JP2004186371A - 薄物難燃性電磁波吸収シート - Google Patents
薄物難燃性電磁波吸収シート Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004186371A JP2004186371A JP2002350896A JP2002350896A JP2004186371A JP 2004186371 A JP2004186371 A JP 2004186371A JP 2002350896 A JP2002350896 A JP 2002350896A JP 2002350896 A JP2002350896 A JP 2002350896A JP 2004186371 A JP2004186371 A JP 2004186371A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electromagnetic wave
- flame
- powder
- retardant
- wave absorbing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Shielding Devices Or Components To Electric Or Magnetic Fields (AREA)
Abstract
【課題】マトリックスに難燃性のゴムを用い厚みが0.1mm以下で且つ効率良く安価に量産できる薄物難燃性電磁波吸収シートを提案する。
【解決手段】軟磁性の金属または合金からなる金属粉末とアクリルゴム(難燃性を有するバインダ)とを混合した混合物をカレンダロールにより圧延して製造され、シート全体の厚みが0.1mm以下である、薄物電磁波吸収シート。上記金属粉末は、水アトマイズ粉をアトライタにより偏平化したフレーク粉が用いられる。
【選択図】 なし
【解決手段】軟磁性の金属または合金からなる金属粉末とアクリルゴム(難燃性を有するバインダ)とを混合した混合物をカレンダロールにより圧延して製造され、シート全体の厚みが0.1mm以下である、薄物電磁波吸収シート。上記金属粉末は、水アトマイズ粉をアトライタにより偏平化したフレーク粉が用いられる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所要の透磁率および難燃性を有する薄物難燃性電磁波吸収シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の電子機器類において、外部からの電磁波による干渉を防いだり、内部の電磁波の漏洩を防ぐため、種々の電磁波吸収シートが提案されている。また、係る電磁波吸収シートには、所要の透磁率に伴う電磁波吸収特性や難燃性の他に、製品の薄肉化が求められている。
【0003】
ところで、厚みが0.1mm程度の薄い電磁波吸収シートを得る方法としては、これまでドクターブレード法(塗工法)しかなかった。しかし、係るドクターブレード法で得られる電磁波吸収シートは、金属充填量が少なくなるため、電磁波吸収特性が低下すると共に、塗布した溶媒により刺激臭が発生するため、作業環境が悪化する、という問題があった。
【0004】
【発明が解決すべき課題】
本発明は、以上に説明した従来の技術における問題点を解決し、マトリックスにアクリルゴムなどを用い且つ厚みが0.1mm以下で所要の電磁波吸収特性を有する薄物難燃性電磁波吸収シートを提案する、ことを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、金属粉末およびアクリルゴムなどを混合した混合物をカレンダロールにより圧延してシート化すると共に、その際に併せて最適な金属粉末充填量を投入する、ことに着想してなされたものである。
即ち、本発明の薄物難燃性電磁波吸収シート(請求項1)は、軟磁性の金属または合金からなる金属粉末と難燃性を有するバインダとを混合した混合物をカレンダロールにより圧延して製造され、シート全体の厚みが0.1mm以下である、ことを特徴とする。
【0006】
これによれば、上記混合物は、カレンダロールにより圧縮する前に、最適な金属粉末充填量が投入されているため、金属粉末をほぼ均一に含み且つ難燃性のバインダ(アクリルゴムなど)のマトリックス(シート母材)からなる厚み0.1mm以下の薄物電磁波吸収シートを容易且つ安価に量産することができる。しかも、そのマトリックスが耐熱性のアクリルゴムなどからなる場合、+100℃代の耐熱性、および難燃性に優れた薄物難燃性電磁波吸収シートとすることができる。
従って、係る薄物難燃性電磁波吸収シートによれば、電子機器の外側面または内側面に沿って、容易に巻き付けたり、貼り付けられ、且つ安価に提供することが可能となる。
尚、上記金属には、Fe、Ni、およびCoの少なくとも1つが含まれ、上記合金には、例えばFe−Cr系合金やFe−Ni系合金などが含まれる。また、上記アクリルゴム(アクリル樹脂を含む)には、アルキルアクリレート重合体、エチレン−アルキルアクリレート共重合体、あるいはエチレン−酢酸ビニル−アルキルアクリレート相互重合体などが含まれる。
【0007】
また、本発明には、前記金属粉末は、水アトマイズ粉、ガスアトマイズ粉、粉砕粉、または化学処理による湿式粉末などをアトライタにより偏平化したフレーク粉である、薄物難燃性電磁波吸収シート(請求項2)も含まれる。
これによれば、前記シート化において、上記フレーク粉はその長軸を圧延方向に沿った姿勢でシート内に埋設されるため、係るフレーク粉をほぼ均一に有し且つ厚みが0.1mm以下の薄物難燃性電磁波吸収シートとすることが容易となる。尚、偏平化したフレーク粉の平均粒径(長軸)は、約10〜30μmである。
【0008】
更に、本発明には、前記難燃性を有するバインダは、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、塩素化ポリエチレン、シリコンゴム、またはフッ素ゴムの何れかである、薄物難燃性電磁波吸収シート(請求項3)も含まれる。これによれば、前記金属粉末をほぼ均一に埋設した難燃性のアクリルゴムなどのマトリックスからなり、0.1mm以下の厚みの薄物電磁波吸収シートを一層確実に提供することが可能となる。特に、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム、シリコンゴム、およびフッ素ゴムは、100℃以上の高い耐熱性を期待することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施に好適な形態について説明する。
例えば、Fe−13wt%Cr合金(軟磁性の合金)の溶湯を水アトマイズして、平均粒径が約8〜10μmの水アトマイズ粉を得た後、係る水アトマイズ粉をアトライタに入れて攪拌することにより、厚みが5μm以下で平均粒径(長軸)が約20〜25μmのフレーク粉を得る。
【0010】
次に、難燃性のアクリルゴム(アルキルアクリレート重合体)からなるバインダ:100重量部に、上記フレーク粉:900〜1300重量部(最適金属充填量)、およびステアリン酸などを含む加工助剤:5〜10重量部を混合した混合物を得る。係る混合物をカレンダロールにおける一対のロール間に挿入して圧延する。この際、上記フレーク粉は、その長軸が圧縮される前記アクリルゴムのバインダからなるマトリックスにおける平面方向にほぼ沿う共に、係る平面方向に沿ってほぼ均一に分散されるため、0.1mm以下の厚みのシートに圧縮されても、破断することなく確実に圧延される。
この結果、マトリックスのアクリルゴム(難燃性のバインダ)中にFe−13wt%Cr合金からなるフレーク粉をほぼ均一に埋設した全体の厚みが0.1mm以下の薄物難燃性電磁波吸収シートを得ることができる。
【0011】
【実施例】
ここで、本発明の具体的な実施例を比較例と共に説明する。
Fe−13wt%Cr合金の溶湯を水アトマイズして、平均粒径が10μmの水アトマイズ粉を得た。係る水アトマイズ粉をアトライタに入れて攪拌することにより、平均粒径(長軸)が約20〜25μmのフレーク粉を得た。
アクリルゴム(アルキルアクリレート重合体)からなるバインダ:100重量部に対し、上記フレーク粉:1300重量部、およびステアリン酸などを含む加工助剤:6重量部を混合した混合物Aを3組得た。
【0012】
上記混合物Aのうち2組を、カレンダロールにおける一対のロール間に挿入する圧延を行って、厚みが0.1mmの薄物難燃性電磁波吸収シート(実施例)、および厚みが0.25mmの電磁波吸収シート(比較例2)を得た。尚、係る厚みが0.25mmの電磁波吸収シート(比較例2)は、カレンダロールを用いる従来の方法で最も薄肉のものである。
一方、残り1組の混合物Aを、従来のドクターブレード法(塗工法)によって、厚みが0.1mmの電磁波吸収シート(比較例1)とした。
【0013】
実施例および比較例1,2の各電磁波吸収シートについて、透磁率(μ′)、硬さ(JIS:K6251)、密度、体積抵抗率、保磁力(Oe)、引張強さ(MPa)、伸び率(%)、および難燃性(UL規格94に定める垂直燃焼試験)を測定した。尚、難燃性は、上記燃焼試験でV0規格を満たすものを「V0相当」とした。
それらの結果を表1に示した。
【0014】
【表1】
【0015】
表1によれば、同じ0.1mmの厚みの実施例と比較例1、更には0.25mmの厚みの比較例2は、それらの厚みにほぼ比例した特性値となった。このうち、比較例1は、塗工法によるため、3者の中で最も密度が低くなった。
一方、実施例の薄物難燃性電磁波吸収シートは、何れの特性値もその厚みに応じたものとなったが、特に、引張り時の伸び率が100%と高くなっていた。これは、前記カレンダロールを用いる圧延により、アクリルゴムからなるマトリックスのシートが薄く延ばされたことに起因すると、推定される。
【0016】
次に、実施例の薄物難燃性電磁波吸収シートおよび比較例1,2の電磁波吸収シート(7mm×3mm)に対して、それぞれ周波数が0.1〜100GHzの電磁波を平面波にして個別に照射した。係る際における透磁率(μ′)の変化を、図1のグラフに示した。
尚、上記透磁率の測定には、LCRメータを用いた。また、上記周波数帯域において、透磁率(μ)は、実質的に複素透磁率(μ′:実数部分)のみでほとんど大半が占められるため、これのみを用いて表示した。
【0017】
図1のグラフによれば、実施例および比較例1,2は、0.1GHzでは透磁率(μ′)が約18〜21の範囲でややバラついていたが、1GHzでは透磁率がほぼ8〜10の範囲に集まって低下した。更に、10GHz付近における透磁率は、ほぼ0(ゼロ)となった。即ち、各例の電磁波吸収シートは、電磁波の周波数が0.1〜10GHzの範囲では、ほぼ同様の透磁率を有していた。
この結果、実施例の薄物難燃性電磁波吸収シートによれば、上記透磁率に相応した電磁波吸収特性が十分得られることが判明した。
以上のような実施例の結果から、本発明の製造方法により得られる薄物難燃性電磁波吸収シートの効果が裏付けられたことが理解される。
【0018】
本発明は、以上において説明した実施例に限定されるものではない。
例えば、金属粉末には、前記Fe−13wt%Crのステンレス鋼に限らず、PBパーマロイ(Fe−78〜80wt%Ni)、PBパーマロイ(Fe−45wt%Ni)、PDパーマロイ(Fe−36wt%Ni)、純鉄、Fe−1〜3wt%Si、パーメンジュール(Fe−50wt%Co−2wt%V)などのFe−Co系合金、コバール(Fe−29wt%Ni−17wt%Co)などのFe−Ni−Co系合金、Fe−3〜10wt%Cr−3〜13wt%Si、Fe−9〜22wt%Ni−16〜26wt%Cr、あるいはFe−Cr−Al系合金などからなるものも含まれ得る。
また、金属粉末は、前記フレーク粉の他、水アトマイズされた球状粉末を用いることにより、全体の厚みが0.1mm以下の薄物難燃性電磁波吸収シートにしても良い。
更に、前記アクリルゴムに替えて、アクリル樹脂を用いたバインダに金属粉末などを配合してシート化した薄物難燃性電磁波吸収シートとしても良い。
【0019】
【発明の効果】
本発明の薄物難燃性電磁波吸収シートは、最適金属充填量の金属粉末および難燃性のバインダからなる混合物がカレンダロールにより圧縮されている。このため、上記金属粉末をほぼ均一に含み且つ難燃性を有するマトリックスからなる厚み0.1mm以下の薄物難燃性電磁波吸収シートを容易且つ安価に提供することができる。しかも、そのマトリックスが難燃性のバインダからなるため、耐熱性および難燃性に優れた薄物難燃性電磁波吸収シートとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における実施例の薄物難燃性電磁波吸収シートおよび比較例の電磁波吸収シートにおける透磁率と電磁波の周波数との関係を示すグラフ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、所要の透磁率および難燃性を有する薄物難燃性電磁波吸収シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の電子機器類において、外部からの電磁波による干渉を防いだり、内部の電磁波の漏洩を防ぐため、種々の電磁波吸収シートが提案されている。また、係る電磁波吸収シートには、所要の透磁率に伴う電磁波吸収特性や難燃性の他に、製品の薄肉化が求められている。
【0003】
ところで、厚みが0.1mm程度の薄い電磁波吸収シートを得る方法としては、これまでドクターブレード法(塗工法)しかなかった。しかし、係るドクターブレード法で得られる電磁波吸収シートは、金属充填量が少なくなるため、電磁波吸収特性が低下すると共に、塗布した溶媒により刺激臭が発生するため、作業環境が悪化する、という問題があった。
【0004】
【発明が解決すべき課題】
本発明は、以上に説明した従来の技術における問題点を解決し、マトリックスにアクリルゴムなどを用い且つ厚みが0.1mm以下で所要の電磁波吸収特性を有する薄物難燃性電磁波吸収シートを提案する、ことを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、金属粉末およびアクリルゴムなどを混合した混合物をカレンダロールにより圧延してシート化すると共に、その際に併せて最適な金属粉末充填量を投入する、ことに着想してなされたものである。
即ち、本発明の薄物難燃性電磁波吸収シート(請求項1)は、軟磁性の金属または合金からなる金属粉末と難燃性を有するバインダとを混合した混合物をカレンダロールにより圧延して製造され、シート全体の厚みが0.1mm以下である、ことを特徴とする。
【0006】
これによれば、上記混合物は、カレンダロールにより圧縮する前に、最適な金属粉末充填量が投入されているため、金属粉末をほぼ均一に含み且つ難燃性のバインダ(アクリルゴムなど)のマトリックス(シート母材)からなる厚み0.1mm以下の薄物電磁波吸収シートを容易且つ安価に量産することができる。しかも、そのマトリックスが耐熱性のアクリルゴムなどからなる場合、+100℃代の耐熱性、および難燃性に優れた薄物難燃性電磁波吸収シートとすることができる。
従って、係る薄物難燃性電磁波吸収シートによれば、電子機器の外側面または内側面に沿って、容易に巻き付けたり、貼り付けられ、且つ安価に提供することが可能となる。
尚、上記金属には、Fe、Ni、およびCoの少なくとも1つが含まれ、上記合金には、例えばFe−Cr系合金やFe−Ni系合金などが含まれる。また、上記アクリルゴム(アクリル樹脂を含む)には、アルキルアクリレート重合体、エチレン−アルキルアクリレート共重合体、あるいはエチレン−酢酸ビニル−アルキルアクリレート相互重合体などが含まれる。
【0007】
また、本発明には、前記金属粉末は、水アトマイズ粉、ガスアトマイズ粉、粉砕粉、または化学処理による湿式粉末などをアトライタにより偏平化したフレーク粉である、薄物難燃性電磁波吸収シート(請求項2)も含まれる。
これによれば、前記シート化において、上記フレーク粉はその長軸を圧延方向に沿った姿勢でシート内に埋設されるため、係るフレーク粉をほぼ均一に有し且つ厚みが0.1mm以下の薄物難燃性電磁波吸収シートとすることが容易となる。尚、偏平化したフレーク粉の平均粒径(長軸)は、約10〜30μmである。
【0008】
更に、本発明には、前記難燃性を有するバインダは、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、塩素化ポリエチレン、シリコンゴム、またはフッ素ゴムの何れかである、薄物難燃性電磁波吸収シート(請求項3)も含まれる。これによれば、前記金属粉末をほぼ均一に埋設した難燃性のアクリルゴムなどのマトリックスからなり、0.1mm以下の厚みの薄物電磁波吸収シートを一層確実に提供することが可能となる。特に、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム、シリコンゴム、およびフッ素ゴムは、100℃以上の高い耐熱性を期待することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施に好適な形態について説明する。
例えば、Fe−13wt%Cr合金(軟磁性の合金)の溶湯を水アトマイズして、平均粒径が約8〜10μmの水アトマイズ粉を得た後、係る水アトマイズ粉をアトライタに入れて攪拌することにより、厚みが5μm以下で平均粒径(長軸)が約20〜25μmのフレーク粉を得る。
【0010】
次に、難燃性のアクリルゴム(アルキルアクリレート重合体)からなるバインダ:100重量部に、上記フレーク粉:900〜1300重量部(最適金属充填量)、およびステアリン酸などを含む加工助剤:5〜10重量部を混合した混合物を得る。係る混合物をカレンダロールにおける一対のロール間に挿入して圧延する。この際、上記フレーク粉は、その長軸が圧縮される前記アクリルゴムのバインダからなるマトリックスにおける平面方向にほぼ沿う共に、係る平面方向に沿ってほぼ均一に分散されるため、0.1mm以下の厚みのシートに圧縮されても、破断することなく確実に圧延される。
この結果、マトリックスのアクリルゴム(難燃性のバインダ)中にFe−13wt%Cr合金からなるフレーク粉をほぼ均一に埋設した全体の厚みが0.1mm以下の薄物難燃性電磁波吸収シートを得ることができる。
【0011】
【実施例】
ここで、本発明の具体的な実施例を比較例と共に説明する。
Fe−13wt%Cr合金の溶湯を水アトマイズして、平均粒径が10μmの水アトマイズ粉を得た。係る水アトマイズ粉をアトライタに入れて攪拌することにより、平均粒径(長軸)が約20〜25μmのフレーク粉を得た。
アクリルゴム(アルキルアクリレート重合体)からなるバインダ:100重量部に対し、上記フレーク粉:1300重量部、およびステアリン酸などを含む加工助剤:6重量部を混合した混合物Aを3組得た。
【0012】
上記混合物Aのうち2組を、カレンダロールにおける一対のロール間に挿入する圧延を行って、厚みが0.1mmの薄物難燃性電磁波吸収シート(実施例)、および厚みが0.25mmの電磁波吸収シート(比較例2)を得た。尚、係る厚みが0.25mmの電磁波吸収シート(比較例2)は、カレンダロールを用いる従来の方法で最も薄肉のものである。
一方、残り1組の混合物Aを、従来のドクターブレード法(塗工法)によって、厚みが0.1mmの電磁波吸収シート(比較例1)とした。
【0013】
実施例および比較例1,2の各電磁波吸収シートについて、透磁率(μ′)、硬さ(JIS:K6251)、密度、体積抵抗率、保磁力(Oe)、引張強さ(MPa)、伸び率(%)、および難燃性(UL規格94に定める垂直燃焼試験)を測定した。尚、難燃性は、上記燃焼試験でV0規格を満たすものを「V0相当」とした。
それらの結果を表1に示した。
【0014】
【表1】
【0015】
表1によれば、同じ0.1mmの厚みの実施例と比較例1、更には0.25mmの厚みの比較例2は、それらの厚みにほぼ比例した特性値となった。このうち、比較例1は、塗工法によるため、3者の中で最も密度が低くなった。
一方、実施例の薄物難燃性電磁波吸収シートは、何れの特性値もその厚みに応じたものとなったが、特に、引張り時の伸び率が100%と高くなっていた。これは、前記カレンダロールを用いる圧延により、アクリルゴムからなるマトリックスのシートが薄く延ばされたことに起因すると、推定される。
【0016】
次に、実施例の薄物難燃性電磁波吸収シートおよび比較例1,2の電磁波吸収シート(7mm×3mm)に対して、それぞれ周波数が0.1〜100GHzの電磁波を平面波にして個別に照射した。係る際における透磁率(μ′)の変化を、図1のグラフに示した。
尚、上記透磁率の測定には、LCRメータを用いた。また、上記周波数帯域において、透磁率(μ)は、実質的に複素透磁率(μ′:実数部分)のみでほとんど大半が占められるため、これのみを用いて表示した。
【0017】
図1のグラフによれば、実施例および比較例1,2は、0.1GHzでは透磁率(μ′)が約18〜21の範囲でややバラついていたが、1GHzでは透磁率がほぼ8〜10の範囲に集まって低下した。更に、10GHz付近における透磁率は、ほぼ0(ゼロ)となった。即ち、各例の電磁波吸収シートは、電磁波の周波数が0.1〜10GHzの範囲では、ほぼ同様の透磁率を有していた。
この結果、実施例の薄物難燃性電磁波吸収シートによれば、上記透磁率に相応した電磁波吸収特性が十分得られることが判明した。
以上のような実施例の結果から、本発明の製造方法により得られる薄物難燃性電磁波吸収シートの効果が裏付けられたことが理解される。
【0018】
本発明は、以上において説明した実施例に限定されるものではない。
例えば、金属粉末には、前記Fe−13wt%Crのステンレス鋼に限らず、PBパーマロイ(Fe−78〜80wt%Ni)、PBパーマロイ(Fe−45wt%Ni)、PDパーマロイ(Fe−36wt%Ni)、純鉄、Fe−1〜3wt%Si、パーメンジュール(Fe−50wt%Co−2wt%V)などのFe−Co系合金、コバール(Fe−29wt%Ni−17wt%Co)などのFe−Ni−Co系合金、Fe−3〜10wt%Cr−3〜13wt%Si、Fe−9〜22wt%Ni−16〜26wt%Cr、あるいはFe−Cr−Al系合金などからなるものも含まれ得る。
また、金属粉末は、前記フレーク粉の他、水アトマイズされた球状粉末を用いることにより、全体の厚みが0.1mm以下の薄物難燃性電磁波吸収シートにしても良い。
更に、前記アクリルゴムに替えて、アクリル樹脂を用いたバインダに金属粉末などを配合してシート化した薄物難燃性電磁波吸収シートとしても良い。
【0019】
【発明の効果】
本発明の薄物難燃性電磁波吸収シートは、最適金属充填量の金属粉末および難燃性のバインダからなる混合物がカレンダロールにより圧縮されている。このため、上記金属粉末をほぼ均一に含み且つ難燃性を有するマトリックスからなる厚み0.1mm以下の薄物難燃性電磁波吸収シートを容易且つ安価に提供することができる。しかも、そのマトリックスが難燃性のバインダからなるため、耐熱性および難燃性に優れた薄物難燃性電磁波吸収シートとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における実施例の薄物難燃性電磁波吸収シートおよび比較例の電磁波吸収シートにおける透磁率と電磁波の周波数との関係を示すグラフ。
Claims (3)
- 軟磁性の金属または合金からなる金属粉末と難燃性を有するバインダとを混合した混合物をカレンダロールにより圧延して製造され、シート全体の厚みが0.1mm以下である、
ことを特徴とする薄物難燃性電磁波吸収シート。 - 前記金属粉末は、水アトマイズ粉、ガスアトマイズ粉、粉砕粉、または化学処理による湿式粉末などをアトライタにより偏平化したフレーク粉である、ことを特徴とする請求項1に記載の薄物難燃性電磁波吸収シート。
- 前記難燃性を有するバインダは、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、塩素化ポリエチレン、シリコンゴム、またはフッ素ゴムの何れかである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の薄物難燃性電磁波吸収シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002350896A JP2004186371A (ja) | 2002-12-03 | 2002-12-03 | 薄物難燃性電磁波吸収シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002350896A JP2004186371A (ja) | 2002-12-03 | 2002-12-03 | 薄物難燃性電磁波吸収シート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004186371A true JP2004186371A (ja) | 2004-07-02 |
Family
ID=32752957
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002350896A Withdrawn JP2004186371A (ja) | 2002-12-03 | 2002-12-03 | 薄物難燃性電磁波吸収シート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004186371A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013232530A (ja) * | 2012-04-27 | 2013-11-14 | Riken Corp | 電波吸収シート |
US9318809B2 (en) | 2013-09-20 | 2016-04-19 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Radio wave absorber |
WO2018084235A1 (ja) * | 2016-11-04 | 2018-05-11 | マクセルホールディングス株式会社 | 電磁波吸収シート |
US11152711B2 (en) | 2016-11-04 | 2021-10-19 | Maxell Holdings, Ltd. | Electromagnetic-wave-absorbing sheet |
TWI812620B (zh) * | 2018-05-03 | 2023-08-21 | 日商麥克賽爾股份有限公司 | 電磁波吸收薄片 |
-
2002
- 2002-12-03 JP JP2002350896A patent/JP2004186371A/ja not_active Withdrawn
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013232530A (ja) * | 2012-04-27 | 2013-11-14 | Riken Corp | 電波吸収シート |
US9318809B2 (en) | 2013-09-20 | 2016-04-19 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Radio wave absorber |
WO2018084235A1 (ja) * | 2016-11-04 | 2018-05-11 | マクセルホールディングス株式会社 | 電磁波吸収シート |
JPWO2018084235A1 (ja) * | 2016-11-04 | 2018-11-08 | マクセルホールディングス株式会社 | 電磁波吸収シート |
JP2019075571A (ja) * | 2016-11-04 | 2019-05-16 | マクセルホールディングス株式会社 | 電磁波吸収シート |
CN109845428A (zh) * | 2016-11-04 | 2019-06-04 | 麦克赛尔控股株式会社 | 电磁波吸收片 |
CN109845428B (zh) * | 2016-11-04 | 2020-09-18 | 麦克赛尔控股株式会社 | 电磁波吸收片 |
EP3537860A4 (en) * | 2016-11-04 | 2020-11-18 | Maxell Holdings, Ltd. | ELECTROMAGNETIC WAVE ABSORPTION SHEET |
CN112004396A (zh) * | 2016-11-04 | 2020-11-27 | 麦克赛尔控股株式会社 | 电磁波吸收片 |
US11152711B2 (en) | 2016-11-04 | 2021-10-19 | Maxell Holdings, Ltd. | Electromagnetic-wave-absorbing sheet |
US11515643B2 (en) | 2016-11-04 | 2022-11-29 | Maxell, Ltd. | Electromagnetic-wave-absorbing sheet |
TWI812620B (zh) * | 2018-05-03 | 2023-08-21 | 日商麥克賽爾股份有限公司 | 電磁波吸收薄片 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TW201018387A (en) | Electromagnetic interference suppressing hybrid sheet | |
JP6738160B2 (ja) | 軟磁性扁平粉末及びその製造方法 | |
JP6214856B2 (ja) | 電磁波吸収シート用扁平金属粉体の製造方法 | |
KR102369149B1 (ko) | 자성 편평 분말 및 이것을 함유하는 자성 시트 | |
JP6051128B2 (ja) | 磁性部材用絶縁被覆粉末 | |
JP2004186371A (ja) | 薄物難燃性電磁波吸収シート | |
JP2016072577A (ja) | 軟磁性扁平粉末及びその製造方法 | |
JP2007281074A (ja) | ノイズ抑制シート | |
JP6955685B2 (ja) | 軟磁性金属粉体及びその製造方法 | |
JP2006278433A (ja) | 複合電磁波ノイズ抑制シート | |
JP2005264317A (ja) | Fe−Ni−Mo系扁平金属軟磁性粉末およびその軟磁性粉末を含む磁性複合材 | |
JP2007042907A (ja) | 電磁波シールド組成物 | |
JP5391414B2 (ja) | 電波吸収体用磁性粉体 | |
JP6592424B2 (ja) | 軟磁性扁平粉末およびこれを用いた磁性シート | |
JP6882905B2 (ja) | 軟磁性扁平粉末 | |
JP2002158488A (ja) | シート状ノイズ対策部品 | |
US20080142121A1 (en) | Fe-based amorphous magnetic alloy and magnetic sheet | |
JP2007088316A (ja) | 磁性粉末および電波吸収体 | |
JP6810512B2 (ja) | 温熱治療用の発熱軟磁性粉体、発熱複合体及び発熱シート、これらの製造方法 | |
CN109706295B (zh) | 一种片状Fe基合金粉体的新型退火工艺 | |
JP2000223884A (ja) | 電磁波吸収体 | |
JP2004172226A (ja) | 電磁波吸収シート | |
CN107710353B (zh) | 阻燃性复合磁性体 | |
Kumari et al. | Cement paint composite as pollution tracker for electromagnetic radiations | |
Miura et al. | Preparation of nanocrystalline high-nitrogen stainless steel powders by mechanical alloying and their hot compaction |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20051031 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Effective date: 20070107 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 |