JP2004186649A - 低誘電率膜の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】接着強度に優れ、かつ低誘電率と高機械強度を長期にわたり安定した低誘電率膜の形成方法を得る。
【解決手段】下記化学式(1)で示されるボラジン骨格を有した化合物を原料として、
【化1】
Figure 2004186649

(上式中、X、X、Xは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、モノアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基、Y、Y、Yは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基または炭素数3〜12のトリアルキルシリル基で、X、X、X、Y、Y、Yの全てが水素原子ではない。)
化学的気相成長法により成膜するものである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子の層間などに用いられる絶縁膜、電気回路部品の基板などに用いられる低誘電率膜の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子の高速化、高集積化につれて、信号遅延の問題が深刻になりつつある。信号遅延は配線の抵抗と、配線間および層間の容量との積で表されるものであり、信号遅延を最小に抑えるためには、配線抵抗を低下させることと並んで、層間絶縁膜の誘電率を下げることが有効な手段である。
最近では、被処理体の表面に、ハイドロカーボン系ガスとボラジンとプラズマ系ガスとを含む雰囲気でプラズマCVDにより、B−C−N結合を含む層間絶縁膜を形成する方法が開示されている。なお、上記層間絶縁膜は誘電率が低いことも開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−58538号公報(第1頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の形成方法では、ボラジンをCVD原料として用いるため、低誘電率で高機械強度の膜を成膜できるが、耐水性に乏しいために、これらの特性が持続しないという課題があった。
【0005】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、接着強度に優れ、かつ低誘電率と高機械強度とを長期にわたり安定して得られる低誘電率膜の形成方法を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る第1の低誘電率膜の形成方法は、下記化学式(1)で示されるボラジン骨格を有した化合物を原料として、
【化2】
Figure 2004186649
(上式中、X、X、Xは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、モノアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基、Y、Y、Yは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基または炭素数3〜12のトリアルキルシリル基で、X、X、X、Y、YおよびYの全てが水素原子ではない。)
化学的気相成長法により成膜するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本発明の第1の実施の形態の低誘電率膜の形成方法は、原料として上記化学式(1)で示される化合物を単独または複合して原料として用い、化学気相成長法(CVD法)によって行われるものである。
膜形成にCVD法を用いると、上記原料のガスが順次架橋しながら膜を形成するため架橋密度を高くすることができるので膜の接着強度が増す。
【0008】
CVD法において、キャリアガスとしてヘリウム、アルゴンまたは窒素等を用いて、上記化学式(1)で示されるボラジン骨格を有する化合物の原料ガスを成膜させる基板近傍へ移動させる。
この時、上記キャリアガスにメタン、アンモニアまたはアルキルアミン類の化合物を混合して成膜される膜の特性を所望のものにコントロールすることもできる。
上記キャリアガスの流量は100〜1000sccm、ボラジン骨格を有する化合物のガスの流量は20〜300sccm、メタンまたはアミン類ガスの流量は5〜100sccmの範囲で任意に設定する。
ここで、上記キャリアガスの流量が100sccm未満では所望の膜厚を得るための時間が極端に遅くなり、膜の形成が進まない場合もある。また、1000sccmを越えると基板面内の膜厚均一性が悪化する傾向がある。
ボラジン骨格を有する化合物のガスの流量が20sccm未満では、所望の膜厚を得るための時間が極端に遅くなり、膜の形成が進まない場合もある。また、300sccmを越えると架橋密度の低い膜となるため、密着性が低下する。
メタンまたはアミン類ガスの流量が100sccmを越えると得られた膜の誘電率が大きくなる。
【0009】
上記のようにして基板近傍に運ばれた上記原料ガスが、化学反応を伴って基板上に堆積することにより膜が形成されるが、化学反応を効率よく起こすために熱、プラズマまたはレーザー光等を用いることができ、これらを複合させて用いてもよい。
熱を用いる場合は、ガス温度および基板温度を室温から400℃までの間でコントロールする。ここで、原料ガスおよび基板温度が400℃を越えると所望の膜厚を得るための時間が極端に遅くなり、膜の形成が進まない場合もある。
【0010】
また、プラズマを用いる場合は、平行平板型のプラズマ発生器内に基板を設置してその中へ上記原料ガスを導入する。このとき用いるRFの周波数は13.56MHzまたは400kHzで、パワーは5〜100Wの範囲で任意に設定することができる。これら異なる周波数のRFを混合して用いることもできる。
ここで、プラズマCVDを行うために用いるRFのパワーが100Wを越えると、上記化学式(1)で示されるボラジン骨格を有する化合物のプラズマによる分解の頻度が増し、所望のボラジン構造を有する膜を得ることができ難くなる。
【0011】
さらに光を用いる場合は原料ガスの導入経路中または基板面上にKrFエシキマレーザや低圧水銀ランプから得られるdeepUV光等を使用する。
【0012】
本発明の実施の形態に係わる上記化学式(1)で示される化合物において、ほう素上の水素原子に置換される基としてはアミノ基、炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、モノアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基が挙げられ、炭素を含む基において炭素数が4より大きくなると成膜された膜中の炭素原子含有量が多くなり、膜の耐熱性、機械強度が劣化する。
一方、窒素原子上の水素原子に置換される基としては炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭素数3〜12のトリアルキルシリル基が挙げられる。ほう素原子上の置換基と同様に炭素を含む基において炭素数が記載の炭素数より大きくなると成膜された膜中の炭素原子含有量が多くなり、膜の耐熱性、機械強度が劣化する。
【0013】
【実施例】
実施例1.
キャリアガスとしてアルゴンガスを用いて、B,B,B−トリエチルボラジンガスを加熱された導入管を通じて基板が置かれた反応容器中に導入した。
上記基板温度を150℃に加熱し、B,B,B−トリエチルボラジンの蒸気温度は200℃とした。
上記のようにして、本発明の実施例により上記基板上に得られた膜の接着強度は、4点曲げ法(M.Lane等J.Mater.Res.vol15,p203,2000)を参考にして、CVD法により作製したSiN膜上の密着強度により測定し結果を表1に示す。
また、誘電率は2.10(1MHz)、機械強度は硬さ2Gpa、ヤング率40Gpaであり、さらに、表1に示すように、上記のようにして形成された膜はクリーンルーム雰囲気(23℃、相対湿度50%)で2ヶ月間経過後も誘電率等の物性に変化は見られなかった。
このことからB,B,B−トリエチルボラジンを用いて化学的気相成長により成膜した膜は、接着強度に優れ、かつ低誘電率と高機械強度とを長期にわたり安定して得ることができる。
【0014】
【表1】
Figure 2004186649
【0015】
実施例2.
キャリアガスとしてアルゴンガスを用いて、B,B,B,N,N,N−ヘキサメチルボラジンガスを、加熱された導入管を通じて基板が置かれた反応容器中に導入した。
反応容器中は周波数13.56MHzのRFを100Wで稼動させて反応ガスをプラズマ化させるようにした。
基板温度を300℃に加熱し、B,B,B,N,N,N−ヘキサメチルボラジンの蒸気温度は150℃とした。
実施例1と同様にして得られた膜を実施例1と同様に評価し、結果を表1に示す。
表1に示すように、形成された膜は、接着強度に優れ、かつ低誘電率と高機械強度とを長期にわたり安定して得ることができる。
【0016】
比較例1・
原料ガスとしてボラジンガスを用い、表1に示す膜形成条件で実施例1と同様に基板上に膜を形成し、実施例1と同様に各特性を測定して結果を表1に示す。
表1から、膜形成初期の低誘電率性と機械特性は実施例1と同程度であったが、クリーンルーム雰囲気(23℃、相対湿度50%)で2ヶ月間経過後は上記両特性が低下しており、これはボラジンガスを原料とすることで形成された膜の吸水性が高くなるためであると考えられる。
【0017】
実施例3〜9.
表2および表3に示すボラジン化合物を用い、上記表に示す膜形成条件で実施例1と同様に基板上に膜を形成し、実施例1と同様に各特性を測定し、上記表に示す。
表から、いずれの場合も形成された膜は、接着強度に優れ、かつ低誘電率と高機械強度、並びに上記特性の長期の安定性を示すことがわかった。
【0018】
【表2】
Figure 2004186649
【0019】
【表3】
Figure 2004186649
【0020】
【発明の効果】
本発明の第1の低誘電率膜の形成方法は、上記化学式(1)で示されるボラジン骨格を有した化合物を原料として、化学的気相成長法により成膜するもので、接着強度に優れ、かつ低誘電率と高機械強度を長期にわたり安定して得られるという効果がある。

Claims (1)

  1. 下記化学式(1)で示されるボラジン骨格を有した化合物を原料として、
    Figure 2004186649
    (上式中、X、X、Xは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、モノアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基、Y、Y、Yは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基または炭素数3〜12のトリアルキルシリル基で、X、X、X、Y、YおよびYの全てが水素原子ではない。)
    化学的気相成長法により成膜することを特徴とする低誘電率膜の形成方法。
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