を開閉自在に閉じる閉じ部材46を備えたものである。
【0029】
請求項8の発明は、図12に例示するように、請求項1から7のうちいずれか1つの発明に加えて、船尾11に支持され、後方に向って噴射水12を噴射可能とさせる推進用ノズル13と、この推進用ノズル13の後側に配置されてこの推進用ノズル13に連通させられ、後部側が左右に回動するよう上記船尾11に枢支される操舵用ノズル22と、上記船尾11に支持されて上記操舵用ノズル22の後方位置に配置され、上記推進用ノズル13から上記操舵用ノズル22を通り噴射された噴射水12を案内する案内手段23とを備え、この案内手段23の左右各側部27,27が、上記推進用ノズル13から上記操舵用ノズル22を通り真直ぐ後方に噴射される噴射水12を左右に分流させると共に、これら各分流水28,28を上記船尾11の左右外側方かつ前方に向わせるよう成形され、上記案内手段23が上記後方位置からこの後方位置の外側方、もしくは上方に向って往、復移動B,C可能となるよう上記船尾11に支持された水噴射推進式船艇の制動、後進装置において、
【0030】
上記案内手段23の左右側部27,27が互いに個別に上記往、復移動B,C可能とされたものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
【0032】
(第1の実施の形態)
【0033】
図1−5は、第1の実施の形態を示している。
【0034】
図2において、符号1は跨座式の小型の船艇1であり、水2に浮かべられている。また、図中矢印Frは船艇1の推進方向の前方を示している。また、下記する左右とは、上記前方に向っての船艇1の船体3の幅方向をいうものとする。
【0035】
上記船体3は、水2に浮かべられる船体本体4と、この船体本体4の上面に成形されて乗員が跨座式に着座可能なシート5と、このシート5の前方に配置されて上記船体本体4に支承されるハンドル6と、上記シート5の前下方に配置されて上記船体本体4に支承される制動ペダル7とを備えている。
【0036】
上記船艇1は、上記船体3を推進させる推進装置10を備えている。この推進装置10は、上記船体3の船尾11に支持され後方に向ってほぼ水平に噴射水12を噴射可能とさせる推進用ノズル13と、上記船体3に支持され上記推進用ノズル13を通し上記噴射水12を噴射可能とさせる駆動手段14とを備えている。上記推進用ノズル13の軸心は船体3の幅方向のほぼ中央部15に配置され、上記推進用ノズル13の前端部は前下方に延びて上記船体3の下方の水2中に開口している。
【0037】
上記駆動手段14は、上記船体3の船体本体4の内部に収容されてこの船体本体4に支持されるエンジン16と、上記推進用ノズル13の内部に配置されて上記エンジン16に連動連結されるインペラー17と、上記ハンドル6に取り付けられ上記エンジン16から上記インペラー17に出力される駆動力の大きさを調整するアクセル操作部18とを備えている。
【0038】
図1−5において、上記推進装置10は、上記船艇1の前方への推進状態で、この船艇1を制動可能とし、かつ、上記船艇1を後方への推進状態にできるようにする制動、後進装置21を備えている。この制動、後進装置21は、上記推進用ノズル13の後側に配置されてこの推進用ノズル13に連通させられ、後部側が左右に回動Aするよう上記船尾11に枢支される操舵用ノズル22と、上記船尾11に支持されて上記操舵用ノズル22の後方位置(図1−4中実線図示の位置であって、以下、“後方位置”で示す)に配置され、上記推進用ノズル13から上記操舵用ノズル22を通り後方に噴射された噴射水12を所定方向に案内する案内手段23とを備えている。上記操舵用ノズル22が前後方向に真直ぐに延びた通常姿勢で、この操舵用ノズル22と上記推進用ノズル13とは同じ軸心上に配置され、上記操舵用ノズル22は、上記通常姿勢を基準として、その後端部が左右に回動A自在とされている。
【0039】
より詳しくは、上記操舵用ノズル22は、左右に回動Aするよう枢支軸25により上記推進用ノズル13に枢支され、つまり、上記操舵用ノズル22は枢支軸25と推進用ノズル13とを介して上記船尾11に枢支されている。上記操舵用ノズル22は上記ハンドル6に連動連結され、このハンドル6への操向操作により、上記操舵用ノズル22の後端部が左右に回動Aさせられる。
【0040】
上記案内手段23の左右各側部27,27は、上記船体3の幅方向の中央部15を基準として左右対称形をなしている。図3,4中実線で示すように、上記案内手段23の左右各側部27は、上記推進用ノズル13から上記操舵用ノズル22を通して真直ぐ後方に噴射される噴射水12を左右に互いにほぼ均等に分流させるように成形されている。また、上記各側部27は、上記のように分流された各分流水28を上記船尾11の各外側方かつ前方に向ってほぼ水平に噴射させるよう成形されている。
【0041】
上記各側部27は互いに一体成形され、これら側部27,27は上記“後方位置”から上方に向って往、復回動可能となるよう上記推進用ノズル13に枢支軸29により枢支されるている。つまり、上記案内手段23は上記“後方位置”から上方に向って往、復移動B,C可能となるよう上記推進用ノズル13と枢支軸29とを介し上記船尾11に枢支されている。図示しないが、上記案内手段23が往、復移動B,Cするよう駆動させるアクチュエータが設けられている。
【0042】
上記案内手段23の左右各側部27,27は、それぞれ前方に向って開口するバケット形状の案内部材31と、この案内部材31から一旦後方に延出した後、この案内部材31の外側方かつ前方に向って延出する案内パイプ32とを備えている。上記各案内部材31は、上下に離れて配置される上、下板34,35と、これら上、下板34,35の各後端部を互いに一体的に連結させる後板36と、これら各板34−36の各側端部を互いに一体的に連結させる一対の側板37,37とを備えている。上記上板34は後下がり形状とされ、上記下板35は後上がり形状とされている。上記案内パイプ32は上記案内部材31の後板36から延出し、上記案内部材31の内部は上記案内パイプ32の内部を通し外部に連通している。
【0043】
上記各側部27の案内部材31は互いに一体成形されている。より具体的には、上記船体3の幅方向で対向する各案内部材31の側板37同士が互いに一体成形されて仕切り板38とされている。上記両側部27,27は、上記操舵用ノズル22の後端部の開口40に向って開口し、上記仕切り板38は、上記船体3の幅方向の中央部15に配置されている。そして、上記推進用ノズル13から通常姿勢の操舵用ノズル22を通り真直ぐ後方に噴射された噴射水12は、上記仕切り板38によって左右に分流させられ、その各分流水28は、それぞれ案内部材31と案内パイプ32とを順次通って上記船尾11の各外側方かつ前方に向って噴射させられる。
【0044】
図1中一点鎖線と、図5とで示すように、上記案内手段23を上記後方位置から上方に向って往移動Bさせ、上記推進用ノズル13から操舵用ノズル22を通し上記噴射水12を後方に向って噴射させると、この後方への噴射の反力で上記船艇1は前方への推進状態とされる。
【0045】
上記船艇1の前方への推進状態で、図3中一点鎖線で示すように、上記操舵用ノズル22の後端部を左方(もしくは右方)に回動させると、上記操舵用ノズル22を通過する噴射水12が左方(もしくは右方)に案内され、噴射される。すると、この噴射の反力で、上記船尾11が右方(もしくは左方)に移動させられ、つまり、船艇1は、前方への推進状態で、左方(もしくは右方)に操舵させられる。
【0046】
一方、上記船艇1の前方への推進状態で、図1−4中実線で示すように、上記案内手段23を上記“後方位置”に復移動Cさせると、上記噴射水12は上記案内手段23によって、船尾11の左右外側方かつ前方に向うよう案内され、噴射される。すると、この噴射の反力により、上記船艇1の前方への推進が制動され、つまり、船艇1が制動状態とされて、所望の低速にまで減速可能とされる。
【0047】
上記船艇1の制動状態で、図3中一点鎖線で示すように、上記操舵用ノズル22の後端部を左方(もしくは右方)に回動させると、この後端部の開口40が上記案内手段23の左側部27(もしくは右側部27)に対向し、この左側部27(もしくは右側部27)により、上記操舵用ノズル22からの噴射水12が上記船尾11の左外側方(もしくは右外側方)かつ前方に案内され、噴射される。すると、この噴射の反力で、上記船尾11が右方(もしくは左方)に移動させられ、つまり、船艇1は制動状態で左方(もしくは右方)に操舵される。
【0048】
図1−4中実線で示すように、上記船艇1の制動状態によりその速度が0になった後、更に、上記噴射水12を案内手段23により前方へ案内して噴射し続けると、上記船艇1は後方への推進状態とされる。
【0049】
上記船艇1の後方への推進状態で、図3中一点鎖線で示すように、上記操舵用ノズル22の後端部を左方(もしくは右方)に回動させると、前記したのと同様に、上記操舵用ノズル22からの噴射水12が上記案内手段23の左側部27(もしくは右側部27)により、上記船尾11の左外側方(もしくは右外側方)かつ前方に案内され、噴射される。すると、この噴射の反力で、上記船尾11が右方(もしくは左方)かつ、後方に移動させられ、つまり、船艇1は後方への推進状態で、後方に向って左方(もしくは右方)に操舵される。
【0050】
図1において、上記案内手段23が上記“後方位置”に配置された状態で、この案内手段23における案内部材31の下板35の下端部は、上記船尾11の下端面よりも下方に突出させられている。上記案内手段23が上記“後方位置”に配置された状態とされ、かつ、上記船艇1の前方への推進状態では、上記船尾11の下方を通りこの船尾11対し相対的に後方に流れてきた水2が上記案内部材31の下板35の下端部により、上方に案内され、上記案内部材31内の後部に向わされる。その後、上記水2は、上記操舵用ノズル22から上記案内手段23の案内パイプ32を通って上記船尾11の各外側方かつ前方に噴射される水2と共に、上記船尾11の各外側方かつ前方に向わされる。
【0051】
このため、船艇1の前方への推進状態において、この船艇1を制動状態にさせようとして、上記推進用ノズル13と操舵用ノズル22の各“後方位置”に上記案内手段23を配置させたときには、上記船尾11に対し相対的に後方に流れてきた水2は上記案内手段23により上方に案内される。すると、この上方への水2の案内の反力により、上記案内手段23が上記船尾11を伴って強制的に押し下げられ、船首42の沈み込みが防止される。
【0052】
ここで、仮に、船艇1の前方への推進状態において、上記アクセル操作部18への操作により駆動手段14が減速させられて、上記噴射水12の噴射の勢いを小さくさせたとする。この場合には、上記案内手段23による前方への噴射水12の噴射の勢いも小さくなって、この噴射水12の噴射による制動は迅速にはできなくなる。しかし、上記したように、案内手段23による水2の上方への案内により上記船尾11が押し下げられるため、上記船体3の下面の前上がり状態が維持され、前方への推進状態における船艇1への水2からの抵抗が大きくなることから、上記船艇1の制動は迅速になされる。また、この船艇1の制動が迅速になされるため、これに伴い、その後の上記船艇1の後方への推進も迅速になされる。
【0053】
なお、図4中一点鎖線で示すように、上記案内手段23の案内部材31の上板34と下板35の各前面は、船艇1の側面視で翼型断面となるよう成形してもよい。このようにすれば、上記推進用ノズル13からの噴射水12を含め、上記案内部材31の前方からこの案内部材31内の後部に向う水2が上記上板34と下板35の各前面から剥離するということが防止される。これにより、上記推進用ノズル13からの噴射水12は上記案内手段23により所定方向に円滑に案内されて圧力損失が抑制される。この結果、上記船艇1の制動が迅速になされ、また、船艇1の後方への推進が効率よくなされる。
【0054】
なお、以上は図示の例によるが、上記推進用ノズル13と操舵用ノズル22とはそれぞれ左右一対設けてもよい。また、上記操舵用ノズル22と案内手段23とは直接船尾11に支持させてもよい。また、上記案内手段23は上記“後方位置”から外側方に向って往、復移動B,C可能となるようにしてもよい。また、上記案内手段23が上記“後方位置”に配置された状態で、上記案内手段23における案内部材31の下板35の下端部を、船尾11の下端面とほぼ同じ高さに位置させてもよい。
【0055】
以下の各図は、第1−7の実施の形態を示している。これら各実施の形態は、前記第1の実施の形態と構成、作用効果において多くの点で共通している。そこで、これら共通するものについては、図面に共通の符号を付してその重複した説明を省略し、異なる点につき主に説明する。また、これら各実施の形態における各部分の構成を、本発明の課題、作用効果に照らして種々組み合せてもよい。
【0056】
(第2の実施の形態)
【0057】
図6,7は、第2の実施の形態を示している。
【0058】
この実施の形態によれば、上記船艇1は下降促進手段44を備えている。この下降促進手段44は、図6,7中二点鎖線で示すように、上記案内手段23が上記“後方位置”の上方から復移動Cする途中において、上記推進用ノズル13から噴射された噴射水12により与えられた下方に向う外力に基づき、上記案内手段23を下降させる。
【0059】
このため、上記案内手段23が上記噴射水12により強制的に下降させられることに伴って上記船尾11が押し下げられる。よって、上記案内手段23を往移動Bさせた船艇1の通常の前方への推進状態から、この船艇1を制動状態にさせようとして上記案内手段23を復移動Cさせるとき、この復移動Cの途中で、上記したように船尾11が押し下げられて、上記船体3の下面の前上がり状態が維持され、前方への推進状態における船艇1への水2からの抵抗が大きくなる。この結果、上記船艇1の制動が迅速になされる。
【0060】
上記下降促進手段44は、上記案内手段23の案内部材31の下板35の下端部に支持されており、上記復移動Cの途中において、上記推進用ノズル13と操舵用ノズル22の後方に位置することとされている。また、上記復移動Cの途中において、上記下降促進手段44は、船艇1の側面視で、下方への反り(camber)を有し、前後方向に延びる翼型断面となるよう成形されている。
【0061】
このため、上記復移動Cの途中において、上記下降促進手段44の上、下面に沿って噴射水12が後方に流れるとき、上記下降促進手段44の下面側に生じる負圧(揚力の反対の外力)によって、この下降促進手段44が強制的に下降させられる。すると、この下降促進手段44と共に、案内手段23が下降させられ、この案内手段23により上記船尾11が押し下げられる。この結果、上記したと同様に、船艇1の制動が迅速になされる。
【0062】
そして、上記下降促進手段44は、翼型断面という簡単な構成であるため、上記した船艇1の制動の迅速化は簡単な構成で達成される。
【0063】
なお、図6,7中実線で示すように、上記案内手段23が上記“後方位置”に配置されたとき、上記下降促進手段44は船艇1の側面視でほぼ水平に延びる姿勢をとることとされている。このため、船艇1の前方への推進状態で、上記下降促進手段44に対し水2から大きい抵抗が与えられることは防止され、円滑な推進状態が確保される。
【0064】
(第3の実施の形態)
【0065】
図8,9は、第3の実施の形態を示している。
【0066】
この実施の形態によれば、上記船艇1は下降促進手段44を備えている。この下降促進手段44は、図8,9中二点鎖線で示すように、上記案内手段23が上記“後方位置”の上方から復移動Cする途中において、上記推進用ノズル13から噴射された噴射水12から与えられた下方に向う外力に基づき、上記案内手段23を下降させる。この構成による作用効果は、前記第2の実施の形態で述べた通りである。
【0067】
上記下降促進手段44は、上記案内手段23の案内部材31の下板35の下端部に成形されており、上記復移動Cの途中において、上記推進用ノズル13と操舵用ノズル22の後方に位置することとされている。また、上記復移動Cの途中において、上記下降促進手段44は、その前面が後上がりとなるよう成形されている。つまり、上記下降促進手段44は、上記推進用ノズル13からの噴射水12を後上方に案内するよう成形されている。上記下降促進手段44により後上方に案内された後の水2は、上記案内手段23の左右各側部から外側方に排出される。
【0068】
このため、上記復移動Cの途中において、上記下降促進手段44により噴射水12が上方に案内されるとき、この噴射水12から上記下降促進手段44に与えられる動圧によって、この下降促進手段44が強制的に下降させられる。すると、この下降促進手段44と共に、案内手段23が下降させられ、この案内手段23により上記船尾11が押し下げられる。この結果、上記したと同様に、船艇1の制動が迅速になされる。
【0069】
そして、上記下降促進手段44は、単に噴射水12を上方に案内するという簡単な構成であるため、上記した船艇1の制動の迅速化は簡単な構成で達成される。
【0070】
また、図8,9中実線で示すように、上記案内手段23が上記“後方位置”に配置された状態で、この案内手段23における上記下降促進手段44は、上記船尾11の下端面よりも下方に突出させられている。この構成による作用効果は、前記第1の実施の形態で述べた通りである。
【0071】
(第4の実施の形態)
【0072】
図10は、第4の実施の形態を示している。
【0073】
この実施の形態によれば、上記案内手段23は、上記噴射水12を上記船尾11の左右外側方かつ前方に案内し、更に、斜め上方に案内し、噴射させるよう成形されている。
【0074】
このため、船艇1の前方への推進状態において、この船艇1を制動させようとして、上記推進用ノズル13と操舵用ノズル22の各“後方位置”に上記案内手段23を位置させたときには、この案内手段23により上記噴射水12が斜め上方に案内される。すると、この斜め上方への噴射水12の案内の反力により、上記案内手段23が強制的に下降させられ、この案内手段23により上記船尾11が押し下げられて、上記船体3の下面の前上がり状態が維持され、前方への推進状態における船艇1への水2からの抵抗が大きくなる。この結果、上記船艇1の制動が迅速になされる。
【0075】
(第5の実施の形態)
【0076】
図11は、第5の実施の形態を示している。
【0077】
この実施の形態によれば、上記制動、後進装置21は、上記操舵用ノズル22に対し回動自在となるようこの操舵用ノズル22に枢支される左右一対の閉じ部材46,46と、これら各閉じ部材46を回動させるよう駆動する不図示の駆動手段とを備えている。上記操舵用ノズル22の後端部の回動Aにより、図11で示すように、この後端部の開口40が上記案内手段23の左右側部27,27のうち、いずれか一方(左側)の側部27に対向したとき、上記閉じ部材46,46のうち、一方(右側)の閉じ部材46が、上記操舵用ノズル22の開口40から上記案内手段23の他方(右側)の側部27に向う噴射水12の通路を上記駆動手段の駆動により開閉自在に閉じることとされている。
【0078】
このため、上記船艇1の前方への推進状態におけるこの船艇1の制動状態や、船艇1の後方への推進状態で、この船艇1を操向させようとして、上記ハンドル6への操向操作により、上記操舵用ノズル22の後端部を回動させて、この後端部の開口40を一方の側部27に対向させたとき、上記操舵用ノズル22の開口40から噴射される噴射水12の一部が上記他方の側部27に流入することは上記閉じ部材46によって防止される。よって、上記一方の側部27により案内された噴射水12によって、上記船尾11がその一側方に確実に移動させられる。この結果、上記船艇1は制動状態や、後方への推進状態で、それぞれの操舵が迅速になされる。
【0079】
(第6の実施の形態)
【0080】
図12は、第6の実施の形態を示している。
【0081】
この実施の形態によれば、上記案内手段23の左右側部27,27は、互いに個別に往、復移動B,C可能とされている。具体的には、上記各側部27は互いに個別に上記“後方位置”から外側方に向って往、復移動B,C可能とされている。また、上記各側部27をそれぞれ往、復移動B,Cさせる不図示のアクチュエータが設けられている。
【0082】
上記の場合、船艇1を操舵しようとして上記ハンドル6の操向操作により、図12中一点鎖線で示すように、上記操舵用ノズル22の後端部を一方(左側)の側部27に対向させ、かつ、船艇1を減速させようとして上記アクセル操作部18を操作することにより、駆動手段14を減速させた場合、これらの操作に基づく電子的な制御装置の制御により、上記案内手段23の左右側部27,27のうち、一方(左側)の側部27が上記“後方位置”に配置され、この側部27により噴射水12が所定方向に案内される。一方、他方(右側)の側部27は、図12中一点鎖線で示すように、上記“後方位置”から往移動Bさせられて未作動の状態とされる。なお、上記制御装置の制御に代えて、機械的な作動を適用してもよい。
【0083】
このため、船艇1を操舵するとき、左右側部27,27のうち、一方の側部27のみを上記“後方位置”に配置させることができるのであり、このようにすれば、この一方の側部27による噴射水12の案内が、他方の側部27により邪魔されるということが確実に防止される。よって、船艇1の操舵が迅速になされる。
【0084】
一方、上記船艇1を後方への推進状態にさせようとして、制動ペダル7を操作した場合、この操作に基づく上記制御装置の制御により上記左右側部27,27が共に上記“後方位置”に配置される。このため、これら両側部27,27が共に上記噴射水12を所定方向に案内する。よって、船艇1の後方への推進が迅速になされる。
【0085】
(第7の実施の形態)
【0086】
図13,14は、第7の実施の形態を示している。
【0087】
この実施の形態は、前記第4の実施の形態とほぼ同様であるが、上記案内手段23の各側部27は、上記案内パイプ32に加えて、この案内パイプ32の下方に他の案内パイプ48を備えている。
【0088】
なお、図13,14中一点鎖線で示すように、上記案内手段23の案内パイプ32は噴射水12をほぼ真直ぐ上方に案内するものであってもよく、この案内手段23によれば、上記船尾11がより確実に押し下げられる。
【0089】
【発明の効果】
本発明による効果は、次の如くである。
【0090】
請求項1の発明は、船尾に支持され、後方に向って噴射水を噴射可能とさせる推進用ノズルと、上記船尾に支持されて上記推進用ノズルの後方位置に配置され、上記噴射水が上記船尾の左右外側方かつ前方に向うよう上記噴射水を案内する案内手段とを備え、この案内手段が上記後方位置からこの後方位置の外側方、もしくは上方に向って往、復移動可能となるよう上記船尾に支持された水噴射推進式船艇の制動、後進装置において、
【0091】
上記船艇の前方への推進状態で、上記船尾の下方域を通りこの船尾に対し相対的に後方に流れてきた水を上方に案内するよう上記案内手段が成形されている。
【0092】
このため、船艇の前方への推進状態において、この船艇を制動状態にさせようとして、上記推進用ノズルの後方位置に上記案内手段を配置させたときには、上記船尾に対し相対的に後方に流れてきた水は上記案内手段により上方に案内される。すると、この上方への水の案内の反力により、上記案内手段が上記船尾を伴って強制的に押し下げられ、船首の沈み込みが防止される。
【0093】
ここで、仮に、船艇の前方への推進状態において、上記噴射水の噴射の勢いを小さくさせたとする。この場合には、上記案内手段による前方への噴射水の噴射の勢いも小さくなって、この噴射水の噴射による制動は迅速にはできなくなる。しかし、上記したように、案内手段による水の上方への案内により上記船尾が押し下げられるため、上記船体の下面の前上がり状態が維持され、前方への推進状態における船艇への水からの抵抗が大きくなることから、上記船艇の制動は迅速になされる。また、この船艇の制動が迅速になされるため、これに伴い、その後の上記船艇の後方への推進も迅速になされる。
【0094】
請求項2の発明は、上記案内手段が上記後方位置の上方から復移動する途中において、上記噴射水から与えられた外力に基づき、上記案内手段を下降させる下降促進手段を備えている。
【0095】
このため、上記案内手段が上記噴射水により強制的に下降させられることに伴って上記船尾が押し下げられる。よって、上記案内手段を往移動させた船艇の通常の前方への推進状態から、この船艇を制動状態にさせようとして上記案内手段を復移動させるとき、この復移動の途中で、上記したように船尾が押し下げられて、上記船体の下面の前上がり状態が維持され、前方への推進状態における船艇への水からの抵抗が大きくなる。この結果、上記船艇の制動が迅速になされる。
【0096】
請求項3の発明は、上記下降促進手段が、船艇の側面視で、下方への反りを有する翼型断面となるよう成形されている。
【0097】
このため、上記復移動の途中において、上記下降促進手段の上、下面に沿って噴射水が後方に流れるとき、上記下降促進手段の下面側に生じる負圧(揚力の反対の外力)によって、この下降促進手段が強制的に下降させられる。すると、この下降促進手段と共に、案内手段が下降させられ、この案内手段により上記船尾が押し下げられる。この結果、上記請求項2の効果と同様に、船艇の制動が迅速になされる。
【0098】
そして、上記下降促進手段は、翼型断面という簡単な構成であるため、上記した船艇の制動の迅速化は簡単な構成で達成される。
【0099】
請求項4の発明は、上記下降促進手段が、上記噴射水を上方に案内するよう成形されている。
【0100】
このため、上記復移動の途中において、上記下降促進手段により噴射水が上方に案内されるとき、この噴射水から上記下降促進手段に与えられる動圧によって、この下降促進手段が強制的に下降させられる。すると、この下降促進手段と共に、案内手段が下降させられ、この案内手段により上記船尾が押し下げられる。この結果、上記請求項2の効果と同様に、船艇の制動が迅速になされる。
【0101】
そして、上記下降促進手段は、単に噴射水を上方に案内するという簡単な構成であるため、上記した船艇の制動の迅速化は簡単な構成で達成される。
【0102】
請求項5の発明は、上記案内手段が、上記噴射水を斜め上方に案内するよう成形されている。
【0103】
このため、船艇の前方への推進状態において、この船艇を制動させようとして、上記推進用ノズルの後方位置に上記案内手段を位置させたときには、この案内手段により上記噴射水が斜め上方に案内される。すると、この斜め上方への噴射水の案内の反力により、上記案内手段が強制的に下降させられ、この案内手段により上記船尾が押し下げられて、上記船体の下面の前上がり状態が維持され、前方への推進状態における船艇への水からの抵抗が大きくなる。この結果、上記船艇の制動が迅速になされる。
【0104】
請求項6の発明は、船尾に支持され、後方に向って噴射水を噴射可能とさせる推進用ノズルと、上記船尾に支持されて上記推進用ノズルの後方位置に配置され、上記噴射水が上記船尾の左右外側方かつ前方に向うよう上記噴射水を案内する案内手段とを備え、この案内手段が上記後方位置からこの後方位置の外側方、もしくは上方に向って往、復移動可能となるよう上記船尾に支持された水噴射推進式船艇の制動、後進装置において、
【0105】
上記案内手段が、上記噴射水を斜め上方に案内するよう成形されている。
【0106】
このため、船艇の前方への推進状態において、この船艇を制動させようとして、上記推進用ノズルの後方位置に上記案内手段を位置させたときには、この案内手段により上記噴射水が斜め上方に案内される。すると、この斜め上方への噴射水の案内の反力により、上記案内手段が強制的に下降させられ、この案内手段により上記船尾が押し下げられて、上記船体の下面の前上がり状態が維持され、前方への推進状態における船艇への水からの抵抗が大きくなる。この結果、上記船艇の制動が迅速になされる。
【0107】
請求項7の発明は、船尾に支持され、後方に向って噴射水を噴射可能とさせる推進用ノズルと、この推進用ノズルの後側に配置されてこの推進用ノズルに連通させられ、後部側が左右に回動するよう上記船尾に枢支される操舵用ノズルと、上記船尾に支持されて上記操舵用ノズルの後方位置に配置され、上記推進用ノズルから上記操舵用ノズルを通り噴射された噴射水を案内する案内手段とを備え、この案内手段の左右各側部が、上記推進用ノズルから上記操舵用ノズルを通り真直ぐ後方に噴射される噴射水を左右に分流させると共に、これら各分流水を上記船尾の左右外側方かつ前方に向わせるよう成形され、上記案内手段が上記後方位置からこの後方位置の外側方、もしくは上方に向って往、復移動可能となるよう上記船尾に支持された水噴射推進式船艇の制動、後進装置において、
【0108】
上記操舵用ノズルの後端部の回動により、この後端部の開口が上記案内手段の左右側部のうち、いずれか一方の側部に対向したとき、上記操舵用ノズルの開口から上記案内手段の他方の側部に向う噴射水の通路を開閉自在に閉じる閉じ部材を備えている。
【0109】
このため、上記船艇の前方への推進状態におけるこの船艇の制動状態や、船艇の後方への推進状態で、この船艇を操向させようとして、上記操舵用ノズルの後端部を回動させて、この後端部の開口を一方の側部に対向させたとき、上記操舵用ノズルの開口から噴射される噴射水の一部が上記他方の側部に流入することは上記閉じ部材によって防止される。よって、上記一方の側部により案内された噴射水によって、上記船尾がその一側方に確実に移動させられる。この結果、上記船艇は制動状態や、後方への推進状態で、それぞれの操舵が迅速になされる。
【0110】
請求項8の発明は、船尾に支持され、後方に向って噴射水を噴射可能とさせる推進用ノズルと、この推進用ノズルの後側に配置されてこの推進用ノズルに連通させられ、後部側が左右に回動するよう上記船尾に枢支される操舵用ノズルと、上記船尾に支持されて上記操舵用ノズルの後方位置に配置され、上記推進用ノズルから上記操舵用ノズルを通り噴射された噴射水を案内する案内手段とを備え、この案内手段の左右各側部が、上記推進用ノズルから上記操舵用ノズルを通り真直ぐ後方に噴射される噴射水を左右に分流させると共に、これら各分流水を上記船尾の左右外側方かつ前方に向わせるよう成形され、上記案内手段が上記後方位置からこの後方位置の外側方、もしくは上方に向って往、復移動可能となるよう上記船尾に支持された水噴射推進式船艇の制動、後進装置において、
【0111】
上記案内手段の左右側部が互いに個別に上記往、復移動可能とされている。
【0112】
このため、船艇を操舵するとき、左右側部のうち、一方の側部のみを上記後方位置に配置させることができるのであり、このようにすれば、この一方の側部による噴射水の案内が、他方の側部により邪魔されるということが確実に防止される。よって、船艇の操舵が迅速になされる。
【0113】
一方、上記船艇を後方への推進状態にさせようとするときには、上記左右側部を共に上記後方位置に配置させることができる。このため、これら両側部が共に上記噴射水を所定方向に案内する。よって、船艇の後方への推進が迅速になされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態で、図2の部分拡大部分断面図である。
【図2】第1の実施の形態で、船艇の全体側面図である。
【図3】第1の実施の形態で、図1で示したものの平面部分断面図である。
【図4】第1の実施の形態で、図1の部分拡大断面図である。
【図5】第1の実施の形態で、案内手段を往移動させた場合の図3に相当する図である。
【図6】第2の実施の形態で、図1に相当する図である。
【図7】第2の実施の形態で、図6の部分拡大図である。
【図8】第3の実施の形態で、図1に相当する図である。
【図9】第3の実施の形態で、図8の部分拡大図である。
【図10】第4の実施の形態で、図1に相当する図である。
【図11】第5の実施の形態で、図3に相当する図である。
【図12】第6の実施の形態で、図3に相当する図である。
【図13】第7の実施の形態で、図1に相当する図である。
【図14】第7の実施の形態で、船艇の背面図である。
【符号の説明】
1 船艇
2 水
3 船体
10 推進装置
11 船尾
12 噴射水
13 推進用ノズル
14 駆動手段
15 中央部
21 制動、後進装置
22 操舵用ノズル
23 案内手段
27 側部
28 分流水
40 開口
42 船首
44 下降促進手段
46 閉じ部材
A 回動
B 往移動
C 復移動
Claims (8)
- 船尾に支持され、後方に向って噴射水を噴射可能とさせる推進用ノズルと、上記船尾に支持されて上記推進用ノズルの後方位置に配置され、上記噴射水が上記船尾の左右外側方かつ前方に向うよう上記噴射水を案内する案内手段とを備え、この案内手段が上記後方位置からこの後方位置の外側方、もしくは上方に向って往、復移動可能となるよう上記船尾に支持された水噴射推進式船艇の制動、後進装置において、
上記船艇の前方への推進状態で、上記船尾の下方域を通りこの船尾に対し相対的に後方に流れてきた水を上方に案内するよう上記案内手段が成形された水噴射推進式船艇の制動、後進装置。 - 上記案内手段が上記後方位置の上方から復移動する途中において、上記噴射水から与えられた外力に基づき、上記案内手段を下降させる下降促進手段を備えた請求項1に記載の水噴射推進式船艇の制動、後進装置。
- 上記下降促進手段が、船艇の側面視で、下方への反りを有する翼型断面となるよう成形された請求項2に記載の水噴射推進式船艇の制動、後進装置。
- 上記下降促進手段が、上記噴射水を上方に案内するよう成形された請求項2に記載の水噴射推進式船艇の制動、後進装置。
- 上記案内手段が、上記噴射水を斜め上方に案内するよう成形された請求項1に記載の水噴射推進式船艇の制動、後進装置。
- 船尾に支持され、後方に向って噴射水を噴射可能とさせる推進用ノズルと、上記船尾に支持されて上記推進用ノズルの後方位置に配置され、上記噴射水が上記船尾の左右外側方かつ前方に向うよう上記噴射水を案内する案内手段とを備え、この案内手段が上記後方位置からこの後方位置の外側方、もしくは上方に向って往、復移動可能となるよう上記船尾に支持された水噴射推進式船艇の制動、後進装置において、
上記案内手段が、上記噴射水を斜め上方に案内するよう成形された水噴射推進式船艇の制動、後進装置。 - 船尾に支持され、後方に向って噴射水を噴射可能とさせる推進用ノズルと、この推進用ノズルの後側に配置されてこの推進用ノズルに連通させられ、後部側が左右に回動するよう上記船尾に枢支される操舵用ノズルと、上記船尾に支持されて上記操舵用ノズルの後方位置に配置され、上記推進用ノズルから上記操舵用ノズルを通り噴射された噴射水を案内する案内手段とを備え、この案内手段の左右各側部が、上記推進用ノズルから上記操舵用ノズルを通り真直ぐ後方に噴射される噴射水を左右に分流させると共に、これら各分流水を上記船尾の左右外側方かつ前方に向わせるよう成形され、上記案内手段が上記後方位置からこの後方位置の外側方、もしくは上方に向って往、復移動可能となるよう上記船尾に支持された水噴射推進式船艇の制動、後進装置において、
上記操舵用ノズルの後端部の回動により、この後端部の開口が上記案内手段の左右側部のうち、いずれか一方の側部に対向したとき、上記操舵用ノズルの開口から上記案内手段の他方の側部に向う噴射水の通路を開閉自在に閉じる閉じ部材を備えた水噴射推進式船艇の制動、後進装置。 - 船尾に支持され、後方に向って噴射水を噴射可能とさせる推進用ノズルと、この推進用ノズルの後側に配置されてこの推進用ノズルに連通させられ、後部側が左右に回動するよう上記船尾に枢支される操舵用ノズルと、上記船尾に支持されて上記操舵用ノズルの後方位置に配置され、上記推進用ノズルから上記操舵用ノズルを通り噴射された噴射水を案内する案内手段とを備え、この案内手段の左右各側部が、上記推進用ノズルから上記操舵用ノズルを通り真直ぐ後方に噴射される噴射水を左右に分流させると共に、これら各分流水を上記船尾の左右外側方かつ前方に向わせるよう成形され、上記案内手段が上記後方位置からこの後方位置の外側方、もしくは上方に向って往、復移動可能となるよう上記船尾に支持された水噴射推進式船艇の制動、後進装置において、
上記案内手段の左右側部が互いに個別に上記往、復移動可能とされた水噴射推進式船艇の制動、後進装置。
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