JP2004188745A - メタリック外観を有する成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】たとえ硬質の熱可塑性樹脂を用いても、アルミニウムの変形および損傷を低減して、得られた成形品における乱反射を防止でき、高級なメタリック外観を得ることのできる、メタリック外観を有する成形品の製造方法を提供すること。
【解決手段】まず、混練工程において、アルミニウム0.1〜50重量部と、熱可塑性樹脂99.9〜50重量部とを押出機により混練して混練物を調製し、次いで、成形工程において、得られた混練物をマスターバッチとして、このマスターバッチ1重量部に対して熱可塑性樹脂を1〜100重量部の割合で配合して射出成形することにより、メタリック外観を有する成形品を得る。
【選択図】 なし
【解決手段】まず、混練工程において、アルミニウム0.1〜50重量部と、熱可塑性樹脂99.9〜50重量部とを押出機により混練して混練物を調製し、次いで、成形工程において、得られた混練物をマスターバッチとして、このマスターバッチ1重量部に対して熱可塑性樹脂を1〜100重量部の割合で配合して射出成形することにより、メタリック外観を有する成形品を得る。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタリック外観を有する成形品の製造方法、詳しくは、塗装を施すことなくメタリック外観を有する成形品を製造するためのメタリック外観を有する成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車の内装部品などには、高級なメタリック外観を有する熱可塑性樹脂からなる成形品が用いられている。
【0003】
このようなメタリック外観を有する成形品は、熱可塑性樹脂を射出成形し、得られた成形品の表面に、メタリック塗装を施すことによって製造されている。
【0004】
しかし、このように、成形品の表面にメタリック塗装を施すと、塗装のための設備や労力を要して、製造のコスト上昇が不可避となる。
【0005】
そのため、近年、メタリック塗装を施すことなく、メタリック外観を有する成形品を、成形時に得る方法が種々提案されており、例えば、ポリプロピレン系樹脂にアルミフレークを配合して予備混合し、二軸押出機を用いて溶融混練した後に、射出成形することによって、メタリック外観を有する成形品を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−313747号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、熱可塑性樹脂として、例えば、ポリカーボネートのような硬質の熱可塑性樹脂を用いると、二軸押出機で溶融混練するときに、アルミフレークが硬質の熱可塑性樹脂との接触によって、折れるなどの変形および損傷を生じ、その結果、得られた成形品において、変形および損傷したアルミフレークに起因して乱反射を生じ、外観が黒ずみ、高級なメタリック外観が得られないという不具合を生じる。
【0007】
そこで、本発明は、このような不具合に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、たとえ硬質の熱可塑性樹脂を用いても、アルミニウムの変形および損傷を低減して、得られた成形品における乱反射を防止でき、高級なメタリック外観を得ることのできる、メタリック外観を有する成形品の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のメタリック外観を有する成形品の製造方法は、アルミニウムと熱可塑性樹脂とを、前記アルミニウムが0.1〜50重量部、前記熱可塑性樹脂が99.9〜50重量部の割合で混練して混練物を調製する混練工程、および、前記混練物と前記熱可塑性樹脂とを、前記混練物1重量部に対して前記熱可塑性樹脂1〜100重量部の割合で配合して成形する成形工程を備えていることを特徴としている。
【0009】
このような方法によると、混練工程において、アルミニウムと熱可塑性樹脂とが、アルミニウムが0.1〜50重量部、熱可塑性樹脂が99.9〜50重量部の割合、つまり、アルミニウムが比較的多い割合で混練されるので、アルミニウム同士が接触する頻度が多くなり、これによって、アルミニウムと熱可塑性樹脂とが接触する頻度が低減され、アルミニウムが熱可塑性樹脂との接触によって、折れるなどの変形および損傷が生じる頻度が低減される。
【0010】
そして、この方法では、成形工程において、得られた混練物1重量部に対して熱可塑性樹脂を1〜100重量部の割合で配合して成形するので、これによって、変形および損傷が低減されたアルミニウムが配合されているメタリック外観を有する成形品を得ることができる。
【0011】
従って、この方法によれば、たとえ硬質の熱可塑性樹脂を用いても、アルミニウムの変形および損傷を低減して、得られた成形品における乱反射を防止でき、高級なメタリック外観を得ることができる。
【0012】
また、本発明のメタリック外観を有する成形品の製造方法において、前記混練工程では、押出機により混練することが好ましく、また、前記成形工程では、射出成形することが好ましい。
【0013】
また、本発明のメタリック外観を有する成形品の製造方法は、ロックウエル硬度のRスケールで60以上の熱可塑性樹脂に、好ましく適用される。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の方法では、まず、混練工程において、アルミニウムと熱可塑性樹脂とを混練して混練物を調製する。
【0015】
本発明に用いられるアルミニウムは、特に限定されず、例えば、平均粒子径が15〜300μmのアルミフレーク(アルミニウムフレーク)が用いられる。
【0016】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリアセタール、ナイロン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリルスルホン、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリメチルペンテン、フッ素樹脂、オレフィン・ビニルアルコール共重合体、ポリウレタン、ポリアリレートなどが挙げられる。好ましくは、硬質の熱可塑性樹脂、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂が用いられる。これら熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0017】
また、本発明の方法は、これら熱可塑性樹脂のうち、ロックウエル硬度のRスケールが60以上、好ましくは、110以上の熱可塑性樹脂に好ましく適用される。本発明の方法では、このような硬質の熱可塑性樹脂であっても、得られた成形品における乱反射を防止して、高級なメタリック外観を得ることができる。
【0018】
そして、混練工程では、アルミニウムと熱可塑性樹脂とを、アルミニウムが0.1〜50重量部、好ましくは、1〜10重量部、熱可塑性樹脂が99.9〜50重量部、好ましくは、99〜90重量部となる割合で混練することによって混練物を調製する。アルミニウムの割合がこれより少ないと、混練時において、アルミニウムと熱可塑性樹脂との接触頻度が多くなって、アルミニウムが折れるなどの変形および損傷を生じ、その結果、得られた成形品において、高級なメタリック外観を得ることができない。一方、アルミニウムの割合がこれより多いと、混練時において、アルミニウムと熱可塑性樹脂とが混ざらず、均一に混練することができない。
【0019】
混練には、特に制限されず、例えば、単軸または二軸の押出機、バンバリーミキサ、プラベンダー、ニーダなどの公知の混練機が用いられる。好ましくは、押出機が用いられる。
【0020】
押出機は、そのシリンダ径が、例えば、40〜100mmφ、さらには、60〜70mmφであり、L/D(軸長/径)が、30〜60、さらには、40〜50であることが好ましく、また、例えば、3〜50メッシュ(1辺1インチ(25.4mm)の中のふるい目の数、以下同様)、さらには、17〜23メッシュのスクリーンチェンジャーを、1〜4枚装備してもよい。
【0021】
そして、このような押出機による混練条件は、例えば、熱可塑性樹脂がポリカーボネートである場合には、その温度が、250〜320℃、さらには、260〜280℃、スクリュー回転数20〜100回/分、さらには、48〜53回/分、真空度60〜100KPa、さらには、75〜85KPaであることが好ましい。
【0022】
次いで、本発明の方法では、このようにして得られた混練物をマスターバッチとして、この混練物(マスターバッチ)と熱可塑性樹脂とを配合して成形することによって、メタリック外観を有する成形品を製造する。
【0023】
熱可塑性樹脂としては、基本的には、上記した混練物を調製した熱可塑性樹脂と同様のものが用いられるが、その目的および用途によっては、混練物に用いられた熱可塑性樹脂と異なる1種または2種以上の熱可塑性樹脂を用いてもよく、また、混練物に用いられた熱可塑性樹脂と異なる1種または2種以上の熱可塑性樹脂を、さらに配合してもよい。
【0024】
混練物(マスターバッチ)と熱可塑性樹脂とを配合する割合は、混練物(マスターバッチ)1重量部に対して、熱可塑性樹脂が、1〜100重量部、好ましくは、5〜30重量部である。熱可塑性樹脂の割合が、これより少ないと、混練物(マスターバッチ)にすることで得られる外観の有意差が見られず、これより多いと、アルミニウムが均一に混ざらない。
【0025】
また、本発明の方法では、このような配合において、最終的に得られる成形品におけるアルミニウムの含有量が、成形品中に、0.01〜10重量%、さらには、0.01〜2重量%となるように調製されることが好ましい。
【0026】
また、これらの成形は、所望する形状などに応じて、公知の成形方法から適宜選択すればよいが、好ましくは、射出成形機を用いて射出成形する。射出成形によれば、溶融において粘度を低下させて成形することができる。
【0027】
射出成形の条件などは、熱可塑性樹脂の種類に応じて、公知の条件から適宜選択すればよく、例えば、熱可塑性樹脂がポリカーボネートである場合には、260〜320℃、好ましくは、280〜300℃で、混練物(マスターバッチ)および熱可塑性樹脂の配合物を溶融し、所定形状の金型に射出して成形すればよい。そして、冷却後に、型開きをすることによって、成形品を得ることができる。
【0028】
このようにして得られる成形品は、成形品中にアルミニウムが分散されているので、その表面に塗装を施さなくても、成形時にメタリック外観を得ることができる。
【0029】
そして、本発明の方法では、混練工程では、アルミニウムが多い割合で混練されるので、アルミニウム同士が接触する頻度が多くなり、これによって、アルミニウムと熱可塑性樹脂とが接触する頻度を低減して、アルミニウムが熱可塑性樹脂との接触によって、折れるなどの変形および損傷が生じる頻度を低減することができる。次いで、成形工程において、得られた混練物に対して熱可塑性樹脂を配合して成形するので、これによって、変形および損傷が低減されたアルミニウムが配合されているメタリック外観を有する成形品を得ることができる。
【0030】
従って、この方法によれば、たとえ硬質の熱可塑性樹脂を用いても、アルミニウムの変形および損傷を低減して、得られた成形品における乱反射を防止でき、高級なメタリック外観を得ることができる。
【0031】
なお、この方法においては、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、例えば、充填材、顔料、顔料分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、中和剤、金属腐食防止剤、滑剤、加工性安定剤、流動化剤などの公知の添加剤を、その目的および用途に応じて、混練工程におけるアルミニウムと熱可塑性樹脂との混練時、あるいは、成形工程における、混練物(マスターバッチ)と熱可塑性樹脂との配合時に、適宜添加することができる。
【0032】
そして、このようにして得られたメタリック外観を有する成形品は、低コストで製造することができ、しかも、高級なメタリック外観を得ることができるので、特に制限されることなく、各種産業製品の成形品として用いることができる。例えば、自動車の外装部品や内装部品、より具体的には、例えば、センターコンソール、インスツルメントパネル、トリム、ピラーなどの成形品からなる部品として、好適に用いられる。
【0033】
【実施例】
実施例1
アルミフレーク(平均粒子径:60μm)4.8重量部およびポリカーボネート(ロックウエル硬度:Rスケール124)95.2重量部を、単軸押出機(シリンダ径65mmφ、L/D42、スクリーンチェンジャー20メッシュ2枚、田端機械社製)に投入して、温度260〜280℃、スクリュー回転数50回/分、真空度80KPaの混練条件により混練することによって、混練物からなるマスターバッチを得た。
【0034】
次いで、得られたマスターバッチ6重量部および上記のポリカーボネート94重量部(この配合割合により、成形品中のアルミフレーク含有量が0.8重量%となるように調製される。)を、射出成形機に投入して、300℃で、所定の金型に射出することによって、100×150mmの成形品からなるテストピースを得た。
【0035】
比較例1
アルミフレーク(平均粒子径:60μm)0.8重量部およびポリカーボネート(ロックウエル硬度:Rスケール124)99.2重量部(この配合割合により、成形品中のアルミフレーク含有量が0.8重量%となるように調製される。)を、射出成形機に投入して、300℃で、所定の金型に射出することによって、100×150mmの成形品からなるテストピースを得た。
【0036】
評価
上記で得られた実施例1および比較例1のテストピースのL*(明度)a*(+方向:赤、−方向:緑)b*(+方向:黄色、−方向:青)値を、色彩色差計(CR−300型 CHROMA METER、ミノルタ社製)を用いて測定した。その結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
表1から明らかなように、実施例1のテストピースは、比較例1のテストピースに比べて、メタリック外観の指標として代表されるL*値が大きいことがわかる。
【0038】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のメタリック外観を有する成形品の製造方法によれば、変形および損傷が低減されたアルミニウムが配合されているメタリック外観を有する成形品を得ることができる。そのため、この方法によれば、たとえ硬質の熱可塑性樹脂を用いても、アルミニウムの変形および損傷を低減して、得られた成形品における乱反射を防止でき、高級なメタリック外観を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタリック外観を有する成形品の製造方法、詳しくは、塗装を施すことなくメタリック外観を有する成形品を製造するためのメタリック外観を有する成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車の内装部品などには、高級なメタリック外観を有する熱可塑性樹脂からなる成形品が用いられている。
【0003】
このようなメタリック外観を有する成形品は、熱可塑性樹脂を射出成形し、得られた成形品の表面に、メタリック塗装を施すことによって製造されている。
【0004】
しかし、このように、成形品の表面にメタリック塗装を施すと、塗装のための設備や労力を要して、製造のコスト上昇が不可避となる。
【0005】
そのため、近年、メタリック塗装を施すことなく、メタリック外観を有する成形品を、成形時に得る方法が種々提案されており、例えば、ポリプロピレン系樹脂にアルミフレークを配合して予備混合し、二軸押出機を用いて溶融混練した後に、射出成形することによって、メタリック外観を有する成形品を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−313747号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、熱可塑性樹脂として、例えば、ポリカーボネートのような硬質の熱可塑性樹脂を用いると、二軸押出機で溶融混練するときに、アルミフレークが硬質の熱可塑性樹脂との接触によって、折れるなどの変形および損傷を生じ、その結果、得られた成形品において、変形および損傷したアルミフレークに起因して乱反射を生じ、外観が黒ずみ、高級なメタリック外観が得られないという不具合を生じる。
【0007】
そこで、本発明は、このような不具合に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、たとえ硬質の熱可塑性樹脂を用いても、アルミニウムの変形および損傷を低減して、得られた成形品における乱反射を防止でき、高級なメタリック外観を得ることのできる、メタリック外観を有する成形品の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のメタリック外観を有する成形品の製造方法は、アルミニウムと熱可塑性樹脂とを、前記アルミニウムが0.1〜50重量部、前記熱可塑性樹脂が99.9〜50重量部の割合で混練して混練物を調製する混練工程、および、前記混練物と前記熱可塑性樹脂とを、前記混練物1重量部に対して前記熱可塑性樹脂1〜100重量部の割合で配合して成形する成形工程を備えていることを特徴としている。
【0009】
このような方法によると、混練工程において、アルミニウムと熱可塑性樹脂とが、アルミニウムが0.1〜50重量部、熱可塑性樹脂が99.9〜50重量部の割合、つまり、アルミニウムが比較的多い割合で混練されるので、アルミニウム同士が接触する頻度が多くなり、これによって、アルミニウムと熱可塑性樹脂とが接触する頻度が低減され、アルミニウムが熱可塑性樹脂との接触によって、折れるなどの変形および損傷が生じる頻度が低減される。
【0010】
そして、この方法では、成形工程において、得られた混練物1重量部に対して熱可塑性樹脂を1〜100重量部の割合で配合して成形するので、これによって、変形および損傷が低減されたアルミニウムが配合されているメタリック外観を有する成形品を得ることができる。
【0011】
従って、この方法によれば、たとえ硬質の熱可塑性樹脂を用いても、アルミニウムの変形および損傷を低減して、得られた成形品における乱反射を防止でき、高級なメタリック外観を得ることができる。
【0012】
また、本発明のメタリック外観を有する成形品の製造方法において、前記混練工程では、押出機により混練することが好ましく、また、前記成形工程では、射出成形することが好ましい。
【0013】
また、本発明のメタリック外観を有する成形品の製造方法は、ロックウエル硬度のRスケールで60以上の熱可塑性樹脂に、好ましく適用される。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の方法では、まず、混練工程において、アルミニウムと熱可塑性樹脂とを混練して混練物を調製する。
【0015】
本発明に用いられるアルミニウムは、特に限定されず、例えば、平均粒子径が15〜300μmのアルミフレーク(アルミニウムフレーク)が用いられる。
【0016】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリアセタール、ナイロン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリルスルホン、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリメチルペンテン、フッ素樹脂、オレフィン・ビニルアルコール共重合体、ポリウレタン、ポリアリレートなどが挙げられる。好ましくは、硬質の熱可塑性樹脂、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂が用いられる。これら熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0017】
また、本発明の方法は、これら熱可塑性樹脂のうち、ロックウエル硬度のRスケールが60以上、好ましくは、110以上の熱可塑性樹脂に好ましく適用される。本発明の方法では、このような硬質の熱可塑性樹脂であっても、得られた成形品における乱反射を防止して、高級なメタリック外観を得ることができる。
【0018】
そして、混練工程では、アルミニウムと熱可塑性樹脂とを、アルミニウムが0.1〜50重量部、好ましくは、1〜10重量部、熱可塑性樹脂が99.9〜50重量部、好ましくは、99〜90重量部となる割合で混練することによって混練物を調製する。アルミニウムの割合がこれより少ないと、混練時において、アルミニウムと熱可塑性樹脂との接触頻度が多くなって、アルミニウムが折れるなどの変形および損傷を生じ、その結果、得られた成形品において、高級なメタリック外観を得ることができない。一方、アルミニウムの割合がこれより多いと、混練時において、アルミニウムと熱可塑性樹脂とが混ざらず、均一に混練することができない。
【0019】
混練には、特に制限されず、例えば、単軸または二軸の押出機、バンバリーミキサ、プラベンダー、ニーダなどの公知の混練機が用いられる。好ましくは、押出機が用いられる。
【0020】
押出機は、そのシリンダ径が、例えば、40〜100mmφ、さらには、60〜70mmφであり、L/D(軸長/径)が、30〜60、さらには、40〜50であることが好ましく、また、例えば、3〜50メッシュ(1辺1インチ(25.4mm)の中のふるい目の数、以下同様)、さらには、17〜23メッシュのスクリーンチェンジャーを、1〜4枚装備してもよい。
【0021】
そして、このような押出機による混練条件は、例えば、熱可塑性樹脂がポリカーボネートである場合には、その温度が、250〜320℃、さらには、260〜280℃、スクリュー回転数20〜100回/分、さらには、48〜53回/分、真空度60〜100KPa、さらには、75〜85KPaであることが好ましい。
【0022】
次いで、本発明の方法では、このようにして得られた混練物をマスターバッチとして、この混練物(マスターバッチ)と熱可塑性樹脂とを配合して成形することによって、メタリック外観を有する成形品を製造する。
【0023】
熱可塑性樹脂としては、基本的には、上記した混練物を調製した熱可塑性樹脂と同様のものが用いられるが、その目的および用途によっては、混練物に用いられた熱可塑性樹脂と異なる1種または2種以上の熱可塑性樹脂を用いてもよく、また、混練物に用いられた熱可塑性樹脂と異なる1種または2種以上の熱可塑性樹脂を、さらに配合してもよい。
【0024】
混練物(マスターバッチ)と熱可塑性樹脂とを配合する割合は、混練物(マスターバッチ)1重量部に対して、熱可塑性樹脂が、1〜100重量部、好ましくは、5〜30重量部である。熱可塑性樹脂の割合が、これより少ないと、混練物(マスターバッチ)にすることで得られる外観の有意差が見られず、これより多いと、アルミニウムが均一に混ざらない。
【0025】
また、本発明の方法では、このような配合において、最終的に得られる成形品におけるアルミニウムの含有量が、成形品中に、0.01〜10重量%、さらには、0.01〜2重量%となるように調製されることが好ましい。
【0026】
また、これらの成形は、所望する形状などに応じて、公知の成形方法から適宜選択すればよいが、好ましくは、射出成形機を用いて射出成形する。射出成形によれば、溶融において粘度を低下させて成形することができる。
【0027】
射出成形の条件などは、熱可塑性樹脂の種類に応じて、公知の条件から適宜選択すればよく、例えば、熱可塑性樹脂がポリカーボネートである場合には、260〜320℃、好ましくは、280〜300℃で、混練物(マスターバッチ)および熱可塑性樹脂の配合物を溶融し、所定形状の金型に射出して成形すればよい。そして、冷却後に、型開きをすることによって、成形品を得ることができる。
【0028】
このようにして得られる成形品は、成形品中にアルミニウムが分散されているので、その表面に塗装を施さなくても、成形時にメタリック外観を得ることができる。
【0029】
そして、本発明の方法では、混練工程では、アルミニウムが多い割合で混練されるので、アルミニウム同士が接触する頻度が多くなり、これによって、アルミニウムと熱可塑性樹脂とが接触する頻度を低減して、アルミニウムが熱可塑性樹脂との接触によって、折れるなどの変形および損傷が生じる頻度を低減することができる。次いで、成形工程において、得られた混練物に対して熱可塑性樹脂を配合して成形するので、これによって、変形および損傷が低減されたアルミニウムが配合されているメタリック外観を有する成形品を得ることができる。
【0030】
従って、この方法によれば、たとえ硬質の熱可塑性樹脂を用いても、アルミニウムの変形および損傷を低減して、得られた成形品における乱反射を防止でき、高級なメタリック外観を得ることができる。
【0031】
なお、この方法においては、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、例えば、充填材、顔料、顔料分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、中和剤、金属腐食防止剤、滑剤、加工性安定剤、流動化剤などの公知の添加剤を、その目的および用途に応じて、混練工程におけるアルミニウムと熱可塑性樹脂との混練時、あるいは、成形工程における、混練物(マスターバッチ)と熱可塑性樹脂との配合時に、適宜添加することができる。
【0032】
そして、このようにして得られたメタリック外観を有する成形品は、低コストで製造することができ、しかも、高級なメタリック外観を得ることができるので、特に制限されることなく、各種産業製品の成形品として用いることができる。例えば、自動車の外装部品や内装部品、より具体的には、例えば、センターコンソール、インスツルメントパネル、トリム、ピラーなどの成形品からなる部品として、好適に用いられる。
【0033】
【実施例】
実施例1
アルミフレーク(平均粒子径:60μm)4.8重量部およびポリカーボネート(ロックウエル硬度:Rスケール124)95.2重量部を、単軸押出機(シリンダ径65mmφ、L/D42、スクリーンチェンジャー20メッシュ2枚、田端機械社製)に投入して、温度260〜280℃、スクリュー回転数50回/分、真空度80KPaの混練条件により混練することによって、混練物からなるマスターバッチを得た。
【0034】
次いで、得られたマスターバッチ6重量部および上記のポリカーボネート94重量部(この配合割合により、成形品中のアルミフレーク含有量が0.8重量%となるように調製される。)を、射出成形機に投入して、300℃で、所定の金型に射出することによって、100×150mmの成形品からなるテストピースを得た。
【0035】
比較例1
アルミフレーク(平均粒子径:60μm)0.8重量部およびポリカーボネート(ロックウエル硬度:Rスケール124)99.2重量部(この配合割合により、成形品中のアルミフレーク含有量が0.8重量%となるように調製される。)を、射出成形機に投入して、300℃で、所定の金型に射出することによって、100×150mmの成形品からなるテストピースを得た。
【0036】
評価
上記で得られた実施例1および比較例1のテストピースのL*(明度)a*(+方向:赤、−方向:緑)b*(+方向:黄色、−方向:青)値を、色彩色差計(CR−300型 CHROMA METER、ミノルタ社製)を用いて測定した。その結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
表1から明らかなように、実施例1のテストピースは、比較例1のテストピースに比べて、メタリック外観の指標として代表されるL*値が大きいことがわかる。
【0038】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のメタリック外観を有する成形品の製造方法によれば、変形および損傷が低減されたアルミニウムが配合されているメタリック外観を有する成形品を得ることができる。そのため、この方法によれば、たとえ硬質の熱可塑性樹脂を用いても、アルミニウムの変形および損傷を低減して、得られた成形品における乱反射を防止でき、高級なメタリック外観を得ることができる。
Claims (4)
- アルミニウムと熱可塑性樹脂とを、前記アルミニウムが0.1〜50重量部、前記熱可塑性樹脂が99.9〜50重量部の割合で混練して混練物を調製する混練工程、および、
前記混練物と前記熱可塑性樹脂とを、前記混練物1重量部に対して前記熱可塑性樹脂1〜100重量部の割合で配合して成形する成形工程を備えていることを特徴とする、メタリック外観を有する成形品の製造方法。 - 前記混練工程では、押出機により混練することを特徴とする、請求項1に記載のメタリック外観を有する成形品の製造方法。
- 前記成形工程では、射出成形することを特徴とする、請求項1または2に記載のメタリック外観を有する成形品の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂が、ロックウエル硬度のRスケールで60以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のメタリック外観を有する成形品の製造方法。
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- 2002-12-11 JP JP2002358800A patent/JP2004188745A/ja not_active Withdrawn
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